ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 02月 09日

東京オリンピックとインバウンド、期待と懸念

東京オリンピックの開催が決まり、訪日外国人旅行市場(インバウンド)の行方に関心を寄せる人たちの期待感が盛り上がっています。

「業界『五輪特需』期待」(毎日新聞2013年9月10日)では、「2020年の夏季五輪開催が東京に決まり、産業界は『五輪特需』に大きな期待を寄せる。競技施設建設や交通網充実などのインフラ需要に加え、外国人観光客増加も見込めるからだ。また、選手村が建設される東京湾岸エリアは開発ブームが加速する期待もある」と報じています。

同紙は、「東京五輪開催による主な業界の経済効果」として、以下のSMBC日興証券の推計値を挙げています。

■東京五輪開催による主な業界の経済効果

サービス産業(宿泊、観光、外食など) 7667億円
食料品 4968億円
建設業 3106億円
繊維製品 2958億円
電気機器(家電、メーカーなど) 1392億円
小売業 663億円
不動産業 629億円
(SMBC日興証券の資料による)

そのうち効果が大きいと見込まれる「建設・不動産」「観光・宿泊」「スポーツ用品」の3業界を取り上げたうえ、「観光・宿泊」産業について、「五輪開催時に観戦ツアーなどで訪日外国人が大幅に増えるのは確実で、観光業界では『最大のチャンス』(プリンスホテル)と早くも顧客獲得作戦を練り始めている」と報じています。

月刊レジャー産業2014年1月号では、特集「東京オリンピックへの期待―成熟社会における『インフラ開発』『インバウンド』戦略のあり方」を組み、同誌が扱う2つの関連業界の今後について、特集リードの中で以下のように述べています。長いですが、よく整理されていると思うので、書き出します。
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月刊レジャー産業
http://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/

「2014年が幕を開けた。

いよいよ、6年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けたさまざまなプロジェクトが動き出す。

オリンピックスタジアムとして、開・閉会式や陸上競技などの会場となる国立霞ヶ丘競技場(国立競技場)の改修計画が議論を呼び、さらには猪瀬直樹・東京都知事の疑惑が勃発したことで2月に予定される組織委員会立ち上げに混乱が見られるなど、一部に懸念もあるが、官民あげた準備の動きは徐々に活発化していくだろう。

2020年7~8月にかけて17日間開催されるオリンピックと、8~9月にかけて13日間開催されるパラリンピックは、期間中はもとより、準備期間においえてもその社会的・経済的な効果が期待されている。このうち、数量化が可能な経済効果は約3兆円を見込む。競技施設をはじめインフラ整備に関わる建設・不動産や、対人接客に直接的にかかわる観光・飲食・セキュリティなど各種サービス業などを中心に、期待をかける事業者は多い。

ただ、忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である。

そこで本特殊では、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う効果を踏まえ、特に、『インフラ開発』と『インバウンド』の拡大を切り口に成熟社会で開催される世界的イベントへの取り組みについて探ることとした。

『インフラ開発』については、厳しい財政事情が続くなか、国や地方自治体、民間事業者が密接な連携を図ることで、民間の自由なアイデア・知恵・技術・資金などを活用したPPP(Public Private partnership)導入の可能性を模索していくことが求められる。東京は招致に際して、基金として約4000億円を積み上げている点を強調し、盤石な財政基盤が評価されたことは確かである。しかし、開催に伴う関連施設や道路などのインフラ整備は、都内にとどまらず首都圏を中心に活発化していくことが見込まれるうえ、老朽化し、更新時期を迎えたインフラの再構築も全国的に喫緊の課題であり、PPPの必要性は高まっているといえる。

一方、日本が世界各国に比べ立ち遅れている外国人旅行客の誘致=インバウンド拡大については、東京オリンピックを飛躍に向けた大きなチャンスにしたい。都内をはじめ首都圏でのホテルの新設、改修はすでに動き出し、旅行・小売業者も受け入れ体制の拡充を進めているが、多言語対応や決済システムの整備といったソフト面を中心に、そのほかの観光・レジャー・サービス事業者の対応強化も急がれる。インバウンドが拡大することで、ビジネスも含めた人的交流も活性化し、さらに魅力ある国際都市へと成長できるはずである。

東京の、そして日本の潜在力を引き出す大きなチャンスを得たことを肝に銘じ、観光政策を担う行政と、最前線でサービス提供にあたる民間事業者が一体となった取り組みが推進されることを期待したい」。

まったくおっしゃるとおりで…という内容ですが、同誌の挙げる「インフラ開発」と「インバウンド拡大」に対する関心の大きさを、報道の扱いで比べる限り、前者のほうが高い気がします。経済規模が明らかに違うだけでなく、ハコモノづくりのほうが話がわかりやすいからでしょうけれど。

「20年五輪、東京決定 羽田・成田発着を拡大 インフラ整備前倒し 鉄道・高速道路も」(日本経済新聞2013年9月10日)では、「首都圏の交通インフラの整備」を取り上げ、「羽田と成田の両空港で発着できる便数を増やすため、航空機の東京都内の上空飛行を解禁したり、滑走路を増設したりする案が浮上。政府は高速道路の整備や更新も急ぐ。訪日外国人の急増や経済活動の盛り上がりを見据え、東京の国際都市としての地位向上にもつなげる考え」と報じています。

目玉は「羽田の滑走路増設や成田と羽田を結ぶ『都心直結線』の整備」。特に後者は「東京・丸の内地区の地下に新東京駅をつくって両空港をつなぎ、空港までの時間を大幅に短縮する計画」で、これができると「東京から羽田まで平均30分前後かかるのが18分に、成田には55分程度かかるのが36分に短縮する」といいます。

さらに、「東京湾岸 カジノ構想再燃」(産経新聞2013年10月8日)では、「観光客を呼び込み大きな経済効果があるとされるカジノ構想が熱を帯びてきている」と報じています。

同紙は、報道当時の猪瀬都知事が提言した「カジノのメリット」として以下の4点を紹介しています。

■猪瀬都知事の考えるカジノ合法化によるメリット

①レジャーを含む産業が増え、課税ベースが拡大
②非合法カジノによるブラックマーケットを防止
③地方の独自財源の創出
④公営ギャンブルの収支の使途の見直し

「複合観光施設 どう整備 カジノ中核 国に管理委 超党派で新法案提出へ」
(日本経済新聞2013年10月21日)でも、「カジノを中核」とした「複合観光施設(Integrated Resort=IR)」を推進する動きが活発になっていることを報じています。

IRとは、「会議場や展示会場、宿泊施設やカジノ、ショッピングモールなどを含む複合施設」のこと。「日本の展示会場の面積は米国や中国などに比べてかなり狭い。さまざまな施設を複合的に整備して観光客を呼び込み、雇用や税収の拡大につなげる考え」だといいます。

課題となっているのが、カジノの「負の側面」です。「賭博を禁じる刑法との関係だけでなく、犯罪の温床になるのではないか。未成年への悪影響はないのか、賭博依存症になる人が増えないかなどの懸念」があるのです。

そのため、超党派の国会議員連盟が提出するIR法も、「2段階で整備する方向だ。現在準備中のIR推進法案は、IRの位置付けや理念などが盛り込まれる予定。規制や監督、カジノ運営のより具体的な制度は、IR推進法案の施行後2年以内に制定するIR実施法で定める」(2013年6月、日本維新の会が提出した法案の場合)といいます。

「負の側面」の拡大を防ぐために、民間事業者と「反社会勢力とのつながりがないかなど厳しくチェック」し、「犯罪者や未成年者の入場を防ぐ仕組み」も導入。「賭博への依存症を防ぐための教育やカウンセリング」もアメリカの制度を手本に検討されています。

