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2016年 12月 28日

パクリ疑惑の上海「大江戸温泉物語」は笑えるけど、中国にはもっと面白くて刺激的な日本式温泉がある

先日、ネット上にお台場にある「大江戸温泉物語」のパクリ施設が上海にオープンしたとの疑惑告発記事が載りました。

上海の温浴施設にパクリ疑惑 「大江戸温泉物語」そっくり 日本側は関係否定、中国側は「調印済み」主張(産経ニュース2016.12.24)
http://www.sankei.com/world/news/161224/wor1612240041-n1.html


中国上海市の宝山区にオープンした温浴施設をめぐり、日本国内で温泉旅館などを運営している「大江戸温泉物語」(東京都)の店舗の模倣ではないかとの疑惑が浮上している。上海の温浴施設は同じ名称を使い、店舗の外観も酷似している。

日本の同社は「海外のいかなる企業や団体とも資本提携、業務提携は行っていない」と上海との関係を否定した。

一方で、上海の運営会社「上海江泉酒店管理有限公司」では、「2015年11月に中国での名称使用を授権した契約に調印している」などと強硬に反論しており、今後、日中双方のトラブルに発展しそうだ。

上海の運営会社は、日本の「大江戸温泉物語株式会社」が発行したとする日本語と中国語で併記の「公認証明書」も公表。「18年10月まで公認ビジネスパートナー」と主張している。
中国版のツイッター「微博」に開設された公式サイトによると、入館料は大人1人が138元(約2300円)。名称のロゴや大浴場、レストランや漫画が読める畳敷きの部屋まで、東京都江東区にある「東京お台場・大江戸温泉物語」にそっくりな作りという。


大江戸温泉物語
http://www.ooedoonsen.jp/

上海で人気の日本のスーパー銭湯「極楽湯」(これは本物)を訪ねたことがあります。若い女性を中心ににぎわっていたので、いまの中国では日本の温浴施設が広く受け入れられているのだなあと思いました。だから、新たに浮上した「パクリ疑惑」だなんて、いかにも中国らしい話です。

上海の「極楽湯」はありがたい存在だけど、料金は「日本の3倍」の意味するもの(2016.6.24)
http://inbound.exblog.jp/25944594/

すると、数日後には現場を検証するこんな記事が出てきたので、やれやれと思いました。

パクリ疑惑の上海「大江戸温泉物語」に行ってみた
「日本人が指導にやって来た」と主張する従業員(JB PRESS2016.12.27)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48789

このルポ!?では、実際に上海の「大江戸温泉物語」に行って、お風呂や食事などのクオリティを日本人の感覚に照らしてあれこれ評価を下していますが、どうやらまずまずのようです。

とはいえ、最も基本的なつっこみをするとすれば、上海市内に「温泉」が出るとは思えないことです。地中を何千メートル掘ったとしても。そうでないのに「温泉」を名乗ることに、この施設の弱みがあります。

それもそうですが、さらにおかしいのは、日中双方の関係者が「業務提携」をめぐって対立していることです。この記事では、上海側に(正式な取材とも思えないのですが)その点を問い質しています。記事にはこうあります。

「その従業員によると、オープン前に中国側の従業員12人が東京へ研修に赴いており、また東京からも日本人が従業員の指導に上海に来ていたといいます。「提携について双方の現場は把握していたが、幹部層が知らなかっただけではないのか?」という見解を述べていました」

この発言はいかにも中国人らしくて、つい声を出して笑ってしまいました。こういう言い方するんですよね、彼らは。

筆者はその後、日本の熊本県庁くまもと商標推進課に上海の大江戸温泉物語でくまモングッズが販売されている件について電話取材を行ったそうです。

「最初に尋ねたのは、当該施設の売店内に展示されていた、日本語で書かれたくまモングッズの商品販売委託契約書についてでした。その契約書中には、熊本県庁から販売が許諾されているという日本の業者名が書かれてありました。その日本の業者に対して熊本県庁は実際にグッズの取り扱いを許諾しているのかを確かめたところ、その点については事実で間違いないという回答が得られました。

ただし、その担当者は、「(県庁が)問題視しているのはグッズ販売ではなく、当該施設の内装にくまモンのデザインを使用している点です」と述べました。中国側の業者に対して許諾は出しておらず、現在も抗議を行っているとのことでした」

「施設の内装にくまモンのデザインを使用している点」に抗議? でも、いまの中国人でこの種の抗議に聞く耳を持つ人はいるのでしょうか。大いに疑問です。

さらに、筆者は商標使用権問題の当事者である日本の大江戸温泉物語に電話取材を行っています。

「同社は既に12月22日付で「いかなる海外企業との資本・業務提携を行っていない」という発表を行っています。そこで筆者は、従業員との話に出てきた、中国側従業員の研修を受け入れたという話が事実かどうかについて尋ねてみました。すると同社からは「22日の発表の通りです」という回答しか得られず、否定も肯定もはっきりとは行われませんでした」

あれっ? これはどういうことでしょう。そして、記事はこう結ばれます。

「筆者の企業取材の経験から述べると、何かしらあったのではないかと疑わせるような対応と言わざるを得ず、案外、話を聞いた従業員の言っていた通りなのではないかという可能性も否定できません。この件については双方の対応をもっとじっくり見続ける必要があるのではないかというのが筆者個人の見解です」

このしりきれトンボ的な記事を読んで最初に思ったのは、これに類することは、これまで日中間で数え切れないくらい起きていただろう、ということです。

たとえば、これは商標使用権問題ではないのですが、日本の100円ショップそっくりの中国版<10元ショップ>の「メイソウ(名創優品)」のことをご存知でしょうか。
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MINISO
http://www.miniso.jp/

この10元ショップ、日本のダイソーと無印とユニクロをパクったといわれています。

中国で急拡大中!ダイソーと無印とユニクロをパクったチェーン店「メイソウ」がヤバすぎる
https://matome.naver.jp/odai/2139800287435985001

敵もさる者、実際には中国企業なのに、店内に日本語表示を多用するなど、まるで日本企業の出店であるように見せているところがあざといのです。しかし、よく考えてみれば、英語やフランス語のブランドイメージを活用するのは、日本でもかつてはよくあったこと(いや、いまでもそう。いかに欧文名の企業名や商品名が多いことか)。これをパクリと言われてしまうと、みんな困ってしまうことでしょう。

もしメイソウの経営者にその点を指摘したら、「イメージ戦略として使っているだけのこと。100円ショップのオリジナルは日本なので、日本風に見せることは当然」と答えるのではないでしょうか。

上記サイトをみると、どんな商品が売られているかわかりますが、おそらく日本の100円ショップチェーンが中国でつくらせていた工場で、中国国内向けの商品を大量発注しているのではないでしょうか。要するに、彼らは日本のビジネスモデルをそのまま真似して、巨大な中国市場に打って出たのです。

ぼくは3年前上海の南京路でこの店を見かけたのが最初ですが、今夏、東北地方の田舎町でもずいぶん見かけました。

さらに、驚くべきは、この中国版10元ショップの「メイソウ」が、中国国内だけでなく、オーストラリアなど、海外市場へも展開中なのです。

日本の100円ショップチェーンが海外進出にもたもたしているうちに、日本のやり方をパクった彼らはすでに世界を相手にし始めています。こういうのを見るとき、(すべてとはいいませんが)日本企業というのはなんて残念な存在なのだろうと思わざるを得ません。なぜなら、本来自身は固有の価値を持つにもかかわらず、自らの市場価値を正確に推し量ることも、その可能性を想像することも、海外の市場の動きをつかむことも、できないように見えるからです。

