2013年 04月 28日

年間4000人の欧州人を北朝鮮に送る英国人経営の旅行会社

北東アジアの問題児として周辺国に物騒な威嚇を続ける北朝鮮ですが、直近のここ数か月はともかく、毎年多くのヨーロッパ人が北朝鮮ツアーに参加しています。その多くのツアーを催行しているのが、北京にある北朝鮮専門旅行会社の高麗旅行社(koryo Tours)です。
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オリンピック開催の2008年にオープンしたモダンなショッピングモール、三里屯ヴィレッジのすぐそばの古い団地の中にオフィスがあります。
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この旅行会社の存在は、北京の英文情報誌「TIME OUT」2009年8月号の北朝鮮レポートを読んで知りました。ウエブサイトが掲載されていて、住所を知ったのです。
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近々に北朝鮮に行く予定はありませんでしたが、以前からちょっと覗いてみたかったので、先日訪ねてみました。

オフィスの扉を開けると、カナダ人の女性スタッフが出てきました。さて、どういう話し向きにしようかな…。

「こんにちは。ぼくは日本人ですが、昨年北朝鮮の羅先を訪ねる機会がありました。そこで今度は平壌に行ってみたいと考えているのですが…」
「団体ですか? 個人ですか?」
「(個人での渡航は無理だと承知はしていたのですが、あえて)個人で行くことはできますか?」
「難しいですね。ツアーなら参加することができますよ」

「日本人でもあなたの会社のツアーに参加できるのですね」
「はい、できますよ」
「いまのこの時期(2013年4月中旬)もツアーは可能ですか?」
「ええ、大丈夫です」
「個人渡航ができないのは、やはり日本の大使館が平壌にないためですね」
「そうですね」

以前、本ブログの「北朝鮮観光25年を振り返る」で、北朝鮮の観光政策と日本人の北朝鮮観光の変遷について整理しましたが、そこでぼくが指摘したのは、2000年以降、ヨーロッパ諸国の多くは北朝鮮と国交を持っていることです。もともとヨーロッパの人たちは世界中どこでも出かけていく人たちですから、北朝鮮ツアーに参加する人たちもけっこういるのです。金剛山などの名所には2週間近く滞在する旅行者もいるそうです。

「いま北朝鮮には年間約2万人の中国人、同じく約2万人のヨーロッパ人がツアーで出かけていると聞きましたが、こちらで手配しているのですか?」
「中国人は2万人いると思いますが、ヨーロッパ人は年間4000人くらいです」
「そうですか。ではあらためて考えてみます。ありがとう」

高麗旅行社の代表はイギリス人のNicholas Bonner氏です。彼は北朝鮮の美術作品のコレクターでもあり、カナダのトロントやハワイで展示会を開催しているそうです。オフィスには、たくさんの北朝鮮絵画やプロパガンダポスターが展示されていました。この手のポスターをたくさん見たのは、ベトナムに行って以来のことでした。
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同社のウエブサイトによると、Nicholas Bonner氏が初めて中国に来たのが1993年。そのとき、友人が北朝鮮に留学していた関係で、北朝鮮を訪ね、現地の美術作品に出合ったようです。その後、北朝鮮側の旅行エージェントの関係者と親しくなり、北京に同社を設立。文面から北朝鮮サイドのサポートがあったことがうかがえます。

彼が北朝鮮と特別なコネクションができたのは、もちろんヨーロッパ客を安定的に送客した実績もあるのでしょうが、おそらくそれ以上に、いまや国際的に希少価値となった社会主義的なリアリズムやプロパガンダの様式を現在もなお踏襲している北朝鮮美術のキュレイター役となったことが大きいのではないでしょうか。自国の文化的な価値を認めてくれたことが、北朝鮮の人たちにとってどれだけうれしいことか。それは単なるビジネス以上の意味があったのだろうと思われます。こうしたことは、社会主義的な価値を捨て去ってしまった、いまの中国人にはなかなかできないかもしれません。

高麗旅行社(koryo Tours)
北京市朝陽区北三里屯南27号 東側院
http://www.koryogroup.com/
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by sanyo-kansatu | 2013-04-28 18:22 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)


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