ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 11月 26日

韓国は無視? 東京で日中観光大臣会談の気になる背景

今週、以下の記事が配信されていました。今年9月に中国の武漢で開催される予定だった日中韓3ヵ国の観光大臣会合が中国側の事情で延期になっていましたが、メディアによると「(中国側代表は)米国での観光イベントに出席した帰路、会談のために日本を訪問」(トラベルヴィジョン2016年11月24日)し、日中のみでの会談が実現したようです。

「ぼったくり追放」も合意 日中両国が観光拡大の覚書(産経ニュース2016.11.24)
http://www.sankei.com/world/news/161124/wor1611240041-n1.html

石井啓一国土交通相と中国の李金早国家観光局長は24日、日中観光の活性化について意見交換し、観光交流の拡大や観光サービスの質向上に向けて協力するなどの内容を盛り込んだ覚書に署名した。また、来年の日中国交正常化45周年、翌年の日中平和友好条約締結40周年の節目に合わせ、共同イベントを企画する方向で合意した。

覚書の合意事項は、(1)地方間交流や青少年交流、文化・スポーツ交流の3分野での観光交流促進(2)東アジア域外からの観光客誘致(3)観光サービスの質向上(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化(5)重要事項を定期的に協議するメカニズムの整備-の5点。

会談で、石井氏は中国からの訪日客が10月までに551万人に達したと説明し、「双方向の観光交流を一層拡大することが重要」との認識を示した。


両国の合意事項として挙げられる5点のうち、興味深いのは、(2)東アジア域外からの観光客誘致と(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化でしょうか。これはどういうことを指すのか。

産経の記事は大雑把なので、別の記事を見てみましょう。

中国から国家旅游局長が来日、石井大臣と会談、MOUも(トラベルヴィジョン2016年11月24日)
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=75421

記事の一部を以下、抜粋します。

「東アジア域外からの観光客の誘致」については、15年の3大臣会合で決定した「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」の推進をはかるとともに、20年夏の東京オリンピックと22年冬の北京オリンピックについて情報と経験を共有することで一致。「観光サービスの質の向上」「観光市場の監督と協力の強化」では、観光客にとってより安全で快適な環境を作るため、不合理な格安ツアー、買い物の強制、ぼったくり行為などの減少に向けて連携することを確認した。観光庁は啓発のための新たなポスターを、近日中に制作する予定。

ここでは両国の合意事項の中身についてもう少し詳しく書いています。(2)については、2020年夏の東京オリンピックと2022年冬の北京オリンピックの開催が決定していることから、東アジア全体で海外からの旅行者の集客について協力しようということでしょう。
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そして(4)については、以前本ブログでも解説した中国のキックバックスキームに依存する安価なツアーの問題と、そのようなツアーがキックバックを得るために客を連れて行かなければなかった日本国内にある「ブラック免税店問題」を指していると思われます。今日、日本を訪れる中国人観光客は日本人の訪中客よりダブルスコア以上に多いことから、中国側としてはこの問題についての日本側の姿勢を問い正したいと考えていても不思議ではありません。要は、多くの訪日中国客を騙す「ブラック免税店」を日本の監督官庁はきちんと取り締まってほしいということなのでしょう。

中国「新旅游法」は元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

それにしても気になるのは、なぜここに韓国側代表がいないのか? お国の事情がそれどころではないのかもしれませんが、なんだか韓国だけ除け者にされているような感じです。2018年には平昌冬季五輪もあるというのに…。

「日中韓観光大臣会合」は2006年から毎年行われていましたが、尖閣諸島「国有化」で、12年以降、中国側が一方的に開催を拒絶していたものの、15年4月、4年ぶりに第7回目として再開され、冒頭で述べたように今年も9月に開催される予定でした。ところが、今夏の中国、特に内陸部は大雨で被災したことから、延期となっていました。

武漢での日中韓観光大臣会合が延期に、理由は水害(トラベルヴィジョン2016年8月7日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=73790

武漢市各所が豪雨のため冠水、「航海」する車や人々(人民網日本語版2016年06月02日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0602/c94659-9067233.html

当時中国メディアは、被災地の正確な状況や被災者数などを詳しく伝えず、人民解放軍らが復興支援で活躍する様子ばかりをテレビに映すので、知り合いの中国人たちは不安を隠せないと話していました。9月上旬、日本旅行業協会(JATA)の知人から「会合が延期になり、武漢行きがなくなった。どういうことだろう?」と聞かれ、場所が武漢であれば仕方がないと答えたことがあります。この時期、海外メディアには武漢に来てもらいたくないという事情もあったかもしれません。

今年、中国とアメリカは「中米観光年」を迎えていました。両国の観光交流を相互促進しようという年だったのです。

習近平主席が「中米観光年」閉幕式に祝辞(人民網日本語版2016年11月22日)1
http://j.people.com.cn/n3/2016/1122/c94474-9145227.html

米国で開催されたイベントの「帰路」に中国の国家観光局長が日本に立ち寄ったというのは、そういうわけです。

いま中国は香港、台湾のみならず、THAAD配備を決めた韓国に対しても徹底して報復措置を実施しているところですから、お呼びではないということなのかもしれません。日本側もわざわざ声をかけるという気にならなかったということか。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が増えている反面、中国を訪れる外国客は伸び悩んでおり、北京冬季オリンピックに向けて、この方面については日本と協力したいという思惑が彼らの側にはあるのかもしれません。

アジアで珍しく外国客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身
http://inbound.exblog.jp/24475269/

だとしても、ここまで露骨に観光を政治の取引に使う中国との協力を、どこまで本気に進めればいいものか、考えてしまいます。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-26 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 19日

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)

最近、都内でも中国本土の個人客が増えてきたことを実感します。こんな記事がありました。

中国人訪日観光客の買物は次第に理性的に(人民網日本語版 2016年10月05日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/1005/c94473-9123124.html

ビザ制度の緩和、交通の整備、日本のサービス業や商品の良い評判にともない、近年日本を訪れる中国人観光客は過去最多を更新し続けている。今年の状況を見ると、中国人訪日観光客の買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている。新華社が伝えた。

2015年に中国人の海外旅行者数は延べ1億2000万人で、うち499万人が日本を訪れた。中国国家観光局駐日代表処の羅玉泉首席代表は取材に「今年、中国人訪日観光客は依然として比較的高い伸びを維持し、8月まですでに延べ450万人に達した。年間では延べ700万人近くになる見通しだ」と述べた。

目薬から便座まで、カメラから腕時計まで、中国人訪日観光客は元々たくさん買い物をすることで有名で、日本語にはこうした買物を専門に指す新語「爆買い」まで生まれた。だが、今年中国人訪日観光客の平均消費額は減少した。羅氏は、円高や中国人の買物がより理性的になっていることと関係があると考える。

2015年の中国人訪日観光客の1人当たり旅行支出は28万4000円近くで、うち買物の支出は16万円を超えた。一方、訪日外国人の平均買物支出は約7万4000円だった。だが今年上半期、中国人訪日観光客の1人当たり買物支出はすでに約12万4000円にまで減少した。

羅氏によると、中国人訪日観光客の変化はこれだけではない。観光客の居住地を見ると、以前は上海、北京、広東省が中心だったが、現在は江蘇省、浙江省、天津市、四川省、重慶市、遼寧省在住の観光客が増えてきている。2015年、上海、北京、広東省在住の観光客の割合は48.8%にまで下がった。

もう1つの大きな変化は自由旅行者の割合が次第に増加していることだ。2011年には自由旅行者の割合は4分の1に過ぎなかったが、2012年には30%に近づき、2013、2014年には40%に近づき、2015年には44%に達し、今年上半期は54%まで増加した。

また、中国人観光客の訪日目的も多様化してきている。伝統的な日本の風情と文化だけでなく、より日常生活に近い体験も望んでいる。新浪微博(ウェイボー)上の「日本で何をしたいか」に関する調査では、「買物」「日本料理を食べる」「温泉に入る」以外に、和服を着ての写真撮影、花見、スキー、民宿への宿泊などが挙がった。美容、そば作り体験、AKB48の握手会などへの参加を希望する若者も多かった。


この記事では、中国客の「買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている」としれっと書いているところに苦笑してしまいます。あの手この手で「爆買い」を「強制終了」させたのは、誰だったのでしょう? 

