2014年 06月 15日

金剛山の最適な探勝シーズンは10月上旬。紅葉の美しい絶景が見られるそうです

昭和9(1934)年9月に刊行された「朝鮮旅行案内記」(朝鮮督府鉄道局)の「金剛山案内」と題された章の中には、この地をいつ訪ねるべきかについて詳しく解説されているページがあります。

「金剛山の自然美は四季の變化に伴ふ山容も自ら異り各々特徴ある風景美を以て探勝者を喜ばせ、詩歌に繪畫に其の藝術的詩情を多分に現はしている。金剛山の探勝は一年を通じて探勝に差支へなく鐵道局でも之等探勝客の便を圖つて年中各驛から割引乗車券を發賣しているが毎年五月一日から十月末日までは金剛山探勝に最適の時季であるので山内の宿泊、交通機関を整備せしめ、汽車自動車の連絡を圖ることになっている」

金剛山の登山シーズンはいつなのか。その答えは、「五月一日から十月末日」です。金剛山は「四季の變化に伴ふ山容も自ら異り各々特徴ある風景美」を見せるといいます。

そこでは、月ごとの山容の微妙な変化をていねいに描き分けています。

「五月 峰も溪も潭も一様に美しい濃淡の若葉に蔽はれた所謂新緑の探勝季である。

六月 翠緑濃やかな山峰は碧潭、深淵の清らかな水に映じて初夏の鮮麗な山水美が見られる。

七月 例年七月上旬から雨季に入るのであるが、變化極りない雲の躍動は山容に一層の勇壮さを加へ渓流は水勢鞺鞳として豪怪な觀を呈する。

八月 強い陽光を受けて碧空に聳ゆる奇鋒、碧水を湛へた悽艶な渓谷の深淵等の景致は何れも盛夏ならでは味ふことの出来ない情趣である。八月も末になるとはや秋風が吹いて朝夕は餘程涼しくなる。

九月 樹間を透して吹き来る涼風は柔かく肌身に觸れて探勝者に氣持よい感を與へる。秋特有の青澄な空に浮き出た峰巒は殊に美しい色彩をなし、九月の末には内金剛地方は早くも紅葉を呈する。

十月 上旬から中旬にかけて金剛錦繡紅衣に彩られ金剛山探勝に最適の時季で、例年内金剛の見頃は外金剛より幾分早く十月五、六日前後、外金剛は十日前後が酣である。下旬になると涼氣も餘程身に沁み毘慮鋒頂では岩間の水は既に氷結している。愈々探勝の好季節も終わりを告げて全山冬眠に入るのである。

十一月から翌年四月まで 十一月に入ると気温頓に低下して金剛風が吹き初め全山概ね落葉して岩骨を露出し、雲さへ降って皆骨金剛の豪怪な山容を現出する。十二月神秘な冬の粧ひをなし、毘慮鋒では例年積雪丈餘に及んで壮快なるスキー登山が出来る。又山麓の温井里は温泉とスキー場があるので年末年始にかけての休暇を利用し出掛けるものも多い。積雪は大概二、三月頃まで残り、年によっては三月下旬までスキーも出来ることもあるが流石四月に入れば概ね解けて草木も永い冬眠より甦り春の季節を待つこととなる」

最適のシーズンは10月上旬。紅葉の美しい絶景が見られるそうです。昨年ぼくが訪ねたのは8月下旬でしたが、「強い陽光を受けて碧空に聳ゆる奇鋒、碧水を湛へた悽艶な渓谷の深淵等の景致」という表現は、なるほどと納得したものです。

秋に金剛山を訪ねたことのあるという友人のひとりは「紅葉の美しさは、日本でも見たことがないほどの素晴らしさだ」と語っていましたから、もし次回行く機会があるなら10月上旬にすべきだと思いました。

冬は木々がすべて落葉し、花崗岩の岩肌が露出して迫ってくるようなんですね。「豪怪な山容」との記述がありますが、「豪快」」ではなく「怪」の字を使っている理由も、なんとなく想像できます。現在、外金剛ホテルなどの宿泊施設のある温井里には、温泉とスキー場があったと書かれていますが、いまでも温泉施設はあります。

四季によってこんなに風景が変わる金剛山。「因に四季各々自然の變化によって金剛の山水美を讃へたものに春を「金剛」夏を「蓬莱」秋を「楓岳」、冬を「皆骨」と称する別名がある」そうです。

「朝鮮旅行案内記」(朝鮮総督府鉄道局)国会図書館近代デジタルライブラリーより
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1234893/189
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by sanyo-kansatu | 2014-06-15 09:59 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)


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