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カテゴリ:気まぐれインバウンドNews( 97 )


2013年 07月 22日

大型クルーズ来航で富裕層は本当に立ち寄るのだろうか【2013年上半期⑦クルーズ】

近年、海外からのクルーズ船を誘致する動きが全国各地で見られるようになっています。
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「大型クルーズで観光振興 富裕層立ち寄り期待」(日経MJ2013年2月18日)

「外国船籍の大型クルーズ船による、国内港を発着するクルーズの就航や寄港が相次ぎ決まった。誘致に成功した地元では富裕層が立ち寄ることで観光振興や経済効果に期待が高まっている」として、横浜や京都(舞鶴)、富山(伏木富山)などの誘致事例を紹介しています。

●横浜
2014年4月から10月にかけて米大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」を誘致。北海道、九州など国内15港や韓国、台湾、ロシアなどを巡るクルーズが20回実施される予定。

●京都
2014年春から秋にかけて舞鶴港に前述の「ダイヤモンド・プリンセス」が寄港し、約1万人が同港を訪れる見通し。府は舞鶴や周辺の市町村と連携し、天橋立など日帰りできる観光名所への波及効果を狙う。

●富山
9月10日、米ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(フロリダ州)の大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が伏木富山港に寄港する。ボイジャーは、上海を母港とするアジア最大のクルーズ船で総トン数13万7000トン。定員は乗客3840人、乗務員1176人。天津を9月7日に出発し、伏木富山、室蘭、東京、長崎、釜山を経由して19日に天津に戻る。

今年3月下旬、ぼくは沖縄に寄港する大型クルーズ船の実態(「20回 観光の島、沖縄でいま何が起きているのか?」を取材しましたが、九州や沖縄に寄港する外国の大型クルーズ客船の来航は、街の風景を大きく変えています。
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ただし、そこで紹介した沖縄のカジュアルな台湾クルーズ客の例もそうですが、大型クルーズ客船の乗客が「富裕層」と呼べるかというと、必ずしもそうとはいえません。なぜなら、クルーズ客船には以下の3つのランクがあり、1日当たりの料金も中身もずいぶん違うからです。

●ラグジュアリークラス
1日当たりのクルーズ料金が400ドル以上。1万数トン以下の小型船から、大きくても5万総トン程度が多い。このクラスの客船なら、料金に見合った最高のサービスが提供されます。上級者向け(≒富裕層)のクルーズといえそうです。

●プレミアムクラス
1日当たりのクルーズ料金が200ドル前後。乗客数1200人前後の中型客船が主流だが、最近は10万総トンなど大型化が進んでいます。乗客はシニア世代で、運航エリアはカリブ海、アラスカ、地中海、世界一周など幅広い。前述の「プリンセス・クルーズ」はこのカテゴリといえます。

●スタンダードクラス
1日当たりのクルーズ料金が100ドル前後、またそれ以下の安価なクルーズ。運航エリアは東南アジアやカリブ海など。大型客船も多い。「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」や「コスタ・クルーズ」「スター・クルーズ」などがこのカテゴリ。

要するに、日本に寄港するアジアからのクルーズ船はスタンダードクラスが多いのです。日本のマスコミが「(海外)富裕層」というとき、どういう定義でそれを使っているのかわかりませんが、一般に船が大型になるほどクルーズ船はカジュアル化することは確かでしょう。

大型客船の寄港といえば、「大型クルーズ船 レインボーブリッジくぐれず 大井水産物埠頭に着岸」(日本経済新聞2013年1月11日)という話もありました。

「東京都は大型クルーズ船の着岸場所として、海産物の荷揚げ用の大井水産物埠頭(東京・大田)を4月から活用する。現在は晴海客船ターミナル(東京・中央)に国内外の客船が寄港しているが、船体の高い大型クルーズ船は晴海に向かう途中にあるレインボーブリッジをくぐることができなかった。都心とシャトルバスも運行し、外国人富裕層の観光誘客体制を整える」

同紙では「晴海客船ターミナルは1991年の完成。2年後にできたレインボーブリッジの橋桁は高さ52m。当時世界最大の『クィーンエリザベス2世号(QE2)』が通過できるように設計したが、QE2を上回る大型クルーズ船が次々と完成し、晴海を使えない例が増えている。受け入れ第1弾となるのは、中国・上海から4月末に初入港するバハマ船籍の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」。全長331m、全幅48m。QE2の2倍、沈没したタイタニックの3倍の大きさを誇る(中略)水面からの高さが63mもあるため、レインボーブリッジをくぐれなかった」と書いています。

ちなみに、2011年の外国船籍のクルーズ船の国内寄港回数は、1位が石垣港(42回)、2位が那覇港(37回)、3位が博多港(26回)。東京港は0回でした。

ともあれ、外国船籍のクルーズ船の来航が増えるにしたがって、入国審査の短縮も受け入れ体制上の課題といえます。次のような報道もあります。

「新時代の入国管理 大型クルーズ船審査急げ」(日本経済新聞2013年6月12日)

「豪華な船旅が楽しめるクルーズ船が人気で、大型船が入稿できる九州の港にも立ち寄るようになった。買い物需要が期待できると地方の誘致熱は高まる。

客の観光上陸(入国)は半日程度。シーズン初めの3月下旬に鹿児島港に入った客船(11万6000トン)は豪州発で乗客1000人。午前8時から30分ごとにバス30台が市内観光に客を運ぶ。出港は午後4時だ。

