ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 07月 03日

タイ人の日本ツアーの料金は中国人ツアーの2倍近いです

では、タイ人の日本ツアーの価格帯について見ていきましょう。

タイの雑誌社Check Tour社が発行する月刊誌「Check Tour」2013年6月号に掲載されているこの夏のツアー募集広告を参考にしたいと思います。
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ツアー料金は日程やコースによって違います。タイ人の日本ツアーはどんなコースが主流なのでしょうか。タイの訪日ツアー客を扱うランドオペレーター関係者によると、現状では主に以下の3コースだそうです。

①東京・大阪ゴールデンルート4泊6日
②東京滞在(+富士山)3泊5日/4泊6日
③北海道周遊(札幌、小樽、登別、富良野など)4泊6日

すでに①と②については定着しており、この夏は③北海道ツアーが急増しそうとのこと。昨年10月に新規就航したタイ国際航空のバンコク・新千歳線は現在週4便ですが、秋から毎日運航になると先ごろ発表されましたから、今年の冬は北海道を訪れるタイ人観光客がさらに増えそうです。

また他にも、九州周遊(福岡、別府、阿蘇、熊本、長崎など)4泊6日も動き出しています。主流ではないけれど、東京・大阪ゴールデンルートの別バージョンとして、大阪または名古屋inで北陸や信州を周遊して東京outのコースも好評といいます。沖縄に行くツアーもあるようです。

では、それらのツアーの価格帯はどのくらいでしょうか。以下、「Check Tour」2013年6月号に掲載された現地旅行会社のツアー募集広告から平均的な料金(7~8月出発のコース)をいくつか挙げてみましょう。

・東京・大阪ゴールデンルート4泊7日 50900バーツ(約16万5000円)
・北海道3泊5日 43900バーツ(約14万円)

Modern Plus Travel Co.,Ltd
http://www.modernplus.com/
http://facebook.com/modernplustravel

・東京滞在(+富士山)3泊5日 39900 バーツ(約13万円)

Sun Smile Holidays & Tour Co.,Ltd
http://www.sunsmileholiday.com

・沖縄3泊5日 33900バーツ(約11万円)

Easy Holiday
http://www.goeasyholiday.com

都内の旅行会社でタイの訪日ツアーの手配をしている在日タイ人のカウィワットさんによると、「タイ人の日本ツアーは1日約1万バーツ(約3万2000円)が目安」だそうです。

これは中国人の平均的な日本ツアーに比べると、2倍近い金額になります。

以前ぼくは「やまとごころ.jp」の連載「18回 春にはちょっぴり中国客が戻ってきそうな気配ですが……。中国の旅行会社のHPを読み解く」の中で、北京、上海、広東の旅行会社のツアー料金を比較したことがあります。たとえば、中国でツアー商品の多様化が最も進んでいる上海の錦江旅游http://www.jjtravel.com/のこの夏の訪日ツアーのラインナップを見ると、だいたい以下の価格帯となっています。

・東京大阪ゴールデンルート5泊6日 4299元~7999元(約7万円~13万円)
・東京4泊5日 5699元~6999元(約9万3000円~11万5000円)

昨今の円安で以前に比べ円換算でみれば、確かにツアー料金は高くなっています。また、さすがに上海発のツアーは品質のバリエーションは比較的豊富なので、そこそこ高価格のツアーもあります。しかし、北京や広東発の平均的なツアーでみると、1日約1000元(約1万6000円)が目安といえそうです。

実際、細かくツアー行程を見ていると、明らかに中国人ツアーの内容は、タイ人のツアーに比べ見劣りします。宿泊ホテルも観光や買い物には不便な場所にあったり、観光地もなるべく費用のかからない場所を選んだりと、「安かろう悪かろう」を地でいっています。

とりわけ食事にかける費用が違います。広東省の南湖国旅http://www.nanhutravel.com/のHPには、「昼食代1000円、夕食代1500円」とはっきり書かれていますが、タイのツアー客はこんなに安い食事では満足しないことでしょう。カウィワットさんは言います。

「タイ人は食事にこだわるので、とくに夕食は5000円以上かけるのがざらです。西新宿の『六歌仙』が人気なのもそのためです。弊社では、タイにある日本企業の関係者のインセンティブツアーの企画をよく担当するのですが、とにかく食事の要望は細かいです。ご案内しようとしているレストランのメニューを用意して、具体的にどんな料理が食べられるのか、タイのクライアントのツアー担当者にプレゼンテーションすることもあります」

「タイ人は中国人に比べ日本旅行に対する思い入れが強い」と、タイのランドオペレーターの関係者は口を揃えて言います。

これまで本ブログで何度か触れたように、中国では日本は「激安ツアーの国」としてすでに認知されてしまっています。こうして期待値の低いままツアーに参加する中国人客の多くが「安いから、日本でも行ってみるか」「安いんだから、この程度の内容でも仕方がない」と考えがちなのに対し、タイ人客は「せっかく日本に行くのだから、いろんな体験をし、おいしいものをいっぱい食べよう」と素直に期待をふくらませて来日していると思われます。

こうした訪問国に対する期待値はツアー価格に当然反映します。タイ人の日本ツアーはコストからみれば必ずしも高額とはいえませんが、その2分の1の価格帯のツアーで来日する中国本土の人たちは、それなりの価値でしか日本を評価していないことを意味します。

我々はタイ人の日本に対する期待値の高さを大切に考えなければならないと思います。

ただし、今後はタイからのリピーターも増えることでしょうし、自由時間の多いスケルトン型の格安ツアーが増えてくることが予想されます。個人旅行化の流れには抗えません。たとえそうだとしても、彼らが期待にしてくれる以上、それに応えられるような日本ならではのアトラクションを次々提案してあげればいいのですから、それはやりがいがあるといえるのではないでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-03 18:10 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 07月 03日

タイ人ツアーの目玉は、温泉旅館でカニ食べ放題とショッピング!?

日本が大好きというタイ人の日本ツアーは、実際どんな内容なのでしょうか。タイの旅行雑誌に掲載されている現地の旅行会社のツアー募集の広告を見てみましょう。

とはいえ、ぼくはタイ語が読めるわけではないので、最近知り合った若い在日タイ人で都内の旅行会社に勤めるカウィワットさんに手助けしてもらいました。彼の業務は、実際にタイからの日本ツアー客を手配することです。

昨日、本ブログで紹介したタイの旅行雑誌「TRAVEL GUIDE Magazine」2012年8月号に掲載されている現地の旅行大手COMPAXWORLD社のツアー募集広告を見てみましょう。
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COMPAXWORLD社
http://www.CompaxWorld.com
http://www.facebook.com/compaxworldtour

昨年の秋冬向けの広告ですから、真っ赤な北海道の紅葉を背景にあしらったデザイン構成になっています。1ページ全面を使った広告の中に2つのプロモーション商品が掲載されています。それぞれ3つの目玉ポイントが書かれています。

①Tokyo Promotion! 4泊6日(タイ航空利用) 37900バーツ(約12万円)
■東京で満足4泊6日、ホテルは4つ星以上
■お楽しみフリーショッピング2日間(オプショナルツアーもあり)
■温泉旅館泊とカニ食べ放題

カウィワットさんが上記ツアーのポイントを簡単に説明してくれました。このツアーは、東京滞在が基本。タイから日本へはフライト時間が約6時間かかるため、飛行中夜をまたぐので4泊6日が基本だそうです。滞在中1日は都内の観光がありますが、2日間は自由行動なので、買い物がたっぷり楽しめる内容です。ただし、東京ディズニーランドに行きたい人は、オプショナルツアーとして追加料金で参加できます。また、残りの1日は、富士山観光のあと河口湖などの温泉旅館に泊まり、カニの食べ放題が付くというものです。

②Yokoso Hi-light 東京―京都4泊7日(タイ航空利用) 52900 バーツ(約17万円)
■東京観光とフリーショッピング1日間
■世界遺産の京都、金閣寺、清水寺観光
■温泉旅館泊とカニ食べ放題

こちらは、東京・大阪のゴールデンルートのツアーです。ポイントは①と同様に東京のフリーショッピングと温泉旅館泊のカニ食べ放題が付くことです。

カウィワットさんによると、「タイ人は富士山のふもとの温泉旅館に泊まって温泉にゆっくりつかり、カニの食べ放題を楽しむというのが、日本旅行の醍醐味。これだけは欠かせないと思っているんです。旅行会社のツアーパンフレットにも、よく富士山とカニの写真が合成されているイメージのものが多いんですよ」。
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日本人からすると、なぜ富士山でカニなのか?(しかもズワイガニ)という気はしますが、タイ人客はそれがないと納得しないというのですから、地元のホテルや旅館は特別に用意しているのだそうです(実は、同じことは中国人の日本ツアーでもあります)。面白いですね。