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?
http://inbound.exblog.jp/26190593/

「爆買い」騒ぎで、海外から驚きと呆れ交じりのまなざしを向けられていた中国客でしたが、それは彼らの本能のようなもの。そうなる理由もいろいろあったはずです。でも、中国メディアはそれを非「理性的」だと否定的に捉えていたのです。

では、その後彼らが買い物をしなくなったかというと、そうでもないようです。

先日も中国から友人が東京に来ていましたが、ホテルの部屋に届け物をしに訪ねると、超ビッグなスーツケースを持ってきていて、「いろいろ頼まれるので、買い物が大変」と話していました。建前上、関税がかからないようにするためには、5000元(約8万円)以内に土産代を収めなければならないのですが、そういうわけにもいかないそうで、粉ミルクやもろもろ頼まれたものは、すでに郵便局から送ったそうです。

「訪日目的も多様化」していると記事にあるように、だんだん台湾や香港、タイの人たちに交じって中国本土客もこれまでとは違うスポットに出没していくのでしょう。中国メディアは、すでに全体の54%は個人ビザ客だといっています。

それはそれで心配です。その結果、何が起きているかというと、他の国々の観光客とは違い、街中で独特の異質感を漂わせる中国客の姿が目につくようになるからです。

正直なところ、香港や台湾の人たちは日本の社会に溶け込んでいるので、なかなか外国客だと気がつかなくなっているのですが、中国客は彼ら特有のどこか挙動不審の顔つきや荒っぽい話し方、洗練からはほど遠いふるまいから、すぐにそれとわかってしまうところがあります。単に言葉の問題ではなく、台湾や香港、タイの人なら、電車の座席の隣に座って「どっから来たの?」と話しかけても、ごく普通にお互いの意思や好意が伝わり、物腰の柔らかさを感じるのですが、中国の人相手では会話もこわばり、なかなかそうならない印象があります(日本に住んでいたり、日本語を話せる中国人は別ですけれど)。

台湾人やタイ人なら、日本を楽しんでいる感じが伝わってくるのです。ところが、中国客の場合、いったいこの人たち誰? 何しに来ているの? なんとも場違いな印象を周囲に与えてしまう。そのくせ、自撮りのときだけ、派手なポージングを見せるものだから、引いてしまう。結局、「爆買い」も、いろんな人から頼まれ、たくさん買わなきゃならないという理由はわかるとしても、なぜそこまでするのか。およそ外国人からすれば、理解不能に見えたことでしょう。

もともと外国人とのコミュニケーションに慣れていないところはありそうです。中国は多民族国家ですが、少数民族は「外国人」ではないので、本当の意味での異文化に慣れていないのが実情です。中国メディアも、海外との違いをごまかしがちです。しかし、問題は彼らがそもそも外国を訪ねておきながら、内輪で固まり、その国の人たちとコミュニケーションを取ろうとしている風に見えないところでしょうか。

このままでは、彼らはますます日本社会に誤解を与えてしまいそうです。こういう自らの異質性に気づいて、中国客のふるまいや態度を一般の国並みに変えるよう勧告することこそ、中国メディアに求められるのではないでしょうか。余計なお世話かもしれないけれど、やっぱり心配です。

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感
http://inbound.exblog.jp/26380202/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-19 18:20 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 10日

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです

昨日、中国黒龍江省から訪れた友人の旅行関係者に会ったのですが、突然こんなことを言い出しました。

「韓国はこれから大変ですね」
「朴大統領の支持率が急落し、デモが起きていること?」
「それもそうですが、11月上旬に政府から訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達があったからです」。
「ハルビンからも多くの観光客が韓国に行っているんですか?」
「ええ、そうです。日本に行くより多いです」
「ハルビン・ソウル線も多いのですか」
「はい。でも、こうなると、減便になるかもしれません」

この話は、すでに韓国メディアで報じられていました。

中国政府「韓国に行く中国人観光客20%減らせ…ショッピングも1日1回だけ」(中央日報/中央日報日本語版2016年10月25日)
http://japanese.joins.com/article/987/221987.html

一部を抜粋します。

「中国政府が韓国を訪問する中国人観光客数を昨年より20%以上減らせという指針を各省の一線の旅行会社に出したことが確認された。

在中大使館および各地域総領事館・旅行業界によると、先週、上海・江蘇・浙江・安徽・陝西など現地政府が管轄地域内の旅行会社の幹部を招集したり電話をかけたりしてこうした内容を口頭で伝えた。通知内容の中には▼韓国に送る旅行客を減少させる方法と対策を今月末までに報告▼格安団体観光の販促中止▼韓国現地ショッピングは一日1回に制限▼これを犯した場合は30万中国元(約450万円)の罰金--などの内容がある」。

同じ通達が少し遅れて黒龍江省にも発せられたということでしょう。

このようなお上からの民間企業への通達は、中国ではよく行われるものです。今回は、国家旅游局の省の部局が現地旅行関係者を集め、口頭で伝えたようです。中国では自国民の海外旅行者の名簿は旅游局に提出が義務付けられています。ですから、たとえば今年2000名の訪韓客を扱った旅行会社は来年は上限1600名以上は許可を出さないということです。まったく市場経済とはほど遠い世界ですね。

「なぜいま頃になって急に?」と彼に聞くと、「THAADの影響でしょう」と迷わず答えます。そりゃそうでしょう。中国メディアは連日のように韓国のTHAAD配備決定を批判し続けていたからです。中国の一般国民からすれば、間違いなく報復措置だというのが認識のようです。

それでも、上記記事には「中国当局がなぜこうした決定をしたのかはまだ疑問だ。韓国関連機関・業界は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の韓国配備決定に対する報復措置である可能性と格安観光の弊害を減らすための対策である可能性を分析中だ。ソ・ヨンチュン韓国観光公社北京支社長は「中国当局が今回の決定を出した理由についてはっきりと説明していない。いかなる理由であれ中国人観光客の減少による打撃が懸念される」と話した」とあります。韓国側は、それを報復措置だとは受け取りたくないのでしょうか。現実から目を背けたいのでしょうね。

もっとも、「通知内容には格安旅行に対する規制が含まれている。格安商品はビラやインターネット・SNSを通じた一切の広告活動ができないようにし、これを犯した場合は30万元の罰金を科して行政監視も強化すると警告した。一部の地域は価格基準を2000元(約3万1200円)と明示したりもした」とあるように、土産の売上からコミッションを得て成立させているようなツアーの弊害を根絶することが狙いという説明もあるようです。

しかし、それは受け入れ側の韓国の問題だけでなく、送り出し側の中国の問題でもあるわけで、結果的には訪韓中国人観光客を減らすことにつながることは変わりありません。

これをうけ、韓国メディアは「韓国のホテルと免税店の打撃は避けられない」と言っています。

中国当局、「遊客」の韓国行きを制限...泣き面に蜂の旅行・流通業(MK NEWS2016-10-27)
http://japan.mk.co.kr/view.php?category=30600004&year=2016&idx=5246

表向き、消費者保護を謳いながら、その実、観光を政治の取引に使うやり口は、台湾や香港ですでに見られたものでした。

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情
http://inbound.exblog.jp/25941821/

いまのところ、日本への中国人観光客の制限は出ていないようです。黒龍江省の彼からすれば、韓国方面が減る以上、タイや日本への送客は増えるだろうといいます。

もっとも、今回の措置、中国側の表向きのロジックは「格安旅行の弊害を減らすための対策」ということですから、いずれ日本国内の「ブラック免税店」問題などを持ち出す日がくるかもしれません。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

今回のような韓国に対する報復につながる通達は、政権上層部から直接出ているというより、中国の場合、各行政機関が政権の意に沿うように自発的に打ち出しているのではないか。政権のおぼえをよくすることは出世につながる。少々訪韓客が減っても、天秤にかければ利は残るという自分都合の発想から出てきたに違いないでしょう。これまでの経緯をみていると、そう思ってしまいます。

