ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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カテゴリ:気まぐれインバウンドNews( 114 )


2014年 12月 13日

ラーメン博物館の「グローバルスタンダードラーメン」って何?

ここ数年、国内のいろいろな観光施設が訪日外国人対応を進めています。

たとえば、横浜のラーメン博物館。ここは早い時期から海外向けのプロモーションなども積極的に行ってきたことで知られています。

ラーメン博物館「世界化」戦略展開中

新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)が「世界化」戦略を次々と打ち出している。朝日新聞2014年11月6日によると、フレンチテイストのラーメンを提供するNARUMI-IPPUDOが10月末にオープン。目玉はブイヨンと和だしを融合させたスープにローストビーフやレッドオニオンをトッピングした「コンソメヌードル」(期間限定)だ。

昨年7月からムスリムやベジタリアン向けの「グローバルスタンダードラーメン」も開発。肉や魚、アルコールをいっさい使わないラーメンを館内9店舗中6店舗で提供している。開館20周年を迎えた同館は、2000年代初め頃から外国人客の集客に取り組んできた。タイなど東南アジア市場は観光ビザの緩和や円安の影響で好調。13年の外国人客数は過去最高の15万人を突破した。

「グローバルスタンダードラーメン」とは、ずいぶん仰々しいネーミングですが、いろいろやりますねえ。同館は将来海外展開も検討しているそうです。

こういうのもありました。

トヨタ産業技術記念館、過去最高の人出

トヨタ自動車グループのものづくりの歴史を伝える博物館「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)が過去最高の人出だ。朝日新聞2014年11月24日によると、同館の来場者数は開館後10年間は年10万人程度にとどまっていたが、05年の愛知万博効果で30万人4000人に跳ね上がった。その後は再び伸び悩んだが、13年は30万9000人と過去最高となった。14年は10月末時点で31万1000人という。

好調の原動力は外国人観光客だ。自動織機の実演展示がトリップアドバイザーで話題になり、14年の「外国人に人気の日本の観光スポット」で28位に選ばれた。東海地方では、早くから産業技術や歴史を伝える「産業観光」に力を入れていた。愛知万博をピークに尻すぼみとなっていたが、訪日外国人観光客の増加という新たな追い風が吹いている。

最近、訪日観光関連のニュースが増えていると実感します。こういう記事を読むたび、近未来の日本は日本人だけでなく、外国人と一緒に旅を楽しむ国になっていくのだなと思います。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-13 12:28 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 10月 24日

円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大

10月22日に発表された恒例の日本政府観光局(JNTO)の月別訪日外客数統計をうけ、朝日新聞2014年10月23日はこう報じています。

2014年9月訪日外客数統計
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/141022_monthly.pdf

「円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大」

「日本政府観光局が22日発表した4~9月の訪日外国人は686万人で、過去最高だった前年の同じ時期を25.3%上回った。この1年で1ドル=98円台から107円前後に進んだ円安を追い風に、9月は韓国、中国、米国など16の国と地域からの訪日客が過去最高に。買い物目当ての人が多い中国人客が、全体の数字を押し上げた」

「外国人の増加は、4月に消費税率が8%になって鈍りがちな国内消費には、数少ない明るい材料だ」

「日本銀行の試算によると、近畿地方では今年度、百貨店の売上高に占める外国人客の割合は3.6%、家電量販店が3.4%で、いずれも11年度の2倍以上になったという」

「だが、外国人客の恩恵は全国どこでもとはいかないようだ。日銀が各支店に聞いたところ、「観光客の数が増えているのは一部にすぎない」(釧路、新潟、甲府支店)との声があった」

記事のポイントは、①円安を背景に今年も過去最高の訪日外客数となりそうなこと。②一方、外客の消費力がとかく喧伝されるわりには、百貨店や量販店などでも外国人比率はようやく3%越えした程度であること(もちろん、国内消費が減っているぶん、それを補ってくれる存在という意味で期待されるのは当然のことですけれど)。③恩恵を受けているのは、全国でも一部の大都市圏に限られていること、でしょうか。

さらに、同紙はこう述べています。

「貿易統計(速報)では、輸入額が輸出額を上回る貿易赤字は上半期としては過去最大の5兆4271億円だった」

「原発が止まって火力発電の燃料の輸入量が増えた一方で工場の海外移転が進み、円安が追い風になるはずの輸出量が伸びず、赤字が膨らむ」

「円安明暗くっきり」とはこのことです。

「日本と海外のお金の出入りの全体像を示す財務省の国際収支をみると、今年4~8月に訪日外国人が日本で使ったお金は8千億円余りで、10年前より5割超増えた。日本人旅行者が海外で使ったお金と差し引く「旅行収支」はこの10年で1・1兆円余り改善した」

ここでいう「1・1兆円」は、いまだに外国人が日本で使うお金より、日本人が外国で使うお金のほうが多いという意味です。

「同じ時期の貿易収支は4.9兆円の黒字から4.5兆円の赤字に9兆円も悪化。日本と海外のお金の出入りの帳尻を示す経常黒字大きく減らす原因となっている」

はたして円安は日本経済にとっていいことなのか? 誰の立場でみるかによっても結論は変わってくるのでしょうが、訪日外国人の増加の恩恵を経済効果としてみるだけでは判断を誤ると思います。むしろ円安でも輸出が増えない現在の日本経済の構造問題について議論を深めてもらいたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2014-10-24 09:29 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 19日

やれやれ「中国客が都内の質店でブランド品を転売目的で買い付け」だってさ

これまで中国人観光客の“爆買い”の光景を繰り返し報じてきた朝日新聞が2月13日の夕刊で「中古買い付け 万来中国人 『日本なら本物』ブランド品求めて東京へ 転売目的 高額まとめ買い」と書いています。
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「東京都内の中古ブランド品店で、常連の中国人が増えている。転売目的の買い付け人だ。日本人の鑑識眼に信頼を寄せ、時計やバッグを買い込んでいく」。

