カテゴリ:東京インバウンド・スポット( 70 )


2017年 04月 25日

「澤の屋」に次ぐ都内人気旅館の支配人が語る民泊被害とこれからの宿経営

駅前で偶然見かけた外国人旅行者が縁で、豊島区椎名町のユニークなゲストハウス兼カフェ「シーナと一平」を訪ねた話を前回書きましたが、今度はそこで聞いた「トリップアドバイザーの都内の旅館人気ランキングで老舗の澤の屋に次ぐ2位」という宿をその足で訪ねることになりました。

立ち食いうどん屋の外国人と豊島区椎名町のインバウンドの話
http://inbound.exblog.jp/26812925/

ところで、豊島区椎名町駅周辺は一見なんの変哲もない住宅街ですが、かつて「池袋モンパルナス」と呼ばれたアート関係者が多く住む町でした。豊島区のHPによると「1930年代、豊島区西部旧長崎町を中心に、絵や彫刻を勉強する学生向けにアトリエ付借家群が生まれました。これは、アトリエ村と呼ばれています」とのこと。
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池袋モンパルナス
http://www.city.toshima.lg.jp/brand/montparnasse/index.html

学生時代にある講義を受けて親しくなった先生が椎名町に住んでいて、お宅に呼ばれて食事会をしたことがあったのですが、確かにこの界隈には古い文化住宅がかつては多く残っていました。いまは、実際のところ、区がいうような面影がどれほど残っているかわかりませんが、駅を降りると、東横沿線のような気取った感じのない、温もりのある商店や食堂があって、悪くないんです。

そんな商店街を抜け、静かな住宅街の中にその旅館はあります。「ファミリーイン西向」といいます。

ファミリーイン西向
http://www.familyinnsaiko.com/
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正直なところ、たどりつくのにずいぶん道に迷いました。日本の住所表示は、海外のようなストリート名+番号ではなく、区画(丁・番地)によるため、たとえ規則性があるにせよ、初めてその町を訪れた人にはわかりにくいものです。よくこれで外国人旅行者がここまでたどり着けるものだと思ったほどです。

ようやく見つけたと思ったら、玄関の前に支配人の大野政道さんがいたので、声をかけることにしました。あとで知ったのですが、この旅館にはこれまでメディアの関係者や自分も同じような外国人向け旅館を始めてみたいという人が話を聞きに訪ねてきたので、いきなり声をかけられるのは慣れているのだそう。

たとえば、ネットで以下のような記事が見つかりました。

「日本最強のおもてなし」は池袋近郊にあった
無名の小さなホテルが、外国人に大人気のワケ(東洋経済オンライン2015年05月01日)
http://toyokeizai.net/articles/-/68145

家族経営のぬくもり ファミリーイン西向(毎日新聞経済プレミヤ2015年12月24日)
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20151221/biz/00m/010/020000c

ファミリーイン西向を紹介する記事のポイントは、旅行者による口コミサイトのトリップアドバイザーで無名の旅館が人気上位にあることを知り、その秘密を探りにいくというものです。で、その理由は「池袋まで1駅」という立地と「困ったらすぐ助けてくれるサービス」。ん? これが「日本最強のおもてなし」? 単にそういう話だけではないんじゃないでしょうか。

これらの記事は、日本を訪れる外国客が1年で600万人以上増えた2015年のものでした。この年、45年ぶりに訪日外国人の数が日本人海外旅行者数を越え、大都市を中心にホテルの客室不足が話題となっていました。

大野さんに客室や共同風呂などを見せてもらった後、少し話を聞きました。

現在、同旅館の客室は14室。すべて和室の畳敷き。平均単価は1名7000円ほど。開業は6年前で、昭和40年代に建てた自宅の改装にあたり、何か新しいことを始めてみようと考えた。椎名町界隈には単身者向けのアパートやマンションが多いので、同じことをやってもつまらないし、何よりかつては自宅の前の通りも商店街だったことから、そのにぎわいを残したいという思いが、外国人向け旅館を始めようと思った理由だといいます。日本人相手にこの町で旅館をつくっても仕方がないので、最初から外国人向けをつくるつもりで始めたところ、いきなり東日本大震災が起きて大変だったけれど、すぐに外国客は急増したそうです。

大野さんが最近懸念しているのは、椎名町界隈でも急増している民泊だといいます。近所でも、マンションの一室で民泊を始めたオーナーがいるそうで、客足に影響がないとはいえないといいます。豊島区ではまだはっきりした方向性が出されていないのです。

こんなひどいこともあったそうです。Airbnbに同旅館に似た名前をつけて、マンションの一室を民泊として運営しているオーナーが近所に現れたそう。部屋の写真もよく似ていて、日本をよく知らない外国人ならファミリーイン西向と間違えても仕方がないほどだったといいます。大野さんは繰り返しAirbnb側にクレームを入れたところ、ようやく削除されたそうですが、「彼らはこんなやり方を平気でするんだな」と呆れたとか。

「オリンピックまであと3年で投資を手早く回収してしまおうというような考えなんだろうけど、宿泊業はそんなに簡単じゃない」と大野さんはいいます。多くのホテルや旅館関係者が、安易に民泊を始める関係者に批判的になるのも当然でしょう。

だいたい「訪日外国人は東京オリンピックの2020年までは増える」などという俗説が大手を振っているのがおかしな話です。オリンピックはあくまで日本の都合であって、これまで訪日客が増えてきたのは、オリンピックとはまったく関係ない理由からです。その意味では、国際環境などの外的要因によっては、オリンピック前に失速してしまうかもしれませんし、実際のところは、訪日客の動向は、今後もアップダウンはあるものの、基本的にしばらくは増加基調にあることは変わりません。増えているのは、日本側の事情からではなく、海の向こうで大きな環境の変化が起きているからです。だからといって、政府目標の「2020年までに4000万人」にどれだけ実現性があるのかわかりませんけれど。

2015年当時、客室不足が騒がれた大都市圏の宿泊事情が、昨年夏頃から少し落ち着いてきたという話をよく聞きますが、その理由はズバリ、民泊利用者の急増があると指摘されています。外国人旅行者の中には、安ければ施設はいまいちでもかまわないという人たちは多くいます。訪日客急増とホテル代の高騰で、緊急避難的に民泊に流れた経緯があります。当時、民泊は新しもの好きの流行という面がありました。

