ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 04月 28日

中朝最深部、長白鎮鴨緑江沿いから見た北朝鮮の村

2012年7月2日、中国吉林省の長白鎮から臨江までの鴨緑江沿いを、延吉在住の朝鮮族の知り合いの運転する車で走りました。長白鎮は、中朝国境1300kmの最深部にあたる辺境地域です。

その日、ぼくらは長白山の南坂から北朝鮮国境沿いの道を車で南下してきました。40分ほど走ると、鴨緑江の下流が見えてきました。
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長白鎮の対岸は北朝鮮の惠山というまちです。かなり老朽化していますが、オレンジ色の瓦に白いしっくいをふちどった屋根のある朝鮮の家並みが見えます。
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車を停めて対岸を眺めると、川べりでたくさんの子供たちが水浴びしていました。望遠レンズで覗くと、川で洗濯する女性やシャンプーする女の子、黄色い浮き輪を抱えて川で泳いでいる子たちもいます。
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同じ光景は中国側ではまったく見られません。時折走り去る車を除くと、静寂に包まれていて、北朝鮮側にだけ生活感があふれているのです。これはどうしたことなのでしょうか。
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しばらく川沿いの道を西に向かって走っていると、長白鎮の口岸(イミグレーション)が見えてきました。なかなか立派な建築物ですが、人の往来は見えません。
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そのくせ、長白鎮には多くのマンションが建設されていました。さすがに丹東のような高層建築ではありませんが、こんなに人の少ない地域で大丈夫なのだろうか、と思ってしまいます。これはもう全国規模の話なのですが、中国の地方政府によるむやみな不動産開発の行く末が気になります。
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同行してくれた朝鮮族の知り合いが、長白鎮生まれの友人の話としてこんなことを聞かせてくれました。

「長白鎮は密輸の王国で、金持ちが多いことで知られています。対岸の惠山もその恩恵を受けて、北朝鮮のまちとしてはかなり豊かです。もともと長白鎮は9割の住民が朝鮮族だったのですが、その多くが延吉や大連、その他の大都市に移住したため、現在は大半が漢民族です。
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数年前まで、その友人は鴨緑江を死体が流れるのを何度か見たそうです。北の脱北者が国境警備兵に撃たれるからです。中朝国境は長白山をはさんで西の鴨緑江と東の豆満江(图们江)が国境となっていますが、朝鮮族の多い豆満江のほうが脱北者が多いと言われています。同じ朝鮮民族ということで、以前は脱北者をかくまう朝鮮族もいたからですが、最近は犯罪に手を染める脱北者も多く、公安の取り締まりも厳しくなっているため、かくまう人は少なくなりました。

私の家でも親の代までは北朝鮮の親戚に経済的援助をしてきたのですが、私の代からはもう援助しなくなるように思います」

それから約3時間、鴨緑江沿いを走りました。対岸には北朝鮮の鉄道駅が見え、金日成の肖像画がいまだに掲げられています。ヤギの群れを追うのどかな村人やイチゴ売りのおばさんにも会いました。西に向かうほどだんだん川の幅が大きく、水量も豊かになっていきます。
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道中、この地方の人民解放軍の将軍を乗せた10台ほどの車の隊列に出くわしたのですが、なんと連中は車線を無視して道路の真ん中を走るものですから、対向車はみんな脇に停車しなければなりません。しかも、ノロノロ運転で、民間車は追い越したくてもできません。たまらず運転していた朝鮮族の男性は言いました。
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「いまの中国でいちばん威張っていて、汚職もひどいのが軍隊です。まったく許せない!」

軍部が特権階級として威張り散らしているのがいまの中国だというわけです。この国はまるで先祖返りしていますね。

そうこうするうちに、車は臨江に到着しました。ここも辺境には違いないのですが、かなり大きなまちのようです。
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by sanyo-kansatu | 2013-04-28 14:03 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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