ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 07月 23日

0泊2日上海“弾丸”旅行モデルコース(地下鉄&バス活用編)はこれだ!

前回まで、羽田発深夜便の話をしてきましたが、最後に「0泊2日上海“弾丸”旅行」のモデルコースを考えてみました。

羽田国際ターミナルは、深夜便の増加で外国客でごった返している!
http://inbound.exblog.jp/27004150/
羽田深夜便、ピーチの上海便に乗ると見えてくる上海人の訪日事情
http://inbound.exblog.jp/27005226/

ピーチの公式サイトでは、若い女の子向けのおしゃれな“弾丸”旅行のモデルコースを紹介していましたが、初めての上海旅行であれば、やはり上海らしい観光スポットは訪ねたい人も多いでしょう。

【ピーチ/上海】Peach 上海0泊1日 体験レポート弾丸編:おしゃれ上海
http://www.flypeach.com/destination/shanghai_girlstrip/dangan.html

そこで、以下、上海が初めての人でも無理なく楽しめる、しかもお金をなるべくかけずに地下鉄と観光バスを使ったモデルコースを提案します。ポイントは、上海市内を周遊する1日乗り降り自由の観光バスを賢く利用することです。
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コースの始点は、深夜便で上海に到着後、浦東空港から地下鉄2号線で「人民広場」駅を降りたところからにしましょう。

AM7:00
人民公園でひと休み


さすがに深夜便は疲れるので、「人民広場」駅を降りたら、人民公園のベンチでひと休みしましょう。いずれにせよ、観光地やショッピングモールはまだ開いていないので、動き出すには早いからです。地元の老人たちの太極拳でも眺めながら、木陰で仮眠を取るのもよし。
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お腹がすいたら、公園の北側にある南京西路の裏路地を探して、地元の食堂でワンタンの朝食を取るのもいいでしょう。
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明細001
浦東空港からの地下鉄代 7元
上海ワンタン 12元

AM9:00
2階建てバスで市内観光

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公園の西側の南京西路に面した場所に観光バス乗り場があります。バス会社は2社ありますが、春秋旅行社の1号線が最もポピュラーなコースをめぐるのでおすすめ。人民公園から南京路、外灘、豫園、新天地などを周遊します。運行開始は9時から。約20分おきにバスは出ます。眺めのいい2階の最前列に座りましょう。
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バスの2階席から租界時代の町並みを見下ろすのは面白いです。
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やがて外灘(バンド)に近づいてきます。上海マンションが見えます。
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外灘の和平飯店前でいったん停車します。ここで途中下車してもかまいません。
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対岸の浦東の高層ビル群が見えます。中国の威信をかけて建てた上海タワー(上海大廈中心)がひときわ高くそびえています。バスは中山東路を南に下り、豫園に向かいます。

明細002
観光バス30元(1日乗り放題)

AM10:00
豫園を散策


せっかくなので、豫園でいったん下車しましょう。中国式庭園の豫園や道教寺院の老城隍廟を囲むように、土産物屋や小吃(上海の地元グルメ)の店がひしめいています。
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いつも行列ができているのが、上海名物の小籠包の老店「南翔饅頭店」。
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ところで、豫園にはいくつもの美食街があるけれど、フードコートは作り置きのメニューが多く、おすすめできません。どうしても豫園で食事をしたいなら、豫園の南側にある上海老街のレストランを探すといいでしょう。

豫園から再び春秋旅行社の観光バスに乗って、新天地に向かいましょう。
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明細003
「南翔饅頭店」の小龍包 15 元

AM12:00
新天地で食後のお茶をする


新天地は昔ながらの上海の租界地区を再開発した、妙にハイソなスポットです。上海特有の石庫門と呼ばれる中洋折衷型の建築が残されていて、20分ほどあれば、歩いて回れます。正直なところ、ショップもレストランも高級店ばかりなので、昼食は周辺にあるショッピンモール地下のレストラン街などですませ、食後のお茶を楽しむのがいいかもしれません。
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今年1月にオープンしたくまモンカフェも覗いてみました。
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明細004
新天地のカフェ「The REFINRY」のカフェラテ 39元

PM2:00
水郷の町(七宝老街)を訪ねる


ここから先は、地下鉄で移動します。上海観光の定番メニューに郊外の水郷を訪ねるバスツアーがありますが、たいてい1日かかってしまいます。その点、市内から地下鉄で30分ほどで行ける水郷の町が七宝老街。地下鉄9号線「七宝」駅下車、徒歩5分。ただし、アクセスがいいぶん、観光客は多く、狭い路地を人がごった返しています。喧騒を逃れるには、水路沿いの茶館を見つけて、緑茶でもいただくといいでしょう。ここは静かです。
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明細005
新天地からの地下鉄代 4元

PM4:00
団子坊の路地を歩く


もともと地元のアート関係者が多く住んでいたことから、画廊や雑貨屋、カフェなどが集まってできた一角が田子坊です。狭い石畳の路地が入り組む構造や、いまだに住人もいることから生活感もあり、新天地より面白いかもしれません。七宝からそのまま地下鉄9号線「打浦橋」駅下車。
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七宝からの地下鉄代 3元

PM6:00
外灘の上海料理店で夕食


“弾丸”旅行の場合、たった1度の夕食をどこで取るかは、最重要ミッションといえるかもしれません。上海には高級レストランはいくつでもありますが、ロケーションも考えて、地元上海料理を味わうなら、外灘の「上海姥姥」がいいのではないでしょうか。場所は、地下鉄2号線「南京東路」駅から南に少し歩きますが、夕暮れ時の外灘散策を兼ねれば楽しめます。ただし、この店は値段も手ごろな有名店だけに、春秋の旅行シーズンには並ぶ覚悟は必要かもしれません。
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上海料理の定番こってり甘い紅焼肉はこの店の名物です。

明細007
打浦橋からの地下鉄代 2元
「上海姥姥」の紅焼肉(豚の角煮) 66元

PM8:00
上海タワーの展望台に上る


もう十分上海を満喫したかもしれませんが、深夜便のフライトにはまだ時間があります。やはりしめは、中国最高峰で高さ632m(118階建て)の「上海タワー(上海中心大廈)」からの夜景でしょう。地下鉄2号線「陸家嘴」駅下車。徒歩5分の場所にあります。
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上海タワーの隣には、88階建ての金茂大廈や101階建ての上海ヒルズ(森ビル)が並んで建っています。

上海タワーに上るには、パスポートの提示が必要です。わずか55秒で展望台までに上るエレベーターのスピードにも驚かされますが、東方明珠塔をはるか頭上から見下ろす眺めは絶景です。
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この夜景を見納めにして、空港に向かいましょう。

明細008
南京東路からの地下鉄代 2元
上海タワー入場料 180元
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by sanyo-kansatu | 2017-07-23 14:05 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 07月 23日

羽田深夜便、ピーチの上海便に乗ると見えてくる上海人の訪日事情

いま羽田空港国際線の深夜便がすごいことになっています。特に上海便は、2017年7月現在、日系のピーチ・アビエーションに上海航空、吉祥航空、春秋航空を加えた4社が運航しています。
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今年3月、ピーチの上海便に乗ったので、その報告をしたいと思います。

3月当時は2時10分発でしたが、現在は羽田発(往路)は2時50分発(上海5時着)、上海発(復路)は1時5分発(羽田4時45分着)です。

チェックインは午前0時ということで、終電に近いモノレールに乗りました。乗客はほとんど見かけませんでしたが、羽田の国際ターミナルはアジア客だらけ。その様子は以下に報告したとおり。
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羽田国際ターミナルは、深夜便の増加で外国客でごった返している!
http://inbound.exblog.jp/27004150/
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ピーチのチェックインカウンターには行列ができていました。ほぼ満席に近いようです。日本客よりも中国客のほうが多そうですが、日本人の“弾丸”旅行組もそこそこいるようで、若い女性客の姿が目につきました。ピーチはやっぱり若い女性に支持されているんですね。
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出発ロビーには、旅疲れのせいか、ソファで横になる乗客も多く見かけました。上海から来た訪日客の人たちでしょう。出国エリアのレストランやショップの多くは閉店していましたが、一部のバーやカフェ、免税店は開いているので、搭乗までのんびり時間をつぶせます。深夜だというのに、ロビーには空港スタッフが多く働いていて、24時間運用空港というのは、大変なことだと思ってしまいます。
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LCCなのでシートピッチは若干狭いですが、2~3時間仮眠するだけだと考えれば、それほど気になりません。