「東京・歌舞伎町近くの中古ブランド品店。1月下旬の平日午後、中国・遼寧省出身の男性(25)が、中古のエルメスの高級バッグ「バーキン」を買い、即時決済できる中国のデビットカード「銀聯カード」で139万8千円支を払った。北京に持ち帰り、1割弱の利益を上乗せして売るという。男性は約1年前に買い付けの仕事を始め、毎月のように来日する。今回は千葉県内のホテルに3泊し、新宿のほか、銀座や池袋など複数の中古ブランド品店をはしごし、高級バッグや高級時計「ロレックス」など数千万円分を買い集めた」。

その男は「日本なら海賊版をつかまされない。持ち帰れば確実に買い手がつく」と話したそうです。

「買い付け人は中国人を中心に、都内で1年ほど前から目立ち始めた。新宿駅東口にある大黒屋新宿本店では、中国人を中心とした外国人への売上が全体の5割を超え、増え続けている」。

こうしたことから、大黒屋の「従業員は、無料でメールができるLINE(ライン)を駆使し、客の注文に応じる。時計なら数点~十数点を数百万~数千万円でまとめ買いする中国人が多いという」「大黒屋の小川浩平社長は『日本では、有名ブランドの中古品が多く流通していて、お目当ての本物をほぼ確実に購入できる。真贋鑑定に厳しい日本の質店への信頼は高い』と胸を張る」のだとか。

「日本製への信頼を意味する『メード・イン・ジャパン』になぞらえ、買い付け人の間では最近、日本で鑑定された品がこう呼ばれている」「チェックド・イン。ジャパン」。

やれやれ……。まだこんなことやっているんですね。

訪日中国人に限らず、都内の特に夜のお店で働く華人女性たちが、大黒屋やコメ兵(こちらのほうが有名かも!)といった歌舞伎町近くの質店で中古のバッグや時計、化粧品(こちらは中古ではありません)をよくまとめ買いしているという話はずっと前から聞いていました。おそらく彼女たちの情報が中国に口コミで広がり、買い付け目的で来日する中国人が現れたということでしょう。
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これは数年前、日本の骨董屋に大挙して中国人が押しかけたのと同じ話でしょう。彼らは戦前期に日本に持ち込まれた中国の骨董(絵画や書、清朝の陶器など)を全国の骨董店を訪ねて買い漁り、中古ブランド品と同様、利益を上乗せして中国で転売していたのです。

なぜメイドインジャパン好きの中国人がメイドインチャイナの骨董を高値で買うのか?
http://inbound.exblog.jp/19743450/

東日本大震災の起こる直前の2011年2月下旬、東京ドームホテルで開かれた中国骨董オークションの会場に足を運んだことがあります。ホテルの外に横付けされた何台もの大型バスから降りてきた中国の買い付け人たちは、オークションで競り落とした高額な骨董を日本円のキャッシュで支払っていました。なかには数千万円相当の品もあり、それを競り落とした中国の中年男性は、見せびらかさんばかりの手つきで1万円の札びらを切って、若い日本の女性スタッフに手渡すのです。海外では「品がない」と嫌悪される、この「札びらを見せる」という行為が、中国人にとっては信用においても面子においても重要だからですが、まさに俗物の権化のように見えてしまいます。
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それにしても、一部の日本のメディアは、この手の話題がお好きなようです。日本人のサラリーは減る一方なのに、中国人はいまや金持ち! 日本は追い抜かれたとばかりに、ことさら彼らの破格の購買力を強調してみせるというメディアの送り手たちの自虐的、あるいは屈折した心理にはいたたまれない気さえします。こんな風に中国人のふるまいを報じてみても、所詮「好ましからざる中国」イメージにつながるネタの一ジャンルにしかならないわけで、後味が悪いですね。

考えてみれば、戦前期には多くの華人を通じて中国骨董が売り払われたからこそ、多くの品が日本にあるわけで、今度はそれを買い戻しに来ているという話。モノづくりではなく、すでにあるモノの価値を理屈をつけてつり上げ、上乗せしたうえで転がせ、利益を得るという商いの作法は、中国人のDNAに刻まれたごく自然な営みなのでしょう。そういう彼らが、今度は欧米産の中古ブランド品に目を付けたということです。

ここは「よくやるよね」とは突き放してみるほかありません。

そんな彼らにこそ、「エコノミック・アニマル」の称号を授けたいと思います。せいぜいたくさん買い上げてもらいましょう。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-19 10:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(1)
2014年 02月 09日

東京オリンピックとインバウンド、期待と懸念

東京オリンピックの開催が決まり、訪日外国人旅行市場(インバウンド)の行方に関心を寄せる人たちの期待感が盛り上がっています。

「業界『五輪特需』期待」(毎日新聞2013年9月10日)では、「2020年の夏季五輪開催が東京に決まり、産業界は『五輪特需』に大きな期待を寄せる。競技施設建設や交通網充実などのインフラ需要に加え、外国人観光客増加も見込めるからだ。また、選手村が建設される東京湾岸エリアは開発ブームが加速する期待もある」と報じています。

同紙は、「東京五輪開催による主な業界の経済効果」として、以下のSMBC日興証券の推計値を挙げています。

■東京五輪開催による主な業界の経済効果

サービス産業(宿泊、観光、外食など) 7667億円
食料品 4968億円
建設業 3106億円
繊維製品 2958億円
電気機器(家電、メーカーなど) 1392億円
小売業 663億円
不動産業 629億円
(SMBC日興証券の資料による)

そのうち効果が大きいと見込まれる「建設・不動産」「観光・宿泊」「スポーツ用品」の3業界を取り上げたうえ、「観光・宿泊」産業について、「五輪開催時に観戦ツアーなどで訪日外国人が大幅に増えるのは確実で、観光業界では『最大のチャンス』(プリンスホテル)と早くも顧客獲得作戦を練り始めている」と報じています。

月刊レジャー産業2014年1月号では、特集「東京オリンピックへの期待―成熟社会における『インフラ開発』『インバウンド』戦略のあり方」を組み、同誌が扱う2つの関連業界の今後について、特集リードの中で以下のように述べています。長いですが、よく整理されていると思うので、書き出します。
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月刊レジャー産業
http://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/

