ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 12月 01日

トリップアドバイザーにまつわる数字と日本のインバウンドの話

先日、恵比寿ガーデンプレイスの34Fにあるトリップアドバイザー日本法人オフィスで開かれた同社のメディアラウンドテーブルに出席しました。今年9月に着任した牧野友衛代表取締役の紹介も兼ねたものでした。
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トリップアドバイザーは、世界最大の旅行コミュニティサイトとして知られています。今回のメディアラウンドテーブルの内容は、同サイトが旅行業界にもたらすプラスの効果をはじめ、インバウンドビジネスのトレンド、さらに国内ユーザーに向けた取り組みなどの紹介でした。そのあたりの話は、他に出席していた記者の方々がいたので、おまかせします。ぼくはあくまで日本のインバウンドに関する話題だけを以下、紹介します。

トリップアドバイザー
www.tripadvisor.jp

まず牧野代表取締役の紹介がありました。AOLジャパンやGoogle、Twitter Japanなどの多国籍IT企業を転々としてこられた方のようです。
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そして、トリップアドバイザーにまつわる数字が次々挙げられました。パワポの数字は、若干古いものだそうで、たとえば、サービスを展開する国の数が48カ国とされていますが、最近、ポルトガルが加わり、49カ国になったとか。まあとてつもない数字が並びます。

旅行者からの口コミ情報数 4億3500万件以上
月間利用者数 3億9000万人以上
旅行者からの写真投稿数 8000万件以上
登録施設数(ホテル、レストラン、観光施設) 680万軒以上
49の国と28言語で展開
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本社は東海岸のボストンにあるそうです。日本語でのサービス開始は2008年10月。開設が訪日旅行市場が急拡大する時期と重なったこともあり、外国人が日本を旅行するときに利用する情報サイトとしての存在感を得ていったと思われます。

では、どこの国の人が日本の情報をよく見ているのか。
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トップは米国で17.1%、2位は中国10.9%、以下、台湾10.2%、香港8.0%、オーストラリア7.0%という順です。トップ5で、全体の50%以上を占めるようです。米国発のサービスだけに、米国がトップなのはもちろん、韓国を除くと、訪日旅行者数トップ5が入っているのは当然です。台湾や香港、韓国などは、トリップアドバイザー以外の自国の情報サイトやコミュニティが充実していそうですから、こんなものでしょう。

これはぼくの想像ですが、アジアのユーザーはトリップアドバイザーに北米ユーザーが多いことは承知でしょうから、普段利用している自国サイトとは別の観点からの情報を得たり、参考にする場合に利用するという感じではないでしょうか。また中国人の場合、日本語のわかるコミュニティの人たちではなく、大学で英語を学んだり、外資系に勤めているような人たちがトリップアドバイザーを利用している気がします。

次の円グラフはちょっとわかりにくいのですが、アジア太平洋地区の国々に絞って、どの国がよく見られているかを集計したものですが、左の図は全世界からみた割合で、右はアジア太平洋地区の国々からみた割合です。ともに日本がトップです。以下はインドやオーストラリア、タイなどです。
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ところが、米国ユーザーに絞ってどの国をみているかとなると、日本は大きくダウンします。全体のわずか2%でしかありません。メキシコや欧州の国々が上位に入るのは、まあ当然でしょう。
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一方、中国ユーザーの場合は、トップがタイと日本でともに13%です。
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そんなわけですから、トリップアドバイザーによる世界の人気観光都市ランキングでは、東京は21位といったところです。
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これらの数字は、やはりトリップアドバイザーのメインユーザーが北米であることに起因していると思われます。

ところで、日本のホテルやレストラン、観光施設などの登録物件は現在、70万件だそうです。そのうち、日本語による口コミは全体の92%を占めるそうです。
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トリップアドバイザーは多言語化が進んでいるので、これらの日本語の口コミも海外では自動翻訳されて読むことができます(すべての国・地域ではない)。

さて、この数字をインバウンドの観点からみると、トリップアドバイザーの日本の物件に関する外国人の口コミは全体の8%にすぎないともいえます。同サイトはよく「外国人に人気」の観光スポットやレストランといったプレスリリースを発信していますが、これも8%の口コミの中から集計したものです。