でも、こうした中国政府のやり口で影響を受けるのは周辺諸国だけではありません。実際には自国民への不利益をもたらすはずです。なぜなら、中国政府は相手が弱いとみると、容赦なく弱みを突いてくるけれど、そんなことばかりしていては、中国人観光客の受入国は彼らを尊重しようとする意欲を失いかねないからです。「中国人観光客縮小」カード(中央日報)の安易な持ち出しは、周辺諸国から警戒されるだけで、尊敬されることはありません。そんなことに、いつになったら気づくのでしょう。

【追記】
中国政府も、いよいよ日本にも物申してきたようです。北朝鮮に対する防衛のため、THAADの配備を日本が検討し始めたとたん、黙ってはいられないようです。

「慎重な対応を」=日本のTHAAD導入検討で-中国外務省(時事通信2016.11.28)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112800714
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by sanyo-kansatu | 2016-11-10 16:04 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 02日

「消費」が減れば「薄い恩恵」とは、ちょっと浅ましすぎないか

先月末の31日に、国土交通省は今年の訪日外国人数がこの時点で2000万人を突破したことを報告しました。

その翌日の11月1日、以下の記事が出てきました。

訪日2000万人、薄い恩恵 クルーズ船客が牽引、大台突破も… 地元商店寄らず・宿泊なし(朝日新聞2016年11月1日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12636227.html

今年に入って日本を訪れた外国人客が2千万人を超えたと、国土交通省が31日発表した。年間で2千万人の大台を突破するのは初めて。中国などアジアからのクルーズ船客が急増し、伸びを牽引(けんいん)している。ただ、訪日客の伸び率は鈍化しており、地域経済へのプラス効果も期待されたほどではないようだ。

1年間の訪日客数は、前年比2割増の2400万人前後になる勢いだ。とくにクルーズ船での訪日客が増えており、今年は前年の倍の200万人強になるとみられている。

クルーズ船は日本の地方都市にも寄港する。国交省は「地方創生」につながるとし、港湾整備費として2017年度予算で16年度当初比66%増の137億円を要求した。

だが、地域経済への恩恵は、政府の期待ほど広がっていないのが実情だ。

宮崎県日南市の油津港。10月中旬の朝、マンションのように多くの客室を備えるクルーズ船が岸壁に到着し、降りてきた訪日客が大型バスに乗り込んでいった。宮崎県内の神社を二つ回った後、地元商店街には寄らず、県外企業が運営する免税店に向かった。この店はクルーズ船が来港したときだけ開く。地域に恩恵を広げようと、地元商店などが出店する物産展を日南市などが港で開く動きもあるが、地元商店街のパン店で働く女性は「訪日客が増えても、私たちにはいいことがない」とこぼす。

日本に寄港するクルーズ船ツアーの多くは、中国の旅行会社が企画。韓国と日本を回るコースが典型だ。

寄港地での行き先を決めるのは、ランドオペレーター(ランオペ)と呼ばれる仲介業者。立ち寄る免税店からマージン(手数料)を受けとる。高額なマージンの店ばかりに行き、その店で割高な商品を売りつけられるなどのトラブルも報告されている。中国でも「ぼったくり免税店」と問題視する報道が出始めている。

ランオペを規制する法律は、日本にはない。観光庁は6月に実態調査を始めたばかりで、対応はおくれ気味だ。(柴田秀並)

■消費総額、前年割れ

観光庁の統計によると、8月の外国人の国内宿泊者数は3年半ぶりに前年同月比で減少に転じた。船内で寝泊まりできるクルーズ船による訪日客が増えていることも影響しているようだ。下船して宿泊しないと、国内での食事や買い物の機会も減る。7~9月の訪日客の消費総額は約5年ぶりに前年割れした。

中国当局の関税引き上げや円高などで「爆買い」ブームも去り、訪日客1人あたりの消費額も前年割れが続く。訪日が2回目以上の「リピーター」が買い物にこだわらずに観光を楽しみ始めたとの見方もあるが、リピーター率は50%台半ばから伸びていない。

一方で、ホテル不足は深刻なままだ。政府は年間の訪日客数を「2020年までに4千万人」に増やす目標を掲げるが、宿泊施設を確保できるかは不透明だ。

訪日客に人気の大阪市では、14年度に25件だった宿泊施設の建築計画届が、今年度は上半期だけで183件と急増している。三菱総合研究所によると、18年までに大阪市のホテル客室数は2割近く増え、新たに8500室ができる見通しだ。小泉洋平主任研究員は「それでも訪日客を倍増させる目標に照らすと十分とはいえない」と指摘する。

宿泊施設不足の打開策を期待される「民泊」の普及でも、政府の対応は後手に回っている。法案の提出は、来年の通常国会になる見通しだ。(奥田貫、田幸香純)


言いたいことはよくわかるけど、訪日外国人による消費額が前年割れしたとたん、「薄い恩恵」とは、いささか浅ましすぎるもの言いではないでしょうか。まるで、たくさん買い物しないようなら、外国客はお呼びでない、とでもいうのでしょうか。問い詰めれば、そんなつもりはないと答えるのでしょうが、外国の人たちからすれば、そう受け取れなくもない気がします。

このメディアがこのようなタイトルをつけるのは理由があるように思われます。安倍政権が「アベノミクス」の成果とばかりに持ち上げた訪日旅行市場の盛況について、これ自体は否定しにくいため、「経済効果」が広がらないことで、批判の対象にしたいのではないでしょうか。

自分の手柄のように持ち上げた政権側もどうかと思いますが、基本的に、インバウンドを政治イシューにすることは得策ではないと思います。相手がいる世界だからです。むしろ、インバウンドの本来の目的は「経済効果」ばかりにあるのではないことを説くことが必要ではないでしょうか。

少なくともこの数年、メディアはインバウンドの「経済効果」を、しぶしぶなのかどうかわかりませんが、伝えることに熱心でした。まるで、インバウンドの意義がそこにしかないかのように。

これからは「経済効果」のみにこだわらない議論を始めてほしいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-02 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 22日

ランオペ登録制は一歩前進。ガイドも登録制にできるだろうか

今朝の朝日新聞の一面に以下の記事が掲載されました。

「ランオペ」業者、登録制に 旅行会社に代わってバスなど手配 観光庁方針」(朝日新聞2016年10月22日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12619915.html

観光庁は、旅行業者に代わってツアーバスやガイドの手配などをしている仲介業者の規制に乗り出す方針を決めた。仲介業者は「ランドオペレーター(ランオペ)」と呼ばれ、全国に少なくとも864社あるが、安すぎる運賃でバスを手配したり、不適切なガイドを派遣したりするトラブルが相次いでいた。旅行業法の規制の対象外ログイン前の続きだったが、登録制を導入して指導・監督する。来年の法改正を目指す。

■訪日客、トラブルも

ランオペは、旅行業法で登録されている旅行会社の依頼を受けて、バスやホテル、ガイドを手配する業者。自前の調達能力に乏しい中小の旅行業者にとって、欠かせない存在だ。旅行客と直接契約を交わさないことから、旅行業法の規制の枠外とされてきた。国や自治体への登録も必要なく、観光庁も実態を把握できていなかった。
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今年1月、長野県軽井沢町で15人が死亡したスキーバス事故も、ランオペがツアー会社とバス会社を仲介していた。バス会社は道路運送法に基づき、安全な運行に最低限必要な下限運賃を国に申請している。事故を起こしたバスは、それより安い料金で手配されていたが、規制対象外のため、観光庁はランオペには行政処分を科すことができなかった。

観光庁はランオペの実態を探ろうと6月以降、国内の旅行業者やバス、宿泊業者など約1万社に、ランオペとの取引状況を尋ねた。その結果、少なくとも全国で864社のランオペが営業していることがわかった。そのうち、業務範囲について調査に応じたランオペ223社は、訪日外国人旅行の専業が68社(30・5%)、日本人国内旅行専業が57社(25・6%)、両方が98社(43・9%)だった。

