2013年 10月 30日

台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2)

台北国際旅行博(ITF2013)の会場の一画に中国本土の旅行関係者の出展するブースの集まるゾーンがあります。他のゾーンとの仕切りも特になく、来場者は同じイベントの一部だと思うのですが、なぜかそこは「海峡両岸 台北旅展」と呼ばれ、ITFとは別の入り口まで用意されています。
b0235153_10321898.jpg
主催は、ITFと同じ台湾観光協会と海峡両岸旅游交流協会の共催となっています。後者の組織については調べていませんが、ITFとはあくまで別企画という位置づけのようです。そのためか、ITFの制作した会場マップには、中国本土ゾーンだけ、出展者の配置図が書き込まれていません。なぜそんなことをするのか……。わざわざ「海峡両岸 台北旅展」としてITFとは別仕立てのイベントに見せようとする中国側の押しつけに対する台湾側の反発のようにも見えますが、どうでしょうか。

2日目の午前中、「海峡両岸 台北旅展」の中国本土ゾーンは気の毒なくらい閑散としていました。同じ時間、他のゾーンでは人ごみで身動きすら取れないほどだったのと比べると、いったいどうしたことなのか。
b0235153_10334858.jpg
b0235153_10335581.jpg
中国本土ゾーンを歩いてみることにしました。ぼくは中国国内のレジャーシーンの変遷をこれまでウォッチングしてきたので、基本的に関心はあるのです。

そこには、中国全土の省と直轄都市、旅行会社などのブースが並んでいました。一部ミャオ族の民族衣装の展示した貴州省や省内の観光地の写真パネルを並べた遼寧省など面白いものもありました。また上海市のブースでは、来場者に特典をふるまうイベントがあったときだけ、人ごみが見られました。
b0235153_1034231.jpg
b0235153_10343038.jpg
b0235153_10343716.jpg
とはいえ、全体的には、簡素なブースを並べただけで、ただのやっつけ仕事にしか見えません。

確かに、中国の観光プロモーションのクオリティは他のアジア諸国と比べても著しく低い(あるいは、やる気がない)というのは、JATA旅博やタイの国際旅行フェアの会場でも見られたとおりです。だとしても、スタッフすらいない状況というのは、どうしたものか。こんなんでやる意味あるの?

現地の関係者に聞くと、毎年そうなんだそうです。

「台湾人の海外渡航者の数では中国がいちばん多いのですが、ほとんどビジネス渡航。レジャーは少ないんです」

かつて(たとえば1980年代)「大陸探親旅行」といって本土にいる親族を訪ねる中国旅行が台湾で流行ったものですが、それも遠い昔の話。確かに、いまの中国は環境破壊の話題に事欠きませんし、観光地は国内客であふれ返り、のんびり外国人が旅行を楽しむ雰囲気ではなくなりつつあるかもしれません。台湾の人たちも、わざわざそんな混雑する場所に行くより、日本など海外に行ったほうがくつろげると感じているのかも。

実際、ある台湾の旅行関係者はこんなことを言いました。「いま台湾には中国本土客がたくさん来るので、国内の観光地は中国客だらけ。台湾人が海外に旅行に行きたがるのは、近場のレジャーでは彼らと出くわしてしまうため、それを避けたいからなんですよ」

なるほど。……というか、なんとも言い難い話ですね。

実際、中台間の航空路線は全土にくまなく張りめぐらされています。この大半はビジネス路線と考えられます。
b0235153_10361897.jpg
中台の複雑な関係が、実に見事に表れているともいうべき、「海峡両岸 台北旅展」でした。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-10-30 09:30 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


<< タイ人の中にはビザ免除がこのま...      来場者数が過去最高となった台北... >>