2017年 01月 26日

だから嫌われる!? 今年の春節も観光を政治の取引に使う中国にうんざり

まもなく春節休みに入りますが、ロイター通信が以下の記事を配信しています。

中国旧正月休暇の観光客渡航先、外交関係が影響も(ロイター2017.1.23)
http://jp.reuters.com/article/lunar-newyear-china-tourism-idJPKBN1570NQ

[上海/北京 22日 ロイター] - 中国は1月27日から2月2日まで旧正月の長期休暇に入り、連休中に海外を訪れる中国人観光客は600万人に上ると予想されている。台湾の旅行会社を経営するLi Chi-yueh氏にとって、旧正月は非常に重要な時期となる。

同氏の会社は売り上げの3分の1を中国本土の観光客から得ているが、今年は大きな期待は寄せていない。昨年5月に台湾で蔡英文政権が発足して以降、本土からの観光客は36%減少した。

同氏は「中国は観光客を外交面での武器として使っている」とし、「現状が改善しなければこの業界は生き残れないという懸念は強い」と述べた。

昨年8月に韓国を訪問した中国人観光客は前年同月比70.2%増、9月は22.8%増だったが、11月には増加率がわずか1.8%に急減。これは中東呼吸器症候群(MERS)の流行を受けて32%減となった2015年8月以来、最悪の数字となる。

米国は昨年11月、THAADが8-10カ月以内に韓国に配備される予定だと明らかにした。

<フィリピンやマレーシアでは急増>

対照的に、フィリピンとマレーシアについては、渡航勧告の解除やビザ規制の緩和を背景に中国人観光客の伸びが顕著だ。両国はいずれも過去数カ月間で中国との外交関係が緊密化している。

昨年3─12月にマレーシアを訪れた中国人観光客は前年同期比83%増加した。

マレーシアのナジブ首相は昨年11月に訪中し、約340億ドル相当の契約を締結した。

南シナ海の領有権をめぐって中国と対立してきたフィリピンでは、ドゥテルテ大統領が米国と距離を置く一方、中国に近づく姿勢を示している。昨年1─10月の中国からフィリピンへの観光客は前年同期比40%増となった。

中国人観光客は海外での支出額が最も大きく、ユーロモニターのデータによると、今年の支出額は2100億ドルに達する見通し。中国企業による2016年の海外企業合併・買収(M&A)総額の2倍となる。

<観光業は外交の一部>

中国本土の旅行会社はロイターに対し、一部の国への観光客の数が変わってきていることは認めたものの、特定の旅行先への訪問を控えさせるよう政府から指示があったかどうかについてはコメントしなかった。

国営旅行会社大手の中青旅(CYTS)の最高ブランド責任者は、「観光客は、訪れても歓迎されない可能性のある国は避ける」と述べ、「観光業は多くの面で外交の一部であることから政治・外交上の問題も影響する」と指摘。ただその上で、「パッケージ旅行を企画する際に基本となるのは旅行者の需要だ」と述べた。

春秋航空(601021.SS)の親会社である上海春秋国際旅行社はロイターに対し、台湾ツアーの運行頻度は減り規模も縮小したと明らかにした。韓国への団体ツアーは20%減少したという。「よく知られている」理由から、中国人観光客が「より友好的な他の旅行先を選びつつある」との見方を示した。

中国国際航空(エア・チャイナ)(601111.SS) (0753.HK)によると、欧州や東南アジアへの旅行者は増加している。同社のマーケティング責任者は「市場の需要に基づき運航路線を調整している」と説明した。


これまで本ブログで何度も指摘してきた話です。中国の旅行関係者から「観光客は、訪れても歓迎されない可能性のある国は避ける」というもっともらしいコメントを引き出していますが、上からの通達で彼らがそうしていることはすでに知られています。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/
フィリピンでも「爆買い」!?  それは中国が観光を政治の取引に使ったという話にすぎない
http://inbound.exblog.jp/26418629/

いまの中国において相手が「友好的」な国かどうかを判断するのは国民ではなく政府です。「観光は外交の一部」という言葉じりだけとれば、そのとおりなのかもしれませんが、本来、民間レベルの国際親善や異文化交流など、さまざまな意義のある観光をここまで露骨に政治の取引に使ってばかりいると、逆に多くの国々の人たちが旅行先として中国を選ばなくなるだろうということです。ここ数年の統計をみるかぎり、中国を訪れる外国人の数は伸び悩んでいることがそれを証明しています。

【追記】
先日、中国の旅行関係者から聞いた話では、今年中国から韓国へのチャーター便を利用したツアーはすべて禁止するよう当局からの通達があったそうです。航空機の座席を丸ごと旅行会社が買い取り、集客を図るチャーター便は大量送客の最も有効なビジネスモデルです。それを政府が民間企業に禁じるお国柄であることを知っておくべきでしょう。

そんなこともあって、いま韓国の旅行業者は日本客の誘致に力を入れようとしています。なかなか難しいのではないでしょうか。(2017.2.5)

【追記その2】
こんな記事も出ました。訪台中国人数が初の前年割れしたようです。

台湾に2016年、中国から訪れた旅行客の数が前年より約16%減少した。08年に中国人客の旅行が解禁されて以来、前年割れは初めて。一方、日本や韓国などからの訪問は増加し、海外から台湾を訪れた旅行客全体は1千万人を超えて、過去最高を記録した。

台湾の行政院(内閣)が今月、統計をまとめた。中国は昨年1月に当選した台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統に対して、台湾は中国の一部であるという「一つの中国」原則を認めるよう圧力を強めている。中国側の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の報道官は先月、「台湾当局の政策変更により、両岸(中台)の交流の雰囲気が悪化し、台湾に向かう民衆の意欲に影響している」などと述べていた。

統計によると、昨年の旅行客は1069万人(前年比2・4%増)。最多は中国からの351万人(同16・1%減)で、減少したとはいえ全体では最大の3割以上を占める。日本は2番目の190万人(同16・5%増)、3番目の韓国は88万人(同34・3%増)だった。

蔡氏は9日、自身のツイッターで全体数の記録更新を報告。英語や中国で使われている簡体字、日本語、ハングルなどで、「ありがとうございました!」とつぶやいた


台湾への中国人客、初の前年割れ 全旅行客では過去最高(朝日新聞2017年2月9日)
http://www.asahi.com/articles/ASK2944RHK29UHBI00T.html
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by sanyo-kansatu | 2017-01-26 03:07 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)


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