タイ人にとって、手足が長くて茹でると真っ赤なズワイガニが珍しいのでしょう。「TRAVEL GUIDE Magazine」にも、札幌かに本家の広告が載っていました。
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もうひとつの目玉は、東京でのフリーショッピングです。確かに、最近新宿3丁目界隈でタイ人が買い物する姿を多く見かけるようになっています。カウィワットさんはこんなことを言います。

「タイ人は暑い国に住んでいるので、観光で長い時間歩くのはあまり好きではありません。でも、都内のホテルにチェックインしたあと、ぶらぶら夜歩きするのは大好きです。ですから、ホテルはたいてい都心の新宿か池袋です」。

中国人のツアーのように、宿泊地は「東京」とパンフレットに記載されていても、実際は木更津のホテルだった、というようなことはないそうです。タイ人客は一見おとなしそうですが、ツアーの中身に厳しく、安ければ安いほどいいという考え方はしないといいます。

タイのランドオペレーターの関係者によると、タイ人にとって日本旅行の2大関心事は、食事と買い物に尽きるそうです。その2大関心事をいかに彼らの好むように実現させてあげられるかがポイントだといいます。

食事に関しては、焼肉にしゃぶしゃぶ、寿司、天ぷら、ラーメンという和食の基本アイテムが断然喜ばれるそうです。なんてありがたい人たちでしょう。

買い物に関しては、タイ人の対日理解は、日々のテレビ番組などを通じてきわめて高いものがあるので、自由な時間をたっぷり用意してあげればいいというわけです。

食事と買い物以外のことは、難しく考える必要はないといえるかもしれません。なぜなら、日本にはタイ人を喜ばせる自然の魅力があるからです。

タイと日本の風土や気候の違いが、来日する彼らを魅了するといいます。四季がはっきりしていることが、彼らをリピーターにするのを強く後押しするというのです。たとえば、3~4月は桜、6~7月はラベンダー、秋は紅葉、冬は雪景色と、1年を通じてタイ人が来日したいと思うのは、四季による変化があるからです。実際、タイの旅行雑誌の日本特集には、あでやかな色味があふれています。我々は熱帯の国タイのほうがずっとカラフルだと思いがちですが、彼らにすれば日本もまた美しい色彩にあふれる国なのです。

常夏の国から訪ねてくれるタイ人に対して、四季という1年を通して訴求できる日本の強みを生かさない手はないといえるでしょう。タイ人の日本ツアーの価格帯については、のちほど報告します。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-03 14:47 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 07月 02日

タイの旅行雑誌には日本がこんな風に紹介されています

うれしいことに、タイ人の海外旅行先の人気ナンバーワンは日本だそうです。

タイでは日本のテレビ番組が大量に放映されています。日本のテレビ局から版権を買って深夜枠でグルメ番組や旅行番組を毎日のように流しているそうです。これはテレビ番組を政府が検閲・管理する中国とはまったく事情が違います。こうしてタイ人にとって日本はとても身近な国となっているようです。

では、日本の観光地についてはどのように紹介されているのでしょうか。タイで発行されている旅行雑誌を見てみましょう。

今回、情報提供してくれたのは、タイを中心とした海外向けマーケティング専門広告会社の株式会社Relation(http://www.facebook.com/ThaiInbound)です。

まずタイの主要旅行誌のひとつ、「TRAVEL GUIDE Magazine」です。
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●TRAVEL GUIDE Magazine
タイのトラベルライターによる各国の観光地の特集記事を組んで、毎回豊富な写真で紹介しています。2012年度には北海道(2月号)と長野、新潟(8月号)と年に2回日本を特集しています。
創刊年 2004年 発行部数7.5万部 月刊誌 90バーツ
http://www.travelguidemagazine.biz
http://www.facebook.com/travelguidemagazine

たとえば、2012年8月号の「長野、新潟」特集は、秋冬向けの日本旅行のテーマとして選ばれたと思われます。実はタイ人の日本ツアーの中に、北陸や信州を周遊するコースもあるからです。

特集グラビアの冒頭を飾る写真は、秋の高原です。タイには北部に一部山がありますが、基本的に熱帯の国ですから、日本の高原の風景はとても珍しく映るのです。
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雪景色もタイ人が好む世界です。
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タイの観光地にもたくさん生息していますが、お猿さんが露天風呂に入るなんて、もうたまらない光景でしょう。こういうのがタイ人は大好きです。
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スキー人口はほとんどいないと思われますが、それだけに憧れもあるでしょう。
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次は、同じくタイの雑誌社Check Tourが発行する「Check Tour magazine」です。
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●Check Tour magazine
テーマ性の強い充実した特集記事が売りの月刊誌です。2012年度は、札幌(1月号)、東京ディズニーランド(11月号)など、4回の日本特集を組んでいて、日本への関心の高さを感じます。
創刊年 2010年 発行部数 3万部 月刊誌 85バーツ
http://www.checktour.com/

たとえば、2013年6月号では、高山を特集しています。30pを使ったボリュームたっぷりの企画です。
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秋冬シーズン向けなのに、なぜか桜のグラビアも。これはご愛嬌ということで……?
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飛騨高山テディベアエコビレッジ(http://www.teddyeco.jp/)の4pの特集記事もあります。
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世界遺産の白川郷も、タイ人の日本ツアーの定番です。
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桜餅、串団子、羊羹、たいやき、ういろうなど、日本の和菓子の特集もありました。
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最新号と連動したフリーペーパーも発行しています。同誌に広告出稿した多数の旅行会社のツアー募集広告が載っています。
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在タイ日本人が発行する「The Cue Japan」です。日本のライフスタイルと旅を紹介するフリーペーパーだそうです。
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●The Cue Japan
タイの高級ホテルやレストラン、スパ、コンドミニアム、病院など、現地富裕層が手に取ることのできる場所に配布。タイの媒体に先駆けた新しい日本の観光地の魅力や伝統文化、宿泊施設の滞在シーンなどを豊富な写真で紹介しています。
創刊年 2011年10月 発行部数 2万部 季刊誌 無料
https://www.facebook.com/pages/The-Cue-Japan/232035476859567

広告ベースの媒体だけに、前述の書店売りの2誌に比べて特集としてのまとまりが弱く、1冊の中にさまざまな情報が盛り込まれすぎている印象ですが、第4号に出てくる雪のかまくらの写真などは、タイ人好みといえそうです。
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最後は、バンコク週報というタイの日本語新聞を発行する出版社が制作している現地のグルメ情報誌「Gozzo(ごっつぉ)」です。
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●Gozzo
日本食と旅行の雑誌と銘打たれています。バンコクにある日本食レストランのタイ人向け情報誌ですが、日本の食文化を詳しく紹介しています。
http://www.facebook.com/GozzoThailand

たとえば、2013年7月号では、焼肉特集が組まれています。焼肉の種類や細かい牛肉の部位の解説もしています。もともと宗教的な理由でタイ人の中には牛肉を食べない人も多いと聞きますが、最近は「和牛」ブームだそうです。こうしたきめの細かい現地での情報提供がタイ人にとって日本食を身近な存在にしているのでしょう。
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この焼肉特集の最後に、日本在住タイ人のPanochanさんという女性のコラムが掲載されていました。西新宿にあるタイ人観光客に人気の焼肉屋「六歌仙」の訪問記事です。
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Panochanさんのブログとフェイスブック
http://toytokyo.bloggang.com
http://www.facebook.com/toylovejapan
※Panochanさんがどんな方であるかについては、現在調査中です。フェイスブックによると、川口在住だそうです。

以上、いろんなことを雑多に書きましたが、タイでは日本の情報が偏りなく、比較的まっすぐに紹介されていることがわかります。タイ人観光客が素直に日本旅行を楽しんでくれる背景には、こうした現地での自由な情報流通があると思われます。

株式会社Relationは、タイ人をはじめ現地通のスタッフを抱え、上記の現地媒体と提携し、特集企画や広告制作を担当しています。タイ向けの訪日プロモーションに関心のある方は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

株式会社Relation
http://www.relation-inc.jp
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by sanyo-kansatu | 2013-07-02 12:06 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 07月 01日