話を戻しましょう。日本の温浴施設が中国で支持されていることは、上海のみならず、地方都市でも続々登場していることからもうかがえます。

今夏、ぼくは中国遼寧省の瀋陽や丹東でも、「江戸」をネーミングに採り入れた、ある意味きわどい日本式温浴施設に足を運んでいます。

たとえば、瀋陽にあるのは「大江戸温泉」といいます。

瀋陽大江戸温泉
http://www.ooedo.cn/

ここは「極楽湯」の世界そのものでした。あえて「極楽湯」と比べたのは、同施設の関係者に聞く限り、地中を深く掘った温泉だということですが、本当なのかどうか怪しい気もするからです。しかし、コストをそれなりにかけているせいか、岩盤浴などの施設は日本よりはるかにゴージャス。しかも、料金は上海の半額くらいで良心的。遼寧省の冬は寒いので、地元でも人気だそうで、今年10月、市内に2号店ができたばかりです。

そして、極め付きはこれ。丹東の「江戸温泉城」です。
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北朝鮮の町並みが露天風呂から丸見え!?  丹東の「江戸温泉城」にて(2016. 12.11)
http://inbound.exblog.jp/26446784/

上記記事を読んでもらうとわかるとおり、中朝国境最大のまち、丹東にある日本式の温泉施設で、5階の露天風呂から鴨緑江をはさんで、なんと北朝鮮の町並みが望めるのです。なんと刺激的な温浴施設でしょう。中国ならではといえます。

そして、これらの両施設はともに日本の専門業者が設計を担当しています。ですから、施設のクオリティは、少なくともハード面では日本と変わりません。あとはサービスの質をいつまで維持できるか。さきほどのパクリ疑惑がささやかれている上海の「大江戸温泉物語」も、基本的に同じなのではないでしょうか。

つまり、上海の「大江戸温泉物語」も、設計は日本の業者が担当しているのでは、と考えられます。

ですから、今回の「疑惑」に関しても、彼らに話を聞くのがいちばん早いのでは、と思うのですが、どうでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-12-28 22:48 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 05月 30日

中国の富豪たちがショックを受ける町 「大阪・富田林」を歩く

現在発売中の「Forbes JAPAN」2016年07月号は「億万長者の謎」特集です。
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http://forbesjapan.com/magazines/detail/50

同誌に以下の中国人富豪についてのコラムを寄稿しました。転載します。

中国の富豪たちがショックを受ける町 
「大阪・富田林」を歩く


中国人観光客というと、すぐに「爆買い」のイメージと結びつけられるが、本物の中国人富豪たちの来日目的は少し異なるという。

「そもそも富裕層はドラッグストアで爆買いなんてしませんよ」

こう語るのは、中国からやってくる超VIPたちから直接指名を受ける通訳ガイドの水谷浩。彼の顧客リストには日本人でもメディアを通じてよく知る中国企業の大物幹部たちがズラリと並ぶ。

彼がアテンドする中国の上級富裕層の人たちは、どんな目的をもって日本にやってくるのだろう。ビジネス半分、観光半分の「視察」もあれば、プライベートな家族旅行もある。世代によってその目的は異なるし、いわゆる「爆買い」でもドラックストアで化粧品や医薬品を大量に買うのとは大きく違う。

例えば、中国の巨大グループ総帥夫人は、京都で明の時代の銀の香炉(650万円)をカードで一括購入した。前回の来日時に日本全国の骨董店を訪ね歩き、目星をつけていたらしい。そして、「朋友(友達)」と称するプロの鑑定家をわざわざそのために同行させて、真贋を確認したうえで購入したという。

中国には若くして成功し40代で巨万の富を築いたIT企業家たちも少なくないが、いつもはビジネスや投資の話に目ざとい彼らの異なる一面を見たこともある。グループ幹部を召集した京都での会議で、息抜きに鴨川沿いをサイクリングしながら観光案内した際、ふだんは見せない気さくな素顔を見せたという。

中国ではありえない「歴史の連続性」
 
さて、その水谷が、中国のハイクラスな富裕層を相手に「この町を案内してハズしたことはない」と断言するのが大阪の富田林だ。PL教団の大本庁や、同教団が主催する夏の花火で知られる富田林だが、実は大阪で唯一の、国が指定する重要伝統的建造物群保存地区がここにはある。

寺内町(じないまち)と呼ばれるこの地区は、400年以上前に織田信長と戦っていた「宗教自治都市」で、高台の上に要塞としてつくられ、古くは江戸時代から明治、大正、昭和前期までに建てられた寺院や民家が並び、いまもそこで人々が暮らしている。

南北6筋、東西8筋の道路で整然と区画された町内には、瓦ぶきの美しい町屋が連なる。日本人にとっても魅力的なのだが、とりわけ中国の人たちには強いカルチャーショックを与えるのだという。

中国の富裕層の人たちが富田林に魅せられる理由について水谷はこう説明する。

「中国の人たちは、改革開放以降、スクラップ&ビルドの世界で生きてきた。歴史ある古鎮もすべてつくり変えられ、テーマパーク化した。ところが、ここでは200年前の民家がいまも残り、しかもそこで生活している人がいる。それが信じられないのでしょう」

中国の人たちは概して日本の歴史には詳しくない。京都は確かに中国でも知られている古都だが、観光地化が進んでおり、中国人観光客があふれているのも気に入らない。特権意識の強い富裕層はそのような俗っぽい場所を避けたいと思うのだ。

一方富田林は、彼らの目には、明の時代(14 ~17 世紀)に栄えた中国江南地方の水郷古鎮の文化の影響を受けているように見えるらしい。すでに中国には残っていないものが、日本になぜあるのか? 中国ではありえない「歴史の連続性」に、彼らは虚を突かれたような思いがするのであろう。

日本を真剣に見たい

この2月に東京で開かれた富裕層向け旅行商談会「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット・ジャパン」で、エキジビション・ディレクターをつとめたアリソン・ギルモアは「世界の富裕層の旅行にはクラシックモデルとニューモデルの2タイプがある」という。

前者は多くが新興国の一代で富を築いた社会的成功者の人たちで、豪華さやステータスを求める旅であるのに対し、後者は先進国の成熟した富裕層が中心で、より精神的な価値を求める傾向にあるという。

中国の富裕層の特徴について水谷はこう語る。「彼らはまさに創業者世代。改革開放後の30年間を裸一貫でのし上がってきたパワフルな人たちで、日本に来ると、常に最高級でなければ満足しない。ホテルは5つ星クラスで、食事もミシュラン級。要望が細かく、無理難題も多いので、毎回が格闘だ」

その意味では中国の大半の富裕層旅行の内実はクラシックモデルに属するといえる。ただし、水谷がそれだけではないと思うのは、富田林の歴史的価値に気づくような深い洞察力を持ち、日本の姿を真剣に見てみたいという人たちが確かにいるからだ。

「彼らはほんの上澄みにすぎない。だが、それだけに自分の仕事はやりがいがある」

ある国営銀行の頭取夫人は、中学を卒業したばかりの息子を連れて日本へ旅行に来たとき、水谷の案内で富田林と高野山を訪ねた。夫人は「米国留学の決まった息子に、中国と違う日本を一度見せておきたかった」と語ったという。

いま、中国の富裕層の人たちの中にも、富田林に象徴されるような、精神的価値に重きを置くニューモデルの旅が現れつつある。

※この記事に出てくる水谷浩さんについては、以下参照のこと。

中国語通訳案内士を稼げる職業にするための垂直統合モデル
http://inbound.exblog.jp/24489096/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-30 21:55 | のんしゃらん中国論 | Comments(1)
2016年 04月 09日

多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた

ここ2回ほど、上海のコンビニがいまどんなことになっているかについて書いてきました。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活
http://inbound.exblog.jp/25642955/

ところで、上海滞在中、どうしても気になるのがPM2.5です。毎日がそんなにひどいというわけでもありませんが、1週間ほど滞在していると、必ずやばい日があります。朝ホテルの窓から外を見ると、空は真っ白。現地に住んでいる日本人は「もう慣れっこだから」と苦笑いしますけど、たまに行く人間は、どれだけのど薬やマスクなどで万全の対策をしていても、やはり心配の種はつきません。