1分でも長く滞在を楽しんでもらうためには、入国審査時間の短縮がカギを握る。福岡入国管理局鹿児島出張所は福岡から応援部隊を得て18人のチームを編成し審査に臨んだ。未明に集合して乗船すると6階と7階の食堂ラウンジに臨時の審査場を設営した。

午前7時20分、横一列の審査台の前に乗客が並び審査開始。乗客は指紋照合だけ済めば、旅券の写しの表側に仮上陸許可証を貼ってもらい、次々と下船する。乗客誘導など乗員も全面協力し、2時間でほぼ全員が審査場を通過した。

仮上陸許可は審査完了前に入国を認める措置で、クルーズ船に適用した。入国審査官は船内に残り預かった旅券審査にかかる。出国手続きもすませる」

クルーズ客に対する入国審査の合理化、スピードアップは、「観光立国」を目指す日本の国策のひとつというわけです。

※日本のクルーズ振興、とりわけ外客を乗せたクルーズ船の誘致については、下記の国土交通省のまとめた資料に大まかに整理されています。ただし、これが書かれたのは、2012年8月という尖閣事件の直前にあたり、その年の7月までは中国から多くの大型クルーズ客船が九州や沖縄に寄港していた時期のもので、それ以後の状況は一変しています。要するに、中国(上海発がほとんど)からのクルーズ客船は激減しました。それでも、2013年秋頃から、少しずつ上海発クルーズ客船が来航するようにはなってきています。

参考 港湾におけるクルーズ振興を巡る現状と課題(国土交通省資料)(2012年8月)
http://port-of-hakata.city.fukuoka.lg.jp/topic_pdf_2/503f1465d02db7.78882769.pdf
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by sanyo-kansatu | 2013-07-22 16:26 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 21日

アジア系観光客の買い物先が百貨店とアウトレット、量販店だけだとしたら…【2013年上半期⑥小売業】

2013年上半期、日本の宿泊業や飲食サービス、一部の小売業の景況感が回復しているようです。

「宿泊・飲食業 景況感プラス 訪日客が押し上げ 小売業は横ばい」(日経MJ2013年7月3日)

「流通業やサービス業の景況感の改善が進んでいる。日銀がまとめた6月の企業短期経済観測調査(短観)によると企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・非製造業でプラス12だった。2四半期連続の改善となり、3月調査から6ポイント上昇した。プラス12はリーマン・ショック前の2008年3月調査と同じ水準。宿泊・飲食サービスの回復が目立った」

背景には、訪日外国客の増加の影響があるようです。

「宿泊・飲食サービス業の改善を後押ししているのはこのところの円高修正だ。訪日外国人観光客の増加による押し上げ効果は大きく、京王プラザホテル(東京・新宿)は5~6月の外国人宿泊客の比率が前年同期の50%台から60%台まで上昇。タイやインドネシアなど東南アジアからの旅行客の伸びが目立つという」

※宿泊業の動向については「東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】」を参照。

ところが、外国人観光客の買い物による地域経済への波及効果を期待する声は多いにもかかわらず、実際には「小売業は横ばい」と宿泊や飲食サービスに比べ、景況感の回復は見られないようです。

なぜなのか。ひとことでいえば、外国人客が買い物に訪れる場所は限定的だからです。

たとえば、「百貨店では海外高級ブランドなどの高額品に加え、訪日外国人向けの販売も好調。大丸松坂屋店では6月の免税売上高が2.5倍となった」とのこと。

「百貨店の外客売上120%増」(週刊トラベルジャーナル2013年7月8日)

「日本百貨店協会が発表した5月の外国人観光客の売上高・来客動向によると、調査対象44店舗の総売上高は前年同月比122.7%増の33億1615万円となった。(中略)今年2月以降、拡大基調が続いている。伸び率は、中華圏の旧正月時期に当たった2月(115.2%)を上回った」といいます。

ところが、「所得の本格回復が遅れているため、日常的な買い物が中心のスーパーは苦戦が続く。日本チェーンストア協会がまとめた5月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は前年同月比1.2%減」(日経MJ2013年7月3日)だったのです。

つまり、訪日外国人の4分の3以上を占めるアジア系旅行者の増加によって恩恵を受けるのは、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に限定、といえるかもしれないのです。

実際、訪日外国客の増加を背景に、不動産デベロッパーらのアウトレットモール開発の動きは盛んになっています。

「アウトレット2強 訪日外国人に照準」(産経新聞2013年4月20日)

「売れ残ったブランド品などを格安で売るアウトレットモールで、不動産大手2社の競争が激しくなっている。三菱地所が19日、千葉県酒々井町に新たな施設をオープンしたのに対し、ライバルの三井不動産は同県木更津市のアウトレットの増床を決めた。両社とも成田空港を利用する訪日外国人らを主要ターゲットに集客に工夫を凝らす」

同紙によると、両社の主なアウトレットモールの店舗は以下のとおり。

●三菱地所 
御殿場プレミアム・アウトレットと関西空港に近いりんくうプレミアム・アウトレットほか9施設
http://www.mec.co.jp/j/service/shopping/

●三井不動産
三井アウトレットパーク木更津ほか12施設
http://www.mitsuifudosan.co.jp/shopping/

日経MJ2013年5月13日では、今年4月中旬にオープンした「成田の近く 外国人客誘う 酒々井プレミアム・アウトレット」について次のように報じています。
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「三菱地所・サイモン(東京・千代田)が4月19日に開業した酒々井プレミアム・アウトレット(千葉県酒々井町)。成田空港からバスで20分ほどと近いため、外国人客を意識した工夫を凝らした。アウトレット施設の飽和感が指摘される中、リピート客を取り込むためのテナント構成にも気を配るなど他にない特徴を打ち出している」

