カテゴリ:東京インバウンド・スポット( 67 )


2014年 02月 13日

なぜ「庭のホテル」は外国人客に選ばれたのか

先日、インバウンド(訪日外国人旅行)サイト「やまとごころ.jp」の仕事で、水道橋にある「庭のホテル」を取材しました。以下その記事を採録します。

やまとごころ.jp「庭のホテル」総支配人インタビュー
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/index01.html

2009年5月に水道橋にオープンした『庭のホテル 東京』は外国人宿泊客の多さで知られています。都心にありながら、緑の木々と中庭を配した「都会のオアシス」としていち早く話題となり、開業年から5年連続でミシュランガイドに紹介されています。なぜ同ホテルは外国人客に選ばれたのか。その理由について、木下 彩総支配人に話を伺ってみました。

目次:
宿泊特化とは違う土俵で勝負したい
コンセプトは“ほどよい和”
外国人客に人気の理由
今後の課題


――旅館の3代目だそうですね。「庭のホテル」開業に至る経緯を教えてください。

1935(昭和10)年、祖父の代にこの地で旅館経営を始めました。商用向けの旅館です。昭和40年代には父の代でビジネスホテルに業態転換。「東京グリーンホテル」といいます。これが大成功で、開業当初から稼働率が高く、とても繁盛したそうです。当時、ビジネスホテルの走りだといわれました。
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1990年代にバブル経済が崩壊すると、必要最低限のサービスと施設でコストパフォーマンスの高い宿泊特化型ホテルが続々登場。弊社の業績は徐々に悪化していきました。私が入社したのがちょうどその頃で、1994年のことです。2000年代に入ると、施設も老朽化してきたので、父がかつて取り組んだように新しい業態にリニューアルしなければならないと考えていました。ただし、宿泊特化とは違う土俵で勝負したいという思いがありました。弊社は大手チェーンのようにスケールメリットで勝負ができませんから。

そのためには、なにか特徴がなければなりません。個性的なホテルでなければ。そこで結論に達したのが、「美しいモダンな和のホテル」というコンセプトでした。

――それはどんなコンセプトなのですか?

ひとことでいえば、「上質な日常」を提供するということです。開業前、よく都内の外資系ラグジュアリーホテルを視察しました。その多くは「和モダン」をコンセプトにしていましたが、「これって本当に和かな?」と思ったのです。やはり日本人としてホッと落ち着く、“ほどよい和”でなければと思いました。日常の感覚からかけ離れた和ではなく、いまの日本人の生活の中で心地よいと感じるものでなければならない。そう考えると、「客室は畳じゃないな。でも障子越しのやわらかな光がさしこむ客室がいい。そこはモダンなデザインにしたい……」。だんだんコンセプトが見えてきたのです。
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「和のホテル」には、四季の感じられる庭があることが重要だと考えていました。1階の日本食とフレンチのレストランの間に雑木林のような中庭を置きました。借景として庭を眺めながら食事ができます。これは旅館時代やビジネスホテル時代から採り入れていたものです。でも、ネーミングも「ガーデンホテル」では和のコンセプトが伝えられないので、「庭のホテル」にしました。
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――日本人にとっての“ほどよい和”を追求したといいますが、外国人客が多い理由は?

いろんな方からよく聞かれる質問なんですが、何か特別なことをしているわけではないんです。ところが、思っていた以上に来てくださった。開業からわずか半年でミシュランガイドに掲載していただきました。日本人にとっての“ほどよい和”を目指した結果として、それが外国の方にウケているのかもしれません。
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外国人客の比率は、開業当初の目標3割をはるかに上回り、いまでは5割前後。桜の季節には7割になります。団体ではなくFIT。 商用というより観光客の割合が高い気がします。予約はインターネット経由がほとんど。宿泊客のトップはアメリカです。それから台湾、オーストラリア、イギリスの順で、国籍は50ヵ国以上になります。トリップアドバイザーなどでの口コミの影響が大きいようで、お客さまがいいコメントを載せてくださるんです。

水道橋というロケーションも、外国のお客さまには人気の理由となっているようです。駅からも近く、新宿や東京駅へも電車で10分ほどですから観光の拠点としては非常に便利ですし、皇居や秋葉原などへ歩いて行かれるんです。

――外国人客向けの課題や今後の展望についてどうお考えですか?

正直なところ、ノープランなんです。実際、こんなに外国の方がいらっしゃるとは予想していませんでしたので、英語の得意なスタッフを増員したくらいです。特にインバウンド対応の専門スタッフがいるわけではありません。

これも特別なことではないのですが、外国のお客さまは平均3泊4日と連泊される場合が多いので、スタッフとお客さまの距離が近い。声をかけられることも多いので、お一人おひとりに丁寧に接客することでしょうか。アットホームな雰囲気づくりを心がけています。

お正月には毎年ロビーでお餅つきをします。外国のお客さまにも大変好評です。昔、武家屋敷が立ち並んでいた水道橋周辺には江戸から明治にかけて名所が数多く残っていることから、それらをめぐる町歩きや、和に関してのイベントを定期的にやっています。まだ日本人のお客さま向けの内容ですが、今後は海外のお客さま向けの町歩きイベントも企画してみたいですね。
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株式会社UHM
東京都千代田区三崎町1-1-16
http://www.hotelniwa.jp
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<取材後記>
「庭のホテル」にはハードとソフトの両面でさまざまなこだわりがあります。挙げればきりがありませんが、たとえばエントランスの巨大なあんどんのような照明や、客室の枕元を照らすヘッドボードなど、和紙を通して放たれる柔らかい光がホテル全体を包んでいます。京都の雅というより、江戸のスッキリした和がコンセプトとなっているそうです。スタッフが外に出入りしやすいように、ロビーのフロントをアイランド形式のカウンターにしているところも、シティホテルのもつクールさとは違い、スタッフと宿泊客の距離を縮めています。昭和初期から日本のホテル近代史の最先端を歩み続けてきた同ホテルの3代目には、押しつけがましくなく、細部にこだわるという和のおもてなしの心が生まれながらに身についているようです。

