ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 02月 06日

バックパッカーのまち、蔵前で見つけたおしゃれな外国人宿

先週の某日の午前中、ある会社を取材するために、台東区の蔵前を訪ねました。
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11時過ぎに取材を終えて、隅田川に並行して走る江戸通りの都営浅草線蔵前駅前あたりに立ったとき、まだお昼には少し早く、「孤独のグルメ」の井之頭五郎さんのような気分になって、このまちを歩いてみたくなりました。理由は、1年前にNui. Hostel & Barという外国人ツーリスト向けの安宿を訪ねたことがあり、この界隈がバックパッカーのまちだという噂を知っていたからです。

とはいえ、その時点ではNui以外になんの情報もなく、どちらに向かって歩いていけばいいのやら……と立ちつくしていると、目の前にしゃれたステーショナリーショップのような店があります。
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そこは「KONCENT」というデザイン雑貨のセレクトショップでした。

詳しくは同ショップのサイトを見ていただければわかりますが、アッシュコンセプトというデザイン会社が制作したアイテムをメインに国内外のデザイン雑貨を販売しています。仕事先に書類を送る際、ちょこっとしたメッセージを書き込んでしのばせておくようなメモ書きがほしかったので探してみましたが、地に真っ赤なバラがあしらってあったり、五線譜が印刷されていてステキな感じなのに細長すぎて使いにくかったりと、少々斬新すぎて実用には不向きというものが多く、残念ながら購入に至りませんでした。でも、また来たくなる店でした。

KONCENT REAL SHOP
http://www.koncent.jp/

レジの下にこの界隈のエリアマップが貼られていました。飲食店やショップが地図に落ちています。これはいい。「これ、もらえませんか」とショップの女の子に尋ねると、「すいません。この地図はすべてなくなっちゃったんです」とのこと。「だったら、写真撮ってもいい?」と聞くと、「ええ、どうぞ」と言われたので、撮りました。実際は浅草方面も含むもっと広域の地図なのですが、さすがに今日は時間もないし、そこまで歩くつもりはないので、近場に絞って撮ったのがこれです。
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白地に赤の数字が飲食店で、赤字に白抜きの数字がショップなのですが、ずいぶんいろいろあることがわかります。

さて、どこから訪ねてみようか。地図をみると、「バックパッカーズホテル ケイズハウス東京」とあります。ここはやっぱりバックパッカーのまちなんですね。覗きに行ってみよう。散策開始です。

ゲストハウスの手前に蔵前神社がありました。ビルの谷間にぽっかりと存在している涼しげな空間。現代の日本らしくて、外国人にとっても面白いのではないでしょうか。
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これがケイズハウス東京。ホテルの前には欧米系の女の子ふたり組のバックパッカーがいました。なるほどね。
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外からじろじろ見ているだけだとかえって怪しいので、思い切ってホテルの中に入ってみました。小さなフロントとロビーがあって、若い外国人ツーリストのみなさんがいっぱいいます。

ホテルの女性スタッフが顔を出したので、「あのぉ、こちらのゲストハウスはいつごろオープンされたのですか」とぶしつけに尋ねると、「2006年です」と言って、ホテルのブローシュアを手渡してくれました。それをみると、都内にもう1か所と京都や富士山、高山、広島など全国9か所に系列ホテルがあるようでした。料金はドミトリーで2500円前後から。

「どこの国からの旅行者が多いんですか」。この際、ずうずうしく聞いてしまいました。「時期によっても違うんですが、いまは韓国とオーストラリアが多いですね」。確かに、ロビーには欧米系とアジア系の旅行者がぞろぞろ同居していましたが、大半はその両国のみなさんのようです。「ぼく日本人で、泊まるつもりもないのに、すいませんね」と、いまさらながら言い訳すると、「たまによくそういう方来られるんですよね。大丈夫ですよ」と笑って返してくれました。

バックパッカーズホステル ケイズハウス東京
http://www.kshouse.jp/tokyo-j

さて、この界隈を歩いていると、どうしても目に留まってしまうのが、ベーゴマや凧、けん玉などの懐かしのおもちゃを並べた古いお店です。こういうのが何軒もあります。
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ネットで調べたところ、この界隈は昭和30年代頃から玩具問屋を中心に発展したまちで、「東京下町問屋街」と呼ばれているそうです。以前は玩具や文具、花火などのお店が中心でしたが、いまはビーズや装飾品、手芸など雑貨系のお店も加わり、その筋では知られているとか。
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以前、都内の地下鉄に日本に旅行に来ていた欧米人の家族が乗り込んできて、小学校の高学年くらいの男の子の背中におもちゃの日本刀が指されていました。「これは絶対忍者になりきってるな…」と思いましたが、彼にこのまちのことを教えてあげたくなります。浅草寺の仲町で売られているみやげの一部は、ここから仕入れられているに違いありません。
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こういう昨年流行った型落ち的なグッズを見かけるのも、いかにもな感じです。