ランオペが絡むトラブルについては、旅行業者812社のうち46業者が「キックバックを前提とした特定の土産店などへの連れ回しへのクレームがあった」と回答。宿泊施設やバスなどの関連事業者186社への問いでは、43社が「直前でのキャンセルがあった」と答え、32社が「バス事業者への最低価格割れ料金での手配があった」、18社が「料金未払いがあった」と回答した。

訪日外国人からは、ランオペが手配したとみられるガイドに対し「酵素や納豆を不当に高い価格で薦められた」「熱心に薬を薦められたが偽物だった」などの苦情が相次いでいた。

2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、近年、日本を訪れる外国人観光客が増えている。悪質な業者を野放しにしてツアーの質が落ちれば、好調な誘客に水を差すとの懸念も指摘されていた。

観光庁はランオペを登録制にすることで、不正が起きないように監督、指導していく方針。具体的な監督や指導の手法は固まっていないが、旅行中の安全確保などランオペの責任を明文化し、違反した場合にペナルティーを科すことなどを検討している。年内に取りまとめて、ツアーの質や、バス運行の安全性向上につなげる意向だ。(伊藤嘉孝)


9月下旬には、読売新聞が「ニッポン観光の影」という全6回の連載をしていましたが、メディアがいわゆる「外国客の消費力による経済効果」ばかりを報じていた去年までと違い、訪日外国人旅行者の増加にともなう負の側面を伝えるようになったことを歓迎したいと思います。

この記事では、「旅行業者に代わってツアーバスやガイドの手配などをしている仲介業者」である「ランドオペレーター(ランオペ)」が全国に少なくとも864社あることを観光庁が調査し、今後は「登録制を導入して指導・監督」すると報じています。

ランドオペレーターは「旅行業法で登録されている旅行会社の依頼を受けて、バスやホテル、ガイドを手配する業者」であり、「旅行客と直接契約を交わさないことから、旅行業法の規制の枠外とされてきた」とあります。

これはどういうことかというと、訪日ツアーの場合、ここでいう「旅行会社」は海外の旅行会社のことで、彼らが集客した海外のお客さんの日本国内の旅行手配業務をランドオペレーターが請け負うことになるわけです。そのため、ランドオペレーターはお客さんとは直接契約を交わしていないことから、消費者保護をうたう旅行業法には抵触しない存在だったということです。これまで観光庁は、海外のお客さんの消費者保護については、彼らが契約を交わした海外の旅行会社の責任で、ランドオペレーターの業務を管理監督する立場にはないという(少々言いすぎかもしれませんけれど)のが言い分でした。

しかし、今年1月に軽井沢で起きたスキーツアーバス事故(これは海外の旅行会社は無関係)などが再発したことや本ブログでも扱った「日本のブラック免税店」とランドオペレーターの関係などが明るみに出たことから、「観光庁はランオペを登録制にすることで、不正が起きないように監督、指導していく方針」となったようです。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
「中国客を陥れる日本のブラック免税店」の隠れた舞台裏(日経BPネット2016.07.13)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/071200017/

記事では全国にランドオペレーターが「864社」あったと書かれていますが、実際のところ、これを調べるのは大変なことだったと想像します。でも、海外の旅行客に直接サービスを提供する存在であるランドオペレーターが誰だかよくわからなかったというのは、考えてみれば、困ったことでした。

これで一歩前進。ただし、この先もっと大変なことが待ち構えています。ランドオペレーターから仕事を請け負うツアーのガイドとは誰なのか。その実態を調べていくことが次の段階でしょう。つまり、ランオペの次は、ガイドの登録制に向けた取り組みです。

ランオペ経由で調べていくことになるのでしょうが、これは簡単なこととは思えません。しかし、これをやらないと、観光ビザで来日し、滞在有効日数内にガイド業務を繰り返し、そのまま所得申告もしないで帰国する外国籍のガイド、いわゆる「スルーガイド」問題の解決には至りません。

もっとも、それをどこまでやるかのさじ加減も問われるところがありそうです。現在のアジアの多くの国々から訪れる団体ツアーのビジネスモデルの根幹に関わることだからです。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-22 09:28 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 12日

これ、嫌なニュースだな。ゲストハウスでバイトした旅行者を逮捕

これも、最近ちょっと増えてきたインバウンドがらみの報道のひとつ。嫌なニュースですね。

宿泊料代わりに働いた疑い 外国人観光客2人逮捕 札幌(朝日新聞2016年10月11日)
http://www.asahi.com/articles/ASJBC5W6YJBCIIPE02G.html

札幌市内のホステル(宿泊施設)で働く代わりに無料で宿泊したとして、北海道警は11日、観光客のマレーシア人の女(30)と中国人の女(19)を出入国管理法違反(資格外活動)の疑いで現行犯逮捕した。また、女2人に不法就労させたとして、道警は、ホステルの運営会社「万両」(東京都台東区)の社長の男(45)やホステル責任者の女(34)ら3人を同法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕する方針。

道警によると、2人は11日午前、同市中央区の「カオサン札幌ファミリーホステル」で宿泊料2千円をそれぞれ免除される代わりに、無資格で館内の清掃やベッドメイキングなどをした疑いがある。2人は容疑を認め、「観光ビザで働けないと分かっていたが、現金をもらっておらず大丈夫だと思った」などと供述しているという。

同社は主に外国人向けのホステルやゲストハウスを東京や大阪など6都道府県で計13店展開。ホームページに「就労資格がなくても清掃などに従事すれば無料で宿泊できる」との内容を英語で掲載しており、道警は組織的な犯行とみている。

札幌市によると、昨年度に市内で宿泊した外国人は191万8千人で、過去最多を記録。中国、台湾、韓国などアジアの客が多くを占める。北海道労働局によると、今年8月のホテル従業員らの有効求人倍率は2・63倍と全体の1・07倍を大きく上回り、人手不足の状態となっている。


この報道をネットで知って、最初に思ったのは、誰がふたりをチクったのだろうか、ということです。

すごく不愉快な感じがします。だって、これを不法就労などと言い出せば(まあ実際はそうなのかもしれませんけれど)、もっと悪質な不法就労をこれだけほっておいて、弱いものいじめはやめろよ、と言いたくなります。

例の免税店から中国人観光客の買い物の売上に応じてもらったマージンを所得申告しなかった不法ガイド(最近は国税局も調べ始めているようで、年間数千万円という人もいます)なんて、もう数え切れないほどいるのに、そちらは「実態を把握できていない」と頬かむりをしておいて、わずか1日2000円のドミトリー代金(1部屋にベッドがいくつも並んでいる部屋の料金)のことで不法就労とは……。

金額の問題ではないと言う人もいるでしょうが、このふたりが2000円を現金で支給されていたわけでもなければ、そもそもお金に困っていたとは思えません。彼らはかつて1990年代にいた不法就労者とは違い、いわばレジャー消費者なのです。いまどき不法就労する外国人は、ゲストハウスになんかいません。なんと時代の変化に鈍感すぎることか。やはり法の使い方が間違っている、いや下手すぎるのではないでしょうか。

マレーシア人は2013年7月以降、3ヵ月以内の滞在に限り、観光ビザが免除されています。また中国人には、2010年以降、個人観光ビザが発給されるようになり、昨年1月よりビザの種類によって15日から90日間の滞在が認められています。

マレーシア国民に対するビザ免除(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000362.html
中国団体観光・個人観光ビザ (外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/topics/china.html

詳しい事情は知らないのでこれ以上本当は何も言えないのですが、今回いきなり逮捕の前に、いくつかの段階をふんで執行に至ったのかもしれません。執行に至る前に不法就労に当たることを口頭で知らせ、やめさせればすむことだったのに、そうならなかった理由があるのでは(そう信じたいです)。その理由いかんかとは思いますが(たとえばの話ですが、このゲストハウス経営者が警察に対してやたらと反抗的な態度を取り続けたとか。で、くだらない警察の面子が適正な判断より優先された? ちょっとテレビドラマの観すぎかな)、もしそうでないのなら、ここまでやる必要はなかったでしょう。それとも、やっぱりこのゲストハウスの存在を快く思わない誰かが密告した?