カジノ誘致の動きは、東京以外にも沖縄や大阪でも検討されているようです。

※その後、13年12月5日にカジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案が国会に提出されました。

カジノ法案:自民党など国会提出-1兆円市場実現に向け前進
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MX6O616JIJX401.html

さて、こうして半世紀ぶりの東京オリンピック開催への期待が高まるなか、「五輪の効果は本当にいいことだけか」(日本経済新聞2013年9月28日)という観点も当然のことながら必要でしょう。

同紙によると、「2020年東京五輪までの経済効果は試算方法によって大きな幅がある」と指摘して、以下の試算を挙げています。

試算者/経済効果/ポイント
東京都(五輪招致委員会)/2兆9609億円/施設整備や運営費などの波及効果に絞って試算。雇用は15万人増
SMBC日興証券(牧野潤一さん)/4兆2000億円/建設、観光、飲食などが活性化。大企業経常利益を1986億円押し上げ
日本総合研究所(山田久さん)/6兆7780億~11兆7780億円/ロンドン五輪を参考に観光客数などを推定。雇用は40~70万人増
大和総研(熊谷亮丸さん)/10超円を超す可能性も/社会インフラ再構築や観光、消費者マインドの貢献なども見積もる
大和証券(木野内栄治さん)/150兆円/副次的な効果を含む。社会インフラ再構築55兆円と観光振興95兆円

ここまで開きがあると、まじめに聞く気が失せてしまいそうになりますが、東京都の五輪招致委員会がいう「堅めに見積もっても経済効果は3兆円」という数字の裏付けはこういうことだそうです。

「大会期間中の来場者は延べ約1千万人に達する見通しで、1日当たりで最大92万人が訪れる。海外からの観光客も大幅に増え、ホテルやレストランは混雑が続くとみられている」。さらに、「建設工事が増えると、鋼材やコンクリートの新たな需要が生まれる。鋼材を作るにも鉄鉱石や石炭、エネルギーが必要だ。外国人観光客にも土産用に日本製の家電製品が売れるなどの効果が見込める。建設や製造、観光で働く人の所得が増えれば、それが再び国内消費に回る。それらをすべて足し合わせて」出したもの。

同紙では、「景気が良くなるのはいいが、その反動も大きくなる」と、過去8大会の開催国の成長率が五輪開催の翌年減速していることを指摘。1964年の東京五輪の後も「昭和40年不況」があったことから、「五輪特需で底上げされた景気を日本経済の“実力”と勘違いして投資を増やすと問題」ではないか、としています。「この際だから」というマインドがあだとなるというわけです。

開催まであと6年。この時期の金融関係者による盛りすぎ経済効果の話は、自己都合で言ってるようにしか見えませんけれど、開催後の落ち込みが必然と考えられる以上、ビフォーアフターを通じた一貫した理念や戦略が必要で、今後は「月刊レジャー産業」誌がいうように、「忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である」という指摘をどう具現化するかを考えていかなければならないのでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 13:24 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 09日

スキーブームは再来するか(主役はカップルから家族へ。インバウンドとの関係は?)

ソチ冬季オリンピックがついに開幕しましたが、1990年代半ばから右肩下がりで減少してきた日本のスキー人口が、2012年頃から回復の兆しが見られているそうです。

スキー・スノーボード人口は、2012年で790万人(うちスキーは560万人)。ピークの1993年1770万人(レジャー白書)に比べると、3分の1近く落ち込んでいますが、近年は若年層やファミリー層が復活してきたからです。
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「子どものリフト代や食事無料…家族作戦 スキーブームもう一度」(東京新聞2012年12月26日)では、「バブル期にスキーブームを体験し子育て真っ最中の30~40代に『子連れでゲレンデに戻ってきてもらおう』と、スキー場は子どものリフト無料化などの誘客策を強化。ホテル業界もカップル向けの部屋を思い切って縮小し、家族で泊まれる広い部屋を増やす改修を進めている」と報じています。

同紙によると、「ブームの火付け役となった映画『私をスキーに連れてって』(1987年公開)。劇中歌『恋人がサンタクロース』を歌う松任谷由美さんが毎冬、コンサートを開く苗場スキー場(新潟県)と苗場プリンスホテルが今年、大胆な改革に踏み切った。22年ぶりとなる部屋の大規模改装に着手。カップルの利用を想定した二人部屋を36室減らし、家族用四人部屋を18室増やしたのだ」そうです。

これを「大胆な改革」というのだろうか、という気もしますが、「プリンスホテルの担当者は『30~40代は子育てに忙しく、スキー場から離れているが、またやりたい、子どもにもさせたいという願望はあるはず。家族で来やすい環境を整えれば、足を向けてくれる』とその狙いを説明」しているそうです。

東京新聞はこうした「30代後半から50代のポスト団体世代や団塊ジュニアを狙ったリバイバル市場」に対する関心がことのほか強いようで、「この種の『あの日に帰りたい』ビジネスは年々拡大。企業側は『青春の一コマ』を演出する商品やアイデアを工夫している」(東京新聞2013年2月13日)と報じていて、米米クラブのライブに20年ぶりに来た40代女性の声や、前述した苗場スキー場で「ゲレンデに流す曲を松任谷由美に限定」している例などを紹介しています。

いまの時代、この手の浮かれ気味の「リバイバル市場」の拡大に共感する人ばかりではなさそうですが、保険の比較検討サイト「インズウエブ」がバブル景気経験世代にあたる40~50代の男女に対してアンケートを行ったところ、「スキーもしくはスキーボードの経験がある」との回答が78%。このうち46%が「最近5年以内はスキー・スノーボードに行ってない」と回答したものの、「機会があれば今後スノーボードに行きたい」が56%、「機会を作って必ず行きたい」5%と、6割が「またスキーに行きたい」と回答しているとのこと。まあ誰だってわざわざそう聞かれりゃ「また行きたい」と答えるのが自然な気もしますが。

スキーブーム再来?!
バブル世代の61%が「また行きたい」と回答(インフォグラフィック)
http://www.insweb.co.jp/research/report/ski-infographic.html

それでも、スキー客の回復傾向は今回の年末年始も確かのようで、「スキーブーム再来か 年末年始の来客大幅増 長野」(産経新聞2014年1月24日)、「年末年始に県内主要スキー場に訪れた人の数が前年度同期比で12.5%の大幅増だったことが23日、県が発表したスキー場利用状況調査で分かった」と報じています。

スキー客の減少に歯止めがかからなかった2000年代、国内のスキー場はオーストラリアや香港、韓国などの外国客が増えたことが話題となっていました。3年前の冬、ぼくは北海道のニセコスキー場を訪ねたのですが、そこでは国内客と外国人客の利用が半々だという話を聞き、ちょっと驚いた記憶があります。

北海道ニセコにSir Gordon Wu 現わる
http://inbound.exblog.jp/17150909/

また最近では、タイやシンガポールなど、雪を見たことのないアジアからの旅行客も増えています。熱帯生まれの彼らはスキー場に来ても、ゲレンデでソリや雪遊びを無邪気に楽しんでいるそうです。それは微笑ましい光景だといいます。

こうした外客の動きに加え、「家族向け行楽地の色彩を強めている」(東京新聞2012年12月26日)スキー場に国内客が少しずつ戻りつつあることは、とても面白い現象だと思います。国内客と外客がゲレンデに入り混じる光景は、海外のスキー場でもよく見られるからです。スキー場の主役はカップルだと信じられていた1980年代が、国際的に見てずいぶん時代遅れだったことが、いまさらながらよくわかります。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 13:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 09日