「特別なことをしているわけでもない」と言いますが、結果として外国人客の嗜好やニーズにぴたりとハマッたといえるのでしょう。それは、まったくジャンルは違いますが、以前このコーナーで紹介した「ロボットレストラン」などにも通じるところがあるのではないでしょうか。主な観光スポットが東に偏っている東京において、水道橋という都心のロケーションの持つ重要性についても、外客誘致を考えるうえでのヒントがあるように思います。
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by sanyo-kansatu | 2014-02-13 08:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 11月 16日

【続編】「ロボットレストラン」はなぜ欧米客に人気なのか?

新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」はなぜ欧米客に人気なのでしょうか。「やまとごころ.jp」のインタビュー記事で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。

まず、『女戦~ジョセン~』のダンスショーの内容と構成について、もう少し詳しく見せちゃいましょう。ショーは2013年11月現在、以下の5部構成です。ダンサー兼社長の大澤奈美恵さんも語っているように、ショーの内容は随時リニューアルされているそうです。

①女性ダンサーによる和太鼓演奏
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和太鼓から始まるショーって悪くないですね。ジャパネスクな感じで、カッコいいと思います。

②「バーレスク」のショー
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これもなかなかステキです。なぜか大澤さんがポールダンスを披露しているところが面白いです。

③「太古の森」を舞台にしたロボット対戦(森の住人と宇宙から来たロボット軍団との戦い)
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この設定はかなり唐突ですが、女の子がロボットを叩きのめすシーンは爽快です。欧米の女性客の皆さんも一斉にカメラを向けています。女の子が闘う姿は単純にいいですね。

④女性型ロボット「ロボコ」と女性ダンサーの共演
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これが圧巻のダンサーとロボットのダンス共演です。高さ3m超の巨大女性アンドロイド「ロボコ」の腕に抱かれ、踊り狂うダンサーたちの姿に、ぼくはしばし恍惚としてしまいました。

⑤フィナーレ「戦争パレード」:戦闘機と戦車に女の子が乗って踊る
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昔、『タンクガール』という映画がありましたが、そこから生まれたイメージを表現したもののようです。戦闘機の羽にぶら下がるダンサーの子が目の前を通り過ぎる瞬間、ぼくは思わずウォーと雄叫びを上げたくなりました(えーと、ちょっと欧米客のノリが伝染したのかもしれません)。

今回の取材に同行した「やまとごころ.jp」の此松武彦さんも話していましたが、この空間はいわゆる「芝居小屋」に近いと思います。一見派手なパフォーマンスが繰り広げられてるようで、どこか日本の小劇場的な空間が現出しているんです。加えていうと、AKB的な、なんともいえないゆるさもあります。ダンサーの女の子たちは、みんなどこか庶民的な親しみがあって、彼女たちがロボットと一緒にはじけている光景は、まるで近未来の“祭り”のようです。実は、それがロボットレストランの最大の魅力ではないか、とぼくは思います。

さらに、大澤さんも語っていますが、とにかく欧米客の素直な盛り上がりぶりは好感度が高いです。観客には、カップルの姿が目立ちます。親子連れもいます。
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4番目の演目が終わったあとに、記念撮影タイムが設定されています。欧米客の皆さんはロボットたちと記念撮影に興じます。いかにもオタクっぽい人もいます。
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ちなみにお弁当の中身はこんな感じです。東京には欧米のようにショーを観ながら食事を楽しめるエンターテイメントレストランがあまりありません。
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以下は、ロボットレストランの営業担当者が教えてくれた都内のショーレストランですが、ぼくにはどれもそれほど斬新な感じがしませんでした。なぜでしょう。実際に観なくてもだいたい中身がわかってしまうような気がするからです(本当はそうではないかもしれませんけれど)。

六本木香和
http://www.kaguwa.com/
明治時代の遊郭をイメージしたショー

六本木金魚
http://www.kingyo.co.jp/
いわゆるニューハーフショー

ロボットレストランの面白さは、ショーの内容だけでなく、店内の内装の奇抜さにあります。実は、隣接するガールズバー「ギラギラガールズ」に限りなく近い世界があるのも確かです。この界隈にいる客引きに話を聞くと、「ロボットレストランは評価が2つに分かれる」とのこと。きっとガールズバーのお楽しみを期待した客は、ロボットレストランでは裏切られたという感じを持つからでしょうね。

ショーである以上、客は見る側、ダンサーは見せる側。彼女たちとの交流は基本的にないわけですから。しかし、そういう男心をくすぐる期待感も含め、エロとパッションが渾然一体とした歌舞伎町らしさこそ、面白い。見てください。この奇態な空間に白人の女の子が紛れ込んでいる姿はなかなか絵になると思いませんか。
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ギラギラガールズ
http://giragiragirls.com/pc/

