ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 03月 26日

ミャンマー人が日本旅行で行きたい場所は?

昨日、あるミャンマー人の知り合いから、ぼくの携帯に電話がかかってきました。

10年ほど前、ぼくはミャンマーを訪ねたことがあるのですが、そのとき現地でお世話になった旅行会社のミョ・ナインさんという人からでした。

彼は子供の頃、家族で東京に住んでいたことがあります。母国で政変があり、帰国後、ミャンマーの大学を出て、家族で旅行会社を経営しながら、日本との貿易の仕事をしている人です。

その彼から、10年ぶりに突然電話があったのでびっくりしたのですが、ミャンマーでは大変お世話になったし、何よりミャンマー旅行のことを懐かしく思い出したので、すぐに会おうということになりました。翌日からぼくは地方出張の予定があり、その日しか時間がとれなかったからです。

彼の話によると、この1年でミャンマーは政治的にも、社会的にも、大きく変わりつつあるようです。彼は3つの名刺を持っていて、うち2つは旅行会社と貿易会社のものですが、もうひとつはミャンマーに進出する日本企業に対するコンサルタントという肩書きでした。今、ヤンゴンではホテル投資が盛んに行われているそうで、日本企業にとってもホテルは有望なおすすめ投資先だというのです。

彼が言うには、最近はミャンマーでも海外旅行に出かける人たちがいるそうで、大半の旅行先はお隣のタイですが、日本に旅行に行きたい人たちもいて、彼の旅行会社でも日本ツアーの催行を準備しているそうです。だいたい1週間で、日本円で15万円くらいのツアーを考えているようでした。そこで、彼に尋ねてみました。

「ミャンマーの人が日本で行きたいのはどこですか?」
「鎌倉や牛久」
「えっ、あの大仏のある……」
「そう、ミャンマー人はお寺が好きなのです」
「牛久も知っているの?」
「知っています。ミャンマー人は仏教徒ですから。あとは東京ディスニーランドと買い物です」
「そこはよその国の人と同じなんですね」
「はい」

ミョ・ナインさんはヤンゴンの空港と市街地を結ぶリムジンバスを運行するビジネスをこれから始めたいとか。

「ヤンゴンにはまだリムジンバスがないんですね」
「はい、まだそんなに空港を利用する人は多くないですから。でも、これから海外旅行に行く人も増えてくるので、バスがあると便利だと思います」

10年前にヤンゴン空港に降り立ったとき、旅客機から乗客を空港ビルに運んでいるのは、日本の地方都市の路線バスの廃車を再利用していたことを思い出しました。面白いことに、バスの行先の日本語表示が残ったままで、ヤンゴンの空港内を走っていたのです。ミャンマーの人は日本語が読めないから関係ないみたいでした。

ミョ・ナインさんは、ミャンマー人向けの日本の旅行案内もつくりたいと言いました。

「じゃあぼくが日本の情報や写真を送ってあげるから、ミョ・ナインさんがミャンマー語に翻訳して、向こうで印刷しちゃえば」

軽い思いつきでぼくがそう言うと、彼はうれしそうに、「そうしましょう。よろしくお願いします」と言います。

……もしかしたら、この話、本当に実現したりして。そう思うと、ちょっと面白い気がしてきました。

「じゃあまずミャンマーの人が日本で行きたい場所や、特に興味のあるお寺はどれか教えてくれますか。そして、1週間くらいの日本旅行のコースを考えてみてください。それに合わせて情報を集めてみますから」

ミャンマーでは、いまようやく海外旅行が始まろうとしています。そんなにすぐには大量送客なんてことにはならないと思いますが、ミャンマーはすべてがこれからの国です。リムジンバスの話もそうですが、社会のインフラやサービスなど、いろんなことをこれから一から作っていくことになるのです。

そんな時代を生きている人たちと一緒に仕事ができるなんて、とても面白いことではないか、そう思えてきました。

それにしても、なぜ彼は突然ぼくに電話をしてきたのだろう? 

不思議な一日でしたが、彼の今後のアプローチを楽しみに待ちたいと思います。

彼との久方ぶりの出会いを通して、すべてを一から始めようとしている国の人たちとぼくらは一緒に何ができるのか……もはやあらかたのことが揃い、成熟しきってしまって身動きが取れなくなっている日本の社会を生きるぼくらにとって、彼らのために何かお手伝いすることで自分自身もなんとか生き延びていく、そんな時代をいま迎えているのではないかと、あらためて思ったものです。
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by sanyo-kansatu | 2013-03-26 22:48 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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