その国の住宅事情を反映する日本の民泊のクオリティは、世界的にみると最低ランクの評価であることは否定できません。とにかく日本の物件はワンルームが多く、狭すぎるのです。でも、日本を訪れる外国人観光客のニーズは、むしろ家族や小グループ数名で泊まれる広い物件です。一度目は安さを理由にマンション民泊を選んだカップルたちも、せっかく旅行に来てるのに、こんな部屋で過ごすのはどうなんだろうと思い始めているのです。これから民泊を始めようとする人は、この点をもっと知っておく必要があるでしょう。

実際、こうした低い評価ゆえに民泊離れの動きも出ているようで、まったくインバウンド市場の変化は早すぎるほどです。

これはどんなビジネスでもそうでしょうが、相応のリスクを負い、利用者の声に耳を傾け、不断の品質向上を心がけないようでは、うまくいかないものです。特別に魅力的な物件でもないかぎり、ワンルームマンションの狭い一室を貸し出す家主不在型民泊は、いっときのあだ花みたいなところがあるのです。

バケーションレンタルって何?
http://inbound.exblog.jp/26802073/

だからといって、投資コストを増やすことは簡単ではない以上、できることは、宿泊客が何を望んでいるか、日々接しながら知ろうとする努力でしょう。

フロントの前に数本の国旗があったので、大野さんに尋ねると、「その日、宿泊される方の国旗を歓迎の意味で、置いているんですよ」とのこと。欧米の主要国の人たちはともかく、アフリカや中南米などから来た宿泊客は、大いに感激したそうです。現在、100カ国近い国旗を特注で用意しているとか。
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同旅館の魅力は、このような気取らず、無理のない家族的なサービスにありそうです。そして、椎名町の商店街も魅力でしょう。

ファミリーイン西向では、オリジナルの英語によるこんな周辺地図を用意しています。この地図には、同旅館を訪れる外国人客が知りたい情報がコンパクトにまとめられています。
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同じことは、新宿歌舞伎町にある外国客に人気のデザインホテル「グランベルホテル新宿」でもありました。

自家製地図でわかる外国人ツーリストが知りたいこと(新宿グランベルホテルの例)
http://inbound.exblog.jp/24708078/

ところで、冒頭に書きましたが、この旅館は最寄の駅から10分くらい離れていて、住宅地の中を迷わずたどり着くのが大変だと思われます。にもかかわらず、外国人が訪れるのは、ネットのおかげです。無名であっても、外国客があとを絶たないホテルとしては、台東区池之端にある知る人ぞ知る隠れ家宿のホテルグラフィー根津もそうです。

シェアハウスのホテル化で外客受入に成功=「ゲスト交流型ホテル」とは?
http://inbound.exblog.jp/24596922/

これらの事例をみていると、いまの時代の宿経営のひとつの方向性が見えてくると思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-04-25 12:58 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2017年 04月 25日

立ち食いうどん屋の外国人旅行者と豊島区椎名町のインバウンドの話

先週、ある用で西武池袋線の池袋からひとつめの駅、椎名町を降りたところ、駅前にある一軒の立ち食いうどん屋の前に旅行バッグを背負った外国人旅行者の3人組がいました。つい彼らにつられて店に入ってしまいました。
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椎名町を訪ねるのは数年ぶりのことです。めったに利用することのない駅を降りると、『孤独のグルメ』のゴローさんのように、よさげな飲食店をつい探したくなるものです。その立ち食いうどん屋の「南天」は、ボリュームたっぷりの肉うどん(430円)が名物だそうです。
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店内にはトリップアドバイザーの貼り紙がありました。なんでも豊島区のレストランで3623軒中67位(2017年4月24日現在)なんだそうです。
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南天本店
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g1066460-d1683449-Reviews-Nanten-Toshima_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html
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これが肉うどんです。肉の量を2倍にしたダブルは510円、ミニ390円もあります。

店長に聞くと、近所に外国人客が泊まれるゲストハウスがあるそうです。なるほど、だから椎名町のような住宅街に彼らが出没していたわけです。

後日、椎名町にあるというゲストハウスをネットで調べたところ、以下の宿が見つかりました。

シーナと一平(豊島区椎名町のカフェと旅館)
http://sheenaandippei.sakura.ne.jp/

そして、昨日のお昼前、ちょこっと覗きにいきました。場所は、椎名町駅の北口を出て西に向かい、サミット通りという名の商店街を歩いていくと、道沿いにあります。
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そこは「とんかつ一平支店」という古い看板のある建物でした。えっ、ここがゲストハウス? そう思いながら、店の前にいた女性に声をかけると、ずいぶん前に閉店したとんかつ屋だった空き家をリノベーションしてゲストハウス兼カフェとして、昨年3月にオープンさせたのだとか。
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せっかく訪ねたので、カフェでお茶をしながら彼女にさらに話を聞いたところ、このゲストハウスは豊島区の「リノベーションまちづくり」事業の一環で開かれたリノベーションスクールに参加した男性が始めたものでした。

いくつかのメディアがすでにこの宿について紹介していました。

カフェと旅館 一体 シーナタウン、豊島区の空き家活用 (日本経済新聞2016/3/17)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO98515690W6A310C1L83000/

まちづくり会社のシーナタウン(東京・豊島)は18日、豊島区の空き家活用プロジェクトの一環で、カフェと旅館が一体となった施設を開業する。同区内の空き家率は15.8%と23区で最も高く、区は空き家の再生で地域の魅力を高める構想を進めている。今回の施設は同構想から誕生した第1号となる。

同社が開業するのは「シーナと一平」。昨年3月に区が開催した「リノベーション(大規模改修)スクール」で再生を検討した案件だ。使われていなかった住宅併設型の元とんかつ店を用途変更し、1階はカフェ、2階は主に訪日客が対象の旅館とした。

カフェは1時間300円で、ミシンを自由に使える「ミシンカフェ」。「ミシンに親しむシニアと子育て世代をつなぐ目的」(同社)という。

旅館は5部屋あり、2人で宿泊する場合、1万5120円からとする。相部屋式のドミトリーも備えた。

西武池袋線椎名町駅前の商店街に立地する。カフェでは近隣の総菜店で買ったものの持ち込みも可能にする予定で、利用者の商店街内の回遊も狙っている。


他にもいろいろあります。宿泊施設内の写真などはこちらを参照してください。

民間主導のプロジェクトで誕生した「シーナと一平」。まちに溶け込む「お宿と喫茶」を目指す
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00345/

