ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 06月 24日

上海の「極楽湯」はありがたい存在だけど、料金は「日本の3倍」の意味するもの

この10年で地下鉄網が拡大し、市内の移動が格段に便利になった上海ですが、そのぶん行動半径がどこまでも広がってしまうので、1日を終えると、これまで以上に旅の疲れがたまりがちです。特に冬場はけっこう冷えるので、空気の悪さも加わり、身体にこたえるのが、最近の上海出張です。
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そんなお疲れ気味のぼくを見て、上海の友人が連れていってくれたのが、なんと日本でもおなじみのスーパー銭湯「極楽湯」でした。3月のことです。
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地下鉄13号線「祁连山南路」駅下車。地上に出ると、かなたに巨大な「極楽湯」御殿が見えました。思わず「おお」と、うなってしまいました。
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「極楽湯」と書かれた、まばゆいばかりの提灯が並ぶ玄関に、胸が高まります。

館内は広く、日本の「極楽湯」より相当ゴージャスでした。この店の売りは、日本と同じ露天の岩風呂があること。館内には12種類の風呂があり、なかでも「美肌の湯」として知られるシルキー風呂が人気だとか。さらに、驚いたのは、7種類もの異なるストーンを敷き詰めた岩盤浴があることです。ずいぶんお金がかかっていそうです。

リクライナーチェア付きの休憩所は広くてくつろげるし、雑魚寝できるスペースもあります。そして、日本のコミックも揃っています。 
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日本食を中心に200種類の料理やドリンクが味わえるレストランもあります。また8種類から選べる和風柄の館内着が用意されています。
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そのせいか、これまで中国ではこの種の温浴施設では少なかった地元のOLや若いカップルの姿が多いようです。 

上海には、現在2軒の「極楽湯」があり、ここは2015年オープンの2号店(金沙江温泉館)です。1号店は浦東に13年にオープンしたそうで、この夏には3号店もできるそうです。

ただし、入館料は138元(約2300円)。実は、ぼくの住む都内の地元に「極楽湯」があり、たまに行くのですが、平日は750円くらいなので、実に日本の3倍です。あと気になったのは、露天風呂のお湯からつーんとする塩素の臭いがしたことです。

そうだとしても、異国の地で日本風の露天風呂に浸かると、癒されます。

ところで、なぜ急に上海の「極楽湯」のことを思い出したかというと、今朝ほど日経ビジネスオンラインで以下の記事を見たからです。

上海で入館2時間待ちのスーパー銭湯
「極楽湯」中国攻略の極意(その1)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/061300009/061300001/

同記事は4回の連載で、なぜ上海の「極楽湯」が好調なのかについて解説しています。ポイントは、地元の女性の集客に成功したことがあるようです。上海の水道水を調べた段階で「これは徹底した浄化と軟水化をしないとダメだ」と判断したという話も紹介されていて、なるほど塩素の臭いの理由もうなずけました。

筆者がなぜ上海に数ある題材の中から「極楽湯」を選んで記事を起こしたかについては、以下のような見立てがあるといいます。

「経済指標と街中のギャップの背景には、中国経済の減速と同時進行で起きている大きな構造変化がある、というのが筆者の見立て。製造業からサービス業への、成長エンジンの主役交代が加速しているのだ」

この見解について、ぼくはおおむね同意しながらも、若干の疑問もあります。なぜなら、上海の話と中国全体の話は別に考えなければならないと思うからです。確かに、上海を中心とした華東地区では、サービス業や飲食などの消費活動が経済を牽引していることは間違いないと思うのですが、地方に行くほど、不動産投資の後始末が深刻に見えるからです。

また、日本と同様なサービスに対して3倍ものコストがかかることの意味も考えてしまいます。彼らは高速鉄道をつくるのは日本より低いコストでできるのかもしれませんが、温浴施設のようなサービスは高コストになるのです。

もっとも、これだけ多くの中国人が日本に旅行に来るのも、中国に比べるとはるかに安いコストである水準のサービスを享受できることを知ってしまったからでしょう。「極楽湯」で見かけた若い女性や家族連れは、おそらく日本を旅行したことがあるに違いありません。

今後、「極楽湯」は中国国内に100店舗を目指すそうです。

極楽湯 金沙江温泉館
上海市普陀区祁連山南路398号
10:00 ~翌1:00 
大人=138元 子供=68元
http://www.gokurakuyu.cn
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by sanyo-kansatu | 2016-06-24 09:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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