ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 06月 02日

中朝陸の国境では兵士も農民も目と鼻の先(遼寧省丹東市)

中国遼寧省丹東市から鴨緑江を下流に向かって車で30分ほどの場所に、川を隔てていない陸の国境があります。
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地図を見るとわかるように、鴨緑江の下流域には中州がたくさんあるのですが、そのうち鴨緑江の本流から見て北側の中国領に接したいくつかの中州がなぜか北朝鮮領であるため、陸の国境線が敷かれることになるのです。
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国境沿いには、丹東市街から東港国際港に至る道路が延びていますが、北朝鮮が核実験を実施した2006年秋以降、中国政府は一斉に鉄条網を建設しました。地元の中国人によると、それまでは両国の境はなく、のどかな田園風景そのもので、人民同士ごく自然に往来しながら暮らしていたそうです。

ところが、いまでは道路の南側に広がる北朝鮮の田園風景は鉄条網越しに眺めることになります。

地元の知り合いの運転する車で、この国境沿いのコースを何度かドライブしたことがあります。道路のほんのすぐ脇に鉄条網はありますが、その目と鼻の先は北朝鮮の農地です。
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しばらく走ると、北朝鮮の民家もすぐそばに見えます。田植えをする農民たちもいます。
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木陰に北朝鮮の国境兵士と思われる軍服姿の若い男たちもいました。彼らはべつにここで何をするわけでもなく、無聊をかこつという姿にしか見えません。
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ここにも北朝鮮側にモノを投げたり、交換したりするな。また撮影は禁止だと書かれた看板があります。そのせいか、たまに軍の車がこの道を往来していて、そのつど車の走るスピードを少し速めたり、カメラマンは望遠レンズを車の窓の下に隠したりしなければなりません。
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2011年6月、北朝鮮政府はこの陸の国境沿いにある自国領の黄金坪と威化島という中州を「経済地帯」に指定。中朝両国はこの地を共同開発し、工業団地を建設するための着工式を行ったことが、日本のメディアでも盛んに報道されたことがあります。確か、わざわざテレビ局までこの地の映像を流していました。
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ところが、その後いつになっても、建設は始まりません。現在もなお、のどかな田園風景には不似合いなほど仰々しい黄金坪の入り口の扉は閉じられたままです。
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着工式が行われた広場も、「中朝睦邻友好共促经济繁荣」と書かれた大看板が置かれただけで、人の姿はありません。このところの中朝関係の悪化もあるでしょうが、そもそもインフラ整備から投資まで、すべてをオンブにダッコの北朝鮮に対して、さすがの中国側もうかつに手は出せないという感じではないでしょうか。
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黄金坪の向かいの中国側には、最新式の体育館が建設されていました。こちらは「丹東新区」と呼ばれる開発区で、いずれ丹東の都市機能をこちらに移転すべく、現在大規模な開発が進んでいます。なんとも皮肉な光景といえます。
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※掲載した写真は、2008年5月~12年7月にかけて、ほぼ毎年この地を訪れて定点観測した中から選んでいます。
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by sanyo-kansatu | 2013-06-02 16:01 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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