昔、友人の作家、岡崎大五さんがトルコのイスタンブールの絨毯屋兼ゲストハウスで、住み込みアルバイトをしていたことを思い出します。もちろん、彼は就労ビザなど持っていたはずがありません(こんなところで話を持ち出してすいませんねえ)。

1980年代の「第三世界(当時、アジアやアフリカ、中南米のことはそう呼ばれていました)」ことで、今日の世界情勢とはまったく違うのんきな話をしても仕方がないかもしれませんが、いつの時代も、ゲストハウスで繰り広げられるような浮世離れした世界があっていいとぼくは思います。彼らは旅空の下にいるのです。一生そんなことをするつもりもないのです。もちろん、若い人はときに羽目をはずすこともあるでしょう。でも、そんなことは、程度問題で、若い頃に同じような経験をしたはずの大人がどこかで判断を示せばいいはずです。いまの大人はそういう意味での判断力が低下している気がします。

同記事では、まるでエクスキューズのように、札幌のホテル業界の人材不足について触れていますが、どこまでこの件に関係があるのでしょうか。言外に、今回の逮捕はやりすぎと言いたいのでしょうか。

この問題を「今日の日本社会の寛容さの欠如」などといった一般論でどうこう言いたくはありませんが、ゲストハウスのような世界がいまの社会でどう受けとめられているのか、そして、どういう事情でこんなことが起きたのか知りたく思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-12 08:53 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 11日

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる?

今日、ネットでこんな記事を見つけました。訪日外国人が街に増えて、日本人はストレスをためてしまっているのでしょうか。  

以下、記事を転載します。

「外国人多くご不便を」 南海電鉄40代車掌が不適切アナウンス…乗客クレーム発端 「差別の意図なかった」と釈明(産経WEST 2016.10.10)
http://www.sankei.com/west/news/161010/wst1610100055-n1.html

「南海電鉄の40代の男性車掌が日本語で「本日は外国人のお客さまが多く乗車し、ご不便をお掛けしております」との車内アナウンスをしていたことが10日、同社への取材で分かった。車掌は「差別の意図はなかった」と釈明。同社は「客を区別するのは不適切」と車掌を口頭で注意した。

同社によると車内アナウンスは10日午前11時半ごろ、難波発関西空港行き空港急行が天下茶屋を発車した直後の車内で流れた。

車掌は同社の聞き取りに「日本人乗客の1人が車内で『外国人が多く邪魔だ』との内容を大声で言ったのを聞き、乗客間のトラブルを避けるため、所定の案内を放送した後、付け加えた」と話したという。

関西空港駅到着後、乗客の日本人女性が駅員に「社内ルールに定められた放送なのか」と問い合わせて発覚した。同社は「日本人も外国人もお客さまであることには変わりない。再発防止を図りたい」としている」。


面白いと思うのは、このアナウンスを耳にして黙っていられなかった「日本人女性」がいたことです。なぜ外国人が多いと不便なのか。彼らも我々と同じ人間ではないか……。(実際のニュアンスはわかりませんが)そう問い正さなければ気がすまない義憤をおぼえたのだとしたら、それはぼくも賞賛したいと思います(自分はそこまで絶対できないと思うので……)。それとも、そのとき彼女は外国の友人か誰かと一緒に電車に乗っていたのかもしれません。

ただこの車掌さんも差別意識があったというより、外国人の存在が目には見えていても、自分の生活圏には無縁の存在でしかなく、だから無意識のうちに「私たち(自分のいる側)」と「外国人(そうでない側)」という切り分けをしてしまったのだろうと推察します。大声でどなったおじさんのように、「外国人が多く邪魔だ」と感じている「私たち」が大勢いるかもしれない。彼としては、そこに気を遣ったつもりなのではないでしょうか。

さすがにこの車掌さんも「子供が多くご不便を」、あるいは「女性が多くご不便を」などとは言わないでしょう。昭和の昔には、そんなことも平気で言う車掌さんがいたかもしれませんが、さすがに平成の時代です。

いまは過渡期なんだと思います。多くの日本人にとって、これほどたくさんの外国人が普通に街を歩いていたり、乗り物に乗っていたりする時代というのは初めてなので、そのような社会の変化に慣れていないのだと思います。

それが日本人にとって目に見えないストレスになっているかどうかは、個人や世代によるかもしれません。

だから、しょうがなかったではすまないわけですが、かつてこの車掌さんのようなおじさんたちは「女子供」で同じ過ちを繰り返してきた過去があったのではないでしょうか。今回のことで、このおじさんも「外国人」が「女子供」と同じジャンルなのだと理解したことでしょう。

それにしても、こういうことをつい言ってしまうなんて、やはり40代だなあと思いましたね。さすがに若い人だと、もう少し外国人の存在に身近に触れている気がします。子供の頃から、学校教育の場面でも外国人教師がいたと思われるし、これは都会の一部に限られるかもしれませんが、クラスにひとりやふたりは日本人と外国人のハーフの子や中国人2世がいたと思うからです。

「慣れている/いない」というのは、一般的には責任ある立場の人が粗相をしたときの言い訳にはならないかもしれませんが、慣れていない事情を無視して、頭ごなしに責めるのもどうかとも思います。ポリティカルコレクトネスを楯に「言葉狩り」のように思考停止を人に強いるやり方ではなく、だんだん慣れていくというプロセスが大事ではないか。そうやって社会はこれまでも変わってきたに違いないからです。

【追記】
その後、ネットにこの件に関する以下の続報がありました。

南海電鉄「外国人乗客に辛抱を」車掌アナウンスやっぱりアウト!? 街で聞いてみたら...(J-CASTニュース2016/10/12)
http://www.j-cast.com/tv/2016/10/12280375.html

テレビのワイドショーでこの件が扱われたようです。タイトルにもあるように、アウトかセーフかという問いたてがあり、日本人乗客と外国人観光客の双方にインタビューした結果、両論あるとレポーターが伝えた後、番組のコメンテーターはアウトだと発言したようです。

でも、ここでのポイントはここにありそうです。以下、記事の一部です。

「外国人向けマナー喚起も効果なし

空港急行の乗客はだいたい30%近くが外国人だという。いっぽうで、この路線は堺、岸和田を通る生活路線でもある。なんば駅には外国人向けに、「食事はしない」「携帯は使わない」「床に座らない」など車内のマナーを守るよう呼びかけがある。しかし、たくさんのスーツケースで社内は大混雑となり、声がうるさい、マナーが悪いなどの苦情は多いという」。

ぼくも何度か関空から大阪市内に向かう南海電車(ラピート)に乗ったことがありますが、確かに日本人の現在の感覚では、一部の外国人の姿はこう映る場合もあるだろうなと思います。

だから、視聴者の中には、コメンテーターの発言に、逆になんらかの違和感をおぼえたりするのかもしれません。なにかきれいごとで丸め込まれたかのような……。

ぼくの感じ方は、正直なところ、少々「お行儀の悪い」外国人の様子を見ても、「自分の若い頃はこんなもんだったよなあ」という思いしかありません。これも個人差なので、他人に強制はできませんけれど。

あるひとりのコメンテーターが「修学旅行生が多くてご不便とは言わないでしょう」と指摘していましたが、そのたとえはうまいなと思いました。日本人であれば、誰でも修学旅行の経験はあるからです。その意味では、海外旅行で日本に来ている外国人に対して「修学旅行生」のようなまなざしを向けることは、誰もができることではないかもしれません。でも、これも慣れだと思うのですけれど。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-11 22:05 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 09月 12日

台湾のバス事故で亡くなったは大連からの旅行者だった(その影響は?)

