2015年 08月 06日

このたび『観光ガイドになるには』(ぺりかん社)を出しました

自家広告ですいません。このたび『観光ガイドになるには』(ぺりかん社)という本を出しました。
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「観光ガイドになるには」(ぺりかん社)
http://www.perikansha.co.jp/Search.cgi?mode=SHOW&code=1000001699&type=&flg=

基本的には、中高大学生向けのキャリア学習本のシリーズの一冊です。

今年上半期の訪日外国人旅行者数は914万人。このままいくと、45年ぶりに訪日外国人が出国日本人を越える象徴的な年になりそうです。当然、彼らを接遇し、案内する人材を社会は必要とします。その専門職が、通訳ガイドであり、添乗員です。

彼らのもともとの仕事は、前者は外国語でガイディングをすることで、後者は日本人を国内外のツアーに案内することでした。それぞれ仕事に就くには資格が必要です。通訳ガイドは国家資格の通訳案内士、添乗員は旅程管理主任者を取得する必要があります。語学を専門とする通訳ガイドと、ツアーの案内人だった添乗員は、訪日外国人が増加していくなかで、だんだん仕事の領域が重なり合うようになってきました。

この世界には、世間ではあまり知られていない気になる実態があります。たとえば、通訳案内士の資格を持ちながら職業にしているのは、全体の4分の1に過ぎないこと。訪日外客の5人に4人はアジア系なのに、7割が英語の通訳案内士で、市場とマッチしていないこと。人材の高齢化が進んでいて、若い世代が圧倒的に不足していることも指摘されています。

職業としての不安定さ、フリーランスとして生計を立てていかなければならなかったことが、これらの背景にあるといわれます。しかし、状況はずいぶん変わりつつあります。こんなに多くの外国人が日本を訪れる時代になったのですから。

この本には、その最前線で働いている人たちのインタビュー&なるにはノウハウ集が書かれています。どんな仕事でもそうですが、現場の話は面白いです。

たとえば、初めて日本を訪れた外国人を案内するのに、東京タワーとスカイツリーのどちらが喜ばれるのか?

答えは、東京タワーです。その理由は、東京タワーから見える景色にあります。お寺や学校、オフィスや港など、身近にいろいろ見えるぶん、日本についていろんな話題が提供できるからです。学校を見れば生徒の制服の話もできるし、お寺やお墓を見て日本人の宗教観を話すこともできる。でも、スカイツリーはあまりに高すぎて、見えるのは富士山とか東京の全景。これで何の話をすればいいのでしょうか。

これはある通訳ガイドから聞いた話です。

彼らが「日本文化の発信者」といわれるのはわけがあります。なぜなら、一般に通訳の仕事は相手のことばを正しく翻訳して伝えることですが、通訳ガイドは自分のことばで日本のあらゆる事象や文化を紹介しなければならないからです。

ある関係者がこんなことを話していました。
「靖国神社の前で、中国の無資格ガイドがツアー客にどんな説明をしているかと思うと、ゾッとする」。

だから、通訳ガイドには国家資格が必要なのです。日本について正しい知識がない人間は務まらないし、本来はやってはいけないことなのです。これは歴史認識に関する個人の信条とは別の話です。

この本を書きながら、いろんな人たちに会ったのですが、お世辞抜きで、みなさん魅力的な人たちでした。

べつに専門職として通訳ガイドや添乗員になる気はなくても、今後どんな仕事に就いても外国人をアテンドしたり、案内したりする機会は増えると思います。ですので、もしこの世界についてちょっと知りたいと思う人は、手にとっていただけると幸いです。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-06 17:11 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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