「2014年が幕を開けた。

いよいよ、6年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けたさまざまなプロジェクトが動き出す。

オリンピックスタジアムとして、開・閉会式や陸上競技などの会場となる国立霞ヶ丘競技場(国立競技場)の改修計画が議論を呼び、さらには猪瀬直樹・東京都知事の疑惑が勃発したことで2月に予定される組織委員会立ち上げに混乱が見られるなど、一部に懸念もあるが、官民あげた準備の動きは徐々に活発化していくだろう。

2020年7~8月にかけて17日間開催されるオリンピックと、8~9月にかけて13日間開催されるパラリンピックは、期間中はもとより、準備期間においえてもその社会的・経済的な効果が期待されている。このうち、数量化が可能な経済効果は約3兆円を見込む。競技施設をはじめインフラ整備に関わる建設・不動産や、対人接客に直接的にかかわる観光・飲食・セキュリティなど各種サービス業などを中心に、期待をかける事業者は多い。

ただ、忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である。

そこで本特殊では、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う効果を踏まえ、特に、『インフラ開発』と『インバウンド』の拡大を切り口に成熟社会で開催される世界的イベントへの取り組みについて探ることとした。

『インフラ開発』については、厳しい財政事情が続くなか、国や地方自治体、民間事業者が密接な連携を図ることで、民間の自由なアイデア・知恵・技術・資金などを活用したPPP(Public Private partnership)導入の可能性を模索していくことが求められる。東京は招致に際して、基金として約4000億円を積み上げている点を強調し、盤石な財政基盤が評価されたことは確かである。しかし、開催に伴う関連施設や道路などのインフラ整備は、都内にとどまらず首都圏を中心に活発化していくことが見込まれるうえ、老朽化し、更新時期を迎えたインフラの再構築も全国的に喫緊の課題であり、PPPの必要性は高まっているといえる。

一方、日本が世界各国に比べ立ち遅れている外国人旅行客の誘致=インバウンド拡大については、東京オリンピックを飛躍に向けた大きなチャンスにしたい。都内をはじめ首都圏でのホテルの新設、改修はすでに動き出し、旅行・小売業者も受け入れ体制の拡充を進めているが、多言語対応や決済システムの整備といったソフト面を中心に、そのほかの観光・レジャー・サービス事業者の対応強化も急がれる。インバウンドが拡大することで、ビジネスも含めた人的交流も活性化し、さらに魅力ある国際都市へと成長できるはずである。

東京の、そして日本の潜在力を引き出す大きなチャンスを得たことを肝に銘じ、観光政策を担う行政と、最前線でサービス提供にあたる民間事業者が一体となった取り組みが推進されることを期待したい」。

まったくおっしゃるとおりで…という内容ですが、同誌の挙げる「インフラ開発」と「インバウンド拡大」に対する関心の大きさを、報道の扱いで比べる限り、前者のほうが高い気がします。経済規模が明らかに違うだけでなく、ハコモノづくりのほうが話がわかりやすいからでしょうけれど。

「20年五輪、東京決定 羽田・成田発着を拡大 インフラ整備前倒し 鉄道・高速道路も」(日本経済新聞2013年9月10日)では、「首都圏の交通インフラの整備」を取り上げ、「羽田と成田の両空港で発着できる便数を増やすため、航空機の東京都内の上空飛行を解禁したり、滑走路を増設したりする案が浮上。政府は高速道路の整備や更新も急ぐ。訪日外国人の急増や経済活動の盛り上がりを見据え、東京の国際都市としての地位向上にもつなげる考え」と報じています。

目玉は「羽田の滑走路増設や成田と羽田を結ぶ『都心直結線』の整備」。特に後者は「東京・丸の内地区の地下に新東京駅をつくって両空港をつなぎ、空港までの時間を大幅に短縮する計画」で、これができると「東京から羽田まで平均30分前後かかるのが18分に、成田には55分程度かかるのが36分に短縮する」といいます。

さらに、「東京湾岸 カジノ構想再燃」(産経新聞2013年10月8日)では、「観光客を呼び込み大きな経済効果があるとされるカジノ構想が熱を帯びてきている」と報じています。

同紙は、報道当時の猪瀬都知事が提言した「カジノのメリット」として以下の4点を紹介しています。

■猪瀬都知事の考えるカジノ合法化によるメリット

①レジャーを含む産業が増え、課税ベースが拡大
②非合法カジノによるブラックマーケットを防止
③地方の独自財源の創出
④公営ギャンブルの収支の使途の見直し

「複合観光施設 どう整備 カジノ中核 国に管理委 超党派で新法案提出へ」
(日本経済新聞2013年10月21日)でも、「カジノを中核」とした「複合観光施設(Integrated Resort=IR)」を推進する動きが活発になっていることを報じています。

IRとは、「会議場や展示会場、宿泊施設やカジノ、ショッピングモールなどを含む複合施設」のこと。「日本の展示会場の面積は米国や中国などに比べてかなり狭い。さまざまな施設を複合的に整備して観光客を呼び込み、雇用や税収の拡大につなげる考え」だといいます。

課題となっているのが、カジノの「負の側面」です。「賭博を禁じる刑法との関係だけでなく、犯罪の温床になるのではないか。未成年への悪影響はないのか、賭博依存症になる人が増えないかなどの懸念」があるのです。

そのため、超党派の国会議員連盟が提出するIR法も、「2段階で整備する方向だ。現在準備中のIR推進法案は、IRの位置付けや理念などが盛り込まれる予定。規制や監督、カジノ運営のより具体的な制度は、IR推進法案の施行後2年以内に制定するIR実施法で定める」(2013年6月、日本維新の会が提出した法案の場合)といいます。

「負の側面」の拡大を防ぐために、民間事業者と「反社会勢力とのつながりがないかなど厳しくチェック」し、「犯罪者や未成年者の入場を防ぐ仕組み」も導入。「賭博への依存症を防ぐための教育やカウンセリング」もアメリカの制度を手本に検討されています。

カジノ誘致の動きは、東京以外にも沖縄や大阪でも検討されているようです。

※その後、13年12月5日にカジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案が国会に提出されました。