①ドラックストア商品も充実

その点、日系のコンビニには、たいていPM2.5予防用の高機能マスクも置かれているので安心です。ただし、香港製で1枚32元(550円)と安くはありませんけれど。
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ほかにも、スキンケアやシャンプーなどの女性向けドラックストア商品も揃っています。
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男性向けも店によってはけっこうあります。ただし、やっぱり日本で買うのに比べると割高ですけれど。
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それでも、乾電池や細かなPC用具、ステイショナリー類など、旅先であると助かるアイテムも事欠かないのが、いまの上海コンビニです。
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現地生産のポッキーなどのお菓子類も豊富です。
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日系なら、ワインも日本と同様揃っています。1本100元(1800円)くらいで、こちらも日本より高い印象です。
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②物販以外の便利なサービス

これまでは日系コンビニの品揃えの話でしたが、上海コンビにはローカル系も含め、物販以外にも使えるサービスが充実しています。

たとえば、携帯の無料充電器。これはけっこうありがたいものです。この種の携帯まわりのサービスについては、たぶん東京より上海のほうが進んでいる気がします。
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上海の日系および前回紹介した3大ローカル系コンビニ(好徳、快客、喜士多)などでは、たいてい店舗内にこのような多種多彩のサービスを行う端末が設置されています。
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これはある好徳の店舗の端末機です。メニューをみると、わかりやすいところで、中国の高速鉄道や飛行機の予約ができたり、携帯やゲームのポイント、地下鉄カードのチャージ、公共料金の支払い、意外なところでは、交通違反の罰金の支払いなどもできます。中国最大のEC企業アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスもあります。この種のキャッシュレスの普及は、日本より進んでいると思われます。
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この端末機を使って中国専用で使っている携帯のポイントをチャージしてみました。支払い方法は、銀聯カードと微信と支付宝から選べるようになっています。現地に住んでいるわけではないのですが、もうだいぶ前につくった銀聯カードで決済しました。携帯のポイントチャージは、以前ならコンビニやキオスクなどで専用カードを買って、移動通信に電話をして暗証番号を入力するというやり方でしたが、いまはコンビニの端末で簡単にできてしまいます。
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この種の端末がないコンビニでも、地下鉄カードのチャージができる店もあります。この上にカードを載せて、必要な金額だけレジで払えばチャージ完了です。上海ではコンビニが生活のインフラとなっているというのはこういうことです。
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上海のコンビは表向き中食を中心としたPB(プライベート・ブランド)で競い合っているように見えて、その実こうした決済サービスができる店とそうでない店で、おおかた決着がついてしまっています。この種のサービスの種類の豊富さでいうと、ローカル系のほうが日系より優っているように見えます。

③ポイントサービスや宅配も上海流

日本でも顧客の囲い込みのため、コンビニごとにポイントのためられるカードを発行していますが、上海では、すでに携帯が決済だけでなく、ポイントの受け皿になっています。
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たとえば、ローソンでは店頭のポスターやレシート、ウエブサイトに記載してあるQRコードをスキャンすると、アプリがダウンロードできます。そして、10回購入すると、弁当やおにぎりなどの無料クーポン券がもらえるサービスを始めています。ただポイントをためて割引に使うというようなことでは、上海の消費者は満足しないそうです。それより直接商品をプレゼントするほうが効果があるというのです。
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APP STOREのアプリ『罗森点点』はこのQRコードをスキャンします。こうしたことが可能なのも、日本に比べ携帯アプリなどの決済サービスが普及しているからなのです。
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さらに、驚くべきは、コンビニのコーヒー宅配サービスです。これはセブン・イレブンの宅配サービスです。
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上海ではあらゆるものがECで購入できる環境が整いつつありますが、それが可能となるのは、運び屋であるバイク便の兄ちゃんたちが大勢いるからでもあります。こういうことは、上海のような都市戸籍/農村戸籍(あるいは外地戸籍)という、公然とまたあっけらかんと2つに階層化された社会でなければ実現できないものだと思いますが、現にそれが実現してしまっているので、ただただ驚くほかありません。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

とまあいろいろ裏の事情もありますが、上海のコンビニが進化していることはおわかりになったと思います。このような便利な消費社会を生きているのが上海人であるということを知っておくことは必要です。なぜなら、日本に旅行に来るのは、当然これらのサービスを日常的に使っている側の階層の人たちだからです。だとしたら、彼らは日本に来て、ずいぶん不便だなあと思うかもしれません。だからといって、彼らにどこまで合わせるかという話はまた別のことですけれど。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 20:19 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活

上海にはローソンやファミマ、セブン・イレブンなどの日系に加え、さまざまなローカル系コンビニがひしめいています。前回書いたように、数の上ではローカル系のほうが多数派です。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

正直なところ、日系に比べて店内は明るくない印象だし、商品の陳列もさえないし、愛想のよくない店員もいるのがローカル系ですが、この際いろいろ比べてみようということで、訪ねてみました。コンビニほど地元の人たちの暮らしが見えてくる場所はないと思ったからです。

まず、上海の主なローカル系コンビニ・チェーンを紹介しておきましょう。以下の3つは、上海の3大ローカルチェーン。街角でもよく見かける、市民生活には欠かせないインフラといえるでしょう。
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好徳(Hapde)
上海のローカル系で最大勢力のチェーン。
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快客(Quik)
地下鉄駅構内にも出店しているのでよく目につく上海資本のチェーン。
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喜士多(C-Store)
台湾資本のチェーンで、イートインが他と比べ充実しています。

これ以外にもいろんなチェーンがあります。「可的」は確か「好徳」と同じ系列のチェーンだったと思います。店舗のイメージカラーは明るめのグリーンとオレンジというローカル系の中では最もポップな印象です。
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ここまではまだいいほうなのですが、ローカル系の中には「おやっ、これは?」と一目でわかるようなあやしげなチェーンも散見されます。
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この「全佳」というのは、ファミマの中国名が「全家」であることから、パクリ系だと思われても仕方ありませんね。そのくせ、黄色に緑、オレンジという3本色こそ微妙に違うものの、セブン・イレブンに似てます。中国らしいといえば、いえるかも。
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ほかにもこの「良友集団」や「上海如海超市」などもローカル系です。おそらくこれらはもともと雑貨店だったものがフランチャイズされたケースが多そうです。
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さて、これらローカル系コンビニで販売されている商品群は、日系とはかなり毛色が違っています。

なかでも代表的なのが、レジのそばにたいてい置かれている「茶たまご (茶葉蛋)」ではないでしょうか。お茶の葉と醤油で卵をゆでたもので、中国ではポピュラーなおやつです。今回初めて試食してみたのですが、特に変わった味ではありません。ただゆで卵を食べる習慣がない日本人は、ちょっとグロテスクに見えなくもない色形から敬遠するかもしれません。
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商品棚を見ていきましょう。これは中国人の好きな干し梅や干しブドウです。やはりローカル色たっぷりですね。
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カップラーメンの種類が驚くほど豊富です。日清のUFOや韓国の辛ラーメンもありますが、大半はローカルブランドのようです。
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伴麺というのは、上海の汁なし麺で、ひき肉とかいろいろからめて食べるものです。ご当地カップ麺を試してみるのも悪くないかもしれません。
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お酒のコーナーは、上海らしくお米が原料の黄酒(日本では老酒というのが一般的か)、いわゆる紹興酒系のお酒がたくさん並んでいます。ぼくは「石庫門」という上海の租界建築の様式の名の付けられた黄酒をときどき買って飲んだりします。とても飲みやすいお酒です。
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つまみ系も、日系にはない、真空パック系のディープな世界が広がっています。
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さて、ローカル系コンビニにも、最近はイートインができています。なかでも台湾系の喜士多(C-Store)は充実しています。
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ここではどんな中食メニューが味わえるのか。これが弁当コーナーです。きれいにパッケージされてはいるのですが、なぜか中身が見えないようなものも多く、ちょっと手が出ません。
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中食という意味では、ローカル系コンビニのフードコーナーは多彩です。おでんはもちろん、フライドチキン、ソーセージなど、立ち食いジャンクフードが大量にありますね。
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ゆでコーンやちまきがあるのも、ローカル系らしいです。前回、上海に屋台がなくなり、代わりにコンビニが中食の提供先になっているという話をしましたが、こうしたラインナップにそれがうかがえますね。
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最後に弁当やフードコーナーの食べ物をまとめて撮ってみました。ピリ辛おでんや中華そうざい2色弁当、とんかつカレーとドリンク類を選んでみたのですが、どうでしょう?
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正直な感想としては、これだったら安い食堂でワンタンとかぶっかけ飯でも食べたほうがいいかな、という感じでしょうか。
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スイーツ系もいろいろあったのですが、こちらは弁当以上にいただけませんね。見かけはだいぶ日本のコンビニスイーツに似てきたのですが、口入れると、うん? どうしてこういう味になってしまうのか。よくわかりません。