タイのビザ免除で、むしろタイ政府側に不法就労再発の懸念があるらしい

本日7月1日より、タイとマレーシアの訪日観光ビザが免除されることになりました。

タイ国民に対するビザ免除(外務省)2013年6月25日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

ところが、タイではこれを歓迎するどころか、おかしな反応があります。

日本の観光ビザ免除、タイ外相が不法就労者増に懸念
http://www.bangkokshuho.com/article_detail.php?id=2207

以前、ニュージーランドがタイ人の観光ビザ免除を実施したところ、観光で入国した後、失踪者が続出したため、免除が取り消された前例があったからです。タイの外相は同じことが起こらないようにと国民に訴えたというのです。

通常、ビザ免除協定は両国の交渉の中で進められるものではないかと思うのですが、タイ側からこうした反応が出るのはどうしたことか。

もしかしてタイのビザ免除は少々勇み足ではなかったか? そんな疑問も出てきます。

一般のタイ人も、1980年代以降の不法就労問題で、日本はビザの厳しい国だという認識が定着していただけに、逆に驚いている様子です。もちろん、これでタイの観光客は増えるでしょうが、それだけの話に終わるかどうか、少し気がかりといえなくもありません。

先日、旅行作家の下川裕治さんに会いました(→「タイ人はイチゴが大好き!? 旅行作家・下川裕治さんが語る『タイ人客はドーンと受け入れてあげるといい』」)。下川さんは1990年代当時、不法就労のタイ人を支援する活動を個人的に続けていました。そこで、今回のビザ免除について尋ねたところ、もちろん基本的には歓迎すべきこととしながらも、「今回のことで、タイ人がたくさん来日すると、また警察から電話がかかってきたり、いろいろ大変になるんじゃないか」と苦笑交じりで話していました。仮に大変になったとしても、これまでどおり受けとめていこうという、いかにも下川さんらしいコメントでした。

そのトークイベントには下川さんの古いタイの友人の女性もいました。興味深いことに、タイ人である彼女も不法就労問題の再発を懸念していました。彼女は1990年代当時のことをよく知っている在留タイ人のひとりです。イベントには、タイの事情に詳しい関係者も多くいて、タイ側ではすでに若い女性を日本に送ろうとするブローカーがいるらしいことも話していました。

一方で、日本の宿泊施設はデフレが進みすぎて、タイ人の感覚でも安いと感じるはずだという声もありました。たとえば、タイの王室保養地であるファヒンのビーチリゾートに一泊すると食事なしで4000B(約1万2000円)はするのに、熱海は2食付の温泉旅館一泊8000円がざら。これならタイ人は日本に行くほうが安いと思うだろうと。

またノービザとなることで、草の根レベルの商務渡航が増えるだろうという指摘もありました。航空券を買うだけで、2週間日本に自由に滞在できるというのは、これまで考えられなかったことなので、タイのビジネスマンが喜んで来日するだろうというのです。

ところで、これは個人的な見解にすぎませんが、今回のタイ人のビザ免除の背景には、尖閣問題以降の中国人観光客の減少をカバーしようとしたことが表向きの理由でしょうが、安部政権の東南アジアシフト政策の一環として後押しされたことも確かでしょう。

ただし、それは中国軽視という外交姿勢上のメッセージを中国側に与えただろうことが想像されます。

なぜなら、いまの中国人ほど、ビザ問題に敏感な国民はいないからです。端的にいうと、彼らは世界から差別されているという認識を強く持っています。中国が不法移民大国であることは間違いないので、そのジレンマを抱える彼らを尻目に、タイやマレーシアが先にビザ免除されたことは、中国側からすると、あてつけ的な施策に映るのではないかと思われます。

中国人のビザをめぐる不満に関しては、以下参照。
http://inbound.exblog.jp/20514969/

ビザという外国人流入の調整弁をどうコントロールするかについては、立場によって見解が異なるのは言うまでもありません。

いずれにせよ、ビザ免除によってタイからの渡航者は増えることでしょう。すべてがきれいごとで進むはずもないのですから、今後の行方を見守っていくほかありません。タイ人客の増加で、ニッポンのインバウンドに新しい風が吹くことを期待したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-01 15:07 | “参与観察”日誌 | Comments(4)
2013年 07月 01日

タイ人はイチゴが大好き!? 旅行作家・下川裕治さんが語る「タイ人客はドーンと受け入れてあげるといい」

6月27日、「タイ人訪日観光の入門〜タイ人気質を知ろう 下川裕治のインバウンド・トーク」というイベントに出席しました。

下川裕治さんはご家族でバンコクに暮らしていたこともあるタイ通の旅行作家です。ぼくは以前、下川さんと一緒にある雑誌の編集をしていたことがあります。お会いするのは久しぶりのことでしたが、今回ぜひ下川さんの話を聞きたいと思ったのはわけがあります。

6月25日、外務省が正式にタイ人の訪日観光ビザの免除を発表したからです。

これは感慨深い出来事といえます。いまから15年くらい前、新大久保にあった「屋台村」(現在は「姉妹や」という韓国料理店)というエスニック系の屋台が集まる食堂で、ぼくはよく下川さんとお酒を飲んだものですが、当時タイ人の不法就労問題が起きていたからです。下川さんは個人的にタイ人の支援をしていました。

そのころ、タイ人のビザが免除されるなんて思いもよりませんでした。それがいまや就労目的ではなく、海外旅行客として来日するということは、タイ人が豊かになったことの証です。下川さんはこうした時代の変化を含め、どう考えておられるのか、知りたいと思ったのです。

まず下川さんは、こんな話から始めました。

「日本人は外国客を迎えるにあたって、カタチを気にしすぎるところがあります。あれこれ考えてサービスしすぎではないか。特にタイ人の場合は、そんなに細かいことを気にする必要はないと思います」

そして、話は今回の主題であるタイ人の食の好みに移りました。以下、下川さんの話を大まかに採録します。

「タイ人の食はとても保守的です。珍しいものを食べたいという欲求より、普段食べているもので、もっとおいしいものが食べたいと考えています。

だから、日本食が人気なのです。バンコクには日本食屋さんがあふれています。吉野家はもちろん、大戸屋、やよい軒、牛角、ココイチ、王将、丸亀製麺、フィンガーハット……その多くは日本でもおなじみの外食チェーン系。もうなんでもあるといってもいい。

だから、タイ人に『日本で何食べたい?』と聞くと、『ラーメン』と答えたりします。その意味は、タイで食べたことのあるラーメンを日本に行って食べてみたい。そのほうがずっとおいしいに決まっているから。そう考えているのです。

帰国してから、話のネタをつくりたいという気持ちもあるでしょう。『日本に行って、吉野家で食べたらね……』という話を友だちにしたいんです。

東京ではあまりなじみがないですが、『8番ラーメン』という福井県に本店のあるラーメンチェーンがタイには100店舗もあります。アユタヤに工場があって、一昨年の水害のとき4ヵ月間営業を停止せざるをえなかったのですが、再オープンしたら、ものすごい行列ができました。それほどの大人気店なんです。

その店の人気の理由は、ラーメンだけじゃなく、おかずの種類が多いこと。タイ人は何かの専門店というより、いろんな料理が食べられる店が好きです。ですから、タイ人を食事に案内するときは、そこを気をつけるといいかと思います。それから、彼らはお酒を日本人ほど飲まないことも知っておいたほうがいいかもしれません。

それからタイ人の食といえば、圧倒的に果物ですね。イチゴ好きは有名ですが、桃やリンゴも好きです。タイにはあんなに一粒が大きくて甘いイチゴはないから。たくさん買いすぎて空港で没収されたタイ人客がいたという話もあります。

タイ人は日本のイチゴが大好き(タイで発行される雑誌より) ↓
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今回ビザが免除になって、これから新しく日本に来るタイ人はバンコク在住の人たちばかりとは限らなくなると思います。たとえば、田舎のお医者さんの家族とか。なにしろ5万バーツ(約16万円)近いツアー代金を払える人たちですから。

でも、だからといってタイ人の性格は?……といったことを気にするより、ドーンと受け入れてあげるといいとぼくは思います。考えすぎるとかえって空回りすると思いますよ。

そんなことより、タイ人を迎えるうえで、ぜひ知っておくといいのは、彼らのスピリチュアルなものを感じる力についてです。

以前ぼくがタイ人の不法就労者を支援していたとき、彼らが元気をなくすと、一緒にお寺に行ったものです。それが彼らにとっていちばん元気の素になるからです。タイ人に聞くと、お寺の空間に行くと落ち着くのだそうです。彼らはそういうスピリチュアルなものを感じ、大切にする人たちなのです。これは東南アジアの仏教圏の国々の人たちに共通するところがあるように思います。

タイ人は日本の老人に会うと元気になるといいます。だから、たとえば電車で老人を見ると、すぐ席を代わってあげないと気がすまなくなるのだそうです。それはきわめて自然な感覚だと思います。たぶんそれは儒教的な感覚とはまた別物でしょう」

