2015年 12月 11日

銀座の中国人ツアーバス路駐問題、ついに報じられる

昨晩帰宅して、朝日新聞の夕刊を目にした瞬間、「ついに出た! 銀座の中国人ツアーバス路駐問題」と思いました。
b0235153_939291.jpg

記事を転載します。

「銀座で爆買い 路駐バスの列 外国人客迎え「通行の邪魔」苦情」
朝日新聞2015年12月10日夕刊(東京版)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12111417.html

外国人観光客でにぎわう都心で、観光バスの路上駐車が問題になっている。中国人観光客による「爆買い」で潤う銀座では、目抜き通りにずらりと並ぶ光景が日常になってきた。警察や役所には苦情が寄せられているが、対策は見えていない。

免税店や高級ブランド店が並ぶ、東京・銀座の中央通り。先月中旬の夕方、駐車禁ログイン前の続き止区域にもかかわらず約500メートルに11台の観光バスが連なった。歩道には化粧品の紙袋や電化製品の段ボールで両手がふさがった中国人客たち。多くのバスは、外国人観光客が乗り込むのを待ち続けていた。

「近くに駐車場はほとんどないし、乗降場所もないから仕方ない」。中国人ツアー客を迎えに来たという運転手の一人はそう話した。警察から注意されることもあるが、周辺をぐるりと回って元の位置に戻る。予定時刻通りに戻ってこない客が多いことも、駐車が長引く理由の一つだという。「集合時刻から30分遅れは当たり前」と運転手はぼやく。

この地域を受け持つ築地署には昨年3月ごろから、「通行の邪魔」などの苦情が相次いでいる。客の乗り降りがないのに駐車しているバスには注意するが、すぐに移動するため、検挙には至らないという。

一方、全国一の地価を誇る銀座周辺での駐車場整備は進んでいない。大丸松坂屋百貨店などでつくる組合が銀座6丁目で進める再開発事業では、対策として観光バス乗降場の建設を計画する。だが、バス駐車場の計画はない。

銀座は国内の観光客が集まってもバスがあふれることは少なかったという。地元の町会・商店会などでつくる全銀座会の関係者は「これからもっと多くの外国人を迎えるというのなら、国や都は駐車場などの整備を進めてほしい」と訴える。

解決策として期待されているのが、16年秋に豊洲(江東区)への移転が決まっている築地市場跡の都有地23ヘクタールだ。

中央区の吉田不曇(うずみ)副区長は「周辺で再開発する事業者にはバス乗降場を造るよう要望してきている。バスの待機場所も必要で、銀座付近で広い土地は市場跡地しかない」と訴える。

■浅草や秋葉原でも苦心 訪日急増、都心の駐車場不足

日本政府観光局によると、11年に約622万人だった訪日外国人は昨年、倍以上の約1341万人に増加。今年は10月時点で1600万人を超えた。急増を背景に、観光バスの客待ち駐車は都心周辺の観光地の共通の問題になっている。

都内屈指の観光地、浅草寺周辺では現在、台東区が4カ所で観光バス57台分の駐車場や待機場を有料で貸し出している。区交通対策課の担当者は「それでも昼時は満車が続く。駐車場は足りていない」と話す。

区は、浅草寺周辺の観光バスの乗降場所を2カ所に限定している。その一つ、区民会館前で客を降ろす観光バスの1日平均台数は11年度は83・0台だったが、13年度は101・5台に増えた。周囲では渋滞も起きているという。担当者は「国や都の対応に期待したい」と話す。

千代田区によると、秋葉原周辺でも、バスに関する苦情がここ1、2年で増えた。秋葉原地域には大型バスの駐車場が無い。担当者は「駐車場を造ろうにも場所が無い。良い解決例があるなら教えてほしいくらいだ」と話す。(遠藤雄司)

新宿歌舞伎町に近い新宿5丁目で中国人ツアーバスの路駐台数調査を続けているぼくとしては、早晩この問題をメディアが扱うと思っていましたが、やはり12月に入ったこの時期でした。

新宿5丁目中国人ツアーバス定点観測調査(since2011.11)
http://inbound.exblog.jp/i17

というのも、クリスマスシーズンに銀座に殺到する中国人団体客の姿はすでに数年前から見られていて、バスの路駐問題もそうですが、街の雰囲気を大きく変えていたからです。昨年のクリスマスイブに銀座を歩いたときの印象を本ブログでも紹介しています。
b0235153_9331279.jpg

クリスマスイブの銀座は中国人だらけで、う~ん(ちょっと気がかり) 2014.12.26
http://inbound.exblog.jp/23928070/

朝日の記事でも指摘されているように、都内で中国人ツアーバスが殺到するのは、銀座や浅草、秋葉原、上野御徒町、新宿などです。浅草以外はほぼショッピング目的の来訪です。
b0235153_9333880.jpg

ネットで検索すると、今年夏ごろ、新宿の路駐問題を指摘しているメディアもありました。

路駐し放題!中国人観光客の大型バス。警察も見て見ぬふり!?
日刊SPA! 2015.07.12
http://nikkan-spa.jp/890566
b0235153_9341161.jpg

でも、実をいえば、この大都市圏の繁華街におけるツアーバス路駐問題はずいぶん前から大阪で騒がれていました。以下は、今年1月の記事です。

大阪ミナミの客待ち観光バス、路上駐車が常態化 (読売新聞2015/01/06)

