2015年 09月 05日

外客のレンタカー利用件数日本一の沖縄でいま起きていること

沖縄県は、外国客のレンタカー利用件数が全国一です。

一般社団法人 沖縄県レンタカー協会によると、過去2年の県内の外国客のレンタカー利用状況は以下のとおりです。13年度から14年度にかけて2.3倍の勢いで増えています。

2013年度(13年4月~14年3月)
3万6919件(台湾1万1138件、韓国1万1937件、香港1万1670件ほか)

14年度(14年4月~15年3月)
8万5323件(台湾2万8096件、韓国2万7764件、香港2万3463件ほか)
※国別比率は台湾(33%)、韓国(同)、香港(27%)で、9割以上を占めた。

一般社団法人 沖縄県レンタカー協会
http://www.mco.ne.jp/~oki-ren/

協会関係者によると、14年度の急激な伸びは「外国客の急増にあり、円安や台湾、韓国、香港などの近隣諸国からのLCCをはじめとした新規就航や増便が相次いだことにある」といいます。

確かに、沖縄県の統計によると、2014年度に沖縄を訪れた外国客は98万6000人と過去最高で、前年比57.2%増と全国平均を超えています。国内客も含めた観光客数が716万9900人(これも過去最高)なので、外客比率は約14%です。

国籍別の動向については、以下のように分析されています。

●台湾
台北-那覇路線、高雄-那覇路線で新規就航・増便等があり、空路客を中心に増加。過去最高であった昨年を上回り、初の30 万人台となった。

●韓国
年度後半において、アシアナ航空・ジンエアーの増便、韓国LCC2社の新規就航があり、ソウル-那覇路線が拡充、重点市場の中で最も高い増加率となった。

●中国本土
新規路線の就航や春節時期の大幅な入込もあり、過去最高となった。クルーズ船の寄港により、海路客も増加した。

●香港
香港航空の香港-那覇路線が増便したことや、ピーチアビエーションの香港-那覇路線の新規就航等により、空路客を中心に増加し、過去最高となった。

平成26年度沖縄県入域観光客統計概況
http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/statistics/tourists/h26-f-tourists.html

その勢いは2015年度に入っても続き、たとえば最新の15年7月の統計によると、単月の外国客数は16万3000人(前年同月比76.6%増)で、外客比率は22.8%。つまり、沖縄を7月に訪れた観光客のうち、4人に1人近くは外国客だったといえるのです。そのうち、中国を除く台湾、韓国、香港の人たちがメインの利用者というわけですから、外客のレンタカー利用が増えるのも当然でしょう。

旅行業界誌の週刊トラベルジャーナル2015年4月6日号はこう指摘しています。

「沖縄県によると、外国人観光客のレンタカー利用率は32.7%に達している。国内客の56.9%には及ばないものの、3人に1人がレンタカーを利用している計算だ。しかも、これはレンタカー利用できない中国人観光客を含めた割合。国・地域別で見ると、訪沖縄旅行者に占めるレンタカーの利用者率は香港47.3%、韓国40.3%、台湾22.2%。香港からの来訪者はほぼ半数がレンタカーを利用する状況にある」。

沖縄を代表する旅行会社である沖縄ツーリストが運営するOTSレンタカーに電話で話を聞きました。お話してくださったのは、同社の中村靖常務取締役です。

OTSレンタカー
https://www.otsrentacar.ne.jp/

―沖縄県の外客のレンタカー利用がこれほど増えてきたのはいつ頃からでしょうか。

「顕著になったのは2011年頃からだと思います。それ以前にも香港客の利用はありましたが、沖縄は台湾からフライト1時間、ソウルから約2時間、香港から2時間半という位置にある。この3国・地域で外客レンタカー利用の9割を占めます。今後も増えていくと思います。
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弊社では2006年から台北に事務所を置き、将来の需要を見越してレンタカー予約の受付も始めていました。それから徐々に予約サイトの多言語化も進め、台湾や香港の方はそのサイト(繁体字版)経由で予約を入れられます。07年には臨空豊崎営業所に4か国語対応のドライブシュミレーションを設置しました。また09年には全国初めて4か国語対応のカーナビを導入しています」。

臨空豊崎営業所
https://www.otsrentacar.ne.jp/okinawa/office/toyosaki.html

―こうした早い時期からの受入態勢の整備があってこそ、ここ数年の急増に対応できているのですね。今年度に入っての利用状況はいかがですか。

「160%増といったところです」。

―その一方、沖縄でドライブする外国客が増えると、事故や渋滞も指摘され始めているようですね。

外国人増で対策強化 県レンタカー協、事故防止へ注意喚起(2015年6月13日 琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-244232-storytopic-4.html
2014年度は8万5323件で、前年度比の約2・3倍。事故件数は2901件で、事故率は3・4%。(県レンタカー)協会では本年度から、英語版に加え、繁体字と韓国語版のドライブマップを新たに作製、運転上の注意点や県内の事故多発交差点などを紹介し、注意喚起を図っている。