タイ人と長くつきあってきた下川さんならではの示唆がいくつもあったと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-01 14:05 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 06月 10日

今年の夏、日本はアジア客でにぎわいそうです(「社団法人AISO第1回総会」報告)

6月6日、JA大手町カンファレンスで一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)の第1回総会が開催されました。AISOは、訪日外客の4分の3を占めるアジアからの観光客の手配を担当するツアーオペレーター(ランドオペレーター)を中心に、ホテルやアミューズメント施設などの各種サプライヤー、自治体などを会員として構成される組織です。
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一般社団法人アジアインバウンド観光振興会 http://shadanaiso.net/

総会終了後 「アジアインバウンドの最新動向」というテーマで各エリアのツアオペ担当者による報告がありました。今年の夏は訪日アジア客で活況を呈することになりそうです。

■「中国プライス」広まりへの危惧

まず、常務理事の株式会社トライアングルの河村弘之社長による全体挨拶からです。

河村氏は、日本旅行業協会(JATA)が今年3月に発表した「ツアーオペレーター品質認証制度」について話を始めました。

ツアーオペレーター品質認証制度 http://www.tour-quality.jp/

この制度が発足した背景には以下の状況認識があります。

「昨今ツアーオペレーター業者間で価格競争が激化し、その結果価格重視で低品質のツアーが数多く見受けられるようになり、また消費者保護、コンプライアンスなどを軽視する業者も散見されます。同制度の導入により、訪日旅行者が安全、安心で良質な旅行を楽しんでいただき、認証された事業者は顧客からの支持・信頼を得やすくなる効果を期待しています」(JATAニュースリリース2013年2月27日より)

6月3日、JATAは同制度の第1期認証23社を発表しています。今後年に2回認証申請を受け付けるとのことです。

第1期認証23社 http://www.tour-quality.jp/list/index.html

業界大手が並ぶ第1期の23社についてはともかく、河村氏はようやく業界としてツアオペの認証制度が開始されたことは評価すべきだといいます。中小企業の集まりであるAISOとしては、今後認証を得やすくなることを期待し、団結してセールスしようと呼びかけました。なぜなら、インバウンドにおいて本当のライバルは他国の業者だから、です。

最近「中国プライス」と呼ばれる訪日旅行の低価格化を、中国の旅行業者が東南アジア市場に持ち込もうとしていることに、河村氏は大いに危惧しているという話が気になりました。この点については、あらためて確認したいと思います。

■中国マーケットの二極化への対応

次は、中国本土市場でビジネスを展開している株式会社ジェイテックの石井一夫常務理事の報告です。

JNTOの統計によると、2013年4月の訪日外客数で唯一中国だけが前年度比33%減となっています。しかし、6月に入り、地域的にバラつきはあるとはいえ、中国客は戻りつつあるといいます。政治の中心、北京はまだ芳しくないものの、上海や広東では夏のツアー募集状況はいいようで、今年の夏は期待していいそうです。

ただし、中国のマーケットはすでに二極化していることを認識すべきだと石井理事は指摘します。確かに中国市場はパイが大きいけれど、どういう層のお客さまを取り込むかについては、よく考える必要があるというのです。やみくもに数だけ追っても、低価格化の圧力にさらされるだけだからです。その意味で、我々は試されている、といいます。

■年間訪日客250万人のお隣の国、韓国

韓国市場についての報告は(株)四季の旅の鄭眞旭社長です。日本の旅行大手のインバウンド事業会社で経験をつみ、2010年11月北海道で創業した同社は、いきなり東日本大震災に見舞われ、苦労したそうです。しかも、震災の影響が過ぎ去ったかと思うと、今度は日韓関係の悪化で韓国客はさらに激減しました。

それでも、韓国は年間訪日客250万人のお隣の国です。鄭社長はそう会員に呼びかけます。

今年に入って、円安の影響もあり、徐々に韓国客が戻ってきたそうです。JNTOの統計でも、4月は前年度比33.7%増となっています。

■訪日客は急増しているが、新興市場のタイには問題も

タイ市場の報告は、株式会社アサヒホリディサービスの和田敏男国際旅行部長です。

和田氏によると、今年の東南アジア市場における同社の取り扱いは、シンガポールが低迷、タイ、インドネシアは80%増と明暗がはっきり分かれるそうです。タイ市場急増の背景としては、中間層が増えてきたこと。タイ航空が訪日旅行に前向きで、驚くようなキャンペーン料金を打ち出したことも大きいそうです。もちろん、円安効果が絶大といえます。

タイ、マレーシアなど一部の東南アジア諸国に対する昨年6月の数次ビザ発給に続き、今年夏さらなるビザ発給要件の緩和が見込まれ、東南アジアの訪日客は激増することは必至。この夏、都内のホテルは“ひっちゃかめっちゃか”になりそうとも。

というのも、タイの観光行政はルールがあいまいで、ルート変更やキャンセルも多く、現地の旅行業界のスタッフもアウトバウンド客の取り扱いに慣れていないため、現場が混乱するケースが多いからだといいます。来日途中でのルートやホテル、食事の変更などが多発しているそうです。

それでも、タイには日本企業の工場も多く、社員の研修旅行などインセンティブツアーの需要も大きいこと。若い世代がアニメフェアやゲームショーといった文化的なイベントに合わせたツアー企画に対して食いつきがよく、企画次第で今後さまざまな可能性のある市場であることは確かだといいます。

■マレーシアでもインセンティブが動き出した

マレーシアとインドネシア市場については、AISCのミッキー・ガン氏が報告します。

4月の統計では、マレーシアは前年度比20.1%増、インドネシアは前年度比61.3%増。

「やっとこういう時代になってきた」と喜びの声を上げるミッキー・ガン氏ですが、その理由は「国によってインバウンドの中身は違うということに、ようやく多くの人が気づいてくれるようになったこと」だといいます。

マレーシアでもインセンティブツアーが動き出しているそうです。背景には自治体の誘致活動の成果があるといいます。

■香港市場は新しい企画さえあれば売れる!

最後に、AISO理事長の王一仁日本ワールドエンタ-プライズ株式会社社長が、香港市場を中心に報告しました。
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王氏はまずJNTOの4月の統計を読み上げます。「香港前年度比24.3%アップ、台湾前年度比42.5%アップ、フィリピン前年度比16.6%アップ、韓国前年度比33.7%アップ……」

JNTO2013年4月訪日外客数 http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/130522_monthly.pdf

そして、「今年に入り、アジアインバウンドは絶好調です」。

なかでも香港市場は75%が個人旅行(FIT)。2年前、香港にセールスに言っても「日本は本当に安全なのか?」。そればかり聞かれましたが、今年は「新しい企画を持ってきてくれ。企画さえ新しければ売れる」と言われるそうです。なぜって、中国は空気が悪いし、鶏インフルがこわい。韓国は北朝鮮問題がある。香港人は日本に行きたいのです、とのこと。

最近、同社にはフィリピンからの問い合わせも増えているそうです。東京を中心にした魅力的なオプショナルコースの開発が求められているといいます。

問題は、土曜日のホテルの確保だそうです。週末は都内のホテルの日本人利用率が高いため、なるべく土曜日は東京を外した日程を組まなければならなくなるからです。

最後に、王理事長は今回の報告をこう総括しました。「アジア客に対しても中身で売る時代がついにやってきました。東京を中心にこれまでアジア客が利用してこなかったようなホテルやテーマパーク、アトラクションなどを組み合わせた多彩な周遊コースを提案していただきたい。我々がそれをアジアマーケットにセールスします」。
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※今年の夏、アジアインバウンドは盛り上がりそうです。中国市場も回復するとすれば、なおさらです。ただし、それぞれのエリアの報告者たちが語る国・地域による市場の成熟度の違い、また同じ国・地域においての市場の二極化の諸相をきちんと見極め、自分はどの層を取り込みたいのか、どこにアプローチしていくべきか、その判断が問われる時代になりそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-06-10 15:02 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 05月 30日

中国の海外不動産投資ブームをいかにビジネスチャンスとするべきか(COTTM2013報告 その5)

COTTM2013で開催されたフォーラムの最後のテーマは、「中国の旅行業界は海外不動産投資ブームをいかにビジネスチャンスとするか」というものでした。
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こういうストレートなテーマをビジネスフォーラムで討議するというのは、日本の旅行業界ではあまり考えられない気がします。個人投資家を集めた海外不動産投資セミナーを企画するのは異業種の領域だと信じられているからでしょう。日本の旅行業界人の多くは、消費者とともに一途に “旅のロマン”を追い求めることが業界としての使命なのだという自画像を好んでいるように見えます。