ピーチの上海便では、予約をしておけば、有料でこんな機内食が味わえます。あんまり注文している人はいませんでしたけれど。
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ピーチ・アビエーションの名物機内食「たこ昌のたこ焼き(750円)」
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こちらは「フライドチキンチーズカレー(900円)」

フライト後、さすがに3時を過ぎると眠気でボンヤリしているうちに、気がついたら上海に着いていました。

上海浦東国際空港第2ターミナルは、早朝のため、入国審査も早々と抜け、荷物受け取りに向かうと、荷物もすぐに出てきました。所要30分ほど。
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この時間帯、税関検査のスタッフは少ないため、チェックが大甘になると聞いていましたが、実際にそうでした。この手荷物関税チェックを厳しくしたことが、日本での“爆買い”にブレーキをかけたことは知られていますが、上海人たちの間では「深夜便を使えば、チェックが甘くなるので、狙い目」という声も聞きます。もっとも、ピーチ便の上海客を見ている限り、リピーターが多いせいなのか、そんなに多くの買い物をしている中国客もいないようでした。
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浦東空港に早朝到着する国際線はそこそこあるようです。時刻表をみると、羽田以外にも、チェンマイやバンコク、ミラノ、パリ、ミュンヘンなどがあります。
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第2ターミナルの到着ゲートには、24時間営業のスターバックスやバーガーキングがあります。ロビーではタクシーの客引きから声がかかるけれど、こんな早く急いでホテルに行っても仕方がないので(さいわい、中国のホテルでは、客室さえ空いていれば、「アーリーチェックイン」として追加料金を取られるようなことはありません。外資系高級ホテルを除く)、コーヒーでも飲みながら、のんびり公共交通が動き出すのを待つのが賢いと思います。
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早朝は両替所が開いていませんが、自動両替機やATMでキャッシングはできます。

さて、市内への移動ですが、リニアモーターカーの始発は7時2分。どうしてもリニアに乗りたい人は待つしかありませんが、地下鉄2号線は6時発なので、ちょうどピッタリです。
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ただし、地下鉄2号線の浦東空港始発車は、市内まで直通しておらず、「広蘭路」駅でいったん降り、乗換が必要なので要注意。とはいえ、7時前には人民広場に到着します。
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2016年11月、ピーチ・アビエーションの羽田・上海線が運航開始しました。往復ともに深夜便なので、金曜夜(土曜未明)に羽田を発てば、土曜早朝5時に上海に着き、1泊して日曜夜(月曜未明)に上海を発てば、月曜早朝に羽田に戻れます。日帰りすれば、0泊2日の“弾丸”旅行も可能です。

羽田・上海深夜便は、ほかにも春秋航空、上海航空(プログラムチャーター便)、吉祥航空が運航しています。それぞれの違いは、フライト時刻と手荷物の扱いにあります。LCCのピーチや春秋航空は、機内持ち込み手荷物や託送荷物にはチケットの種類によってさまざまな制限があり、有料となる場合もありますが、フルサービスキャリアである上海航空や吉祥航空は、エコノミークラスの託送荷物は、1個当たりの重量が23kg以内を2個まで無料としています。各エアラインは、それぞれ随時キャンペーン料金を出しているので、ウエブサイトで確認するといいでしょう。

さて、この際上海からの復路についても簡単に報告しておきます。

ピーチの羽田便は午前1時5分発ということで、チェックイン開始の23時までに浦東空港に着けば間に合います。市内でギリギリまで粘ってタクシーで空港に向かえばいいわけですから、上海の夜をたっぷり楽しめるといえます。もっとも、なるべくお金をかけないようにするなら、行きと同様、地下鉄で空港まで行けばいいでしょう。ただし、上海市内から浦東国際空港行きの地下鉄2号線の終電は、人民広場発で21時過ぎと、かなり早いので気をつけましょう。

第2ターミナルの地下鉄駅出口の前に、いくつかの中国系外食チェーンの店がありますが、実は閉店が22時。客が残っていると、15分くらいは店を閉めませんが、深夜便客は利用できません。同様に、出発ロビーの飲食店もほぼ閉店していました。早朝営業のためのスタッフはいるのに、「ビールくらい飲ませてよ」と言っても、売ってはくれませんでした。
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ピーチのチェックインカウンターです。上海の若い女性客が多いです。彼女らは日本人ではありません。
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そして、復路は偏西風に乗るため、2時間半ほどで羽田到着。この時期(3月)、まだ朝4時は暗いのですが、夏になると空が明るいことでしょう。
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ちなみに、羽田国際ターミナルの到着ロビーにシャワールームがあります。料金は1030円(30分)。ここでさっぱりして、そのまま出社する人もいるかもしれませんね。
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羽田国際空港からのモノレールの始発は5時18分。京浜急行は5時26分。都心の交通機関もすでに動き出しています。通勤ラッシュに巻き込まれる前に自宅へ急ぎましょう。

羽田深夜便のピーチの上海便に乗ると、上海人の訪日事情が見えてきます。要するに、この逆の動きをしているわけです。きっと訪日“弾丸”旅行客もいることでしょう。1泊3日の東京滞在、彼女らは何を楽しむのか。

ある上海のOLさんによると、早朝着なので、まずお台場の大江戸温泉物語か後楽園のラクーアに行き、昼までのんびり過ごしてから、東京で働く上海人の友人宅に泊まりに行くとか。夜は彼女と一緒に渋谷で遊び、ライブハウスに行くそうです。翌日は、買い物。そして、適当に街をはしごして、夜には羽田に向かうそう。彼女はリピーターなので、そんなものでしょう。

【追記】
ところで、ピーチの上海深夜便を利用した“弾丸”旅行のモデルコースを考えてみました。日本人の場合、あんまり上海で買い物することは考えられないので、めいっぱい効率的に個性的なスポットを訪ねまわるコースです。

0泊2日上海“弾丸”旅行モデルコース(地下鉄&バス活用編) はこれだ!
http://inbound.exblog.jp/27005429/
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by sanyo-kansatu | 2017-07-23 11:22 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 07月 22日

羽田国際ターミナルは、深夜便の増加で外国客でごった返している!

羽田空港国際ターミナル、午前0時前。静まり返った国内線ターミナルとはまったく対照的に、外国客でごった返していました。これは今年3月のことです。
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2010年の国際ターミナル開港以降、徐々に進んできたことだと思いますが、特にここ数年、アジアからの国際線の深夜便が増加したためです。

その日、ぼくは午前2時10分発のピーチアビエーションの上海便に乗るため、羽田空港に向かっていました。浜松町からモノレールに乗るとき、それほど乗客は見かけませんでしたが、国際ターミナル駅を降り、2階の到着ゲートに着くと、そこは昼間のにぎわいと変わりません。

この時間に到着ロビーにいるのは、深夜に羽田に着いて、ここで夜明かしして朝になったら都内に向かう人たちなのでしょうか。
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ヒジャブで頭を覆ったムスリム系の女性ツーリストもけっこういます。
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羽田深夜便はアジア路線が多いせいか、東南アジア客の姿が多いように見受けられます。
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3階の出発ターミナルに向かう前に、ぼくはいったん1階の一般車降り場を訪ねることにしました。なぜなら、ある人から「中国客を乗せた白タクが乗り付ている」と聞かされていたからです。

本当でした。
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そこには、タクシーもいましたが、多くは営業用ではないワゴン車で、よく見ると、中国客が降りてきました。彼らと一緒にぼくはエレベーターで3階に上りました。
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出発ロビーも、昼間のような混雑でした。フライトを待っているのか、ソファに寝ている乗客もいます。
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大きな荷物をカートに載せた中国客もいます。

