ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 01月 21日

訪日客伸び率と消費額が最大の中国に対するビザ緩和が実施されました

昨日(1月20日)、日本政府観光局(JNTO)による記者発表で、2014年の訪日外客数が過去最多の1341万人4000人となったことが伝えられました。今朝の朝日新聞(2014.1.21)では、以下のように報じています。
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「2014年に日本を訪れた外国人は、過去最多の1341万4千人に達した。日本で使ったお金も2兆305億円と過去最高になり、ホテルや小売業には好影響だ。やはり東京や大阪に人気が集まるが、いかに地方に読み込むかが今後のカギになる」。

同記事では、その背景について「急激な伸びは、三つの追い風に支えられた面が大きい。最大の風は、円安だ。12年末に1ドル=86円台だった為替レートは、14年末には119円台に。日本での買い物代や宿泊費は、ドルベースで約3割も安くなった。

二つ目はリーマン・ショック後の中国や東南アジアの経済成長だ。海外旅行を楽しむ富裕層や中間層が増えた。東京五輪・パラリンピックの開催決定や世界遺産、ユネスコ無形文化遺産の登録が相次いだことで、日本への関心が高まったことが三つ目の追い風だ」としています。

こうした3つの風を「訪日客の拡大を成長戦略の一つに位置づける安倍内閣の取り組み」として、東南アジア諸国に対するビザ緩和や羽田空港の国際線の発着枠の拡大、昨年10月より実施された免税対象品目をすべての商品に広げたことなどを指摘しています。

課題は、大都市圏への旅行者の集中で、「引き続き訪日客を風安には、東京や関西への集中を避けて地方に導くこと」。そのため、政府が4月から始めるのが「地方の商店街などが丸ごと免税店になれる新制度」で、「専用カウンターを1カ所置き、専門業者などに免税手続きを委託できる仕組みで、外国人の目を様々な地方の名産品に向けてもらう狙いがあるといいます。

記事では、「小江戸」で知られる埼玉県川越市には多くの外国人が訪れるにもかかわらず、100店の加盟店があっても免税店がない地元の一番街商店街の事例を挙げ、新制度の導入に対する関係者の期待を紹介しています。また「新たな観光ルートづくり」として「国は、4月から複数の都道府県にまたがる経路を順次設定し、海外でのPR費用などを一部肩代わりする。愛知県と石川県を南北に結ぶルートなど、全国で数カ所を検討」していると、東京・大阪「ゴールデンルート」に代わる新しい観光ルートの造成で、課題となっている訪日客の分散化につなげていこうとする政府の取り組みにも触れています。

さて、過去最多となった「国・地域別訪日客数」のベストテンのランキングは以下のとおりです。( )は伸び率(前年度比)。

1位 台湾 282万9800人(28.0%)
2位 韓国 275万5300人(12.2%)
3位 中国 240万9200人(83.3%)
4位 香港 92万5900人(24.1%)
5位 米国 89万1600人(11.6%)
6位 タイ 65万7600人(45.0%)
7位 豪州 30万2700人(23.8%)
8位 マレーシア 24万9500人(41.3%)
9位 シンガポール 22万7900人(20.4%)
10位 英国 22万0100人(14.8%)

これまで本ブログでも何度も触れましたが、2000年以降初めて台湾が韓国を抜いてトップに躍り出ました。中国、台湾、香港を中華圏とするならば、全体の半分近くを占めることになります。

また政治的な要因によりアップダウンの激しい中国が伸び率83.3%と最大で、「国・地域別の(観光客の)消費額」でも5583億円とトップです。

ちなみに観光庁調べによると、消費額の主なランキングは以下のとおり。

1位 中国 5583億円
2位 台湾 3544億円
3位 韓国 2090億円
4位 米国 1475億円
5位 香港 1370億円

総額は2兆305億円ということです。

実は、一昨日(1月19日)から、中国人に対するビザ発給要件の緩和が実施されています。その告知は昨年11月に発表されていましたが、外務省によると内容は以下のとおりです。

中国人に対するビザ発給要件緩和                   平成27年1月6日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001624.html

1 昨年11月8日に発表しました,中国人に対するビザ発給要件緩和の運用を1月19日に開始します。

2 具体的な緩和内容は,以下のとおりです。

(1)商用目的の者や文化人・知識人に対する数次ビザ
 これまで求めていた我が国への渡航歴要件の廃止や日本側身元保証人からの身元保証書等の書類要件を省略します。

(2)個人観光客の沖縄・東北三県数次ビザ
  これまでの「十分な経済力を有する者とその家族」のほか,新たに経済要件を緩和し,「一定の経済力を有する過去3年以内に日本への短期滞在での渡航歴がある者とその家族」に対しても,数次ビザを発給します。また,これまで家族のみでの渡航は認めていませんでしたが,家族のみの渡航も可能とします。これに伴い,滞在期間を90日から30日に変更します。

(3)相当の高所得者に対する個人観光数次ビザ
  新たに,「相当の高所得を有する者とその家族」に対しては,1回目の訪日の際における特定の訪問地要件を設けない数次ビザ(有効期間5年,1回の滞在期間90日)の発給を開始します。

3 日本を訪問する中国人観光客は近年増加傾向にありますが,こうした人的交流の拡大は,日中両国の相互理解の増進,政府の観光立国推進や地方創生の取組に資するものです。今回のビザ発給要件緩和措置により,日中間の人的交流が更に一層活発化することが期待されます。


これを読んだだけでは何が緩和されたのかよくわからない文面ですが、ポイントは(3)の「相当の高所得者に対する個人観光数次ビザ」に関する部分です。

これは中国の地域経済の発展状況に準じて、以前から中国国内に数カ所ある日本総領事館の担当エリアごとにそれぞれ適用基準が違っていたものを全体に緩和させること。具体的にいうと、ここでいう「相当の高所得」の指す年収基準を、以前より低く設定することと、これまで沖縄や被災地の東北三県などにインセンティブをもたせるため実施していた「特定の訪問地要件」を設けない数次ビザ(その期間中、ビザなしで何度でも入国できる)の発給を開始したことです。

たとえば、中国瀋陽の旅行業者に対するヒアリングでは(大連を除く、東北三省エリア)、「3年ビザの年収制限がこれまでの25万元から20万元へ。5年ビザは50万元に引き下げられた」とのこと。こういう細かい基準はもともと地域によって違いましたが、これまで上海や北京などに集中していた「相当の高所得を有する者とその家族」の枠が中国全土に広がることを意味します。

いまだに日中関係の展望は判然としませんが、訪日客伸び率と消費額が最大であることを背景に中国に対するビザ緩和を進めていくことは、安倍政権の「成長戦略」にとっても順当な判断だといえるのでしょう。

とはいえ、今年は「世界反ファシズム抗日戦争勝利70周年」の年でもあります。中国政府がそれをどう扱うかによって訪日中国客への影響が考えられます。その意味で、数の増加ばかりにとらわれずに、個人ビザに限って緩和を進めるやり方は一応当を得ているわけですけれど、昨今伝え聞く中国の国内情勢をみるかぎり、さまざまな不確定要素を想定しておくことは必要だと思われます。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-21 09:01 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 01月 20日