これは別に皮肉ではなく、実は中国の旅行業界の人たちも同じなのです。今回B2Bの商談会であるCOTTMの展示会場で見かけた中国の旅行業界人の顔だちを見ていると、これは直感的な言い方にすぎませんが、日本の旅行業界人と同じ人種だと思ったのです。そうそう、こういう顔だちの人、ファッションセンスの人、日本にもいるいる。たとえていえば、育ちがよくて、子供のころから両親に連れられ海外に出かける機会に恵まれ、留学もしたから英語もそこそこじゃべれるのだけど、バリバリビジネスをやる気もないので、つい知り合いのつてで海外の観光局で働くことになった……というようなタイプとでもいいましょうか。中国の対外開放の歴史は30年ですから、日本に比べると、その種のタイプが業界に集まる傾向はより強いといえるのかもしれません。ある意味、“中国人”離れしたタイプ、香港や東南アジアの華僑の資産家の子弟に近い感じといえばおわかりになるかもしれません。

もっとも、その種のタイプが多い業界といえども、ここは中国。“旅のロマン”だけを追いかけても生き延びてはいけない世界です。しかも、これまで述べてきたとおり、「新型旅客」の登場で、従来型のビジネスモデルでは立ち行かなくなりつつある。そんなこの国の業界人にとって“福音”となるのが、中国人の海外不動産投資家のニーズに業界としていかに貢献できるか、という話だというわけです。
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登壇したのは、司会進行のProf. Dr. Wolfgang Georg Arlt、CBN China Business Network(中国商務集団)総裁のDr.Adam Wu,Coo、そしてスペインのカナリア諸島で一戸建てヴィラなどの不動産販売を手がけるM&S Fred Olsen SAのCamilla von Guggenbergさんです。

CBN China Business Network(中国商務集団)
http://www.chinabn.org/

M&S Fred Olsen SA
http://fis.com/fis/companies/details.asp?l=e&filterby=companies&=&country_id=&page=1&company_id=11802

まず、おなじみProf. Dr. Wolfgang Georg Arlt(以下、教授)による趣旨説明から始まりました。なぜ中国の旅行業界は海外不動産投資ビジネスに関心を持つべきなのか、という話です。

教授はこんな話から始めます。先月(2012年3月)、ヨーロッパの主要な都市のいくつかの商工会議所で中国人観光客をテーマとしたワークショップが開かれたそうです。そこでは、いかに中国人観光客を呼び込み、ショッピングをしてもらうか。さらには、中国の投資家にどのようにプロモーションしていくべきか、といった内容が話し合われたといいます。それだけヨーロッパ諸国では、中国の観光客の来訪を歓待しているというメッセージが告げられます。

この話を聞きながら、ぼくは2008~10年頃の日本を思い出していました。その頃、日本ではいまのヨーロッパのような機運が盛り上がっていたからです。この約4年のタイムラグは、ヨーロッパ諸国が中国人団体観光ビザ(ADSビザ)の解禁を日本(2000年)に遅れること、2004年に実施したことを思うと、なるほどという感じもします。

次に、教授は中国の富裕層(high net worth individuals)の海外志向性について触れます。すなはち、1000万人民元以上の個人資産を持つ中国人富裕層の44%は、移住を考えていること。さらに85%が子弟の海外留学を計画している、と指摘します。
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そして、中国経済の成長は近年鈍化しているものの、海外旅行は依然拡大基調にあることが説明されます。なんだかバブルが崩壊した1990年代以降も、海外旅行市場が拡大し続けた日本と似ていますね。
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いよいよ本題です。中国の旅行業界は、なぜ海外不動産投資ブームをビジネスチャンスとみなすべきなのか。その理由は、ひとことでいえば、業界として顧客のニーズに応えるべきだから、というものです。わかりやすいですね。

教授は説明を続けます。

中国の個人投資家にとって、海外旅行は休暇や買い物を楽しむだけでなく、投資の機会と結びつけて考えられているのがふつうである。彼らは海外の高級な宿泊施設やサービスを体験するだけでなく、投資の機会を狙っている。なぜなら、中国の富裕層は、欧米と違ってすべて自らが起業した第一世代。海外の不動産投資情報についても、代理人に委託するよりも、自分の目で見極め考えるタイプが多い。それが中国の企業家の特性である。

彼らのサポートをするのが旅行業界の役割で、これはビジネスの好機といえる。中国の投資会社も、顧客のために海外の正確な投資情報を入手したいので、海外の事情に通じた旅行業界と協力したいと考えている。近年、中国でも投資家を集めた会員制クラブがいくつもできており、今後彼らを世界に案内する機会は増えるだろう。

実をいえば、中国の不動産投資ブームはいまに始まったものではありません。一般に「旅游地产(Tourism real estate)」と呼ばれ、1990年代にはすでに海南島や広東省などでリゾートホテル開発として進められていました。その動きが進化していくのが2000年代以降です。単なるホテルではなく、一戸建ての別荘やゴルフ場などがまずは国内各地に開発され、2007年のリーマンショック以降、海外に触手が伸びていったのです。

ですから、その動きに旅行業界も貢献するべくビジネスチャンスとしようという話は、ある意味、ごく自然な流れといえるのです。

さて、教授の講釈が終わると、座談会に移りました。登壇者のひとり、Camilla von Guggenbergさんは、欧米の観光客でにぎわうスペインのカナリア諸島でヴィラの投資を呼びかけるため、中国に来たといいます。一方、CBN China Business Network(中国商務集団)総裁のDr.Adam Wu,Cooは、いかにも1980年代早期の海外留学組といった感じの人物で、中国の旅行関係者に向かって投資ビジネスに関心を持つよう語りかけます。

これは日本でもそうですが、中国の大手旅行会社などは、これまで自ら投資して、国内に多数のホテル物件を開発し、運営してきました。しかし、ここで話題となっているのは、自らオーナーとなることではなく、富裕層の海外投資のサポート役となることが、新しいビジネスの可能性なのだということです。薄利多売で大量送客するだけの団体ツアービジネスでは、今後生き延びることは難しいため、富裕層を対象にビジネスを再構築しようという話ですから、それはそれで理にかなっているとは思います。さて、観衆の反応はどうだったでしょうか。

質疑応答の時間はたっぷり用意されていました。この種のイベントでは、中国の人たちは旺盛な好奇心と物怖じしない性格で、どんどん質問が出てくるというのが一般的な光景ですが、さすがに今回ばかりは挙手する人がなかなか出てきません。

そんな息苦しい雰囲気を気にしてか、ある女性が思い立って挙手しました。質問の内容は、Camilla von Guggenbergさんが紹介したヴィラ物件の広さと価格を問うものでした。いきなりカナリア諸島のヴィラに投資しませんか、と言われても、「それっておいくらくらいするものですか?」と聞くのがせいぜいというものでしょう。
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その質疑応答が無事すんで、その場もなんとなくホッとしていたところに、突然後ろの席のほうからひとりの男性が立ち上がりました。ちょっと聞き取りにくい英語でしたが、要するに、「カナリア諸島のヴィラにどれだけの投資価値があるのか。もっと詳しく説明しろ」という、かなり詰問調の質問でした。

おそらく彼は本気でその質問をしているのではなかったと思います。むしろ、そんな誰も知らない海の向こうの投資話をここですることに、どんな意味があるのか。もっと現実的で、業界のビジネスに直結する話をするべきではないか、というワークショップの主催者に対する異議申し立てのように感じました。その気持ち、わかりますよね。なぜなら、観衆としてここにいるのは、投資家の人たちではないからです。

こうして最後はちょっと気まずい雰囲気のまま、「詳しい物件の話は、あとで個人的にご質問ください」という教授のことばで締めくくられたという次第ですが、いかにもいまどきの中国らしい光景だと思いました。

中国で不動産投資を目的に海外に出かけようと考えている個人投資家はずいぶんいると考えられます。実際、彼らは日本にもやって来ています。

最近では、中国の投資家もただ海外の物件を購入し、資産価値を担保したうえで、家賃収入で儲けようという従来通りのタイプだけではなく、中国にはまだないさまざまな優良施設の運営ノウハウを取り入れ、自国で投資したいというニーズもあるようです。

彼らの存在をどう扱うかという話は、実のところ、我々にとっても新しいインバウンドビジネスの可能性のひとつとして、決して遠い話とは言えないのです。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-30 11:44 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 05月 29日

世界一になったのに、なぜビザ緩和が進まないのか~中国の不満とその言い分(COTTM2013報告 その4)