成田のLCCハブ化は羽田の国際化に対抗できるか?(またの名は「春秋航空の挑戦」))

年末年始の旅行者数が国内、海外ともに過去最高となりましたが、「開港から35年をすぎ、『日本の表玄関』を自負してきた国際空港『NARITA(成田)』が、いつもと違う正月を迎えている」(朝日新聞2014年1月4日)と報じられています。
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「格安航空会社(LCC)の国内線が続々と就航。免税品ならぬ、ふるさとのみやげを手にした帰省客でごった返している」からだそうです。

同紙によると、1月4日、成田空港に到着する国内線は137便。そのうち62便がLCCで、どの便もほぼ満席とのこと。「成田にLCCが就航して1年半。2011年度まで100万人台だった国内線旅客数が、今年度は480万人になる見込み」といいます。

2013年12月現在、成田から国内線が就航しているのは、旭川、新千歳、仙台、新潟、小松、中部、関空、伊丹、広島、高松、松山、福岡、大分、鹿児島、那覇の15路線で、14年5月には、中国のLCC春秋航空日本が高松、広島に次いで、佐賀にも就航。ジェットスターら他のLCCを合わせれば、17都市18路線になるそうです。

2012年度の成田空港の発着総数21万回のうち、LCCは6.9%、13年度には13%程度に増える見通しだといいます。国際線に比べ機体も小さく、着陸料も安いLCCですが、それでも成田空港がLCCを誘致する背景には、「2010年の羽田空港の再国際化」があります。

「東京都心に近く便利な羽田に『ドル箱』の欧米路線をとられた。今年3月からは、全日本空輸がロンドン線を運休、エールフランス航空がパリ便を減らして、羽田に移るなど、わかっているだけで週42便が減る」「そこで成田が目指したのが『LCCの拠点』だ。14年度中に、夜に出発を待つ客向けに宿泊整備をつくり、LCC専用ターミナルも整備する」「国内線が増えれば、乗り換え需要が高まり、国際線誘致にもつながる。成長著しいアジア路線開拓に取り組み、着陸料や施設利用料の引き下げにも着手した」。

ジェットスタージャパンは、すでにアジア方面に国際線を就航しており、春秋航空日本も親会社が上海から茨城、高松、佐賀へ就航しています。国際線で来日した外客をそのまま乗り継がせることできれば、インバウンドの拡大に貢献することになるでしょう。
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LCCはアジア客の訪日旅行の促進につながるか?【2013年上半期⑫LCC】
http://inbound.exblog.jp/20789404/

※春秋航空日本は、2013年9月に設立された中国系のLCCです。

春秋航空日本
http://www.china-sss.com/JP/JP

春秋航空
http://www.china-sss.com/jp

春秋航空、成田発着で国内線-14年5月から高松、広島、佐賀
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=58787

春秋航空、関空/上海線を開設-3月からデイリーで
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=60212

中国発"黒船LCC"は国内線をこう攻める
「春秋航空日本」は地方からの風に乗れるか
http://toyokeizai.net/articles/-/27523
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 11:08 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 08日

テーマパーク、東南アジア客をつかむ

国内の主要テーマパークの2013年度上半期(4~9月)の入場者数が、前年を上回る好調さを見せるなか、ビザ緩和で増えている「東南アジアからの訪日客を取り込んだ施設の好調が目立つ」(日本経済新聞2013年10月5日)といいます。
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同紙によると、入場者数が大きく伸びたのは、ダントツの東京ディズニーリゾート以外では、富士急ハイランドやサンリオピューロランドなど。

「富士急ハイランドは、13年度から、中国や台湾の拠点を中心にタイやインドネシアの旅行会社向けに営業活動を本格化。4~9月は訪日外国人客数が10%以上伸びた。ピューロランドも営業部門に東南アジアの担当者を配置。インドネシアやマレーシアからの団体客を受け入れ、東南アジアの入場者数は75%増えた」といいます。

日本経済新聞2013年9月5日では、サンリオのテーマパークのアジア開拓についてこう報じています。

同社の「再成長のシナリオ」は「苦戦が続く物販からライセンス事業の転換」。「キティ人気をテコに米フォーエバー21など有力アパレルにライセンスを供与、世界展開を進めた」結果、北米事業は成長しているものの、課題はアジア。「利益の9割以上を海外で稼ぐが、アジアは2割にとどまる」そうです。意外でした。キティちゃんの欧米での人気もすごいんですね。

「カギは今季の黒字化が見えたテーマパークが握る。国内ではサンリオピューロランドの今期の訪日観光客数を中国から呼び込むことで5倍の10万人に伸ばす」「さらにアジアでテーマパークにライセンス方式を導入。来期、中国・浙江省に日本以外で初の本格的なテーマパークを開く」といいます。

好調な国内テーマパークの集客状況ですが、「14年4月の消費増税後はマイナスの影響が懸念されている」(日本経済新聞2013年10月5日)といいます。「テーマパーク・遊園地の入場者に占める訪日客はまだ1割に届いていない。ただ、国内市場の先細りもあり、今後の成長には訪日客の取り込みがカギになる」と指摘しています。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-08 13:15 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 08日

国内のホテル稼働率、依然好調のもよう(2013年下半期)

2013年上半期、好調だった国内ホテルの稼働率は、下半期も引き続き堅調なようです。

週刊トラベルジャーナル2014年1月27日号では、11月の「全国のホテル客室利用率」について以下のように報じています。
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「全日本シティホテル連盟(JCHA)によると、会員ホテルの昨年11月の全国平均客室利用率は前年同月比4.7ポイント増の85.3%だった。8割台は4か月連続。

前年同月を下回った東北と北陸を除き、全10地域のうち8地域でプラス成長。北海道と東海が2桁増の伸びを示したほか、関東・近畿・九州の3地域が全国平均を上回った。なかでも関東は前年同月から2.5ポイント伸ばし、利用率が92.1%に上昇。東京都に絞って見ると、3.5ポイント増の94.1%で、地域をけん引している。

一方、近畿は88.0%で関東に次いで2番目に利用率が高いが、大阪府は87.6%とやや下回った。

利用率が最も低いのは東北の61.5%。ただ6割台に乗せており、全体の底上げが見られる」。

■全国のホテルの月別平均客室利用率

2012年12月 72.4%
2013年1月  65.9%
     2月  75.4%
     3月  78.0%
     4月  78.3%
     5月  75.7%
     6月  74.7%
     7月  78.7%
     8月  85.1%
     9月  80.2%
    10月  83.3%
    11月  85.3%
(全日本シティホテル連盟の資料より)

なかでも東京は、上半期同様、国内のビジネス需要やレジャー客の動きで94.1%という高い客室利用率を維持しています。

特に客室単価が5万円相当の外資系ラグジュアリーホテルの稼働率が注目されています。

「香港ホテル 東京で好調 稼働率軒並み7割」(日本経済新聞2013年8月26日)では、「香港の高級ホテル3社が運営するホテルの収益が急速に改善している。『シャングリ・ラ』『ザ・ペニンシュラ』『マンダリンオリエンタル』の今年1~6月の平均客室稼働率は軒並み70%を超え、50%以下に落ち込んだ東日本大震災の影響から立ち直った」と報じています。

背景には「円安で米ドルや香港ドル建ての客室単価が下がったが、稼働率の上昇が補い、各社の業績にも寄与」「円安などを追い風に日本を訪れる外国人が増加」した」ためだといいます。