ベトナムの「反中」、日本語学習ブームとインバウンドの関係

訪日ベトナム客の特性を考えるうえで参考になりそうな記事(昨年9月に配信)2本を紹介します。いずれも、南シナ海における中国との確執を契機に、ベトナム国内でこれまでの依存し過ぎた対中関係にバランスを改めようとする動きといえそうです。

ベトナム冷めない「反中」 政治的な対立は沈静化(朝日新聞2014.9.5)

南シナ海のベトナム沖から中国が石油掘削施設を撤収して1ヵ月半がたつが、ベトナム国内の「反中国」ムードが収まらない。伝統的なお祭りを前に「海を守れ」と書かれたランタンが大流行。政府も寺院などには「中国風の獅子像を撤去せよ」との指令を出した。

ハノイ旧市街では8日の中秋節を前に、祭りで使うランタンや玩具が数多く売られている。今年目立つのは、ベトナム国旗や巡視船のイラストが描かれ、「島の主権を守れ」「がんばれ海軍」などのメッセージが入ったものだ。

セロハンで巡視船そのものの形をデザインしたランタンも登場した。一つ4万~5万ドン(約200~250円)。小学生の子どもに「海と島が好き」と書かれたランタンを買った女性アイさん(34)は「子どもたしに領域を守る大切さを教えておかないと、中国に取られてしまうでしょ」。

店員によると、愛国デザインのランタンはホーチミン市の業者が今年新たに製造し、「一番の売れ行き」だ。昨年までは、アニメの主人公をあしらった中国製のランタンや玩具が主力だった。「(中国製のものは)きっと売れないと思ったので、できるだけ排除した」という。

中国は5月から100隻以上の船団を引き連れ、南シナ海・パラセル(西沙)諸島近海で石油掘削活動を展開。ベトナムの巡視船と洋上で激しく対立した。7月半ばに中国が立ち去り、8月下旬にはベトナム共産党書記長の特使が中国を訪れるなど政治的な対立は沈静化している。

だが、全土に広がった国民の反中感情は収まっていない。国営テレビは中国の連続ドラマの放送を打ち切り、観光業者による中国へのツアーの多くも中止されたままだ。

さらに、文化スポーツ観光省は最近、全国の寺院や商業施設に、門前に縁起物などとして飾る中国風の獅子像の撤去を求める省令を出した。「ベトナム文化を尊重するため」とし、洋風のライオン像なども対象としているが、反中機運を受けての政策だ。

中国は、ベトナムにとって最大の輸入相手国。極端な中国離れは経済的にマイナスとの意見もあるが、著名な経済学者のレ・ダン・ズアン氏は「ベトナムはこれまで中国に依存しすぎていた。中国離れの影響は一部に出るが、長期的にはバランスを改めるチャンス」と前向きに捉えている。


次の記事は、バランスを改める動きが日本に対する関心に向かっているという内容です。

ベトナム、日本語熱沸騰(朝日新聞2014.9.9)

ベトナムで空前の日本語ブームが起きている。昨年度の日本への語学留学生は前年度の4倍で、日本語試験の受験者も東南アジアで断トツだ。

午後6時半、ハノイのオフィスビル20階の教室に学校や仕事を終えた若いベトナム人が集まる。

「謝るときのペコペコと空腹のペコペコは同じですか」「グズグズとノロノロの違いは何ですか」

5人の生徒が日本語の本を読み、気になった表現を質問していく。日本企業への就職や日本留学を目指した私塾だ。リクルート出身の阿部正行さん(66)が2005年に立ち上げた。

これまで約180人を日系企業に「正社員」として送り出した。エンジニア志望のニャンさん(23)は「3Dプリンター技術に興味がある」と日系企業への就職を目指す。

ブームの背景にあるのは、国際環境の変化だ。日中関係の悪化で中国からベトナムへ拠点を移す日系企業が増え、商工会の加盟数は1299社(14年4月)と、5年で約1.5倍も増えた。いまや学生にとって日本語習得が「就職への近道」になっているのだ。

南部ホーチミンで91年に開校した老舗のドンズー日本語学校では、12年に約3千人だった生徒数が13年に4千人を突破。日本語能力試験のベトナムの受験者数は昨年2万6696人で東南アジアで1位。2位のタイ(1万6800人)を大きく引き離している。

留学生も増えている。ベトナム北西部のディエンビエンフー高校では今年、初めて日本への留学生を出した。貧困層が多い地方からの日本留学はまれだ。ラム校長(56)は「東日本大震災の際の冷静な対応、サッカーワールドカップでゴミを拾う姿に感動した。知識はどこでも学べるが、人格教育なら日本」と学生に日本留学を勧めている。

日本語教育振興協会(東京都渋谷区)によると、02年度に日本国内の日本語教育機関で学ぶベトナム人は198人で全体の0.5%。ところが13年度には前年度比4倍超の8436人になり、2386人の韓国を抜いて2位となった。

一方で、トラブルも目立ち始めている。「日本で簡単にアルバイトができる」と誘われて留学したが、バイト先が見つからず、万引きなどの犯罪組織に引き込まれたりするケースが報告されている。


ベトナム人の日本語能力試験の受験者数が東南アジアで1位。さらに、国内の日本語学校の生徒数も2位なんですね。確かに、最近都内の居酒屋でベトナム人アルバイトの姿をよく見かけるようになったと感じていました。

これは1980~90年代に急増した来日中国人と似た状況がベトナムで起きているということでしょう。人員不足に悩む業界関係者にとっては朗報かもしれませんが、ベトナムの若い人たちを見ていると、彼らは中国人とはまた違った意味で、とても自尊心の強そうな印象があります。

「人格教育なら日本」というのはありがたいお言葉ですが、現在は「反中」機運が作用して日本が選ばれている面が強いと考えられます。そんな彼らの心情を理解し、大切に扱わないと、同じ歴史を繰り返すことになってはたまりません。

こうした動きとインバウンドの関係についていうと、あるベトナム人旅行関係者の話では、ベトナム人が日本に旅行に来ていちばんガッカリするのは「メイド・イン・チャイナ」の商品があふれていることだといいます。彼らは日本に来て「メイド・イン・チャイナ」は見たくないというのだそうです。そう言われても困ってしまいますが……。

ベトナムからの日本ツアーは6泊7日1600ドルが相場(アセアン・インドトラベルマート2014その1)
http://inbound.exblog.jp/22756970/

こうしたことからホテルの客室の振り分けも、中国客とベトナム客がいたらフロアを別にするなど、これまで必要とされなかった細かい配慮も求められそうです。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-20 11:19 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 01月 18日

「怖いほどの韓国の中国への接近」の最前線、済州島の投資移民

今朝の朝日新聞に、韓国済州島への中国の投資移民に関する以下の記事が掲載されていました。

(波聞風問)中韓急接近 済州島が映す異なる視座(朝日新聞2015.1.18)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11557071.html

「韓国の「ハワイ」とも呼ばれる済州島(チェジュド)。世界自然遺産の韓国最高峰、漢拏山(ハルラサン)のふもとに、高級チャイナタウンが姿を現しつつある。

「熱烈歓迎参観」。ハングルではなく、赤い漢字がおどる。中国の不動産大手「緑地集団」が手がけるマンション「漢拏山小鎮」。1戸約200平方メートルが、約9億ウォン(約9800万円)する。