ショーの前後で楽しめる待合室もなかなかおかしくていいです。猫耳のウエイトレスも悪くありませんが、注目は給仕を担当するロボットです。
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さて、話は変わりますが、インタビューの中で大澤さんは、オープン時に「日本のメディアより先に海外のメディアが取材に来た」と語っています。欧米メディアは「ロボットレストラン」をどんな風に報じているのでしょうか。以下、ネットで読めるものを紹介しましょう。なにはともあれ、彼らが報じたから、この店は欧米客であふれているのですから。

“Peer into Japan’s raunchy robot restaurant”
(Smart Planet(アメリカ) 1 August 2012)
http://www.smartplanet.com/blog/smart-takes/peer-into-japans-raunchy-robot-restaurant/28069

“The Robot Restaurant in Tokyo”
Nippon News(東京にある外国向け通信社)20 November 2012
http://www.nipponnews.net/en/bizarre/the-robot-restaurant-in-tokyo/

“Japan's raunchy restaurant uses 'fembots' instead of woman to dance for customers – and to watch them perform costs just £25”
Mail Online(イギリス)18 February 2013
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2280465/Japans-raunchy-restaurant-uses-fembots-instead-woman-dance-customers--watch-perform-costs-just-25.html#%E2%80%A6

“Toyko: Food. Fun. Fashion.”
Hollywood on The Potomac(アメリカ) 24 June 2013
http://hollywoodonthepotomac.com/?p=31772

「セクシーアンドロイドが踊る、ロボットレストランは東京のパラダイス―米国記者レポート」
International Business Times(アメリカ) 2013年10月14日
http://jp.ibtimes.com/articles/50152/20131014/335992.htm?utm_source=twitter&utm_medium=official&utm_campaign=jpibtimes

ざっと読んでみて、「ひわい」「みだら」「セックスアトラクション」といった一見ネガティブな評価が目につきます。基本的に、日本の伝統的なイメージ「フジヤマ、ゲイシャ」的な好奇心がベースにあることがうかがわれます。まあいいんじゃないでしょうか。

実際、今年10月に来たというアメリカのWired.comの取材陣は、ショーを観た後、「女性の露出度が激しいのでは? 嫌がるお客様もいるのではありませんか。欧米人から見ると下品と観られるかもしれませんよ」だなんて、ロボットレストランの広報担当者に言ったそうです。確かに、彼女たちの露出度は高いですからね。
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なんだよ、優等生ぶるなよ、とぼくは思いましたね。白人メディアのにわかピューリタン的なスタンスって感じ悪いですよね。でも、その広報担当者ははっきり答えたそうです。「私たちは自分たちのやり方を変えるつもりはありません」と。なんだか頼もしく思ったものです。

もちろん彼らはそれだけの話に終わらせるつもりはありません。基本的には面白がっているからでしょう。『ブレードランナー』や『オースティンパワーズ』『トランスフォーマー』などの自前のハリウッドSF映画を持ち出して、ロボットレストランのショーの魅力を一生懸命解説しようと努めてくれています。『オースティンパワーズ』といえば、おっぱいから機関銃が飛び出すセクシーな女性アンドロイドのfembotsが有名です。そういうバカバカしさの延長線上でロボットレストランを解釈しようとしながらも、ロボットという意匠が放つ「ハイテク・ジャパン」という近未来のイメージと交錯もする。でもやっぱり露出度の高いお色気ダンサーのかわいさもあいまって、とにかくこんなイカした(イカれた?)空間は日本にしかないと観念するというような書きぶりでした。なかには「島国日本の古来からの儀式に思いをはせた」というコメントもあり、これはなかなか鋭いと思いましたね。

英語の記事でいうと、日本で発行されている「WAttension」というフリーペーパーの記事が詳しかったです。きっと海外から来た先入観たっぷりの記者ではなく、日本に住んである程度日本の文化状況に詳しい記者が書いたからではないでしょうか。

WAttension
http://www.wattention.com/

唯一、香港の記事もありましたが、正直いってつまらない内容ですね。もちろん、アジアにもオタクはいるのは確かですが、かの国々のメディアの人たちは、戦後いやというほどアメリカンカルチャーを吸収しつくして開花した日本のポップカルチャーに対する理解、そもそもの現代日本の文化的背景について、まだまだ認識が足りない気がします。きっとまじめすぎるんですね。

「另類日本遊」
壹週刊(香港)2013年10月3日
http://hk.next.nextmedia.com/article/1230/17068490

とはいえこれをもって、ロボットレストランに対する海外メディアの反応は「Cool Japan」だなんて、言っちゃダメだと思います。いえ、まあ言いたきゃ言ってもいいけど、最近このことばがとてもカッコ悪く聞こえるからです。

自己陶酔的なものを感じ、ちょっと引いてしまうのです。だって、もし誰かから「キミ、クールだね」って言われたとしても、そんなのスカして無視するのがフツーでしょう。「ボクってクールでしょ」なんて自分から言うのは、断然カッコ悪いと思う。

ショーが終わったあと、ある西洋人のカップルの若い男性が思わず興奮気味に上げた声が印象的でした。「なんてcrazyなんだ!」。そうです。そういう率直な感想でいいんです。

実は、昨年7月、ロボットレストランがオープンした直後、日本の雑誌メディアもずいぶん取材に来たそうです。その内容については、公式サイトで見ることができますが、ざっと見た感じ、単なるキワモノ扱いなんですね。そういう見方しかできなかったため、日本人の来店は少なかったのではないでしょうか。