昨晩、ネットで以下の記事を見つけました。今年7月下旬、台湾で中国遼寧省大連からの団体客を乗せたバスから火災が発生し、乗客や運転手など全員が死亡したニュースの続報です。

なんと、この事故を起こした運転手が「自殺願望」の持ち主だったというのです。なにしろ乗客には6歳の子供までいたそうで、その痛ましさには言葉がありません。
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台湾の観光バス炎上、「自殺願望」の運転手が放火(AFP 2016年09月11日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3100539?cx_part=topstory

【9月11日 AFP】台湾で今年7月、中国からの観光客を乗せたバスの車内で火災が発生し、その後、ガードレールに衝突して、乗客乗員26人が死亡した事故について、捜査当局は10日、「自殺願望」があった運転手が故意に火を付けたことが原因だったと発表した。

今回の発表に先立ち当局は、バスの運転手だった蘇明成(Su Ming-cheng)容疑者が飲酒運転していたと発表していた。

捜査当局によると、中国人観光客を乗せ空港に向かって高速道路を走行していた蘇容疑者は、運転席および出口付近の床にガソリンをまき、ライターで火を付けたという。

地元の検察当局は10日に発表した声明で、「(蘇容疑者は)飲酒運転をしており、ガソリンをまき、火を付けて自殺し、乗客らを死亡させた」と述べた。

捜査では、事件前の数日間、蘇容疑者とその家族らの数十回の通話記録から、自殺を思いとどまるよう同容疑者に訴えていたことが明らかになった。

また、蘇容疑者には飲酒癖があり、飲むと暴力的になっていたという。ツアーガイドとの乱闘騒ぎや、性的暴行でそれぞれ裁判沙汰になったことがあり、捜査当局によれば、そのどちらも酒に酔った状態だった。(c)AFP


事故が起きた7月下旬、ぼくは大連にいました。この話を最初に聞いたのは、大連の親しい旅行関係者からでした。

彼女の知り合いの同業者がこのツアーを催行していたそうで、事故始末に大変なことになっているそうでした。「その会社はもう営業を続けることはできないかもしれない。でも、そこだけではなく、しばらく台湾ツアーは集客できなくなる」とぼやいていました。

あとで知りましたが、このニュースは日本でも報道されていたようですね。

観光バスが衝突・炎上、中国人観光客ら26人死亡 台湾(AFP 2016年07月19日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3094460

【7月19日 AFP】台湾で19日午後1時前、中国本土からの観光客らを乗せて台北(Taipei)郊外の台湾桃園国際空港(Taiwan Taoyuan International Airport)に向かっていたツアーバスが衝突事故を起こして炎上し、乗っていた26人が死亡した。台湾内政部(内務省)が明らかにした。

地元メディアの映像では、バスが走行中に高速道路のフェンスに激突して車両の前方から炎が上がり、その後、激しい煙を出しながら炎上して黒こげになったバスの車体が捉えられている。

内政部によれば、バスに乗っていた団体客は、中国北東部遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)から訪れた男性8人、女性16人の計24人。また運転手1人とツアーガイド1人も死亡したという。

乗っていた団体客は今月12日に台湾を訪れ、19日午後4時30分発の便で中国へと帰国する予定だった。(c)AFP


BBCの中国語版でも報道されていました。

台湾桃园陆客团旅游大巴失事着火26人死(BBC中文網2016年7月19日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/07/160719_taiwan_coach_fire

同中国語版をみると、今年2月に江蘇省のツアー客も台湾でバス事故に遭っていたようです。

江苏旅游团游览巴士台湾高速公路出车祸(BBC中文網2016年4月25日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/04/160425_taiwan_china_bus_crash

ただでさえ、蔡英文政権になって中国政府は台湾への中国客を減らしていたのに、こんなことが起きると、ますます減りそうです。

大連の旅行関係者はこんなことも話していました。「こういう事故があると、台湾だけでなく、海外旅行市場全体にも影響が出るのが気がかりです。ただでさえ、最近の中国は景気が悪く、以前のような贅沢旅行をする人は減っています。8月はそれでも夏休みなので、ファミリー旅行が盛況でしたが、9月以降は海外旅行者が伸び悩むのではないかと心配しています」

秋からの動向が少し気がかりです。
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by sanyo-kansatu | 2016-09-12 15:57 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 07月 05日

ついに報道された中国系「民泊」の実態~でも、正式解禁がアダとなりそうな気配も……

このところ、日経の古山和弘記者が「民泊」をめぐる実態を精力的に報道しています。今朝のネット記事では、ついに中国系「民泊」の実態が明かされました。

本ブログでも、この動きを身近な知り合いを通じて観察していました。中国ではすでにさまざまな「民泊」サイトが存在し、日本に中国客を送り込んでいることがうかがわれていました。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

この記事を読むと、東京や大阪の一部エリアでは「民泊」が一気に拡がっていることがわかります。以下、転載します。

「ヤミ民泊」中国系が荒稼ぎ 新宿・心斎橋を侵食
インバウンド裏街道を行く (日本経済新聞20160704)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03920240S6A620C1000000/?n_cid=MELMG002

一般住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」。訪日外国人(インバウンド)の急増でホテルが足りず、政府は民泊を解禁する方針だが、すでにフライング気味の「ヤミ民泊」は全国で急増している。最近目立ってきたのは中国人や台湾人などのアジア勢だ。泊まる側ではない。貸す側として、もうかる「民泊ビジネス」に押し寄せているのだ。その過熱ぶりにバブルを懸念する声も上がり始めた。

■新築マンションに観光客ゾロゾロ

「またや、まちごうて入ってきたで」。大阪市中央区の町工場「東洋タイマー製作所」の社長、北村久雄は事務所のドアを開けて入ってこようとする外国人の姿を見て声を上げた。工場のすぐ隣に新しい賃貸マンションができたのは昨年の秋だ。同時に近所でスーツケースをゴロゴロと引っ張りながら歩く外国人旅行者が増え始めた。いまでは毎週、1~2組の旅行者が間違えて事務所に入ってくるようになったという。

「大阪の台所」とされる「黒門市場」は事務所の目と鼻の先だ。外国人に人気の観光スポットは格好の民泊エリアでもある。民泊の仲介サイトで示されたマンションの場所をみてみると、確かに事務所と同じ場所に誤表示されていた。「マンションで民泊をしとるからや」。北村はため息をつくと、けげんな顔でドアの前に立っている来訪者に説明を始めた。

このマンションは全室が賃貸であるため、入居者が観光客を有料で泊めているとしたら「転貸」に当たる。賃貸契約上問題はないのか。管理会社に取材すると、「実際、マンションで民泊が行われていた」と認めた。どういう風に部屋を利用しているのか、入居者に確認を取っているという。

いま、世界で最も注目されている民泊エリアが大阪市中央区だ。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーは「2016年に訪れるべき16の地域」の第1位に大阪市中央区を選び、世界中のゲスト(宿泊者)に滞在を薦めている。心斎橋や道頓堀といった、「ディープ大阪」を体感できる人気スポットが多いためか、現地はものすごい数の外国人観光客であふれかえっていた。道行く外国人に声をかけたら2人目で民泊の利用者が見つかった。

「オーサカの民泊は快適だったよ」。6月16日、台湾から彼女と来日した大学院生の林(25)は心斎橋のアーケード街にあるロブスターロール専門店の前で取材に応じた。1週間の日本滞在のうち、大阪市内のマンションに民泊で3泊した。エアビーアンドビーのサイトで予約。ワンルームの部屋は狭かったが、宿泊料は2人で1泊6000円。京都や神戸で泊まったホテルに比べると3分の1の安さだ。「学生だから安いほうが助かる」

■中国版エアビーアンドビー

年間2000万人規模の外国人が日本を訪れるようになり、東京や大阪などの都市部ではホテル不足が深刻だ。稼働率の上昇による宿泊料の値上がりも懸念されている。こうした事態を打開しようと浮上したのが民泊の活用だ。ただし、現在の法律のもとでは民泊は旅館業法に基づいた許可を受ける必要がある。民泊の仲介サイトに登録されている物件の多くは、許可を受けていない「ヤミ民泊」とされている。ただ仲介サイトの登録物件には許可を得ずに自宅やマンションを登録しているケースが目立つ。

