2015年 07月 14日

今年4月、アパホテルの宿泊客の4人に1人が外国人だったことの意味

訪日客の増加で国内に新しいホテルシーンが生まれていますが、外国人旅行者のボリュームゾーンが利用しているのは、やはりビジネスホテルや宿泊特化型ホテルといえます。格上のシティホテルやゲストハウスなどのエコノミー系に比べると、圧倒的に物件数および客室数が多く、海外客からみればビジネスホテルの料金が日本のホテル価格の相場観とみなされています。

宿泊特化型チェーンはどこもそれなりに好調のようですが、なかでも都心への出店攻勢で目立っているのがアパホテルです。
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アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定
http://inbound.exblog.jp/24543248/

先日、アパグループに取材する機会があり、以下の質問を用意しました。

1)東京五輪開催や訪日外客の増加などで大都市のホテル需給が逼迫しているといわるなか、相次ぐ新宿地区への出店の狙いなど
2)外国客の集客について独自の取り組みをしておられるか。特別なサービスはあるのか。どのような層をターゲットとして考えているのか。
3)実際の宿泊客の主な国籍、その利用状況、大都市圏と地方での違いなど
4)外国客はどのようにして貴ホテルを知り、予約してくるのか。PRはどうしているのか。
5)今後の展望、取り組みについての考え方

以下、同社広報からの回答です。

1)東京五輪開催や訪日外客の増加などで大都市のホテル需給が逼迫しているといわるなか、相次ぐ新宿地区への出店の狙いなど

「現在、新宿地区にはアパホテル<新宿御苑前>(411室)、アパホテル<東新宿歌舞伎町>(165室)、アパホテル<東新宿駅前>(122室)と3ホテルが営業しており、月間稼働率は100%を超えています。

新宿地区は世界的な知名度も高く、アジア圏のみならず欧米系からも訪日が期待できます。2015年9月に開業予定のアパホテル<新宿 歌舞伎町タワー>(620室)は、日本最大の繁華街「歌舞伎町」の中心部かつ旧コマ劇場の目の前に位置していることから、地名ブランド・立地双方に申し分なく、アパホテルのブランドアップに寄与するものと考えています。

またアパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>は2013年8月に月間稼働率が100.5%を記録し、その後も月間平均稼働率95%超を継続してきたことから、14年4月10日に増築の第一弾として、客室数500室(全室ツイン)、大浴場・露天風呂を併設した「WEST WING」を開業しました。全1501室となった後も、年間稼働率93.4%を記録したことで、増築の第二弾として「EAST WING」の建設を決め、16年10月には2001室となる予定です」。

2)外国客の集客について独自の取り組みをしておられるか。特別なサービスはあるのか。どのような層をターゲットとして考えているのか。

「訪日外国人へのCS向上のため、全客室およびロビーに通信速度やセキュリティ面で優れたWi-Fi無線接続を全店で導入。快眠を追求したアパホテルオリジナルベッド「Cloud Fit」(シングルでも120~140cmのワイドベッド)を設置。2015年9月開業予定のアパホテル<新宿 歌舞伎町タワー>においては、最上階28階に露天風呂付き大浴場の設置を計画しています。

アパホテルが提唱する「新都市型ホテル」では、シティホテルでもビジネスホテルでもない全く新しいカテゴリーとして「高品質」「高機能」「環境対応型」をキーワードとしています。

訪日外国人のメインターゲットは、ネットを中心とした海外宿泊予約サイトからのFIT(訪日個人客)としています」。

3)実際の宿泊客の主な国籍、その利用状況、大都市圏と地方での違いなど

「訪日需要が高まった今年4月において、全宿泊者数の約23%が訪日外国人となりました。大都市圏では欧米のFIT客も多く、中国や韓国、台湾といった近隣アジア圏からの訪日客は全体の50%に留まっています。地方でも訪日客は好調で、前年同月比220%の実績となっています」。

4)外国客はどのようにして貴ホテルを知り、予約してくるのか。PRはどうしているのか。

「海外宿泊予約サイト大手のexpedia、Agoda、Booking.comに登録し、販路を広げています。多くの訪日客にこれらの海外サイト経由で予約をいただいています」。

5)今後の展望、取り組みについての考え方

「本年4月1日より新たな中期経営計画「SUMMIT5-Ⅱ」がスタートし、2020年3月末までにFC・提携ホテルを含め、ホテル客室数10万室を目指していきます。このうち直営ホテルはこれまでどおり東京都心部での出店に注力していきますが、訪日外国人の増加やホテル需要の全国的な広がりをふまえ、地方中核都市でのホテルの新規開発も積極的に検討していきます。さらに、日本で培ったホテルの開発・運営ノウハウを活かし、海外ホテルとの提携やFC方式によるアパホテルの海外展開も視野に入れていきます」。

