ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 04月 11日

中国おばさん軍団、日本のホテルロビーで踊り出し、顰蹙を買うとの噂?

上海出張で拾った話をもうひとつ。

(上海出張で拾った話その1)
上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!?
http://inbound.exblog.jp/25647061/

なんでも中国の団体ツアーに参加したおばさんの一群が日本のあるホテルのロビーで突然音楽をかけて踊り出したのだそうです。

真偽のほどは確かめようがないのですが、日本のホテル予約の仕事をしている上海人に聞いたので、ガセとは思いにくいところがあります。

でも、これはどういうことなのか? なぜ彼女たちはいきなり踊り出したのか?

ここでいう踊りというのは、以前本ブログでも紹介したこともある「広場舞」を指します。もう数年前から中国で起きていることですが、中高年のおばさんたちが公園や広場などで音楽をかけて一斉に踊りまくるという一大ブームのことです。

中国のダンス(広場舞)おばさんと改革開放30年の人生に関する考察
http://inbound.exblog.jp/24252593/
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2月に重慶に行ったときも、知り合いと夕食をすませ、ホテルに戻ろうと繁華街を歩いていたら、「広場舞」に出くわしました。これまで見た中国東北地方で見た踊りに比べると、少し垢抜けている印象です。動画もつい撮ってしまいました。

重慶の広場舞その1
https://youtu.be/MUoOkUIj1Tk
重慶の広場舞その2
https://youtu.be/y2jimBNmxUc
重慶の広場舞その3
https://youtu.be/BjNPaeObRqg

土地柄もあるのか、音楽もずいぶん軽快なテンポの曲調です。おばさんだけでなく、若い子たちも一部加わっていて、もしかしたらご本人たちは自分のことをずいぶんイケてるように思い込んでいそうです。

こうしたことから、先ほどの噂の真相は、観光客となって日本を訪れた中国のおばさんたちが、いつもの調子で「広場舞」をやってしまったのだと思われます。

ふつうに考えたら、そういうことを外国に来てやっちゃダメでしょう……という話です。しかも、ホテルのロビーだなんて。せめて場所を選ぶべきでした。

この噂がなぜガセとは思いにくいかというと、実は同じことが世界で起きていたからです。

これは中国のネット記事です。「中国のおばさん、世界各国の名所で広場舞を踊り、見得を切る」という表題がついています。

中国大妈广场舞亮相各国标志性景点(中国侨网2015年09月21日)
http://www.chinaqw.com/hqhr/2015/09-21/64918.shtml

記事によると、中国おばさん軍団が、ニューヨークのサンセットパーク、モスクワの赤の広場、パリのルーブル宮殿前などで「広場舞」をやり、顰蹙を買ったのだそうです。そりゃそうでしょう。あの大音響が問題にならないはずはありません。

中国国内でも、さすがに彼女らに対する批判はあります。以下の記事は「環球時報」という国際ネタを扱うタブロイド新聞のネット版で、「中国おばさんは国外で広場舞をすべきか?」という表題がついています。

中国大妈广场舞该不该跳到国外?
http://opinion.huanqiu.com/opinion_world/2014-06/5023566.html

ここでは、なぜ海外で「広場舞」をすることがよくないかについて論じていますが、どうしてそんなに当たり前に思えることをいまさら大真面目に説いているのか、いぶかしく思うほどです。要は、やりたいなら、やるべき場所を選んでやればいいだけの話。また事前に関係者に話をつけて、許可をもらえばいいわけで、勝手にやっちゃうから問題になるのです。

中国のいい歳したおばさんたちが、なぜこんなに常識がないかというと、中国の国情にも関係がありそうです。何事もそうですが、中国では法やルールはそのときどきの権力者が上から決めるもの。民衆には決定権はありません。その代わり、法に定められていないことであれば、たいてい何でも好きにやっていい、といようなところがある(ただし、権力によってストップをかけられるまでは……)。

ですから、このような「権威主義体制」の社会の特性に合わせた処世や考え方が自然に身についてしまっているのです。ある意味、とても「自由」な人たちです。他人のやることを「気にしない」文化というのは、こうした社会が背景にあります。

ところが、この一見鷹揚に見えなくもない彼らの行動は、海外では理解されません。

「広場舞」をめぐる中国のネット論考をみていると、こんなことも感じます。いまの中国人は、自分たちは世界で実力どおりに認められていないという不満を抱えています。だから、いつか自分たちの力を誇示したいという思いもあり、自分ではけっこうイケていると思っている「広場舞」を海外で披露したくなる……。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、そういう思いも彼女らの心の中にあるような気がします。だって、わざわざ赤の広場やルーブル美術館の前でやる必要があるでしょうか?

それは、無意識のうちに民族的な示威行為となっているのではないでしょうか。

そういう意味では、今回の日本での噂は、他の海外のケースに比べれば、そんなに大そうな話ではなさそうです。団体ツアーで日本に来ると、毎日バスに揺られてばかりなので、たまには身体を動かしたくなったということではないでしょうか。いつも中国でしているように。

でも、それをやっちゃうところが、いろんな意味で、いまの中国人らしいともいえます。

以上は、かなりの部分、ぼくの想像で書いているところがあります。実際の光景を目撃した人がいたら、ぜひ教えていただきたいものです。

ところで、この写真は3月に上海の魯迅公園を歩いたときに、社交ダンスのおじさんおばさんグループがいたのを撮ったものです。「広場舞」おばさんたちより一回り年齢が上の世代のようです。
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これは四川省成都の太極拳をするおじいさんおばあさんたちです。社交ダンスの世代よりさらに上の年齢でしょう。
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いま中国人は国中どこでも、踊り、舞っています。一種の国民運動といってもいいかもしれません。

だとしたら、せめてホテルのロビーで披露するのは、社交ダンスか太極拳だったらよかったのにね、と思わないではありません。しかし、いま大量に出国しているのは、その世代ではなく、改革開放時代に青春を送った「広場舞」世代なのです。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-11 14:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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