■香港ホテル3社の稼働率の推移

                 2012年上半期   2013年上半期   
シャングリ・ラ 東京        64%         80%
ザ・ペニンシュラ東京       62%         75%
マンダリンオリエンタル東京   57%         73%

2014年は、外資系ラグジュアリーホテルの開業ラッシュの年といわれています。

■2014年東京に開業予定の外資系ホテル
アンダーズ東京(ハイアット・ホテルズ)
アマン東京(アマンリゾーツグループ)

ザ・リッツカールトン東京やザ・ペニンシュラ東京が開業した2007年前後は、リーマンショックの影響もあり、客室の供給過多を懸念する声がありましたし、その後東日本大震災も起こり、外資系は苦戦続きでした。

今回は景気の回復基調や円安、ビザ緩和による追い風もあり、史上初の訪日外国人数1000万人突破も実現。07年当時とは市場環境が異なっているといわれます。2020年の東京オリンピック開催の決定でホテル業界は活気づいています。

「IOCの要求満たすが…空室不足の恐れ」(日本経済新聞2013年9月10日)では、「東京招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)の要請を上回る4万6千室を来訪者用に確保し、『この量で充分』(東京都幹部)とするが、競技場が集中する臨海部(江東区有明地区周辺)は手薄」と指摘しています。

今後の需要増をふまえ、「外資系の新規開業計画がこれからも出てくる可能性がある」そうです。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-08 13:10 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 07日

2013年 年末年始の海外旅行者数、円安でも過去最高(世界の旅行動向とインバウンドの関係)

旅行大手JTBの2013年12月4日のプレスリリースによると、2013年の年末年始(2013年12月23日~14年1月3日)の旅行動向調査の結果、海外旅行者数は前年比2.1%増の69万5000人、過去最高となる見通しだと伝えています。

その理由として「12月28日から1月5日まで11年ぶりの最大9連休、冬のボーナス増も旅行を後押し」と解説。海外旅行先としては「ヨーロッパ、アメリカ、ハワイの中長距離が増加傾向、アジアも韓国を除けば、引き続き高い人気を維持」とのこと。

同社のツアーブランド「ルックJTB 」の売れ筋コースは「ヨーロッパ方面ではイタリアやスペインが人気の他、オーロラを鑑賞するコース」「ハワイ方面では、年々オアフ島以外の島々で過ごす旅行者が増えており、年末年始をリゾートで静かに過ごしたり、ハワイらしい島々の魅力を味わいたい意向が強まっている」「東南アジアでは、マリーナ地区の人気で火が付いたシンガポール、座席供給数が増加傾向にあるインドネシアやベトナム、台湾などが人気。世界遺産の他に、高級リゾート地として最近注目を浴びているスリランカ、癒しやパワーも魅力の一つとされるネパールやブータンなども注目」といいます。

■年末年始海外旅行人気ランキング

1位 ハワイ
2位 台湾
3位 タイ
4位 シンガポール
5位 グアム
6位 ベトナム
7位 アメリカ(本土)
8位 イタリア
9位 香港
10位 フランス

JTBプレスリリース(2013年12月4日)
http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=1780

とはいえ、2013年は円安が大きく進んだ年であり、海外旅行商品も為替の関係で値上げが起きています。

「海外旅行 10月から値上げ」(産経新聞2013年8月16日)では、「旅行大手各社が、平成25年度下期(10月~26年3月)の海外パック旅行の価格を相次ぎ引き上げる」と報じています。「外国為替市場で円安が進み、現地での宿泊代などが上昇したためで、前年同期に比べて最大10%程度値上げする」というのです。

確かに、「円相場は、安部晋三政権発足前の昨年11月中旬には1ドル=79円台だったが、今年5月下旬には一時1ドル=103円まで下落」したわけですから、「現地通貨建てのホテル代やレストラン代、バス代などの負担が増している」のは無理もないでしょう。

海外ツアー料金の値上げは円安ばかりが理由ではありません。

「海外ツアー 客室争奪戦 新興国から旅客増加」(日経MJ2013年9月18日)では、「円安という値上がり要因に加えて、新興国の消費者が海外をどんどん旅行するようになった結果、ホテルの仕入れコストがかつてないほどの上昇圧力にさらされている」ことも大きく影響しているからです。
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同紙によると、「国連の専門機関、世界観光機関によると、今年1~6月の世界の海外旅行者数は4億9400万人と前年同期比で5.2%増えた。地域別では世界全体の約半分を占める欧州が5.1%増とばったほか、アジア・太平洋が6.2%増と伸び率が最も高くなるなど世界的に旅行者数が拡大。こうしたなか、仕入れを巡る争いも世界規模で展開される」ためと解説しています。

日本人の海外旅行の動向は一見インバウンドには無関係のように思えますが、こうした世界の旅行市場の拡大が、海外ツアーの料金アップにつながるだけでなく、日本のインバウンド旅行市場の成長の背景にもなっていることを理解しなければなりません。要はインもアウトも連動しているのです。

同紙は、海外ツアー商品の2013年度下期(10月~14年3月)から14年度上期(4月~9月)にかけての価格動向の見通しとして以下のように予測しています。

●ヨーロッパ
2013年度下期(10月~14年3月) 3~8%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※ユーロ高や新興国からの旅行者が増加し、ホテルの仕入れ価格が上昇するため。

●アメリカ(本土)
2013年度下期(10月~14年3月) 8~10%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※円安が響くため。

●ハワイ
2013年度下期(10月~14年3月) 8%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%以上UP
※米国や中国からの旅行者が増加。ホテルが価格で強気になるため。

●アジア(中国、韓国を除く)
2013年度下期(10月~14年3月) 3%UP
2014年度上期(4月~9月) 5%未満UP
※東南アジア内の旅行需要が拡大。ホテル価格が上昇のため。

●中国
2013年度下期(10月~14年3月) 3~5%UP
2014年度上期(4月~9月) 横ばい
※日本人旅行者減と他国からの旅行者増がほぼ相殺。

●韓国
2013年度下期(10月~14年3月) 10%DOWN
2014年度上期(4月~9月) 5%未満DOWN
※竹島問題を受けて、日本人旅行者が減少してホテル単価が下落傾向。

それにしても、これだけ料金がアップしているのに、今回の年末年始は過去最高の海外旅行者数となったのは、なぜだったのでしょうか。

前述のJTBプレスリリースは、2013年の海外と国内をあわせた総旅行消費額の回復を触れたうえで、以下のように指摘しています。

「総旅行消費額は、対前年比6.1%増、1兆1,055億円となり、5年ぶりに1兆1千億円を超えました。2008年のリーマンショック以前の水準にはまだ戻っていないものの、回復を見せていると言えます。

昨年以降の円安傾向や物価の上昇が旅行意欲を減退させる動きには、この年末年始に関しては直接繋がってはいないようです」。

つまり、「円安でも過去最高の理由」は、国内の「景気回復」ムードにあると素直に判断してよさそうです。でも、それは「この年末年始」に限っての話なのか。今年4月の消費増税後は、海外旅行マーケットにどんな影響が出てくるのでしょうか。

一般の消費財と違って旅行商品は、買いだめや駆け込み消費ができないのが特徴です。これまで見てきたように、日本の消費者はすでに昨年の時点で円安他の理由から今年4月の消費税率アップ以上の海外旅行商品の値上がりを経験しています。だとすれば、それほど大きな阻害要因にはならないとも考えられます。