「通常、アウトレットの主役はアパレル店で、全店舗の5割程度を占めるが、酒々井は5割を切る」「その分、リピート率が高まる雑貨店などのライフスタイル関連の店を充実」「フードコートも集客の目玉だ。アウトレットの中でも最多の800席で飲食テナントは8店が入る」「このほか、国内のアウトレットで初めて外貨両替所を設置。米ドルのほか、中国元やタイバーツといった主要な通貨を扱う」「外国人に親しみやすいテナントも入れた。カジュアル衣料の『ユナイテッドアローズ』やバッグなどのブランド『サマンサタバサ』、時計の『セイコー』『シチズン』は外国人客の評判が良いという」

タイや中国などのアジア系観光客の多くが現状では「弾丸バスツアー」による団体客である以上、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に買い物先が限られてしまいがちなのは、ある意味無理もない面があります。ツアー形態が買い物先をある程度固定してしまうからです。最近オープンするアウトレットモールの多くが外国人観光客の一般的なツアーコースの動線に沿った場所に立地しているのもそのためです。

その結果、北海道や九州などでは、いくらアジア系外国人が大挙して来ても、地元の商店街にはお金がまったく落ちないという声が以前からずっと聞かれています。

これはツアー形態の問題だけではなく、アジアの新興国の場合、中間層以上の人たちの日常的な買い物先が自国の巨大なショッピング施設で行われているという実態からも説明できそうです。彼らはショッピングモールのような空間で買い物をすることに慣れているのです。エアコンの効いた場所でのんびり過ごすというのが、週末レジャーの過ごし方であり、それが便利で気が利いていることだと信じているのです。そういわれると、返す言葉がありません。

こうしてみると、訪日外国人客がいくら増えても、その多くがアジア系の新興国の人たちであるとしたら、地域にまんべんなく経済効果をもたらすというものではないことをそろそろ知るべきかもしれません。この点については、すぐに簡単な解決策はありませんが、考える必要はありそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-21 20:06 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 19日

「訪日韓国人 回復進む 円安ウォン高で拍車」【2013年上半期⑤韓国客】

「韓国からの訪日客が回復している。日本政府観光局の19日の発表によると、1月に日本を訪れた韓国人の数は23万人余りで、前年同月を3割強上回った。進む円安ウォン高の効果もあり、東日本大震災前の水準に迫っている。九州などの観光地は韓国人客でにぎわう光景もみられ、足が遠のいたままの中国人客とは対照的だ」(日本経済新聞2013年2月20日)
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「原発事故の影響で減った韓国人客は、昨年春ごろから回復。李明博韓国大統領の竹島(韓国名・独島)訪問で9月に鈍化したが、その後は増加基調を維持する。特に円安がウォン相場を押し上げた昨年11月以降は拍車がかかった」

同記事では、「九州旅客鉄道(JR九州)が韓国・釜山-長崎県・対馬間で運航する高速船は、1月の利用客が50%増加」「福岡市の商業施設『キャナルシティ博多』では、韓国人を中心に外国人客数が『足元は昨年夏の2倍』(運営する福岡地所)。ハウステンボス(長崎県佐世保市)は1月の韓国人入場者数が前年同月比18%伸びた」と報じています。

その一方で、「韓流ブーム 冬の気配 竹島・円安で観光客急減」(朝日新聞2013年4月16日)と韓国を訪れる日本人は急減しているという対照的な構図が報じられています。

「韓国を訪れる日本人が減っている。竹島問題や『アベノミクス』による円安に加え、『北朝鮮リスク』が追い打ちをかける。10年を迎えた韓流は曲がり角を迎えているのか」

「統計も日本人客の減少を裏づける。韓国観光公社によると、日本の観光客数は昨年1~8月まで全円を上回っていた。ところが、翌9月から急減。安部政権が生まれた昨年12月から、前年を2割前後下回る月が続く。特に韓流ブームを支えたとされる50代以上の女性が3割以上減っている」そうです。

訪日韓国人が増えたのは、円安に加えて、「LCC就航拡大 韓台から若者来やすく」(日本経済新聞2013年6月9日)なったこともありそうです。

「格安航空会社(LCC)の就航拡大により、台湾や韓国の若者が日本に旅行しやすくなっている――。観光庁の調べてこんな傾向がわかった。両国・地域からLCCを利用して来日した観光客の5割近くが30歳未満で、一般の航空会社より若年層の利用が多かった」

日本に発着するLCCは今年2月の時点で韓国が16、台湾が3。「両国・地域から日本への航空運賃は、LCCの方が一般の航空会社より2~3割安い」。そのぶん、「日本滞在中の平均支出額をみると、台湾はLCC利用者が9万3000円と一般の航空会社の利用者に比べ、2割少ない。韓国のLCC利用者も5万8000円と同3割少なかった」そうです。

同じことは「LCC訪日客、出費少なく」(日経MJ2013年6月9日)により具体的に報じられていました。ここでも、韓国のLCC利用者は「大手旅行会社の利用者に比べて運賃は約1万円安く、旅行期間中の1人あたりの支出額についても2万円程度少なかった。買い物をする場所はスーパーやショッピングセンター(SC)、若い女性の個人旅行が目立つ」そうです。