カジノ法案:自民党など国会提出-1兆円市場実現に向け前進
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MX6O616JIJX401.html

さて、こうして半世紀ぶりの東京オリンピック開催への期待が高まるなか、「五輪の効果は本当にいいことだけか」(日本経済新聞2013年9月28日)という観点も当然のことながら必要でしょう。

同紙によると、「2020年東京五輪までの経済効果は試算方法によって大きな幅がある」と指摘して、以下の試算を挙げています。

試算者/経済効果/ポイント
東京都(五輪招致委員会)/2兆9609億円/施設整備や運営費などの波及効果に絞って試算。雇用は15万人増
SMBC日興証券(牧野潤一さん)/4兆2000億円/建設、観光、飲食などが活性化。大企業経常利益を1986億円押し上げ
日本総合研究所(山田久さん)/6兆7780億~11兆7780億円/ロンドン五輪を参考に観光客数などを推定。雇用は40~70万人増
大和総研(熊谷亮丸さん)/10超円を超す可能性も/社会インフラ再構築や観光、消費者マインドの貢献なども見積もる
大和証券(木野内栄治さん)/150兆円/副次的な効果を含む。社会インフラ再構築55兆円と観光振興95兆円

ここまで開きがあると、まじめに聞く気が失せてしまいそうになりますが、東京都の五輪招致委員会がいう「堅めに見積もっても経済効果は3兆円」という数字の裏付けはこういうことだそうです。

「大会期間中の来場者は延べ約1千万人に達する見通しで、1日当たりで最大92万人が訪れる。海外からの観光客も大幅に増え、ホテルやレストランは混雑が続くとみられている」。さらに、「建設工事が増えると、鋼材やコンクリートの新たな需要が生まれる。鋼材を作るにも鉄鉱石や石炭、エネルギーが必要だ。外国人観光客にも土産用に日本製の家電製品が売れるなどの効果が見込める。建設や製造、観光で働く人の所得が増えれば、それが再び国内消費に回る。それらをすべて足し合わせて」出したもの。

同紙では、「景気が良くなるのはいいが、その反動も大きくなる」と、過去8大会の開催国の成長率が五輪開催の翌年減速していることを指摘。1964年の東京五輪の後も「昭和40年不況」があったことから、「五輪特需で底上げされた景気を日本経済の“実力”と勘違いして投資を増やすと問題」ではないか、としています。「この際だから」というマインドがあだとなるというわけです。

開催まであと6年。この時期の金融関係者による盛りすぎ経済効果の話は、自己都合で言ってるようにしか見えませんけれど、開催後の落ち込みが必然と考えられる以上、ビフォーアフターを通じた一貫した理念や戦略が必要で、今後は「月刊レジャー産業」誌がいうように、「忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である」という指摘をどう具現化するかを考えていかなければならないのでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 13:24 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 09日

スキーブームは再来するか(主役はカップルから家族へ。インバウンドとの関係は?)

ソチ冬季オリンピックがついに開幕しましたが、1990年代半ばから右肩下がりで減少してきた日本のスキー人口が、2012年頃から回復の兆しが見られているそうです。

スキー・スノーボード人口は、2012年で790万人(うちスキーは560万人)。ピークの1993年1770万人(レジャー白書)に比べると、3分の1近く落ち込んでいますが、近年は若年層やファミリー層が復活してきたからです。
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「子どものリフト代や食事無料…家族作戦 スキーブームもう一度」(東京新聞2012年12月26日)では、「バブル期にスキーブームを体験し子育て真っ最中の30~40代に『子連れでゲレンデに戻ってきてもらおう』と、スキー場は子どものリフト無料化などの誘客策を強化。ホテル業界もカップル向けの部屋を思い切って縮小し、家族で泊まれる広い部屋を増やす改修を進めている」と報じています。

同紙によると、「ブームの火付け役となった映画『私をスキーに連れてって』(1987年公開)。劇中歌『恋人がサンタクロース』を歌う松任谷由美さんが毎冬、コンサートを開く苗場スキー場(新潟県)と苗場プリンスホテルが今年、大胆な改革に踏み切った。22年ぶりとなる部屋の大規模改装に着手。カップルの利用を想定した二人部屋を36室減らし、家族用四人部屋を18室増やしたのだ」そうです。

これを「大胆な改革」というのだろうか、という気もしますが、「プリンスホテルの担当者は『30~40代は子育てに忙しく、スキー場から離れているが、またやりたい、子どもにもさせたいという願望はあるはず。家族で来やすい環境を整えれば、足を向けてくれる』とその狙いを説明」しているそうです。

東京新聞はこうした「30代後半から50代のポスト団体世代や団塊ジュニアを狙ったリバイバル市場」に対する関心がことのほか強いようで、「この種の『あの日に帰りたい』ビジネスは年々拡大。企業側は『青春の一コマ』を演出する商品やアイデアを工夫している」(東京新聞2013年2月13日)と報じていて、米米クラブのライブに20年ぶりに来た40代女性の声や、前述した苗場スキー場で「ゲレンデに流す曲を松任谷由美に限定」している例などを紹介しています。

いまの時代、この手の浮かれ気味の「リバイバル市場」の拡大に共感する人ばかりではなさそうですが、保険の比較検討サイト「インズウエブ」がバブル景気経験世代にあたる40~50代の男女に対してアンケートを行ったところ、「スキーもしくはスキーボードの経験がある」との回答が78%。このうち46%が「最近5年以内はスキー・スノーボードに行ってない」と回答したものの、「機会があれば今後スノーボードに行きたい」が56%、「機会を作って必ず行きたい」5%と、6割が「またスキーに行きたい」と回答しているとのこと。まあ誰だってわざわざそう聞かれりゃ「また行きたい」と答えるのが自然な気もしますが。

スキーブーム再来?!
バブル世代の61%が「また行きたい」と回答(インフォグラフィック)
http://www.insweb.co.jp/research/report/ski-infographic.html