「お客は中国人です」。ショールームの中国人社員は、明言する。微小粒子状物質PM2・5の数値を北京や上海と比べた広告で、環境の良さも強調している。2013年から400戸を売り出し、8戸を残すのみという。

島に住む翻訳家の男性(40)はこぼす。「高台の高級マンションから、中国人に見おろされている気分だ」。娯楽施設など周辺であいつぐ開発計画をめぐって、環境破壊を懸念する声もあがる。

韓国紙中央日報によれば、中国人が所有する済州島の土地面積は、14年6月までの4年半で約300倍に。外国人全体の43%を占め、国別では米日を抜いて首位。5億ウォン以上投資すれば永住権につながる居住権を得られる制度も、中国人をひきつける。ホテルや店舗への投資もさかんだ。

観光が重要な収入源の島で、外国人客の9割近くが中国人。中国語が飛び交う免税店のそばで、「罰金」を示す看板に目がとまった。

信号無視は2万ウォン、たんをはいたら3万ウォン、あたりかまわず大小便をしたら5万ウォン――。中国語と英語、ハングルで記されている。近くの店員は「中国人観光客を意識したものです。マナーが良くない人もいる。でも大事なお客様ですからね」。

中国経済が急減速したり、関係悪化で中国政府が観光や投資を抑えたりしたら、島はどうなるのか。人口約60万人の済州島は、複雑な思いを抱きながらも中国依存を強める韓国の「最前線」にみえる。

訪韓外国人の4割強が中国人で、14年も前年比4割増の勢い。中国からの直接投資(申告ベース)も2・5倍に膨らんだ。成長を輸出に委ねるなか、中国との貿易額は日米との合計を上回る。金融面でも、外貨預金に占める人民元の割合は11年の1%弱から3割に急増し、いまやドルに次ぐ存在である。

経済に歴史認識……。日本からみると怖いほどの韓国の中国への接近ぶりを、木村幹・神戸大学教授(朝鮮半島研究)は「現政権の志向ではなく、構造的なもの」と指摘する。安全保障面でも、韓国は米中関係を「共存」と認識しており、「対立」を軸に考える日本とは外交の前提となる国際環境が異なる、と。

視座を変えて相手が見ている風景を想像してみる。正否ではない。そこに、対話の糸口があるかもしれない」

昨年5月、上海浦東空港の出国ロビーで、この記事の指摘する「高級チャイナタウン」の宣伝ブースを見かけていたので、なるほどそういうことになっていたのかと思いました。これが「漢拏山小鎮」のイメージ地図です。
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いまや中国全国の不動産ショールームならどこでも見かけるジオラマも展示されていました。
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販売を手がけるのは、中国第2の不動産会社「緑地集団」です。
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緑地集団について(百度)
http://baike.baidu.com/view/2291611.htm
緑地集団は、2014年の「フォーチュングローバル500」で268位にランキングしている不動産企業。14年の不動産販売面積は、前年比で30%拡大。14年の販売収入総額は2408億元(約4兆6664億円)となる見込み。

最近の中国では海外旅行と投資移民の話が不可分の関係で語られていることは、以前本ブログでも指摘したことがありますが、ニューヨークやオーストラリアの不動産物件の買収話だけではなく、身近な投資先として済州島がここ数年注目されていたのです。

中国の海外不動産投資ブームをいかにビジネスチャンスとするべきか(COTTM2013報告 その5)
http://inbound.exblog.jp/20520343/

これは投資移民のためのサイトの済州島のページです。

济州岛汉拿山小镇 - 韩国投资移民
http://www.jejuvip.com/forum-39-1.html
物件の紹介だけでなく、韓国では50万ドルの投資が必要なことなど、移民のノウハウを解説しています。いまの中国人の投資移民熱には、「いつでも逃げられる海外の拠点を用意しておきたい」という彼らの正直な願望が背景にあると思います。

それにしても、済州島を訪れる「外国人客の9割近くが中国人」という状況にはビックリですが、韓国政府の施策でこの島に限って中国パスポートでもノービザなのですから、当然かもしれません。先日東京を訪れていた中国瀋陽の旅行会社の友人も、最近の中国人の韓国旅行先はソウルか済州島のどちらかで、後者の人気が高いと話していました。ツアー料金が驚くほど安く、ノービザなのがいちばんの理由といいます。

2014年に600万人を超えた訪韓中国人数は、今年も増加し、700万人を超えるといわれています。問題は、以前も指摘したように、地元では「中国客が増えても大歓迎とはいえない」事情があることでしょう。

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい
http://inbound.exblog.jp/23872141/

記事の主張(韓国の視点から東アジア情勢をみることが対話の糸口にならないか)は、中国の韓国への投資移民の話を日韓関係に結び付けようとするところに少々無理を感じますが、こうした複合的な視点は常に必要なことだとは思います。

もっとも、いま済州島で起きていることは、専門家も指摘するように「現政権の志向ではなく、構造的なもの」でしょう。歴史的にみて、かつて起きていたことのひとつの再現なのだと思います。

気になるのは、記事でも指摘するように「中国経済が急減速したり、関係悪化で中国政府が観光や投資を抑えたりしたら、島はどうなるのか」。おそらくこれも、歴史的にみれば再現するかもしれません。その日にどう備えるのか。すなはち、済州島のチャイナタウンが中国全土に増殖する鬼城になる日にです。なぜなら、済州島で起きていることは、中国国内で起きていることにそっくりに見えてしまうからです。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-18 12:45 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 12月 26日

訪日1300万人を達成したものの、気がかりな入国管理の話

今週22日(月)、日本政府観光局(JNTO)は、訪日外国人旅行者数が1300万人を突破し、成田空港で記念セレモニーを実施しました。

一月半前の11月上旬、JNTOの関係者に取材した際、その時点の認識では「1200万人後半くらいでは」という慎重な発言が聞かれたものですが、今月中旬に11月の訪日外客数が発表されて以降、1300万人超えは確実なものになったようでした。

このこと自体は喜ばしいことだと思いますし、2003年のビジット・ジャパン事業開始以降の官民を挙げたさまざまな取り組みの成果であることは間違いありません。ただし、JNTOのリリースがいうような「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」や「『日本再興戦略』改定014-未来への挑戦ー」などと仰々しく名付けられた、いかにも官報的な文面をみていると、安倍政権の数少ない成果として訪日旅行市場の拡大を持ち上げたい国交省、あるいは政権の思惑のようなものが感じられて、ちょっと引いてしまうところもあります。

メディアも、同じような印象を受けたからなのか、気がかりなことを報じています。

たとえば、産経新聞のサイトにこんな記事が出ていました。以下、転載します。

ビザ免除国の入国拒否者急増 タイ12倍、マレーシア18倍(2014.12.24)
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/141224/evt14122413320006-n1.html

昨年7月から査証(ビザ)なしで日本に入国できるようになったタイとマレーシアの入国拒否者数が急増していることが23日、法務省への取材で分かった。今年上半期(1~6月)と前年同期を比べると、タイで約12倍、マレーシアで18倍に増加。「観光立国」を目指す政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心にビザ免除などの入国促進策を進めているが、両国の入国拒否者の増加率は訪日者数の増加率を大きく上回っている。主に不法就労目的とみられ、入国者の利便性と同時に“水際対策”の重要性が浮き彫りになった。