さらに、LCCを利用する韓国の若い女性の訪日旅行者は「来日回数では初めてという人が4割」と、必ずしもリピーターばかりではないことが興味深い結果といえます。一般にLCCは旅慣れた旅行者が賢く利用するというイメージが特にヨーロッパの事例などでは指摘されますが、アジア圏の場合、必ずしもそうではなく、これまで飛行機に乗ったことがなかったような層が利用を始めていることがここでもわかります。この点については、別の回で紹介します。

最後に、韓国人が大勢押し寄せている長崎県・対馬についての報道です。

「国境と歴史の島 長崎県・対馬に住んでみる」(日本経済新聞2013年7月6日)によると、「とにかく韓国の人が多い。対馬市厳原を訪ねた最初の印象だ。旧対馬藩府中(城下町)の小道を歩く。出会う人の大半は、団体や家族連れの韓国人観光客だ。昨年の来島者は約15万人。週末、土産店周辺には観光客があふれる。釜山・対馬間にはJR九州高速船、韓国の未来高速など3つの船会社が就航。厳原まで高速船なら2時間だ。釜山からは1万円弱の日帰りツアーもある。『異国情緒が手軽に味わえ、気分転換になる』(母親と来た女性会社員、30歳)、『歴史に関心がある。自然が豊かで町がきれい』(農業の男性、40歳)。登山も釣りも好まれ、対馬は『安・近・短』な観光地と親しまれる。隣国というより隣町感覚だ」

ただこんな声もあるようです。「韓国人観光客は決まったコース、飲食店、ホテルなどを利用するケースが多く、一般商店や飲食店の売り上げには直接つながらない」「観光客の賑やかさとは裏腹に、島の一部にはどこか冷めた視線がある」

「それでも島の活性化を目指す市は状況打開に知恵を絞る。例えば、観光情報や飲食店のメニュー、値段などを写真付きで見られるスマートフォン用韓国語アプリを長崎県観光連盟と協同で昨年秋に開発。対馬全体で約160の店や観光スポットの紹介を始めている」

いま対馬で起きていることは、日本のような島国の場合であっても、国の中央だけでなく、周縁からグローバル化が進んでいくというわかりやすい事例になっていると思います。こうした外からの人の流れによって、過疎といわれた地方も新たに活況を呈してくる。かつてのような日本と周辺国との圧倒的な経済格差が埋まり、富が平準化することで、日本も海外の人たちが自由に往来する「インバウンド社会」へと少しずつ移行しつつあるということでしょう。これからの国や地域のあり方をもっと考える必要がありそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-19 18:01 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 18日

「HIS、世界企業へ離陸 東南アジアで消費者開拓」【2013年上半期④HIS】

以前、HISのタイでの取り組みを簡単に紹介しましたが(→「HISタイの訪日旅行の取り組みは要注目です」)、ここでは今年上半期の新聞各紙に掲載された同社の記事をピックアップしたいと思います。

「HIS、世界企業へ離陸 東南アジアで消費者開拓 現地ニーズ、きめ細かく」(日経MJ2013年1月28日)

「日本人向けに格安航空券や割安な旅行商品の販売で成長していたエイチ・アイ・エス(HIS)がアジアを中心に販売網を着々と拡充しているほか、昨年末にはタイにチャーター便子会社を設立し、現地の消費者への売り込みに力を入れ始めた。日本企業から世界企業へ脱皮できるか」

同記事では、タイのバンコクでの動向を紹介しています。

「(今年)2月、HISはタイ・バンコクにある旗艦店舗『トラベルワンダーランド・バンコク』を約1.5倍の約390平方メートルに広げる。2010年に開いたばかりの同店だが、増える来店客に対応するため、拡張に踏み切ることにした」。

「タイではバンコクを中心に販売店舗を13年10月期中に現在の3店から10店前後に拡大」

「日本のように大々的なテレビCMは放映しないものの、タイでは昨年から空港と市街地を結ぶ列車にラッピング広告を掲載するなどして知名度向上を急いでいる」

「商品開発も現地のニーズに合わせ、日本ではなく、国・地域ごとに進める。現時点で世界46カ国・地域101都市138拠点が仕入れた宿泊施設や航空券などから、販売地域の消費者のニーズに合ったものを選び、作り上げていくというのが同社の手法だ」

こうしたHISの取り組みに欠かせないのが人材の育成です。

「昨年7月には、様々な海外企業がインターンシップ情報を載せることができるドイツ語サイトに同社も募集を出した。アジア・欧州の学生を中心に21カ国・地域から約50人が応募。選考を経て昨年11月から10人が、2カ月~1年の期間で日本で就業体験を始めている。13年度入社の新卒社員も約670人のうち約20人が外国人で、世界各地の拠点に配置していく計画だ」

「航空機・ホテル 自前で 垂直統合で商品差異化」(日経MJ同上)では、HISの世界戦略のビジネスモデルを次のように説明しています。

「HISが販売拠点を通じてアジアの消費者を開拓する上で切り札の一つにしようとしているのが『垂直統合モデル』だ。航空機からホテル、テーマパークまでをグループで保有。交通手段から宿泊施設まで自前でまかなえる商品を加えることで差異化を図り、収益拡大を目指す」

昨年12月、HISはタイにチャーター航空便の運航を目的とした子会社「アジア アトランティック エアラインズ(AAA)」を設立。7月下旬から9月下旬にかけて成田・関空とバンコクをつなぐチャーター便のフライトを開始します。「秋や年末年始は日本、国慶節や春節は中国、イスラム圏は断食明けと、各国の旅行シーズンにあわせて就航都市を決め、需要を取り込む」といいます。