とんかつ店をカフェと宿にリノベーションしてまちの“世代をつなぐ”
http://suumo.jp/journal/2016/03/18/108036/

豊島区のリノベーションまちづくり構想の詳細は以下を参照してください。都内一といわれる空家率の背景に、豊島区における30代(子育て世代)の流出があることから、いかに子供を育てやすい環境をつくるかという観点で民間と公共の空き家や空き地を利用したまちづくりを進めていこうとするものです。

豊島区リノベーションまちづくり構想
http://www.city.toshima.lg.jp/310/kuse/shisaku/shisaku/kekaku/008446/documents/toshima_renovkousou.pdf

リノベーションスクール@豊島区
https://www.facebook.com/renovationschool.toshimaku/
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こうした理念を掲げた取り組みが、当の外国人旅行者にどう受けとめられるかは別の話ですが、昭和の古い飲食店をリノベーションして生まれた空間はとてもユニークで、心地よいものです。

靴を脱いで上がるちゃぶ台が置かれたスペースがカフェで、利用代300円の内訳は、お賽銭箱に200円と飲み物代100円。コーヒーやソフトドリンクなど、セルフサービスとなっています。
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柱を背もたれにして、足を伸ばしてアイスコーヒーをいただいていると、近所のママさんが小さなお子さん連れで現れました。なんでも以前は昼間はただのカフェスペースだった1階は、今後近所の商店街のおばさんたちが先生になって洋裁や編み物、料理などを教えてくれる教室になるそうです。
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その名も「長崎二丁目家庭教室」。(月~木のみ。金~日は以前のとおりセルフカフェ)。教室の運営を担当する地元在住、二児の母である藤岡聡子さんにいただいたチラシによると「まちの誰もが暮らしの先生。家庭科に通ずる暮らしの知恵を学んだり、まちなかの福祉についてしることができます」と書かれていました。
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もともと外国人向けのゲストハウスとして立ち上げた「シーナと一平」でしたが、地元に密着したもうひとつの顔があることを知り、なるほどと思いました。
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確かに、椎名町は池袋に近い徒歩圏内でありながら、昔ながらの商店街が(以前に比べると縮小しているのですが)いまだに残っている町です。外食チェーンは駅前にはありますが、個人経営の個性豊かな食堂がまだたくさんありました。外国人観光客にすれば、商店街で焼き鳥を買って、カフェスペースでビールを飲んだりできる。こういうのが、本当は日本らしい町の楽しみ方なのかもしれません。

実は、藤岡さんに椎名町にあるもう一軒の、しかも都内で外国人にダントツ人気の旅館(トリップアドバイザーの都内の旅館人気ランキングで老舗の澤の屋に次ぐ2位だそう)があることを教えてもらったので、その足で訪ねてみることにしました。

その話はまた今度。

「澤の屋」に次ぐ都内人気旅館の支配人が語る民泊被害とこれからの宿経営
http://inbound.exblog.jp/26813108/
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by sanyo-kansatu | 2017-04-25 11:18 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2017年 04月 24日

「おいしい生活」は誰のもの? PARCOの前をベビーカーで歩くアジアからの観光客

昨日の夕方、池袋駅に向かって歩いていたら、双子の赤ん坊を乗せたベビーカーを押して歩くアジア系のファミリー旅行者の姿を見かけました。
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いまどき、特に珍しい光景でもないのですが、それがPARCOの前だったので、ふといろんなことを思い出してしまいました。

PARCOといえば、1980年代初頭、コピーライターの糸井重里さんの「おいしい生活」なる広告文に過剰なまでの意味が込められ、話題となった象徴的なスポットです。

糸井重里「おいしい生活」☆1980年代、西武池袋本店
https://middle-edge.jp/articles/lmVTC

当時は日本がバブル経済に向かう助走期のような時代でした。個人的には、この種の騒ぎを不機嫌かつ冷ややかにみつめていた自分ですが、それから30年以上たち、アジアから来た観光客が同じ場所で「おいしい生活」を満喫する光景を見かけることになるとは、さすがに思ってもいませんでした。そのことに気づき始めたのは、せいぜい21世紀に入ったばかりの頃です。

「おいしい生活」は、富裕層や特権階層ではなく、いわゆる一般「大衆」からなる社会が「総中流化」したとの「幻想」に多くの人が浸れる時代の到来を意味していたはずです。今日の中国やアジアの国々が、1980年代当時の日本ほど「総中流化」しているとは思えませんが、国単位でみたGDP比率は大きく変わり、アジアの国々でも、そこそこの割合の人たちが「中流化」し、アジアの近隣諸国だけでなく、日本へ海外旅行ができるようになったことは確かです。

彼らが大挙して日本に旅行に来てくれるという程度のことで、今後急ピッチで高齢化が進む日本社会の地盤沈下を押しとどめるには至らないのかもしれませんが、だからといて指をくわえているだけなんて。これを活かさない手はありません。そんな彼らの存在とその意味を考えることは、当ブログの一貫した関心事です。
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by sanyo-kansatu | 2017-04-24 16:31 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 11月 17日

都内に続々生まれるゲストハウスの世界~ムック『東京ゲストハウス』を手にして

ぼくの仕事場のある東新宿は、外国人観光客の泊まるリーズナブルなビジネスホテルやゲストハウス、そして「民泊」の集積地になっています。

毎日通る道すがらに、昨年11月にオープンした「IMANO TOKYO HOSTEL」があり、ときどきお茶しに行くことがあります。

ここは1階がフロント兼カフェになっているので、昨日もちょっと足を運んでみました。遅めのランチを取るために。

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人 (2015年12月02日)
http://inbound.exblog.jp/25142528/

お店を出ようとしたとき、入口のそばにこんなムックが置かれていました。
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ムック『東京ゲストハウス』
http://guesthousepress.jp/tokyo_guesthouse_mook/

ここ数年、東京都内に生まれた外国人向けのゲストハウスを紹介する内容です。どの宿も写真をかっこよく撮っているので、眺めているだけでも楽しいムックです。「IMANO TOKYO HOSTEL」も紹介されていました。ドミトリーの中はこんな風になっているのか。初めて知りました。

他にも十数軒載っていて、いくつかはぼくも訪ねたことがありました。

訪ねたことはあるけれど、都内に住んでいるぼくはこれらのゲストハウスには泊まったことがありません。

「IMANO TOKYO HOSTEL」のスタッフの女の子に聞くと、基本的に外国客が多く、国籍はシーズンによっていろいろ変わるそうですが、ときどき就活で地方から上京してきた学生さんなども泊まることがあるそうです。