標識読めない、慣習違い…外国客のレンタカー高い事故率(2015年6月16日 沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=120008

「これだけ利用が増えると事故が増えるのは当たり前です。事故といっても、ミラーを擦ったり、交差点で左折や右折のルールを間違えたりといったケースが多いです。海外では日本と交通標識やルールが違うところがあり、今後は防止策にも力を入れていく必要があります。

外国のお客様がもし事故を起こしたときは、自動車保険も手厚く安心パックに入っていますし、JAFのサポートもしっかりしています」。

(参考)
訪日観光客の急増で外国人ドライバーが増加中
交通事故やトラブルのリスクも増大か
http://www.bang.co.jp/cont/column-20150624/
「それでは万が一、外国人観光客が運転する自動車と事故を起こしてしまった場合、自動車保険の補償はどのようになるのでしょうか。

外国人が観光などを目的に車を運転する際は、レンタカーを利用するのが一般的。レンタカーには「対人賠償保険」「対物賠償保険」などがあらかじめセットされていることが大半なので、「相手方が任意保険に加入しておらず、損害賠償能力がない」といった事態は避けられそうです。

自分が加入している自動車保険の使い方は、相手が日本人でも外国人でも同様です。事故現場での示談はせず、まずは保険会社に連絡すること。保険会社と相談しながら事故処理を進めていくといいでしょう」。

―今後はどんな新しい取り組みを始めていかれるのですか。

「これからはただ車を貸すというのではなく、お客様に地元で喜んでお金を落としてもらうしくみをつくっていかなければならないと考えています。Wifiルーターの貸し出しを始めたところ、好調です。やはり外国客の方にとってwifiは欠かせないものですね。
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Wifiルーターの貸し出し
https://www.otsrentacar.ne.jp/okinawa/campaign/wifi.html

弊社では『沖縄もっとトリップ 北部東海岸エリア編』というドライブマップを作成し、国道58号線の走る西海岸だけでなく、東海岸にも足を伸ばしてもらうよう働きかけています。最近では、これまで外国客が訪れることの少なかった東海岸の泡瀬漁港(沖縄市)の海鮮食堂にさしみを食べに行かれる話などをよく聞くようになりました」。
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沖縄市漁業協同組合/パヤオ直売店
沖縄市泡瀬1-11-34 泡瀬漁港内
http://kozaweb.jp/venue/detail.html?&sp=true&category=1&id=220

沖縄県では官民挙げて外国客のレンタカー利用を進めているようです。さらに詳しい取り組みや事例については、以下を参照ください。

観光ガイド冊子、レンタカー用沖縄ロードマップ“英語版/中国語版/韓国語版”完成~ECLIPSEイクリプスの多言語対応カーナビとの連携で、外国人レンタカーユーザーの利便性を向上
https://www.fujitsu-ten.co.jp/release/2014/04/20140415.html

外国客運転一目で判断 ステッカー導入へ 沖縄県レンタカー協会 (8月8日沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=127698
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「(沖縄)県内におけるレンタカー需要の動向」 (2014年10月30日りゅうぎん総合研究所)
http://www.ryugin-ri.co.jp/wp-content/uploads/2014/10/1410kennnainiokerurenntakajyuyounodoukou.pdf

【追記】
ところが、その後、こんなニュースが届きました。

中国人観光客がレンタカー? 法律では運転不可だが・・・(沖縄タイムス2016年6月1日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=171005&f=i

沖縄県の2015年度外国人観光客実態調査の概略報告(速報値)によると、県内旅行中に利用した交通機関について、中国人観光客の17・7%が「レンタカー」と答えた。中国の免許証で日本国内を運転することはできない法制度になっており、実態把握が必要とみられる。

調査は、那覇空港や新石垣空港で15年度に計6回、県内旅行中に利用した交通機関をたずねた(複数回答可)。中国客は、13年度に6・3%、14年度に8・2%がレンタカーを使ったと回答。県は「背景について関係者と話し合いたい」としている。

外国人が日本国内で運転する場合、(1)日本の免許証(2)ジュネーブ条約に基づく国際免許証(3)国際免許証を発給していないが日本と同等水準の免許制度を持つ国や地域の免許証-のいずれかを持っている必要がある。中国の免許証は(2)や(3)に含まれないため、国内の事業所でレンタカーを借りることはできない。

県レンタカー協会の白石武博会長は今回の調査結果について、第三者が借りたレンタカーに中国人観光客が有償または無償で同乗しているケースが考えられるとした上で、「中国人観光客の間でも個人旅行のニーズは高まっている。タクシー運転手の語学力や通訳士の数を考慮すると対応がニーズに追いついていない」と指摘している。

記事によると、「第三者が借りたレンタカーに中国人観光客が有償または無償で同乗しているケースが考えられる」そうです。今後の実態の解明を待つことにしましょう。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-05 15:10 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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