フォーラム2日目の午後3時からパネルディスカッションがありました。
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タイトルは「中国出境旅游运营商研讨&签证问题(Tour Operators & Visa)」。中国の海外旅行市場における今いちばんホットな話題、とりわけ個人旅行化とビザ問題について、業界としてどう考えるべきか、というのがテーマでした。

登壇したのは、北京の旅行会社2社のトップの男性ふたりと、ネット旅行社最大手C-Tripのマーケティングディレクターの女性、そして北欧に拠点を置くアフリカのサファリツアーで有名なアルバトロス・トラベル中国支社長で、彼だけが外国人です。司会進行はPATA(Pacific Asia Travel Association)中国支部の代表・常紅さんです。

今回討議されるテーマは、中国の旅行関係者の事前の投票によって決められたそうです。彼らがいまどんな問題に頭を悩ましているか。まさに一目瞭然の結果が出ています。

The most interested topics voted by Tour Operators
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そのうち上位6つの話題が以下のとおりです。

①半自助旅游(160 票)
②中国新型旅客(155票)
③ビザ問題(152票)
④人材育成(149票)
⑤アメリカの新ビザ制度について(赴美签证新规)(143票)
⑥オンライン購入について(129票)

では、ひとつずつ簡単に解説していきましょう。

まず、①「半自助旅游」ですが、要するに、航空券とホテルを旅行会社で予約するだけの自由旅行のことです。日程と宿泊場所だけが決まっていて、観光や食事は各自が自由に楽しむツアーのことで、日本の旅行業界では「スケルトン型」とも呼ばれます。
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中国の大手検索サイト「百度」によると、「半自助旅游」について以下の説明があります。
http://baike.baidu.com/view/1617048.htm

「半自助游是一种介于参团游与自助游之间的旅游方式,其特点是旅行社只负责交通和住宿等环节,而游览行程、餐饮等全让游客自己安排」

日本ではよくあるツアー形態のひとつですが、未だに団体ツアーが主流の中国では、「半自助旅游」が増えることで、旅行会社の営業にどんなダメージを与えるのか。それともこれは好機なのか、というのが討議の中心でした。「半自助旅游」が増えれば、旅行会社が顧客のために手配する仕事が減り、利益もそれに応じて減ると考えられるからです。

登壇者たちの多くは(こういう場に出てくる以上、当然なのかもしれませんが)、業界にとって「半自助旅游」が増えることは歓迎すべきだという趣旨の発言をしていたように思います。それが現在の中国の旅行業界の主流の考え方といえるかどうかは定かではありません。

次の②「中国新型旅客」も①につながるテーマです。COTRIのProf. Dr. Wolfgang Georg Arltが強調していた“New Chinese Tourist”問題です。旅慣れた新型旅客の要求に旅行業界はどこまで応えることができるか、というのがポイントでした。
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ここ数年、中国では「新型旅游方式」ということばは一種の流行語といっていいでしょう。ネットで検索すると、渡航先の珍しさだけでなく、滞在のスタイル、各種体験型など、いろんな旅行のスタイルが紹介されています。それらは、日本のような海外旅行の成熟した市場からみるとそれほど目新しいものではありませんが、問題はその大半が、中国の旅行会社が現在催行しているツアーでは実現することが難しい内容ばかりなので、彼らは頭を抱えることになります。

中国の「新型旅客」といえば、以前ぼくは若い世代のバックパッカーブームについて書いたことがありますが、もはやそれも若者だけの特権ではなさそうです。昨年、北京在住の老夫婦の旅が中国で大きな話題となったからです。

中国の中央電視台で放映された以下のニュース動画をご覧ください。

“花甲背包客”走红 新型旅游方式受追捧(央视国际:2012-10-02)

北京在住の張廣柱(63)さんと奥さんの王鍾津(61)さんは、定年退職後の2008年から11年にかけて北米や南米、ヨーロッパなど数十カ国をバックパッカーとして自由旅行しました。その旅行記は『花甲背包客(Happy Backpacker)』というタイトルで出版され、多くの読者を得たことで、ニュース番組にも取り上げられたのです。
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ご夫婦のブログ:花甲背包客(Happy Backpacker)
※YOU TUBE http://www.youtube.com/watch?v=c998WEjZq3k

中国で最も人気とされる同電視台の白岩松キャスターは、番組の中で「新浪微博(中国版ツィッター)」を利用して「あなたは普段どの旅行スタイルを採用しますか?」というアンケートを10月2日行なった結果、「自由旅行73.2%、団体旅行26.8%」と、圧倒的に自由旅行が支持されたことを伝えていました。 この数字は、現実と大きく乖離していますが、それだけいまの中国の人たちの願望を反映していると思われます。

番組の中で、若い記者のインタビューに快活に答えるご夫妻の微笑ましい様子を見ながら、ぼくはちょっとしたデジャヴュを覚えました。それは1980年代のことです。当時、こういう元気なシルバー世代のバックパッカーが日本でも話題になったものです。ここだけ切り取れば、いまの中国はかつての日本の雰囲気に本当によく似ていると思います。

しかしそれは、いまの中国の旅行業界が当時の日本と同じような新たな問題に直面していることを意味します。若い世代だけでなく、この老夫婦のような「新型旅客」ばかりになってしまったら、旅行会社はどうやって利益を得ていけばいいのか。どう生き延びていけばいいのか……。

一方、③④⑤については、中国固有の問題といえます。まず③と⑤ですが、共通の内容といえるのでふたつを足せば、いまの中国の旅行業界にとってビザ問題が最大の関心事であることがわかります。
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現在中国人が海外旅行に出かける場合、団体ビザを取得して旅行会社の催行するツアーに参加するのが一般的です。これだけ個人旅行や自由旅行への志向が強まっているにもかかわらず、それを実現できるのはまだ一部の層にすぎません。これは中国が世界の多くの国々とADS(Approved Destination Status)ビザ協定を結んでいることと大きく関係あります。これは、不法移民を防ぐために各国との間で結ばれた中国在住国民を対象とした特別な協定です(海外在住の中国人に対しては少しゆるい規定になっています)。詳しくは下記サイトに説明されていますが、1983年に香港・マカオとの間で始まったこの協定は、2000年代以降オーストラリアや日本との締結を皮切りに、欧米諸国や南米アフリカ諸国へと一気に広がっていきます。

Approved Destination Status (ADS) policy(China Outbound Travel Handbook 2008)
http://chinacontact.org/information/approved-destination-status-ads-policy

ADSビザ協定国増加の推移(中国国家旅行局) 
http://www.cnta.gov.cn/html/2009-5/2009-5-13-10-53-54953.html

一般にヨーロッパ諸国との締結は2004年以降、アメリカとは2008年。以後、多くの中国人団体観光客が欧米を旅するようになったのです。

今日の中国の人たちは、欧米とアジアに序列をつけて見ようとする傾向が強いため、最初は欧米に行けるだけで満足していたのですが、数年もすると、自分たちも日本人や香港人など他の国の人たちと同じように個人旅行や自由旅行に行きたいと思うようになります。実際、日本でも中国人に対する個人観光ビザが適用されたり、ビザ取得資格の緩和が行われたりしているように、欧米諸国でも同様の措置が徐々に進んでいます。今回のCOTTMに出展しているヨーロッパの旅行会社の中にも自由旅行専門の会社がいくつかありました。

それでも、多くの中国人にとっては公平とは思えないのです。「いまや中国は世界一の海外旅行大国になったのに、なぜビザ緩和が進まないのか」と感じているわけです。とりわけ、彼らの関心が集中するのが、アメリカのビザ制度に対してです。

というのは、欧米先進国の中で最後に中国人の団体観光ビザを解禁したアメリカは、いまだにビザ取得の条件として、領事館での個別面接を義務付けているからです。北京のアメリカ大使館の前によく行列ができているのを見かけますが、そこまで課していることに対して、彼らは大いに不満を感じているのです。

とはいえ、さすがに昨年、大使館での面接内容の一部が軽減されたと聞いています。それでもまだ十分ではないと彼らは考えているため、⑤の話題が独立して出てくるのでしょう。今回のフォーラムでも、欧米諸国とのビザ条件をどうしたら緩和できるかについて多くの時間を割いていたようです。

彼らの気持ちはわからないではありません。これはぼくが北京で知り合った多くの旅行関係者にも共通している思いです。彼らにすれば、中国人だけ差別されているように感じるからです。

この問題に対する不満は、とりわけ中国メディアの記者などに強いように見えます。彼らはビザ問題を、中国人としての自尊心や面子の問題とすり替えようとしがちです。その主張を強く後押しするのが、前述の「いまや中国は世界一の海外旅行大国になったのに、なぜビザ緩和が進まないのか」という苛立ちです。