同じようなことは、歌舞伎町のカプセルホテルでも聞きました。やはり、こちらにも就活の女子学生さんが1週間くらい滞在することもあるそう。

ぼく自身は、ゲストハウスでたむろしているみなさんとは世代的に少し離れていますが、若い頃はよく海外のゲストハウスを利用していたものなんだぜ、なんて話をスタッフの女の子にしてみたくなるような、ならないような……(まだしてません)。

でも、最近は、地方出張に行くとき、わざわざゲストハウスに泊まることも増えています。

なぜそんなことをするかって? そりゃ最近、ホテル料金が高騰してたまらないってのもあるけれど、やっぱりゲストハウスにいるみなさんの様子を見ているのが楽しいからです。

彼らは旅空の下にいるからです。

そんな境遇を少しうらやましがりながら、日々の仕事の合間にひと息つくのが、最近の楽しみになっているのです。

ここ数年の東新宿については、以下を参照ください。

東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります(2013年07月02日)
http://inbound.exblog.jp/20672715/

東新宿のビジネスホテルにはロシアや東欧の旅行者が多いらしい (2015年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/24525927/

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)(2015年05月24日)
http://inbound.exblog.jp/24510962/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-17 15:17 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 11月 09日

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由

外国客で行列のできる店といえば、広く知られているのが一蘭ラーメンでしょう。

ぼくも以前一度池袋店に行ったことがありますが、「天然とんこつラーメン」のみの一品メニュー、「味集中カウンター」と名づけられた隣の客との仕切り壁と厨房との間にすだれを下げるという個室食空間、スープの味の濃さやこってり度、麺のかたさなどの7項目を事前に書かせる「オーダーシステム」など、独自のシステムが導入された同店は、確かに外国客でにぎわっていました。

外国客に人気と噂の一蘭ラーメン池袋店に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/24938081/

それにしても、一蘭ラーメンにはいつ頃からどんな理由で外国客が行列するようになったのでしょうか?

そこで、同店の広報・宣伝担当の三浦卓さんに話を聞くことにしました。
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今回訪ねたのは、新宿3丁目店です。まず店内紹介から。

これが入口にある外国語表記の食券販売機。
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この日は、平日の正午過ぎで、日本人もいましたが、やはりアジア客が多く、白人の女の子や黒人男性なども並んでいました。
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空席がひと目でわかる「空席案内板」があります。これもこの店独自のシステムですね。
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仕切り壁に隔てられ、各々ラーメンに向き合う独特の空間です。
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これが「味集中カウンター」。テーブルにオーダー用紙が置かれています。
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日本語以外は、英語、中国語(繁体字)、ハングルが用意されています。
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これが創業以来変わらない「天然とんこつラーメン」。
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店内にはインスタグラムへの投稿を呼びかけるプレートが置かれていました。
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以下、三浦さんとの一問一答です。

-いつ頃から外国客が現れるようになったのか。そのきっかけは何だったのか。

「実はいつ頃からとははっきり言えないのですが、特に増えたのは3~4年前からです。やはり口コミで広がっている感じで、フェイスブックやインスタグラム、微信などのSNSによるものだと思います。

もっとも、すでに10年以上前から外国客は、いまほどでなくてもいました。またこれはいまでもそうですが、全国に62店舗営業しているうち、すべての店に外国客が来ているのではなく、渋谷や新宿、池袋、浅草などの外国人観光客の多い特定の店に限られます。たとえば、渋谷駅に近い渋谷店は行列ができるほど多い一方、スペイン坂店には少ないんです。これもSNSの影響だと思われます」。

-どんな国の人たちがよく訪れているのか。味の好みに違いはあるか。人気の理由は何だとお考えか。

「やはり多いのは、中国や台湾、香港、東南アジアの方ですが、最近は欧米の方も増えています。当店のとんこつスープには臭みがないので、欧米の方にも親しんでいただけると思っています。また替え玉という博多ラーメン特有のサービスが体験できることも魅力かと。また中国の方はやわらかめな面がお好みという印象もあります。

何よりラーメンが日本食の一ジャンルとして定着したことが大きいと考えています。つまり、日本に来たら、すしやてんぷら、鉄板焼きを食べるのと同じようにラーメンも体験したいと多くの外国客が考えているからだと思っています」。

-一蘭ラーメンに外国客の行列ができる理由はズバリ、何だとお考えですか。

「3つあると考えています。まず、SNSで「イイネ」が海外に拡散されたこと。これがご来店の最大の動機になっていると思います。

ふたつめは、創業以来変わらないとんこつラーメンの味への支持です。

3つめは、食券購入から、独自のオーダー記入用紙、仕切り壁の食空間という独自のシステムを体験してみたいということではないかと思っています」。

三浦さんによると、同店独自のオーダーシステムや仕切り壁などは、1993年に同店が法人化し、福岡でチェーン展開を始めた当初から導入されていたといいます。女性でもひとりでラーメンを食べられるようにという配慮があったそうです。

7項目のオーダー用紙でスープの味やこさ、特性ダレの量、麺のかたさなどを自分で選べるしくみが面白いと思うのは、タイなどアジアの屋台で麺を食べるとき、たいてい麺の種類を選べるのと同時に、唐辛子入りナンプラー(プリック・ナンプラー)、唐辛子(プリックポン)、唐辛子入り酢(プリック・ナムソム)、砂糖(ナムタン)の4種類がテーブルに用意されていて、自分の好みで調合してから食べるという習慣に似ていることです。

日本のラーメンは一般的に、その店の味をありがたく、そのままいただくという感じが多いのに対し、一蘭はアジア的というべきか、自分で味の好みを決められるというしくみが外国客、特にアジア客に支持されているのではないか、という気がします。

-今後の展望はどうお考えか。

「一部の店舗に外国客が増えているといっても、大半の店は日本人のお客様がメインです。これまでは基本的に都市の繁華街の雑居ビルにビルトインという店舗が多かったのですが、今後は千葉県のロードサイド店を開業しますし、10月19日にはニューヨーク店も開業しました。今月17日には中野店も開業します。中野はサブカルの町として外国人にも知られるようになっていますから、楽しみです。