ロボットレストラン公式サイト
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php

ロボットレストランの広報担当者によると、「日本のテレビの地方局に出させていただいこともありましたが、日本ではまだうちの認知度が低いと感じた」そうです。

でもこの日本のメディアの不感症な感じ、よくわかるんです。ロボットレストランの面白さをどう理解していいかわからなかったのでしょう。

それは彼らが外国を旅する人の気持ちを理解していなかったからだと思います。

それはこういうことです。アジアのナイトライフには、バンコクやマニラにあるようなお色気たっぷり、乱痴気騒ぎが付き物です。その世界は、欧米メディアの記者だってよくご存知のはず。しかし、いまの東京にはそういう見世物的な空間が意外に少なかった(外国人が気軽にアクセスできる場所という意味です)。

旅に出ると、人は非日常に惹かれます。だから、ふだんはそんないかがわしい場所に行かないような人でもゴーゴーバーに繰り出すものです。

ロボットレストランはまさにそんな非日常の世界でしたから、欧米客は一斉に足を運んだのです。確かに露出は激しいけど、ニッポンの女の子はどこか幼さも感じられて、セクシーさもきつくない。カップルで訪れた欧米の女性もなんだか許せる気がしたのではないでしょうか。

大澤さんは言います。「なぜ歌舞伎町にオープンしたかというと、日本の疲れたサラリーマンを私たちのダンスで元気づけよう」と。でも、ちょっと内容がぶっ飛び過ぎていたのです。だから、サラリーマンにはウケなかったものの、非日常を求めていた欧米客にウケたのです。

店の外では、欧米客がチケット売り場に並ぶ姿が見られますが、まるでバンコクのパッポン通りのようではないですか。
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今回、ロボットレストランを訪ねて思ったのは、西新宿の焼肉屋『六歌仙』と似ているなあということです。タイ人観光客に大人気の店です。似ているというのは、この店もまったく外国人受けを考えておらず、自らの正しいと信じる道を歩んでいて、それを評価した外国客の口コミで人気となったことです。

訪日外客の誘致も、このあたりにひとつのヒントがあるのかもしれません。

最後に、ロボットレストランの宣伝カーを紹介しましょう。ぼくも新宿3丁目界隈で、この宣伝カーを何度も目撃していました。今では都内のけっこういろんな場所で見られるそうです。2体の「ロボコ」が街を凱旋するきてれつぶりがいいですね。
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そして、㈱ジョセンミュージアム取締役社長兼ダンスチーム女戦(josen)のリーダーで、ショーの演出・構成を手がける大澤奈美恵さんのここだけの個人情報。出身は埼玉県で、前職はアパレルショップで働いていたそうです。とても可憐なニッポン女子です。
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by sanyo-kansatu | 2013-11-16 11:32 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 11月 15日

歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか?

10月中旬、インバウンド(訪日外国人旅行)サイト「やまとごころ.jp」の仕事で、新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」を取材しました。とても面白いスポットだったので、以下その記事を採録します。

やまとごころ.jp「ロボットレストラン」インタビュー
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/2013/index06.html
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新宿歌舞伎町に、毎夜外国客であふれる秘密のレストランがある。キュートなニッポン女子ダンサーチーム《女戦~ジョセン~》と巨大アンドロイドによるダンスショーが楽しめる「ロボットレストラン」だ。2013年9月現在、延べ6万9000人の来場者の多くは欧米からの観光客。なぜこの異次元アミューズメントレストランにこれほど多くの外国客が夜毎足を運ぶのか。ダンサーでもある社長の大澤奈美恵氏に話を聞いた。

――ロボットレストランのショーのコンセプトを教えてください。

巨大ロボットと女性ダンサーによる、世界でもオンリーワンのダンスショーをお楽しみいただけます。当レストランにはふたつの顔があります。ひとつはロボットで、高さ3.4mの巨大女性アンドロイド=通称『ロボコ』や、アメリカからやってきたロボット『KING ROBOTA』、小型のロボットダンサーなどがいます。もうひとつが総勢30名のダンサーチーム『女戦~ジョセン~』です。彼女たちは和太鼓を打ち鳴らし、異次元空間を行き交いながら、戦車や戦闘機に乗ってロボットと一緒にダンスパフォーマンスを繰り広げます。
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日本人のみならず、海外からも多くのお客様が訪れています。著名人では、『バットマン』のティム・バートン監督や『スター・トレック』のJ.Jエイブラムス監督、『パシフィック・リム』のギレルモ・デルトロ監督らがご来店いただいています。2013年9月現在、来店者数は延べ6万9000人になりました。
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ショーの構成や演出は、私自身で担当しています。「日本一の歓楽街であるはずの歌舞伎町もいまやシャッター通りになってしまった。強くて美しい女性が世界を元気にしなくては!」というのがコンセプトです。そこになぜロボットかというと、近未来のイメージを打ち出したかったからです。女性ダンサーと一緒にロボットが踊って見せたら面白いじゃないですか。世界中探しても「ここだけにしかないもの」を創りたいと考えていたのです。
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約1時間のショーにお弁当とソフトドリンク付きで料金は5000円です。アルコールなどのドリンクは追加注文できます。ショーは1日3回。その前後は、ロボットや女の子のウエイトレスのいる待合室でおくつろぎになれます。店内の装飾は、スタッフ自らがおもしろいというものを海外で見つけて買い付けました。店内のメンテナンスや営業、広報もすべて自社で行っています。
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――お客さんの反応、楽しみ方はどうですか?

