2013年 10月 30日

タイ人の中にはビザ免除がこのまま続くか心配している人もいるようです

昨日、都内の旅行会社で働くタイ人の友人とランチしました。お互いの職場が近いので、タイについて気軽に尋ねたいとき、ぼくはよく彼とランチするんです。

今回は、ぼくがタイでしこたま買い込んできた日本旅行に関する現地出版物を彼に見せて品定めしてもらおうと思ったからでした。

ぼくが買い込んだのは、ざっと以下のような書籍やムックです。その一部は以前本ブログでも紹介したことがあります(→タイで発行される日本旅行ガイドブックはよくできている(TITF報告その3))
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『東京ひとりぼっち』
東京に住んでいたタイ人が書いた本です。中国で売れている日本のイラストレーターのたかぎなおこさんの『ひとりたび1年生(第一次一个人旅行)』(なんと中国語版は100万部突破)と少し似ている世界です。でも、この本はタイ人ならではの視点でチョイスされた東京都内のさまざまなスポットが紹介されています。
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『東京ブリ―』
これは、『DACO』(http://www.daco.co.th/)というバンコクで発行されるフリーペーパー(日本語版とタイ語版がある)の編集部にいるタイ人のペーさんが約半年東京で過ごしたときに見つけた面白いスポット(食べ物屋が多いです)を紹介しています。タイ人はこんな店にも行くんだなあという意外な場所も出てきて興味深いです。彼らは日本食の世界が本当に好きなんですね。
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これが「DACO」のタイ語版です。毎回日本を紹介する特集を組んでいます。編集方針として、取材はタイ人スタッフがやっているそうです。編集長の沼舘幹夫さんは「タイ人自身が面白いと思うものを取材してこないと意味がない。日本人の視点とは違う発見がある」といいます。

そのせいか、全国の地方自治体からうちを取材してほしいというメディア招致の依頼がよくあるそうです。東日本大震災の直後、タイ人スタッフはすぐに福島に飛んで、この特集号を刊行したといいます。そういう機動性の高さや日本理解の深さから、タイのテレビ局の関係者もこのフリーペーパーをよく読んでいて、番組の企画に採用されることが多々あるといわれています。テレビ番組で局地的な人気が起こるタイの観光プロモーションには格好の媒体となっています。

さて、これらを見せたところ、東京在住の若いタイ人のひとりである彼は、『東京ひとりぼっち』や『東京ブリ―』の2冊に興味津々でした。「ぼくは昼間仕事をしているので、なかなか東京をひとりで歩く時間がないんです。でも、ぼくが学生だった頃に比べると、すごく詳しく東京のことが書いていあって、進歩していますね」とのこと。

そして、旅行会社の社員として訪日したタイ人ツアー客の世界をよく知っている彼は、以前紹介したタイ人女性カメラマンの書いた旅行ガイドブック『一人でも行ける日本の旅(Japan ญี่ปุ่น คนเดียวก็เที่ยวได้” )』を手に取り、ぺらぺらとページをめくりながら、こんなことを教えてくれました。
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「この本は本当によくできていますね。女の子らしいイラストがかわいいです。

この本には、青森とか一般にタイ人がツアーで行かないような地方都市が紹介されていることがすごいです。しかも、FIT(個人旅行者)向けにつくられていて、作者が泊まった安いホテルのことも写真入りで詳しく載っています。見てください。このホステルなんか、1泊1500円とありますよ。安いですね。布団のたたみ方や浴衣の着方、ウォシュレット付きトイレの使い方もイラストで紹介されています。タイのお客さんの中には本当にウォシュレットの使い方がわからない人もいるんです。

それから、ホテルの紹介文を読むと、『このホステルは3階建てだが、階段がないので大きなスーツケースを持ってくる人は要注意』とあります。親切ですね。目的地へのアクセスも、JRや路線バスなど公共交通機関を使う方法が書かれていますから、とても役に立ちます。ぼくはまだ47都道府県すべて行ったことがないから、こういう本があると便利です。きっとこういうのを“おもてなし”っていうんですね(笑)」

彼の話を聞きながら、タイ人というのは本当に細かいことによく気がつく人たちだなと思いました。「階段がないので、要注意」なんていうアドバイスは、まるで日本人に近い感覚があります。そういうタイ人の繊細さがガイドブックにも表れているのです。

今年タイ人の観光ビザが免除になって、これからどんどんFITも増えていくでしょうから、こういう本が生まれてくるのも当然というものです。それはちょうど1980年代、「地球の歩き方」が創刊されて、個人旅行者のためのガイドブックが量産されていった時代を思い出させます。

ところが、彼はふとぼくにこんな話をしました。

「でも、この先もタイ人の観光ビザ免除は続くのでしょうか。なぜなら、期限が書いてないからです。ビザ免除は今年だけで、来年は変わることはないですか?」

「えっ、どういうこと? だって、こうしてタイの訪日客が増えていて、日本もそれを歓迎しているわけだし、起源が書いてないのはむしろ今年だけではないってことじゃないのかな」

……タイ人の中にはビザ免除がこのまま続くか心配している人もいるようです。

ぼくはそんなこと考えてもいませんでしたから、彼の発言にちょっとびっくりしました。こういうところに現れるタイ人の用心深さや、日本に対する複雑な思いをあらためて知らされた気がします。確かに、以前ニュージーランドでタイ人に対する観光ビザ免除が停止されたケースもあり、いろんな思いがよぎるのかもしれません。

昨今の少々過剰といえなくもない日本のタイ訪日客誘致の盛り上がりも、こういうタイ人のデリケートな感覚を配慮したものであってほしいと思ったものです。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-30 09:35 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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