海外旅行マーケットを考えるうえで、いわゆる金融資産1億円以上の富裕層と一般層の購買行動を分けて考える必要がありそうです。

「高額消費、主戦場は車・住宅 消費増税前、富裕層は株価と両にらみ」(日経消費インサイト2013年11月号)によると、2013年に富裕層が「購入・契約した高額の商品・サービス」(複数回答)のアンケートのトップは「海外旅行」(27.8%)。次いで「1人1泊3万円以上の国内旅行」(24.2% )。旅行マーケットにおける富裕層の存在感は大きいといえます。

同誌では、富裕層の購買行動にいちばん影響を与えるのは「株価」だと指摘しています。一般層が「給与・賞与」に影響されるのとは違うところです。これは、海外旅行マーケットが消費増税以上に株価の動きに影響されることを意味しているのかもしれません。

むしろ、昨今の新興国の金融不安に伴う日本株の変動は気がかりといえます。

ところで、年末年始の国内旅行の動向ですが、こちらも前年度比2.0%増の2983万人で過去最高だそうです。

連休が長いため、旅行日数は「二極化」傾向。「日並びの良さを利用した長期間の旅行を計画するタイプ」と「三が日前後に短期間の旅行をするタイプ」に分かれるそうです。

方面別では、「世界遺産に登録された富士山周辺への旅行者が増加」「観光列車が数多く走る九州」「LCCの就航で地方都市からの路線が増えた大阪」「東京ディズニーリゾートや東京駅舎周辺、東京スカイツリーなど東京周辺」が人気といいます。

年代別の出発日は「29歳以下の若い世代は早めに」「熟年世代は年明けに出発する」傾向が見られたようです。旅行の目的については、東日本大震災直後の2011年末や12年末に多かった「家族や友人と一緒に過ごす」「この時期しか一緒に旅行できない」の項目のポイントが減少し、「正月情緒を味わう」「おいしいものを食べる」といった項目が上昇したといいます。震災のショックから、家族や友人など大切な人間関係を重視する傾向が見られた昨年までの年末と比べ、今回はより通常型の旅行目的に回帰していると思われます。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-07 17:58 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 04日

今年の春節に中国客が戻った理由は、上海の訪日自粛がとけたから

日本経済新聞2014 年1月30日によると、「31日からの春節(旧正月)の期間中に、中国からの訪日客数が大幅に回復する見込み」となったそうです。
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「日本向け査証(ビザ)発給のほぼ半分を占める上海の日本総領事館では、個人観光ビザの発給が過去最高のペース」。「昨年12月に発給した個人観光ビザは約1万4400件」で「前年同月の3.6倍」。「今年1月に入ってからも順調に伸びている」(上海の総領事館)といいます。

「中国人の訪日客は反日デモが起きた2012年秋以降に落ち込み、昨年9月に1年ぶりにプラスに転じ」ていましたが、昨年末の安部総理の靖国参拝がどう影響するか、関係者はやきもきしていました。

なんといっても、背景には円安があります。「中国・人民元に対して日本円は年間で20%程度下がって」おり、中国客からすると、日本の割安感はハンパじゃないと思われます。先月上旬ぼくは北京を訪ねたのですが、1万円両替してもわずか550元。2年前なら800元近かったことを思えば、急激に人民元が強くなっていることを痛感しました。

同紙では、中国の個人ビザ客の実態として「私費旅行」が増えたと分析しています。「習近平指導部が進める綱紀粛正」により、「今年1月から共産党員や公務員を対象に公務を名目とする視察旅行を禁じ」ており、それでも訪日客数が増えたのは、「欧米よりも割安な日本に私費で旅行する人が増えたとみられる」からだといいます。

中国客の復調をふまえ、中国LCCの吉祥航空(上海)が1月31日から上海・那覇線週4便を就航しました。同キャリアは12年9月に就航を予定していたものの、尖閣問題で延期していました。

那覇―上海に就航 吉祥航空、週4往復の定期便(琉球新報2014年2月1日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-218697-storytopic-4.html

同紙は、「訪日客1人あたりの買い物代金」の主要国比べのグラフを掲載し、「旅行中に飲食や買い物などに使う金額」のトップとして中国を挙げ、「高額消費に期待」をかけています。中国客を金づるとしか見ようとしない同紙の姿勢は相も変わらずですが、中国客が訪れる個別の量販店を除いて、実際どれほどの消費が期待できるのか、あやしい気がします。中国人観光客=経済効果といった単純な見方はそろそろやめにしてもらいたいものです。

もっとも、靖国参拝であれほど大騒ぎしていた中国から観光客が戻ってきたというのは、単なる円安のせいだけではなさそうです。東洋経済オンラインでは、以下のコラムが背景を解説しています。

反日に変化? 中国人観光客が大挙して来日中~春節で「肺をきれいにする」ツアーの側面も(東洋経済オンライン 2014.2.3)
http://toyokeizai.net/articles/-/29780

同コラムでは、訪日客が増えた理由を、中国人の立場からみた「福建省の老朋友(古い友人)」の話として、以下の6点を挙げています。

①中国は環境汚染がひどいのに、日本は「PM2.5」の心配をほとんどせずに済むので本当に安心だ。
②中国の食品は危ないものもあるが、日本で食べる食品はおおむね安全で新鮮で美味しい。
③中国の観光地に行くと混雑していてゴミも多い。だが日本はほとんどどこでも綺麗だ。
④中国で買い物をすると偽物が少なくない。だが日本人は正直なのでほとんど心配ない。
⑤中国では軍国主義の日本の話ばかりTVで放映しているが、全部ウソだとわかった。
⑥中国のサービスは金儲けが主体だが、日本のホテルや旅館の「おもてなし」は最高だ。

さらに、「客観的な」理由として、以下の6点も付け加えています。

①日本の外務省が、ビザの発給基準を緩和した。
②日本円が円安傾向のため、日本旅行は割安感が出た。
③欧州旅行よりも手軽で近いから、春節の旅行にはうってつけ。
④福島原発の危険性は、以前よりも少なくなった。
⑤東京オリンピック、富士山の世界遺産のニュースが後押しした。
⑥東南アジアは混雑する上に、タイの暴動などが旅客の足を日本に向けた。

ここで挙げられるポイントに特に間違った指摘はないと思われますが、なぜ昨秋頃から徐々に中国からの訪日客が回復してきたかという理由については、答えていないと思います。

ではその理由は何か。

ひとことでいえば、一昨年秋の尖閣問題以降、訪日旅行の最大マーケットだった上海に対する中国国内のバッシングが夏頃からようやく収まってきて、上海の消費者の訪日自粛がとけたからなのです。

ここでいうバッシングというのは、一昨年秋冬に起きた「春秋航空0円キャンペーン」や「上海発熊本へのクルーズ客」に対するネットなどで見られた執拗な批判のことです。「なぜ上海人は(尖閣問題が起きたばかりの)こんなときに、のこのこ日本に旅行に行ったりするのだ」と、まるで上海人に対するイジメのようなネガティブキャンペーンが中国国内で繰り広げられていたのです。そのため、上海の旅行関係者らはしばらく訪日旅行ビジネスを自粛するほかなかったのでした。上海の消費者も極力日本に行くことを避けていたのです。

昨年11月、上海を訪ねたとき、ある旅行関係者は、当時の状況について「中国では上海人はとことん嫌われていると感じた」と感想をもらしていました。経済的に恵まれた上海に対する妬みは、こんな形で現れてくるというのです。

そうしたトラウマからの自粛がほぼとけたのが、昨年9月でした。その頃からいっせいに新聞に訪日旅行の広告が掲載されるようになりました。結果的に、10月以降の訪日中国人数は回復したのです。