やはり弁当やスイーツといった中食は、中国に比べはるかに日本が進んでいることは間違いないようです。いまだに中国系エアラインの機内食はおいしくないのも、製造技術と工程に難があるからだと思います。

もっとも、PBフードに関してはいまいちのローカル系コンビニですが、日本より進んでいるサービスもあるのです。その話は、次回にしましょう。


多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25643288/
 
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 18:47 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた

今日も、上海出張の続きです。これまで上海のEC(ネットショッピング)が日本をはるかに上回る勢いで普及していることや、6月中旬にオープン予定の上海ディズニーの話、昨年ついに上海の訪日旅行市場で団体客の数を個人客が抜いた話などを書きましたが、今回は上海のコンビニの話です。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?
http://inbound.exblog.jp/25638388/
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今日の上海に住む人たちがどんな消費生活を送っているか。それを理解するうえで、コンビニ事情を紹介するのは意味があると考えるからです。インバウンドに関心のある人たちにとっても、中国人観光客の嗜好や行動について知るうえで役立つと思います。

①日系vs.ローカル系の構図も変化

さて、いま上海にはどのくらいの数のコンビニがあるかご存知でしょうか。

すでに6000店を越えるコンビニがあるそうです。上海のまちを歩いていると、東京と同じくらいの比率で、コンビニに出会います。「開いててよかった」は日本で初めてセブン・イレブンが営業開始した頃のコピーですが、いまや上海でも市民生活のインフラとなっているのです。

数でいうと、全体の4分の3くらいは地元中国のコンビニが占めますが、日系のコンビニも年々店舗数を増やしています。日系では、ローソンとファミリーマート、セブン・イレブンがあります。ただし、ファミマとセブン・イレブンは台湾系の資本で、数はファミマが約900店、セブン・イレブンが約100店、ローソンが2015年末現在で390店というところです。
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ローソン http://www.lawson.com.cn/
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ファミリーマート http://www.familymart.com.cn/
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セブン・イレブン http://www.7-11.com.tw/in/cn.html

なかでもファミマとローソンは積極的に出店を拡大しています。セブン・イレブンのみ、内部にいろいろ事情があり、伸び悩んでいます。これは先ごろの日本のトップが退陣した話とは関係ありません。

一方、ローカル系コンビニは、ここ数年減少傾向にあります。理由は、上海における高速度のECの普及とも関係がありそうです。上海の小売業は、コンビニに限らず、百貨店もスーパーも苦戦しているのです。

それでも、日系コンビニが出店を拡大している背景には、2000年代半ばくらいからの地下鉄網の急速な拡大で通勤圏が広がり、各地にベッドタウンができ、出店チャンスが広がっているからです。なぜローカル系は減少しているのに、日系は伸びているかというと、やはり販売している商品のクオリティが上海市民に評価されているからでしょう。かつてはローカル系に比べ高いといわれていた日本の商品も、上海市民の所得の向上により、いはゆる「日常買い」の対象になってきたのです。日系vs.ローカル系の構図にも変化が起きているのです。
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中国人観光客の「爆買い」の理由も、要するにこういう話なのです。彼らは、もはや日本の商品はそんなに高いとは感じていない。ローカル商品より高くても、品質がよければ日本の商品を選ぶのです。

②キラーコンテンツとしてのPB~弁当とベイカリー

日系コンビニのキラーコンテンツは、独自のプライベートブランド(PB)商品といえます。それは何かというと、専用工場でつくられる弁当やベイカリーです。少し前までは、日本人の感覚からすると、上海コンビニの弁当やパン類はわざわざ買って食べるものではありませんでした。はっきり言って、味が落ちるからです。安くておいしい食堂やレストランはいくらでもあるので、コンビニ弁当という選択肢は考えられなかったからです。

たとえば、上海ローソンのPBコーナーはこんな感じです。もう見かけは日本とほぼ変わりません。中身は日本と同じものもあるけど、中国オリジナルのものもたくさんあり、手にとって比べてみたくなります。おにぎりの具は日本にはない中華風調理肉が多いのが特徴です。
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いちばん大きな進化はベイカリーではないでしょうか。棚もおしゃれですし、上海オリジナルとしては、地元で人気のもちもち食感の通称「QQパン」が知られています。
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これはローソンのとんかつ弁当の「香炸猪排花式盒饭」(15.9元)。一見日本の弁当風ですが、中華そうざいが一品入っているのが特徴です。
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日本よりはるかに種類が豊富なのが、肉まんケース。広東式点心から紫芋入りまでローカルの味が楽しめます。 
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③カフェより安くコーヒーが飲めてくつろげる

上海の日系コンビニのありがたいところは、日本と同じドリップコーヒーが味わえることです。なにしろ上海のスタバはカフェラテが500円という世界。しかし、ローソンの場合、アメリカンコーヒー(8元)やカフェラテ(8元)、香港式ミルクティ(5元)、豆乳(3.5元)が味わえます。上海人は濃い目のブレンドがあまり好みではないようで、アメリカンしかないのがちょっと残念です。
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日本でもおなじみのセブン・コーヒーもあります。ただし、上海ではセルフでなく、店のスタッフがコーヒーメーカーでいれてくれます。
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ドリンク系も以前と違って、サントリー「ウーロン茶」以外にも、ローカル製品で甘くないお茶も買えるようになりました。
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アサヒやキリンなどの日本ビールも普通にあります 
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つまみ系も充実しているので、ホテルに帰って缶ビールで一杯のお楽しみもできるのはうれしい。
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④イートインが大繁盛!

上海のコンビニで特筆すべきことは、イートイン・スペースが充実していることです。特に朝と昼どきはイートインが大繁盛! 出勤前に小さなイートインで肉まんと豆乳の朝食をすませるというのは定番だそうです。
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昼もオフィスに帰って弁当を食べる人も多いですが、イートインのテーブルはほぼ占拠され、食堂のようなにぎわいです。
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どこでもそうだとはいえませんが、最近の上海の日系コンビニのイートインは広めで、日本のコンビニと変わらない清潔な店が増えています。日本でもイートインは増えていますが、もともとは台湾で古くから普及していて、4年前くらいから上海でも採用されるようになったそうです。
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その背景には、上海市の条例で屋台などが消え、中食の提供先がコンビニに移ってきていることもあるようです。実際、上海のコンビニでは、朝と昼の売上が高いそうです。

いまや上海コンビは、屋台に代わる中食ステーションとなりつつあります。これだけ豊富なPB商品が安価で提供されていることも大きいです。弁当は1個10元台なので、飲み物を買ってもレストランで食べるより割安です。だから、イートインがにぎわうのです。

もともと中国人は冷たい食事を好まないと言われていましたが、コンビニ弁当でもチンすれば普通に食べる時代になっているのですね。もちろん、これはあくまで経済先進地域であり、しかも味付けなどの食文化が比較的日本に近い上海の事情で、中国の他の地域ではまず当てはまらないことも知っておく必要があるでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 13:35 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 28日

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?