4階の江戸小路に行くと、大半の店は閉店していましたが、横になっている乗客もいます。スーツケースに白いタグが付いていることから、出発客ではないことがわかります。ここで夜を明かすのでしょう。
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ひとまずぼくはピーチのチェックインカウンターに並びました。深夜便はそこそこ混雑しているようです。
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この日、上海便は他にも、上海航空や中国系LCCの春秋航空の3便がありました。どの便も混んでいるようです。この曜日は運航していませんが、中国系の吉祥航空の深夜便もあります。吉祥航空は、LCCではなく、フルサービスキャリア(「格安レガシー」という位置づけらしい)なので、LCCのような厳しい手荷物制限がなく、利用価値がありそうです。
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訪日中国人がこれほど増えた理由のひとつに、羽田をはじめとした格安の深夜便が増えたことがあるといえるでしょう。
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ところで、中国路線は上海便だけではありません。この日、山東航空の済南便や海南航空の北京便もありました。

海南航空のチェックインカウンターの前で、スーツケースに日本のドラッグストア商品を詰め込んだ(おそらく運び屋さんでしょう)男性客がいました。爆買いは終わったというけれど、誰かに頼まれたら買って帰らないといけないのでしょう。彼は旅行客ではなく、日本在住の中国人ではないでしょうか。
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出国審査をすませ、出発ロビーに行くと、免税店は営業していました。これだけ中国客がいるのですから、店を閉めない手はないのでしょう。
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乗客も多くは中国人ですが、接客をしているスタッフも多くは中国系のように思われました。
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買い物かごいっぱいに、お土産のお菓子やチョーヤの梅酒を買い込んでいます。
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アリペイやWeChatPayの支払いも対応しています。

ここはピーチの上海便のロビーです。さすがに、みなさんお疲れモードです。隣は、同じくピーチのソウル便で、こちらには日本人の若い女性のグループなどもいましたが、上海便は日本客より中国客のほうが多そうです。
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時間があったので、上海航空や山東航空の出発ロビーに行ってみましたが、こちらはほぼ全員中国客です。
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そうこうするうちに、2時が近づき、いよいよピーチに乗り込むときが来ました。
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さて、以下の時刻表(一部抜粋)は「東京国際(羽田)空港 国際線時刻表 International Flight Schedule (2017.07.01-2017.07.31)」 より、午前0時以降の深夜便を抜き出したものです。

●ソウル(仁川)
MM809 | 0155 | 0420 | | 毎日
KE720 | 0200 | 0430 | JL5257 | 毎日
●香港 Hong Kong(HKG)
UO0623 | 0025 | 0400 | | 毎日
NH821 | 0055 | 0430 | UA7931 | 月, 金, 土, 日
KA397 | 0155 | 0535 | CX5397 | 毎日
UO0625 | 0635 | 0955 | | 毎日
●上海(浦東) Shanghai Pudong(PVG)
9C8516 | 0130 | 0340 | | 月, 火, 木, 土
HO1386 | 0150 | 0410 | | 月, 水, 金
FM836 | 0200 | 0435 | | 月, 木, 土
MM899 | 0245 | 0500 | | 火, 木
   | 0250 | 0505 | | 月, 水, 金, 土, 日
●天津 Tiangjin(TSN)
GS7990 | 0130 | 0355 | | 火, 水, 金, 日
BK2990 | 0300 | 0600 | | 木, 日
●北京 Beijing(PEK)
HU7920 | 0200 | 0445 | | 月, 木, 土
●台北(桃園) Taipei Taoyuan(TPE)
IT217 | 0530 | 0810 | | 毎日
MM859 | 0555 | 0825 | | 毎日
●シンガポール Singapore(SIN)
JL035 | 0005 | 0615 | UL3335/QF4026/AA8487 | 毎日
NH843 | 0020 | 0630 | AC6228/SQ5905/UA7991 | 毎日
●バンコク Bangkok(BKK)
TG661 | 0020 | 0450 | NH5965 | 毎日
NH849 | 0030 | 0500 | AC6273/TG6106/UA8003 | 毎日
JL033 | 0040 | 0500 | UL3357/PG4152 | 毎日
●ホーチミンシティ Ho Chi Minh City(SGN)
JL079 | 0125 | 0515 | AA8493 | 毎日
●マニラ Manila(MNL)
PR423 | 0115 | 0450 | NH5331 | 月, 木, 金, 土, 日
●オークランド Auckland(AKL)
NZ092 | 0100 | 1440 | NH7970 | 月, 木, 土
●フランクフルト Frankfurt(FRA)
NH203 | 0050 | 0600 | LH4921 | 毎日
●ドーハ Doha(DOH)
QR813 | 0001 | 0550 | JL7999 | 土
   | 0001 | 0510 | JL7999 | 毎日
●ドバイ Dubai(DXB)
EK313 | 0030 | 0615 | JL5093 | 毎日

※東京国際(羽田)空港 国際線時刻表 International Flight Schedule (2017.07.01-2017.07.31) 2017年06月12日現在 より
http://www.haneda-airport.jp/inter/flight/pdf_list/flight_schedule.pdf

実際には午前0時前、22時以降の便として、上海便(NH967|2230)、クアラルンプール便(NH885|2330/D7523|2345)、シドニー便(QF26|2200/NH879|2210)、ホノルル便(HA856|2355)、ロサンゼルス便(NH106|2255)、パリ便(AF293|2255)などもあります。この時間帯の国内客の利用が終わった国内線ターミナルの閑散とした状況とはまったく別世界となっているのは、そのためなのです。

羽田深夜便、ピーチの上海便に乗ると見えてくる上海人の訪日事情
http://inbound.exblog.jp/27005226/
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by sanyo-kansatu | 2017-07-22 21:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 02日

素敵なウエブサイトも自動翻訳任せだとダメージは大きいです

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

以下、記事を転載します。


このブログを始めて気がついたことがあります。おかしな中国語表示というのは、街角だけでなく、ネット上にもあふれていることです。

それは外国向けの情報を発信している企業のウエブサイトなどによく見られます。原因は、自動翻訳任せになっていることです。どんなに素敵なウエブサイトでも、自動翻訳任せの中国語をみると、ほとんど意味をなしていないケースが多いのに、そのまま放置されていることが気になって仕方がありません。

本ブログは特定の企業や個人を中傷するつもりはまったくありませんが、あるホテルのサイトを例に出してみます。

このホテルのウエブサイトは、英語、ハングル、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)の多言語表示ができるのですが、言語を切り替えると、そのページが自動翻訳されるしくみになっています。

トップページの頭にその旨了承してもらえるようにと、以下の中国文が載っていました。

「这个网页是被机器进行翻译的。翻译结果不可能100%正确。望您多理解而利用(このウエブサイトは自動翻訳を使っています。翻訳は100%正確ではありません。どうぞご理解ください)。」

この中国語もちょっと気になりましたが、それはともかく、最も残念だったのは、このホテルが提供する日本の伝統文化と和装の撮影サービスの紹介ページの自動翻訳文でした。

それはこのサービスの魅力を伝える核心部分にあたる以下のキャッチコピーです。

(日本語)「唐津での思い出に着物を着て記念撮影しませんか?」
(中国語)「在在唐津的回忆穿和服,不拍纪念照吗?」
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この中国語を目にしたときに、中国人に与えるダメージについては、これを翻訳ソフトで訳した日本語を見ていただくと、想像できるのではないでしょうか。

「唐津の追憶は和服を着て、たたかないでうつしを紀念しますか?」

「思い出を記念撮影に残す」というのは、中国語では「拍照留念」。こんな中国語で呼びかけるといいのではないでしょうか。

「大家何不穿着和服拍照留念呢?」

すべての文章を中国語にする必要はありません。写真を見れば、日本語がわからなくても、だいたいわかります。そのかわり、いちばん肝心なメッセージだけは、自動翻訳ではなく、中国人に頼んで翻訳してもらうというひと手間があるとないとでは、イメージが大きく違ってくるものなのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 15:29 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 02日

ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?

