ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 05月 31日

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏

5月27日に開かれた「バケーションレンタルEXPO」では、民泊に関わる関係者による大中小3つの会場で合わせて25本ものセミナーが繰り広げられました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

なかでも大盛況だったのが、民泊許可業務の第一人者である特定行政書士の戸川大冊氏のセミナーでした。少々民泊ビジネスを煽りぎみの出展者らが多いなか、実際のところ、法的に見てどうなのか。民泊新法施行後に、状況はどう変わるのか、知りたいと考える人が多かったからでしょう。

そんな疑問に応えるべく、セミナーのタイトルは以下のようなものでした。

「住宅宿泊事業法」を正しく理解し、合法的に運営する
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戸川氏は、テレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』4月30日放送で、旅館業許可を取らないで営業している「ヤミ民泊」の問題点や罰則規定について解説しました。また、「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)の立法趣旨や、旅館業の「許可」と民泊新法の「届出」に関する法的性質、特区民泊との違いにも触れています。

この日のセミナーも、まさにこのテーマを番組より詳しく解説した内容でした。以下、戸川氏の運営する「民泊許可.com」などの資料を参考にさせていただきながら、民泊新法の中身を中心に紹介します。

戸川氏の運営するサイト「民泊許可.com」
https://民泊許可.com/

開口一番、彼は言います。「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」。新法成立後は、これまでのような民泊ビジネスはできなくなるとして、近年増えている「ヤミ民泊」摘発事例を挙げます。

2016年7月 旅館業の営業許可を得ずに、無許可で「ヤミ民泊」営業をしたとして、不動産関連会社「ハイブリッド・ファシリティーズ」(東京都港区)と親会社「ピクセルカンパニーズ」が摘発

2016年6月 民泊代行業者(ハイブリッド・ファシリティーズ)が捜索・差押を受け民泊運営支援事業を廃止

2016年4月 大阪府警は大阪市生野区の韓国籍の飲食業の女(71)、中国籍のレンタルビデオ店経営の夫(37)と韓国籍の妻(55)を、旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検

2015年11月 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検

2014年5月 木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)

ヤミ民泊の認知件数は以下のとおりです。

平成25年度 62件
平成26年度 131件
平成27年度 994件
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この認知件数は、保健所などが把握した件数にすぎませんが、最近は近隣住民によるチクリが急増しているそうです。

また自治体の摘発強化も進んでいます。

2016年5月 京都市、無許可民泊148件に営業停止を指導 http://airstair.jp/kyoto-148/
2016年7月 京都市、「民泊通報・相談窓口」開設 http://min-paku.biz/news/kyoto-minpaku-tsuihou-soudan-20160713.html
2016年10月 大阪市 、民泊専従チームを組織 http://mainichi.jp/articles/20161010/k00/00m/010/017000c
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そもそも「民泊」という事象は、①国家戦略特区の特例(特区民泊=外国人旅客の滞在に適した施設)と②旅館業(旅館か簡易宿所)、そして③今回の民泊新法(住宅宿泊事業法)で生まれる住宅宿泊の集合体というべきで、それぞれ営業するためには異なる要件があります。

戸川氏は言います。「民泊の許可を出すのは、大家ではなく自治体です。ですから、よく不動産会社が『民泊許可物件』などと表示していますが、このようなものは存在しません」

さらに、昨年6月、ヤミ民泊ホストに対してマンション管理組合からの差し止めが認められました(その後、今年に入り、損害賠償も認められたようです)。

2016.05.24 大阪地裁、初のマンション「民泊」差し止め
http://min-paku.biz/news/osakachisai-minpaku-sashitome.html

賃貸マンションを民泊に使うオーナーが増えているなか、こうした判決が出たのは、民法の「所有権」に関する規定とマンション標準管理規約の「用法の制限」(もっぱら住宅として使用する)をふまえ、区分所有法がいう「区分所有者の権利義務」「共同の利益に反する行為の停止の請求」が認められたものといえます。つまり、マンションのオーナーにとって「他人にとやかく言われる筋合いはない」という主張は間違いだということです。
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最近、外国人による都内のマンション購入が進み、民泊を始めているケースが知られていますが、もし彼らが住民の声を無視して民泊の営業中止を受け入れようとしなかったとしても、マンション管理組合からの訴えは有効だといえます。

民泊を合法的に行う場所を決めるうえで、もう一点考えなければならないことがあります。それは、各自治体による「上乗せ条例」です。たとえば、新宿区や渋谷区、台東区、京都市、大阪市では、それぞれ認可の条件が加えられます。これは民泊新法施行後も変わらないため、他の地域に比べ、ハードルが高いといえます。これらはすべて民泊人気集中地区で、摘発が強化されていることはすでに述べたとおりです。
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さて、ネガティブな話ばかりをしてきましたが、今年の通常国会で成立の見通しとされる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」とはどのような内容なのか。
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ポイントは、「180日以下の運営」であることです。戸川氏は、その理由について「今回の新法は、あくまで住宅を一定の要件で他人の宿泊サービスに提供するものであり、1年の半分以上の期間を超えてしまうと、それは住宅とはいえないから」と説明。法的な見地からみて、今後民泊をこれまでのようにビジネスと考えるのはおすすめできない、というのが戸川氏の一貫したアドバイスといえます。
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さらに、民泊新法では、民泊事業者の「都道府県知事への届出」、特に「家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託すること」が義務付けられます。住宅宿泊仲介業(民泊仲介サイト)に対する規制も加わり、観光庁長官への登録が義務付けられます。これによって、airbnbなどが違法なヤミ民泊をあっせんすることは、施行後は不可能になります。加えて、観光庁で「民泊」苦情窓口を新設するようです。

こうしたことから、戸川氏は「もし民泊を年間を通じて合法的にやるなら、旅館業の営業許可を取るべきだ」と指摘します。民泊新法と同時に審議が進んでいる旅館業法の改正で規制緩和が進むことがわかっているからです。ここでのポイントは、客室数や寝具の種類、トイレ、最低床面積などの構造設置基準の緩和。これで旅館営業に以前より参入しやすくなるのは確かです。他方、無許可営業に対する罰金が3万円から100万円に引き上げるなど、ヤミ民泊の取り締まりは強化されます。
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冒頭で、戸川氏が「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」と言ったのは、180日間以内の営業では儲かるとは思えないからです。「民泊新法がビジネスに不向きであることは決定的」「よって合法的な民泊を事業として開始しようと考えている事業者は、民泊新法の成立を待たずに簡易宿所型民泊か特区民泊ですぐ事業を開始すべき」といいうのは、そのためです。

※特区外の簡易宿所型民泊や特区民泊の合法的な始め方については、民泊許可.com参照。

この図は、新法施行後の民泊の姿です。
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このセミナーを聞くかぎり、これまで自覚の有無はともかく「ヤミ民泊」に手を染めていた人たちは、訴訟や罰金を食らう恐れが増大することでしょう。airbnbなど民泊サイトへの影響も大きそうです。

ともあれ、ルールづくりは大事です。そのうえで、おかしなところは改正していけばいいのです。新法施行以降、これまでの「安かろう悪かろう」の日本の民泊イメージが大きく変わっていくことを期待します。

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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 13:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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