この点、中国の旅行業界の人たちは、メディアの人間に比べるといくぶん理性的に見えます、というのも、彼らは仮に欧米諸国や日本がビザ緩和を必要以上に進めると、不法移民が発生しかねない国情がいまの中国にあることを一方で理解しているからです。それは旅行業界の人たちが、中国の一般の人たちやメディアの人間に比べ、海外の事情をよく知っていて、冷静に物事を考えることのできる人材が多いからだと思います。

④人材育成の問題に彼らが高い関心を持っているのも、ビジネス上日常的に海外と中国の実情とを比較することができる立場にあるからでしょう。なんといっても、中国の海外旅行の歴史はわずか15年です。基本的に中国の旅行業界は長い時間、インバウンド(外客の受け入れ)で成長してきたわけですから、アウトバウンド・ビジネスに適応する人材は圧倒的に不足しており、その育成は急務となっています。さらに「新型旅客」の登場は、海外事情に詳しい人材を育てなければ業界そのものが生き残れないことを強く意識させています。

また、⑥オンライン購入の話題についても、ネットが旅行業のビジネスモデルを大きく変えようとしている中、時代の変化に適応した人材をこの業界でも必要としていることがわかります。

そうした事情は国家旅游局の役人も当然のことながら意識しているようで、以下のようなネットの記事も見つかりました。

新旅游业态呼唤新型旅游专业人才(2013-05-07)
http://www.lifedu.net/news/zhijiao/41092.html

この記事からもわかるように、いま中国の海外旅行マーケットはモデルチェンジとアップグレードの時代に向かっています。専門性の高い人材を育成するため、中国政府は大学の旅行専門学部や専門学校を急ピッチで開校させています。彼らは量だけでなく、人材の質を高めることが課題であることも認識しています。もっと日本との人材交流が進むと面白いと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-29 11:37 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 05月 26日

中国の旅行業界に貢献したツーリズム大賞2013受賞者の顔ぶれから見えること(COTTM2013報告 その3)

この種の展示商談会には、この1年業界に貢献した企業・団体へのツーリズム大賞の授賞式がつきものです。COTTM2013(中国出境旅游交易会)では、どんな人たちが受賞したのでしょうか。

授賞式のプレゼンターは、ここでもCOTRI(中国出境旅游研究所)の代表のProf. Dr. Wolfgang Georg Arlt氏です。

以下、「マーケティング部門」「プロダクト・イノベーション部門」「インターネット部門」「サービス・クオリティ部門」「総合」の5つの部門の受賞者たちの顔ぶれを簡単に紹介しましょう。

COTTM2013 Award
http://www.china-outbound.com/fileadmin/template/pdf/Press_releases/2013/COTRIPress_ReleaseApril162013.pdf

●マーケティング部門
金賞 National Tourism Organisation of Serbia (NTOS) & National Tourism Organisation of Montenegro (NTOMNE) (Serbia & Montenegro)
http://www.serbia.travel/
http://www.visit-montenegro.com/
銀賞 Nicholas Publishing International (United Arab Emirates) http://www.npimedia.com/
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銅賞 Transaero Airlines(Russia) http://www.transaero.com/

●プロダクト・イノベーション部門
金賞 Travel Trade China(UK) http://www.traveltradechina.com/
銀賞 Fundatia Euro-Asia Promotion and Cultural Fundation (Romania)  http://culture360.org/members/euroasia/
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銅賞 Sun International (South Africa)   http://www.suninternational.com/
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●インターネット部門
金賞 Shanghai QinLu Electrical Technology Co., Ltd. & Xi'an HuaFan Instruments Co., Ltd. (China)  
http://www.shqinlu.com/
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銀賞 Tahiti Tourisme (Tahiti)    http://www.tahiti-tourisme.cn/
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銅賞 Central Hall Westminster (UK)

●サービス・クオリティ部門
金賞 Alila Hotels and Resorts (Bali, Indonesia)   http://www.alilahotels.com/
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銀賞 Abel Tasman Sea Shuttle (New Zealand)   http://www.abeltasmanseashuttles.co.nz/
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銅賞 The River Lee Hotel (Ireland)   http://cn.doylecollection.com/
銅賞 Himalayan Kingdom tours (Bhutan)   http://www.nepal-uncovered.com/tours/bhutan/bhkt.php
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●総合
金賞 Voortrekker Monument & Nature Reserve (South Africa)   http://www.voortrekkermon.org.za/
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銀賞 El Corte Inglés (Spain)    http://www.elcorteingles.es/
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銅賞 Uniline Croatia (Croatia)   http://www.uniline.hr/hrvatska/
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ぼくは一連の受賞風景を会場でずっと眺めていたのですが、受賞者たちは登壇しても短い挨拶程度のスピーチしかなかったこともあり、それぞれの受賞理由についてはあまりよくわかりませんでした。それでも、アフリカや東ヨーロッパなど、海外旅行先としてはまだ珍しいであろう国々の観光局や旅行会社などが多く受賞していることに、ちょっと驚きました。

こういう雰囲気は、旅行業界が次々と新しいディスティネーションを追い求めていた日本の1980年代~90年の感じに似ていると思いました。まだ誰も知らない、行ったことのない大陸や辺境へと勇んで出かけていこうとしている時代に、中国が向かおうとしていることを実感します。

マーケティング部門やインターネット部門の受賞者を選んでいることも興味深く思いました。中国の海外旅行マーケットでいま何が起きているかを知るには、これらの受賞者たちがどんな理由で評価されたかについて、もう少し調べてみる必要があるかもしれません。

ところで、JATA旅博でも「ツーリズム大賞」と称して、海外の旅行関係者の中から日本の海外旅行マーケットの促進に貢献した企業・団体を表彰しています。

JATA Tourism Awards(ツーリズム大賞)
http://www.jata-net.or.jp/tourism_awards/awards_record.html

ちなみに、2012年の受賞者は以下のとおりです。

●観光局部門 
台湾観光協会 
http://www.go-taiwan.net/
メルコスール観光局 ※南米4カ国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)の共同の観光局
http://www.mercosur.jp/

●特別賞
フィンエアー(フィンランド航空)
http://www.finnair.com/JP/JP/japan

●パブリシティ部門
日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」

受賞理由は話題性という意味でなんとなくわかる気はするのですが、サプライズはあまり感じられません。これが市場の成熟化というものかもしれませんが、少なくともいまの中国には海外旅行に対する熱気や期待が日本以上に感じられるのは確かです。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-26 23:42 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 05月 26日

2012年、中国は米独を抜いて世界一の海外旅行大国になった(COTTM2013報告 その2)

COTTM(中国出境旅游交易会)を視察して興味深かったのは、国内外の業界関係者が登壇し、さまざまなテーマで意見を交わすフォーラムでした。ここで議論される内容は、現在の中国の海外旅行市場を理解するうえでいろいろと参考になります。
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COTTM2013 http://www.cottm.com/

3日間を通じたフォーラムの主要なテーマは、おおむね以下の4つでした。

①中国のラグジュアリー旅行の展望
②SNSの現在形(中国で海外旅行に最も影響のあるメディアのいま)
③業界の抱える6つの課題(査証問題を中心に)
④不動産投資旅行に対する業界の取り組み

このうち、残念なことに①だけ都合が悪くて出席できませんでしたが、②~④については、追って紹介しようと思います。とりわけ、④は日本の旅行業界ではあまり話題にならないような、中国らしい生々しいテーマといえるかもしれません。

さて、この4つのテーマに共通するキーワードは“New Chinese Tourist”です。今回多くの登壇者たちが語ろうとしていたのは、「いったい“New Chinese Tourist”とは何者か?」という問いを明らかにする試みだったと思います。

こうした問いが生まれるのは、十分すぎるほどの理由があります。2012年、中国がドイツ、アメリカを抜いて海外旅行マーケットで世界一の規模になったからです。この事実の意味するところを世界はどう受けとめ、対応するかが問われているというわけです。

「Are you ready?」。そう繰り返し問いかけるのが、COTTMのフォーラムの司会進行を務めるProf. Dr. Wolfgang Georg Arlt(以下、教授)です。
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ドイツ出身のTourism Scientistである同教授は、2004年に自ら設立したCOTRI(中国出境旅游研究所)の代表として、中国の海外旅行市場に関する精力的で継続的な調査研究を行い、今回のCOTTMの企画運営にも参加しているという学者です。2004年12月から05年3月まで、日本学術振興会の研究員として筑波大学に招かれたこともあります。