同省入国管理局によると、今年上半期に日本の空港などで入国拒否となった外国人は、前年同期比35・8%増の1586人(速報値)。このうちタイは386人で前年同期の33人から約12倍に、マレーシアは54人で同3人から18倍に増え、他国と比べ増加率が飛び抜けている。

日本政府観光局によると、今年上半期の訪日外国人数(暫定値)は前年同期比26・3%増の約626万人。このうちタイは約33万人(同63・8%増)、マレーシアは約12万人(同62・5%増)。両国の訪日者の増加率自体が平均値を超えているが、入国拒否者数の伸び率は訪日者数の伸び率をはるかに上回っている。

同局は「昨年7月に始まったビザ免除措置の影響だ。過去に強制退去処分になったタイ人が『入国できるかも』と考えて来日したり、経済情勢のよくないタイの地方から不法就労するために来たりするケースが目立つ」と説明する。

不法入国者を選別するため、同局は指紋などの個人識別情報を活用。また入国審査時に、観光目的地が曖昧だったり、訪問先の電話番号が架空のものだったりした場合は問い詰めて「実は働きにきた」と白状させることもあるという。

政府は日本再興戦略の中で観光立国を重要な柱と位置づけ、2020(平成32)年の東京五輪開催までに「訪日外国人2千万人」を目指す。今年は既に過去最高だった昨年(1036万人)を上回り、11月には推計値で1200万人を超えた。ASEAN諸国を中心にビザ免除の措置を進めており、12月からはインドネシアのビザを免除、今後はフィリピン、ベトナムも対象とする方向で検討中だ。

外国人の労働問題に詳しい慶応大の後藤純一教授(国際労働経済学)は「ビザ免除で外国人の観光客が増える一方、不法就労が増える副作用もあるだろう。入国時のチェックと入国後の摘発をしっかりすることが重要」と指摘している。

◇用語解説

査証免除 外国人が日本に入国するには、原則的に本国出発前に日本大使館などで査証(ビザ)を取得する必要があるが、国家間で短期滞在者のビザを免除する取り決めをすることがある。現在、67の国・地域が対象となっている。

ここ数年間推進されたアセアン諸国に対するビザ緩和によって訪日外客が増えたことは周知のとおりですが、こうした事態が起こり得ることは、ある程度予想されたものでした。最初に観光ビザが免除されたタイについても、当初からこの問題が発生する懸念は指摘されていました。

タイのビザ免除で、むしろタイ政府側に不法就労再発の懸念があるらしい
http://inbound.exblog.jp/20666821/

ただし、この記事は読者にミスリードを与えかねない内容を含んでいます。ここで「タイ12倍、マレーシア18倍」という数字を上げているのは、あくまで「ビザ免除国の入国拒否者」であって、不法滞在や就労といった話でありません。入国前に水際で差し止めた人数に過ぎないのです。しかも、増えたといっても、「タイは386人で前年同期の33人から約12倍に、マレーシアは54人で同3人から18倍」と、小さな母数を高い倍率にみせることで印象操作をしているようにも思えます。

むしろ気がかりなのは、ただでさえ日本の入国審査に要する時間の長さが外国客からコンプレインされている現状から、それに応じて短縮化を進めている入国管理局の関係者のプレッシャーでしょう。

昨年、中高校生向けのキャリア教育書の仕事で、羽田の入国審査官の若い女性にインタビューしたことがあります。そのとき、彼女が話していたのは、この仕事でいちばん重要かつ神経を遣うのは、入国申請する人物に不審なところはないか、その場で見抜き、あやしい場合は素早く上司に報告し、別室に連れて行く一連の流れの中で、列を並ぶ他の外国人客を待たせないようスムーズに対処することでした。

たとえば、こんな事例があるそうです。「90日間以内の観光目的であれば、ビザ免除される外国人でも、よく見たら前回も90日滞在、その前も90日という長期滞在が入国スタンプの日付けから判明した場合、本当に観光目的の来日なのか、日本で不法就労しているのではないか、という疑いが生じます。なかには、偽造パスポートを所持しているケースもあり、おかしいなと思ったら、特別審議官という専門の担当官を呼んで、別室で詳しく調べてもらいます」

こうした人物の中には、いわゆる「スルーガイド」が含まれるものと思われます。ノービザで許される日本の滞在期間中、何度もツアーの添乗ガイドを繰り返し、バスの中で物品販売などをして売上を手にしながら、確定申告もしないで帰国してしまう連中のことです。

1日何百人という外国人の入国審査を行う審査官に求められる集中力は相当なものだと思います。経験がものいう世界とはいえ、神経をすり減らす仕事といえそうです。

しごと場見学! 空港で働く人たち
http://www.perikansha.co.jp/Search.cgi?mode=SHOW&code=1000001632

これから先、ますます訪日外客が増えていくことを思うと、入国審査官の仕事の現場も大変になることはあっても、軽減されることはないでしょう。いまやどこの業界でもそうですが、入国審査官も人材不足が問題になっているそうで、求人に力を入れていると広報の方は話していました。

受入態勢の整備という意味でも、政府が予算をつけなければならない方面は多岐にわたっていると思います。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-26 12:06 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 12月 13日

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい

今年、韓国を訪問する中国人旅行者が600万人を超えるそうです。

中国政府にとって自国の旅行者をある特定の国に大量に送り込み、多額の消費をさせることには、きわめて政治的な意味があります。端的に言えば、中国客の訪問が経済的な恩恵をもたらすことで、当該国・地域に政治的な譲歩を要求できると考えているのです。これは社会主義国の国策としての観光の位置付けからいって当然の考え方です(いまさら、中国を社会主義国なんていうのもなんですが、すべてを国家が管理しようとする体制ではそれがふつうの認識なのです。それがどれだけ可能かどうかはともかく)。同じことは、中国と微妙な関係にある香港や台湾、そして日本に対してもいえます。

ところが、中国と蜜月関係にあると思われていた韓国でも、中国客が増えても必ずしも大歓迎とはいえないようです。最近、ネットでこんな記事を見つけました。

韓国の旅行業界が苦境を訴える「中国人観光客を受け入れても儲けが出ない」FOCUS-ASIA.COM 12月2日
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/economy/403056/

「韓国旅遊発展局によると、今年9月末現在の中国人観光客数は約468万人に達し、前年同期比36.5%増となった。だが、中国人客が支払う旅行代金はすべて中国の旅行会社に吸い取られ、韓国でも華僑や朝鮮族の経営する旅行会社がほぼ独占。儲けが少ないことを理由に、東南アジア客向けに切り替える韓国人経営の旅行会社もあるという。1日付で韓国紙・中央日報の中国語サイトの情報として、中国旅行新聞網が伝えた。

韓国人が経営する旅行会社は、中国人観光客増加の恩恵をほとんど受けていないのが現状だ。10数年前から外国人向けの旅行会社を経営する鄭さんもその1人。周りからは「中国人客が増えて、大儲けでしょう」と言われるが、実態は全く違う。「華僑や中国の朝鮮族が経営する旅行会社が大幅に増加している。とてもかなわないので、中国人客を取り扱うのを止めざるを得ない状況だ」という。

