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2013年 05月 12日

ドラマ『太王四神記』の舞台-集安(中国吉林省)は世界遺産のまち

中国吉林省東南部に位置する集安は、紀元前37年、朱蒙が高句麗の建国の地とした卒本(現在の桓仁。その山城が五女山城)から遷都し、427年に平壌(現在の北朝鮮)に再び遷都するまでの約400年間、高句麗の都でした。鴨緑江に面して北朝鮮と国境を接する中国領内にあります。東側に鴨緑江が流れ、西側に険しい禹山がそびえるという防御に適した地形を利用し、五女山城と同様、尾根に沿って石垣の城壁を築き、その内側に王城を建てました。

朝鮮半島で最も長い約700年間王朝の続いた高句麗は、集安に多くの王陵と貴族の古墳を残しています。なかでも有名なのが、19代好太王=タムドクの墓のそばにある好太王碑です。碑文には朱蒙による高句麗建国と最初の3代の王の伝説、そしてタムドクの功績が記されています。現在も多数の城壁跡や古墳が残っており、世界遺産として登録されて以降、数多くの歴史ファンが訪れています。ご存知の方も多いと思いますが、韓国歴史ドラマ『太王四神記』でペ・ヨンジュンが演じたのがタムドクでした。

以下、2004年に世界遺産に登録された集安の主な遺跡を紹介します。

●丸都山城
高句麗を代表する山城。度重なる中国軍の侵略のため、209年、国内城からこちらの山城に移りました。
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韓国からツアーで来たおばさんたちもいました。実際、韓国客も多いのですが、遺跡を解説する石碑や資料館には、英語と中国語だけで、ハングルは一切使われていません。中韓の歴史認識問題が影響しているのでしょう。
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瞭望台跡
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●山城下貴族墓地
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●禹山貴族墓地
古墳内部の墓室に入れるのは「5号墳」のみ。墓室壁面に四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)が描かれています。
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長川一号墓前室北壁(レプリカ)
五女山城の遺跡には出土されない金銀の宝飾品や壁画があるのが集安の特徴です。壁画には、当時の高句麗人が騎馬にまたがり、日々の生活を送る姿が描かれています。
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●好太王碑
好太王碑は現在、ガラス張りの建物に収められています。
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●好太王陵
タムドクの王陵とされる古墳です。
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●将軍墳
花崗岩を積み上げています。好太王の息子の長寿王の陵墓という説が有力です。
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●国内城遺址
平時の王宮は現在の集安市内にありました。現在は城壁の一部が残るのみ。集安市民はかつての王城の中に住んでいるわけです。
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北東アジアの最強古代国家、高句麗

高句麗は古代北東アジアを約700年間支配した王国で、その最大版図は現在の中国東北地方と朝鮮半島北部にまたがっています。建国の地は遼寧省と吉林省の境界に近い卒本(現在の桓仁)でしたが、集安に遷都してから徐々に周辺勢力を服従させ、4世紀初めにはついに楽浪郡などの中国勢力を滅ぼし、4世紀後半の広開土王(タムドクのこと。即位391~412年)の時代には、南方の百済を攻略。倭の侵攻に苦しむ新羅を助け、北では後燕を倒し、高句麗は全盛期を迎えます。

韓国歴史ドラマは、『三国史記』や好太王碑の碑文などに書かれた古代国家の建国神話や伝説に大胆すぎるほどのファンタジー化を試み、魅力的な登場人物を設定することで多くのファンを虜にしました。それらはあくまで伝承の人物の物語ですが、実際に韓仁や集安を訪ねると、ドラマの各シーンの時代背景や設定に対する理解が深まるのでとても面白いです。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-12 11:33 | 北東アジア未来形:満洲の今 | Comments(0)


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