円安や格安航空会社(LCC)の就航で来日外国人観光客が増えている大阪・ミナミで、客待ちの観光バスの路上駐車が問題になっている。

乗降スペースが2台分しかないために、バスが車線を塞ぐことが常態化しており、大阪府警は大阪市、近畿運輸局とともに、指導や取り締まりを強化した。繁華街からバスを排除すれば観光客減少につながりかねないが、新たに乗降場を整備できる適地はなく、市は対策に苦慮している。

◆5車線ふさぐ

大阪市中央区の堺筋(府道、7車線)にある日本橋観光バス乗降場。2台分しかないスペースに、10台近くのバスが集まる。

「出発時間を20分過ぎているのに」。時間を気にする運転手を尻目に、両手に買い物袋を抱えた中国人団体客がバスに乗り込む。

堺筋の乗降場は、大阪市が2004年に設置。それまで乗降に使われていた約500メートル西の御堂筋では渋滞が緩和されたが、最近、乗降場周辺でバスの路上駐車が増え始めた。

近くで客待ち中のタクシー運転手の男性(41)は、「夕方から夜にかけて、多い時には5車線分を塞ぐ。 タクシー乗り場に乗り入れてくることもある」と話す。

◆常に満車状態

円安に加え、関西国際空港には国内最多の12社のLCCが就航しており、府内を訪れる外国人旅行者は14年は約320万人と、前年を60万人近く上回る見込み。台湾、韓国、中国からのツアー客が8割を占め、大阪市観光施策担当課は「東京五輪開催の20年には約650万人になる」とする。

新規参入するバス事業者も増え、府内では2年前より23社多い172社が営業する。羽曳野市の貸し切りバス会社は、これまでにバス約30台を新規購入し、「東京五輪までにさらに増やす」と意気込む。

しかし、駐車場の整備は追いつかない。市内18か所の観光バス計約320台分の駐車場のうち、繁華街周辺は常に満車状態。時間を守らない外国人客の行動も混雑の要因で、中国人団体客を案内していた旅行会社の男性添乗員(26)は、「集合時間になってもだれも来ないことがよくある。文化が違う」と嘆く。

◆誘導員配置へ

「事故が起こりそう」といった市民の苦情を受け、府警や大阪市などは昨年9月末、乗降後の速やかな移動を求める要望書を全国のバス会社や旅行会社など約2000社に郵送した。しかし、改善はみられず、先月16日、合同取り締まりに踏み切った。今後も警察官らが巡回し、注意に従わないなど悪質なケースは道路交通法(駐停車禁止)違反容疑で摘発する方針だ。

観光客を呼び込みたい市は、新たな乗降場の整備を目指すが、繁華街だけに実現は容易ではない。今後、誘導員を乗降場周辺に配置し、駐車場を案内するなどして混雑を緩和する方針だ。

安井良三・市観光施策担当課長は、「せっかくの観光熱に水を差さないよう、バス会社に協力を 呼び掛けていきたい」としている。

b0235153_9364315.jpg

なぜ東京より早く大阪の路駐問題が騒がれていたかというと、関西国際空港に乗り入れる中国からのフライトがここ数年激増していたからです。これは関西国際空港に就航する東アジア路線マップ(2015年11月現在)です。中国からの定期路線が国内最多となる同空港では、約40都市からの定期便があります。なかには日本ではそれほど知名度のない江蘇省の塩城や貴州省の貴陽などの地方都市からの定期便が増えているのです。
b0235153_9352296.jpg

関西国際空港に就航する東アジア路線マップ(関西国際空港のHPより)
http://www.kansai-airport.or.jp/flight/flight_nw/swf/index.html

「爆買い」はいつまで続くのか? 500万人市場になった中国インバウンド大盛況の舞台裏
http://inbound.exblog.jp/25126195/
http://www.yamatogokoro.jp/report/2015/report_19.html

東京の場合、それでも銀座以外にいくつかのショッピングエリアがあり、中国人団体客を分散させることができるのですが、大阪の場合は心斎橋周辺に一極集中してしまうため、大混雑となるのです。

日本の大都市は海外の主要観光都市に比べ、バスの駐車スペースが少ないことは以前から指摘されていました。少ないのは、これまでそんな需要がなかったし、想定していなかったからですが、いずれこうなることは、観光庁をはじめとした監督省庁は知っていました。

この問題を解決することはそんなにたやすくありませんが、いまや500万人市場となった中国人観光客の存在をどう受けとめ、その受入態勢を構築していくか。そろそろ本気で着手していく必要がありそうです。

【追記】
中国人ツアーバスの路駐問題は、クルーズ客船が寄港する福岡市内でも起きています。
b0235153_8401249.jpg

中国クルーズ客は博多に上陸後、どこへ行くのか?
http://inbound.exblog.jp/24731238/

12月12日の朝日新聞に、この問題に対する舛添東京都知事の定例会でのコメントが載っていました。

―銀座や渋谷、秋葉原などの都心部で買い物をする外国人観光客を待つバスの路上駐車が問題になっている。移転後の築地市場の跡地を駐車場にしては、という声もある。

「バスは車体が大きく、商業地の銀座や渋谷などでは交通の阻害要因になる。バスの駐車スペースをどうするかは大きな課題。まずは状況を把握し、警察や関係機関、地元商店街などと調整しながら緊急に打たないといけない手は打っていきたい。築地の跡地(利用)は今のところ何も決まっていない」。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-12-11 09:37 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)


<< 入れ墨・タトゥーの外国人の入浴...      訪日中国客500万人越えなるか... >>