2016年 12月 11日

北朝鮮の町並みが露天風呂から丸見え!?  丹東の「江戸温泉城」にて

大連在住の金橋国際旅行社の宮崎正樹さんがツィッターでこんなことを書いています。

丹東クレイジースポット3「丹東江戸温泉城」

「鴨緑江沿いに立地する和風テイストの天然温泉施設。衝撃的なのは眺望抜群の5階の露天風呂から対岸の北朝鮮が丸見えなこと! 写真は休憩処からの鴨緑江ビューで同一風景が露天風呂から眺望できます。実際の風景はご自身の目で‥これは行くしかない!」

https://twitter.com/gbt_miya/status/794818244662001665

はい、これは本当です。ぼくも今年7月、この露天風呂に行ってきました。
b0235153_12332469.jpg

b0235153_12335719.jpg

丹東江户(日式)温泉城
中国遼寧省丹東市振興区鴨绿江大街196-6号
http://www.ddjhc.net/

あいにく梅雨空で、鴨緑江は濃霧に覆われ、対岸の北朝鮮の町並みを拝むことはできませんでしたが、確かに晴れた日であれば、のんびり岩風呂に浸かりながら、往来する中朝の漁船や新義州の様子を眺めることができるでしょう。
b0235153_12342870.jpg

館内は日本の温浴施設を模した畳敷きです。
b0235153_12343854.jpg

女性客が目に付きます。写真は館内着を選んでいるところです。
b0235153_12345077.jpg

浴衣姿のスタッフもいます。カメラを向けると、恥ずかしがられてピンポケしてしまいました。
b0235153_1235539.jpg

これが露天風呂です。
b0235153_12352540.jpg

ちなみにこのおじさん、丹東在住の日本語ガイドの閻宇飛さんで、最近彼は現地旅行サイト「丹東旅の友」(http://www.dandts.com/jap/)を立ち上げました。ここに来たのも、彼の案内です。
b0235153_1238747.jpg

鴨緑江がすぐ目の前です。
b0235153_12382385.jpg

館内には岩盤浴もあります。
b0235153_12384066.jpg

休憩室からも北朝鮮が眺められます。
b0235153_1238524.jpg

利用料金が39元とお値打ちなのも、うれしいところです。館内には日本料理店もあり、さらに詳しい写真はこの現地旅行サイトでご確認ください。
http://www.ly.com/scenery/BookSceneryTicket_228469.html?spm=1.68076534.6975.8

さて、この丹東江戸温泉城は、2012年頃から丹東新区の目玉アミューズメント施設として計画が進んでいました。オープンは今年の2月です。

ただし、それはマンションも併設したかなり大規模な複合開発案件です。温泉が使え、鴨緑江を望む高級マンションとして売り出されています。

施設の周辺は、これ以外にも多数のマンション建設が進められていますが、売れ行きはあやしいと言わざるをえません。ゴーストタウン化しているといわれても、否定できない印象です。

ここは丹東新区と呼ばれる、現在の市街地から西へ10数キロの場所です。中国の地方都市では、老朽化した旧市街からの政府機能の移転にともなう新区の建設が盛んです。これが地方経済の債務を膨らませている元凶ともいえます。江戸温泉城のそばには、北朝鮮と結ぶ新鴨緑江大橋も完成していますが、今年訪ねた折にも、まだ開通の見込みは立っていませんでした。経済格差がかつてなく拡大した結果、朝鮮側が中国からのヒトやモノの大量流入を受入れる準備が整わないからでしょう。

中朝陸の国境では兵士も農民も目と鼻の先(遼寧省丹東市)(2013.6.2)
http://inbound.exblog.jp/20536355/
「新鴨緑江大橋が半分くらいできた」と地元の人に聞きました(2013.6.6)
http://inbound.exblog.jp/20555737/
中国のニュータウン建設に強い違和感あり(中朝国境の街「丹東新区」にて) (2013.6.26)
http://inbound.exblog.jp/20643404/
中朝共同開発の工業団地「黄金坪」はいまだ停滞中(2014.12.30)
http://inbound.exblog.jp/23944634/
中朝新国境橋が完成しても開通できない理由 (2014.12.30)
http://inbound.exblog.jp/23944673/
これが2015年9月に完成した中朝国境に架かる新鴨緑江大橋です
http://inbound.exblog.jp/26452293/

そんな周辺事情はともかく、この施設の温泉の泉質は悪くありません。なにしろ丹東は、満洲国時代に日本が開発した「満洲三大温泉」のひとつ、五龍背温泉にも近いからです。

温泉エッセイスト山崎まゆみの満洲三大温泉めぐり
http://inbound.exblog.jp/17067247/

明治の文豪も訪ねた満洲三大温泉はいま
http://inbound.exblog.jp/23954021/

最近、上海では日本のスーパー温泉「極楽湯」が人気を博しています。

上海の「極楽湯」はありがたい存在だけど、料金は「日本の3倍」の意味するもの
http://inbound.exblog.jp/25944594/

東北地方の遼寧省でも、日本式の温浴施設が次々に登場しています。2015年5月、瀋陽に「大江戸温泉」(日本とは別資本)がオープンしていて、やはりぼくは7月に訪ねています。

瀋陽大江戸温泉
http://www.ooedo.cn/

まるでパクリじゃないかと言いたくなる人もいるかもしれませんが、欧米の新種のサービス施設が日本にオープンするときも、勝手に海外のブランド名を使ってしまうことは、最近は少なくなったかもしれませんが、かつては当たり前のようにありました。いまの中国はそんな時代だと思ってください。

これらの温浴施設は、たいてい日本の設計会社がデザイン、施工を担当していて、館内は日本と変わりません。地元でも人気で、今年10月には市内に2号店もできたようです。こちらは料金69元(平日)で、丹東より高いですが、上海に比べると半額近い安さです。清潔で快適な日本式の温浴施設は、今後も中国各地にオープンしていくことでしょう。日本のように、きちんと運営の質が維持できるかが、流行るかどうかのポイントだと思われます。

【追記】(2017.3.13)
テレビ東京の「未来世紀ジパング」で丹東の江戸温泉城が紹介されました。

中国の無料動画共有サイト「MioMIo弾幕網(MioMio.tv)」がアップしています。

未来世紀ジパング【シリーズ中国異変!「○○ブーム」に隠れた大問題】 - 17.03.13
http://www.miomio.tv/watch/cc314699/

この番組では中国の商標登録問題を指摘したかったようなのですが、それなら例の上海の「大江戸温泉物語」の事情をもっとつっこめばいいのにもかかわらず、そこはほとんど触れることなく(日本側が取材に難色を示したのかもしれませんけれど)、なぜ丹東の施設を紹介したのか、その理由がもうひとつわかりませんでした。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-12-11 12:40 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


<< 高速鉄道で大連から2時間! 日...      中国東北のレトロブーム「百年老... >>