それでも、スキー客の回復傾向は今回の年末年始も確かのようで、「スキーブーム再来か 年末年始の来客大幅増 長野」(産経新聞2014年1月24日)、「年末年始に県内主要スキー場に訪れた人の数が前年度同期比で12.5%の大幅増だったことが23日、県が発表したスキー場利用状況調査で分かった」と報じています。

スキー客の減少に歯止めがかからなかった2000年代、国内のスキー場はオーストラリアや香港、韓国などの外国客が増えたことが話題となっていました。3年前の冬、ぼくは北海道のニセコスキー場を訪ねたのですが、そこでは国内客と外国人客の利用が半々だという話を聞き、ちょっと驚いた記憶があります。

北海道ニセコにSir Gordon Wu 現わる
http://inbound.exblog.jp/17150909/

また最近では、タイやシンガポールなど、雪を見たことのないアジアからの旅行客も増えています。熱帯生まれの彼らはスキー場に来ても、ゲレンデでソリや雪遊びを無邪気に楽しんでいるそうです。それは微笑ましい光景だといいます。

こうした外客の動きに加え、「家族向け行楽地の色彩を強めている」(東京新聞2012年12月26日)スキー場に国内客が少しずつ戻りつつあることは、とても面白い現象だと思います。国内客と外客がゲレンデに入り混じる光景は、海外のスキー場でもよく見られるからです。スキー場の主役はカップルだと信じられていた1980年代が、国際的に見てずいぶん時代遅れだったことが、いまさらながらよくわかります。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 13:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 09日

成田のLCCハブ化は羽田の国際化に対抗できるか?(またの名は「春秋航空の挑戦」))

年末年始の旅行者数が国内、海外ともに過去最高となりましたが、「開港から35年をすぎ、『日本の表玄関』を自負してきた国際空港『NARITA(成田)』が、いつもと違う正月を迎えている」(朝日新聞2014年1月4日)と報じられています。
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「格安航空会社(LCC)の国内線が続々と就航。免税品ならぬ、ふるさとのみやげを手にした帰省客でごった返している」からだそうです。

同紙によると、1月4日、成田空港に到着する国内線は137便。そのうち62便がLCCで、どの便もほぼ満席とのこと。「成田にLCCが就航して1年半。2011年度まで100万人台だった国内線旅客数が、今年度は480万人になる見込み」といいます。

2013年12月現在、成田から国内線が就航しているのは、旭川、新千歳、仙台、新潟、小松、中部、関空、伊丹、広島、高松、松山、福岡、大分、鹿児島、那覇の15路線で、14年5月には、中国のLCC春秋航空日本が高松、広島に次いで、佐賀にも就航。ジェットスターら他のLCCを合わせれば、17都市18路線になるそうです。

2012年度の成田空港の発着総数21万回のうち、LCCは6.9%、13年度には13%程度に増える見通しだといいます。国際線に比べ機体も小さく、着陸料も安いLCCですが、それでも成田空港がLCCを誘致する背景には、「2010年の羽田空港の再国際化」があります。

「東京都心に近く便利な羽田に『ドル箱』の欧米路線をとられた。今年3月からは、全日本空輸がロンドン線を運休、エールフランス航空がパリ便を減らして、羽田に移るなど、わかっているだけで週42便が減る」「そこで成田が目指したのが『LCCの拠点』だ。14年度中に、夜に出発を待つ客向けに宿泊整備をつくり、LCC専用ターミナルも整備する」「国内線が増えれば、乗り換え需要が高まり、国際線誘致にもつながる。成長著しいアジア路線開拓に取り組み、着陸料や施設利用料の引き下げにも着手した」。

ジェットスタージャパンは、すでにアジア方面に国際線を就航しており、春秋航空日本も親会社が上海から茨城、高松、佐賀へ就航しています。国際線で来日した外客をそのまま乗り継がせることできれば、インバウンドの拡大に貢献することになるでしょう。
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LCCはアジア客の訪日旅行の促進につながるか?【2013年上半期⑫LCC】
http://inbound.exblog.jp/20789404/

※春秋航空日本は、2013年9月に設立された中国系のLCCです。

春秋航空日本
http://www.china-sss.com/JP/JP

春秋航空
http://www.china-sss.com/jp

春秋航空、成田発着で国内線-14年5月から高松、広島、佐賀
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=58787

春秋航空、関空/上海線を開設-3月からデイリーで
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=60212

中国発"黒船LCC"は国内線をこう攻める
「春秋航空日本」は地方からの風に乗れるか
http://toyokeizai.net/articles/-/27523
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 11:08 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 08日

テーマパーク、東南アジア客をつかむ

国内の主要テーマパークの2013年度上半期(4~9月)の入場者数が、前年を上回る好調さを見せるなか、ビザ緩和で増えている「東南アジアからの訪日客を取り込んだ施設の好調が目立つ」(日本経済新聞2013年10月5日)といいます。
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同紙によると、入場者数が大きく伸びたのは、ダントツの東京ディズニーリゾート以外では、富士急ハイランドやサンリオピューロランドなど。

「富士急ハイランドは、13年度から、中国や台湾の拠点を中心にタイやインドネシアの旅行会社向けに営業活動を本格化。4~9月は訪日外国人客数が10%以上伸びた。ピューロランドも営業部門に東南アジアの担当者を配置。インドネシアやマレーシアからの団体客を受け入れ、東南アジアの入場者数は75%増えた」といいます。

日本経済新聞2013年9月5日では、サンリオのテーマパークのアジア開拓についてこう報じています。

同社の「再成長のシナリオ」は「苦戦が続く物販からライセンス事業の転換」。「キティ人気をテコに米フォーエバー21など有力アパレルにライセンスを供与、世界展開を進めた」結果、北米事業は成長しているものの、課題はアジア。「利益の9割以上を海外で稼ぐが、アジアは2割にとどまる」そうです。意外でした。キティちゃんの欧米での人気もすごいんですね。

「カギは今季の黒字化が見えたテーマパークが握る。国内ではサンリオピューロランドの今期の訪日観光客数を中国から呼び込むことで5倍の10万人に伸ばす」「さらにアジアでテーマパークにライセンス方式を導入。来期、中国・浙江省に日本以外で初の本格的なテーマパークを開く」といいます。