これ、何だと思いますか?
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5月27日に都内で開かれたバケーションレンタルexpoの会場で、ちょっと面白いものを発見しました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

アメリカで開発・製品化された、自宅の鍵をスマホのアプリで開閉できるオートロック『Sesame』です。
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「開けゴマ!」とばかりに、アプリを起動させて操作すると、鍵の開け閉めができるので、民泊のゲストへの受け渡しが不要になるというわけです。

使い方は、以下のレビューにあります。位置を決めて貼り付けるだけなので、10分程度で取り付け作業は終わるようです。

自宅の鍵をオートロック化!『Sesame, by CANDY HOUSE』レビュー
http://yasuos.com/blog/2016/12/23/post-9133/

これまで民泊(家主不在型)のホストがゲストに鍵を渡す場合、直接手渡しするか、郵便ポストに入れるなど、とてもスマートとはいえませんでした。しかし、これを使うと、鍵を“シェア”できるので、手間いらずでセキュリティ的にも万全だというわけです。

『Sesame』を提供しているのは、カリフォルニアのCandy Houseという企業です。この製品を開発したのは、MIT卒業生のDheera Venkatraman氏。ドアの内側の鍵のサムターンに被せて、遠隔操作で回転させるしくみを思いついたのだそう。
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CANDY HOUSE JAPAN
https://www.facebook.com/CANDY-HOUSE-JAPAN-240437093028435/
CANDY HOUSE
https://candyhouse.co/

会場の出展ブースでは、スタッフのみなさんがスマホ片手に『Sesame』の使い方を実演してくれました。バケーションレンタルexpoの会場内でほとんど唯一と思われる、民泊のリアリティあふれる出展でした。
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この種のスマホアプリを使ったオートロックのことは「スマートロック」と呼ぶそうで、同社以外にもすでにいろいろあるようです。以下参照。

Airbnb・民泊向けスマートロックのまとめ・比較
http://min-paku.biz/smartlock

(参考)
バケーションレンタルexpoに関する他の記事は以下参照。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 15:11 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 02日

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?

昨日、民泊新法が衆院で可決されました。

「民泊」解禁法案が衆院通過 全国で可能に(日本経済新聞2017/6/1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H4L_R00C17A6EAF000/

住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案が1日午後の衆院本会議で、与党と民進党、日本維新の会などの賛成多数で可決した。家主に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録をそれぞれ義務付け、誰でも民泊を営めるようにする。参院での審議を経て今国会で成立する見通し。早ければ2018年1月にも施行する。

民泊は急増する訪日外国人の受け皿になっているが、近隣トラブルなどの問題が相次ぎルール作りが課題になっていた。通常は家主が許可を得ずに有料で繰り返し宿泊客を受け入れると旅館業法に違反する。国家戦略特区の制度を使って一部の自治体で旅館業法の適用が除外されているが、これを全国的に解禁する。

法案では営業日数は年間180日以内と定め、自治体が条例で日数を短縮できる規定も盛り込んだ。届け出を怠るなど法令に違反すると業務停止命令や事業廃止命令を受け、従わない場合は6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。


5月下旬に開催されたバケーションレンタルexpoの会場で、存在感を放っていたのは中国企業であったことは、すでに報告したとおりです。日本国内で開かれた商談会なので、正直かなり驚きました。率直に言って、民泊新法が施行された後、彼らはやっていけるのだろうか、と思ったからです。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

今回は、彼ら中国企業の関係者が会場でどんな発言をしていたかについて簡単に報告します。

午前11時から大セミナー会場で行われたのは、中国の大手民泊サイト「途家」役員の杜海COOのスピーチでした。北京清華大学卒でアメリカ留学組らしく、英語によるスピーチを強行する姿には苦笑してしまいましたが(いったい誰に聞かせるつもりだったのだろう?)、途家がExpediaグループの傘下となった背景には、彼のような人物がいたからかもしれません。
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途家
http://content.tujia.com/Japan/Index.htm
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スピーチの中で、彼は途家の右肩上がりの成長を淡々と語ります。2016年末には中国国内と海外の登録物件数が50万件を超えたそうです。日本国内の民泊事業では、市場のニーズが高い東京や大阪、京都、北海道、沖縄に重点を置くとしています。

さらに今年4月、中国富裕層に対する会員制ホテルならぬ、「会員制民泊サービス」(?)のためのプラットフォームVA Shareを立ち上げた話をしていました。会員を集め、国内外の賃貸物件や別荘に投資をし、民泊として使いながら資産運用にも使うということのようです。「所有権をシェアすることでコストを削減」「(会員は)毎年1週間の宿泊権利を獲得」「ホテル予約より50%安い」と話していますが、なんだか日本のバブル期を思い出します。
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以下の中国のネット記事によると「現在、国内外のシェア物件は800に達し、2年以内に6000まで増加する計画」だとか。

途家宣布推出共享度假交换平台VaShare(中国经济新闻网2017-04-17)
http://www.cet.com.cn/itpd/hlw/1916656.shtml
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スピーチが終わると、国内民泊サイトSTAY JAPAN(http://stayjapan.com/)を運営する株式会社百戦錬磨代表取締役社長との対談があり、杜海COOは日本における民泊ビジネスを「合法的に行うこと」をやたらと強調していました。

もうひとりの登壇者は、同じく中国民泊サイト「住百家」の日本法人の夏川峰社長です。彼は20年前に来日したハルビン出身の中国系日本人です。
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住百家 http://www.zhubaijia.com/

彼によると、住百家の設立は2012年で、現在世界70カ国、800都市で38万件の民泊登録物件があるそうです。ところが、彼の話はあまりに抽象的すぎるうえ、日本人でありながら中国語でスピーチしたものを同時通訳するという不可解なスタイルを採用したせいか、何が言いたいのか、よくわかりませんでした。

バケーションレンタルEXPO関係者の発信する記事によると、住百家で海外事業部マネジャーを務めるChoco Zhang氏は「日本には現在2万件ほど物件が登録されており、東京にはマンションが、京都では一軒家などが多く登録されている。住百家上で一番予約が多いのは日本なので、日本市場を重点的に開拓していく」のだそうです。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

同じ記事には、中国系民泊サイト「小猪」の副社長を務めるMichael Sun氏のコメントも載っています。「今日は日本の民泊ホストや民泊運用代行会社、ホールセラーらとより多くのパートナーシップや協力関係を構築するためにやってきた。日本は中国で最も人気がある観光地。我々は日本市場に進出してまだ4ヶ月で物件数も500件だが、今後は5,000件を目指す」とか。

小猪 http://www.xiaozhu.com/

我々の知らないうちに、中国民泊サイトは日本国内の登録物件をこんなに増やしていたのでした。

日経では、中国民泊サイトの成長について、半年以上前のことですが、次のような記事を配信しています。

中国民泊「途家」、エアビーを猛追(日本経済新聞2016/9/7)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX02H23_W6A900C1FFE000/

一般住宅の空室を有料で貸し出す「民泊」の仲介。世界の先頭を走る米エアビーアンドビーの強力な競争相手になりうる中国企業が台頭してきた。途家網(トゥージア)は景気減速下でも衰えない中国人の旅行熱を取り込み、創業から5年で40万を超える物件を抱えるまでに成長した。年1億2千万人を突破した中国人海外旅行客を巡り、アジアでは米中両巨頭のつばぜり合いも始まった。

■物件40万件超

「上海ディズニーに近く、全室テレビとエアコンを完備」。途家のサイトでは観光地やビジネス街の名前から、条件の良さをアピールする物件が簡単に見つかる。上海ディズニーリゾートに近い個人宅は広さ160平方メートルで最大6人が泊まれる。1泊約500元(約8千円)。周辺のホテルで複数の部屋を借りる場合の数分の1で済む。

途家は個人宅のほかにもアパートや古民家、別荘など国内外の宿泊施設を仲介する。2011年の創業で国内外の物件数は43万件。エアビーアンドビーの5分の1の規模だ。中国人の旅行ニーズの多様化に伴い、高級物件にも取り組む。

