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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 06月 02日

アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定

宿泊特化型ホテルチェーンのアパホテルがここ数年、都心に続々出店しています。

特にぼくの仕事場のある東新宿では、2012年11月開業の「アパホテル東新宿駅前」(122室)を皮切りに、14年7月の「AH新宿御苑前」(411室)、14年12月の「AH東新宿 歌舞伎町」(165室)とすでに3軒が開業していますが、今年9月には同グループの東京旗艦店となる28階建ての「AH新宿 歌舞伎町タワー」(620室)が開業予定です。また先ごろ17年2月に「AH東新宿 歌舞伎町Ⅱ」(129室)の計画も発表されました。東新宿だけで5軒のグループホテルが営業することになるわけです。

同グループが攻勢をかけているのは、新宿だけではありません。以下の「アパグループ 東京都心ホテルMAP(2015年5月16日現在)」によると、すでに都心に30軒のホテルが営業中で、直近では今月24日の「AH浅草橋駅北」(161室)開業をはじめ、東京オリンピック開催の2020年までに14軒の開業が予定されているといいます。
アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定_b0235153_8453570.jpg

このMAPをみると、新宿、東京・銀座、上野といった東京のホテル地区に集中的に出店すると同時に、外国客に人気の観光地に近い東部地区により多く展開されていることがわかります。

こうした出店攻勢は、2010年に同グループが発表した中期5か年計画「SUMMIT 5-Ⅱ(第二次頂上戦略)」の中で描かれていたものです。

「SUMMIT 5-Ⅱ(第二次頂上戦略)」
http://apa.co.jp/apa_cms/?p=1152

同計画では、以下のような目標が設定されています。

●東京23区内「アパホテル」客室数10,446室(建築・設計・計画中)。
●日本最大2,400室規模アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉計画。
●マンション「Premiere」シリーズ。東京や大阪の都心部では「CONOE」
●訪日外国人の受入強化として館内サインやホームページ等の多言語化。

●ホテル部門数値目標
①客室数10万室(自社48000室、FC24000室、パートナー28000室)
②2020年度ホテル部門売上高1,200億円
③アパカード会員1,500万人
④訪日外国人の集客強化(2020年年間宿泊者数250万人)

これをみると、アパグループが驚異的ともいうべきスピードで都心に出店攻勢をかける理由のひとつに、急増する訪日外国人マーケットがあることがわかります。またその受け入れ態勢も進めていることがうかがえます。

観光庁の宿泊旅行統計(2014)によると、全国の宿泊者(延べ)に占める外国人は前年比33.8%増の4482万人で、9.5%になるそうです。

宿泊旅行統計(2014)
http://www.mlit.go.jp/common/001084394.pdf

つまり、日本国内のホテルを利用する10人に1人は外国人という時代になっているのです。1990年代初頭のバブル崩壊以降、右肩下がりで減少を続けてきたホテル宿泊数を外国人の伸びがカバーしていることがわかります。特に、東京や大阪などの大都市圏のホテル利用が圧倒的に伸びていて、春や秋の旅行シーズンには客室不足が叫ばれるほどです。

こうした時代の流れを先読みした出店攻勢が見事に奏功しているアパグループですが、代表の元谷外志氏は独自の成長戦略についてあるネットメディアで次のように語っています(以下は簡約したもの)。

アパグループ 元谷外志雄代表に長期成長戦略を聞く
http://sogyotecho.jp/motoya-interview/

●アパグループのホテルは高級感、利便性、使い勝手の良い設備とサービスを兼ね備えた「新都市型ホテル」と呼ぶべきもの。

●企業には以下の「三段階成長論」がある。

第1段階:信用累積型経営 信用金庫で全国初の長期住宅ローン制度「頭金10万円で家が建つ」。注文住宅→建売住宅→マンション→ホテル

第2段階:資産拡大

第3段階:自己増殖 2010年から始めた「アパの頂上戦略」(5年間で東京都心部においてホテル所有数No.1・マンション供給数No.1という目標を掲げ、それに向かって事業を進めているアクションプラン)。4年半で東京の一等地に56件の物件を買い、ホテルとマンションに。減価償却で節税し、償却費と税引き後の利益を集めて次のホテルを作るので、借金があまり増えず、収益力の高いホテルを着実に建てられる。

従来のシティホテルに付きものだった料飲部門をそぎ落とし、客室の付加価値を追求する「宿泊特化」業態は、コンパクトなスペースながら満足度を高める客室設計とIT化を進めることが特徴です。アパグループはまさにこの特徴を活かして出店を伸ばしてきたといえますが、実はこれは日本国内の利用者はもちろんのこと、外国客のニーズに沿ったものだったといえます。さらに、前述のMAPからも立地の見極めが絶妙だったことは明らかです。

実は、先日あるビジネス誌の取材で元谷外志会長にインタビューする機会がありました。そこでは相次ぐ新宿地区への出店の狙いや外国客の集客に関する独自の取り組み、実際の宿泊客の国籍や利用状況などについてうかがっています。その話はあらためて別の機会にさせてもらいます。
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2014年7月の開業以来、連日満室状態が続くというアパホテル新宿御苑前店

by sanyo-kansatu | 2015-06-02 08:48 | 気まぐれインバウンドNews


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