鄭さんによると、中国現地で中国人観光客を集める旅行会社は、客を送り出すだけで旅行費用を支払わない。こうしたスタイルがすでに定着している。中国人観光客が増えても、儲けはほとんどないため、鄭さんは「東南アジア客向けに切り替えようと思っている」と話している。

韓国旅行業協会(KATA)によると、韓国で中国人客の受け入れが最も多い旅行会社10社のうち、韓国人が経営するのは3社のみ。残りはすべて華僑と朝鮮族が占める。韓国企業は言葉の面で、華僑や朝鮮族にはかなわない。朝鮮族の旅行会社代表は「中国人客を受け入れるには、中国現地の旅行会社との協力が必要。お客様と接する際も、冗談を交えながらコミュニケーションをとることが大切だ。韓国人が中国語を使ってここまでやるのは大変だと思う」と指摘している」。

これを読んで、韓国でも事情は日本と変わらないことがわかりました。韓国で華僑や中国朝鮮族が中国客の手配を仕切っているように、日本でも中国団体客の手配を行っているのは、在日中国人を中心にしたアジア系外国人の業者だからです。彼らは薄利多売をものともせず、自国の観光客を受け入れていますが、日本の旅行会社は採算が合わないため、放棄しているのです。

同じことは、台湾でもいえるようです。

台湾では民進党から国民党に政権が移った08年7月から中国人観光客の受け入れが始まっていますが、10年以降、中国客の数はそれまで不動のトップだった日本客を上回り、12年には延べ259万人に達したそうです。

ところが、台湾の観光地はどこも中国人観光客で混み合ってはいるものの、彼らの手配を扱う旅行会社からすると「中国人観光客ビジネスは、やるほどに赤字」だそうです。

この点について、ジェトロの研究員が以下のレポートを書いています。

「中国人団体観光客ビジネス」の歪んだ構図
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Overseas_report/1307_kawakami.html

なぜ中国客が増えても大歓迎とはならないのか? こう述べられています。

「台湾のメディアでは、中国人観光客の急増とともに、極端な低価格で団体ツアーを受け入れ、観光客を店から店へと連れ回す低品質のツアーが増加していること、商店から旅行業者へのリベート率が4-6割にも達していることが報じられている。また「中国からの観光客を受け入れるほど赤字になる」と嘆く旅行社の声や、「観光客にむりやり買い物をさせている」と悩む旅行ガイドの声も紹介されている」。

その理由に「超低価格のツアー」があるとして、以下のように説明されています。

【超低価格ツアーの “事業モデル”】
中国人団体客の台湾観光の標準旅程は、7泊8日での台湾一周旅行である。報道から得られる情報を整理すると、台湾向けツアーを扱う業者間の取引構造は以下の通りである。

中国側では、各市・省ごとに、中国旅游局から指定された旅行業者が台湾向けのツアーを組織する。この送り出し業務を行っているのは、いずれも国営系の旅行業者である。他方、台湾では、民間の旅行業者が、ツアーの受け入れを行う。

送り出し側(「組団社」)と受け入れ側(「接待社」)の交渉力は、圧倒的に後者に不利である。送り出し側が、各地域の旅行需要を寡占的に支配しているのに対して、台湾では約400社の旅行業者がツアー客の受け入れをめぐって激しい競争を行っている(林哲良[2013b])。「接待社」間での激しい競争により、中国の「組団社」が台湾の「接待社」に支払う費用は、かつてのツアー客一人当たり約1800元から、最近では300~700元にまで下がっているという(林倖妃[2012])。

だが、このような低予算で旅行者の宿泊費・食費・交通費等をまかなうことはほぼ不可能である。多くの「接待社」は、コスト割れを覚悟で中国側「組団社」に低価格を提示し、中国からの観光客の受け入れにしのぎを削っているのである。

※実は、この点については、2013年中国で「新旅游法」が施行され、若干の改善がされたことになっています。ただし、中国全域での実態はどうなっているかについては大いに疑問です。

ここで考えなければならないのは、中国客の訪問で誰にお金が落ちているか、ということです。

確かに、日本でも中国客がバスで訪れたり、個人客が足を運ぶ大都市圏の百貨店や量販店、ショッピングモールなどの小売業者の一部には落ちていることでしょう。ところが、中国客の宿泊や交通、観光の手配を担っている事業者たちにはそれほど利益をもたらしていない。そのため、韓国や台湾では中国客を敬遠する声が出てくるのです。面倒で手のかかる手配業務を一手に担わされているのに、おいしいところは一部の小売業者にみんな持っていかれているというわけです。

ここ数年、上海を中心に日本国内の旅行業者の手配を必要としない個人旅行客が増えており、その傾向はいいことだと思うのですが、中国の本当のポテンシャルは巨大な内陸にあるわけで、団体客が増えることはあっても減ることはないのです。団体客の存在がある限り、この問題は解決しないでしょう。

中国の台頭と東アジアの経済のグローバル化がもたらすひとつの典型的な現象として、日本や韓国、台湾は中国の業者と消費者に直接向き合わなければならない。そういう意味で、我々周辺国は同じ環境にあることを理解しなければならないようです。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-13 14:51 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 12月 13日

「原因は日本にあると、怒られっぱなしでは観光する気にならない」(二階元経産相)

日韓関係の悪化が両国の観光業界に影を落としています。特に目立つのが、日本から韓国への観光客の減少。円安・ウォン高も理由のひとつでしょうが、関係悪化に日本人客が敏感に反応している面も大きいといえるでしょう。

訪韓日本人は、2010年303万人、11年329万人、12年352万人と順調に増えていたものの、当時の李明博大統領が12年8月に大統領として初めて島根県竹島(韓国名:独島)に上陸すると、同年後半から減少し始めたといわれています。13年には275万人と前年度比21.9%減。14年も歯止めがかかっていません。

一方、韓国からの訪日客は夏ごろから回復しています。その対照ぶりが、日中関係の悪化で日本人が中国に行かなくなったのに、訪日中国客が増えている状況と似ているのです。

毎日新聞2014年7月5日によると、6月2日日韓の旅行業界関係者がソウルで会合をした際、全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博元経産相がこんな不満をぶつけたといいます。

「現状の日本と韓国の関係は異常だ。全て原因は日本にあると、怒られっぱなしでは観光する気にならない」

同紙によると、二階氏の怒りには前段があったようです。前日ソウル市内で開かれたNHK交響楽団のコンサート会場周辺で、韓国の市民団体が二階氏を名指しして歴史問題に関する日本への要求をアピールしたためだとか。文化交流の場で政治的な主張が行われたことに憤慨を禁じ得なかったそうです。

結局その日の会議では、韓国側が8月に日本の関係者をソウルに招待し、観光関連のシンポジウムの開催を提案したようです。

日本側もこれに応じて、日本旅行業協会(JATA)は「日韓国交正常化50周年プロジェクト」を立ち上げました。その点について、以下のネットの記事があります。

日韓交流拡大へメガFAM、第1弾520名-数年で700万人へ 2014年12月9日
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=64855

それによると、14年12月から1000人規模の日本の旅行業界関係者を数回に分けて韓国に訪問させる計画「日韓交流拡大のためのメガファムトリップ(視察旅行)」を開始したそうです。まずは旅行業界同士の交流が大事というわけです。

それにしても、「親中派」として知られる二階氏が思わず放ったひとこと、日本人の心情をこれほど素直に吐露しているものはないのではないか。思わず苦笑してしまいました。あるいは、この方、中国には強くモノ申せなくても、韓国になら言えるのだったりして…。

はたして改善はなるのでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-13 13:48 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 12月 13日

ラーメン博物館の「グローバルスタンダードラーメン」って何?