ラーメンという日本独自の文化をいかにつきつめるか。いかにブランドとして維持できるかに、今後も注力していくつもりです」。

一蘭ラーメン
http://www.ichiran.co.jp

三浦さんの話を聞きながら、あらためて「ラーメンが日本食の一ジャンルとして定着」したことを実感しました。では、それはいつ頃から定着し始めたのでしょうか。

ぼくの友人に、台湾や香港で日本スタイルの現地情報誌の立ち上げに尽力した鈴木夕未さんという編集者がいます。彼女によると、当初は日本と同じように、現地のグルメ情報などを発信していたが、2010年頃から日本旅行のための情報誌を創刊するようになったといいます。

その特集記事に、日本のラーメン特集が人気企画としてよく取り上げられたといいます。

以下は、2015年の香港ウォーカーのラーメン特集の冒頭ページです。彼女によると、日本の編集サイドの協力とともに、香港のグルメ達人などが日本を取材して店選びをしたそうです。
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実は、前回このブログで書いた池袋の「無敵家」の関係者によると、取材を受けた覚えはないのだが、2000年代の半ば頃、台湾に行ったとき、現地の雑誌で同店が紹介されているのを見たそうです。つまり、SNSが普及するずっと前から、台湾や香港などでは、日本のラーメン店が紙媒体で紹介されるようになっていたのです。

行列を体験として楽しむアジア客たち~池袋「無敵家」に並んでみてわかったこと
http://inbound.exblog.jp/26363800/

面白いのは、その特集記事に「ラーメン分析アイコン」なる項目があって、紹介する各店ごとに、麺の太さや形、量、ベースとなる味(醤油、とんこつ、魚介など)、濃さなどが記されていることです。
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これは日本の情報誌が昔からやっていたことで、こういう下地が現地情報誌にあったことは、一蘭ラーメンのオーダー用紙に台湾や香港の人たちが慣れていた理由といえそうです。こういう用紙に自分の好みを書き込むことも、体験として面白がられているのだと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-09 10:39 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 11月 09日

行列を体験として楽しむアジア客たち~池袋「無敵家」に並んでみてわかったこと

都内に外国客で行列のできる飲食店があることを知ったのは、1年以上前のことでした。最初に知ったのは、池袋東口にあるラーメン店「無敵家」です。

外国客で行列のできるラーメン店「無敵家」
http://inbound.exblog.jp/24900048/

この店にはいまでも、いつ行っても行列ができています。先月のとある日、訪ねると、やはり行列ができていましたが、今度は思い切って並んでみることにしました。並ばなければ、この店のラーメンを味わうことができないからです。
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行列に並んでみてわかったことがいくつかありました。

その日は、午前11時頃に店を訪ねたところ、さすがに食事時としては早すぎるせいか、列は少なめでした。ざっと見た感じ、日本の男性客がほとんどだったのです。おそらく彼らの多くは常連客で、お昼が近づくとこの店は行列が長くなり、すぐには食事にありつけないと知っていて、早めにやって来ているのではないかと思いました。

そこで、向かいのジュンク堂で少し時間をつぶすことにしました。わざわざ行列に並ぶことに決めた以上、お昼時まで待とうと思ったからです。

11時50分頃、再び店の前に来ると、先ほどとは行列する人たちの感じが変わっていました。明らかに外国客と思われる人たちばかりになっていたのです。
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若いカップルや女同士、小グループ客などいろいろいましたが、皆さんアジア系の人たちです。
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列に並ぶと、店の横脇に英語、中国語(繁体字)、タイ語で、列を並ぶ際の注意事項などが書かれていました。
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アジアの子たちは相変わらず自撮りが好きですね。
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たまたまぼくの前にいたのが、キャリーケースを引いたおじさんでした。行列客としてはちょっと違和感のあるタイプで、見た感じ中国人だと思ったので中国語で声をかけてみました。

「どちらからいらしたんですか? この店をご存知でしたか?」

すると、中国語がわかる相手がいたことに喜んだ彼は、「北京から来た」と答えました。一般に外国人にどこから来たかと聞いて、北京や上海など誰でも知っているような大都市を挙げるとき、必ずしもそこではなく、その周辺の地方都市の人である確率はけっこう高いです。外国人は自分の住んでいるような地方都市を知るはずもないから、そう答えておけばいいという気になるものだからです。このおじさんも、そんな印象です。

「ひとりで日本に来ているんですか?」
「そうだよ」
「ホテルはどこに泊まっているんですか?」
「池袋に知り合いが住んでいるので、そこにね」

在日中国人の親戚か知人か誰かがいて、そこにごやっかいになっているのか、それとも最近流行の民泊か……。とにかく安く上げたい、安けりゃどんな宿でもかまわないという彼らですから、民泊利用者も相当増えているに違いありません。

あんまり素性を問い続けるのもどうかと思ったので、話を変えました。「この店、どうして知っているんですか? やはり微信(WeChat)で知ったの?」

すると彼は「行列ができているのを見たからね。こういう店はうまいに違いないと思ったんだ」というのです。どうやらSNS情報で知ったのではなさそうです。少し意外だったのは、かつて中国の人たちは、日本人のように行列までして食事をすることはなかったからです。

確かに最近では中国の人気レストランでは、行列まではしなくても、店の1階が待ち合いスペースになっていて、お茶やソフトドリンク、お菓子などを提供して、客を待たせているような店も増えています。「うまい店=行列ができる」という理解が一般化してきているのでしょう。
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無敵家では、店を早く回転させるために、行列客にメニューを渡して入店前に注文を取っています。そこで、ぼくは彼のために中国語のメニューを取り寄せてあげました。彼が何を注文するのか気になったからです。彼が選んだのは「のうこく麺(780円)」でした。ぼくも同じものを頼むことにしました。
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そうこうするうちに、入店が近づいてきました。並んでから20分以上たっていました。入り口近くには、外国語併記で列を並んでもらうことへの店側のお詫びやトリップアドバイザーのグルメ豊島区ランキングで同店が堂々1位(2015年)になった受賞証が貼られています。
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そして、入店。カウンター17席と広くはありません。空いてる席がそこしかなかったので、中国のおじさんと隣り合って座ることになりました。

カウンターの前には、英中韓タイ4ヵ国語のメニューが用意されているプレートが置かれていました。
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しばらくすると、のうこく麺が出てきました。海苔に白地で英語と中国語で「welcome」と書かれていました。
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濃厚なスープだったので、ためしにおじさんに「ビールでも飲む?」と聞いてみたところ、彼は「俺はいらない。でもあんたがほしいなら、おごるよ」と言ってくれました。入店前にいろいろ世話を焼いたせいか、感謝したかったからのようです。こういうときは、それを受け入れるのが、彼の面子を立てることになるので、ぼくは店員にビールを頼み、グラスを2つ用意してもらいました。もちろん、払いは彼です。おごってもらいました。

