ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 09月 25日

タイで発行される日本旅行ガイドブックはよくできている(TITF報告その3)

8月中旬にバンコクで行われたタイのトラベルフェア(Thai International Travel Fair #13)で、日本の出展ブースが盛況だった背景に何があるのか。もう少し考えてみようと思います。
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その手がかりになるのが、旅行ガイドブックの物販ブースです。ぼくはタイ語はお手上げですが、編集者として旅行書籍を制作した経験から実用書としての約束事は了解していますから、文字や写真の配置やレイアウトなどを通して大まかにではありますが、どんな内容なのか、つかむことはできます。
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以前、このブログでもタイで発行される旅行雑誌について報告したことがありますが(→「タイの旅行雑誌には日本がこんな風に紹介されています」)、その物販ブースには、あらゆる国の多種多様なタイ語の海外旅行関連書籍や雑誌が販売されていました。

正直なところ、個人旅行のためのガイドブックがこれほど充実しているとは思っていませんでした。中国の旅行書籍の事情をぼくはそこそこ知っていますが、実用書としてのできばえを見る限り、明らかにタイは中国より進んでいます。誌面を通して実際に個人旅行している「タイ人読者=旅行者」の存在をうかがわせる企画内容や、情報伝達の仕掛けや工夫が見られるからです。タイで発行される日本旅行ガイドブックは実によくできているんです。これだけの書籍が存在する以上、成熟した旅行者がこの国には存在している。そう確信するに至りました。

なかでも印象的だったのが、「Japan World-Mook Series」という2010年に創刊した訪日旅行に特化したタイ語版ムックシリーズです。

Japan World-Mook Series
http://www.japan-mook.com

同書の編集は、1991年創刊の「まるごとタイランド」という現地邦人向け情報誌を発行していたMarugoto(Thailand)CO.Ltd(http://www.marugoto.co.th)。現在この情報誌は休刊となってしまいましたが、同社では、「富士山」「北海道」「東北」「日本食」「城」「お土産」「新幹線」など、地域や文化テーマ別に切り分けた24タイトル(2013年8月現在)のガイドブックシリーズを、タイ人スタッフによる編集で発行しています。
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何よりタイ人の視点で編集されていることが特徴です。Marugoto(Thailand)CO.Ltdの丸山純代表取締役社長によると、売れ筋ランキングの1位は「北海道」、2位は「富士山」、3位は「新幹線」だそうです。なぜこれらのエリア・テーマが売れるのか、タイ人の視点に立ってあらためて考える必要がありそうです。
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同シリーズでは、タイ人が日本でやりたいこと、それを実現するために理解しておくべきこと、それは実用情報だけでなく、文化的・歴史的バックグランドの解説まで、豊富な写真を使って解説しています。タイ語が読めないのがちょっと残念なくらいです。

実は、この「Japan World-Mook Series」は、2013年2月12日に在タイ日本国大使公邸で開催された“Reception for Japan-bound Tourism Promotion”において、訪日旅行の促進に貢献した旅行ガイドブックとして「Japan Tourism Award in Thailand」を受賞しています。

「Japan Tourism Award in Thailand」は、訪日ツアーを精力的に販売した旅行事業者や、訪日観光に貢献した個人・団体に対して「トップエージェント賞」「ユニーク・ガイドブック賞」など4つの賞に分けてJNTOバンコク事務所が表彰するものです。

「Japan Tourism Award in Thailand 2012」(JNTOプレスリリース2013.2.13)
※このプレスリリースには、2012年に訪日旅行の促進に貢献したタイの人気俳優や料理番組のシェフなども表彰されたことが報告されています。タイで日本旅行が人気となった背景に、テレビの影響は大きいといわねばなりません。

そのときのもうひとりの受賞書が、旅行ガイドブック『一人でも行ける日本の旅(Japan ญี่ปุ่น คนเดียวก็เที่ยวได้” )』を執筆したタイ人女性のBAS(バス:ペンネーム、オラウィン・メーピルン:本名)さんです。
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このガイドブックも、TITFの書籍物販ブースで見つけました。同書は2タイトルあり、日本全国31か所の観光地について、アクセス情報も含めて、詳しく説明しています。本書の特徴は、東京や大阪などの主要都市から離れた日本語の標記しかない地方の観光地についても、地名標記の写真を掲載したうえ、タイ語に翻訳して説明してあるなど、日本語ができないタイ人でも、一人で日本旅行できるよう工夫を凝らされた実用ガイドとなっていることです。また女の子らしいイラストも豊富に使われていて、楽しく読みやすいデザインになっています。

BASさんの本業はカメラマン&編集者。同書に掲載された写真はすべて本人が撮影しており、 「一人で行ける日本①」が初のガイドブック。その後、シンガポールなどのガイドブックも上梓しているそうです。

実はこれ以外にもいくつかの日本旅行に関するユニークな書籍を見つけたのですが、今現在、その内容について詳しくお伝えすることができません。今後、タイ人留学生の皆さんと一緒に、これらの書籍の内容について検討しようという計画があります。後日、あらためて報告したいと思います。

※その後、タイ人留学生とのガイドブック検討会を実施しました。以下を参照のこと。

ガイドブック『一人でも行ける日本の旅』をめぐるタイ人留学生との問答集
http://inbound.exblog.jp/22471323/
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by sanyo-kansatu | 2013-09-25 21:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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