ここ数年、国内のいろいろな観光施設が訪日外国人対応を進めています。

たとえば、横浜のラーメン博物館。ここは早い時期から海外向けのプロモーションなども積極的に行ってきたことで知られています。

ラーメン博物館「世界化」戦略展開中

新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)が「世界化」戦略を次々と打ち出している。朝日新聞2014年11月6日によると、フレンチテイストのラーメンを提供するNARUMI-IPPUDOが10月末にオープン。目玉はブイヨンと和だしを融合させたスープにローストビーフやレッドオニオンをトッピングした「コンソメヌードル」(期間限定)だ。

昨年7月からムスリムやベジタリアン向けの「グローバルスタンダードラーメン」も開発。肉や魚、アルコールをいっさい使わないラーメンを館内9店舗中6店舗で提供している。開館20周年を迎えた同館は、2000年代初め頃から外国人客の集客に取り組んできた。タイなど東南アジア市場は観光ビザの緩和や円安の影響で好調。13年の外国人客数は過去最高の15万人を突破した。

「グローバルスタンダードラーメン」とは、ずいぶん仰々しいネーミングですが、いろいろやりますねえ。同館は将来海外展開も検討しているそうです。

こういうのもありました。

トヨタ産業技術記念館、過去最高の人出

トヨタ自動車グループのものづくりの歴史を伝える博物館「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)が過去最高の人出だ。朝日新聞2014年11月24日によると、同館の来場者数は開館後10年間は年10万人程度にとどまっていたが、05年の愛知万博効果で30万人4000人に跳ね上がった。その後は再び伸び悩んだが、13年は30万9000人と過去最高となった。14年は10月末時点で31万1000人という。

好調の原動力は外国人観光客だ。自動織機の実演展示がトリップアドバイザーで話題になり、14年の「外国人に人気の日本の観光スポット」で28位に選ばれた。東海地方では、早くから産業技術や歴史を伝える「産業観光」に力を入れていた。愛知万博をピークに尻すぼみとなっていたが、訪日外国人観光客の増加という新たな追い風が吹いている。

最近、訪日観光関連のニュースが増えていると実感します。こういう記事を読むたび、近未来の日本は日本人だけでなく、外国人と一緒に旅を楽しむ国になっていくのだなと思います。
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by sanyo-kansatu | 2014-12-13 12:28 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 10月 24日

円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大

10月22日に発表された恒例の日本政府観光局(JNTO)の月別訪日外客数統計をうけ、朝日新聞2014年10月23日はこう報じています。

2014年9月訪日外客数統計
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/141022_monthly.pdf

「円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大」

「日本政府観光局が22日発表した4~9月の訪日外国人は686万人で、過去最高だった前年の同じ時期を25.3%上回った。この1年で1ドル=98円台から107円前後に進んだ円安を追い風に、9月は韓国、中国、米国など16の国と地域からの訪日客が過去最高に。買い物目当ての人が多い中国人客が、全体の数字を押し上げた」

「外国人の増加は、4月に消費税率が8%になって鈍りがちな国内消費には、数少ない明るい材料だ」

「日本銀行の試算によると、近畿地方では今年度、百貨店の売上高に占める外国人客の割合は3.6%、家電量販店が3.4%で、いずれも11年度の2倍以上になったという」

「だが、外国人客の恩恵は全国どこでもとはいかないようだ。日銀が各支店に聞いたところ、「観光客の数が増えているのは一部にすぎない」(釧路、新潟、甲府支店)との声があった」

記事のポイントは、①円安を背景に今年も過去最高の訪日外客数となりそうなこと。②一方、外客の消費力がとかく喧伝されるわりには、百貨店や量販店などでも外国人比率はようやく3%越えした程度であること(もちろん、国内消費が減っているぶん、それを補ってくれる存在という意味で期待されるのは当然のことですけれど)。③恩恵を受けているのは、全国でも一部の大都市圏に限られていること、でしょうか。

さらに、同紙はこう述べています。

「貿易統計(速報)では、輸入額が輸出額を上回る貿易赤字は上半期としては過去最大の5兆4271億円だった」

「原発が止まって火力発電の燃料の輸入量が増えた一方で工場の海外移転が進み、円安が追い風になるはずの輸出量が伸びず、赤字が膨らむ」

「円安明暗くっきり」とはこのことです。

「日本と海外のお金の出入りの全体像を示す財務省の国際収支をみると、今年4~8月に訪日外国人が日本で使ったお金は8千億円余りで、10年前より5割超増えた。日本人旅行者が海外で使ったお金と差し引く「旅行収支」はこの10年で1・1兆円余り改善した」

ここでいう「1・1兆円」は、いまだに外国人が日本で使うお金より、日本人が外国で使うお金のほうが多いという意味です。

「同じ時期の貿易収支は4.9兆円の黒字から4.5兆円の赤字に9兆円も悪化。日本と海外のお金の出入りの帳尻を示す経常黒字大きく減らす原因となっている」

はたして円安は日本経済にとっていいことなのか? 誰の立場でみるかによっても結論は変わってくるのでしょうが、訪日外国人の増加の恩恵を経済効果としてみるだけでは判断を誤ると思います。むしろ円安でも輸出が増えない現在の日本経済の構造問題について議論を深めてもらいたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2014-10-24 09:29 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 02月 19日

やれやれ「中国客が都内の質店でブランド品を転売目的で買い付け」だってさ

これまで中国人観光客の“爆買い”の光景を繰り返し報じてきた朝日新聞が2月13日の夕刊で「中古買い付け 万来中国人 『日本なら本物』ブランド品求めて東京へ 転売目的 高額まとめ買い」と書いています。
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「東京都内の中古ブランド品店で、常連の中国人が増えている。転売目的の買い付け人だ。日本人の鑑識眼に信頼を寄せ、時計やバッグを買い込んでいく」。

「東京・歌舞伎町近くの中古ブランド品店。1月下旬の平日午後、中国・遼寧省出身の男性(25)が、中古のエルメスの高級バッグ「バーキン」を買い、即時決済できる中国のデビットカード「銀聯カード」で139万8千円支を払った。北京に持ち帰り、1割弱の利益を上乗せして売るという。男性は約1年前に買い付けの仕事を始め、毎月のように来日する。今回は千葉県内のホテルに3泊し、新宿のほか、銀座や池袋など複数の中古ブランド品店をはしごし、高級バッグや高級時計「ロレックス」など数千万円分を買い集めた」。