ショーがはじまると、みなさんノリノリです。海外のお客様は比率でいうと欧米の方が多く、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアの方たちがメインですが、盛り上がり方がアジアのお客様と全然違います。それに便乗して日本人も盛り上がってくれます。日本人のお客様は都内の方が多いように思います。
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東京のナイトライフにはこういうショーが楽しめる場は少ないのかもしれません。大型アミューズメントショーレストランとしては、六本木に明治時代の遊郭をイメージした『香和』やニューハーフショーの『金魚』がありますが、うちとはコンセプトが少し違います。

――外国人客はいつごろからどうやって来るようになったのですか?

オープンは2012年7月18日ですが、実は海外のお客様はわりとすぐにいらっしゃいました。正直なところ、海外の方がこんなにたくさん来るとは、まったく想定していませんでした。

日本のメディアより先に海外のメディアが大勢取材にいらっしゃったんです。最初に来たのは、ドイツやアメリカ、イギリスのメディアでした。オープン当初は日本の雑誌にも紹介されたのですが、来店してきたのは、むしろ欧米のお客様だったんです。

欧米メディアの一部はネットでも読めますが、「ブレードランナー」とか「オースティン・パワーズ(007シリーズのパロディ)」のfembotsのようにハリウッドSF映画のキャラクターにうちのショーのイメージを重ねたものや、ダンサーのセクシーさを強調するものなどいろいろです。

外国のお客様はたいてい口コミでうちを知るようです。おそらくメディアの記事やネットを見て、ホテルのコンシェルジュに場所を聞いてご来店されるのでしょう。弊社では女性ロボットの『ロボコ』をトラックに載せて都内を走らせ宣伝しているのですが、そのトラックを見て「なんだろう?」と思われて、あとを付いてきて来店されたというお客様もいました。

ありがたいのは、来店されたお客様の多くがFacebookに書き込んだり、トリップアドバイザーに載せてくださったりして、知らず知らずに知名度が広がっていったことです。いまは空港や観光案内所などに置かれている英語のフリーペーパーに広告を出して、それを手に取られたお客様が……、といった流れでご来店いただいています。
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昨年11月、うちに来店された観光庁の方から新宿のPRビデオの制作のお仕事をいただき、ワンシーンで当レストランを紹介させていただいたこともあります。
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JAPAN VIDEOS Shinjuku
http://www.visitjapan.jp/en/m/player/?video=72

――今後の展望はどうお考えですか?

すべてが“後付け”なんです(笑)。オープン前には外国人向けのPRをするなんて考えていませんでしたから。

今後の展望ということですが、リピーターのお客様に喜んでもらえるよう、ショーの内容を不定期ですが、新しいロボットを登場させたり、ワイヤーアクションを取り入れたりと、どんどん進化させていくつもりです。

このショーを国内外に関わらず、どこかに出店させたり、輸出したりという考えはありません。実は、海外で出店しないかという話を持ちかけられたことはあります。でも、「絶対ここ(歌舞伎町)でしかやらない。支店もいっさい出す考えはない」とはっきりお断りしています。私たちの自慢は「ここだけにしかないもの」をやるということだからです。

自信を持っていいたいのですが、今日ショーをご覧になったら、絶対お友達に紹介したくなると思いますよ。

「ロボットレストラン」
東京都新宿区歌舞伎町1‐7‐1 新宿ロボットビルB2F
TEL:03-3200-5500 営業:18:00〜23:00(予約9:00〜22:00)
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php
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他にも興味深いエピソードが盛りだくさんの「ロボットレストラン」。ここで触れられなかったこぼれ話は次回紹介します。

※この1年後、ロボットレストランを再訪しました。その様子は、以下のレポートで。

1年ぶりに再訪。ロボットレストランの客層が変わった!?
http://inbound.exblog.jp/23664029/
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by sanyo-kansatu | 2013-11-15 15:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 07月 02日

東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります

ぼくの仕事場のある東新宿は、都内でも知る人ぞ知る外国人観光客の出没エリアのひとつです。新宿といえば、西新宿のホテル地区が有名で外国人宿泊客が多いのは事実ですが、東新宿には宴会施設を伴わない、いわゆる宿泊特化型と呼ばれるリーズナブルな価格帯の中型ホテルがたくさんあるからです。
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そこには、欧米の個人旅行客が多く宿泊しています。東新宿は繁華街から通りをはさんでいて、意外に閑静な住宅街なのです。新宿5-6丁目界隈に集中している外国人客の多いホテルを訪ねてまわったので、簡単に報告します。

東新宿を代表するインバウンドホテルは老舗の東京ビジネスホテルです。
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顧客担当の方に話を聞いたところ、同ホテルは圧倒的に欧米客が多いとのこと。確かにロビーでは欧米客を何人も見かけました。

「うちは昔から欧米客が多いんです。皆さん口コミで訪ねてくる方ばかりです。名前がわかりやすいですからね。ただ駅から少し遠くてわかりにくいので、ホームページは日本語対応だけですが、地図をプリントアウトして来られるようです。

なにしろ西新宿のホテルに比べると宿泊料金は半分(1泊4100円~)ですから、個人で長期滞在される方が多いです。うちを拠点に箱根や京都に行ってこられる方もいます。いわゆるバックパッカーっていうんですか。そういう若い方も多いです」

同ホテルでは自前の英語のホテル周辺マップを用意していました。冒頭の写真はその一部で、手書きで書かれたものです。今回訪ねたホテルのうち自前の英語マップがあったのは、ここだけでした。

●東京ビジネスホテル
新宿6-3-2
http://tbh.co.jp/(2013年当時は日本語のみ。15年現在は英語ページあり)