好調な国内テーマパークの集客状況ですが、「14年4月の消費増税後はマイナスの影響が懸念されている」(日本経済新聞2013年10月5日)といいます。「テーマパーク・遊園地の入場者に占める訪日客はまだ1割に届いていない。ただ、国内市場の先細りもあり、今後の成長には訪日客の取り込みがカギになる」と指摘しています。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-08 13:15 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 08日

国内のホテル稼働率、依然好調のもよう(2013年下半期)

2013年上半期、好調だった国内ホテルの稼働率は、下半期も引き続き堅調なようです。

週刊トラベルジャーナル2014年1月27日号では、11月の「全国のホテル客室利用率」について以下のように報じています。
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「全日本シティホテル連盟(JCHA)によると、会員ホテルの昨年11月の全国平均客室利用率は前年同月比4.7ポイント増の85.3%だった。8割台は4か月連続。

前年同月を下回った東北と北陸を除き、全10地域のうち8地域でプラス成長。北海道と東海が2桁増の伸びを示したほか、関東・近畿・九州の3地域が全国平均を上回った。なかでも関東は前年同月から2.5ポイント伸ばし、利用率が92.1%に上昇。東京都に絞って見ると、3.5ポイント増の94.1%で、地域をけん引している。

一方、近畿は88.0%で関東に次いで2番目に利用率が高いが、大阪府は87.6%とやや下回った。

利用率が最も低いのは東北の61.5%。ただ6割台に乗せており、全体の底上げが見られる」。

■全国のホテルの月別平均客室利用率

2012年12月 72.4%
2013年1月  65.9%
     2月  75.4%
     3月  78.0%
     4月  78.3%
     5月  75.7%
     6月  74.7%
     7月  78.7%
     8月  85.1%
     9月  80.2%
    10月  83.3%
    11月  85.3%
(全日本シティホテル連盟の資料より)

なかでも東京は、上半期同様、国内のビジネス需要やレジャー客の動きで94.1%という高い客室利用率を維持しています。

特に客室単価が5万円相当の外資系ラグジュアリーホテルの稼働率が注目されています。

「香港ホテル 東京で好調 稼働率軒並み7割」(日本経済新聞2013年8月26日)では、「香港の高級ホテル3社が運営するホテルの収益が急速に改善している。『シャングリ・ラ』『ザ・ペニンシュラ』『マンダリンオリエンタル』の今年1~6月の平均客室稼働率は軒並み70%を超え、50%以下に落ち込んだ東日本大震災の影響から立ち直った」と報じています。

背景には「円安で米ドルや香港ドル建ての客室単価が下がったが、稼働率の上昇が補い、各社の業績にも寄与」「円安などを追い風に日本を訪れる外国人が増加」した」ためだといいます。

■香港ホテル3社の稼働率の推移

                 2012年上半期   2013年上半期   
シャングリ・ラ 東京        64%         80%
ザ・ペニンシュラ東京       62%         75%
マンダリンオリエンタル東京   57%         73%

2014年は、外資系ラグジュアリーホテルの開業ラッシュの年といわれています。

■2014年東京に開業予定の外資系ホテル
アンダーズ東京(ハイアット・ホテルズ)
アマン東京(アマンリゾーツグループ)

ザ・リッツカールトン東京やザ・ペニンシュラ東京が開業した2007年前後は、リーマンショックの影響もあり、客室の供給過多を懸念する声がありましたし、その後東日本大震災も起こり、外資系は苦戦続きでした。

今回は景気の回復基調や円安、ビザ緩和による追い風もあり、史上初の訪日外国人数1000万人突破も実現。07年当時とは市場環境が異なっているといわれます。2020年の東京オリンピック開催の決定でホテル業界は活気づいています。

「IOCの要求満たすが…空室不足の恐れ」(日本経済新聞2013年9月10日)では、「東京招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)の要請を上回る4万6千室を来訪者用に確保し、『この量で充分』(東京都幹部)とするが、競技場が集中する臨海部(江東区有明地区周辺)は手薄」と指摘しています。

今後の需要増をふまえ、「外資系の新規開業計画がこれからも出てくる可能性がある」そうです。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-08 13:10 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 07日

2013年 年末年始の海外旅行者数、円安でも過去最高(世界の旅行動向とインバウンドの関係)

旅行大手JTBの2013年12月4日のプレスリリースによると、2013年の年末年始(2013年12月23日~14年1月3日)の旅行動向調査の結果、海外旅行者数は前年比2.1%増の69万5000人、過去最高となる見通しだと伝えています。

その理由として「12月28日から1月5日まで11年ぶりの最大9連休、冬のボーナス増も旅行を後押し」と解説。海外旅行先としては「ヨーロッパ、アメリカ、ハワイの中長距離が増加傾向、アジアも韓国を除けば、引き続き高い人気を維持」とのこと。

同社のツアーブランド「ルックJTB 」の売れ筋コースは「ヨーロッパ方面ではイタリアやスペインが人気の他、オーロラを鑑賞するコース」「ハワイ方面では、年々オアフ島以外の島々で過ごす旅行者が増えており、年末年始をリゾートで静かに過ごしたり、ハワイらしい島々の魅力を味わいたい意向が強まっている」「東南アジアでは、マリーナ地区の人気で火が付いたシンガポール、座席供給数が増加傾向にあるインドネシアやベトナム、台湾などが人気。世界遺産の他に、高級リゾート地として最近注目を浴びているスリランカ、癒しやパワーも魅力の一つとされるネパールやブータンなども注目」といいます。

■年末年始海外旅行人気ランキング

1位 ハワイ
2位 台湾
3位 タイ
4位 シンガポール
5位 グアム
6位 ベトナム
7位 アメリカ(本土)
8位 イタリア
9位 香港
10位 フランス

JTBプレスリリース(2013年12月4日)
http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=1780

とはいえ、2013年は円安が大きく進んだ年であり、海外旅行商品も為替の関係で値上げが起きています。

「海外旅行 10月から値上げ」(産経新聞2013年8月16日)では、「旅行大手各社が、平成25年度下期(10月~26年3月)の海外パック旅行の価格を相次ぎ引き上げる」と報じています。「外国為替市場で円安が進み、現地での宿泊代などが上昇したためで、前年同期に比べて最大10%程度値上げする」というのです。

