2017年 10月 20日
中国の国慶節休暇が10月8日に終わり、中国メディアは今年の海外旅行動向を報じています。これらの記事を簡約して伝えるレコードチャイナなどから紹介します。 まず、あいかわらずの民族大移動を大げさに伝える話。 中国の「スーパー連休」、延べ7億人が国内を大移動(レコードチャイナ2017年10月10日) http://www.recordchina.co.jp/b193189-s1-c30.html (一部抜粋)中国で建国記念日にあたる国慶節と中秋節を祝う超大型の8連休が8日に終わった。中国国家観光局データセンターによると、期間中に延べ7億人が国内を移動し、観光収入は5836億元(約9兆8924億円)に上ったという。 携程旅行網(シートリップ)は、連休期間中に旅行に出かける人のうち、「親子旅行客」と「家族旅行客」がそれぞれ32%、42%を占めるとする予測。 国家観光局や携程旅行網のデータによると、8連休中に海外旅行に出かける人は延べ600万人を超えるとされ、うちツアー客は64万1900人に上ると推計されていた。国内の約300都市から88カ国・地域の1155都市に出かけ、人気の旅行先は、国別ではロシア、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアと続き、都市別では、モスクワが最多で、以下、サンクトペテルブルク、バンコク、パタヤの順だった。 この時期、家族や親子旅行が多かったことを記事は指摘しています。さらに、人気の旅行先としてアジアの国を中心に挙げていますが、意外だったのはロシアが入っていることと、日本がないことか。 一方、別の記事は日本での消費額はあいかわらず大きいと言っています。 国慶節休暇中の訪日中国人の消費金額は1000億円以上に?―中国ネット(レコードチャイナ2017年10月10日) http://www.recordchina.co.jp/b185947-s0-c20.html (一部抜粋)中国のポータルサイト・今日頭条に、国慶節休暇(10月1日〜8日)に日本旅行へ行った中国人の消費金額について伝える記事。 16年の国慶節では、訪日中国人数は50万6000人となり、この傾向からすると今年の国慶節の訪日中国人数はさらに増えたと考えられるとした。 最新の統計によると、国慶節期間中に訪日中国人が消費した金額は、合わせて1000億円を超えるという。統計によると、訪日中国人のうち、買い物が目的と回答した人が7割を占め、観光はわずか3割だったという。 これ本当なんでしょうか。 次は興味深いニュースです。2014年9月の雨傘革命以降、中国政府が渡航に制限を加えていた香港で、今年は過去最高の中国客が訪れているという話です。なるほど、学生運動家らも逮捕し、中国政府のいう「動乱」は解決したから、そのご褒美に大勢の観光客を送り、消費に貢献させようという腹でしょうか。それがみえみえです。 香港、中国の大型連休で観光業が大幅回復(レコードチャイナ2017年10月10日) http://www.recordchina.co.jp/b193020-s10-c20.html (一部抜粋)特区政府入境事務処発表の統計では、10月1日に大陸部から香港を訪れた観光客は過去5年で最多の延べ20万6000人(前年同期比9.4%増)で、最も多いのは個人旅行だった。 香港観光の目玉は今もショッピングだ。人気ショッピングエリアの銅鑼湾では、多くの店が「大型連休イベント」「建国記念日セール」などの宣伝文句を簡体字で掲げている。大陸部の銀聯カードや「微信支付」(ウィーチャット・ペイメント)で決済し、特別割引を得られる店も少なくない。 香港観光発展局の統計では、今年1〜8月に大陸部から訪れた観光客は前年同期比1.9%増の延べ2900万人に達した。 一方、こんなニュースもあります。国慶節中にアメリカに行く中国客が減っているというのです。 なぜ?「国慶節連休の中国人観光客が減った」と米観光業者(レコードチャイナ2017年10月11日) http://www.recordchina.co.jp/b193297-s1-c30.html (一部抜粋)600万人を超える中国人観光客が海外を訪れると期待された今年の国慶節(建国記念日)連休だが、米カリフォルニア州の観光業者からは「中国人客の数は例年より少なかった」との声が上がっている。 