同じことは、2010年に子会社化したハウステンボスについてもいえます。尖閣問題で運休に追い込まれたものの、長崎と上海をむすぶクルーズ会社「HTBクルーズ」も立ち上げています。

アジア アトランティック エアラインズ(AAA)  http://www.his-j.com/airline/asia_atlantic_airlines.html
HTBクルーズ http://htbc.co.jp/

HISがモデルとしているのは「ドイツにある世界最大手の旅行会社TUI」だそうです。同社は「傘下にはチャーター便会社やホテルを持つ。観光需要が見込めるシーズンにチャーター路線を飛ばすことで、定期路線ではまかないきれない地域に観光客を送り、需要を獲得している」

「成長事情を押さえ 大手追う 知名度向上課題に」(日経MJ同上)では、日本の海外旅行のシェアではトップのJTBとHISの海外戦略の違いを次のように指摘しています。

「JTBは日本での高い知名度と、得意とする法人・団体旅行事業を生かし、まず日系企業にアプローチ。企業の報奨旅行や従業員の旅行需要から取り込もうとしている。

HISは対照的に、最初から直接現地の消費者に販売する戦略を採る。課題は各国での知名度向上だ」

タイをはじめアジア各国での出店を加速させる背景には、知名度向上があるといいます。タイでの多店舗化による地元消費者へのアプローチが今後どのように進んでいくのか、とても興味深いといえます。

HISタイ
http://www.his-bkk.com/th

同記事の中では、HISの平林朗社長の短いインタビューも掲載しています。

海外事業は東南アジアの開拓から力を入れている理由について、平林社長は「先行事業者がいない上に市場が拡大している。米同時多発テロまで海外旅行者が安定的に増えた日本のように同地域でも海外旅行者は増えていく。この3~4年でシェアを取れれば後は成長スピードが加速する」といいます。また、東南アジアに加え、今後は南米市場も開拓していくそうです。

平林社長はHISの海外展開について「3年後には海外での事業規模が日本を逆転させるようにさせたい」と答えています。

一方日本での事業の位置付けについては「まだまだ成長できる。シニア層の旅行需要があるからだ。格安航空券のHIS、学生の味方のHIS、海外旅行のHISという形で成長してきたが、コアコンピタンス(得意分野)は個人旅行だ。団体旅行を得意とする日本の旅行会社とはそこが異なる」と述べています。

同様の内容は「旅行需要、東南アで開拓 海外取扱高3500億円に」(日本経済新聞2013年2月23日)でも報じられています。
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「旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は東南アジアで現地消費者の旅行需要を開拓する。まずタイとインドネシアで今年から販売店の多店化に着手し、他の国にも順次取り組みを広げる。同社は海外での旅行取扱高を3~5年後に3500億円前後と現在の6倍弱に増やす計画を持つ。東南アジアでは多数の店舗を持つ現地資本の大手旅行会社がなく、増加している中高所得者層の旅行需要を取り込む」

バンコクにおける多店化として「人通りの多いターミナル駅構内やショッピングセンター内などに数十平方メートルの小型店を出しブランド知名度を上げる」。インドネシアでは「昨年9月に主力店を拡張したジャカルタで近く新店を追加。その後も順次店を増やす」といいます。

東南アジア開拓の背景には「アジアの旅行市場では中国は中国国際旅行社、韓国はハナツアーといった現地大手が強い。東南アジアは現地に大手がなくHISは市場開拓の余地が大きいとみる」ためだといいます。

さて、6月に入ると、13年4月期の同社の決算報告が報じられています。

「HIS、純利益最高 旅行事業は減益に」(日本経済新聞2013年6月8日)

「エイチ・アイ・エス(HIS)が7日に発表した2012年11月~13年4月期の連結純利益は、前年同期比13%増の46億円だった。テーマパーク事業の好調がけん引し、上期として過去最高益を更新した。主力の旅行事業は中国方面の旅客減や円安による海外ホテル代金の増加で不振だったが、これを補った」

旅行事業が減益となった背景として「領土を巡る対立を背景に中国や韓国向けの取扱人数は16万人程度減った。より単価の高いハワイやグアム向けが増えたほか、タイなど海外支店での旅行手配も伸ばし、旅行事業の売上高は4%増えたが、円安による採算悪化を補いきれなかった」と分析しています。

海外支店の売上が本体に貢献するという流れは、これからますます強まっていくのでしょうか。日本の旅行業界の新しい方向性としてHISの今後を大いに注目したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-18 13:24 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 17日

「これがタイ人首都圏観光の『ゴールデンルート』だ」【2013年上半期③タイ客】

「日本を訪れるタイ人観光客が急増している。3月の訪日客数は前年同月比70.1%増で、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題で低迷する中国人に代わって全体をけん引する勢いだ。彼らがニッポンに感じる魅力を探ってみると、『ラーメン博物館』『イッセイミヤケ』『北海道』というキーワードが浮かび上がった」(日経MJ2013年5月10日)

タイ人客の急増が訪日外国人の「全体をけん引する勢い」とまでいえるかどうかはともかく、同紙では「中国人に代わり急増 タイ人客が目指す日本」と題して、訪日客のニューカマーとしてのタイ人に人気の「首都圏周遊コース」に記者を同行させています。

3泊4日のスケジュールは以下のとおりです。

1日 羽田空港到着→富士山5合目→忍野八海→御殿場プレミアム・アウトレットモール→富士美華ホテル(山梨県山中湖村)