民泊の仲介サイトは米エアビーアンドビーが有名だが、同じようなサイトは中国企業も運営している。そのひとつが「自在客(じざいけ)」だ。日本版サイトには1万4000室を超える物件が載っている。日本人だけでなく、外国人も登録しているようだ。その多くが中国人という。ほかにもいくつかの中国系サイトが日本に展開している。実際にどのような人物が登録しているのだろうか。あるサイトに掲載されている物件の住所をたよりに現地を訪ねてみた。

物件の住所が示していたのは東京都新宿区。JR山手線の駅から歩いて10分ほどのところにあるマンションだ。築40年という建物は、にぎやかな駅前とはうって変わって静かな場所にあった。目的の部屋にたどり着いてインターホンを鳴らすと若い日本人男性が出てきた。驚いた様子の男性に事情を話すと、この部屋で民泊をやっているのは同居している中国人男性で、「彼はいま、大学で授業を受けている」と教えてくれた。

連絡先を残して帰ったところ後日、男性(25)が電話をかけてきてくれ、会って話をきくことができた。男性は都内の大学に在籍する留学生だ。日本人2人と2LDKのマンションにシェアハウスで住んでおり、1部屋を民泊に使っている。物件は自在客とエアビーアンドビーに掲載している。新宿という場所柄、中国からの旅行者が利用するという。「多い月で25日くらい埋まり、家賃を差し引いて5万円程度の利益が出る」と話す。

■「双方が得ならいいじゃないか」

部屋は賃貸物件だという。賃貸で借りた部屋を民泊として貸している。「部屋のオーナーからOKもらっている」と説明するが、法的な問題について聞くと、「日本人は繊細だね。貸し手と借り手の双方にメリットがあるからいいのではないか」という答えが返ってきた。

いくつかの民泊仲介サイトをみると、賃貸物件を使っているケースが多くみられる。それらは部屋の大家であるオーナーから了解を得てから使っている場合もあるが、不動産会社と契約を交わす際に第三者に貸し出す契約を結んでいるとは限らない。なかには不動産会社にも大家にも無断で民泊として使っている物件も少なくない。そのため、「もし見つかったらすぐに退去させられる」(都内の不動産会社)というリスクを伴っている。

日本の大手企業で働く都内の台湾人男性(36)が副業として手がける民泊ビジネスも賃貸物件だ。昨年に東京の赤坂と新宿で民泊用にマンションを賃貸で借りた。めざましい稼働率をみせているのが新宿の物件で、家賃が月13万5000円のマンションは広さが2LDK。これを1人あたり1泊3000~4000円で貸している。外国人が多いエリアのため、多いときには月の9割ほどは埋まっている。5~7万円が利益として入ってくる計算だ。男性は「“利回り”は30%以上だ」と胸を張る。

オーナーから民泊で使うことの了解は得ているというが、「法律上はグレーということは知っている。でも、法律に合わせるとビジネスが成立しない」と男性は言う。今月には京都市内に4件の物件を見つけた。

なぜ京都かと聞くと、「もう東京は価格競争になっているし、バブルでしょう。京都はそこまでじゃない」と話した。その後も物件をもっと増やしたいと男性は語った。「日本はアジアの中でもマネーが集まりやすいし、東京オリンピックなど投資の条件がそろっている。民泊ビジネスやるなら、今がチャンスだ」

■分譲マンションにも波及

はたして賃貸物件を民泊として使うことは可能なのか。大阪市の心斎橋駅に近い不動産会社の担当者によると、「普通はNGですよ」と即答した。民泊と知っていて貸す不動産会社はほとんどないという。「客の話を聞いて怪しい場合に『民泊ですか』と聞くと、ズバリだったりする」。それでも不動産業界で今、引く手あまたなのが「民泊可能物件」だという。

「民泊可能物件を紹介してほしい」。大阪市内の不動産会社には同業他社からこうした問い合わせの電話が時々、かかってくる。電話の主は「賃料20万円でも30万円の物件でも借りたい。外国人旅行者の多い難波や梅田で民泊物件を出したら明日にでも契約が取れる」と持ちかけてくるという。それだけ民泊をやりたい人が多いということだ。仲介する不動産会社にとっては家賃が入ってきさえすれば、賃貸収入なのか民泊収入なのかは問わないようだ。

「民泊目的で分譲マンションを購入する外国人は増えていると思う」。大阪市内で不動産の仲介や販売を手がけるユーシン(大阪市)の高橋宏知は昨年に扱ったある物件のことをよく覚えている。それは築30年の1LDKだった。リフォームして1600万円でフィリピン人女性に販売した。その後、エアビーアンドビーにその物件が載っていると知らされ、サイトを見て驚いた。「最初から民泊目的で買うたんや」

日本の不動産を「爆買い」する外国人投資家。その勢いは衰えていない。不動産投資の多くは購入したマンションや一軒家を貸し出して賃貸収入を得ている。ところが、いま彼らの狙いは「民泊」に移っている。「チンタイよりもうかる」。そう信じているのだ。

「ここは駅から近くていいですよ」。中国人との取引がほとんどという都内の不動産会社社長は5月、上海から来た投資家の男性をJR山手線の駅に近い中古のワンルームマンションに案内した。最寄りの駅から徒歩10分という立地を気に入った投資家は築15年の物件を1800万円で購入した。「民泊でやりたい」と話していたという。

「10%は欲しい」。民泊を考えている中国人投資家が求めてくる利回りだ。年間の賃貸収入を購入価格で割った数字のことで、物件がどのくらいもうかるかを示している。都内では中古の場合「賃貸だと5~8%」(不動産会社社長)とみられ、10%の水準が高い要求ということがわかる。

■ホテル・旅館から規制の声

都市部ではバブルの声が上がり始めている民泊ビジネス。政府は民泊を全面的に解禁する方針で、これが追い風になると思いきや、民泊への熱気が一気にしぼみかねない「制限」が検討されている。観光庁と厚生労働省が設置した「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は6月20日に最終報告書をまとめた。そこでは年間の提供日数に180日の上限が設けられている。これは単純に年間の稼働率が50%に制限されることを意味しており、民泊サービスの事業者からは「これでは利益が出ない」と悲鳴の声が出始めている。

一方、ホテルや旅館などの業界団体はさらに厳しい「年間30日」の制限を設けるべきだと主張している。既存の宿泊施設にとっては、お客を奪い合う存在と映っている民泊ビジネス。だが、ホテルや旅館などの宿泊施設を予約する旅行サイトの世界では、もはや両社を区別するのが難しくなっている実態があった。

たとえば、大手サイトの「エクスペディア」。宿泊施設を選ぶジャンルにホテルや旅館と一緒に「アパートメント」という項目がある。これをクリックすると、「○○アパート」「△△マンション」などの物件がずらりと並ぶ。写真ではマンションの外観や部屋がみられ、多くの物件の紹介ページで「この施設にはフロントデスクがありません」と表記してある。まさに民泊そのものといえる。

民泊の運営代行サービスを手がけるオックスコンサルティング(東京・品川)社長の原康雄は「利用者にとっては泊まる場所がホテルなのか、民泊なのかはあまり意味がない。旅行サイトに民泊の物件が出ていたり、民泊の仲介サイトに旅館が出ていたりする」と説明する。ホテル側にとっても民泊サイトに載せることで、稼働率を上げられるメリットがあるという。もちろん民泊にとっても同じだ。

中国の仲介サイト「自在客」に掲載している京都市内の老舗旅館は「『楽天』や『じゃらん』と同じつもりで載せている。旅行者を紹介してくれるサイトなので違和感はない」(旅館の経営者)と話す。旅館組合から抗議されたこともないという。

政府は2020年に訪日旅行者数を4000万人に引き上げる計画で、さらに6000万人超えも視野に入れる。東京オリンピックに向けて過熱しつつある民泊サービス。アジア勢の投資熱が入り交じり、ホテルや旅館、民泊事業者らの様々な思惑にも翻弄されている。=敬称略(古山和弘)

