カテゴリ:現代アートは中国社会の鏡である( 4 )


2013年 03月 17日

北京郊外、ちょっとマニアな芸術区めぐり

北京郊外のいくつかのアートスポットを「地球の歩き方 北京」2013年度版に掲載しました。以下、「ちょっとマニアな芸術区めぐり」と題して、いまや国際的にも知られる北京のアートエリアを紹介します。

「さすがは首都北京、798のようなアートスペースが集っている。だが、実際にアーチストたちが創作活動の拠点としているのは、北京中心部から少し離れた郊外にある芸術区であることが多い。なかでも国際的に知られているのが草場地と宋荘だ。1日かけてアートスポットをめぐる小旅行に出かけよう」。

①ギャラリーが有名な「北京中央美術学院」
中国の美術教育の中心である北京中央美術学院は、朝陽区望京地区の閑静な一画にある。キャンパスを歩くと中国の美大生たちに普通に出会えるが、必見は2008年10月にオープンした北京中央美術学院ギャラリーだ。今や世界の有名アーチストの企画展が常時行われる北京の重要なアートスポットのひとつになっている。設計は日本人建築家の磯崎新だ。

北京中央美術学院ギャラリー www.cafamuseum.org/cn

②映画史の殿堂「北京電影博物館」
中国で最初の映画が撮られたのは1905年。国立の中国電影博物館には、中国映画の100年の歴史を紹介する巨大な示スペースがある。時代別・ジャンル(アニメやドキュメンタリーも含む)別の作品紹介に加え、新旧の撮影機材や衣装の展示、台湾・香港の映画史の紹介など、1日かけても観て回ることができないほどだが、アジア映画に関心のある人には面白い場所だろう。中国の近代史と重ね合わせながら作品の変遷をたどると興味深い。

中国電影博物館 www.cnfm.org.cn

③前衛的な芸術区「草場地」
首都機場高路と五環路が交差する北東側の一画に、中国を代表する芸術家のアイ・ウェイウェイのアトリエや外国人経営のギャラリーが集まるようになったことで芸術区として注目されているのが草場地だ。展示される作品の国際性やクオリティでは北京で最も前衛的なスポットいえる。だが、ギャラリーの大半は一般中国人の居住区と混在していて、外からはパッと見わかりにくい。北京のギャラリー情報を紹介する「Gallery Sights」(www.khlart53.com)などで事前に作品と場所をチェックして行くといい。

ShanghART Beijing
上海でも有名なスイス人経営の現代美術ギャラリー
www.shanghartgallery.com

④写真アートの「三影堂撮影芸術中心」
三影堂撮影芸術中心は中国で初めて誕生した写真専門のアートセンターだ。中国の著名な写真家ロンロンと彼の妻で日本人の写真家インリによって2007年6月に開設された。中国における現代写真アートの発掘や普及のために年間を通じてさまざまな展覧会やイベントが行われている。なかでも毎年4月に行われる「草場地春の写真祭-アルルから北京へ」は、海外から多くの観覧客が訪れ、草場地周辺はにぎわいを見せる。

三影堂撮影芸術中心
www.threeshadows.cn/jp

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by sanyo-kansatu | 2013-03-17 08:49 | 現代アートは中国社会の鏡である | Comments(0)
2011年 11月 09日

上海アート最前線~なぜ上海市政府は2010年までに100館の美術館をオープンさせるのか?

2006年当時、日経NBOnlineに連載した上海の現代アートの連載の企画書が見つかったので、ちょっと古いんですが、公開します。

ぼくのブログの右肩の小さな写真は、翁奮という海南島在住のカメラマンの作品で、「Sitting on the Wall」シリーズのひとつです。中国沿海部の都市の光景をみつめる制服姿の女子高生の後姿をモチーフにしたものです。これらはみな2000年代初頭の作品で、これから発展していくであろう中国の未来に対する希望と怖れ、そんなアンビバレントに揺れる感情を思春期の少女たちに託して表現したものです。そう、この当時の中国の人たちはまだ本当に初心だったのです。ほんの10年前の話です。

上海アート最前線~なぜ上海市政府は2010年までに100館の美術館をオープンさせるのか?
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by sanyo-kansatu | 2011-11-09 16:03 | 現代アートは中国社会の鏡である | Comments(0)
2011年 11月 08日