2日 鎌倉大仏殿高徳院→新横浜ラーメン博物館→新横浜から東京を新幹線で移動→皇居周辺を観光→イッセイミヤケ青山店で買い物→居酒屋(北海道 後楽園メトロ・エム店)→サンシャインプリンスホテル(池袋)

3日 浅草を観光→焼肉店「六歌仙」で食事→ビックカメラとユニクロの共同店舗「ビックロ」など新宿周辺で買い物→サンシャインプリンスホテル

4日 明治神宮→浅草→三井アウトレットパーク木更津で買い物→お台場→羽田空港

「これがタイ人首都圏観光の『ゴールデンルート』だ」というわけです。ちなみに山中湖の富士美華ホテル(http://www.mihanagroup.jp/fujimihana/)は、元西武の郭泰源投手の通訳だった台湾出身の薛森唐氏(美華グループ代表取締役社長)が経営する温泉ホテルです。同ホテルについては、http://diamond.jp/articles/-/5023/ 参照。

記事では「仏教国のタイの観光客にとって、異国で仏教を感じることのできる鎌倉大仏は人気が高い」「(新横浜ラーメン博物館を)訪れたタイ人の大半が食べるのがとんこつラーメン(850円前後)」「(都内宿泊先は)池袋のサンシャインプリンスホテル。チェックインを済ませたら、後はお待ちかねの自由時間。街に繰り出した。東急ハンズ池袋店、マツモトキヨシ、池袋Parco、ABCマート、グランドステージ池袋店……。各自の興味に合わせてそれぞれの目当ての商品がある店に入っていく」とタイ人客の様子を紹介しています。

さらに、「タイでいま、ちょっとした北海道ブームが起きている。日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所の益田浩所長は『旅行先として日本の人気が高まる中でも、北海道の伸び率は最も高い』」と北海道の人気も解説。

「ブームのきっかけは2009年。別の大手旅行誌で夏の花が咲き乱れる北海道を人気女性モデルが回る特集を組んだところ、『花が好きなタイ人にとって、北海道があこがれの場所となった』(益田所長)」だそうです。

「昨年10月末に就航した新千歳-バンコクの直行便で火が付いた。運航するタイ国際航空は当初、搭乗客の5割を日本人、4割をタイ人、1割をタイ周辺国と見ていた。だが、円高修正も影響し、年明け以降の『搭乗客の約6割はタイ人』(同航空)だ」といいます。

「外国人観光客に新たな波 歌舞伎町ダイ歓迎」(東京新聞2013年5月31日)
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「外国人観光客の人気スポット、歌舞伎町に新たな波だ。尖閣諸島問題の影響で中国人の姿が激減した代わりに押し寄せるのは、ほほえみの国・タイからの訪問客。商店にはタイ語の看板が掲げられ、街の風景に変化をもたらしている」

「歌舞伎町交差点に面した中古ブランドショップ『銀蔵新宿2号店』の玄関には、英語の『DUTY FREE』と並び、免税を意味するタイ文字の看板があった。今月、中国人向けに漢字表記していた看板を別の場所に移し、入れ替えた」

まったく現金な話ですが、商売とはそういうものでしょう。「タイ人客のお目当ては、高級ブランドのバッグ」で、「中国人が好んだ『ロレックス』の金製腕時計は、さほどほしがらない」そうです。

「多くはツアーでやってくる。交差点近くで観光バスを降り、ディスカウント店『ドン・キホーテ』、家電や靴の量販店、ドラッグストアなどをはしごする」

「歌舞伎町交番近くのしゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題の店『モーモーパラダイス歌舞伎町牧場』もタイ人客の増加に沸いている」「もともと客の六割は外国人客だったが、尖閣問題以降、その八割をタイ人が占める。多いと一日三百人。中国人客の減少を補ってなお余りある」

同紙では「不夜城といわれてきた歌舞伎町だが、二〇〇八年の新宿コマ劇場閉鎖以降、かつてのようなにぎわいは失われている。地元の外国人観光客にかける期待は大きい」としています。

最近、ぼくも歌舞伎町周辺でタイ人観光客のグループや個人旅行客をよく見かけます。中華系の人たちとは違って、明らかに東南アジア系だと見かけでわかる彼らの天真爛漫な笑顔を見ていると、どこか癒されるものがあります。

※タイ人観光客の日本旅行には、タイで制作されるメディアの影響が大きいといわれています。詳しくは、以下を参照のこと。

ガイドブック『一人でも行ける日本の旅』をめぐるタイ人留学生との問答集
http://inbound.exblog.jp/22471323/
タイ人留学生とお土産談義~なぜ日本の文房具は人気なのか?
http://inbound.exblog.jp/22471366/
タイの日本旅行番組『MAJIDE JAPAN』の影響力はマジですごいらしい
http://inbound.exblog.jp/22471451/
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by sanyo-kansatu | 2013-07-17 11:42 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 16日

「東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」【2013年上半期②外客動向】

2013年に入り、新聞各紙は訪日外国人観光客が戻ってきたことを報じています。なかでも東南アジア客の動向に注目が集まっています。

「観光地 戻る外国客」(読売新聞2013年5月2日)はこう報じています。

「東日本大震災の影響で一時減った外国人観光客が戻ってきた。背景には、安部政権の経済政策『アベノミクス』による円安や、原発事故に伴う放射能の風評被害が収まってきたことなどがあるとみられる。商機とみて受け入れ態勢を強化する施設もある」