ぼくは、すでに国内にはさまざまな旅行情報サイトやコミュニティがあるため、トリップアドバイザーは日本人が海外に行くときの口コミをチェックするためのサイトかとずっと思っていたのですが、国内物件に関しても日本語の口コミが大半を占めるんですね。

実は、FBにこの話を書いたら、知り合いの旅フリークのひとりが「クチコミ1件で100マイル(月間400マイルまで)をもらえていた時は、地元の情報を含め国内のクチコミをたくさん書きました。今は、ほとんどもらえないので書いていません」なんて教えてくれました。そうか、開設当初はとにかく登録物件数を増やせということで、キャンペーンをやっていたのですね。

この点に関して、ぼくはまったく勘違いをしていました。トリップアドバイザーに登録されている物件に口コミ件数が載っていますが、これは日本語と外国語を合わせたものなのですね。であれば、各都道府県別や地区別のランキングも、日本人と外国人の口コミを合わせた件数で、その比率まではわからないということです。

えっ、そんなの当然だって? そりゃそうか。外国人に限る集計は、トリップアドバイザー内部でしかできないわけで、そうなると貴重です。実際、同サイトのプレスリリースのリストをみていると、なかなか興味深いものが多いです。

たとえば、これなんか面白いですね。

トリップアドバイザー『旅行者物価指数(トリップインデックス)2016』を発表(2016.7.20)
https://tg.tripadvisor.jp/news/wp-content/uploads/2016/07/00da71d62a5a3bd076514bf66c0c1903.pdf

これは世界20都市における旅行費用のランキングです。トップはニューヨークで、2位は東京だそう。最も安いのはハノイです。

またこんなのもありました。

中国人旅行客向けにレストランのモバイルクーポンサービスを開始(2016.11.26)
https://tg.tripadvisor.jp/news/wp-content/uploads/2016/11/20161125_TripAdvisorPressRelease.pdf

これはトリップアドバイザーの中国版「マオトゥイン(猫途鹰)」のモバイルサイトやアプリから利用できるそうです。モバイルサイトや店舗のオフラインQRコードからスペシャルクーポンをダウンロードし、それを提示することで割引や無料のサービスなどを受けられるとか。

リリースによると「中国版「マオトゥイン(猫途鹰)」にて中国人旅行者が検索できる日本国内のレストランは600,000軒以上で、そのうちの約88,000軒が東京のレストランとなります。現在、同サービスは東京のレストランを中心に展開をしており、引き続きサービスを提供するレストラン店舗の拡大を目指して参ります」とあります。

トリップアドバイザーはぐるなびと提携しているそうなので、こういうサービスが実現できるのでしょう。でも、中国人からいきなりスマホを見せられて対応できる飲食店はどれほどあるのでしょうか。そんなことが気にならないではありません。

ところで、3年前のことですが、トリップアドバイザーの別の関係者の話を聞いたことがあります。

台湾でいまホットな話題は「シニア旅行」と「自由旅行」(台北ITF報告その6)
http://inbound.exblog.jp/21417412/

台北で開かれていた旅行博のフォーラムに登壇したトリップアドバイザーアジア太平洋地区副総裁(当時)のCindy Tanさんで、「他の類似サイトの追随を許していないことから、世界のFITの支持を勝ち得ている。年間書き込まれる1億件のコメントのうち、51%はホテルに関するもの。膨大な口コミ情報をフィードバックできることが、弊社のホテル業界に対するマーケティング・ビジネスを支えている」とコメントしていました。

3年前の口コミ数は1億件だったようなので、いまは4倍以上に増えているのですね。それと、このサービスの収益の大半は、ホテル業界との関係によるものだと彼女も話していましたが、牧野社長も同様の話をしていました。要は「ホテル予約の際のクリック型広告による」ものだそうです。Booking.comと提携しているとか。ホテル予約サイトとは立ち位置が違うところが、このサービスの面白いところだと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-12-01 13:09 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)


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