ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 10月 04日

制裁のさなか、なぜ中国は北朝鮮と結ぶ新しい橋を建設するのか

先日、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉に住む友人から1枚の写真が届きました。
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これは中朝国境の町、図們で対岸の北朝鮮の南陽と結ぶ新しい橋を建設している光景です。写真の左手が日本時代の1941年に造られた図們大橋、右手が現在建設中の新橋です。旧橋が老朽化したのと、トラック1台しか走れない幅なので、もっと物流を増やせるように対面で2台が走れるような大きな橋になるそうです。再来年に完成の予定だとか。

この国境については、いまぼくが連載しているForbesJapanのサイトでささやかなレポートを書いています。

草むらには目を光らす北朝鮮兵、遊覧ボートから見る中朝国境の今(ForbesJapan2017/08/30)
https://forbesjapan.com/articles/detail/17498

実は、1ヵ月前に友人が送ってくれた写真をこのレポートに載せたのですが、最近あらたに撮ったという写真が届いたのです。

これをみると、いろんな発見があります。

まずこの写真は、高い場所から撮られていますが、図們大橋の手前にある国門の上からのものでしょう。そこは展望台になっているんです。

さらに気づくのは、図們江の水量がずいぶん少ないことです。今年北朝鮮は干ばつと聞いていた話がうなづける光景です。

すでに細い橋が朝鮮側とつながっているようですが、あくまで工事用の臨時橋で、その手前が建設中の橋の土台です。

朝鮮側をみると、昨年夏の大水後、急ピッチで建てられた南陽の集合住宅がたくさん見えます。今夏は雨が少なかったこの地域も、昨年は大雨で朝鮮側に限り、多くの人命が失われました。

しかし、被災後の南陽の復旧のスピードは早く、あっという間にこのようなピンク色の団地が建ち、古い町並みを隠してしまったのでした。
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今夏の大雨で北朝鮮・南陽のまちの景観は大きく変わりました (2016年 12月 10日)
http://inbound.exblog.jp/26443993/

中朝国境は、いまも少しずつですが、変わろうとしています。

写真を送ってくれた友人によると、核実験が行われた9月3日、これまでにない大きな揺れを感じたそうです。また8月中旬に中国商務部からの指示で、中朝国境西側の最大の物流ルートだった琿春・圏河税関で北朝鮮産海産物は輸入禁止となり、業者たちは当分再開はないだろうと話しているそうです。

では、国際社会が制裁を行うさなか、なぜ中国は北朝鮮と結ぶ新しい橋を建設するのでしょうか。

この国境を何度も訪ね、両国に暮らす人たちの様子を眺めてきたぼくがいえるのは「そこが国境だから」というものです。身もふたもない言い方ですが、中国からすれば、いまが非常事態だとはいえ、いずれは収まるもの。この2000年間ずっとそうだったように、隣り合った国との交流はこの先もずっと続くわけですから。

すでに2014年、中国は遼寧省の丹東にこんなに大きな橋を造り、莫大な投資をしているのに、すでにこの3年、放置されたまま、開通していません。投資をまったく回収できていないのです。
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中朝新国境橋が完成しても開通できない理由(2014年 12月 30日)
http://inbound.exblog.jp/23944673/

しかし、中国側のこうした気の長い意図ですら、現在の頑な北朝鮮のリーダーにとっては、素直に受け取れるものではないのでしょう。むしろ逆効果なのかもしれません。彼は周辺の大国からも畏れられるリーダーとして対等に扱われたいのでしょうから。まるで「裸の王様」ですが、いつまでこんなことが続くとも思えません。図們新橋が完成する再来年には、もうコトが収まっているだろう。中国側は、そんな気構えでいるのではないでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-04 17:21 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)


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