確かに、「円相場は、安部晋三政権発足前の昨年11月中旬には1ドル=79円台だったが、今年5月下旬には一時1ドル=103円まで下落」したわけですから、「現地通貨建てのホテル代やレストラン代、バス代などの負担が増している」のは無理もないでしょう。

海外ツアー料金の値上げは円安ばかりが理由ではありません。

「海外ツアー 客室争奪戦 新興国から旅客増加」(日経MJ2013年9月18日)では、「円安という値上がり要因に加えて、新興国の消費者が海外をどんどん旅行するようになった結果、ホテルの仕入れコストがかつてないほどの上昇圧力にさらされている」ことも大きく影響しているからです。
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同紙によると、「国連の専門機関、世界観光機関によると、今年1~6月の世界の海外旅行者数は4億9400万人と前年同期比で5.2%増えた。地域別では世界全体の約半分を占める欧州が5.1%増とばったほか、アジア・太平洋が6.2%増と伸び率が最も高くなるなど世界的に旅行者数が拡大。こうしたなか、仕入れを巡る争いも世界規模で展開される」ためと解説しています。

日本人の海外旅行の動向は一見インバウンドには無関係のように思えますが、こうした世界の旅行市場の拡大が、海外ツアーの料金アップにつながるだけでなく、日本のインバウンド旅行市場の成長の背景にもなっていることを理解しなければなりません。要はインもアウトも連動しているのです。

同紙は、海外ツアー商品の2013年度下期(10月~14年3月)から14年度上期(4月~9月)にかけての価格動向の見通しとして以下のように予測しています。

●ヨーロッパ
2013年度下期(10月~14年3月) 3~8%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※ユーロ高や新興国からの旅行者が増加し、ホテルの仕入れ価格が上昇するため。

●アメリカ(本土)
2013年度下期(10月~14年3月) 8~10%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※円安が響くため。

●ハワイ
2013年度下期(10月~14年3月) 8%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%以上UP
※米国や中国からの旅行者が増加。ホテルが価格で強気になるため。

●アジア(中国、韓国を除く)
2013年度下期(10月~14年3月) 3%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※東南アジア内の旅行需要が拡大。ホテル価格が上昇のため。

●中国
2013年度下期(10月~14年3月) 3~5%UP
2014年度上期(4月~9月) 横ばい
※日本人旅行者減と他国からの旅行者増がほぼ相殺。

●韓国
2013年度下期(10月~14年3月) 10%DOWN
2014年度上期(4月~9月) 5%未満DOWN
※竹島問題を受けて、日本人旅行者が減少してホテル単価が下落傾向。

それにしても、これだけ料金がアップしているのに、今回の年末年始は過去最高の海外旅行者数となったのは、なぜだったのでしょうか。

前述のJTBプレスリリースは、2013年の海外と国内をあわせた総旅行消費額の回復を触れたうえで、以下のように指摘しています。

「総旅行消費額は、対前年比6.1%増、1兆1,055億円となり、5年ぶりに1兆1千億円を超えました。2008年のリーマンショック以前の水準にはまだ戻っていないものの、回復を見せていると言えます。

昨年以降の円安傾向や物価の上昇が旅行意欲を減退させる動きには、この年末年始に関しては直接繋がってはいないようです」。

つまり、「円安でも過去最高の理由」は、国内の「景気回復」ムードにあると素直に判断してよさそうです。でも、それは「この年末年始」に限っての話なのか。今年4月の消費増税後は、海外旅行マーケットにどんな影響が出てくるのでしょうか。

一般の消費財と違って旅行商品は、買いだめや駆け込み消費ができないのが特徴です。これまで見てきたように、日本の消費者はすでに昨年の時点で円安他の理由から今年4月の消費税率アップ以上の海外旅行商品の値上がりを経験しています。だとすれば、それほど大きな阻害要因にはならないとも考えられます。

海外旅行マーケットを考えるうえで、いわゆる金融資産1億円以上の富裕層と一般層の購買行動を分けて考える必要がありそうです。

「高額消費、主戦場は車・住宅 消費増税前、富裕層は株価と両にらみ」(日経消費インサイト2013年11月号)によると、2013年に富裕層が「購入・契約した高額の商品・サービス」(複数回答)のアンケートのトップは「海外旅行」(27.8%)。次いで「1人1泊3万円以上の国内旅行」(24.2% )。旅行マーケットにおける富裕層の存在感は大きいといえます。

同誌では、富裕層の購買行動にいちばん影響を与えるのは「株価」だと指摘しています。一般層が「給与・賞与」に影響されるのとは違うところです。これは、海外旅行マーケットが消費増税以上に株価の動きに影響されることを意味しているのかもしれません。

むしろ、昨今の新興国の金融不安に伴う日本株の変動は気がかりといえます。

ところで、年末年始の国内旅行の動向ですが、こちらも前年度比2.0%増の2983万人で過去最高だそうです。

連休が長いため、旅行日数は「二極化」傾向。「日並びの良さを利用した長期間の旅行を計画するタイプ」と「三が日前後に短期間の旅行をするタイプ」に分かれるそうです。

方面別では、「世界遺産に登録された富士山周辺への旅行者が増加」「観光列車が数多く走る九州」「LCCの就航で地方都市からの路線が増えた大阪」「東京ディズニーリゾートや東京駅舎周辺、東京スカイツリーなど東京周辺」が人気といいます。

年代別の出発日は「29歳以下の若い世代は早めに」「熟年世代は年明けに出発する」傾向が見られたようです。旅行の目的については、東日本大震災直後の2011年末や12年末に多かった「家族や友人と一緒に過ごす」「この時期しか一緒に旅行できない」の項目のポイントが減少し、「正月情緒を味わう」「おいしいものを食べる」といった項目が上昇したといいます。震災のショックから、家族や友人など大切な人間関係を重視する傾向が見られた昨年までの年末と比べ、今回はより通常型の旅行目的に回帰していると思われます。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-07 17:58 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 04日