訪日中国人数
2013年10月 前年同月比74.1%増
    11月 前年同月比96.0%増
    12月 前年同月比84.8%増

JNTO報道資料(2014年1月17日)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/pdf/140117_monthly.pdf

そういう意味では、今年の春節の訪日客が増えたことであんまり盛り上げすぎると、またもやバッシングが再開されるかもしれません。気をつけたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-04 14:43 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 08月 05日

韓国政府は来年から外国客のホテル増値税10%を返還するそうです

2013年7月17日付の中国メディアの報道によると、韓国政府は来年から外国客のホテル増値税10%を返還するそうです。
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韓国政府による積極的な外国人観光客誘致の取り組みはよく知られていますが、この政策によって、来年から外国人が韓国内の宿泊施設を利用する際、これまで料金に上乗せされていた10%の増値税が差し引かれることで、事実上の値引きとなります。

ただでさえ、日本に比べ価格競争で優位に立つ韓国ですが、昨今の円高是正によって周辺諸国からみて相対的にウォン高状況になっていることもあり、韓国政府の自国の観光産業に対する支援策と考えられます。

この政策をいちばん歓迎したのは、現在訪韓外国人数のトップとなった中国だったことは明らかです。日本ではこの手のニュースは報道するほどの扱いとはみなされなかったでしょうから、その関心ぶりは国策的に海外旅行市場を拡大しようとしている中国らしい反応といえます。

記事によると、これにより韓国政府は増値税としては500億ウォン(日本円で44億円)の減収になりますが、結果的に3000億ウォン(98億円)の観光収入の増収が見込まれるとしています。

中国游客赴韩旅游有望享受酒店退税政策
http://money.163.com/13/0717/11/93VVCOMA00254TI5.html
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by sanyo-kansatu | 2013-08-05 18:00 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 08月 05日

外国人向け富士山ツアー、続々登場! ただし、欧米客向けばかり!?【2013年上半期⑬富士山2】

富士山の世界文化遺産登録で、増加が見込まれる外国人観光客向けの新しいツアー商品が続々登場しています。

「富士山観光 外国人を狙え ガイド付き高級ツアー、乗り放題切符」(産経新聞2013年6月19日)

同記事では、旅行大手のJTBの「ガイド付き高級ツアー」とJR東日本と富士急行の提携による「乗り放題切符」などについて、以下のように紹介しています。

「JTBが6日に発売した高級ツアーは、東京の高尾山から富士山頂までの行程約100キロを、温泉旅館などに宿泊しながら4日かけて歩く。料金は1人34万8千円(2人1室)で、外国語を話すガイドが同行。登山に関する装備なども貸し出す。『ほぼ毎日問い合わせが来る』(同社)という」

これはかなり本格的なFIT向けのツアーといえそうです。ただし、対象は旅慣れた欧米客に限られるのではないでしょうか。

「JR東日本と富士急行は、外国人観光客向けに2日間有効の割引切符を7月1日から10月30日まで販売する。東京都区内から大月駅(山梨県)までのJR往復に加え、富士急行の大月駅―河口湖駅間などが乗り放題となる」

JR東海の運行する富士山眺望を売りにした臨時列車も紹介されています。

「JR東海は、静岡県の浜松駅―御殿場駅間で臨時急行列車を7月下旬~8月上旬の週末に1日1往復させる。国内、海外からの観光客が対象で、20日から購入できる。窓が大きく景色が見やすい車両に変更し、『富士山を雄大に感じられる』(同社)という」

週刊トラベルジャーナル2013年7月15日号も、「外客に優しいFUJI」と題する特集を組み、新しい外国客向け富士山ツアー商品を紹介しています。

まず訪日外客を専門に扱うJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTB-GMT)の催行する外国人客向けツアーブランド「サンライズツアー」の中から以下の最新ツアーを挙げています。

「富士山世界遺産ネイチャーガイドウォーキング」
英語ネイチャーガイドが同行するウォーキングツアー。文化・歴史の説明に耳を傾けながら、富士山の自然を堪能。

「富士山山岳信仰サイクリング」
英語インストラクターの同行による富士山周辺サイクリングを含むツアー。レンタルマウンテンバイクにて25km約2.5 時間のサイクリングで世界遺産構成資産(河口浅間神社・富士御室神社)を巡りながら河口湖(構成資産)を一周する。

「富士山ゴールデン周遊」
本宮浅間神社、白糸の滝、忍野八海など世界遺産構成資産を中心に巡る、従来よりも「富士山」にフォーカスしたツアー。富士山の見どころを満喫。

「富士山山岳信仰ウォーク」
世界遺産登録の礎となった「山岳信仰」をテーマに富士山周辺を散策します。道者体験プログラムとして金剛杖と菅笠(すげがさ)を身につけてウォーキングいただくと共に、御師住宅などを巡り、地元在住専門ガイドより富士山の歴史や文化を学ぶ。

※詳しくは、JTBの2013年6月24日のプレスリリースを参照。
http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=1715

こちらは前述の「高級ツアー」に比べると誰でも参加しやすい一般的な内容ですが、やはり基本的に欧米客を対象としたツアーといえるでしょう。

一方、はとバスはこれまで中国語圏を対象にしていたバスツアーを英語圏にも広げる動きを見せています。

「はとバスでは、2005年から中国、台湾、香港などの中華圏市場を対象に中国語によるバスツアーの運行を開始。『富士山五合目と山中湖温泉』などの富士山観光の利用者も順調に増加して、11年には年間で1万人を突破する見通しだったものの、東日本大震災の影響により一時的に需要の低迷を余儀なくされる形となった。昨年から再び中華圏市場の回復が進み、『今年は年間利用者が1万人に迫るペースで推移』(はとバス広報室)

(中略)

これまで中国語だけの対応になっていた富士山観光について、より多くの外国人旅行者に楽しんでもらおうと、7月から英語で案内するバスツアーも2コース設定。人気の高い箱根と組み合わせた『富士山五合目と箱根』、富士山とフルーツを楽しむ『富士山五合目と山梨フルーツ狩り』はいずれも日帰りコースで、出発地の浜松町までは都内主要ホテルからの迎えサービスも付加し、初めて来日する外国人旅行者も参加しやすい工夫が加えられている」

「高速乗り合いバス」大手のウィラートラベルでも、外国人向けの富士山ツアーを始めています。

「ウィラートラベルの外国人向け富士山登山ツアーは、富士吉田市に登録された富士山登山専任ガイドが同行するプランに、登山開始から下山まで英語で通訳のできる添乗員が同行。富士山登山の際のペース配分や歩き方の指導を英語で行うと同時に、高山病など緊急時の応急処置や天候悪化への対処が必要な場合なども英語で説明できるようにした」

日本の旅行会社が新しく企画した多彩な富士山ツアーは、内容的にみてもクオリティの高いものが増えていますが、残念ながらその大半は英語圏の人たちを対象にしたものです。訪日客の4分の3を占めるアジア客の中にも、英語を使える東南アジア系の人たちがいるとはいえ、どこまで彼らにアピールできているかが気になります。

同誌では、台湾の女性客向けの新機軸のツアーについても紹介しています。

「台湾から富士山への旅行は、これまで富士五湖周辺が主な目的地で、一般旅行者に向けた現地の温泉やスパなどレクリエーションを中心としたものがコースに組み込まれている。(中略)台湾近畿国際旅行社では、台湾における会社設立以来さまざまな市場に向け、スポーツ、高級、女性向けといったテーマ商品を売り出している。なかでも富士山ツアーに関しては、台北/静岡直行便を利用した台湾人女性向けの富士山登山5日間のツアーを販売中だ。