この記事のポイントはいくつかあります。まず利用者側の事情。「いま、世界で最も注目されている民泊エリアが大阪市中央区だ。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーは「2016年に訪れるべき16の地域」の第1位に大阪市中央区を選び、世界中のゲスト(宿泊者)に滞在を薦めている」。実際の利用者に聞くと「ワンルームの部屋は狭かったが、宿泊料は2人で1泊6000円。京都や神戸で泊まったホテルに比べると3分の1の安さだ。「学生だから安いほうが助かる」」というわけです。

若い世代の旅行者にとっては当然そうでしょう。リーズナブルな価格帯の宿泊施設として、ゲストハウスなどのホステル系宿も増えていますが、多くの旅行者との共同部屋では落ち着かないという人もいそうです。カップルの場合は、特にそうでしょう。

一方、供給する側の動きとして「民泊目的で分譲マンションを購入する外国人は増えている」こと。結局、在日外国人は自国から来た旅行者の受け入れが当て込めるぶん、ビジネスになるのでしょう。

だから、外国人投資家が民泊用のマンションを次々と購入する動きが起きているのです。

「日本の不動産を「爆買い」する外国人投資家。その勢いは衰えていない。不動産投資の多くは購入したマンションや一軒家を貸し出して賃貸収入を得ている。ところが、いま彼らの狙いは「民泊」に移っている。「チンタイよりもうかる」。そう信じているのだ」。

もっとも、皮肉なことに、政府が正式に「民泊」を解禁したとたん、野放図なまま増殖してきた「民泊」ビジネスが一気にしぼむ可能性があるというのです。

「都市部ではバブルの声が上がり始めている民泊ビジネス。政府は民泊を全面的に解禁する方針で、これが追い風になると思いきや、民泊への熱気が一気にしぼみかねない「制限」が検討されている。観光庁と厚生労働省が設置した「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は6月20日に最終報告書をまとめた。そこでは年間の提供日数に180日の上限が設けられている。これは単純に年間の稼働率が50%に制限されることを意味しており、民泊サービスの事業者からは「これでは利益が出ない」と悲鳴の声が出始めている」。

なんだか笑ってしまいますね。この記事には、周辺住民の声などについては一部しか触れていませんが、今後はこのあたりの問題もクローズアップされていくことでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-07-05 10:29 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 23日

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情

今年1月16日、台湾総統選挙が投開票され、民進党の蔡英文主席が当選しました。

数日後、台湾では以下のような報道がありました。中国政府は選挙結果を見て、訪台中国人観光客を減らすと通達してきたのです。

訪台中国人ツアー客3割削減か 、観光産業に打撃 (ys-consulting2016年1月22日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/61660.html

観光業界の対中窓口機関、台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)は、中国人の訪台ツアー客を3月20日から6月30日までの間、3分の1削減するという通知が、総統選後の18日以降、台湾の旅行会社に中国同業から相次いで伝えられていると明らかにした。住民に台湾自由旅行を許可する対象都市も現在の47都市から4都市へと大幅に減らすとみられ、事実となれば台湾の航空会社やホテルなど観光業界が打撃を受けることになる。22日付経済日報が報じた。

2008年に中国人による台湾観光が解禁されて以降、訪台中国人客は同年の延べ約33万人から昨年の430万人へと13倍に増加。うち自由旅行者は130万人だった。馬英九政権が「1992年の共通認識(92共識)」を基盤に中国と経済交流を進めてきた成果と言えるが、92共識を認めない民進党の蔡英文主席が総統選で当選すれば、中国が民進党政権を締め付けるために訪台中国人客を削減するとの観測は早くから浮上していた。

台旅会によると、中国は訪台中国人ツアー客に開放している1日当たり5,000人の割り当て枠を3分の1減らすほか、住民に台湾自由旅行を認める開放都市も北京、上海、広州、アモイの4都市のみとする方針を一方的に決めたとされる。

台旅会上海弁事処の李嘉斌主任は、同会も関連業者も正式な通知は受け取っていないと指摘し、中国側の海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)を通じて確認中だと説明した。

中国では訪台ツアーや自由旅行の割り当て枠は中国国際旅行社など国営の大手旅行会社が握っており、中国や台湾の旅行会社が業務を請け負っている。上海錦江旅遊などは、上海や周辺都市での訪台ツアー客の出境申請は現在正常だが、問題の政策が実施されれば、それに合わせて訪台ツアー客数を調整することになると説明した。

■「過度の動揺は不利」
旅行業界団体、台北市旅行商業同業公会(TATA)の柯牧洲副理事長は、訪台中国人が減少すれば、台湾のホテル、飲食店、ギフトショップなどが比較的大きな打撃を受けると指摘。一方で旅行関連業者に対し、過度の動揺を見せれば蔡新政権が中国人旅客に対する依存度を下げようとする上で不利になるとして、冷静な対応を呼び掛けた。

■ホテルの供給過剰悪化も
なお交通部観光局が21日発表した統計によると、台湾の観光ホテル全体の昨年の客室稼働率は69.3%で前年比3ポイント下落した。1日1室当たり客室売上高(RevPAR)は2,641台湾元(約9,200円)で、32元の減少となった。減少は10年以降で初めて。経営効率悪化の背景にはホテルの供給過剰がある。昨年の訪台外国人旅行者は前年比1%増加して延べ1,000万人を突破したが、宿泊業の総客室数は昨年末に20万5,000室へと7.3%増えており、増加ペースは供給が需要を大きく上回っている。こうした中で訪台中国人客が減少すれば、ホテルの供給過剰はさらに深刻さを増し、業績への悪影響が懸念される。


まったく身もふたもない話です。相手が気に入らないので観光客を減らし、経済的なダメージを与えてやろうというわけです。

中国人観光客の“台湾離れ”が顕著に、総統選の“報復”か?―台湾紙(レコードチャイナ2016年3月25日)
http://www.recordchina.co.jp/a131693.html

訪台中国人旅行市場の解禁は、国民党政権になった2008年から。この数年で急増し、10年にそれまでトップだった日本を抜き、15年は約400万人になりました。日本に比べ国土の小さい台湾に400万人の中国客が来襲したというのは、受入面でさぞ大変だったことでしょう。
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一般に中国人の台湾旅行は7泊8日をかけて島を一周するそうです。
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これはある台湾の雑誌による少し古いデータ(2011年)ですが、日本客と中国客の台湾での費目別消費額を比較していて、ホテルや食費、交通、娯楽などは日本が多いのに、買い物だけ中国は2倍になっています。
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それゆえ、台湾でも日本と同様、いやそれ以上に徹底した免税店のコミッションに頼る激安ツアーモデルが横行しています。

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい
http://inbound.exblog.jp/23872141/

そのせいか、台湾では次のような声も聞かれるそうです。

中国人客減少、ネット世論は大歓迎 (2016年6月17日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/64767.html

蔡英文政権への交代が決まって以降、台北市内の観光スポットでは中国人観光客を目にする機会は明らかに減った。今後夏休みの7~8月には中国人の訪台観光ツアーはさらに大きく減少し、自由旅行客も減ると報道されている。中国寄りの中国時報などのメディアは「ホテルが休業した」「観光バス会社が損失で悲鳴」といった影響を相次いで伝え、危機感をあおっている。

ところが、インターネットでの台湾市民の反応はほぼ歓迎一色だ。関連ニュースへのコメントは「よかった。もう1人も来なくていい」、「やっときれいな阿里山や日月潭に行ける」、「中国人観光客は増える方がよほど迷惑だ」といったものが続々と並ぶ。


台湾では、日本よりはるかに中国に対する政治的な緊張や反感があるでしょうから、そうでも言ってやりたい気持ちはわかります。しかし、今年4月、中国政府はそれまで「事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金」を課したことで、日本での爆買いは下火になりつつあります。これは日本に縁がない話ではないのです。

こうした中国政府の子供じみたふるまいによって被害を受けるのは近隣諸国ですが、実のところ、自国民もそうです。こんなことばかりやっていては、中国客の受入国が彼らを尊重しようとする意欲がなくなってしまうかもしれないからです。なにごとも為政者の面子が優先で、自国民の利益は二の次ですむと考えているからでしょう。

このように日本のインバウンド振興にとって、政治に影響されやすい中国市場は最大の不確定要因といえます。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 11:10 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)