日経ビジネスNBonline 中国現代アート

日経ビジネスNBonline 中国現代アート(上海のケース)
(2006年9月~07年2月)
上海のアートシーンの舞台裏や関係者らの取材を元にした連載コラムです。中国現代アートの本場はむしろ北京と当時も今もいわれていますが、単なる作品論ではなく、アートと社会の関係を考えるうえで、万博開催を控えた当時の上海のアートシーンも、それなりに面白い材料を提供してくれたと思います。
(1)変わりゆく都市を見つめる制服少女たち
(2)文革知らずはファンタジーがお好き
(3)改革開放時代を懐かしむ『80年代明星シリーズ』
(4)いま上海で最もやんちゃな新人類の冒険
(5)新しい摩天楼のリアルとは何か?
(6)アートビジネスを育む廃墟「莫干山路50号」
(7)アングラ展での駆け引きが活力にめげない上海人の「パーティーやろうぜ」感覚
(8)上海万博は大阪万博超えを目指す-「文化都市」建設を進める市政府の思惑と内情
(9)革命戦士からポップアートへ-上海が彫刻で埋め尽くされる日、人民は「くすくす笑う」
(10)「芸術オタクvsマーケッター」の図式-上海版「朝まで生テレビ」があぶり出した現実
(11)華僑系セレブ娘が仕掛ける「社交界」-ファッションビル化する上海の歴史的建造物
(12)アニメ美術展で中国を変える「出戻り上海人」
(13)夜遊びするなら「コスプレ」「ゴスロリ」-上海の若者が豹変する秘密のイベント
(14)「スーパー80年代生まれ」の肖像-中国社会も悩む“一人っ子政策”の申し子たち
(15)70年代生まれは「自分探し」の世代-天安門とおこちゃま達のハザマで
(16)中国的「格差社会」の実像-ニューリッチから出稼ぎ労働者までのお宅訪問
(17)写真で見る「格差」不感症大国、中国
(18)中国ニューリッチのメンタリティ-画商が語る新興富裕層20年史
(19)超格差社会のキーは60年代生まれにあり-天安門事件の挫折はどこに消えたのか?
(20)わかるかも「天安門」~爆走する現代中国人に与えた影響

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by sanyo-kansatu | 2011-11-08 15:40 | 現代アートは中国社会の鏡である | Comments(0)
2011年 11月 08日

現代アートは中国社会を映し出す鏡である

こういう言い方も何ですが、中国のような言論統制のある国で、社会に対する深い洞察や批評精神、ひとりの人間としての正義感のありかをストレートかつ巧妙に見せてくれる数少ないメディアとして、中国の現代アートの存在に注目しています。

アートは広告とは違い、マスメディアでないぶん、存在を許されているといえます。へんに目立たないかぎり、ある意味自由でいられる。彼らアーチストたちは常に時代と政治との間に流れる微妙な風向きを気にしながら、ときに飄々とそれを受け流し、ここぞというときには思いのたけを作品に注ぎ込もうとする。その結果、中国社会の闇や矛盾、しかしそこで生きていかざるを得ない人々の現実をあぶりだします。なるほど、こんなことまで考えていたのかと感心させられることも多いです。現代アートは中国社会の諸相を映し出す鏡=メディアといえます。

ぼくが中国の現代アートの存在を初めて知ったのは、1994年頃、たまたま仕事でオーストラリアに行ったとき、「MAO goes POP」と題された回覧展をパースで見たときです。今日有名になった中国の現代アートの立役者たちが、90年代に入って中国版イーストビレッジ(北京東村)でボヘミアン生活をしながら作品制作に打ち込むようになる以前の世界を南半休の片田舎で知ったというわけです。

そのときは「なんじゃこりゃ」という感じでしたが、その後、2000年代に入り、上海で莫干山路の工場跡のアトリエ群(M50)を知り、一時足しげく通うにようなり、何人かのアーチストに会って話を聞いたりしました。そのときの見聞を元にしたコラムが、日経ビジネスNBonlineで20回ほど連載されました。
日経ビジネスNBonline 中国現代アート 
その後も、中国出張に行くと、北京を代表する芸術区として知られる草場地など、仕事の合間に通っています。07年頃をピークにちょっとトーンダウンしたかに見える中国のアートシーンですが、イケイケの時代ばかりが面白いわけじゃない。観光地化されたといわれる「798大山子芸術区」だって、歩き回っていると、何かしら発見があったりします。このカテゴリでは、そんな発見をちょこちょこ書いてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2011-11-08 14:45 | 現代アートは中国社会の鏡である | Comments(0)