ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2011年 11月 28日

日本の景観は値踏みされている(トラベルマート2011 その4)

トラベルマートの初日を終え、その日は横浜に泊まることになったのですが、パシフィコ横浜の外に広がるみなとみらいと横浜港の夜景がとてもきれいでした。
b0235153_21164341.jpg観覧車の前で記念撮影に興じる外国人バイヤーの姿も見られます。その瞬間、ぼくはハッとしました。昼間繰り広げられていたインバウンド商談会では、ぼくの目の前にある横浜の夜景もそうですが、自然景観から食、伝統文化、都市の魅力、サブカルチャーに至るまで、あらゆる日本のバリューが外国人の目によって値踏みされているという現実にあらためて気づいてしまったからでした。

観光庁長官もアピールしたように、横浜の夜景は悪くないとぼくも思いますが、外国人記者やバイヤーの頭の中では、他の国々の都市の夜景と比較され(たとえば、シドニーや香港、シンガポールと比べるとどうかしら?)、同時にコスト面や交通の利便性、付帯するショッピングやアミューズメントの質などの観点から検討され、横浜の優位性は何なのか、自国の消費者の嗜好や特性を勘案しながら品定めされているのです。

そういう目で日本の景観が見られていると考えると、インバウンドってなんて残酷な世界なのだろうと思います。地元の人間にしてみれば、自分の愛する街のよさは自分がいちばん知っている。よその土地との比較なんてどうでもいい話でしょう。ところが、観光客は「あそこはよかった、ここは悪かった」と無邪気に評定し、すべてが比較の対象となるのです。それは自分が観光客になったとき、無意識のうちにしていることでもあるわけです。

ただし、その比較検討の基準や観点はそれぞれの国によって違いますから、絶対的な評価はありえないともいえる。ある国と比べて優位性となることが、他の国からみればかえって弱点になることもある。外客誘致を始めるということは、そんな相対的な価値の比較の世界に自らを投げ込むことにほかならないことをある程度覚悟しなければなりません。

トラベルマートが招請するのは、ビジット・ジャパン・キャンペーン事業の対象15市場(韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール、インド、マレーシア、米国、カナダ、フランス、英国、ドイツ、ロシア、オーストラリア)のバイヤーです。その業者の選定と承認は日本政府観光局が行っています。

本ブログでは行きがかり上、中国インバウンドの動向を中心に追いかけていますが、日本の自治体やサプライヤーにとっては、何も中国ばかりが商談相手ではありません。自分に見合った相手探しをすることが本来あるべき姿です。相手は常に我々のバリューを品定めしているのですから、こちらも受身ではなく、相手を知り、我々の価値をどう認めてくれるのか、探っていく姿勢が必要でしょう。
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by sanyo-kansatu | 2011-11-28 21:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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