東京ビジネスホテルのはす向かいにあるのが、やはり外国客の多いホテルリステル新宿です。ロビーには欧米の宿泊客がふたり座っていました。フロントの方に尋ねたところ、最近はアジア客のツアーでの利用が多いとのこと。中国本土や韓国客だそうです。
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●ホテルリステル新宿
新宿5-3-20
http://www.listel.co.jp/(日英中韓)

ホテルたてしなは、創業50周年の老舗ホテルですが、外国客が多いことで知られています。フロントの方によると、「日本のお客さまも多いですが、閑散期には外国客のほうが多くなることもあります。アジアのお客さまも増えています。海外からの予約はエクスペディアなどを使ったネット予約が大半です」
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●ホテルたてしな
新宿5-8-6
http://tateshina.co.jp/(日英)

明治通りに面したホテルサンライト新宿は、他のホテルと比べると外国客比率はそれほど高くなさそうですが、今回訪ねたとき、フロントで金髪の若い女性客がチェックインしているのを見かけました。
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●ホテルサンライト新宿
新宿5-15-8
http://www.pearlhotels.jp/shinjuku/(日英)

2012年2月にオープンしたヴィアイン新宿は、東新宿界隈で最も新しいホテルです。1週間ほど前、タイ人のツアー客がホテルに入る姿をたまたま見かけたことがあります。
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●ヴィアイン新宿
新宿5-11-16
http://shinjuku.viainn.com/(日本語のみ)

東新宿には、他にもホテルサンルート東新宿http://www.sunroutehotel.jp/higashi-shinjuku/と、E Hotel http://www.ehotel.co.jp/という外国客の多いシティホテルがあります。それらについては、またあらためて。以下は、新宿5-6丁目以外の東新宿界隈のホテルです。

新宿ホテルパークインは、新宿1丁目と2丁目の境の通りに面しています。フロントで尋ねると「外国のお客さまは多いです。最近は中国の方が増えています」とのこと。
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●新宿ホテルパークイン
新宿1-36-5
http://www.shinjuku-hotel.com/(日中韓)

最後に異色のホテルを紹介します。Apartment Hotel Shinjukuといいます。客室は1泊5000円からとリーズナブルです。このホテルは、都立新宿高校の裏手にある「新宿4丁目ビジネス旅館街」の一画にあります。地元新宿のタウン誌の人に「新宿4丁目に外国人客の泊まるホテルがあるらしい」と聞いたので訪ねてみたのですが、その周辺はいわゆるビジネス旅館が集中する地区で、独特の雰囲気があります。
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フロントは不在で、話を聞くことはできなかったのですが、同ホテルのホームページを見ると、アンティークショップと提携してアンティーク雑貨をエントランスで委託販売しているそうです。かなり凝った趣味のホテルで、欧米客が好みそうでした。実際、このホテルから欧米客が出てくるのも見ました。今度時間があったら、あらためて訪ねてみようと思います。
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7月5日の午後、再び同ホテルの近所を通ったのでフロントを覗くと、ひとりの男性がいて、少し話を聞くことができました。このホテルは、やはり外国客が多いそうです。

その日、ホテル内のスペースを使って古物市をやっていました。「日本国内で発掘されたアンティークやブロカント、バブル期もしくはそれ以前に国内に持ち込まれた海外アンティークが200点以上」あるそうです。今後、ホテル内にカフェなどの飲食施設ができると(現在準備中とか)、ちょっと面白いスペースになりそうです。

●Apartment Hotel Shinjuku
新宿4-4-10
http://ap-shinjuku.com/ (日英)

これらのホテル群は、個人旅行者を相手にしているので、フロントも最低限の宿泊まわりのサービスだけで、西新宿のシティホテルのようなコンシェルジェ機能はありませんが、それでなんら問題ないようです。宿泊客は自らネットを活用し、東京滞在を楽しんでいるようです。

ホテル周辺に、宿泊客らがたまり場にしているような特定の飲食店やバーなどがあるのか、ちょっと気になります。新宿1~3丁目には、欧米客が好むようなしゃれたカフェやナイトスポットもいくつかありそうですが、特定のスポットが東新宿の個人旅行者のたまり場になっているかどうかは、おいおい探してみようかと思います。

ところで、欧米の個人客の多い東新宿が「新しい外国客向けホテル地区になりつつある」というのは、最近ニューカマーとしてアジアからの個人客も増えてきたからです。東新宿では、香港や中国本土、東南アジアからの個人客が、新宿3丁目や東新宿の地下鉄駅から重いスーツケースを引きずり、ガラガラ音をたてながらホテルに向かって歩いている姿をよく目にします。

なにしろ東新宿は、明治通りをはさんで「アジア最大の歓楽街」こと歌舞伎町や伊勢丹、丸井などのある新宿のショッピングエリアに近いという絶好のロケーションです。アジア系個人旅行者の急増で、これから東新宿がどんな街に変貌していくのか、ウォッチングを続けていこうと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-02 18:40 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 06月 27日

タイ人観光客に西新宿の焼き肉店「六歌仙」が人気の理由

6月下旬、外務省はタイとマレーシアの訪日観光ビザを7月1日から免除することを発表しました。

タイ国民に対するビザ免除(外務省)2013年6月25日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

今年に入って、確かにタイからの観光客は増えています。では、いったいタイの観光客はどんな日本旅行を楽しんでいるのでしょうか。

ここ数日、ぼくはタイ客を扱うランドオペレータ―を中心に取材していたのですが、ちょっと面白い話を聞きました。

西新宿にある焼き肉店「六歌仙」が、タイ人観光客に大人気だというのです(あとで聞いたら、すでにテレビで紹介されたこともあるそうです)。

六歌仙
http://www.rokkasen.co.jp/

今週月曜日、「六歌仙」の磯見幸成社長にお話をうかがう機会がありました。以下、その採録です。

―タイのお客さんが来店するようになったのはいつごろからですか?