その男は「日本なら海賊版をつかまされない。持ち帰れば確実に買い手がつく」と話したそうです。

「買い付け人は中国人を中心に、都内で1年ほど前から目立ち始めた。新宿駅東口にある大黒屋新宿本店では、中国人を中心とした外国人への売上が全体の5割を超え、増え続けている」。

こうしたことから、大黒屋の「従業員は、無料でメールができるLINE(ライン)を駆使し、客の注文に応じる。時計なら数点~十数点を数百万~数千万円でまとめ買いする中国人が多いという」「大黒屋の小川浩平社長は『日本では、有名ブランドの中古品が多く流通していて、お目当ての本物をほぼ確実に購入できる。真贋鑑定に厳しい日本の質店への信頼は高い』と胸を張る」のだとか。

「日本製への信頼を意味する『メード・イン・ジャパン』になぞらえ、買い付け人の間では最近、日本で鑑定された品がこう呼ばれている」「チェックド・イン。ジャパン」。

やれやれ……。まだこんなことやっているんですね。

訪日中国人に限らず、都内の特に夜のお店で働く華人女性たちが、大黒屋やコメ兵(こちらのほうが有名かも!)といった歌舞伎町近くの質店で中古のバッグや時計、化粧品(こちらは中古ではありません)をよくまとめ買いしているという話はずっと前から聞いていました。おそらく彼女たちの情報が中国に口コミで広がり、買い付け目的で来日する中国人が現れたということでしょう。
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これは数年前、日本の骨董屋に大挙して中国人が押しかけたのと同じ話でしょう。彼らは戦前期に日本に持ち込まれた中国の骨董(絵画や書、清朝の陶器など)を全国の骨董店を訪ねて買い漁り、中古ブランド品と同様、利益を上乗せして中国で転売していたのです。

なぜメイドインジャパン好きの中国人がメイドインチャイナの骨董を高値で買うのか?
http://inbound.exblog.jp/19743450/

東日本大震災の起こる直前の2011年2月下旬、東京ドームホテルで開かれた中国骨董オークションの会場に足を運んだことがあります。ホテルの外に横付けされた何台もの大型バスから降りてきた中国の買い付け人たちは、オークションで競り落とした高額な骨董を日本円のキャッシュで支払っていました。なかには数千万円相当の品もあり、それを競り落とした中国の中年男性は、見せびらかさんばかりの手つきで1万円の札びらを切って、若い日本の女性スタッフに手渡すのです。海外では「品がない」と嫌悪される、この「札びらを見せる」という行為が、中国人にとっては信用においても面子においても重要だからですが、まさに俗物の権化のように見えてしまいます。
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それにしても、一部の日本のメディアは、この手の話題がお好きなようです。日本人のサラリーは減る一方なのに、中国人はいまや金持ち! 日本は追い抜かれたとばかりに、ことさら彼らの破格の購買力を強調してみせるというメディアの送り手たちの自虐的、あるいは屈折した心理にはいたたまれない気さえします。こんな風に中国人のふるまいを報じてみても、所詮「好ましからざる中国」イメージにつながるネタの一ジャンルにしかならないわけで、後味が悪いですね。

考えてみれば、戦前期には多くの華人を通じて中国骨董が売り払われたからこそ、多くの品が日本にあるわけで、今度はそれを買い戻しに来ているという話。モノづくりではなく、すでにあるモノの価値を理屈をつけてつり上げ、上乗せしたうえで転がせ、利益を得るという商いの作法は、中国人のDNAに刻まれたごく自然な営みなのでしょう。そういう彼らが、今度は欧米産の中古ブランド品に目を付けたということです。

ここは「よくやるよね」とは突き放してみるほかありません。

そんな彼らにこそ、「エコノミック・アニマル」の称号を授けたいと思います。せいぜいたくさん買い上げてもらいましょう。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-19 10:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(1)
2014年 02月 09日

東京オリンピックとインバウンド、期待と懸念

東京オリンピックの開催が決まり、訪日外国人旅行市場(インバウンド)の行方に関心を寄せる人たちの期待感が盛り上がっています。

「業界『五輪特需』期待」(毎日新聞2013年9月10日)では、「2020年の夏季五輪開催が東京に決まり、産業界は『五輪特需』に大きな期待を寄せる。競技施設建設や交通網充実などのインフラ需要に加え、外国人観光客増加も見込めるからだ。また、選手村が建設される東京湾岸エリアは開発ブームが加速する期待もある」と報じています。

同紙は、「東京五輪開催による主な業界の経済効果」として、以下のSMBC日興証券の推計値を挙げています。

■東京五輪開催による主な業界の経済効果

サービス産業(宿泊、観光、外食など) 7667億円
食料品 4968億円
建設業 3106億円
繊維製品 2958億円
電気機器(家電、メーカーなど) 1392億円
小売業 663億円
不動産業 629億円
(SMBC日興証券の資料による)

そのうち効果が大きいと見込まれる「建設・不動産」「観光・宿泊」「スポーツ用品」の3業界を取り上げたうえ、「観光・宿泊」産業について、「五輪開催時に観戦ツアーなどで訪日外国人が大幅に増えるのは確実で、観光業界では『最大のチャンス』(プリンスホテル)と早くも顧客獲得作戦を練り始めている」と報じています。

月刊レジャー産業2014年1月号では、特集「東京オリンピックへの期待―成熟社会における『インフラ開発』『インバウンド』戦略のあり方」を組み、同誌が扱う2つの関連業界の今後について、特集リードの中で以下のように述べています。長いですが、よく整理されていると思うので、書き出します。
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月刊レジャー産業
http://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/

「2014年が幕を開けた。

いよいよ、6年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けたさまざまなプロジェクトが動き出す。

オリンピックスタジアムとして、開・閉会式や陸上競技などの会場となる国立霞ヶ丘競技場(国立競技場)の改修計画が議論を呼び、さらには猪瀬直樹・東京都知事の疑惑が勃発したことで2月に予定される組織委員会立ち上げに混乱が見られるなど、一部に懸念もあるが、官民あげた準備の動きは徐々に活発化していくだろう。

2020年7~8月にかけて17日間開催されるオリンピックと、8~9月にかけて13日間開催されるパラリンピックは、期間中はもとより、準備期間においえてもその社会的・経済的な効果が期待されている。このうち、数量化が可能な経済効果は約3兆円を見込む。競技施設をはじめインフラ整備に関わる建設・不動産や、対人接客に直接的にかかわる観光・飲食・セキュリティなど各種サービス業などを中心に、期待をかける事業者は多い。

ただ、忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である。

そこで本特殊では、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う効果を踏まえ、特に、『インフラ開発』と『インバウンド』の拡大を切り口に成熟社会で開催される世界的イベントへの取り組みについて探ることとした。

『インフラ開発』については、厳しい財政事情が続くなか、国や地方自治体、民間事業者が密接な連携を図ることで、民間の自由なアイデア・知恵・技術・資金などを活用したPPP(Public Private partnership)導入の可能性を模索していくことが求められる。東京は招致に際して、基金として約4000億円を積み上げている点を強調し、盤石な財政基盤が評価されたことは確かである。しかし、開催に伴う関連施設や道路などのインフラ整備は、都内にとどまらず首都圏を中心に活発化していくことが見込まれるうえ、老朽化し、更新時期を迎えたインフラの再構築も全国的に喫緊の課題であり、PPPの必要性は高まっているといえる。