同記事では「円相場を見て5日前に(訪日を)決めた」という浅草を訪れたタイ人客に話を聞き、「アジアを中心に日本旅行は『お得だ』という感覚が広まっている。数か月前に予約が決まるツアー客中心の欧米も延びてきそうだ」(観光庁国際交流推進課)のコメントを紹介。「富士山河口湖町では4月上旬、英語・中国語表記だったガイドマップのタイ語版を2万4000部作成」したこと、「新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)も、今年1~3月の外国人客数は前年同期から6割増」「海外で広がる日本流ラーメンブームの影響もあるとみられる」と分析しています。

5月下旬になると、訪日客の主役は東南アジア客だとの報道が急増します。

「首都圏観光、東南アが主役」(日本経済新聞2013年5月25日)

「外国人観光客が急増している。日本政府観光局によると4月の訪日客数は92万人となり、単月で初めて90万人台に達した。特に伸びているのが、経済成長で所得の拡大する東南アジア。格安航空会社(LCC)の増便も追い風で、首都圏の観光地はタイなどからの観光客の姿が目立つ。東京スカイツリーや富士山といった名所ばかりでなく、銭湯やラーメンなども人気を集める」

さらに、日本政府観光局による5月の訪日外客数が発表された6月19日の翌日には、各誌が主役の来訪の動向を取り上げています。

2013年5月の訪日外客数(日本政府観光局)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/130619_mothly.pdf

「観光 東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」
(朝日新聞2013年6月20日)
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「東南アジアから日本を訪れる観光客が増えている。日本政府観光局が19日発表した5月の訪日外国人数では、タイ人客が昨年5月より7割近くも増えるなど、各国がのきなみ2ケタの伸びを記録。昨秋の尖閣問題をきっかけに低迷が続く中国人客の分を、カバーする勢いだ」

「円安で外国人客増 5月旅行者最多 百貨店『追い風に』」
(読売新聞2013年6月20日)

「最近の円安による割安感から外国人旅行者が増え、百貨店で免税売り上げが伸びるなど、国内経済にもプラス効果が出始めている。5月の百貨店の免税売上高はこれまでの最高水準で、百貨店業界は『業績の追い風にしたい』と期待を寄せている」

「5月の訪日客、31%増 アジアから航空便増、円安も貢献 北海道・九州にも広がる」 (日本経済新聞2013年6月20日)

「日本政府観光局が19日まとめた5月の訪日外国人数は87万5000人と前年同月比で31%増加した。2月から4ヵ月連続のプラスで、5月としては過去最高。円高の修正に加えて航空便の増加が追い風になり、地方のホテルや商業施設でもアジアの観光客が増えている」

各紙のポイントとしては、朝日が東南アジア客の急増で尖閣問題以降の中国客の減少をカバーしたこと。読売が百貨店の免税売上にアジア客が貢献していること。日経が新千歳空港の5月の国際チャーター便の前年同月比2割増や、福岡の商業施設「キャナルシティ博多」を訪れるバスの台数が増えていることなどから、大都市圏だけでなく地方へも訪日客が増えていることを指摘しています。

東南アジア客の急増をふまえ、アセアン3カ国の訪日旅行の背景を分析する記事もあります。

「ASEAN、日本食に関心 旅行先、比較対象1位は韓国」(日経MJ2013年5月1日)

「今年は日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力40周年にあたる。リクルートライフスタイルの調査によるとシンガポール、タイ、マレーシアの3カ国からの訪日旅行のきっかけは車や家電を抑えて日本食が1位だった。四季の景色や古都への満足度も高く、都市化が進むASEANの人々が高い関心を寄せている姿が浮かんだ」

この記事は、リクルートライフスタイルの観光調査研究部門、じゃらんリサーチセンターが過去3年間に訪日経験がある人を対象に実施した調査を解析したもの。その結果は以下のとおりです。

●ASEAN3カ国からの訪日旅行のきっかけ

1位 日本の食事
2位 自然や風景
3位 ライフスタイル
4位 伝統的な文化
5位 製品・電子機器
6位 日本人の気質や人柄
7位 芸術
8位 アニメや漫画
9位 建築
10位 経済・産業

●訪日旅行で同時に検討した国・地域

1位 韓国
2位 中国
3位 台湾
4位 香港・マカオ
5位 シンガポール

●訪日の満足度(非常に満足したという回答)

1位 花見、紅葉、雪景色など季節の風景を見る
2位 日本式旅館に泊まる
3位 農村風景や田園風景を見る
4位 ローカルフードを食べる
5位 海や山などの自然の景色を見る
6位 刺し身、寿司など、生ものの日本食を食べる
7位 和牛や豚肉の料理を食べる
8位 世界遺産に行く
9位 日本の城を見る
10位 アウトドアスポーツ

同記事は、上記の調査を以下の3つのポイントに整理しています。
①ASEANからの訪日旅行のきっかけは「日本製品・電子機器」を抑え「食事」が1位
②訪日旅行で同時に検討した国・地域は3カ国ともに「韓国」が1位
③日本旅行で満足したことは「季節の風景」「日本式旅館」「農村風景や田園風景」が上位

この結果は、もしかすると意外に思われたかもしれません。でも、東南アジア客が増えている背景に、日本の自然や食事、旅館など、飾ることのない素顔の日本的な要素が挙げられていることは、ちょっとうれしく思いませんか。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-16 19:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 16日