「10年くらい前からでしょうか。実は最初、タイ人とは気づいていませんでした。東南アジアからのお客さまがいらっしゃるな、というだけで。お客さまはたいていガイドが連れてくるんです。そのうち、だんだん団体で予約が入るようになって。それがタイから来たツアーのお客さまだとわかったのは、5年くらい前からでしょうか」

―なぜタイのガイドさんは貴店にお客さまを連れてきたのでしょうか?

「ガイドさんの多くは日本に住むタイ人ですが、自分が来店しておいしいと思ったからでしょう。一般にタイはインセンティブのお客さまが多いので、たいてい少人数で来店されます。タイに進出した日本企業の関係者が多いのですが、なかにはタイの政財界のVIPの方もいらっしゃいます。彼らの口に合うかどうかは、すべてタイのガイドの店選びのセンスにかかっているから彼らも真剣なんです。おかげさまで、当店はタイのお客さまに選んでいただけたということでしょう」

―タイ人客の人気メニューは何ですか?

「おひとり様6500円の食べ放題コースです」

―昨今の焼き肉食べ放題の激安ブームのなかで、かなりお高いですね。

「タイのお客さまはおいしいものにはお金を惜しまないそうです」

―タイ人向けの特別なサービスはあるのですか?

「特にはないのですが、料理を出すとき、ちょっとダイナミックな感じに演出してお出しすることでしょうか。ちまちましたやり方ではなく、食べ放題ですから、その場を盛り上げる工夫をすることで、お客さまに喜んでもらえる。実は、ガイドがそうしてくれと言うんです。ガイドにとっても、自分が店に指示を出してサービスさせているという特別感をお客さまに見せることで面子が立つようです。こちらもそれがわかるので、それに合わせています。やはりガイドとの信頼関係がいちばん大切ですから」

―タイ客の来店はどの時期が多いのですか?

「一般にタイの旅行シーズンは4月と10月だそうですが、最近は1年中いらっしゃいます。タイには3回お正月があるというそうです。元日と中華系の旧正月(1月下旬~2月)、そしてソンクラーン(4月)というタイの旧正月です。今年は前倒しで3月に大勢いらっしゃいました。一度に100名もの団体が予約されたこともありました」

―タイ人に貴店が人気の理由は何だとお考えですか?

「タイ人は日本食が好きなんです。タイにはたくさんの日本食店がありますが、本場で食べたいと思う気持ちが強いそうです。食べ放題は金額を気にしないで食べられるので安心。味は保証つきですから、ガイドによる口コミで広がっていったようです」

―お店の入り口にタイのインラック首相が来店されたときの写真が飾られていますね。

「それは昨年4月21日の日本メコン会議で来日されたときのものです。実は、首相はこれまで何回もお忍びで当店にいらっしゃっていたそうです。最初のころは、私もそれに気づいていませんでした。そのうち、タイの大使館から直接予約が入るようになって、あるとき、それがインラック首相だと知ったという次第です。お兄様のタクシン元首相も来店されたことがあります」
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―すごいですね。首相のお墨付きとあれば、タイの皆さんも喜んで来店されることでしょう。

「実は、今年5月に来日されたときにもいらっしゃっています。そのとき、私は首相にお手紙を渡しました。3.11のとき、タイは発電機を日本に支援してくれているんです。それを感謝するという内容を、知り合いのタイ人にタイ語で書いてもらってお渡ししたんです。すると、首相は同じ年の11月タイで洪水が起きたとき、日本からたくさんの支援をしていただき、こちらも感謝しているんですよ、とお話になりました。

最近はタイのテレビ番組でも当店はよく紹介されるようになりました。先日もタイのお笑い芸人さんが来て、日本の着物を着崩したりして笑いをとっていました。日本のバラエティ番組はタイではよく再放送されるそうです。昔テレビ東京の番組で当店を紹介してもらったことがあるのですが、それを観たというお客さまもいました。いまでは東京に来たら、六歌仙に行きたい、と多くのタイの方が言ってくださるそうです」

バンコクで発行されているフリーペーパーに掲載されたタイ人女性の「六歌仙」訪問記 ↓
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―ところで、磯見社長は店の宣伝のために、タイに行かれたことはあるのですか?

「実は一度も行ったことないんです。ですから、これまで話したことはすべてタイのガイドから聞いた情報です。

タイのお客さまはとても礼儀正しくて、親日的です。日本という国をまっすぐに見てくれる。きっと憧れを持ってくれているのでしょう。

最近では、タイの旅行会社の人も、ホテルの予約の前に、まず六歌仙に予約を入れる、なんて話も聞きます。タイのツアーは最後に東京に寄るコースが多いそうで、日本の最後の食事は当店で、とおっしゃってくださいます。確かに、他の飲食店に比べ当店は高めですが、最後の食事ということで、楽しみにしてらっしゃるそうです」

一般に中国からのツアー客は焼き肉も1500円程度の食べ放題店しかまず行かないと聞きます。ツアー代が安いため、一回の食事代からそれ以上の金額を捻出できないからでしょう。一方、タイからの日本ツアーは同じ滞在日数でも、中国人ツアーより料金は2倍くらい高いようです。逆にタイ人は少々高くてもおいしい店に行かなければ、クレームになるそうです。