以上がAPAグループ広報による公式コメントですが、ちょっとびっくりしたのは、今年4月の桜シーズン、アパホテルの全宿泊客のうち4人に1人が外国人だったことです。観光庁の宿泊旅行統計(2014)によると「全国の宿泊者(延べ)に占める外国人は前年比33.8%増の4482万人で、9.5%」、すなはち10人に1人が外国人というのが全国平均です。それに比べ、単月とはいえAPAホテルの外国客比率がこんなに高いとは思いませんでした。それを可能としているのは、海外ホテル予約サイト経由のFIT予約が増えていることで、これもいまや日本のホテル業界では常識といえるのでしょう。

さらには、2015年4月にスタートした中期経営計画「SUMMIT5-Ⅱ」でホテル客室数10万室を目指すといいます。5年前の計画では5万室が目標だったことを考えると、同ホテルがいかに上り調子であるかがわかります。

この回答をふまえ、以下の追加質問をしました。かなり細かいことまで聞いていますが、回答をいただいています。

A)今年4月、貴グループのホテル全体の宿泊客の23%が外国客ということで、海外FITの取り込みに成功しておられることがわかりました。しかも、アジア系と欧米客の比率も半々ということは(訪日全体の80%はアジア客)、欧米客の取り込みも成功していると思われます。貴ホテルに欧米客が多い理由は何でしょうか。

「販路拡大のため、海外大手宿泊予約サイト(Expedia、Agoda、Booking.com)に登録し、販売に注力していますが、特に北米からの集客に強いExpediaからの集客にも成功していることが要因です」。

B)上記に関連して、都心は海外のFIT、地方は逆にアジアの団体客も受けているという理解でよろしいでしょうか。その理由は客室単価の違いでしょうか。

「アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉(全1501室)、アパホテル&リゾート〈札幌〉(全903室)といった一部の地方大型ホテルについては、団体宿泊料金を設け、宿泊料金が合致するツアー団体の受け入れを行っております。

アパホテルでは、ネット予約依存率が、平成26年度は全店の平均が72%を超え、東京に限らず、都市部においても、多くのホテルで90%超を記録しています。需要に応じて、柔軟に料金の変更を行い、需要予測に基づいた適正な単価販売が行えるため、戦略的にネットでの販売に注力しています」。

C)海外FIT取り込みのため、Expedia、Agoda、Booking.comなど海外のホテル予約サイトに登録されているそうですが、それぞれサイトによって客層の違いや特徴があるものでしょうか。特定の都市や地方によってどのサイトの利用度が高いなど、違いを使い分けることはありますか。

「・Expedia :北米からの集客に強い。
・Agoda :東南アジアからの集客に強い。
・Booking.com :特に依存した地域がなく、全世界から集客できる。

海外宿泊予約サイト別に集客力の高いエリアは異なっていますが、適正な単価販売において、販路を広く持つことが重要であり、上記3つの海外宿泊予約サイトにおいてサイトごとの区別をすることなく、同一条件で販売しています」。

D)外客向けのサービスとしてWi-Fiの導入はいつごろから始められましたか。これは大都市圏のホテルだけですか。

「他社に先駆け、2012年10月より順次、全店導入を開始しました。地方のホテルも含め、全ホテルの全客室及びロビーで通信速度とセキュリティ面で優れたWi-Fiを無料でご利用いただけます」。

E)環境を意識した水回り(卵型浴槽、サーモスタット付定量止水栓)のコンパクトでかつ機能性の高い施設の外国客の反応はいかがでしょうか。
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「卵型浴槽・サーモスタット付定量止水栓に限らず、高品質・高機能・環境対応型を理念とする新都市型ホテルの客室設備について、トリップアドバイザーなどでも、好意的なクチコミもいただいており、多くの訪日外国人の方に好評を頂いております」。

いまアパホテルで起きていることは、国内のホテルで今後起こるであろうことを先取りしているといえるのではないでしょうか。次回は、アパグループの元谷外志雄会長の話を聞いてみたいと思います。

「ホテルは立地産業。五輪前のいまは攻めどころ」(元谷外志雄アパグループ会長)
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by sanyo-kansatu | 2015-07-14 09:10 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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