今年の春節に中国客が戻った理由は、上海の訪日自粛がとけたから

日本経済新聞2014 年1月30日によると、「31日からの春節(旧正月)の期間中に、中国からの訪日客数が大幅に回復する見込み」となったそうです。
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「日本向け査証(ビザ)発給のほぼ半分を占める上海の日本総領事館では、個人観光ビザの発給が過去最高のペース」。「昨年12月に発給した個人観光ビザは約1万4400件」で「前年同月の3.6倍」。「今年1月に入ってからも順調に伸びている」(上海の総領事館)といいます。

「中国人の訪日客は反日デモが起きた2012年秋以降に落ち込み、昨年9月に1年ぶりにプラスに転じ」ていましたが、昨年末の安部総理の靖国参拝がどう影響するか、関係者はやきもきしていました。

なんといっても、背景には円安があります。「中国・人民元に対して日本円は年間で20%程度下がって」おり、中国客からすると、日本の割安感はハンパじゃないと思われます。先月上旬ぼくは北京を訪ねたのですが、1万円両替してもわずか550元。2年前なら800元近かったことを思えば、急激に人民元が強くなっていることを痛感しました。

同紙では、中国の個人ビザ客の実態として「私費旅行」が増えたと分析しています。「習近平指導部が進める綱紀粛正」により、「今年1月から共産党員や公務員を対象に公務を名目とする視察旅行を禁じ」ており、それでも訪日客数が増えたのは、「欧米よりも割安な日本に私費で旅行する人が増えたとみられる」からだといいます。

中国客の復調をふまえ、中国LCCの吉祥航空(上海)が1月31日から上海・那覇線週4便を就航しました。同キャリアは12年9月に就航を予定していたものの、尖閣問題で延期していました。

那覇―上海に就航 吉祥航空、週4往復の定期便(琉球新報2014年2月1日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-218697-storytopic-4.html

同紙は、「訪日客1人あたりの買い物代金」の主要国比べのグラフを掲載し、「旅行中に飲食や買い物などに使う金額」のトップとして中国を挙げ、「高額消費に期待」をかけています。中国客を金づるとしか見ようとしない同紙の姿勢は相も変わらずですが、中国客が訪れる個別の量販店を除いて、実際どれほどの消費が期待できるのか、あやしい気がします。中国人観光客=経済効果といった単純な見方はそろそろやめにしてもらいたいものです。

もっとも、靖国参拝であれほど大騒ぎしていた中国から観光客が戻ってきたというのは、単なる円安のせいだけではなさそうです。東洋経済オンラインでは、以下のコラムが背景を解説しています。

反日に変化? 中国人観光客が大挙して来日中~春節で「肺をきれいにする」ツアーの側面も(東洋経済オンライン 2014.2.3)
http://toyokeizai.net/articles/-/29780

同コラムでは、訪日客が増えた理由を、中国人の立場からみた「福建省の老朋友(古い友人)」の話として、以下の6点を挙げています。

①中国は環境汚染がひどいのに、日本は「PM2.5」の心配をほとんどせずに済むので本当に安心だ。
②中国の食品は危ないものもあるが、日本で食べる食品はおおむね安全で新鮮で美味しい。
③中国の観光地に行くと混雑していてゴミも多い。だが日本はほとんどどこでも綺麗だ。
④中国で買い物をすると偽物が少なくない。だが日本人は正直なのでほとんど心配ない。
⑤中国では軍国主義の日本の話ばかりTVで放映しているが、全部ウソだとわかった。
⑥中国のサービスは金儲けが主体だが、日本のホテルや旅館の「おもてなし」は最高だ。

さらに、「客観的な」理由として、以下の6点も付け加えています。

①日本の外務省が、ビザの発給基準を緩和した。
②日本円が円安傾向のため、日本旅行は割安感が出た。
③欧州旅行よりも手軽で近いから、春節の旅行にはうってつけ。
④福島原発の危険性は、以前よりも少なくなった。
⑤東京オリンピック、富士山の世界遺産のニュースが後押しした。
⑥東南アジアは混雑する上に、タイの暴動などが旅客の足を日本に向けた。

ここで挙げられるポイントに特に間違った指摘はないと思われますが、なぜ昨秋頃から徐々に中国からの訪日客が回復してきたかという理由については、答えていないと思います。

ではその理由は何か。

ひとことでいえば、一昨年秋の尖閣問題以降、訪日旅行の最大マーケットだった上海に対する中国国内のバッシングが夏頃からようやく収まってきて、上海の消費者の訪日自粛がとけたからなのです。

ここでいうバッシングというのは、一昨年秋冬に起きた「春秋航空0円キャンペーン」や「上海発熊本へのクルーズ客」に対するネットなどで見られた執拗な批判のことです。「なぜ上海人は(尖閣問題が起きたばかりの)こんなときに、のこのこ日本に旅行に行ったりするのだ」と、まるで上海人に対するイジメのようなネガティブキャンペーンが中国国内で繰り広げられていたのです。そのため、上海の旅行関係者らはしばらく訪日旅行ビジネスを自粛するほかなかったのでした。上海の消費者も極力日本に行くことを避けていたのです。

昨年11月、上海を訪ねたとき、ある旅行関係者は、当時の状況について「中国では上海人はとことん嫌われていると感じた」と感想をもらしていました。経済的に恵まれた上海に対する妬みは、こんな形で現れてくるというのです。

そうしたトラウマからの自粛がほぼとけたのが、昨年9月でした。その頃からいっせいに新聞に訪日旅行の広告が掲載されるようになりました。結果的に、10月以降の訪日中国人数は回復したのです。

訪日中国人数
2013年10月 前年同月比74.1%増
    11月 前年同月比96.0%増
    12月 前年同月比84.8%増

JNTO報道資料(2014年1月17日)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/pdf/140117_monthly.pdf

そういう意味では、今年の春節の訪日客が増えたことであんまり盛り上げすぎると、またもやバッシングが再開されるかもしれません。気をつけたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-04 14:43 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)