「どう、おいしい?」と彼に聞くと、「还可以(悪くない)」と答えます。それにしても、こののうこく麺、まるでポタージュスープのような舌触りでした。日本のラーメンは実際、多種多彩なので、食べ歩きラーメン通が多いのもわかる気がします。

外国客に行列のできる店には、それなりのサービス体制が出来上がっていることがよくわかりました。多言語化されたメニューもそうですが、行列によってご近所に迷惑がかからないようにするための告知もそうですし、店員がメニューで注文を取りにくるときに、チェックしているに違いありません。一方、外国客の皆さんも、自撮りもそうですが、行列を体験として楽しんでいる印象です。それは、彼らがすでにSNSなどを通じて、この店は行列するものだとあらかじめ知っているからで、それも含めて「無敵家行ってきたぞ」とSNSで自分の追体験を報告できることもひとつの楽しみだからです。

それにしても、このキャリーケースおじさん、本当に行列を見てこの店に来たのか? 

支払いをすませ、ちゃんとビール代を払ってくれた後、彼は池袋駅方面にとぼとぼ歩いていきました。いったい彼はこの後、どこに行くのでしょう?
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by sanyo-kansatu | 2016-11-09 09:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 11月 08日

韓国の若者は日本食が好きらしい。「牛かつ もと村 渋谷店」の行列に並んでみた

先週の水曜の午後、友人の案内で渋谷の牛かつ店に行きました。なんでも外国人観光客の行列ができていることで有名なんだそうです。

午後1時、JR渋谷駅東口から明治通りに沿って恵比寿方面に向かってすぐを右手に曲がると、30人近い行列ができていました。ざっと見た感じ、確かに外国客が多いようでした。

そこは「牛かつ もと村」という店です。
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牛かつ もと村渋谷店(食べログ)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13153853/
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牛かつというのは、豚カツ同様に牛肉を衣に包んで揚げた料理で、ぼくはよく知らなかったのですが、ネットをみると、ここ以外にもいろいろあるんですね。
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この店はわずか9席しかないので、結局、1時間半も並んでしまいました。これは誰かと一緒でないときついですね。その日は休日だったので、日本人も多かったけど、店員さんに聞くと、ふだんは半分以上が外国人だそうです。特に多いのが韓国人だとか。その日の列には東南アジア系の人たちもいました。
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たまたまぼくの列の後ろに韓国人の若いカップルがいたので、「どうしてこの店知ってるの?」と聞くと、韓国の旅行サイトで評判なんだそうです。彼女がスマホで実際にみせてくれたのが、以下のサイトです。
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naver
http://section.blog.naver.com/

ソウル在住のフォトライターの堀田奈穂 さんによると「naverは韓国で最も多く利用されているまとめサイトです。naver blogについては、IDを持っているとさらに詳しく見たり、コメントのやりとりが出来たり」するそうです。

韓国からもブロガーたちが日本を訪れ、情報発信しているんですね。

別の韓国在住の日本人は言います。「日本旅行を専門にするブロガーもいますが、最近ではテレビ番組で海外のグルメ旅行が流行っています。海外グルメ旅行が主なコンテンツとするこんなサイトもあります」。

牛かつ もと村渋谷店を紹介するページ 
http://choys0723.blog.me/220802039236

外観から店内、料理まで細かに写真がアップされています。特にこの店の特徴であるレアなカツの断面を見せたり、石板でレア面を焼いているカットなど、ここで体験できるほぼすべてのことが写真で公開されています。これを見ると、自分も行ってみたい、やってみたいという気になるのではないでしょうか。いったん揚げたカツを自分の好みに合わせてさらに焼くというひと手間が、他の店では体験できないことかもしれません。
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それにしても、韓国の人はそんなに日本料理が好きだったのでしょうか? 中華圏にはよく行くわりには韓国にはトランジットを除くと20年近く足を運んでいないため、そのへんがぼくにはよくわかりません。

前述の堀田さんは言います。「韓国では日本食は単なるブームというよりは、定着に近い気がしますね。うどん、ラーメン、ハンバーグ、焼き鳥、いろいろあります。日本のビールもコンビニで手軽に買えます。ブログ全般について言えることは、お金をもらって書くパワーブロガーが書いたものとは違う、完全に個人の経験によるブログを見て、飲食店や旅行先の情報収集を得るのが最近の主流のようです」。

なるほど。韓国では日本食は定着しているのですね。台湾人の鄭世彬さんも言っていましたが、宣伝臭の漂うプロのブロガーではなく、一般の個人客の体験を載せたブログのほうが韓国でも好感度が高いようです。それだけ韓国でも日本への個人旅行化が進んでいるのでしょう。

韓国における日本食の定着ぶりについては、コリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんが今春上梓した『食の日韓論』(三五館)に詳しく書かれています。いま韓国では、日本の外食チェーンが驚くほど出店しているようです。

八田靖史さん「韓食生活」
http://www.kansyoku-life.com/

また同書によると、韓国では昔から豚カツも人気なんだそうです。

しかし、素朴な疑問があります。日本を団体旅行する韓国人を乗せたバスの運転手さんに聞くと、韓国の人はトウガラシを持参して日本に来るといいます。日本の料理は刺激がないからだそうです。ぼく自身は、韓国料理はトウガラシが多く使われるところがよくもあり、また苦手でもあるという感じ。韓国で日本食が定着したという理由がいまひとつよくわからないのです。トウガラシがなくても彼らはおいしいと感じているのでしょうか。それとも世代の差もあり、若い人ほどそうなのでしょうか。

堀田さんはこう答えてくれました。「ご存じとは思いますが、トウガラシを朝鮮半島に広めたのは日本であり、元々辛い物ばかり食べていたわけでは決してないんですよね。とんかつ、おでん、うどんなどは日本の統治時代からの流れでしょう。近年では、諸外国の食べ物が東京のようにソウルや都心部で食べられるようになり、留学や渡航経験のある若者の影響などもあってか、本当にいろいろなものを食べていますよ。テレビ番組やインターネットの情報も大きいでしょう。

