ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 01月 20日

靖国参拝は中国訪日客に影響を与えるか(ツアーバス路駐台数調査 2014年1月)

2014年の正月を迎え、このバス調査も3年目に突入しています。先日友人から「毎日調査するなんて大変ね」と言われたのですが、実はたいしたことではないんです。仕事場に通うのに必ず通る道すがら、信号待ちしながら路上駐車しているバスの台数を数えるだけのことですから。

とはいえ、たまに普段と違う客層が見られたり、何かの異変があったりしたときだけ、じっくりウォッチングすることにしています。訪日外国人旅行者と一口に言ってもいろいろ。最近は中国以外のいろんな国の人たちも現れるようになっているので、面白いのです。
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マスコミ報道によると、昨年秋ごろから「中国からの訪日旅行客が回復基調にある」(日本経済新聞2013年10月8日)といわれています。「東京や大阪の高級ホテルでは9月から利用状況が好転、中国人客が使うクレジットカード『銀聯カード』の日本での取り扱い額は過去最高を更新した」そうです。

もっとも、新宿に現れるバスの台数自体は尖閣問題が発生する直前の一昨年夏のピーク時に比べると、回復しているとは思えません。その理由として考えられるのは、「昨年9月の尖閣諸島の国有化以降、中国人の訪日客数は前年割れが続くが、富裕層を中心に持ち直しつつある」ことにありそうです。回復しているのは個人客が中心で、ツアーバスに乗ってやって来る団体客はまだというわけです。

ただし、最近では安部総理の靖国参拝が中国訪日客にどんな影響を与えるか、懸念されており、昨秋の状況とは少し空気が変わりつつあるとも聞きます。実際、今月上旬北京を訪ねた折、現地の旅行関係者にヒアリングしたところ、「(靖国の)影響がないとはいえない」とのこと。もっとも、それ以上に影響があるのは、中国政府による公務旅行に対する各機関への自粛通達だといいます。いわゆる習近平の「贅沢禁止令」です。

その一方で、大気汚染の中国から逃れたいという市民の思いを反映した「洗肺游」(肺を洗う旅行)や「逃脱PM2.5」(PM2.5からの脱出)などと謳われた海外旅行商品も販売されているそうですから、政府と民間の思いには相変わらず隔たりがあるようです。

さて、今月末にあたる旧正月(春節)に中国団体客は戻ってくるのでしょうか。今月もぼちぼちツアーバスはやって来ています。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。
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1日(水)未確認
2日(木)未確認
3日(金)未確認
4日(土)未確認
5日(日)未確認
6日(月)11:50 0台、17:50 1台
7日(火)18:20 1台
8日(水)12:40 2台 
9日(木)12:50 1台 18:00 2台
10日(金)未確認
11日(土)未確認
12日(日)未確認
13日(月)未確認
14日(火)12:30 1台
15日(水)未確認
16日(木)12:20 1台、18:20 2台
17日(金)12:40 1台、18:40 2台
18日(土)未確認
19日(日)未確認
20日(月)12:50 2台、19:20 3台
21日(火)12:10 3台
22日(水)12:40 1台、17:20 2台
23日(木)12:20 2台
24日(金)12:40 5台、18:40 5台
※来週は春節です。今日になってバスの台数が急に増えてきました。ここ連日、中国政府の報道官による対日批判が真っ盛りですが、中国客は日本を訪れているようです。昨年の春節のときとは少し様相が違っているように思われます。

中国の一般国民の皆さんからすれば、自国政府の自らを棚に上げた政敵批判の口汚さも空騒ぎも、もう慣れっこということなのかもしれません。

しかし、だからといって日本のメディアが訪日客の話題を盛り上げすぎると、かえって中国国内でのアンチキャンペーンに火をつけかねないので、そっとしておくほうがいいのではないでしょうか。中国の人たちもそれを望んでいるように思います。誰しも自分の好きなところへ海外旅行したいに決まっているのですから。そんなことをいちいち気にしなければならないなんて、おかしな話ですけど、中国の場合は仕方がないでしょう。

25日(土)未確認
26日(日)未確認
27日(月)12:50 3台、18:20 2台
28日(火)12:20 1台、18:00 1台
29日(水)12:30 3台、18:20 1台
30日(木)12:20 1台 、18:10 3台
31日(金)12:20 1台、18:10 6台
※今日は春節(中国の旧正月)です。お昼時はバスの数は多くはありませんでしたが、夕刻になると久しぶりに多くのバスが現れ、例の中国客専用食堂「林園」に入っていく姿が見られました。

では、今年の春節の中国客の海外旅行の全般的な動向はどうなのでしょうか。以下、最近のネットから挙げてみました。

靖国問題で訪日客激減も、日本観光の満足度は高水準
http://news.searchina.net/id/1521521
こんな記事がありました。中国メディアとしては、訪日客に靖国参拝の影響があると指摘するのはお約束でしょう。

春節客 めんそ~れ~ 国際線好調、ホテルも装飾(琉球新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140131-00000008-ryu-oki
それでも、沖縄への中国客はかなり増えているようです。昨年から話のあった中国LCCの吉祥航空の上海・那覇線が今日(1月31日)から就航するそうです。では、日本の本土への中国客は? 来月のJNTOの報告を待つことにしましょう。

JNTO外客動向プレスリリース(2014.1.17)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/pdf/140117_monthly.pdf
ところで、こちらは先日JNTOから発表された2013年度の訪日外客動向です。公開しているすべての国の訪日客数が前年度比で大幅な伸びを見せている中、唯一中国だけが-7.8%と減らしています。政治がこれほど鮮明に数字に出るマーケットというのは、やはり中国だけですね。

なお昨年まで大量の中国客が押し寄せていた韓国やタイへの渡航に減少傾向が見られるそうです。

韓国を訪れる中国人客が減少、中国の新旅行法でツアー商品数も半減
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140129-00000043-scn-cn

タイ情勢、観光業に打撃、旧正月連休控えた中国人からキャンセル相次ぐ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140129-00000038-rcdc-cn&pos=4
特にタイの場合は、新旅行法と政情不安のダブルパンチが効いているようです。昨年夏タイを訪ねたときは、バンコクやチェンマイにあふれていた中国人観光客の姿がめっきり消えたそうです。
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by sanyo-kansatu | 2014-01-20 17:47 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)


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