「上班买, 下班收 当日达, 当日用(出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える)」。
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3月中旬、上海の地下鉄車両内で見かけた中国のECサイト「天猫」の広告のコピーです。これは単なる煽り文句ではありません。いまの上海では、ECによる宅配サービスが社会に浸透していて、文字通り、「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況が実現しているからです。

上海の地下鉄には、ホームも通路も車両内も、さまざまなECサイトの広告であふれていて、政府広報を除くと、かつては大半を占めていたアップルやサムソン、高級ブランド系などの海外メーカーの広告よりも数の上では多そうです。7割がたそうではないでしょうか。

たとえば、これは「京東商場」(JD.com)というECサイトの広告です。
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またこれは「1号店」(Yhd.com)というサイトです。
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なかでも圧倒的な広告スペースを誇っているのが「天猫」です。3月はちょうど長い春節休みが終わったばかりの時期だったため、「新学期向け」商品の割引をうたう広告が出ていました。
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全車両「天猫」でラッピングされた地下鉄も走っているほどです。
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「天猫」とは、中国最大のネット企業「アリババ」が運営する越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」のことです。
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天猫国際(Tモールグローバル)
https://www.tmall.com/

「越境EC」については、先週発売された日経ビジネスの以下の特集で次のように説明されています。

個人輸入を含む、国境を越えて商品が取引されるECのこと。中国では、政府がECを使って海外製商品の個人輸入を促進する枠組みを2013年から段階的に制度化。一般貿易と比べて税率が低い、個人輸入の際に課せられる「行郵税」が越境ECにも課せられる。

越境ECサイトの運営会社が上海の自由貿易試験区などの「保税区」に倉庫を設置。そこに海外製商品を在庫し、ECサイトからの注文に応じて中国内の消費者に出荷する。海外から個別に消費者に直送する場合と比べて、保税区の倉庫への一括納入で輸送コストを抑えられる。中国国内の倉庫から出荷するため、配達時間も短縮できる。

課税逃れの並行輸入業者を締め出したり、品質の悪い中国製品に対する消費者の不満をガス抜きしたりするために導入されたと言われる。リスクは突然の税率変更。実際、2016年4月から一部の商品について税率が引き上げられると言われている
」(p30)

日経ビジネス2016.03.21 特集「100兆円市場 中国にはネットで売れ」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/031500264

つまり、いま上海では「天猫」を使えば、日本のドラッグストアで販売されているような商品などが、ECで手軽に購入できるというわけです。

同誌の特集では、中国のEC市場のランキングを載せていますが、「天猫」を運営するアリババが「2位以下を圧倒」しています。
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こうした中国のECビジネスの盛況ぶりについて、コンパクトにまとめられている記事をネットで拾ったので、全文を紹介します。筆者はジェトロの研究員です。

ECビジネス普及で再編期到来 中国流通業界の戦略とは(2015年12月19日 大西康雄(日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5758


中国で流通業界再編の新しいうねりが起こっている。その直接的な契機となったのは、第1にインターネットの普及=ECビジネスの急成長である。

マクロ経済統計では、製造業が軒並み不振な中、全社会小売総額は二桁増を続けているが、その内容を見ると、デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している。

これに対してインターネット小売市場(Eコマース)売り上げ額は前年比で40%以上の急増ぶりを示し、15年上半期の売り上げ額は1兆6140億元で全商品小売額の11%となった。中でも携帯電話などの移動通信デバイス使った移動Eコマースがその4分の1近くを占めている。

第2には、消費者行動の大きな変化がある。特に都市部では、日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景となりつつある。

再編の間接的契機となったのは流通業界自身が、消費需要の把握や業態の近代化で出遅れたことである。確かに家電などの量販店、コンビニなどの先進国型業態が急速に普及したが、規模拡大で利益額を拡大する旧態依然な戦略が主流を占めてきた。消費者の要求が多様化する中で利益率が縮小し、15年上半期には、大手小売企業101社中42社がマイナス成長となった。

業界の対応は様々だ。第1は、店舗数縮小による「損切り」タイプの対応で、健康・美容商品の採活(VIVO)、高級スーパーOleなどを展開している華潤グループが代表例である。

第2は、逆に経営悪化の他店を買収し規模拡大を図るタイプで、チェーンストア大手の北京物美グループがその代表例。同グループは、廉美、新華百貨、江蘇時代スーパーなどを傘下に収め、売り上げを伸ばしている。

第3は、Eコマースを取り入れた新業態を模索するタイプで、これは上記の例を含め業界全体で採用されている。ネット上に取扱い商品を展示し、実体店舗にその実物を置いて消費者に体験させ、注文を受けると宅配で届けるというO2O(Online to Offline)方式はその典型例である。すでにウォルマートは「速購」、華潤は「e万家」というサイトを立ち上げている。

中国の世界に例を見ない規模で進む都市化や消費の高度化は止まることがない。流通業界の挑戦も終わることはないであろう。


ここでも、中国の都市部で「日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景」となっていることが指摘されています。

それが可能となった背景には、アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスの普及があります。
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中国では国際的なクレジットカードを持っている人は多いとはいえませんが、こうした独自の決済サービスを広めたことで、ECの利用が日常化していったわけです。

コンビニなどはもちろん、ジュースの自動販売機などでも一部対応しているのを見かけました(これは余談ですが、上海では日本のように街中に販売機はほぼ置かれていませんが、地下鉄駅構内やホームにのみ置かれています)。
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しかも、その普及ぶりは、海を越えた銀座のドン・キホーテでも使えるほどなのです。

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

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実際、上海人の「ライフスタイル」にECは定着していて、高価な外国製コスメや靴、電化製品だけでなく、お弁当やトイレットペーパーなどの日用品まで宅配で届けられているようです。

それを実感する場面として印象的だったのが、上海の知り合いに案内してもらった大学で、学生寮のそばにECで購入した商品を受け取るための特設施設があったことでした。中国の大学生は、基本的に寮住まいです。1部屋に数人が共同生活している環境です。ところが、豊かになった彼らは、ECを使って日常的に買い物をしているのです。
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その大学は、毛沢東の像がいまも鎮座する華東師範大学でした。女子学生が多いことで知られる名門大学です。
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さらに、「饿了吗(おなかすいた?)」というサイトがあり、これは市内のどこにいても近所の飲食店からお弁当や飲み物などを宅配してもらえるECサービスです。今回知人のオフィスを訪ねたとき、このサービスでお弁当を宅配してもらって、一緒に食事をしました。これは中国国内の他の都市部でもかなり普及していて、いまや中国は「出前パラダイス」といえそうです。

饿了吗
https://www.ele.me/home/

同じような話は、前述の「日経ビジネス」の特集でも書かれていました。

上海市の高級住宅地に住む専業主婦の滕綺達さん(45歳)の自宅には、1日に7~8回、宅配便が届く。段ボール箱の中身は、洋服から生活用品、家電から生鮮食品まで様々。どれも滕さんがECで購入した商品だ。

滕さんは11歳と7歳の2人の子供を育てている。忙しい生活の合間にも、スマートフォンを使ってアリババやJD.comなどのECサイトで買い物ができる。中国のECでは、既に5割強はスマートフォンなどのモバイル端末経由の購入。2019年にはこれが7割に達する見込みだ。支払いには、アリババの「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを使用。現金で物を買う機会はほとんどないという。滕さんは、「そのうち、リアルの店舗なんてどこにもなくなるんじゃない」と笑う
」(p30)

この記事は、海外事情をよく知らない読者向けの、ある一面のみを調子よく取り上げた印象がぬぐえませんが、エピソード自体はいまの上海では特別なことではありません。

冒頭の「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況というのも、彼らが自分の勤めるオフィスに日用品の宅配を届けてもらっていることと関係あります。日本ではこうしたプライベートを職場に持ち込むようなことはちょっと考えにくいですが、彼らはそういうことを“気にかけない”文化といえます。つまり、そのような人が職場にいても、他人事として受け流すのが中国人社会なのです。これも中国でECが普及する背景のひとつでしょう。

こうしたことから、いまの上海では(中国では、とまではいえません)、日本に比べてはるかにECが身近なものとなっていることがわかります。

でも、話はそこで終わりません。

こうしたEC化の過度の促進は中国のリアル経済にとって良いこととはいえないと指摘する声は多いと聞きます。実際、前述のジェトロ研究者の記事でも「デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している」と指摘しています。ECがもらたす市場環境の変化から、これら巨大な売り場を必要とする業態が苦戦しているというのは世界的な現象ですが、中国は2000年代以降、いわば国を挙げた「不動産立国」と化してハコモノを量産し、GDPを増やしてきた国ですから、現状のように、全国どこでも高級ショッピングモールが閑古鳥という状況は、やはり心配なわけです。マクロ経済が不振となった根本的な問題が解決されているのではないからです。

それに、今回上海のECサービスのさまざまな便利さを体験し、その実情を垣間見てきたぼくがいちばん感じたのはこれです。

いったいECサイトで注文した商品を誰か運んでいるのか?

