ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 01月 31日

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる

いま日本で最もインバウンドが熱い場所はどこなのか?

それは大阪です。

去年と今年の正月明け(あと去年の夏も一度)にぼくは大阪を訪ねています。大阪のインバウンドの現場をウォッチングしたかったからです。もともと自分は大阪にはほとんど土地勘はなかったのですが、ありがたいことに、大阪のインバウンド事情にこれほど通じている人はいないという心強い地元の案内人がいます。中国語通訳案内士の水谷浩さんです。

訪日旅行市場最大の中国語通訳案内士の現場は大変なことになっていた
http://inbound.exblog.jp/24486566/

2日間をかけて大阪のインバウンドスポット、すなわち外国人ツーリストがよく現れる場所を案内していただきました。それは、主に以下のエリアでした。

大阪駅周辺
新世界
日本橋
心斎橋商店街
黒門市場
船場
中崎町
富田林

※実際には大阪城やUSJもあるのですが、当たり前すぎるので、訪ねていません。
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一般に大阪は以下の5つの観光エリアに分けられるようです(大阪観光局発行公式ガイドブック参照)。

キタ・中之島エリア
大阪城エリア
ミナミエリア
天王寺・阿倍野エリア
ベイエリア

しかし、たいていの外国人旅行者は土地勘などなく、キタとミナミの違いもよくわかっていませんから、この日本人にはなじみのあるエリア区分はあまり意味をなしません。ただ特定の関心ある目的地にピンポイントで足を運びます。ひとつの特徴あるエリアを街区の連なりとして理解するには、しばらくその土地に住むなり、相当なリピーターにでもならないかぎり、難しいことだからです。その点、ぼくは外国人と立場はたいして変わりません。自分が外国人ツーリストになった気分で、水谷さんの案内してくれる大阪を楽しむことができました。

水谷さんが案内してくれた個別のエリアについては、追々紹介していくとして、大阪を歩いていると東京との違いをいろいろ知ることができました。

まずいちばん驚いたことは、心斎橋商店街をはじめとした延々と続く商店街の連なりと人ごみの驚くほどの多さです。大阪は地下街もすごいのですが、やはり東京にはこういうタイプの商圏はありません。せいぜい銀座がホコ天になったときとか、あとはあっても私鉄沿線の商店街くらいか。全然スケールが小さいのです。大阪のようにアーケードの商店街がどこまでも続く世界は、海外を探してもそんなにないのではないでしょうか。

もうひとつは、それとも関連するのですが、大阪は東京に比べまちがコンパクトなぶん、キタから天王寺まで歩いていけること。その間、商店街が名前を変えて接続していることも面白いですし、個性の異なるエリアを歩いて縦断していけることです。水谷さんは、こういう大阪の特徴をフランス菓子のミルフィーユにたとえてこう言います。「大阪はいろんな違う味がミルフィーユのようにつながる構造になっている。だから、歩くとその変化が面白い」と。なるほど、東京にも異なる個性を持ったエリアがいくつもありますが、大阪に比べて広いぶん、それぞれ点在していて、歩いてその違いを味わうというようなことは、そりゃできなくはないかもしれませんが、大阪ほどたやすくはありません。結局、地下鉄をどう乗り継ぐかということが、東京散策のポイントになりますが、大阪では1日かけて歩いて回ることもできない話ではない。

こういう都市のスケール感というのは、どちらかというとアジアというより、ヨーロッパの都市に近いといえるかもしれないことです。外国人ツーリストにとって訪れた都市がある程度コンパクトであるということは、魅力につながるものです。なぜなら、初めて訪れた人間にも全体像が把握しやすいからです。把握しやすいということは、また来てみようという気にさせるところがあるのです。その点、東京は大きすぎて、全体像を把握しようなどという気持ちを最初から失わせるようなところがあります。

もちろん、そうはいっても、日本の地方都市に比べれば、大阪は大きいですし、歩いて観光しようなどという気持ちにはふつうはならないでしょう。でも、いまや北京や上海、広州などの大都市では、すでに大阪に比べて公共交通網が拡大していることもあり(関西圏全域まで広げると話は違ってきますけど)、これらの都市の住人の感覚では、東京は無理でも、大阪なら全体像を把握できると思えるかもしれません。そして、それが外国人ツーリストにとっての大阪に対する親しみや愛着につながる可能性があると思います。

大阪観光局の関係者によると、関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いことだそうです。なにしろ関空に乗り入れるLCC比率は全体の30%超と全国一。LCCを利用して賢く旅する外国人旅行者のことを「関西バジェットトラベラー」と呼んでいます。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といわれ、リピーター比率も東京より高いことも指摘されています。

外国人ツーリスト、とりわけアジア客にとって、東京より大阪のほうが親しみを感じている人が多いのかもしれません。

実際、2015年2000万人まであとわずかに近づいた訪日外国人旅行者数は全国的に増えたことは確かですが、関西の伸び率は全国平均を上回っているからです。
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あとこれは地下鉄御堂筋線に乗っていて思ったことですが、大阪の地下鉄では、ハングル表示もふつうにあるのですね。東京でもJR山手線などでは見かけますが、地下鉄ではふだんあまり見かけない気がしたので(路線にもよるのかな? 少なくとも自分が普段利用する都内西部方面の路線では見かけません)、ちょっと印象に残りました。大阪を訪れる韓国人の数は半端ではないようですから、当然のことかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-31 19:18 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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