ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 04月 03日

今年、45年ぶりに訪日外国人数は出国日本人数を超えるだろうか?

連日、花見に訪れる中華圏を中心とした外国人旅行者のニュースが報じられています。

今日の朝刊にも「中国人客に臨時ビザ 『花見で訪日』急増 用紙切れ懸念」(朝日新聞2015年4月3日)とあり、いったいどういうことかと思ったら、中国の日本国大使館と総領事館が「(桜や富士山をあしらった色刷りの通常のビザ用紙ではなく)3月11日から図案のない臨時ビザを用意した」ということでした。

何か特別な措置でビザを臨時に緩和した、ということではありません。訪日客急増で事前に用意していたビザ用紙が足りなくなったという話でした。それだけ増えているぞ、ということを強調したかったのでしょう。

同紙によると「訪日観光に必要なビザの発給数は昨年から『未曽有の増加傾向』(外務省領事局)が続く。同省の統計によると、今年3月に観光ビザで来日した中国人は昨年3月の2・5倍にあたる約26万8千人。昨年1年間の約152万人に対し、今年1~3月だけで約69万人が訪れている」といいます。

ここで言及されている数字は観光ビザで訪日した中国人の数です。つまり昨年の訪日中国人数が約240万人でしたから、観光ビザによる訪日が152万人だとすれば、残りの約90万人は公務や民間のビジネス出張、在日中国人や留学生の往来、親族訪問などだったわけです。もちろん、今年はこうしたもとより日本となんらかの縁がある中国人の往来も増えているには違いありませんが、それをはるかに上回る勢いで、日本は初めて、またリピーターとなって訪日旅行を楽しむ観光客が増えているということでしょう。

おかげで「百貨店・ホテル、商機」(朝日新聞15年3月31日)ということですから、ありがたいことだと思います。先月18日に日本政府観光局(JNTO)がリリースした訪日外客動向をみると、ちょっと気が早いですけど、今年はついに訪日外国人数が出国日本人数を超えるかもしれない、と思ってしまいました。もしそうなれば、1970年以来の45年ぶりのことです(※1970年の訪日外国人数85万4419人、出国日本人数66万3467人。翌71年以後は出国日本人数のほうが多い)。

今年1~2月の訪日外客数
260万5400人(前年比42.8%増)
同 出国日本人数
250 万人(前年比6.0%減)

http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/pdf/150318_monthly.pdf

2014年の訪日外客数1341万3467人に対して、日本人出国者数1690万3388人でした。その差は約350万人。まだ少し開きがあるように思えますが、今年1~2月の前年比の伸び(42.8%増)がこのまま続くとしたら訪日客数は1800万人台となり、円安の影響もあり、この3年間微減が続く出国日本人数を超えるでしょう。

実は、単月であれば、昨年4月、訪日外客数の日本出国者数超えは起きています。それが年間通じて起きるとすれば、日本社会にとってかなり大きな意味をもつと思っています。日本国内の交通や宿泊のインフラに対する考え方や施策を根本的に見直していかなければならないことになるからです。もう日本人だけが国内のインフラを利用する時代ではなくなっているのです。さらにいえば、これは外交にも少なからず影響を与えていくものと思われます。

はたしてそんなことが今年早くも起こるのか…。個人的にはとても気になるところですが、ネットをみていると、この問題をわざわざ隣国との比較・競争という観点から論じたがる人もいるようです。

日韓「外国人観光客数」競争で日本が7年ぶりに韓国を逆転
http://blogos.com/article/108579/

この寄稿では、ここ数か月で、日本の外国人入国数が韓国のそれを抜いたことをふまえ、現在の日中韓3か国の観光人口動態についてこう指摘しています。

「韓国は中国からの観光客が昨年は612万7千人ともっとも多く、外国人観光客全体の4割強を占めています。かなり中国頼みといえます。
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しかし、中国からの観光客数が急増する春節の2月に、日本にはその中国から昨年の2月の2.6倍の36万人が殺到していたので、中国からの観光客の一部を日本に奪われ始めているのではないかと思われます。

しかも、韓国から訪日する観光客は増加してきているのに対して、日本から訪韓する観光客は激減してきています。昨年は、韓国から訪日する観光客は276万人でしたが、日本から韓国に訪れる観光客は、228万人となり、今年は180万人程度しか見込めない状態だそうです」。

そして「日本人観光客の韓国離れは、執拗な反日政策を行ってきたツケです。過去の歴史解釈で競い合うよりは、観光で互いの魅力を競いあったほうが、韓国にとっても、はるかにいい結果を生むはずですが、今後朴槿恵大統領はこの現実にどう向き合うのでしょうか」。おそらく最後のこの部分がいちばん言いたいことなのでしょう。

「中韓台」バランスの日本、中国依存の韓国
日韓の外国人観光客誘致競争、さらに熾烈に
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43303

こちらも前述の寄稿と同様、朝鮮日報の以下の記事をもとにこう書き出されています。

「「外国人観光客誘致、韓国、7年ぶりに日本に抜かれる」――。2015年3月23日付の「朝鮮日報」にこんな大きな記事が載った。外国人誘致を経済活性化の柱に掲げる日本と韓国の外国人争奪戦がさらに激しくなっている」。

そして「(韓国を訪れる)外国人観光客に占める「中国依存度」はついに49%に高まった。外国人観光客の2人に1人が中国からなのだ」と、そのバランスの悪さを指摘しています。

さらに「韓国の観光業界も、日本との競争を強く意識している。最近会った関係者はこう話してくれた。『日本は、外国人向けWi-Fiサービスの後進国だ。外国人の不満の上位には、いつも使いにくい無料Wi-Fiが入っている。韓国は、登録なしで済む無料Wi-Fiをさらに充実させたい』『日本では最近、都内中心部に免税店ができるという報道があるが、tax(消費税)だけの免除なのか、duty(関税)まで免除するのか。成田国際空港で都内で買った duty free の品物の受け取りができるのか。こういう日本の課題を反面教師にして韓国のサービスを向上させたい』。こういう競争なら、大いに結構である」と結んでいます。

これらの論考は朝鮮日報の記事に反応したものですが、まあ言いたい気持ちはわからないではありません。今月12日、日中韓3か国の観光フォーラムが東京で開催される予定ですが、ここで話し合われることも、中国や韓国から日本への観光客が増えているのに、日本からこの両国への観光客が減り続けている現状に対して、なるべく双方向の動きを取り戻そうというのが狙いでしょう。何事もバランスはあってしかるべきだからです。本来は、現在の日台関係のように双方向の人的交流が拡大していくのが理想でしょう。

ただこれだけ日本人の両国に対する気持ちが離れてしまっている以上、そしてそれには理由があるわけですから、無理やり行けと促したところで、ことは簡単には動きそうにありません。

もしこの情勢がこのまま続くのであれば、むしろ日本は国内の観光客受入態勢をどう整えていくかを真剣に考えていくことのほうが喫緊の課題になるでしょう。

もっとも、今のところ中国客の訪日動向は好調ですが、なんといっても今年は戦後70年。秋口にどんなどんでん返しが待っているかもしれません。もしそうなったら(つまり、訪日中国客が政治的な理由で突如急減したら)、おそらく韓国のメディアはまた例の調子でそれを煽り立てることでしょう。

近隣諸国との関係を考えると、いろいろ面倒臭いことこの上ない時代ですが、大きな流れとしては、せっかく日本を訪ねてくれる外国客を大切に扱い、その動態を活用しながら、いかに日本の社会をより良く造り変えていくか、という発想が大事なのだと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-04-03 10:19 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)


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