3月、シンガポールの不動産大手、キャピタランド傘下のアスコットと提携。新ブランド「トゥージア・サマーセット」のアパートを年内に計6棟、2千室を新設する計画で、すでに4月にリゾート地の中国海南島で開業した。世界で高級アパートを運営するアスコットと高品質なサービスを提供し、「中国の中間層を取り込む」と途家の羅軍(ジャスティン・ルオ)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は力を込める。

急成長を支えるのは、中国人の巨大な旅行需要だ。15年は国内旅行者が40億人、海外旅行者は1億2千万人を突破。国内旅行収入は3兆4200億元(約52兆円)に達する。大人数で旅行する中国人にとって戸建てや集合住宅を貸す民泊は比較的安く、利用しやすい。

■自社管理強み 

中国では近年の不動産ブーム過熱で空き部屋が急増。有効活用先を探すオーナーが増えた。途家は中国の不動産最大手の万科企業と提携するなどして貸主も取り込む。

エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応。「欧米人オーナーは自分で管理できるが、中国人オーナーはそうはいかない」(羅軍CEO)

8月には1日の宿泊予約数が5万6千件と過去最高を記録。国内市場を盤石にした途家が次に狙うのは、中国人の海外旅行客だ。3月にはシンガポール同業で世界30万件の登録物件を持つ「ルーモラマ」と提携し、海外物件を拡充している。

「中国版エアビーアンドビー」と呼ばれるまでになった途家に立ちはだかるのは本家エアビーアンドビーだ。同社シンガポール法人でアジア太平洋地域を管轄するジュリアン・ペルサード地域代表は「16年6月時点で中国人利用者は前年比5倍に増えた」と話す。

同社は昨年、北京拠点を開設。7月からは中国の動画配信サイトを通じ、中国人旅行者の人気旅行先であるパリやバンコク、京都のイメージビデオを放送し始めた。

両社の勝負を左右する可能性があるのが手数料の違いだ。途家は貸主の収入から約12%の手数料を徴収するのに対し、エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収。物件数を増やす上ではエアビーアンドビーが優位に立つ。

中国で盤石の強さを誇る途家と、海外の物件数と知名度で先行するエアビーアンドビー。中国旅行者を巡る競争は熱を帯びていきそうだ。


途家に関する報道は他にもいくつかあります。

中国版AirbnbのTujia(途家)、Ctrip(携程)とQunar(去哪)のホームステイビジネスを買収(The Bridge2016.10.31)
http://thebridge.jp/2016/10/tujia-ctrip-and-qunar

中国の民泊大手「tujia(途家)」が日本の高級旅館700軒を掲載へ、「Relux」と業務提携(トラベルボイス2017年2月1日)
https://www.travelvoice.jp/20170201-82407

これら中国民泊サイトの日本進出や日本法人設立にはどんな背景があるのでしょうか。

その理由を普通に考えれば、来年1月に施行される民泊新法への対応だと思われます。これまでのような違法営業は許されなくなるからです。ところが、彼らの話を聞くかぎり、どうやらそういうことでもなさそうな気がしてきます。

日経の記事で興味深いのは「エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応」という部分です。これはどういうこと? 彼らが日本法人を設立したのは、自社で民泊物件の管理をするということなのか?

「貸主の収入から約12%の手数料を徴収」(エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収)と途家の民泊ホストへの手数料が高いのも、そのせいだというのでしょうか?

疑問は尽きないのですが、今回これらの日本法人の担当者と知り合うことができたので、あらためて話を聞きいてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 13:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 01日

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!

2017年5月、日本最長老通訳ガイドのジョー岡田さんが書かれた英文ガイドブック『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』が刊行されました。
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日本最長老ガイド、ジョー岡田さんは語る「訪日2000万人の半分は日本人と一言も話をしないで帰国する」
http://inbound.exblog.jp/26890168/
日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

同書は、いまから50年前の1966年に刊行され、12版(1991)も版を重ねた岡田さんの最初の日本案内書『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』を2年がかりで大幅改訂した渾身のニューバージョンです。

本文オールカラー、106ページの中にコンパクトにまとめられた題材は、超簡略日本史から日本の自然や風俗習慣、食文化、宗教、サブカルチャー、社会生活、教育、人生観に至るまでをカバー。ガイド人生55年の岡田さんがこれまで出会った何千何万人という外国人ツーリストとのやりとりの中で何度も聞かれたであろう質問に対する当意即妙な回答が収められています。

先日に続き、お電話で話を聞きました。

―手元に届いた新著を拝見し、20数年前の旧版と比べ読みさせていただきましたが、とても現代的に編集されており、斬新な内容です。今回の改訂のポイントは何でしょうか。

「旧版は、タイトルが『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』であることからわかるように、観光ガイドが知っておかなければならない日本に関する知識をまとめた、半分プロ向けのテキストのような内容だった。改訂版ではむしろ観光客の目から見て、こういうことを知りたいと思うような内容に絞って書きました。もちろん、日本人なら知っておかなければならない内容がたくさんあります」

―だから、タイトルも『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate guide to JAPAN』(観光を超えた究極の日本案内)なんですね。注目はどのページでしょうか。

「いまからページを言うからメモしてくださいね。25、26、43、50、55、72、94…」

―p25は「Beef or Veggies?」(ビーフor野菜?※岡田さんはアメリカ帰りですから、当然アメリカンイングリッシュです)。これは旧版でも書いてらっしゃいますが、日本の松坂牛と神戸牛のうまさと誕生秘話を紹介する内容ですね。ニューバージョンでは、これに精進料理の説明も加え、Beef or Veggies? とした。p26は「Kampai to The World」。

「世界のことばで『乾杯』は何と言うか。これは大事ですよ」

―p43は岡田さんお得意の「It’s a Joke!」、p50は旧版にもあった日本の近海の魚マップ、p55は旅行者のための10の掟。これらは岡田さんのオリジナル創作で、面白いですね。

※実は、新著が手元に届いた日(5月30日)、テレビ朝日で放映された『日本テッパン遺産』<あなたの町の爆笑名人大賞>に岡田さんは出演していました。番組では岡田さんが外国客をガイドするときの“テッパン”ジョークがいくつか披露されていて、そのうちのひとつが「Ohayo(おはよう)」と「Ohio(オハイオ)」を間違えるというくだり。p43に載っています。
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もうひとつがp26の「Kampai to The World」の応用編で「乾杯(Kmpai)しすぎて支払うお金がないよ(can’t pay)」。
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「俺は冗談ばかり言ってるわけじゃないんだよ。注目してほしいのは、p72の禅に関する解説。ツーリストからしょっちゅう聞かれるのが禅や仏教、神道に関する質問なのだが、これだけの短いフレーズに禅の奥義をまとめたというのは素晴らしい。これを書いた京都大仙院の尾関宗園閑栖は、50年前からの知り合いなんじゃ」

Each day in life is training
Training for myself
Though failure is possible
Living each moment
Equal to anything
Ready for everything
I am alive-I am this moment
My future is here and now
For if I cannot endure today
When and where will I? by Soen Ozeki

―う~ん。こんなことまで書かれているとは…。最後のp94は十二支の解説ですね。

「これは外国人みんな喜ぶよ。自分は何年生まれだから、どんな運勢、性格なのか。欧米人でも、当たっているみたいだなあ」

―他にも「Loveless, Sexless and Aging(日本人のセックスレスや少子高齢化問題)」や「Mascots for Everything(日本のキャラクター文化)」「Working in Japan(日本の労働問題)」など、現代日本社会をちょっぴり風刺的に考察する内容、ウォシュレットの使い方を解説するページもありました。

「いまでこそ、日本のトイレは世界でいちばんきれいということになっているが、50年前、私が外国人と一緒に東海道をバスで案内したとき、ドライブインのトイレは男女共用だった。そりゃもう評判が悪かったものだ」

―なるほど。この半世紀で、日本は大きく変わったんですね。日本がバブル経済に向かった頃、岡田さんはガイドの仕事をおやめになっていた。しかし、21世紀になって世界と日本を取り巻く環境が変わり、東日本大震災後に再びガイドを始められた。そして、この本も新たに蘇ったんですね。

