ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 01月 02日

朝9時半、綏芬河駅にロシア人が大挙して現れる、の巻

「露語で『国境に沿ふ町』を意味するポグラニーチナヤは、單に北鐡東部線(現名綏芬河線)の終点であると言ふばかりではなく、國境驛として特異な風格を持っている。
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人口約一万、大部分は露人と滿人で、鮮人がこれに次ぎ、日本人も六百人位住んでいる。町は山の斜面に建てられ、その中央には全市をしろしめすかのようにロシア正教寺院の尖塔が聳え、如何にも典型的な露西亜式の『山の町』を成している。

日、蘇の領事館はじめ、両國の税關、滿洲國國境警備隊もあり、滿洲里との間に一週三回往復する北鐡國際列車が着發する日には、蘇聯邦の方から鳥鐡(ウスリー鐡道)の列車も連絡のために本驛に進入して来る。

北鐡の接収によって、ポグラニーチナヤの驛名は永久に解消され、滿洲名の綏芬河だけが残る事になった」(「満洲グラフ」1935(昭和10)年5月号)

昨年7月、中ロ国境にある黒龍江省の綏芬河を訪ねました。

朝9時半、綏芬河(旧ポグラニーチナヤ)駅の降車出口にロシア人が大挙して降りてきました。
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大人から子供までいますが、やはりロシアの若い女の子たちの快活な姿は、中国の辺境のまちを華やかにしてくれます。
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皆さん、大きなバッグやスーツケースを手にしています。彼らは中国のお隣の極東ロシアからやって来たツーリストです。
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彼女らの頭の中は、さぞや滞在中の買い物や食事のスケジュールのことでいっぱいでしょう。
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しばらくすると、皆さん駅前で待っていたバスに分乗して市内のホテルに消え去りました。
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2014年7月中旬午前9時半、綏芬河駅にて(動画)
http://youtu.be/7H7ciL_w3vg
http://youtu.be/K5dvycowSIc

綏芬河の都市建設は、20世紀初頭の東清鉄道の敷設に始まります。ロシアはハルビンからポグラニーチナヤ(綏芬河)までの鉄道建設を着手しましたが、その後、日露戦争や満洲国成立を経て日本の管理下に編入されていきます。前述のグラビア記事は、まさにその直後に書かれたものです。

そして、これがそれから80年後の中ロ国境のまち、綏芬河の姿なのです。

万年モノ不足で悩まされている極東沿海地域に住むロシア人たちが中国東北地方に大挙して現れるようになったのは、1990年代の後半くらいからのことです。

背景には中ロの経済逆転があります。その事実に気づいたロシア人エリートたちは当時、相当ショックを受けたそうですが、一般のロシア市民にしてみれば、国境を越えた先に、こんなに安くてモノが豊富な場所があれば、迷わず足を運ぶことになるのは当然だったでしょう。

こうして綏芬河は、ただの中国の辺境の地からロシア人ツーリスト仕様のにぎやかなまちになりました。もともとロシアが建設したまちに“出戻り”を始めたロシア人たちと商機を求めてこの地に集まってきた中国人がこのまちの主人公なのです。

昨夏見た綏芬河のまちの様子については、次回ご報告します。

「典型的な露西亜式」綏芬河の歴史的街並みを歩く
http://inbound.exblog.jp/23961267/

※実はあとで綏芬河駅の時刻表を確認したところ、9時半に到着する列車は大連発ハルビン経由であることが判明しました。つまり、この写真に写っているロシア人ツーリストは、大連またはハルビンなどをめぐるツアーに参加し、ロシア帰国前の最後の目的地として綏芬河に到着したものと考えられます。実際、大連は金石灘のような海水浴場もあり、ロシア人に人気だという話もウラジオストクで聞きました。綏芬河からだと国際バスでロシアに戻ることも簡単なので、ここで降車するのでしょう。いずれにせよ、皆さん買い物するならやっぱり綏芬河なのです。その様子は以下を参照ください。

綏芬河にはロシア人ツーリストがいっぱい
http://inbound.exblog.jp/23961594/
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by sanyo-kansatu | 2015-01-02 23:55 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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