ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 04月 12日

インドシナ3カ国が接するゴールデントライアングル最新国境風景

タイ最北部の町チェーンセーンは、メコン河を隔ててラオスと国境を接しています。そこから西に10数キロ行くと、タイ、ミャンマー、ラオスの3カ国の国境が接するゴールデントライアングルがあります。もともとゴールデントライアングルは、周辺がケシの産地で、1970年代くらいまでは、いかなる国家も支配しない無法地帯でした。かつては中国国民党軍から独立したモン・タイ軍の司令官クン・サが支配していた麻薬の密造地帯だったのです。でも、いまではのどかな国際的観光地となっています。
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チェーンセーンはメコンのほとりの町で、人々はオレンジ色の川の流れをぼんやりと眺めながら暮らしています。川沿いには屋台やテーブルが並んでいますし、町の人たちも大樹の木陰に腰を掛けてじっと対岸を眺めている姿が見られます。大河のほとりに暮らす人々の日常ってそういうものなのだと思います。これと似たような光景を、中国とロシアの国境の町、黒河で見たことがあります。黒龍江(アムール河)沿いの町で、対岸との距離はちょうど同じくらいだったように記憶しています。
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さて、黒龍江の黒河でもそうでしたが、ここメコンのチェーンセーンでも、国境の河を遊覧する観光用のボートがあります。ただし、黒龍江では大型遊覧船しかなかったように思いますが、メコンでは個人用の遊覧ボートがあります。聞くと、約1時間のボートチャーターができるそうです。
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料金を聞くと、600B。数人でチャーターすれば安いものですが、せっかくここまで来てお金を惜しんでも仕方がありません。乗ることにしました。この看板にはライフジャケット着用と書かれています。
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人のよさそうなおじさんがボートを出してくれました。
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まず対岸のラオスに向かいます。3分も走ると、見えてきました。どうやら水上生活者の暮らす船のようです。
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粗末な小屋や船着き場も見えました。タイに比べると、ラオスの貧しさを感じます。
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そのうち、川べりで水浴びする子供たちを見かけました。こういうシーンはまるでセッティングされていたのではないかと思えるほど、旅人の眼を喜ばせてくれるのですが、たぶんラオスではふつうのことなのでしょう。中朝国境で見た鴨緑江で朝鮮の子供たちの水浴びする光景を思い出します。
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しばらくすると、おじさんは「いったんここで休憩。ラオスに上陸できるよ」と言いました。どういうことかな? と思っていたら、「Don Sao Hill Tribe Cultural Garden」と書かれたテーマパークらしい場所でボートを降ろされたのです。
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確かにそこはラオス領ですが、イミグレーションはありません。上陸すると、タイ人や欧米人の観光客がいました。
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とはいえ、そこにあるのは、山岳民族村というのは名ばかりで、ラオスの酒や土産品などが売られる店が並んでいました。
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またなぜか水牛が放牧(というのでしょうか)されていました。
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しばらく園内を歩いていると、おやおや…。女性もののバッグがたくさん並べられている店がありました。
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近づくと、やれやれ…。海賊品のブランドバッグです。
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ルイヴィトンだそうです。やったね、こりゃまた。
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しかも、こんなにたくさん! いったい誰がこんなものを買っていくというのでしょう。
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なんとも釈然としない気分でボートに戻ろうと川べりに歩いていくと、こんな看板が見えました。「老撾金三角经济特区(ラオス・ゴールデントライアングル経済特区)」と中国語で書かれています。なるほど、この山岳民族村は、中国の投資によるものだというわけです。海賊品が売られているのも、うなずけます。
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ボートはメコンの上流に向かって走り出しました。すると今度は、右手に(つまり、ラオス領に)王冠を被せたような奇態な建物が見えました。
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「あれっ、何?」。思わずおじさんに尋ねると、「カジノだよ」といいます。

なぜこんな場所にカジノがあるのか。ふとミャンマーと中国の国境にもカジノがいくつもあるという話を思い出しました。中国国境に近い北朝鮮の羅先にも香港資本のカジノがあります。来場者は当然中国人です。だとすると、ラオスでも同じことが…。
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そのうち、ボートはタイ側に寄り、ゴールデントライアングルの黄金のブッタのそばを走りました。
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これもこれで奇態な眺めではあります。タイ人というのは、本当にこういうキンキラキンが好きですね。
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さらに、ボートはミャンマーに向かって進みます。咥え煙草のおじさんの表情はなかなかいかしていますが、その向こうに見えるのは、ミャンマーのこれまたカジノだそうです。
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カジノの前でちょっと休憩。欧米客を乗せたボートがいます。このカジノには、ここから西に向かったタイ最北端の町メーサーイにあるミャンマーのイミグレーションで入域許可を取れば行けることを後で知りました。

おじさんは言いました。「ここはタイ、ラオス、ミャンマーの3カ国が接する場所。中国までは265kmある」。

ボートはここで折り返し、チェーンセーンに戻ることになりました。なるべくラオス寄りを走ってくれとおじさんに頼んだので、先ほど見た王冠のような建物を一部間近で目視することができました。
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「金三角经济特区欢迎你(ゴールデントライアングル経済特区はあなたを歓迎します)」と書かれていました。
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カジノの隣のホテルの名は「金木花园酒店(Kapok Garden Hotel)」とあります。
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今回のボートクルーズのコースが早わかりできる地図があったので載せておきます。スタート地点は地図の南にあるチェンセーン。まずラオス側に向かい、山岳民族村を訪ねて上陸したたわけですが、そこは島だったのですね。それから、タイ側に戻り、HUGE BUDDHAの近くを通り、メコン河が支流に割れるポイントまで来ると、そこがタイ、ミャンマー、ラオスの国境が交わるゴールデントライアングルです。ミャンマー領のカジノは、パラダイスホテルという名前のようです。

ゴールデントライアングルは、過去の歴史をすっかり忘れたかのように、いまや平穏そのもの。ラオスとミャンマー両方に中国のカジノが建てられているというのが、今日の時代を象徴しているというべきなのでしょうか。

翌日の朝、ぼくはラオスのカジノを訪ねることにしました。その話は別の機会に。

ゴールデントライアングルの中国カジノに潜入してみた
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by sanyo-kansatu | 2014-04-12 23:11 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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