いまやデパ地下も東京のデパ地下と遜色ないですね。私の見解ですが、韓国人の大好きなチャジャン麺は辛くないですし、そのあたりは日本人と同様で、辛い物は辛い物として食べるし、辛くないものはそのまま食べる、という感じだと思います。トウガラシを持って海外へ行くのも全員ではないでしょうし、他国の食文化を楽しむ傾向にあると思います。日本人も昔は今よりも醤油を持って渡航した人は多いのではないでしょうか」(以下、「 」は堀田さん)。

なるほど。確かに、我々は外国人だから韓国料理=トウガラシというイメージを持っているけれど、韓国でも日本同様、食の多様化が進み、「辛い物は辛い物として食べるし、辛くないものはそのまま食べる」ということなんですね。

「昔は外国の情報もほとんどなかったですし、どんな料理かも、食べ方も何も知らなかっただけでしょう。日本人も何でも醤油をかけるわけではないですしね。逆に、あらゆるものにタバスコをかけるという日本人をFBで見かけました。そうなると、単に個人の趣向になるのでしょうかね?(笑) タイでも辛い物が苦手な若い世代もいると数年前から言われていますよね。沖縄でも泡盛離れがあると聞きます」

確かに、中国でも上海などの経済先進都市では、日本食のチェーンがたくさんあります。ラーメンも一風堂、丸亀製麺、ココイチもサイゼリアもあります。やはり若い世代を中心にアジアの都市では食の多様化が進んでいるといってよさそうですね。

あともうひとつ思ったのは、外国客で行列のできる「牛かつもと村」や「一蘭ラーメン」の共通点として、一品しかメニューがないことです。肉の量やトッピングだけしか選択肢がない専門店。韓国の事情はよくわからないのですが、中国やタイでは一般にこの種の店は流行りません。いろいろ食べられることが大事で、味せんラーメンでもココイチでも、冷奴や焼きとり、ししゃもまでメニューにあります。レストランには家族や友人などで行くことが多く、カレーを食べたい人もいればパスタを食べたい人もいるというわけで、専門店は避けられてしまうのです。でも、韓国は日本と同じで専門店があるようですね。

「韓国は昔と違って個食が広がっています。昔、日本のチェーン店(吉野家など)が失敗したのは、個食文化がほぼないことを軽視した点もあったでしょう。今は核家族化も進み、時代が変わりました。今は諸外国を受け入れる(特に美味しいものは)段階に入っています。あっという間に日本と同じようなレベルになったのは、この国の持つ何に対してでも速いスピードからだと思います」。

個食文化はまさに上海でもそうです。若いOLがひとりで外食チェーンで食事をするという光景は普通に見られるようになり、日本と同じ定食メニューの店も増えています。

堀田さん、ありがとうございました。あなたとのチャットで、個食も含めたアジアの食の多様化が見えてきました。外国客、特にアジア客で行列のできる店の背景には、当然のこととしてSNSの存在があるとともに、各国都市での食の多様化があるといえそうです。

きっと彼らは自分の国にはまだ出店していない外食チェーンや日本食の流行を見つけて面白がっているのに違いありません。そういや、すでにソウルには牛かつ店はあるそうです。韓国は、台湾同様、日本食の浸透が進んでいるのですね。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-08 10:56 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 10月 04日

2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影に興じていた

10月1日は中国の建国記念日(国慶節)に当たります。この時期は、中国のゴールデンウィークに相当し、海外に限らず多くの中国人が旅行に出かけます。昨年までは、圧倒的に中国客の存在感が目立っていたのですが、正午過ぎ、銀座を訪ねてみたところ、実にさまざまな国籍のツーリストの姿を見かけました。“中国人だらけ”という感じでもなかったのです。

土曜日だったので、銀座中央通りは正午から歩行者天国になります。銀座4丁目の和光のはす向かいには、9月24日にオープンしたばかりの新しいランドマーク、銀座プレイスが見えます。
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ここから中央通りのホコテンを銀座8丁目の交差点まで歩いてみました。以下、その後の10分間くらい歩いて見かけた人たちのスナップです。
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銀座プレイスの1F には、日産のショールームがあり、にぎわっています。

銀座プレイス http://ginzaplace.jp/

そこらかしこでポーズを取って記念撮影に興じる人たちがいます。
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これは最近銀座にできたオウルカフェ(フクロウがいるカフェ)の客引きの子でした。ぼくも原宿の店に行ったことがありますが、外国人にウケるんだそうです。
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ファミリー旅行者も多いです。
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この双子は韓国人でした。
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銀座7丁目のラオックスです。ホコテンのせいで店の前までバスが停車できないためだけではもうないのでしょう。多くの中国客は、この店がどんなしくみで成り立っているか、よく知っています。できるだけ、避けたいとの思いが働くのでしょう。店内は閑散としています。
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カップルの自撮りはともかく、地べたに座り込んでの女優気取りのポーズなど、中華圏の人たちはまったくこういうのが好きですね。
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7丁目あたりから、中国やアジア系だけでなく、欧米系、それもどちらかといえば、ロシアや東欧方面から来たと思われる人たちの姿を見かけました。まだ日本に少ない彼らは、団体で旅行に来ることが多いので、集中的に目撃してしまうのかもしれません。
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この日、銀座のホコテンは圧倒的に外国客の姿が目につき、日本の人たちは歩道をそそくさと足早に歩いていくという感じでした。まあここは、日本を代表するおのぼりさんの天国です。言ってみれば、パリのシャンゼリゼ、ウィーンのシュテファン大聖堂に向かって広がるノイヤーマルクト広場(かなり言いすぎ!?)みたいな場所ではあるのです。おそらくイースターの頃は銀座ももっと多くの外国客が見られることでしょうが、国慶節ではこんなものかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 10:46 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 06月 23日

日本人は知らないブラック免税店で扱う商品のビル広告、新宿に現わる

先月末、中国のメディアやネット上で日本のブラック免税店を告発する動きがありました。そこでは新宿にある2軒の免税店を名指ししていました。そこで、ぼくも実際にそれらの店を訪ねてみた話を、以下書いています。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/
中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

爆買いも下火になってきたとの報道もあり、さてこれからこの種の商売はどうなるのだろうと思っていたら、先日新宿で妙なものを見つけてしまいました。

日本の「爆買い」報道は中国人の自尊心を傷つけた!?
http://inbound.exblog.jp/25928875/
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それは、中国メディアが指摘していたブラック免税店で扱っている商品のビル広告でした。
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近づいて見てみましょう。「健康、美麗 第一酵素 第一薬品 MADE IN JAPAN」とあります。

