ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 04月 27日

「大腸癌」「ゴミ焼き」「蟹と強姦」……。もう翻訳ソフトはやめにしませんか

今年の初め、友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

先日、友人が中国のネットで見つけたある記事を教えてくれました。

なんでも外国人観光客に人気の大阪黒門市場の食堂の中国語メニューが大変なことになっているというんです。街場の食堂のことですから、翻訳会社に頼むようなお金はかけられなかったのでしょうし、良かれと思ってやったことでしょうから、茶化すつもりもなければ、いちゃもんをつけたいわけでもありません。この中国のネットの記事の内容も、悪意というより、単純に面白がっているだけです。そして、記事の書き手の中国人も、こうしたことが起きた理由はgoogle翻訳を利用したことにあると明快に指摘しています。

それをふまえたうえで、いまどんなことが起きているのか。それを知っていただくため、前述のブログの記事の一部を整理してここに転載します。

(前編)中国人もビックリ! 大阪黒門市場の食堂の中国語メニューが大変なことになっていた(2017年4月24日)http://ramei.exblog.jp/25720748/

先週、中国のネットに以下の記事がアップされました。

最近,有家日本餐厅做了一份中文菜单,结果把中国客人全吓跑了!(日本の食堂の中国語のメニューを見て、中国人はビッグリ仰天!)
http://www.gzhphb.com/article/73/737572.html

記事には、大阪の黒門市場で中国人観光客が見かけた食堂のハチャメチャ中国語メニューに笑いが止まらなかったこと。こうなるのは、安易にグーグル翻訳を使っているせいだと指摘しています。
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これがその店のメニューです。記事では、10個以上の間違い中国語の実例を挙げています。いくつか見てみましょう。
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これは「親子丼」ですが、「一碗米饭配上肌肉和鸡蛋(一碗のご飯の上に筋肉と卵)」。「肌肉(筋肉)」と「鶏肉」は発音(jīròu)が同じなので、打ち間違いとも取れますが、これ以外のとてつもない過ちぶりからすると、どうなのでしょう。正しくは「鸡肉蛋盖饭」あるいは「亲子盖饭」です。「丼」は中国語で「おかずでご飯に蓋(ふた)をする」という意味から「盖饭」といいます。
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次は「明太子入りおにぎり」ですが、「经验丰富你的鳕鱼子(経験豊富なあなたのタラコ)」とまったく意味不明です。
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そして「天とじ丼」が「天堂碗翻转」。「天堂」は中国語で「天国」、「翻转」は「反転する」の意味ですが、なぜこうなってしまったのか??? 天丼は「天麸罗(あるいは炸虾)蓋飯」ですが、天ぷらを卵でとじるのをどう表現すればいいか、難しいですね。
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「(とろろいもの)山かけうどん」が「山药你该骄傲(あなたが誇りに思うべき山芋)」? もうわけがわかりません。

(後編)「大腸癌」「ゴミ焼き」「蟹と強姦」……。もう翻訳ソフトはやめにしませんか(2017年4月26日)http://ramei.exblog.jp/25726044/

後半は、前回以上に度肝を抜かれるような中国語が次々に登場します。まずこれ。
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豚肉のホルモン焼きだと思いますが、その中国語がなんと「猪肉大肠癌(豚肉大腸がん)」。エーっ、癌を食べさせられるんですか!? ここまでくると、もう冗談は超えています。
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さらには、沖縄でよく食べるスパム焼き。その中国語が「烤垃圾(ゴミ焼き)」??

なぜこんな間違いが起きたのか、想像がつきます。中国語ではスパムメールは「垃圾邮件」。このスパム(ゴミ)とスパム(SPAM)を、翻訳ソフトが勘違いしたのだと思います。
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ホルモン炒めも無茶苦茶です。「把激素烧掉」の「激素」は確かにホルモンですが、これは女性ホルモンという場合の本当の意味のホルモンで、そもそも造語にすぎない日本語のホルモンを直訳してはいけません。
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次は確かに難しい料理名ですが、「菜の花と蟹の辛子和え」が「有强奸和螃蟹扔芥末」。これもおそろしい中国語です。直訳すると「蟹と強姦する……」??? なんでこんなことになったのか。「西兰花蟹肉芥末沙拉」でいいでしょう。
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そして、これも翻訳ソフト頼みのミスでしょうか。ジャンボ豚串の「ジャンボ」が「伟大(偉大なる)」になっています。中国ではよく「伟大的卫国战争(大祖国戦争)」などというときに使われますが、そんな大それたことばを使うのはおかしいのです。
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最後はこれ。フランクフルトが「猪肉的肠最后关头」。「肠最后关头」とは腸のお尻の出口、焼き鳥でいうぼんじりにも取れますが、そもそもこんな中国語はありません。「香肠」でいいでしょう。豚肉なら「猪肉香肠」。

実は、よく見ると他にもいろいろあったのですが、結局のところ、翻訳ソフトで訳した中国語をそのまま使っているからこんなことが起きてしまうのです。

もうこういうやり方はやめにしませんか?
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by sanyo-kansatu | 2017-04-27 11:47 | “参与観察”日誌 | Comments(3)
Commented by tea at 2017-04-28 23:10 x
私はある程度中国語が読める人間ですが、「じゃあ中国語の知識がない人間はどうすればいいんだよ」というのがこの記事の感想です。
間違った翻訳文章を表記するくらいなら最初から日本語だけの方がマシとか、解決方法の提示がないとただの揚げ足取りにしか見えません。
Commented by U at 2017-04-28 23:54 x
たまにこちらのブログを見させていただいている者です。

横からすみませんが、teaさんは元のブログをご覧になりましたか?
ブログ執筆者さんの顔写真とともに「ラメイさんの安くてお手軽「中国語表記」翻訳サービス」というのがすぐ目に入ると思うのですが。
機械翻訳ではなく、元留学生など日本に根付いている中国人に依頼するなりして、ちゃんと伝わる文章にしようという主旨では?
零細店ではコストがかかって無理ということかもしれませんが、本当にそこにお金をかけないで放置したままでいいのか?という話だと思います。
市場であれば同業者でまとめて翻訳発注するとか、自治体にお金を出してもらうとか、翻訳の大切さに気づけば案は色々出てくるのではないでしょうか。
Commented by sanyo-kansatu at 2017-04-29 16:10
コメントありがとうございます。この記事だけお読みになると、確かにご指摘のように「揚げ足取り」にとられてしまいかねないことを、当ブログ筆者も重々承知しています。

この問題がもたらす気がかりな点については、別の記事を書いていますので、こちらも読んでいただくとさいわいです。

これはマズいぞ! 間違いだらけの外国語表示
http://inbound.exblog.jp/26804588/

そのうえでどう解決していくかですが、ここで紹介した「啓発」のために最近開設した以下のブログでは、多言語化の問題に関心をもち、現場での必要を感じられた関係者の方々への翻訳サービスなるものを提供することを考えています。

街で見かけた《お恥ずかしい》中国語表示
http://ramei.exblog.jp/

現在、同ブログ運営者の周辺には、中国人留学生や中国系コンサルティング会社の関係者とのネットワークも広がっており、どのようなやり方で進めていけばいいか、議論しているところです。なにしろこの問題は、私自身そうですが、日本人の苦手分野であり、「不名誉な」ところを突く話ですから、まずは相互理解を第一に考え、無理なく進めていけるといいと考えています。


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