2015年 10月 09日
目を見張る発展を遂げてきた21世紀の中国。では、いまから60年前はどんな世界だったのだろうか。あるいは、あなたの子供の頃にはどんな風景が広がっていたか、覚えていますか。 これは長江下流域に点在する江南水郷の36年前の姿を描いたものである。 ガイドブックで紹介される観光地化の進んだ今日の水郷ではもう出会うことの難しい、人と水辺の暮らしが溶け合う優美な原風景。うたたねを催すような夢心地の記憶がこうして作品に残されたことは、いまとなっては僥倖と言わねばならないと思う。 高斉環画伯は1935年中国遼寧省遼陽生まれ。幼少より地元の高名な水墨画家から手ほどきを受け、瀋陽に魯迅美術学院が建学された1951 年、わずか15歳ながら1期生として入学を認められるほどの神童だった。卒業後は、黒龍江省ハルビンの美術出版社に画家兼編集者として着任し、東北三省をはじめ桂林や水郷、雲南など全国各地を旅しながら絵筆を執った。1980年代に来日し、日中を往来しながら創作活動を続けてきた。 現在の瀋陽魯迅美術学院 http://www.lumei.edu.cn/ その画歴60年間の集大成となる画集が今年7月東京で刊行された。同画集は、画伯が大学時代にロシア美術を通じて学んだ油絵や水彩画、そしてフランス印象派の手法を中国の水墨画と大胆に融合させた彩墨画のパートに分かれている。独自の作風で描かれる作品世界は、中国の土地でありながら、どこか異国のようでもあり、人を旅に誘う不思議な力を有している。 ■『高斉環画集』(日本芸苑水墨画研究会 定価3000円+税)をお求めになりたい方、また画伯の他の作品についてお尋ねになりたい方は、以下にご連絡ください。 日本芸苑水墨画研究会 gaohong021016@gmail.com
by sanyo-kansatu
| 2015-10-09 15:02
| のんしゃらん中国論
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