「前回まではほぼ私が書いていましたが、今回は、私以外の執筆者も何人か加わっていて、多くの皆さんから印刷代を援助していただいて出来上がったんです。ぜひ多くのみなさんに読んでもらいたいと思っていますよ」

岡田さんの本は、旧版の頃から日本全国の通訳ガイドにとってのネタ帳として使われてきただけでなく、外国人ツーリストにも好評で、すでに12万部を売り上げています。

旧版までは、国内の有名ホテルのブックショップに置かれていたそうですが、洋書の取次会社が倒産したことから、今回は納品が難しいそうです。だとしても、めげずに多くの外国人ツーリストの手に届けたいものです。なにかいいアイデアはないでしょうか。

もうひとつ思うことがあります。この本の中国語版は出せないものだろうか。なにしろ昨年日本を訪れた2400万人の外国人のうち、2人に1人以上は中国語圏の人たちだったのですから。

何よりこの本の面白さは、外国人の日本に対する関心や目線のありかを、扱われるテーマや題材を通して気づかせてくれることです。読んでいくうちに、なるほど、外国人は日本のことをこのように見ているんだなと理解できるのです。彼らが繰り出しそうな素朴な質問に対してどう答えるかについても、多くのヒントがあります。英語で外国人と会話するためのネタ集といえます。通訳ガイドのようなプロだけでなく、いまの時代を生きる一般の日本人にとっても必携の書といえるのではないでしょうか。

『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』の購入は、岡田さんのご好意により、定価1500円のところ、「通訳ガイド諸氏に限り3冊3000円の特価(送料込み)」でお求めいただけます。通常は1冊1500円+送料200円となります。

購入をご希望の方は samurai_joeokada@yahoo.co.jp までメールにてお申し込みください。

ちなみに、これが旧版の『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』です。
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1ドル=360円時代、前の東京オリンピック開催のしばらく後に刊行された表紙のデザインからは、戦前から通じる昭和のモダニズムが感じられます。特に裏表紙の折り返しを4つ折にして、東海道から近畿、中国、九州に至るゴールデンルートをイラストマップにした装丁は、断然イカしています。ニューバージョン同様、外国人の目線のありかをよく理解した多彩なコンテンツが詰め込まれており、ニッポンのインバウンドのルーツを垣間見る思いです。

さらなる新情報があります。ジョー岡田さんは、かつて『日本の音と民謡』というソノシート付きの本を外国人向けにつくったことがあるそうです、ソノシートには、当時の京都の舞妓の話し声や梵鐘などを収録してあるとか。近日入手予定なので、今度紹介したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-01 16:30 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 31日

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?

5月27日に都内で開催されたバケーションレンタルexpoの会場では、新法施行後、民泊を取り巻く環境が激変することをふまえた新しいビジネストレンドの提案がテーマでした。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

なにしろ民泊専門の行政書士である戸川大冊氏によるセミナーで明らかな通り、民泊新法の狙いは「ヤミ民泊」の絶滅を目指すもので、これまで旅館業法や特区民泊の許認可を持たない違法民泊が主流だった時代は続きそうもないからです。自治体のみならず、観光庁も苦情窓口を設置し、訴訟や罰金のおそれも増大します。その対象にはairbnbのような民泊仲介サイトや「住宅宿泊管理業者(民泊代行業者)」も含まれます。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
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会場にブースを出展していた関係者は、当然のことでしょうが、それを強く意識しているようでした。民泊ホストの側も、最近の民泊に関する報道などから事情をよく理解しており、いかに民泊で利益を出すかという視点から、どうすれば合法的に運用できるかという観点に関心が移ってきていると思われます。

こんなストレートなチラシを用意した代行業者もいたほどです。
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↑民泊運営代行サービス「エアサポ」 http://air-sapo.com/

会場内で行われた計25のセミナーのテーマも、外資系の民泊仲介サイトの戦略から民泊運用ノウハウに関する話まで幅広いトピックにわたっていました。

なかでも民泊代行業者3社の関係者が登壇し、会場の一般客からの質問に答える「民泊のシャベリ場」と題されたセミナーは、新法施行後の見えにくい民泊の行方についての本音が伝わるものでした。登壇していたのは、以下の3社のトップです。

Zens http://www.zens.tokyo/
ファミネクト https://www.faminect.jp/
オックスコンサルティング http://ox-consulting.jp/

同社らが事業を始めたのは、airbnbが日本法人を設立した2014年の翌年だそうです。質問の前の挨拶で、オックスコンサルティングの代表は「民泊新法施行後、これまで従事していた一定数の民泊ホストは運営ができなくなるでしょう。民泊は昔のように、やれば儲かるという時代ではなくなります」と言います。

では、どうすればいいのか。

たとえば、サービスアパートメントやマンスリーマンションの運用であれば「180日ルール」は適用されません。また地方の眠っているリゾートマンションの活用も考えられるとのこと。

さらには、繁忙期を民泊にし、残りの時期をマンスリーマンションで回すというような運営もあるのだとか。これを業界では「二毛作」というそうです。そんなにうまくいくものかしら…と思わないではありませんけれど。
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※「マンスリー+民泊」について
https://minpaku.yokozeki.net/shinpouminpaku-business/

会場で出会ったひとりの関係者によると、妙高高原や白馬でオーストラリア人が眠っていたホテルやペンションを買い取り、スキーシーズンのみ運用しているそうです。従業員はワーキングホリデーのオーストラリア人を活用。夏場は営業を休むので、「海の家」の逆シーズン版です。

激変する地方観光地 外国人が…(NHK2017.2.4)
http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/02/0204.html

これは民泊の例ではありませんが 「180日ルール」については、繁忙期のみの運用と割り切ればクリアできるわけです。それで投資を回収できるかどうかは別の話ですが、確実に外国人が訪れる地域であれば、やれることはあるのかもしれません。

地方への分散化が進んでいるとはいえ、外国人の宿泊ニーズは圧倒的に大都市圏に集中しており、それがここ数年のairbnbのような民泊サイトの躍進やヤミ民泊ホストを増殖させたわけですが、新法施行直後はかなりの混乱が起きるかもしれません。合法的にやろうとすれば、それなりの投資が必要となるため、摘発をおそれ、運営をやめるホストは相当数になるのではないでしょうか。会場でもそんな声を耳にしました。

ところが、会場には外資系、特に中国系の民泊サイトが軒並み出展していたことはすでに述べたとおりです。彼らは、新法施行後の市場環境の変化をどう捉え、日本で何をしようと考えているのでしょうか。正直なところ、いまの時期に進出して大丈夫なのだろうかと思わないではありません。彼らもまた今後は摘発の対象になるからです。

次回は、中国系民泊サイトの関係者らのセミナーのコメントなどを通して、その点について考えてみたいと思います。

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 16:25 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 31日

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏

5月27日に開かれた「バケーションレンタルEXPO」では、民泊に関わる関係者による大中小3つの会場で合わせて25本ものセミナーが繰り広げられました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

なかでも大盛況だったのが、民泊許可業務の第一人者である特定行政書士の戸川大冊氏のセミナーでした。少々民泊ビジネスを煽りぎみの出展者らが多いなか、実際のところ、法的に見てどうなのか。民泊新法施行後に、状況はどう変わるのか、知りたいと考える人が多かったからでしょう。

そんな疑問に応えるべく、セミナーのタイトルは以下のようなものでした。

「住宅宿泊事業法」を正しく理解し、合法的に運営する
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戸川氏は、テレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』4月30日放送で、旅館業許可を取らないで営業している「ヤミ民泊」の問題点や罰則規定について解説しました。また、「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)の立法趣旨や、旅館業の「許可」と民泊新法の「届出」に関する法的性質、特区民泊との違いにも触れています。

この日のセミナーも、まさにこのテーマを番組より詳しく解説した内容でした。以下、戸川氏の運営する「民泊許可.com」などの資料を参考にさせていただきながら、民泊新法の中身を中心に紹介します。

