ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 12月 30日

いま中朝国境で最もスリリングな遊覧ボートの旅(天逸埠頭)

このおばさんたちはモーターボートに乗ってどこに向かっているのでしょうか? ちなみにこの皆さんは、お子様も含めて韓国から来た観光客です。
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答えは、中朝国境を流れる鴨緑江を遊覧するボートです。
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場所は、遼寧省丹東市の郊外、寛甸満族自治県の天逸埠頭です。万里の長城の東端といわれる虎山長城から鴨緑江上流に向かった場所にある遊覧ボート乗り場ですが、ここの売りは、いま中朝国境で最もスリリングな遊覧体験が楽しめることでしょう。

なぜなら、天逸埠頭の遊覧コースは、鴨緑江流域の朝鮮領の中洲の内側を航行するため(つまり、入国ビザなしで完全に朝鮮領内に入るのです)、朝鮮の民家や労働者を間近で見られるうえ、さらには満洲国時代に造られたという軍事港湾施設(北朝鮮領)のすぐそばまで行けるからです。中国国内客だけでなく、香港や台湾、韓国客の姿も多く見かけます。

8人乗りのモーターボートに乗って国境観光に出掛けることにしました。ボートは中州の内側に向かいます。
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団体客は遊覧船に乗ることもできます。
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だんだん対岸の朝鮮領に近づいてきました。
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山の斜面に畑も見えます。
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そして、北朝鮮の港湾施設が見えてきました。
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さすがは戦前期の建造物らしく、かなり老朽化していますが現役です。
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あっ、北朝鮮の女性兵士の姿が見えます。
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中国客たちが不埒にも「こっち向いてえ」と声をかけると、ちらりと彼女は振り向いてくれました。それもそのはず、中国側から事前に朝鮮側にお金が渡っていて、彼女もそこで待機しているのだとか。よくぞまあ……。でも、たいていの中朝国境遊覧ボートはそんなものです。実際、なんの見返りもなく、軍が観光客の相手をしてくれるはずはありません。逆に見返りさえあれば、それなりの対応をするということでもあります。観光とは、常に利益の交換で成り立っているのです。
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港湾施設を離れ、対岸の中州に向かいます。
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近づくと、民家が見えてきました。前に丈の高いトウモロコシが植えられ、屋根が見えるだけですが、オレンジ色の瓦に白いしっくいのラインが見える。朝鮮家屋です。
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どうやらこちら岸にも朝鮮の兵士がいるようです。ボート客が船を停め、兵士と会話しているようです。
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あっ、手を振ってくれました。よく観光客が煙草を投げてよこしたりするようです。この程度のことは大目にみてもいいだろう。それがこの国境地帯の流儀のようです。
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なおも中州に沿ってボートを走らせます。
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塔のようなものが見えてきました。よく見ると、対岸に綱が伸びていて、物資を運んだりするのに使うようです。
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しばらく進むと、山羊飼いが現れました。子供や農家のおばさんの姿も見えます。やがて中州を離れ、ボート乗り場に戻ると、終了です。
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はてさて、わずか20分ほどのボートクルーズですが、自分はいま完全に北朝鮮領内にいる。ここでもしボートから落ちたりしたら……そんなことを夢想しながら、スリリングな気分に浸れることうけあい!? です。

ボートを降りると、朝鮮の人たちにモノをあげるなとか、写真を撮るなとかいった規則があることを知りました。観光客は誰もそれを守っていないのですが。
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確かに、中朝関係が今後極度に悪化したり、この国境地帯で人身事故や朝鮮人と観光客間のトラブルでも起きたりしたら、すぐに問題となり、先ほど述べた流儀もご和算になることでしょう。でも、ここではそういう事態は誰もが望んでいません。望まない以上、何もなければそのまま流儀は継続されるはずですが、必ずそうなるとは限らないのが「法治」とは異なる力学で社会が動く中国であり、朝鮮です。もしこの国境観光に興味のある方は、早めに体験しておくことをおすすめします。ある日突然、営業停止されてしまうかもしれないからです。

そして冒頭でも書きましたが、ここでは韓国の子連れの観光客のような皆さんがふつうに楽しんでいるのです。彼らのある種の不用意さは、今年韓国社会で起きた一連の出来事から、いろいろ心配に思わないではいられないところもある。一般の日本人なら、こんな場所に子供を連れて行くなんて信じられない、というところでしょうが、彼らにとってはそこは同胞の地である朝鮮、距離感が我々とは違うのでしょうね。この感覚の違いを知っておくことは、東アジアで起きてることを理解するうえで、けっこう大事な気がします。
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丹東駅前には、天逸埠頭の遊覧ボート乗り場まで案内してくれる三輪タクシーが停車しています。市内から約40分。営業は6月~10月のみです。ちなみに、8人乗りモーターボートのチャーター料金は300元でした。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-30 17:19 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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