ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 05月 18日

いま中国で人気の山岳リゾート、長白山

中国の名山といえば、黄山(安徽省)、廬山(江西省)、泰山(山東省)の三山が有名で、すべて世界遺産に登録されています。隆々しく変化に富む峰々が生み出す奇抜で神秘的な風景はいかにも中国人好みで、たいてい道教や儒教の世界と縁があります。

こういうのが中国の名山だとしたら、それとはまったく異なるコンセプトで、最近中国の旅行マーケットで注目されているのが、吉林省にある長白山(朝鮮名:白頭山)です。とりわけ華南や香港など、南方エリアの旅行会社が積極的にツアーを催行しているようです。
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三名山とのコンセプトの違いは、長白山がなだらかに裾野の広がる富士山のような美しいシルエットをした火山で、山頂には「天池」と呼ばれるカルデラ湖があることです。
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長白山の登山開発は1980 年代後半から始まり、現在では中国や韓国、そして日本からも多くの人々が訪れています。北緯42度に位置し、日本では北海道の駒ケ岳の緯度にあたるため、登山シーズンは6月中旬から9月中旬の3ヵ月に限られます。

2008年5月中旬ぼくが訪ねたときは、山頂部は吹雪で、天池も氷結していました。それはそれで神々しい美しさもあったのですが、やはり高原植物が一斉に花を開く初夏がベストシーズンで、ここ数年日本からもフラワートレッキングのツアーが催行されています。また、最近は冬季シーズンのスキーリゾート化も進められています。本格的なスキーリゾートとなるにはまだ時間がかかりそうですが、1年中を通して観光客が訪れるような山岳リゾートとして売り出したいようです。
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長白山観光には現在、中国側から北坡(北坂)、西坡(西坂)、南坡(南坂)の3つの山門から展望スポットに登るコースがあります。どのスポットからでも天池を眺めることができますが、その見え方は異なっています。
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このうち、最初に開発されたのは、長白瀑布や長白山温泉がある北坡山門コースです。
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●北坡山門コース
長白山の北側に位置する山門(北坡山門)から天池を目指すコース。山門から長白瀑布に向かう道と途中から天池を眺望できる天文峰(2670m)に登る道に分かれます。
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長白瀑布
天池の水は天文峰と龍門峰の間から落差68mの長白瀑布から落ちていきます。満水期(7月)には毎秒2.15トンの水量に及ぶそうです。雪解けの頃には、水しぶきが登山路まで飛んでくるほど。東北三省で最大の滝です。
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2008年の長白山空港の開港以降、西坡山門コースで本格的なリゾート開発が進められています。北京や長春からダイレクトで長白山のすぐ麓まで乗り入れることが可能となり、登山客も急増中です。
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●西坡山門コース
長白山の西側に位置する山門(西坡山門)から天池を目指すコースです。錦江大峡谷や錦江瀑布、高山花園などの見どころも多い。頂上には5号天界碑(2464m)という中朝国境を示す石碑があります。
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錦江大峡谷
錦江大峡谷は、長白山の噴火時に生まれた巨大な亀裂からできた最大の峡谷で、長さ70km、切り込む深さが平均80mに及びます。
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高山花園
長白山は高山植物の宝庫。初夏になると海抜2000mを超えたあたりから山の斜面にさまざまな種類の花が咲き乱れます。
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西坡山門の周辺には、登山を楽しんだ後も快適にくつろげる温泉付きの山岳リゾートホテルがたくさんできています。

最近開発され始めたのが、南坡山門コースです。
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●南坡山門コース
長白山の南側の北朝鮮国境沿いに位置する山門(南坡山門)から天池を目指すコースです。山門から頂上に向かう登山道の途中に見られる高原植物の豊富さは随一といえます。
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鴨緑江の源流となる長さ10kmの鴨緑江大峡谷もあります。また山門近くにある漫江鎮は山菜の宝庫で、地元でとれたマスの刺身や山菜料理を食べさせてくれる食堂もあります。
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※追記
先日ネットでこんな記事を見つけました。
长白山推生态游等新型旅游吸引大批境内外游客」2013年05月19日

長白山の生態は新しい旅行者を吸引している、という内容です。ここでいう生態とは、カルデラ湖の天池や原生林、火山活動の跡を残す景観などを指しています。このような景観は、中国広しといえども、長白山にしかありません。2012年、長白山には167万人の観光客が訪れ、前年度比17.6%増だったそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-18 15:38 | 日本人が知らない21世紀の満洲 | Comments(0)


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