2013年 05月 23日

出展国が渋すぎる!? 北京のB2B旅行展示会(COTTM2013報告 その1)

4月9日~11日、北京で開催されたCOTTM2013(中国出境旅游交易会)(http://www.cottm.com/)に行ってきました。
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一般に旅行展示会といえば、日本ではJATA旅博(http://www.tabihaku.jp/)、中国では今年5月の開催で10年目を迎えたWTF(上海世界旅游博覧会 http://www.worldtravelfair.com.cn/)や、6月21日~23日に北京で開催予定のBITE(北京国際ツーリズム・エキスポ http://www.bitechina.com.cn/)などB2Cのイベントが知られていますが、COTTMはB2B、すなはち国内外の旅行業者だけが集まる商談会で、今年で9年目を迎えます。
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会場は、北京市朝陽区にある農業展覧館。2012年のWTF会場だった上海展覧館と同様、社会主義を標榜した時代の中国を思い起こさせる石造りの重厚な建築(1959年開館)で、現在さまざまな業界の展示会や商談会が頻繁に行なわれています。

今回の展示会では、海外から62カ国、275団体・企業が出展し、4000名を超える中国の旅行関係者が来場したと公式サイトは伝えています。では、会場の様子を覗いてみましょうか。
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正面玄関を抜けると、目の前の一等地に左右に分かれて巨大なブースを展開していたのは、メキシコ観光局とトルコ観光局でした。
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正面に向かって左に進むと、アフリカ諸国のエリアです。エチオピアやチュニジアなど、色鮮やかなブースが並びます。
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アフリカの民族衣装を身につけたスタッフも多く、陽気な雰囲気です。もともと中国にはアフリカ諸国からの留学生が多く、経済協力関係の深い地域だけに、なるほどという感じもします。あまり深読みしても仕方ありませんが、中国では観光がマーケットの都合だけで動いているわけではなく、「政治」が大きく影響していることを実感する光景です。
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一方、右側のエリアはヨーロッパや中近東諸国が中心です。もっとも、英仏独といった主要国ではなく、スロバキア(中国語で「斯洛伐克」)やクロアチア、アゼルバイジャンといった旧社会主義圏の国々を中心とした観光局のブースが続きます。
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奥の広いスペースに、今回最大の出展数だったアメリカ各州観光局の共同ブースや中南米、アジア各国のブースがありました。
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以下、公式パンフレットに掲載されていた出展企業・団体の国別リストです。

●アジア(16)
UAE、イラン、インド、韓国、カンボジア、シンガポール、ネパール、バングラディシュ、フィリピン、ブータン、ベトナム、マカオ、マレーシア、モルジブ、モンゴル、オーストラリア
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●アフリカ(12)
エジプト、エチオピア、ガーナ、カメルーン、ケニア、セーシェル、タンザニア、チュニジア、ブルンジ、マダガスカル、マラウィ、モンテネグロ

●中近東(5)
アゼルバイジャン、イスラエル、ウズベキスタン、ドバイ、トルコ

●中南米・太平洋(5)
コスタリカ、タヒチ、フレンチポリネシア、ベネズエラ、メキシコ

●欧米ほか(28)
USA、アイスランド、アイルランド、イタリア、ウクライナ、英国、オーストリア、カナダ、ギリシャ、クロアチア、ジブラルタル、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベラルーシ、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ロシア

※トータルすると、国の数が公式発表より多くなるのは、一部出展を見合わせた国・地域があるからかもしれません。すべてをつき合わせてチェックしているわけではないので、ご了承ください。

出展国のリストだけ見ていると、なんという渋すぎるラインナップだと思うかもしれません。また逆に、中国人はこんなマイナーな国々へも海外旅行に行くようになったのか、と驚かれるかも。だいいち、人気のハワイもNYも、パリや香港のブースもないのですから。すでにお気づきと思いますが、主要国の中で唯一日本からのブースだけがひとつもありませんでした。

もっとも、それはCOTTMが一般消費者を対象としたB2Cの展示会ではないからといえます。旅行業のプロだけが集まる展示会だけに、よく知られた人気ディスティネーションのブースは必要がないのです。消費者が来場しない以上、彼らもPRする意味がないからです。

それでも、個々のブースは小さいため目立ちませんが、ヨーロッパから28か国の出展者がいることは興味深いです。それらの出展者の特徴は、前述したスロバキアやクロアチアなど、中国市場における新しいディスティネーションが観光局中心であるのに対し、英仏独などの主要国では、極地旅行や海外ウエディング、欧州個人旅行などの専門ジャンルに特化した旅行会社が出展していることです。つまり、すでに団体ツアーが多数訪れている主要国では、個人客を対象としたSIT(スペシャル・インタレスト・ツアー:特別なテーマや目的に特化したツアー)向けの商品を販売する民間の旅行会社のブースだけが出展しているということです。
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さらに興味深かったのは、ラグジュアリー旅行を提供する海外の旅行会社のブースだけを集めた特設コーナーもあったことです。
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つまり、COTTMは、中国の旅行業者にとって、これまで知られていなかった新しい旅行先や新機軸の旅行ジャンルを開拓するための貴重な情報交換の場となっているのです。そのことは、中国の海外旅行市場がすでにアフリカや中南米、旧社会主義圏のヨーロッパなどの国々やSITの世界へ触手を伸ばそうとしていることを意味しています。

そういう意味では、確かに日中関係が悪化しているとはいえ、この場に日本からの出展者がないことはちょっと残念だといえます。中国から見て日本市場はもうヨーロッパと同様、個人客を対象としたSITの時代に入っているというのに、それをPRしようとする業者がいないというのですから。

実は、日本に代わって多くの中国客が訪れている韓国からのブースは、唯一DICAPACというカメラや携帯の防水ケースを販売する会社でした。どれだけアピールできたかわかりませんが、この場に出展すべきなのは、たとえばこういう業者なのだと思います。
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確かに、COTTMに出展する意義をどう考えるかについては、いろんな見方があるとは思いますが、これまでのように一般消費者を対象とした旅行博に自治体主導で横並びに出展するスタイルが効果的かどうか、いまいちど考え直す必要があると思います。もはや中国から見た日本市場は、ヨーロッパと同じように、個別のSITツアーを打ち出すべき段階に入っているからです。

そのことは、COTTM会場で連日繰り広げられたフォーラムに登壇した中国の旅行関係者らが語っていたことです。その内容については、次の機会に
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by sanyo-kansatu | 2013-05-23 09:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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