人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ
2014年 05月 27日

上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)

前回、上海旅游博覧会(WTF)の会場の様子をざっくり紹介しましたが、そこでも述べたように、全体として他のアジア各国の旅行博覧会に比べ派手さはなかったものの、販売ブースはそれなりに活況を呈していました。

なかでも目立ったのが、クルーズの販売です。昨年さっぱり姿を見せなかった上海発クルーズ船も、今年は福岡などを中心に九州各地を寄港しています。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9393490.jpg

これは6月30日発サファイア・プリンセス号のセールスボードです。済州島、福岡、長崎を寄港する5泊6日のクルーズで、上海中旅国際旅行社が販売しています。料金はデラックスルームで1名8999元。会期中1部屋4300元のディスカウントをうたっています。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9401019.jpg

これは7月17日発の同じくサファイア・プリンセス号の広告です。上海錦江旅行社の販売で、1名7880元からとあります。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9404898.jpg

7月1日発4泊5日で済州島、福岡に寄港するコスタ・アトランティカ号の広告です。市場価格は4200元からですが、この広告を出しているネット旅行社の驴马马旅游网のスペシャルプライスは隠されています。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9413932.jpg

コスタ・クルーズ社の86日間の世界一周クルーズも大々的に販売されていました。ここには料金が表示されていませんが、春秋旅行社のちらしによると、12万9999元(約220万円)からとのことです。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9421034.jpg

コスタ・クルーズ社の世界一周クルーズは上海市内の街場の旅行会社の店舗でも販売されています。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9432262.jpg

極めつけは、セレブリティ・インフィニティ号の22日間南極クルーズです。上海からブラジルに飛び、イグアスの滝など数日間ブラジルを観光した後、南米各地を寄港しながら南極を訪ねるものです。上海東航国際旅行社が販売していました。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9434243.jpg

クルーズ各社のブースも出展していました。まず人気のプリンセス・クルーズ社です。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9435397.jpg

台湾と那覇の定期クルーズを運航しているスタークルーズ社です。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9441244.jpg

ネット旅行会社によるクルーズ販売ブースもありました。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9444262.jpg

会場にはクルーズの特設イベント会場が設置されていて、30分おきに各旅行会社やクルーズ会社によるPRや懸賞イベントが繰り広げられていました。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_945242.jpg

上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_9451917.jpg

ここ数年、上海WTFでは展示会というより販売色が強くなっているようですが、いまの上海の旅行会社のファーストプライオリティはクルーズ販売です。

上海のクルーズ人気について、日本政府観光局(JNTO)上海事務所の中杉元氏は「上海発のクルーズは4泊5日で韓国や九州を寄港するものが主流です。人気の理由は、寄港地でのショッピングが楽しめること。祖父母と親子3世代のファミリーが気軽に参加しやすいこと。船が大きくボリュームがあるぶん料金が安いことにある」といいます。

上海発のクルーズは3つのランクに分かれていて、スタンダードな価格帯は4泊5日で5000元が相場のようです。この手ごろな価格が人気の理由です。飛行機やバスで移動し続ける旅行は、シニアや子供連れでは大変ですが、クルーズは寄港地での岸上観光以外はのんびり船上で過ごせることで、海外慣れしていない層も参加しやすいのでしょう。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_11383083.jpg

これはコスタクルーズ社が発行している小冊子(出行指南)です。時間帯ごとに服装を替えるようイラストで提案しています。
上海の海外旅行市場の大衆化を象徴するクルーズ人気(上海WTF2014報告その2)_b0235153_1140311.jpg

これは上海の情報誌「Time Out」2014年5月号に掲載されていたマリナー・オブ・ザ・シーズの紹介記事です。同船は今年2回日本に寄港する予定です(6月19日発:福岡、長崎、10月21日発:境港、福岡、長崎)。

上海のクルーズ旅行市場を見ていると、日本では海外旅行といえば、飛行機に乗るものと相場は決まっていますが、それは島国という地勢上の要因からくるものにすぎないことにあらためて気づかされます。いまでこそ日本でも「フライ&クルーズ(特定の寄港地まで飛行機で飛んで、短期間のクルーズを楽しむ旅)」や「格安クルーズ」も商品化されていますが、もともと豪華なイメージがつきものでした。

一方、上海では海外旅行市場の大衆化を象徴しているのがクルーズ旅行といえそうです。つまり、上海では初めての海外旅行がクルーズというケースもかなり一般的なのです。確かに、東シナ海の中心に位置する上海は、数日間で周遊できる周辺国の寄港地がいくつもあり、バリエーション豊かなコースをつくることが可能です。

上海発のクルーズ船の多くは欧米のクルーズ会社によるものです。ポテンシャルの大きい上海市場が注目されているのは当然でしょう。主なクルーズ船は以下のとおりです。

「コスタ・アトランティカ」(伊)
http://www.costachina.com/B2C/RC/Default.htm
http://www.cruiseplanet.co.jp/ship_date/dt_costa_atlantica.htm

「ダイヤモンド・プリンセス」(英)
http://www.princess.com/learn/cruise-destinations/asia-cruises/
http://www.princesscruises.jp/ships/diamond-princess/

「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」(英)
http://www.rcclchina.com.cn/
http://www.cruiseplanet.co.jp/ship_date/dt_vy1.htm

「セレブリティ・ミレニアム」(米)
http://www.celebritycruises.com/home
http://www.cruiseplanet.co.jp/ship_date/dt_cel_millennium.htm

なお上海発クルーズで最も多い日本の寄港地は福岡。次いで、鹿児島、那覇、長崎の順です。今年の寄港スケジュールは以下を参照ください。

博多港
http://port-of-hakata.city.fukuoka.lg.jp/guide/cruise/index.html

鹿児島港
https://www.pref.kagoshima.jp/ah09/infra/port/minato/cruising/h26nyukouyotei.html

那覇港(那覇港管理組合)
http://www.nahaport.jp/kyakusen/nyuukouyotei2014.htm

長崎港
http://www.jopa.or.jp/port_detail/nagasaki.html

by sanyo-kansatu | 2014-05-27 09:52 | “参与観察”日誌


<< 2014年の中国人の海外旅行、...      バンコクや台北に比べて地味だっ... >>