そりゃそうです。社会が便利になるためには、誰かがそれを支えているわけですから。そしてそれは、宅配便のバイク兄ちゃんたちなのです。 

実際、いまの上海の路上は、バイク便だらけです。彼らの多くは、建設労働が一段落したこの都市に居残ったと思われる上海戸籍を持たない地方出身者であることは間違いないでしょう。なぜなら、驚くほど安価でバイク便が運営されているからです。

この写真を見てください。いったい一度に何個の荷物を運ぼうとしているのでしょう。
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中国のECサイトを見ると、宅配手数料はわずか5~15元(100~200円)程度です。それで、利益を上げるためには一度にひとりが多くの荷物を運ばなければならないでしょう。ちなみに、日本のバイク便の料金相場をネットでみると、距離や重さで細かく料金が分かれていましたが、上海の10~30倍です。もちろん、ひとり1個が基本でしょう。人間ひとりの人件費で考えれば当然のことです。
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もちろん、中国にはたくさんの宅配業者があり、バイクだけが荷物を運んでいるわけではありません。問題はバイク便の彼らがどのような雇用条件で働いているかです。
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日本でもアマゾンの躍進は宅配手数料を引き下げています。しかし、それがどこまで可能かは、結局、荷物を運ぶ人たちの労働環境がどこまで担保されるかにかかっていると思われます。

それを考えると、中国のような地方出身者を外国人労働者同然に使える特異な階層社会でしか、現在上海で実現しているようなECサービスはありえないのでは、と思ったのも事実です。彼らのやることなすこと、持続可能性がどこまで考慮されているのか。それとも、彼らの存在はドローン宅配便が実現化するまでの時間つなぎということなのでしょうか?


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by sanyo-kansatu | 2016-03-28 09:52 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 27日

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた

今月中旬、上海出張に行っていました。これから少しずつ見聞を紹介していこうと思います。

まず軽い話から。今年6月16日、上海ディズニーリゾート(SDR)がついにオープンするそうです。以前は14年オープンと言っていたものが、2年遅れで実現します。
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いち早くオフィシャルショップがオープンしていました。場所は、地下鉄2号線「陸家嘴」駅下車、東方明珠塔と正大広場というデパートの間にあります。

店の前にプーさんのぬいぐるみのディスプレイがあり、お客さんたちが列をなして記念撮影に興じています。
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店内に入って正面には、SDRのメインキャッスルとなる「Enchanted Storybook Castle(魔法にかかったおとぎの城)」と名付けられた高さ60mとディズニー史上最大のお城のディスプレイがあります。
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店内は写真撮り放題で、いかにも中国らしい世界ですが、子供連れの家族や若い女の子たちであふれていました。昨年まで続けられた一人っ子政策で大事にされたこの国の子供たちは、わが世の春を迎えているという印象です。
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記念撮影や自撮りを楽しむ女の子たちもそこらかしこにいます。こっちの子たちは本気モードで自撮りしてしまう子も多いので、苦笑してしまいます。
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店内にはSDRのオリジナルグッズを販売するコーナーがあります。
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「アイラブシャンハイ」ロゴのついたマグカップやミッキー、ミニーのぬいぐるみ、Tシャツ、ピンバッジなどがありましたが、種類は少ないです。しかも、他の一般的なキャラクター商品に比べると、あんまり売れていない印象です。
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ショップの話はともかく、実際のSDRの中身はどんなものなのでしょうか。

上海ディズニーリゾート公式サイト
https://www.shanghaidisneyresort.com/

上海ディズニーランド 攻略ガイド 2016
http://tdrnavi.jp/tour/sdl/

上記サイトによると、「世界で12番目のディズニーパーク」「リゾートの総工費は55億ドル(6500億円) ※東京ディズニーシーは約3380億円」「リゾートの総面積は400haで東京(200ha)や香港(180ha)の約2倍の広さ(パークの広さではない)」「世界初となる『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマランド「Treasure Cove」が登場」などが特徴のようです。

実は知り合いに、SDRの設計や施工の一部を担当する上海の会社に勤める日本人の女性がいます。彼女によると「今回のオープンは1期工事なので、まだそんなに大きくありません。オーブン後も2期工事、3期工事と続き、結果的にアジア最大級の広さになる」そうです。

彼女に「今年の夏はすごく込みそうですか」と尋ねると「私は上海万博の混雑ぶりをイメージしています。ゲスト入場の仕組みがまだよくわからないのですが、TDRも夏はとても混んでいるので、こちらも同じように混雑するのではないのでしょうか」とのこと。

そして、こんなアドバイスをもらいました。

「もし日付指定のチケットやゲートで入場制限があるのならば、上海万博のときのような危ない感じのひどい混雑にはならないのかなと思いますが、それでもきっとアトラクションには長時間並ぶのではないかと想像しています。

ちなみに上海ディズニーもファストパスがあるようなので(設置した看板にファストパスマークがありました)、パークのまわり方は工夫できると思いますよ」。

ディズニー・ファストパス
http://www.tokyodisneyresort.jp/help/fastpass.html

さて、ちょうどぼくがSDRのオフィシャルショップを訪ねていた頃、日本ではこんな記事が出ていたようです。

15周年のUSJ、来場者急増 映画以外も取り込み躍進(朝日新聞2016年3月19日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3K4JWZJ3KPLFA004.html

開業15周年を迎えたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)の来場者が急増しているそうです。その理由として、同記事では「「クールジャパン」がテーマのアトラクションを展開するなど、USJは日本の若者文化の発信拠点に育った。漫画「ワンピース」「進撃の巨人」やゲーム「バイオハザード」など、幅広い作品をパークに取り込む。映画特化のこだわりを捨てたことが功を奏している」と解説しています。

さらに、同記事では以下のような興味深い指摘もしています。

USJ幹部が「尊敬の的」と仰ぎ見るのが、千葉県の東京ディズニーリゾート(TDR)。来場者は「ランド」と「シー」の両パークを合わせ、年約3千万人。USJの2倍超だ。

来場者の外国人比率をみると、TDRが6%で、USJは約10%と高い。関西空港への格安航空会社の相次ぐ就航を追い風に、アジアに近い地の利を生かす
」。

USJはアジア客の多い関西立地のテーマパークだけに、外国客比率が10%を超えているそうです。以前、大阪と東京のインバウンドの違いについて考察したことがありますが、ここ数年伸び悩むTDRと来場者を増やしているUSJの違いも、訪日外国人旅行者の動向を抜きにしては考えられないと思われます。

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる
http://inbound.exblog.jp/25315756/

もっとも、この記事によると、TDRの外国客比率は6%だそう。3年前に本ブログで以下のような記事を書いたことがありますが、年々わずかではあるけれど、TDRでも比率が上がっているのですね。

無敵の東京ディズニーリゾートも外国人客比率はわずか3%!?【2013年上半期⑧テーマパーク】(2013年 07月 24日)
http://inbound.exblog.jp/20769803/