磯見社長は言います。
「当店は創業28年ですが、安売りはしないことをモットーにしてきました。肉にはコストを惜しみません。私が社長に就任したのは4年前ですが、広告費はHPをつくったくらいで、いっさいかけていません。原価(の高さ)は保険代という考え方です」

外食産業のデフレ化が進むなか、同店で起きた「気づいてみたらタイ人客で満員御礼」という現象は、とても興味深い話といえます。店の格式とか伝統、内装デザインにはこだわらず、親しみやすさと何より味覚の好みを重視するタイ人客の存在は、中国本土客とは明らかに異なる客層といえそうです。国・地域によって求めるものがまったく違う。これこそ、インバウンドの面白さだと思います。

もっとも、社長によると、最近では香港客も増えているそうです。外国人同士の口コミなどを通じて店の価値が伝われば、タイ人以外のアジア系の人たちも来店する可能性はありそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-06-27 11:57 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2012年 04月 16日

中国人団体ツアーの「オプション」――新宿歌舞伎町案内

東日本大震災から1年を経て、ようやく中国人団体ツアー客は戻ってきたようです。そこで、あらためて中国人団体ツアーの「オプション」の実態、すなはち安すぎるツアー代金をガイドが埋め合わせをするため、ツアー行程内のあらゆる観光や市内散策を「オプション」と称して別料金を徴収する悪名高い実態のひとつの代表例とされる新宿歌舞伎町散策を報告します。

これは2011年7月8日午後7時頃、ぼくが偶然彼らの姿を見かけて、こっそり後をついていったときに撮ったものです。散策時間は約30分。関係者らの話では、この歌舞伎町散策に、ガイドはツアー客ひとり当たり1000~2000円の追加料金を取るといわれています。

「アジア最大の歓楽街」といわれる新宿歌舞伎町の夜は、中国客に限らず世界各国から来た好奇心にあふれる旅行者でにぎわっています。そこで旅行者たちが繰り広げる光景は、なんとも微笑ましいものですが、中国客だけがまるで通行料のように「オプション」を支払わされているのは、中国特有のビジネス慣行が日本であるにもかかわらず、まかり通っているからだということを確認しておきましょう。
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スタートは中国人経営の団体ツアー客専門料理店「林園」から
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いよいよ歌舞伎町に足をふみ入れます。最初に目に飛び込んでくるのは、派手なキャバクラやホストクラブの広告です
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交差点では突如ガールズバーの宣伝カーが通り過ぎ、ツアー客は一斉にカメラを向けました
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ホストクラブ密集ゾーンでは優男たちの顔写真を並ぶ大看板を皆さん物珍しそうに並んで眺めています
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あるクラブの店の前に並ぶツアー客。ガイドが店のシステムや料金などについて説明しています。若い女性客も参加しているツアーだけに、おじさんたちも抜け駆けはできないようです(ホテルに戻った後の自由行動のことは知りませんが……)
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皆さんがまじまじと見ていたのはこの看板
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いよいよツアーも終盤を迎え、歌舞伎町一番街の出口に近づいてきました。この近くには歌舞伎町案内人として知られる李小牧さんの経営する湖南料理店もあります
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歌舞伎町の入り口でバスの来るのを待つ皆さん
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バスが来ました。新宿の高層ビル群が見えます
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番外編ですが、ドン・キホーテの前にはタイ人のツアー客も見かけました
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by sanyo-kansatu | 2012-04-16 19:15 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2011年 11月 06日

新宿花園神社で見かけた中国系FIT(個人旅行客)

2011年11月2日、東京都新宿区の花園神社で酉の市があり、多くの参拝客でにぎわっていました。その日の夕刻、境内を訪ねると、福を呼び込むとされる「縁起熊手」を売る露店が出ていて、焼きそばやおでん、イカ焼きなどの露店もたくさんありました。立ち食いだけでなく、お酒と一緒に食事を楽しむ屋台もある。うれしかったのは、靖国神社のみたままつりのように、見世物小屋まであることです。日本の縁日はこうでなくっちゃ、と思いました。

熊手の露店で、中国系らしき(つまり普通話を使う)3人組の若い個人観光客を見かけました。その日は、中国ツアー客を乗せた団体バスは2台のみ(花園神社はインバウンドバス路駐スポットのすぐそばにあります)。時間帯が違ったのかもしれませんが、団体で小旗を振って縁日を練り歩く中国客は見かけませんでした。

おそらく一般の団体ツアーの中国系ガイドは、酉の市のような日本のローカルなお祭りに関する知識や理解はないでしょうから、わざわざそこにツアー客を案内することは躊躇したかもしれません。迷子にでもなったらまずいですしね。でも、FIT(個人客)なら、いったいこれはなんだろうと思って、縁日に引き込まれたことが考えられます。露店で熊手を「いくら?」「1000円」といった片言の日本語でやりとりする彼らは、酉の市を楽しんでくれたでしょうか。 

酉の市は、江戸時代から続く、もともとは秋の収穫を祝う祭り。現代の東京に暮らす日本人にとっては、秋の深まりを実感するひとときでしょう。

中国の若い世代の目にこういう世界がどう映るのか。日本に対する新しい理解や発見のきっかけになると面白いなと思ったものです。

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花園神社の境内にあふれかえる人ごみ


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熊手の写真を撮る中国系観光客


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最近の熊手ってこんな感じなんですね。でもこれなら中国の若い世代にも親しみがわきそうです
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by sanyo-kansatu | 2011-11-06 20:09 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)