一方、日本が世界各国に比べ立ち遅れている外国人旅行客の誘致=インバウンド拡大については、東京オリンピックを飛躍に向けた大きなチャンスにしたい。都内をはじめ首都圏でのホテルの新設、改修はすでに動き出し、旅行・小売業者も受け入れ体制の拡充を進めているが、多言語対応や決済システムの整備といったソフト面を中心に、そのほかの観光・レジャー・サービス事業者の対応強化も急がれる。インバウンドが拡大することで、ビジネスも含めた人的交流も活性化し、さらに魅力ある国際都市へと成長できるはずである。

東京の、そして日本の潜在力を引き出す大きなチャンスを得たことを肝に銘じ、観光政策を担う行政と、最前線でサービス提供にあたる民間事業者が一体となった取り組みが推進されることを期待したい」。

まったくおっしゃるとおりで…という内容ですが、同誌の挙げる「インフラ開発」と「インバウンド拡大」に対する関心の大きさを、報道の扱いで比べる限り、前者のほうが高い気がします。経済規模が明らかに違うだけでなく、ハコモノづくりのほうが話がわかりやすいからでしょうけれど。

「20年五輪、東京決定 羽田・成田発着を拡大 インフラ整備前倒し 鉄道・高速道路も」(日本経済新聞2013年9月10日)では、「首都圏の交通インフラの整備」を取り上げ、「羽田と成田の両空港で発着できる便数を増やすため、航空機の東京都内の上空飛行を解禁したり、滑走路を増設したりする案が浮上。政府は高速道路の整備や更新も急ぐ。訪日外国人の急増や経済活動の盛り上がりを見据え、東京の国際都市としての地位向上にもつなげる考え」と報じています。

目玉は「羽田の滑走路増設や成田と羽田を結ぶ『都心直結線』の整備」。特に後者は「東京・丸の内地区の地下に新東京駅をつくって両空港をつなぎ、空港までの時間を大幅に短縮する計画」で、これができると「東京から羽田まで平均30分前後かかるのが18分に、成田には55分程度かかるのが36分に短縮する」といいます。

さらに、「東京湾岸 カジノ構想再燃」(産経新聞2013年10月8日)では、「観光客を呼び込み大きな経済効果があるとされるカジノ構想が熱を帯びてきている」と報じています。

同紙は、報道当時の猪瀬都知事が提言した「カジノのメリット」として以下の4点を紹介しています。

■猪瀬都知事の考えるカジノ合法化によるメリット

①レジャーを含む産業が増え、課税ベースが拡大
②非合法カジノによるブラックマーケットを防止
③地方の独自財源の創出
④公営ギャンブルの収支の使途の見直し

「複合観光施設 どう整備 カジノ中核 国に管理委 超党派で新法案提出へ」
(日本経済新聞2013年10月21日)でも、「カジノを中核」とした「複合観光施設(Integrated Resort=IR)」を推進する動きが活発になっていることを報じています。

IRとは、「会議場や展示会場、宿泊施設やカジノ、ショッピングモールなどを含む複合施設」のこと。「日本の展示会場の面積は米国や中国などに比べてかなり狭い。さまざまな施設を複合的に整備して観光客を呼び込み、雇用や税収の拡大につなげる考え」だといいます。

課題となっているのが、カジノの「負の側面」です。「賭博を禁じる刑法との関係だけでなく、犯罪の温床になるのではないか。未成年への悪影響はないのか、賭博依存症になる人が増えないかなどの懸念」があるのです。

そのため、超党派の国会議員連盟が提出するIR法も、「2段階で整備する方向だ。現在準備中のIR推進法案は、IRの位置付けや理念などが盛り込まれる予定。規制や監督、カジノ運営のより具体的な制度は、IR推進法案の施行後2年以内に制定するIR実施法で定める」(2013年6月、日本維新の会が提出した法案の場合)といいます。

「負の側面」の拡大を防ぐために、民間事業者と「反社会勢力とのつながりがないかなど厳しくチェック」し、「犯罪者や未成年者の入場を防ぐ仕組み」も導入。「賭博への依存症を防ぐための教育やカウンセリング」もアメリカの制度を手本に検討されています。

カジノ誘致の動きは、東京以外にも沖縄や大阪でも検討されているようです。

※その後、13年12月5日にカジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案が国会に提出されました。

カジノ法案:自民党など国会提出-1兆円市場実現に向け前進
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MX6O616JIJX401.html

さて、こうして半世紀ぶりの東京オリンピック開催への期待が高まるなか、「五輪の効果は本当にいいことだけか」(日本経済新聞2013年9月28日)という観点も当然のことながら必要でしょう。

同紙によると、「2020年東京五輪までの経済効果は試算方法によって大きな幅がある」と指摘して、以下の試算を挙げています。

試算者/経済効果/ポイント
東京都(五輪招致委員会)/2兆9609億円/施設整備や運営費などの波及効果に絞って試算。雇用は15万人増
SMBC日興証券(牧野潤一さん)/4兆2000億円/建設、観光、飲食などが活性化。大企業経常利益を1986億円押し上げ
日本総合研究所(山田久さん)/6兆7780億~11兆7780億円/ロンドン五輪を参考に観光客数などを推定。雇用は40~70万人増
大和総研(熊谷亮丸さん)/10超円を超す可能性も/社会インフラ再構築や観光、消費者マインドの貢献なども見積もる
大和証券(木野内栄治さん)/150兆円/副次的な効果を含む。社会インフラ再構築55兆円と観光振興95兆円

ここまで開きがあると、まじめに聞く気が失せてしまいそうになりますが、東京都の五輪招致委員会がいう「堅めに見積もっても経済効果は3兆円」という数字の裏付けはこういうことだそうです。

「大会期間中の来場者は延べ約1千万人に達する見通しで、1日当たりで最大92万人が訪れる。海外からの観光客も大幅に増え、ホテルやレストランは混雑が続くとみられている」。さらに、「建設工事が増えると、鋼材やコンクリートの新たな需要が生まれる。鋼材を作るにも鉄鉱石や石炭、エネルギーが必要だ。外国人観光客にも土産用に日本製の家電製品が売れるなどの効果が見込める。建設や製造、観光で働く人の所得が増えれば、それが再び国内消費に回る。それらをすべて足し合わせて」出したもの。

同紙では、「景気が良くなるのはいいが、その反動も大きくなる」と、過去8大会の開催国の成長率が五輪開催の翌年減速していることを指摘。1964年の東京五輪の後も「昭和40年不況」があったことから、「五輪特需で底上げされた景気を日本経済の“実力”と勘違いして投資を増やすと問題」ではないか、としています。「この際だから」というマインドがあだとなるというわけです。

開催まであと6年。この時期の金融関係者による盛りすぎ経済効果の話は、自己都合で言ってるようにしか見えませんけれど、開催後の落ち込みが必然と考えられる以上、ビフォーアフターを通じた一貫した理念や戦略が必要で、今後は「月刊レジャー産業」誌がいうように、「忘れてはならないのは、『成熟社会』日本・『成熟都市』東京において開催することの意義である」という指摘をどう具現化するかを考えていかなければならないのでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-09 13:24 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)