東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】

2013年に入り、インバウンドを取り巻く状況が変わってきたようです。今年上半期の新聞各紙から興味深い動きをピックアップしていきます。まずはホテルの動向から。
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「都市ホテルの稼働率が一段と上昇している。日本経済新聞社の調査によると、東京では4月の稼働率が9割を超すホテルが続出。円安による外国人客の増加に加え、景気回復基調で国内観光の客足も戻った。大阪でも稼働率は高水準。インターコンチネンタル大阪が5日開業するなど外資系を中心に新規開業が増えており、競争環境は今後激化する見通しだ」(日経MJ2013年6月7日)

同紙では「東京・大阪の主要都市ホテルの稼働率は震災前を大きく上回る水準に」「2013年4月の主要19ホテルの平均客室稼働率は88%と前年同月比5.7ポイント上昇」「ほぼ10年ぶりの高水準となった」「宿泊客に占める外国人比率が4~6割に達する例も目立った」としています。

以下、都内の主なホテルの①客室稼働率と②外国人比率の〔昨年4月→今年4月〕を公表しています。

京王プラザホテル ①86.7→92.8 ②60%台前半→60%台後半
ホテルニューオータニ ①61.8→72.8 ②42.7→40.1
セルリアンタワート東急ホテル ①83.4→91.5 ②53.5→56.9
ホテルオークラ東京 ①66.3→82.6 ②51.8→51.4
品川プリンスホテル ①87.6→90.7 ②21.2→23.5
ホテルメトロポリタン ①91.3→91.8 ②53.1→62.4
八重洲富士屋ホテル ①96.8→99.0 ②16.3→11.7
コートヤード・マリオット銀座東武ホテル ①92.7→95.2 ②71.7→67.8
ホテル日航東京 ①82.6→85.7 ②21.3→10.5
帝国ホテル ①79.7→87.6 ②約4割→約4割

上記のデータから、ホテルによって外国人比率がずいぶん違うこと、どのホテルがインバウンド客への取り組みに積極的かがわかります。ホテルによって欧米系とアジア系の比率が異なる場合もあります。また外国人比率が減っても稼働率は上昇しているホテルも多いことから、景気は回復基調にあるといえそうです。

「外資系高級ホテル、都内に続々 外国人富裕層つかめ」(日本経済新聞2013年6月7日)という記事もあります。

「外資系高級ホテルが東京都心で相次ぎ開業する。港区虎ノ門で建設中の超高層ビルに米ハイアット・ホテルズのブランド『アンダーズ』が日本に初進出する。千代田区大手町のオフィス街にはシンガポールの有名リゾートホテル『アマン東京』が開業する。外国人富裕層のビジネス・観光客の受け皿増加は、東京の国際化を後押しする」

他にもホテルラフォーレ東京(東京・品川)を改装し、13年12月に東京マリオットホテルとして開業予定です。

こうなると「日系ホテル、改装で対抗」となるのは必至で、日系ホテルの取り組み事例を紹介しています。

・ザ・プリンス さくらタワー東京 今秋にリニューアルオープン。ダブルベッド部屋を6割増しに
・京王プラザホテル 4億円を投じ、南館28~33階の客室を改装。Wi-Fi完備

「既存の外資系も集客策続々投入」として、外資系の事例もあります。

・マンダリン オリエンタル 東京 6月フランス料理のシェフとメニューを刷新
・シャングリ・ラ ホテル東京 箱根など近郊への日帰りツアーを拡充
・ザ・ペニンシュラ東京 京都で文化体験できる独自のプログラム

さらに「米ヒルトン 5ホテル改装 外資、日本で攻勢 外国人客増 取り込み狙う」(日本経済新聞2013年7月9日)「2013年からの3年間で100億円超を投じて日本国内のホテルを改装する。東京や大阪など5つのホテルで飲食フロアや客室を刷新する」というヒルトングループの記事もあります。

「ヒルトンは日本で『ヒルトン』ブランドのホテルを9つ展開しており、外資系の都市型高級ホテルでのブランドでは最も多い。そのうち5つの改装に集中投資する」「ヒルトンが日本で過去に例のない集中投資をするのは、外資系を中心に大都市で高級ホテルの開業が相次ぎ、競争が激しくなっているため」です。

同記事では、背景として「タイヤマレーシアのビザ要件緩和などで東南アジアからの観光客の増加が見込める。観光スポットや話題の商業施設の増加で国内各地から日本人旅行者も増えており、大都市の高級ホテルに追い風になっている」と結んでいます。

●日本でこれから開業予定の外資系ホテル

東京マリオットホテル(2013年12月)http://www.tokyo-marriott.com/
アンダーズ(14年夏) http://www.andaz.hyatt.com/ja/andaz.html
アマン東京(14年) http://luxury-collection.jp/
ヒルトン沖縄北谷(14年)
フォーシーズンホテル京都(15年)

最後に、外資系ではないですが、「星野リゾート 東京・大手町に高級旅館」(日経MJ2013年3月18日)の記事を挙げておきます。

「旅館、ホテル運営の星野リゾート(、長野県軽井沢町)は三菱地所と組み、2016年をめどに東京・大手町で高級旅館の運営に乗り出す。84の純和風客室や日本食レストランなどを備え、訪日外国人を中心にビジネスから観光まで幅広い用途の利用客を取り込むほか、日本旅館の運営手法を世界に発信。同社の認知度を高めることで、将来的には海外でのホテルの運営の受託にもつなげる」

「星野リゾート、バリ島進出」(日本経済新聞2013年6月7日)、2014年に「現地企業が建てるホテルの運営を受託」するといいます。こうした精力的な同社の動きが、この時期相次いで報じられていることも注目です。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-16 17:41 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)