このツアーは、ティー・ゲートが運営する『旅の発見』と提携したもので、台湾女性向けの富士登山1泊2日コースである。女性専用とあって、プロの女性登山ガイドと、長年の経験を持つプロの登山隊が同行し、参加者に2重の安心が保障されている。登山コースは、景観の美しい富士宮口5合目から出発し、御殿場方面へ下山する。6合目に到着後、皇太子殿下が下山したことからプリンスルートと呼ばれる道を進み、富士宮口5合目へ戻る。

登山のほか、清水港付近のちびまる子ちゃんランドや、大井川鉄道SL列車に乗車、大型アウトレットがある御殿場にも立ち寄る。台湾人女性旅行客の最も好きな要素ばかりを組み込んだ商品として話題を集めている」

2012年に就航したチャイナエアライン(CI)の台北/静岡線を利用したこのツアーは、同年6月に台湾で営業を始めた近畿日本ツーリストの現地法人の台湾近畿国際旅行社が催行したものです。本来、日本のツアーは国内の観光事情に詳しい日本の旅行会社が得意とするはずですが、中華圏の観光客の多くは、在日アジア系の旅行会社の手配するツアーに参加しているのが現実です。中身より安さに流れてしまうからでしょう。

これからは「安かろう悪かろう」に流れがちなアジア客向けにも、日本の旅行会社の現地法人による新機軸の旅行商品の存在をもっとアピールしていく必要があると思います。いつまでも「安かろう悪かろう」では彼らが気の毒ですから。
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by sanyo-kansatu | 2013-08-05 09:32 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 29日

LCCはアジア客の訪日旅行の促進につながるか?【2013年上半期⑫LCC】

国内初の格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションが就航して今年3月で1年を迎えました。ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパン(その後、ANAとエアアジアは合併解消。バニラエアとして生まれ変わる)も少し遅れて昨夏営業開始。2012年は日本の空に本格的なLCC時代が到来したといわれています。新聞各紙は、「空の価格破壊」と話題を呼んだ就航1年後のLCCをめぐる国内外の動向を伝えています。
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「LCC新路線で需要開拓 海外勢との競争激化」(読売新聞2013年5月18日)

「国内の格安航空会社(LCC)3社が路線拡充に力を入れている。就航からほぼ1年で認知度も上がり、4~5月の大型連休中の乗客数も順調に推移した。海外勢の参入など競争激化が予想されるなか、新規路線の開設で新たな需要を取り込む考えだ」

●主な国内LCC(2013年7月31日現在)
       ピーチ・アビエーション ジェットスター・ジャパン エアアジア・ジャパン
就航時期     2012.3.1        2012.7.3     2012.8.1
拠点空港   関西国際空港      成田国際空港    成田、中部国際空港 
路線数  10路線(国内7、国際3)  13路線(国内のみ) 9路線(国内5、国際4)
主な路線 関空-新千歳、仙台、那覇  成田-関空、新千歳、 成田-新千歳、福岡、那覇 
     関空-仁川、香港、台北   大分、関空-福岡   成田-台北、中部-仁川
主な新路線 関西-新石垣(6.14)   成田-鹿児島(5.31)   成田-台北(7.3)
       関西-釜山(9.13)     成田-松山(6.11)
使用機体       9機          13機         5機
累計利用者  200万人(5.7現在)  100万人(3.22現在)  50万人(5月末)
搭乗率      80%前後         72.0%        62.6%
遅延率      18.74%         19.77 %       35.84% 
主な株主     ANA        JAL、カンタス  ANA、エアアジア(合弁解消)

「ただ、エアアジアが就航予定の成田-台北先には、シンガポール航空の子会社のLCCが既に就航している。茨城-上海線など国際3路線を運航する中国の春秋航空も、日本の国内線への就航方針を表明した。拡大する日本のLCC需要の取り込みを狙う海外勢との競争は激しくなる」としています。

では、LCCは日本の旅行シーンにどんな影響を与えたのでしょうか。

「LCC就航1年 生活スタイル変わった 沖縄に移住、東京へ“通勤”」(日経MJ2013年3月20日)

「大手航空会社に比べて半分以下の運賃で提供する移動サービスは、消費者のライフスタイルを大きく変え始めた。手軽にアジアや北海道の日帰り旅行を楽しむ若者が増え、沖縄県に移住して都内に“通勤”する人も出てきた」といいます。

同紙では、「長距離移動のコストは下がっている」として、LCCによる長距離移動と既存の交通手段による近距離移動の運賃格差が消滅している事例を挙げています。

・東京~札幌 往復4960円(エアアジア・ジャパン セール運賃の最安値)
・東京~松山 往復3980円(ジェットスター・ジャパン キャンペーン運賃)
・大阪~ソウル 日帰り往復7400円(ピーチ・アビエーション、平日)

・東京~箱根 往復4040円(小田急電鉄特急利用)
・大阪~白浜(和歌山県) 往復9240円(JR特急利用)
・神戸~大分 往復1万円(フェリーさんふらわあ、週末)

「移動コストの安さなら国内の観光地より、距離的に遠いアジアを選ぶ動きがLCCで加速する」「宿泊旅行が中心だった北海道や沖縄、近隣のアジア地域も、近所に行く感覚で旅行する『日帰りエリア』に一変させた」そうです。

そのぶん、「浮いたお金、旅行先で消費」(同上)「日帰りしない人は、安い航空運賃で浮いたお金を節約せずに、ホテルの宿泊や買い物の予算を増やすケースなどが少なくない」と、大手航空会社を利用した場合との運賃の差額分を現地での消費に使うという傾向が出てきたといいます。

LCCの登場は、他の交通機関にも影響を与えています。

「フェリーや高速バス 『移動+α』で対抗探る」(同上)では、大分~神戸を結ぶ大型フェリー「さんふらわあ」の0泊3日往復1万円(週末)の人気を紹介しています。いわばそれは「弾丸フェリー」。LCCと同程度の安さに加え、寝ているうちに目的地まで運んでくれることで、2泊分の宿泊代を浮かすことができます。

その一方、「安さを武器に年間750万人が利用する高速ツアーバスは、LCCの登場で顧客が流出する路線が出てきた」そうです。確かに、LCCと高速ツアーバスは競合関係にあるのかもしれません。

週刊トラベルジャーナルでは、「日系LCC効果を検証する ピーチ就航から1年」(2013年3月11日号)という特集を組んでいます。LCC効果は以下の3点です。
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①「航空市場の変化 若年女性中心に新規需要創出」

ここでは、LCCを誰が利用しているのか検証しています。同誌によると、「LCC利用者のプロフィール」」として以下の5つの属性を挙げています。

・旅行頻度の低い層ほど利用
・収入階層の低い層ほど利用
・20代の利用率が最も高い(40代以上は低い)
・泊数の長い旅行ほど利用
・ひとり旅の利用率が高い(家族旅行は低い)
(公益財団法人日本交通公社「旅行者動向調査2012年」結果速報から)

これは日本のLCCの利用実態を物語る興味深い指摘といえます。

「LCCの先駆的存在であるライアンエアーが新規需要を40%創出したという、いわゆるライアン効果が認められたヨーロッパでは、高頻度で旅行を繰り返すリピーターがLCC需要を支えた。旅慣れた人々がLCCの価値を認め、良さを引き出した。一方、東南アジアでは高速バスからLCCへ需要がシフトし、これまで飛行機を使った旅行に縁のなかった人々が猛然と旅行に出るようになった。

では日本ではどうなのか。(中略)『旅行頻度の低い層ほど利用率が高く、収入階層の低い層ほど利用率が高い』。また年代別では20代の利用率が最も高く、40代以上の利用率は低い傾向も確認された」といいます。