HPで公開されている「ゲストプロフィール」では2014年までの数字(外国客比率5%)しか出ていないので、「6%」というのは、2015年の数字だと思われます。

ゲストプロフィール(TDR)
http://inbound.exblog.jp/20769803/

ところで、SDRのオープンは、日本のテーマパーク集客にも、なんらかの影響を与えたりするものなのでしょうか。

こればかりはしばらく様子を眺めてみなければわかりませんが、先ごろ発表された値上げのため、平日はTDRのチケット代はSDRより高くなったとはいえ、週末や夏休み(7~8月)はSDRのほうが高そうです。

上海ディズニーランドのチケット価格が決定!土日祝は9,000円
http://tdrnavi.jp/blog/5181

「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」チケット価格改定(2016年4月1日実施)
http://www.olc.co.jp/news/olcgroup/20160208_01.pdf

いまの時代、価格優位性は上海より東京にあるのですね。あとは、よく指摘されるSDRの運営の問題でしょうか。オフィシャルショップで見られたような、海外ではありえない光景が現出するであろうことは想定内の話でしょう。意外と地元では冷めているという声も聞きます。上海の多くの消費者は、すでに日本旅行を経験済みなので、TDRの世界を知っているからかもしれません。

もっとも、中国の内陸都市は膨大な人口を抱えていますから、集客という観点では世界最大の市場規模であることは変わりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-27 10:48 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 02月 24日

重慶は坂道と階段のまち。香港によく似ています

ここはどこだと思いますか?
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中国内陸部にある重慶です。階段を下りていくと、嘉陵江という河のほとりに至り、目の前には三峡クルーズの客船が停泊しています。
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上を見上げるとこうです。
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周辺は巨大な高層マンション群です。この感じ、どこかで見たことがないでしょうか。そう、香港にとてもよく似ているのです。そういえば、九龍側にある有名な雑居ビルが重慶(「チョンキン」とここでは広東語)マンションと呼ばれていましたね。ビルの見かけもよく似ています。
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人口約3000万人を抱える重慶は、長江沿いの起伏に富んだ山がちの地形が続くにもかかわらず、高層ビルだらけです。よくもまあこんな場所に都市を建設したものだと思います。当然、そこらじゅうが坂道と階段だらけです。
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古い街区(住宅地)も階段がないところはほぼありません。
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これは山をくり抜いてつくった有名なエスカレーターで、繁華街から重慶駅まで所要3分(料金2元)でつないでいます。
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起伏の大きい都市の東西南北を貫くようにモノレールが走っています。現在、4路線あり、空港や高鉄(新幹線)駅ともつながっているので、市内の移動はとても便利です。
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ここは長江と嘉陵江が合流するポイントにある朝天門広場からの眺めです。この周辺から三峡クルーズの客船が出航します。
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現在、広場の裏は再開発の真っただ中で、将来はこのようになるそうです。
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最後に、重慶がいまほど発展していなかった当時、長江を渡る貴重な交通手段で、唯一現役で運行しているロープウェイ(長江索道)の写真です。いまは長江の夜景を見るための観光スポットになっています。
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香港同様、このまちに暮らす人たちの大半は高層マンションに住んでいるはずです。そのような環境に暮らす人たちが海外旅行に行こうというとき、どんなものを求めるものなのか。現地の人たちと何人か知り合ったので、今度じっくり話を聞いてみようと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-24 16:44 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 02月 24日

重慶火鍋は食事というより格闘だ

重慶といえば火鍋が名物です。山椒とトウガラシがどっさり入ってグツグツ煮えたぎっている本場の激辛スープは、口に入れるとすぐに舌がしびれ、味も何もあったものではありません。
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ですから、ぼくにとって火鍋は食事というよりまさに格闘です。汗は半端なく吹き出す。鼻水もあてどなく出る。テーブルの脇にはすぐに鼻水をかんだティッシュの山ができてしまうほど。間違って器官にトウガラシが入り込むようなことになれば、咳き込んでむせび返ってしまう…。それでも、食べ続けるのは、闘志をかきたてられる体験だからなのです。

ところが、地元の人たちは涼しい顔をして鍋をつついているのだから、驚きです。
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しかも、真冬でもコートを着たまま野外で鍋をつついているのです。
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重慶の旅行会社の知人に聞くと、重慶人は冬でも夏でも、たいてい週に1回くらいは火鍋を囲むそうです。スプリングジャパンの成田・重慶線で隣の席にいた地元の女子大生も「日本に1ヵ月くらい滞在していて、重慶に帰ったらまず食べたいのは火鍋」と話していました。これほど刺激の強い料理を食べるとホッとするという感覚は、ぼくにはまったく理解できないものです。

もともと重慶は長江沿いの山がちの地形のまちで、荷を運ぶ底辺の労働者たちが食べてきたのが、この激辛火鍋の起源だそうです。臓物などの素材が多いのもそのためです。四川省全域に火鍋はありますが、成都の味は少しマイルドで、やはり重慶がいちばん強烈のようです。

実際、重慶は火鍋と坂道のまちだと思いました。街中いたるところにこのふたつがあるからです。坂道の話はまた別の機会に。

重慶は坂道と階段のまち。香港によく似ています
http://inbound.exblog.jp/25388159/

中国独立映画の張律監督作品『重慶』の冒頭に火鍋屋が出てきます。地元のヤクザが高利貸しにはまって金を返せない男を脅してリンチする手段として、その男の腕をつかみ、煮えたぎる火鍋のスープに手をぶちこみ、火傷を負わせるというシーンです。今回、初めて火鍋屋に来たとき、「これがあの火鍋か…」とそのシーンを思い出して、一瞬ブルッとしてしまいました。
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結局、地元の人に連れられ、よせばいいのに、2回も火鍋に行ってしまいました。最初の1軒は観音橋という繁華街にある火鍋屋。お店の中は普通の食堂風です。知人はぼくのことを気遣って、激辛スープと清淡スープの2種類を選んでくれました(冒頭の写真)。

重慶最後の夜に行ったのは、屋台風の火鍋屋でした。
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実際、みなさん本当に楽しそうです。若者のグループもいれば、おっさんグループもいる。
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重慶火鍋はスープに味がついているのですが、タレとしてごま油に、にんにくのすりおろしと香菜(パクチー)を入れたりするようです。
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これが煮えたぎる前のスープです。どす黒くてすごいでしょう。
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翌朝、ホテルに近い街区の朝市を訪ねてみました。調味料売り場に行くと、火鍋のもとがたくさん売られていました。
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火鍋に限らず、いろんな料理のもとがあるようです。
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要はこれをカレーのルーのように鍋に水を入れて溶かして沸かすのです。
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いろいろあるうち、「最好(いちばんいい)」と言われたのがこれです。確か13元くらいでした。見た目もカレーのルーのようです。一応お土産に買って帰ったのですが、まだ使ってみる勇気はありません。
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重慶や成都の旅行関係者らといろんな話をしたのですが、彼らは一様に「日本の食事には味がない。やっぱり食は四川のほうが上」と、なぜか申し訳なさそうに言うのです。ちょっと待って…。そうぼくは心の中で思いました。普段からこんなに刺激の強いものを食べていたら、日本の繊細な味がわかるわけないでしょう。

でも、それはあえて口にはしませんでした。言っても詮無いことだからです。ただ彼らにも理解してほしいと思うのは、自分の味覚を唯一の基準にしていると「井の中の蛙大海を知らず」になってしまいますよ、ということ。

ある重慶人は言いました。「親戚に調理人がいて、彼は以前アフリカで店を開いていたのだが、最近中国に戻ってきた。その彼が日本で四川料理レストランを開いたら、儲かるんじゃないかと言うんです。どう思いますか?」。

ぼくは答えました。「日本人は基本的に四川料理の「麻(ma)=しびれる」が苦手です。有名な四川料理店は「麻」を抜いた味付けで成功しています。確かに、東京とその近郊には在日中国人80万人の半数近くが住んでいますから、彼らを相手に本格的四川料理店を開くという手はあるかもしれませんけど、一部の日本人を除くと、刺激が強すぎて口に合わないのではないか。日本人が好きなのは広東料理なんですよ」。

彼は「なるほど」と納得していました。

今回、ぼくが成都に来て、興味深く思ったことのひとつが、チベット族の姿をまちで多く見かけたことです。で、ついチベット料理店に入った話をすると、成都の人は「せっかく成都に来たのに、チベット料理なんて…」と言うのです。まあこれは、日本に来た外国人が大久保のコリアン街で韓国料理を食べたという話に似ていますから、当然なのかもしれません。

でも、はっきりいえることは、食に優劣はないことです。土地ごとに固有の素材や調理法、好みの風味があって、人によって口に合うか合わないかというだけなのですから。そういう「普遍的」な価値観がいまだに身についていないことが、海外で支障をきたしている理由のひとつだということに彼らが気づくのはいつの日でしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-24 10:21 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 01月 17日

中国の台湾人アイドルへの謝罪強要が総統選挙に影響!?