昭和の子どもたちを夢中にさせた野球盤のゲームで有名なエポック社もありました。
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東京下町問屋街
http://www.tonya-gai.com

実は、この界隈には近年、若手のクリエイターが集まり、彼らの工房兼ギャラリーショップも増えていて、「カチクラ」(御徒町と蔵前の頭から採った造語)と呼ばれるものづくりのまちとしても注目されているそうです。冒頭の「KONCENT」も、このまちを代表するスポットのひとつです。

「KONCENT」の入居しているビルも、元玩具問屋だったとか。江戸時代からものづくりのまちとして知られた台東区らしい変身ぶりが面白いですね。

歴史という意味では、1984(昭和59)年9月場所千秋楽を最後に閉館された蔵前国技館があったのもこのまちです。蔵前国技館は1954(昭和29)年9月以降、昭和の相撲黄金期の舞台でした。跡地は現在、東京都下水道局の処理場と「蔵前水の館」になっています。

さて、江戸通りをはさんで元国技館のあった隅田川沿いに足を運ぶと、一軒の老舗風食堂をみつけました。「ぶためし」と貼り紙があります。やっぱり下町のお昼はこの手の店だろうと思って入ってみると、ラーメン屋さんでした。ちょっと意外。
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中はそこそこ混んでいました。券売機の前にふたりの女の子がいて、メニュー選びに思案している様子です。そのあとに並ぼうとすると、ひとりの子が「ワタシ、漢字読めないんです」と日本語で言って、ぼくに先を譲ろうとします。ん? 彼女、どうやら外国人のようですが、「漢字が読めない」ってことは? 「まあまあそう言わず、あなたたちが先なんだから」とかなんとか、そんなやり取りがあって、たまたま空いていたのが、彼女たちの隣の席だったので、「どこの国から来たの?」。そう日本語で聞くと「韓国です」。やっぱり、そうなんだ。

彼女たちは韓国の光州から来たそうです。1週間ほど、東京を旅行するとか。「お泊りは?」と聞くと、これからぼくが訪ねようと思っていたNui. Hostel だそう。「このホテルは韓国でとても有名です。値段が安いのに、とてもきれいでおしゃれだから」「へえ、そうなんだ」「ドミトリーにいるの?」「へへへ、そうです」。

この店の人気メニューがラーメンとぶためしのセットでした。かなりのボリュームです。背脂系っていうんですか、すごいこってりスープです。あとでネットで調べたら、人気店のようでした。
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元楽
http://www.genraku.com

彼女たちも同じメニューをチョイスしていたので、「これ女の子には量が多いね。食べられる?」と聞くと、「もちろんですよ」。こういう返しはいかにも韓国の人らしいですね。なんだか面白くなったので、「写真撮ってもいい?」と聞くと、「もちろんですよ」でカシャ。左の彼女はポーズを決めてくれました。
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食事を終え、ふたりと別れると、Nui. Hostel を覗きに行きました。客室の窓に布団を干してる光景は安宿らしくていいですね。

冒頭の写真は1階のラウンジで撮った欧米のカップルですが、先ほどの彼女たちが言うように、宿泊客には韓国人が多そうです。
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Nui. Hostelについては、ネットにいろいろ書かれているのでそれに譲るとして、このスペースではライブもやってるそうです。
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Nui. Hostel & Bar
http://backpackersjapan.co.jp/nui/

コーヒーを頼んでしばらくのんびりしていると、ベビーカーを押したママさんふたりがお茶を飲みに来ました。なるほど、ここは外国人ツーリストだけでなく、ご近所の住人も遊びに来るんですね。青山とか六本木でもないのに外国人がいっぱいたむろしている独特の空間……。なんとなく気持ちはわかります。

蔵前はすっかりバックパッカーのまちになっていました。でも、玩具問屋や人気ラーメン店、おしゃれな雑貨屋などもあり、個性的なまちです。今度時間がもっとあるとき、じっくり歩いてみようと思います。

最後に極私的に気に入った店を紹介します。ちょっと話の流れからはズレるようですが、江戸通りに面して古色蒼然たるたたずまいを見せていた古本屋です。
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「浅草 御蔵前書房」。「大江戸、大東京関係、相撲文献」の専門店だそうです。
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そこで一冊の古本を見つけてしまいました。少々値のはる買い物だったのですが、「大東京の魅力 名所名物案内」。1935(昭和10)年刊行の東京のガイドブックです。
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実はこの本、いまから80年前に書かれたものですが、訪日外国人を意識した内容になっています。のちに戦争で中止となってしまうまぼろしの東京オリンピックを控え、これから日本の首都、東京をPRするぞ、という案内書です。ちょうどいまの東京と似た気分があふれていて、興味深いです。内容については、後日また。
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by sanyo-kansatu | 2015-02-06 05:14 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)


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