日本人のLCC利用は、現状では、旅慣れた旅行者の利用が多いヨーロッパ型というより、これまで飛行機に乗ることのなかった層の利用率が高い東南アジア型に近いようです。

②「人的流動の変化 就航地の客数増くっきりと」

ここでは、LCCが就航地への観光客数にどんな影響を与えたかを検証しています。たとえば、LCC3社のうち、ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンの2社が運航している成田/新千歳、成田/福岡、成田/那覇の場合、宿泊者統計をみると、それぞれ観光客は増えているようです。

LCC就航による観光客の押し上げ効果について、福岡市議の以下のコメントを紹介しています。

「LCCには、既存の航空会社から需要を奪うというよりは、低運賃を武器に手軽に観光やビジネスを飛行機で利用する機会を作り出し、これまで航空機を利用しなかった人の掘り起こしによる新規需要の創出、市場拡大が期待されている」。

③「ビジネスの変化 新商品開発など商機うかがう」

ここでは、新たに登場したLCCを利用したツアー商品について紹介しています。たとえば、JTBはジェットスター・ジャパン就航と同時に同社利用の北海道や沖縄ツアーを催行。エイチ・アイ・エスも、北海道や沖縄、福岡線を利用した長崎のハウステンボスのツアーを始めているそうです。ネットによる直販がビジネスモデルのLCCですが、現状の日本のマーケットでは旅行会社との連携は欠かせないようです。

さて、順風満帆に見える日本のLCCですが、6月11日、エアアジアとANAの提携解消が報道されました。

「ANA、エアアジアと合弁解消 『日本流』文化の溝埋まらず」(産経新聞2013年6月30日)

「価格破壊で話題を呼んだ日本の格安航空会社(LCC)が岐路を迎えている。ANAホールディングス(HD)と、マレーシアのLCC大手エアアジアが、不振が続く合弁事業の解消で合意した。ANAHDは、両者が共同出資するLCCエアアジア・ジャパンを完全子会社化する。破談に至ったのは、日本流ビジネスをめぐる対立の溝を埋められなかったからだ」。

同紙によると、「合弁解消の理由」として、以下の点を挙げています。

①利用客の低迷
「月別の利用率は、直近でも53%台と採算ラインとされる約7割を割り込んだまま。84%に達する同じANA系のピーチ・アビエーションとは対照的」「主要拠点に成田空港を選んだことが響いた。成田は騒音問題を抱え、夜11時以降は原則、離着陸できない。1日に何度も機体を往復させて利益を絞り出すLCCは、“門限”に戻れなければ翌朝の初便が欠航するなどの打撃を受ける。運航ダイヤが正確な日本の空の旅に慣れた利用客が離れる一つの要因となった」

②コスト削減の手法の溝
「エアアジアなど海外の一般的なLCCは、航空券販売をウェブサイトによる直販にほぼ特化している。ただ、日本では旅行会社経由の販売の比重が大きい。そこでピーチは直販にこだわらず、旅行会社15社に航空券を卸している。エアアジア・ジャパンも1月から、中堅旅行会社のビッグホリデーに航空券を卸し、3月の利用率は76%台に増えた。ところが、『コストがかさむとマレーシアの本社が待ったをかけた』(関係者)こともあり、4月以降の利用率は急降下した」

③サイト運営
「費用節約のためにエアアジアと共通化したサイトは当初、英語が多用されるなど日本人にとって使い勝手が悪かった」

結果的には、「合弁解消は、業績低迷に業を煮やしたエアアジアが持ち出した」といいます。

もっとも、両社の提携解消は“異文化ギャップ”だけが理由ともいえなさそうです。

「日本の空、ガラパゴス化? LCC時代 世界に広がる航空再編」(日本経済新聞2013年7月10日)

同紙は、海外に比べ、「日本のLCCの旅客の伸びはいまひとつ」と指摘し、その理由をこう述べています。

「(日本のLCC旅客の伸びに)弾みがつかない理由の一つは空港の制約だ。日本はLCCの育成策を打ち出したのが航空自由化推進を宣言した09年以降。しかも、羽田空港の発着枠がほとんどLCCに与えられないまま政策が進められた。東京から遠い成田や地方空港だけでは経営は難しい」。

これはエアアジアがANAとの提携を解消した理由と重なります。

一方、海外に目を転じると、世界の航空再編のなかで、LCC台頭の動きが最も著しいのはアジア・オセアニアだといいます。もともとオーストラリアのカンタス航空から生まれたジェットスターはいまやカンタスの売上高を上回る規模に成長しているとか。レガシーキャリアからLCCへの規模逆転が起きているというのです。

「ボーイングの予測によれば、アジアの旅客需要は32年まで毎年6.5%と最も高いペースで膨らむ。LCCがけん引役となり、南アジアや東南アジアではLCCの比率が現在の5割超から7割程度まで伸びる可能性がある」といいます。

だとすれば、アジア・オセアニアのLCCは今後日本への乗り入れを加速することでしょう。それは、アジア客の訪日をますます促進することにつながると考えられます。

実際、今年3月に開港した沖縄県の新石垣島空港には、台湾からすでにLCCの新規就航が始まっているようです。

「新空港開港で石垣にインバウンド客は増えるのか?」を参照。

また以前、本ブログでも、訪日韓国人や台湾人が増えた背景として、円安に加えて、LCCの相次ぐ就航もあることを「LCC就航拡大 韓台から若者来やすく」(日本経済新聞2013年6月9日)という記事を通して紹介したことがあります。今後、東南アジア発の新規のLCCが就航すれば、東南アジア客にも同じような動きが起こることでしょう。

※「「訪日韓国人 回復進む 円安ウォン高で拍車」【2013年上半期⑤韓国客】」を参照。

最後に、主なアジア・オセアニアのLCCグループを挙げておきます。

●エアアジア(マレーシア)  
エアアジア・タイ、エアアジア・インドネシア、エアアジア・フィリピン、エアアジア・インディア、エアアジアX (エアアジア・ジャパンはANAとの合弁解消)
●ジェットスター航空(オーストラリア)
  ジェットスター・アジア、ジェットスター・パシフィック、ジェットスター・ジャパン、ジェットスター香港
●タイガー・エアウェイズ(シンガポール)  
  タイガー・オーストラリア、マンダラ航空(インドネシア)、SEエア(フィリピン)
●ライオン・エア(インドネシア
  マリンド(マレーシア)

これらに中国や韓国、台湾、タイ、そして日本のLCCが加わることで、日本のインバウンドの中身も変わっていくことになるのでしょう。

【追記】
2013年7月30日、ANAホールディングスは先ごろエアアジアとの提携を解消したエアアジア・ジャパンを12月末から新ブランドで運航すると発表しました。

「LCC 2年目の一手」(朝日新聞2013年7月31日)

「日本の空にLCC3社が登場して1年。各社とも、先行した海外流の安さだけでない日本型を模索する」

同紙では、エアアジアとの提携を解消した背景を紹介しつつ、「ビジネス客は羽田の方が厚いが、成田は内外のリゾート路線で利用が見込める。国際線は単価が高い」というANA執行役員のコメントを紹介し、同社の新ブランドへの切り替えの方向性を伝えています。

そして最後にこう付け加えています。
「『LCC元年』とされた12年度、国内線の旅客数は6年ぶりに増えた。ただし3社のシェアは計3.2%で、3割超の欧米やアジアにはまだ遠い」
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by sanyo-kansatu | 2013-07-29 17:19 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)