戸川氏の運営するサイト「民泊許可.com」
https://民泊許可.com/

開口一番、彼は言います。「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」。新法成立後は、これまでのような民泊ビジネスはできなくなるとして、近年増えている「ヤミ民泊」摘発事例を挙げます。

2016年7月 旅館業の営業許可を得ずに、無許可で「ヤミ民泊」営業をしたとして、不動産関連会社「ハイブリッド・ファシリティーズ」(東京都港区)と親会社「ピクセルカンパニーズ」が摘発

2016年6月 民泊代行業者(ハイブリッド・ファシリティーズ)が捜索・差押を受け民泊運営支援事業を廃止

2016年4月 大阪府警は大阪市生野区の韓国籍の飲食業の女(71)、中国籍のレンタルビデオ店経営の夫(37)と韓国籍の妻(55)を、旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検

2015年11月 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検

2014年5月 木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)

ヤミ民泊の認知件数は以下のとおりです。

平成25年度 62件
平成26年度 131件
平成27年度 994件
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この認知件数は、保健所などが把握した件数にすぎませんが、最近は近隣住民によるチクリが急増しているそうです。

また自治体の摘発強化も進んでいます。

2016年5月 京都市、無許可民泊148件に営業停止を指導 http://airstair.jp/kyoto-148/
2016年7月 京都市、「民泊通報・相談窓口」開設 http://min-paku.biz/news/kyoto-minpaku-tsuihou-soudan-20160713.html
2016年10月 大阪市 、民泊専従チームを組織 http://mainichi.jp/articles/20161010/k00/00m/010/017000c
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そもそも「民泊」という事象は、①国家戦略特区の特例(特区民泊=外国人旅客の滞在に適した施設)と②旅館業(旅館か簡易宿所)、そして③今回の民泊新法(住宅宿泊事業法)で生まれる住宅宿泊の集合体というべきで、それぞれ営業するためには異なる要件があります。

戸川氏は言います。「民泊の許可を出すのは、大家ではなく自治体です。ですから、よく不動産会社が『民泊許可物件』などと表示していますが、このようなものは存在しません」

さらに、昨年6月、ヤミ民泊ホストに対してマンション管理組合からの差し止めが認められました(その後、今年に入り、損害賠償も認められたようです)。

2016.05.24 大阪地裁、初のマンション「民泊」差し止め
http://min-paku.biz/news/osakachisai-minpaku-sashitome.html

賃貸マンションを民泊に使うオーナーが増えているなか、こうした判決が出たのは、民法の「所有権」に関する規定とマンション標準管理規約の「用法の制限」(もっぱら住宅として使用する)をふまえ、区分所有法がいう「区分所有者の権利義務」「共同の利益に反する行為の停止の請求」が認められたものといえます。つまり、マンションのオーナーにとって「他人にとやかく言われる筋合いはない」という主張は間違いだということです。
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最近、外国人による都内のマンション購入が進み、民泊を始めているケースが知られていますが、もし彼らが住民の声を無視して民泊の営業中止を受け入れようとしなかったとしても、マンション管理組合からの訴えは有効だといえます。

民泊を合法的に行う場所を決めるうえで、もう一点考えなければならないことがあります。それは、各自治体による「上乗せ条例」です。たとえば、新宿区や渋谷区、台東区、京都市、大阪市では、それぞれ認可の条件が加えられます。これは民泊新法施行後も変わらないため、他の地域に比べ、ハードルが高いといえます。これらはすべて民泊人気集中地区で、摘発が強化されていることはすでに述べたとおりです。
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さて、ネガティブな話ばかりをしてきましたが、今年の通常国会で成立の見通しとされる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」とはどのような内容なのか。
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ポイントは、「180日以下の運営」であることです。戸川氏は、その理由について「今回の新法は、あくまで住宅を一定の要件で他人の宿泊サービスに提供するものであり、1年の半分以上の期間を超えてしまうと、それは住宅とはいえないから」と説明。法的な見地からみて、今後民泊をこれまでのようにビジネスと考えるのはおすすめできない、というのが戸川氏の一貫したアドバイスといえます。
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さらに、民泊新法では、民泊事業者の「都道府県知事への届出」、特に「家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託すること」が義務付けられます。住宅宿泊仲介業(民泊仲介サイト)に対する規制も加わり、観光庁長官への登録が義務付けられます。これによって、airbnbなどが違法なヤミ民泊をあっせんすることは、施行後は不可能になります。加えて、観光庁で「民泊」苦情窓口を新設するようです。

こうしたことから、戸川氏は「もし民泊を年間を通じて合法的にやるなら、旅館業の営業許可を取るべきだ」と指摘します。民泊新法と同時に審議が進んでいる旅館業法の改正で規制緩和が進むことがわかっているからです。ここでのポイントは、客室数や寝具の種類、トイレ、最低床面積などの構造設置基準の緩和。これで旅館営業に以前より参入しやすくなるのは確かです。他方、無許可営業に対する罰金が3万円から100万円に引き上げるなど、ヤミ民泊の取り締まりは強化されます。
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冒頭で、戸川氏が「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」と言ったのは、180日間以内の営業では儲かるとは思えないからです。「民泊新法がビジネスに不向きであることは決定的」「よって合法的な民泊を事業として開始しようと考えている事業者は、民泊新法の成立を待たずに簡易宿所型民泊か特区民泊ですぐ事業を開始すべき」といいうのは、そのためです。

※特区外の簡易宿所型民泊や特区民泊の合法的な始め方については、民泊許可.com参照。

この図は、新法施行後の民泊の姿です。
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このセミナーを聞くかぎり、これまで自覚の有無はともかく「ヤミ民泊」に手を染めていた人たちは、訴訟や罰金を食らう恐れが増大することでしょう。airbnbなど民泊サイトへの影響も大きそうです。

ともあれ、ルールづくりは大事です。そのうえで、おかしなところは改正していけばいいのです。新法施行以降、これまでの「安かろう悪かろう」の日本の民泊イメージが大きく変わっていくことを期待します。

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 13:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 30日

タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと

中国の「越境白タク」の急増の背景には、同国での配車アプリサービスの普及があり、そのまま法を無視して日本国内で運用されている実情があります。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

では、日本ではどうして中国のようにライドシェアが進まないのでしょうか。

先日、タクシーを利用したとき、ライドシェアについて運転手とこんな話をしました。

-今年1月30日から東京23区と一部の地域で初乗り料金410円になりましたね。利用客は増えているのでしょうか。

「初乗り410円」きょうから 都心部のタクシー(朝日デジタル2017年1月30日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1W6G7RK1WUTIL056.html

「どうですかねえ。ちょい乗りができるということで、最寄り駅から自宅へ乗る人が増えたので、我々の仲間は駅で客を拾いたがらなくなった。近距離のお客さんばかりですからね」

-ライドシェアは進んでいるんでしょうか。都内のタクシーでもスマホ向けの配車アプリが導入されていますね。

「いま配車アプリサービスを提供しているのは大手4社がメイン。でも、運転手の間では評判よくないんです。アプリで予約した後、目の前に別のタクシーが来ると、そのまま乗っちゃう人が多いからです。我々が駆けつけたときには、すでにお客さんはいないというわけです。これでは、我々も慎重にならざるを得ない…」

なるほど。そりゃそうですね。なぜそんなことが起きてしまうのか。想像できます。

配車アプリは、スマホの地図上で場所を指定すると、近くを走行中のタクシーを検索し、自動的に指定場所まで配車するサービス。事前に登録をせずに支払いは従来通りに行う方法と、あらかじめ登録を行い、ネット決済を使って支払う方法を選択できます。混雑時にはなかなか配車されないこともありますが、アプリの評判は総じて高く、ビジネスマンを中心に利用者が増えているといいます。問題は、事前登録しないで利用する一般客のドタキャンというわけです。

シェアリング・エコノミーと自動運転技術の発達で、近い将来、タクシーが無人化・無料化することを見据えた取り組みで、外国人観光客の増加で最寄の駅からホテルまでといった短距離需要が拡大しているという追い風もあります。

タクシー大手4社
http://タクシー転職ガイド.com/taxi_4/

日本交通株式会社
大和自動車交通株式会社
帝都自動車交通株式会社
国際自動車株式会社(kmグループ)