米中間を行き来する航空機でも中国人団体客の利用が減ったことが指摘されており、ある旅行会社の関係者は連休中の航空料金の高さやビザ取得が困難になったこと、米国の治安に対する旅行者の不安を原因として挙げる。また、「ピーク時を避けたいという考えが(国慶節シーズンの)団体客減少につながった」と話すバス会社の関係者は「連休中、個人客は比較的多かったが中国人観光客が増えたという実感はない。ただ、連休が終われば団体客も増え始める」「庶民の海外旅行にとって航空料金は大きな問題」などとコメント。 これはどういうことでしょう。国慶節休暇中は航空運賃が跳ね上がるので、団体ツアー客のような安価な料金で海外旅行したい層が、この時期をはずして連休後に移動しているということでしょうか。もしそうなら、市場の動きとしてはそれなりに健全な話です。 ところが、韓国の災いは続いているようです。いいかげん、中国は弱いものいじめはやめるべきではないでしょうか。 中国人の韓国ボイコットはここまで!大型連休中の団体客はゼロ=中国ネット「この時期に行くわけがない」「団体客は全部日本に行ったとか」(レコードチャイナ2017年10月12日) http://www.recordchina.co.jp/b188859-s0-c30.html (一部抜粋)10日付の中国・海外網によると、連休中の訪韓中国人観光客について韓国メディアは「THAADの影響下で団体客は依然としてゼロ。免税店の売り上げ減は避けられず、中国人消費者のロッテ免税店での購入額(1〜7日)は昨年の国慶節連休に比べ25%減った。国内の消費者をターゲットとしたセールも実施されたが期間全体の売り上げは前年同期に比べ15%縮小」などと報道。さらに今年1〜8月のデータとして訪韓中国人の数が前年同期の52.6%(延べ302万2590人)にとどまった。 しかし、同じ矛先は日本にも向かい始めています。9月下旬、日本のメディアが中国による日本ツアーの数を制限するよう自国の旅行会社に通達を出したと報じました。 いったん中国メディアはそれを否定しましたが、中国の複数の旅行会社に確認したところ、通達は確かに出ていたことが確認できました。理由についてはいろんな説があり、後日整理して報告したいと思います。 中国はついに日本への渡航制限を始めるのか? (2017年 09月 22日 ) http://inbound.exblog.jp/27130164/ 中国メディアがTBS報道「中国、訪日旅行に制限」に反論! とはいうものの… (2017年 09月 25日) http://inbound.exblog.jp/27147682/ 中国メディアは通達のことなど知らぬふりで中国人の日本旅行が「買い物から体験にシフト」したといい、人気都市として「パリ、香港、大阪、東京、バンコク」を挙げています。 中国人600万人が国慶節に海外旅行 消費スタイルは買い物から体験へシフト(人民網日本語版 2017年10月16日) http://j.people.com.cn/n3/2017/1016/c94475-9280429.html 今年の国慶節も終わり、数値制限の通達以降、訪日中国旅行市場はどう推移していくのか。要するに、これまでの訪日ツアーの代金が安価だったからこそ「行ってみてもいい」「行ってみようか」と参加してきた地方都市を中心とした客層が、通達以降、2倍近い料金になっても、これまでどおりツアーに参加するだろうか、ということではないかと思います。 今週、日本政府観光局(JNTO)が公表した今年9月の統計では、中国客は「前年同月比29.9%増の678,300 人で、9 月として過去最高」と好調だったことを伝えています。 訪日外客数(2017 年9 月推計値) https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/171018_monthly.pdf この時期、まだ通達の影響はないのですが、今後については中国側と情報交換しつつ、行方を探っていきたいと思います。
by sanyo-kansatu
| 2017-10-20 16:27
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