中国語のわかる友人がそれを見て言いました。「一見、日本語だけど、『美麗』という表現は中国語的だよね。つまり、この広告は中国人向けなんじゃないか」。

このあやしげな商品については、中国メディアが細かく指摘しているのでここでは触れませんが、面白いことに、この広告は靖国通りに面したビルにデカデカと貼られています。実は、その通りの向かい(歌舞伎町側)に、例の免税店があるのです。
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実際、歌舞伎町沿いの靖国通りは中国をはじめアジア系の団体客を乗せたバスが客を乗り降りさせるためよく停車しています。その広告はバスの窓からよく見えることでしょう。
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友人は言います。「なるほどこれを見ると、この商品が日本でも有名であるかのように思うだろうね。よく考えたよなあ」。

ところで、この商品は街場のドラッグストアでも売られているのか。それが気になって、広告のあるビルの中にあるドラッグストアと通りの向かいにある同業店を覗いてみました。

店員さんに聞くと、アンチエイジングやダイエットに効くとのことで、ずいぶん前から酵素系の商品は人気といいます。ここ数年、中国爆買い客の間でもよく売れていました。さすがに日本のドラッグストアには多種多様な酵素系商品が置かれていましたが、値段は1000円台からが一般的で、高いものでも6、7000円。なかには2万4800円という商品も混じっていましたが、第一薬品のものは見当たりませんでした。
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新宿あたりのドラッグストアでは、外国人向けの免税専用と一般日本人向けのレジが分かれています。
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例の免税店は、新宿花園神社の鳥居の隣にあります。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 09:11 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 06月 23日

東新宿、半径500m圏内で出合うインバウンドな光景

ぼくの仕事場は東新宿の明治通りの東側にある比較的閑静な住宅街にあります。でも、周辺は外国人だらけです。

仕事の行き帰りもそうですが、たまにお昼のランチどきに気分転換を兼ねて近所を散策することがあります。そこらかしこでインバウンドな光景に出合います。
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たとえば、昨日は丸の内線の新宿御苑前を降りて、新宿1丁目あたりを歩いていたら、台湾人か中国人と思われる女の子4人組が一軒のラーメン屋の前で写真を撮っています。

「麺や 庄の gotsubo」という店でした。

麺や 庄の gotsubo
http://menya-shono.com/gotsubo/

彼女たちはどうしてこの店を知っているのだろう。丸の内線から少し離れた靖国通りに近い場所にあり、スマホのGPSでたどりついたのかもしれないけれど、仕事場に戻ってトリップアドバイザーをみると、新宿区のレストランで 8,076 軒中 1,751 位という、評価の微妙なラーメン店でした。看板メニューは夜のみ提供の「ベジつけめん(990円)」。オリジナルラーメンの店として知られているそうです。

結局、昨日の仕事明けに行ってしまいました。なぜかベジつけめんが気になってしまったのです。
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店内は席数も少なく、おしゃれな内装でしたが、主人は少々強面のおっさんです。でも、ベジつけめんはパスタ風で女性好みの盛り付けでした。つけ汁はえびとトマト風味(もうひとつは鶏と生姜風味で選べる)でかなり濃厚。この種の凝ったラーメンに着目するあたり、昼間の彼女たちは台湾の人たちではないかと思いました。

先週は事務所の友人と一杯やり、彼がどうしてもラーメンを食べたいというので、歌舞伎町の中の博多天神に行きました。ここはとんこつラーメンが500円とお手ごろ価格です。
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8時過ぎたばかりでしたが、ざっと見たところ、店内に日本人はぼくらふたりだけのようでした。さすがは歌舞伎町。アジア系の人たちばかりですが、彼らはとんこつスープが好きなんですね。
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テーブル席に小さな子連れのカップルがいて、なにげに声をかけると、上海人でした。個人ビザで来たようです。
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店内には「中国人爆買いツアー客も殺到!」などと、事情を知ってか知らずかテキトーなこと(だってツアー客はこの手の店には来ないから)を書いたサンデー毎日の記事のコピーがありました。

東新宿になぜこんなに外国客が多いかというと、彼らのニーズに合ったホテルが多く集中しているからです。先日も仕事を終えて、新大久保方面に向かって歩いていると、歌舞伎町の一角でホテルが新しい棟を増築していました。
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2013年12月に開業した新宿グランベルホテルです。歌舞伎町のラブホテル街というディープな環境のなか、ひときわ目につく17階建て、客室総数380室というホテルですが、客室の個性的なデザインとリーズナブルな価格で外国客の人気を呼んでいます。みると、開業1年半で増築が決まったようです。
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歌舞伎町に人知れず外客率8割というデザインホテルがある
http://inbound.exblog.jp/24676453/

このホテルは、あまり一般的な知名度はないかもしれませんが、エクスペディアで予約される全国のホテルの予約件数で第4位というから驚きです。

エクスペディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿を選ぶ
http://inbound.exblog.jp/25331847/
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そのまま歌舞伎町を抜け、職安通りを渡り、新大久保駅に向かって歩くと、韓流ブームの凋落で人ごみが減っていた大久保通りににぎわいが少し戻っていました。
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新宿区議会選に出馬した「歌舞伎町の案内人」こと、李小牧さんの選挙ポスターがいまでも貼ってあるのが新大久保らしいです。
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山手線ガード下も多国籍の風景です。この界隈の住人も多いのでしょうが、アジア系のツーリストが増えていると思われます。
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最後にいつも立ち寄るのが、新大久保駅に近い山手線内側にあるイスラム横丁。ハラルな食材屋が並ぶ一角でPC関連グッズを売っていました。

さらにいえば、半径500m圏内では、こんなことも起きています。

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

まったく見ていて飽きません。

【追記】
今朝ほど自宅でこの記事をアップして、仕事場に向かうと、去年の11月にできたゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」のカフェで小さな洋服の展示会をやっていました。
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話を聞くと、この春デビューしたばかりの二人のデザイナーのブランドだそうです。

RUCA TOKYO/ルカトウキョウ
www.rucatokyo.com

IMANO TOKYO HOSTEL
http://imano-tokyo.jp/ja/

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人
http://inbound.exblog.jp/25142528/

このゲストハウスには、若い欧米の女性客も多いので、企画してみたのかもしれません。もちろん、アジア客もいます。彼女らは台湾や香港、韓国などの子たちなので、日本のファッションに関心はあるでしょう。

アジア色に染まって見える東新宿ですが、こんなことも起きています。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 08:22 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)