最初に始めたのは日本交通株式会社で2011年1月から。スマートフォン向けタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」を提供し、同年12月にはマイクロソフトと共同で「全国タクシー配車」アプリをスタート。17年10月31日以降は、「日本交通タクシー配車」のサービスを終了し、「全国タクシー配車」に統合します。

「全国タクシー」アプリへの統合のお知らせ
https://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/iphone/

先ほどの運転手が語ってくれたように、一部のビジネス需要には貢献していると思われる日本の配車アプリサービスですが、中国のように、広く一般の利用が広がっているという実感はありませんし、そもそも運転手が乗り気でなさそう。

なぜそうなるのかといえば、やはり日本ではモバイル決済が中国ほど進んでいないからです。しくみはあっても、運転手が懸念する「ノーショー(予約したのに利用しない)」のケースが出てくるからです。

中国でライドシェアが普及した背景には、WeChatPayやアリペイといったモバイル決済の日常化があります。そのため、客は予約した以上、他の車を利用できなくなり、運転手は取りっぱぐれが起こらないからです。中国の事例に学ぶなら、普及のためには、利用者とドライバー双方にインセンティブが必要だということになります(ここらのやり方は中国のうまいところです)。

もうひとつの理由は、国内に相乗りを日常的に提供するような日本人ドライバーがどれほどいるかという話です。実は、中国でも同じで、白タクの大半はその都市の戸籍を持たない出稼ぎ外地人たちでした。日本で在日中国人が白タクをやるのと似た話です。すでに中国の一部の都市では外地人の白タクは違法となり、摘発も始まっています(ただし、中国では白タク自体は合法)。配車アプリ会社同士のサービス競争で過熱していた数年前のように、市内の至る場所にタクシーと白タクが走り回っていたという状況には、上海ですら再び戻るとは思えません。

日本の一般市民が街角でライドシェアを利用することが普及するには、相当数のドライバーの存在が必要で、時間はかかりそうです。もちろん、便利なサービスですから、今後ゆっくり進んでいくことは間違いないとしても。

そして、結局、日本のライドシェアがいちばん進んでいる領域が、中国の「越境白タク」というわけです。そこにニーズがあるからですが、おかしな話です。

では、日本の国内事情にふさわしいライドシェアのあり方とは何か。

ここでは、国内の日本人が利用するライドシェアのあり方と訪日外国人市場における運用を分けて考えたいと思います。これをごちゃまぜにして議論しようとするのは、現状では賢いとは思えません。

国内向けには、まず地方でのライドシェアを進めることでしょう。迅速に使える利便性を追求するというより、公共の足として普及させる取り組みは、各地で始まっているようです。もちろん、これは過疎地の住民のためだけでなく、地方に出かけたい外国人観光客の利便性を高めることにつながります。大都市圏はモバイル決済の普及を待ちつつ、無理なく進めるしかありません。

過疎地こそ、ライドシェア
http://タクシー転職ガイド.com/kasochi_rideshare/
世界的な配車サービス「ウーバー」は、日本の過疎地を救えるのか? 京都丹後町「ささえ合い交通」を取材した
https://www.travelvoice.jp/20161114-77067
なかとんべつライドシェア(相乗り)事業実証実験
http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/docs/2016081800017/

一方、訪日外国人向けのあるべきライドシェアを考えるためには、現状の違法状態を是正することから考えなければなりません。

この問題を、もうかれこれ40年以上見つめてきた人物に、訪日外国人の受け入れを担ってきた国内老舗ランドオペレーターの団体であるAISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)の王一仁会長がいます。

王会長は言います。「日本のインバウンド市場にはモグリの業者が多すぎる。なぜそうなるかといえば、日本にはインバウンドに関わる法律がないことだ。香港や中国では当たり前にある外国人観光客受け入れ事業に関する規則を定めた法律が、先進国といわれる日本にはなぜかない。

ルールがはっきりしていないから、グレーゾーンだらけになり、モグリの業者は好き放題に暗躍してしまうのだ。なぜ日本政府はルールをつくろうとしないのか。PRにはあんなにお金をかけるのに、いちばん肝心なことはやろうとしない。これでは本末転倒だし、いったい何のために訪日外国人の促進を進めているのか意味がわからない。これは私に限らず、海外の旅行業者はみんな呆れている。

問題なのは、モグリの業者ばかりのせいで、本来お金が落ちるべきところにお金が落ちてこないので、まじめなインバウンド事業者に正当な利益が回らず、モグリの業者や外国人の中だけでお金が回り、きちんと税金が納められることもない。そのせいで、一般の日本人も外国人観光客の恩恵を知らないでいる。外国人の訪日の恩恵は買い物だけにあるのではない。ルールがないことで、いちばん損しているのは日本社会だ」

日本にも観光立国推進法はありますが、ここには外国人観光客の受け入れを推進する目的や意気込みしか書かれていないといわれても仕方ありません。インバウンドビジネスは国内で行う事業であるにもかかわらず、他の産業界にあるような業界を健全に発展させるための原則やルールがない。だから、不法ガイドや違法民泊、白タクなどの参入を安易に許すことになっているというのが、王会長の主張なのです。

王会長は白タク問題を解消するためのこんな提案をしています。

「これは皮肉な言い方かもしれないが、白タク暗躍で見えてきたのは、中国人観光客の個人化にともなう移動ニーズの実態だ。これを駆逐するためにも、税金を使って彼らのための格安の足の手配を官民が協力して用意することはできないか。

いま地方へ外国人観光客を呼び込むのに最も効果的なのは、交通インフラの改善だ。ひとつの手段として、地方への外国人向けの無料バスを走らせたらどうか。もちろん、国内のバス会社に平等に共同でやらせればいい。こういうことに税金を使うほうが、PRに使うより意味があるのではないか」

「外国人向け無料バス」と聞いて、外国人優遇なんて言わないでください。その費用は、海外へのPR費を削って、相殺すればいいのです。

日本は、中国のように勝手にラインやインスタグラムを禁止するような無法な国ではないので、中国の配車アプリを国内で使えなくさせなくすることはできない以上、彼らの違法営業をやめさせるためには、空港での摘発強化に加え、市場のニーズに対応した代替サービスを提供することが必要になります。原則とルールを決めたら、違反する者をきちんと取り締まる。これが第一歩ですが、それだけでは不十分で、市場を動かすためのインセンティブを考えることを忘れてはいけないのです。

この種のリアルなニーズに即したサービスは、宣伝しなくてもSNSであっという間に海外に広まっていくことが考えられます。中国系の人たちは、利用者のインセンティブを直接引き出すやり方をよく知っています。我々も、もう少しそれに学ぶ必要がありそうです。

たとえば、中国配車アプリで定番となっている成田や羽田からの都心部へのワゴン車による送迎サービスで、現行に近い価格帯を実現させることはできないでしょうか(ちなみに、DingTAXI日本包車旅遊の場合、成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円)。

ただし、摘発を同時に進めない限り、配車アプリサービスは個人ドライバーのすることですから、利用客へのキャッシュバックなどで割引するなど、取り込みのための策は続くでしょう。そういう駆け引きをするのが中国人です。その一方で、中国では何事も当局は問答無用で摘発をするのが常ですから、彼らはそういう仕打ちに慣れています。もちろん、中国と同じようにやれという意味ではないですけれど。

乱暴に思えるかもしれませんが、こうしたことは長く外国人観光客を受け入れてきた欧米やアジアの国では常識です。日本人がまだ状況に慣れていないだけなのです。

※ところで、「越境白タク」といえば、その本家はuberといえます。本来はまずuberについて考えるべきところですが、実のところ、国内でどの程度の市場規模になっているのか、よくわかりません。

とはいえ、中国客に限らず、重いスーツケースを持ち、家族や子連れ、小グループで旅する多くの外国客にとって、uberは重宝するに違いないことは理解できます。土地勘がなくても使えるからです。今後の宿題にさせてください。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-30 11:31 | “参与観察”日誌 | Comments(0)