2016年1月16日、台湾総統選挙が投開票され、民進党の蔡英文主席が当選しました。

すでに早い時期からこの結果は予想されているものでしたが、投票日の午後、日本薬粧研究家の鄭世彬さんからこんなメールが届きました。

「実はここ数日、台湾で炎上している事件があり、昨日(1月15日)はそのピークに達しました」

彼とはいま、一緒に単行本の仕事をしていて、そのメールのやりとりの文中にあったものです。ちなみに、来月13日に彼の日本での最初の著書(『爆買いの正体』(飛鳥新社))が刊行される予定で、ぼくは本文の構成を担当しています。

「韓国のアイドルグループに所属している16歳の若い台湾人(周子瑜)が中国のプレッシャーによって謝罪する映像を公開させられたのです。

これを見た台湾の世論、特に若い世代の間で、反中、反韓の感情が強烈に盛り上がっています。韓国の芸能事務所は、なぜ責任を若い子に押しつけたのか。あまりにも卑怯ではないかというわけです。

私のFACEBOOKでも、ここ数日この事件への評論ばかりです。

今日の選挙は緑(民進党)が勝つだろうと思います」。

この事件については、韓国や日本のメディアも報じています。

TWICEツウィが台湾独立主義者? JYP側「政治的観念を論じるにはまだ幼い」(中央日報2016年1月15日)
http://japanese.joins.com/article/824/210824.html

この記事によると「ツウィ(周子瑜)はMBC(文化放送)の芸能バラエティ番組『マイリトルTV』に出演して台湾(中華民国)の国旗を振ったが、これに対して中国の作曲家ファンアンが「ツウィは台湾独立主義者でないことを証明しなければならない」と主張して問題が大きくなった」と、謝罪に至る背景を説明しています。

そして、これが問題の謝罪映像です。

쯔위 공식 사과 / 周子瑜公开致歉(2016/01/15)
https://www.youtube.com/watch?v=t57URqSp5Ew

これに台湾の世論が強く反応したのです。YOUTUBEで彼女の名前を入れて検索してみたところ、中国に対する怒りを伝える動画が次々に見つかります。

周子瑜道歉全台人震怒 藝人開砲聲援│三立新聞台
https://www.youtube.com/watch?v=gdmkOGhWe9k

こういう外国人に中国への反発を仮託して語らせるバージョンもあります。

老外看周子瑜事件: Unite We Stand Divide We Fall
https://www.youtube.com/watch?v=Xl6-o3woKd4

民進党の蔡英文主席や国民党の馬総統にもメディアはマイクを向けていますが、馬総統も「彼女は謝る必要はなかった」と明言しています。

周子瑜事件 蔡英文:嚴重傷害台灣人民的感情
https://www.youtube.com/watch?v=rvoPq_igpn8

周子瑜事件 馬英九:她沒有必要道歉
https://www.youtube.com/watch?v=_ooFBIeuVME

選挙結果の出る直前の16日の夕刊には日本のメディアもこの件を報じています。

台湾人アイドル「私は中国人」 独立派と非難され謝罪(朝日新聞2016年1月16日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1J1BVBJ1HUHBI038.html

韓国のアイドルグループ「TWICE」で活躍する台湾人、周子瑜さん(16)が台湾独立派と非難され、所属事務所が15日、周さんが「私は中国人であることを誇りに思う」などと語る謝罪ビデオを公表した。台湾では強い反発が出ており、16日投開票の総統選にも影響が出るのではとの指摘が出ている。

台湾メディアによると、周さんは韓国のテレビ番組に出た際、韓国の旗と台湾を実体的に統治する「中華民国」の旗を掲げた。これが、中国で活動するほかの台湾人芸能人に「台湾独立派」と非難され、中国のテレビ出演取り消しなどの動きが広がっていたという。

だが、「台湾と中国は別」と考える人が増えている台湾では、周さんが中国の圧力で謝罪を強要されたとの見方が強い。台湾人としてのアイデンティティーを踏みにじられたとの受け止めで、親中路線を採った馬英九(マーインチウ)政権の与党・国民党にも批判の矛先が向けられる。投票で怒りを示そうという声も上がる。

国民党の総統候補、朱立倫主席は交流サイト・フェイスブックに「16歳に対してこれはひどすぎる。周さん、帰っておいで」と書き込むなど、火の粉を払うのに懸命なようすだ。(台北=鵜飼啓)


今朝、鄭世彬さんから次のようなメールが届きました。

「選挙結果は予想通りに緑が勝ちました。国民党はもともと勝ち目がなかったのに、アイドル謝罪事件はまさに致命的な一撃となりました。多くの台湾の芸能人が民進党を応援し、みんなに投票に行こうと呼びかけたからです。

でも、ちょっと気になるのは、今回の事件によって台湾で反中の若者が激増したと思われることです。これによって中台関係の適切なバランスが崩れてしまうことを懸念しています」

穏健な親日家の鄭さんの心配はよくわかります。

ぼくも同じことを感じていました。日本のメディアも、むしろ台湾の盛り上がりを気にしているようです。

中台、静かな緊張 蔡氏圧勝、議会も民進党過半数 台湾総統選(朝日新聞2015年1月17日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12163290.html

以下は、ネットでは読めないようですが(紙面のみ)、朝日の中国総局長は「中台のきしみは避けられない」と題された解説文の中で、中国側に「「台湾人の台湾意識」といった微妙な感情を感じ取る繊細さはない」「台湾の民意を直視するよう求める国際社会の声に対しても反発しかない」と書いています。これが現実です。

鄭さんは以前、台湾で反国民党、反中の意識が強いのは比較的高年齢層で、若い世代はそれほどではないと指摘していましたが、今回のことで状況が少し変わってきたのかもしれません。1996年に李登輝国民党主席が台湾初の民主的な総統選挙に勝ったときも、中国が台湾海峡をミサイルで威嚇したことの反発が大きかったのですが、この投票前の敏感な時期に、なんと愚かなことをしでかした中国人の音楽家とやらがいたものです。これに見る鈍感さ、頑迷さこそ、残念ながら、いまの中国人の平均的な態度です。ぼくもそれはよく知っています。知っているからこそ、今回の成り行きを手放しでは喜べないのです。

今後、台湾がどんな困難にさらされるか気になるところですが、冷静に関心を持ち続けていく必要がありそうです。

【追記】
その後、また鄭さんからメールが来て、この作曲家というのは、もともと台湾生まれだそうで、現在は中国に活動の拠点を移しているのだとか。いま台湾メディアは、この人物がすでに中国国籍を取得しているのではないかと報じているそうです。

それにしても、このタイミングの悪さといい、この男はむしろ国民党を負かせるために確信犯的にやったのではないかと思えるほどです。もしそうでないなら、粗忽にもほどがある。でも、こういう周りが見えず、逆効果なことしちゃう人、中国によくいるんですよね。

この作曲家の中国版ブログ(微博)は現在、コメントができなくなり、本人の投稿も削除されたそうです。いま頃、彼は中国当局からお仕置きされているのかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-17 13:03 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)