COTRI(China Outbound Tourism Research Institute)
http://china-outbound.com/

フォーラムの冒頭で、教授はこう語ります。

UNWTO(国連世界観光機関)は、今年4月4日、中国は2012年に8300万人の出国者と1020億ドル超の消費を記録し、ドイツ(前年度1位)、アメリカ(前年度2位)を抜いて世界最大の海外旅行市場になったと発表しました。2013年には9500万人の出国者が推計されています。これはUNWTOがかつて予測した2020年までに1億人の中国人が出国するというスピードをはるかに超えたものとなっています」
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※とりわけ2012年の出国者数の伸びは大きく、前年度比約20%増。伸び率の高い国のランキングでいうと、タイ+62%、台湾+57%、スペイン+55%、アメリカ+41%となります。ちなみに、日本は1~9月までは+71%とトップなのですが、10~12月は-37 %という皮肉な結果となっています。また、消費額は前年度比40%増という驚くべき数字です。

※2012年の海外旅行消費額ランキング(UNWTO)

1位 中国 1020億ドル 40.5%増 ※伸び率でも他を圧倒。
2位 ドイツ 838億ドル 5.8%増
3位 アメリカ 837億ドル 6.4%増
4位 イギリス 523億ドル 4.1%増
5位 ロシア 428億ドル 31.8%増 ※中国に次ぐ高い伸び率。「新興国の中間層が世界の旅行市場を塗り替えようとしている」タレブ・リファイUNWTO事務総長のコメントより。
6位 フランス 381億ドル 6.4%減
7位 カナダ 352億ドル 6.7%増
8位 日本 281億ドル 3.1%増
9位 オーストラリア 276億ドル 2.9%増
10位 イタリア 262億ドル 1.0%減

これまで中国の海外旅行者数として挙げられる数字には、香港、マカオへの渡航者数も含まれており、その数が3000万人程度あったため、全体像をかなり割り引いて考えなければならないという指摘もあったのですが、2012年度においては、8300万人中3000万人ということで(これでも十分多いですが)、中国人の海外旅行に渡航先の多様化が起きており、その結果、香港・マカオの比率が減少していることがわかります。 

実は今回、多くの登壇者が合言葉のように共通して口にした話題ですが、教授はさらにこんな話をしました。

「4月7日、習近平主席は今後5年間、中国は4億人以上の中国客を海外に送ることになるだろうとコメントしました。中国の政治リーダーのこうした発言は、市場の拡大に向けた大きな推進力となります。
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以前は『中国の海外旅行市場にどんな意味があるのか』とよく聞かれましたが、いまはもう古い質問となりました。『Yes, No1 in the World』と答えるだけですむからです。

新しい質問はこうです。『中国の海外旅行市場はどのように発展するのでしょうか』。それに対する2013年の答えはこうです。『Scientifically solid forecasting needed』(科学的で実質的な予測が必要とされます)」

教授によると、劇的な成長を遂げる中国の海外旅行市場ですが、1978年の改革開放以降、以下の4つの時期をへてきたといいます。( )内は出国者数。

①1983-96 VFR and delegations(外交団と各種代表団の時代) (1996 8 mio)
②1997-2004 ADS and chaotic growth(ADSビザと無秩序な成長の時代) (2004 29 mio)
③2005-10 Gaining experience and scope(経験の獲得と渡航地域の広がった時代) (2010 57 mio)
④2011-? The second Wave of china’s Outbound Tourism: sophistication and segmentation(中国の海外旅行の2度目の波:洗練とセグメントの時代) (2012 70 mio ,12 83 mio)

※ADS(Approved Destination Status)は、不法移民を防ぐために各国との間で結ばれた中国在住国民を対象としたビザ協定のこと。現在の中国人と旅行業界にとっての最大の関心事でもあるので、詳しくは別の回で。

教授は言います。「いまや中国の海外旅行市場は“洗練とセグメントの時代”を迎えている。その主人公は、“New Chinese Tourist”である。そして、

“New Chinese Tourist”-becoming “noramal”(like us?)」と問いかけます。

私たち(先進国)と同様に、“New Chinese Tourist”は普通に存在している、というのが教授の主張です。その理由として、以下の事例を挙げています。

①1997年以降、15年間の海外旅行の経験
②1978年以降、150万人の留学生が帰国していること
③アメリカとヨーロッパに累計で各100万人の留学生がいたこと
④中国の富裕層の平均年齢は39歳であること
⑤100万ユーロの個人資産の所有者100万人
⑥1億元の個人資産の所有者6万人
⑦10億元の個人資産の所有者4000人
⑧5.5億人のインターネット利用者

さらに、“New Chinese Tourist”には以下のような特徴があると指摘します。

①団体ツアーに対してネガティブなイメージを持っている
②ブータンでバードウォッチングをしたいというような専門的な旅を求めている
③経験と語学を身につけることで、旅行会社の手配するビザや航空券、ホテルを利用する以外の別の形を求めるようになる
④とはいえ、たとえ中国人が個人旅行化しても欧米的な“individual” travellerとは同じではない
⑤“New Chinese Tourist”といえども中国人である。他国で中国語の表示やサインを見つけることで、その国から尊敬を得ていると感じる
⑥彼らは同じ中国人の仲間からの情報を信用する傾向にある
⑦彼らは単なる休暇ではなく、名声や教育、投資のためにアジア以外の国に旅行することを好む。「Money-rich, Time-poor」な人たちである

こうした特性を持つことから、2013年、中国の海外旅行者の30%以上が旅行会社の手配を必要としなくなるだろう、といいます。
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“New Chinese Tourist”とは「New customers(新しい顧客)」であり、彼らを取り込むには「new distribution, channels, new denmands(新しい流通とチャネル、そして新しい要求)」に応えていかなければならない。

そのためには、「Niche products and distinations」(ニッチな商品と渡航先)」が必要とされている。彼らは他人に自慢するために観光地でスナップ写真を撮るためだけの目的では満足せず、特別な場所で特別な体験をしたいと考えている。これからの中国の旅行業界が取り組むべきは、ニッチな商品の開発と新しい渡航先の開拓だ、と結論しています。

いかがでしょうか。前回紹介したCOTTMの渋すぎる出展国のラインナップは、中国の旅行業界がニッチな渡航先を開拓する段階に至っていることを意味していたのです。

もっとも、一連の教授の話を聞きながら、規模と実態をきちんと区別する必要がありそうだと感じたのも事実です。日本で目にする中国からの観光客の大半は、まだとても“New Chinese Tourist”と呼びうるとは思えないからです。

ニッチの市場規模をどの程度に見積もるべきかについては、依然考慮を要すると思われます。また教授が指摘するように、“New Chinese Tourist”といえども中国人であり、欧米や日本の個人旅行者と同じようにイメージしてしまうと、勘違いも起こりそうです。

CNNが同様のテーマについて以下の記事を配信しているのを見つけました。記事の中には、教授もコメンテーターとして登場しています。

Chinese tourism: The good, the bad and the backlash(CNN)  April 12, 2013

ここでは、基本的に中国の海外旅行マーケットの成長を歓迎しつつも、個別の受け入れ国の側に中国客のマナーやふるまいをめぐって戸惑いがあることや、逆に中国人の側にも、欧米先進国に対する複雑なコンプレックスがあることを指摘しています。

“Chinese tourists often say they feel treated like second class people, even when they spend a lot of money” (CNNの同記事より)

こっちはお金をたくさん使っているのだから、一等国民として扱うべきだ……。なんとも痛々しい叫びともいえますが、そういう態度が他国の人から見ていかに傲慢に映るのか。それに気づいたとき初めて、世界の人たちは中国客に対して普通に接するようになるということを、もっとこの国の知識層は国民に啓蒙したほうがいいのだろうと思います。すでにブログなどでは、そういう議論がよくなされているのも事実ですけれど。この問題は彼らの自尊心とビザの話にもつながってくるので、また別の機会で。

さて、それはそれとして、2012年、中国はドイツ、アメリカを抜いて海外旅行マーケットで世界一の規模になり、今年も出国者数を順調に伸ばしているにもかかわらず、ほとんど唯一の例外として、訪日旅行市場だけが減少しているという事態について、やはりあらためて考える必要はあると思います。

そのためにも、中国の旅行業界でいま何が起きているのか。どんなことを彼らが議論しているのかについて、ある程度知っておく必要があるはずです。それが、この記事をぼくがブログに書いている動機のひとつとなのですが、中国の事情に詳しくない方でも、たとえば、2012年のJATA旅博のフォーラムで日本の旅行業界関係者が議論したテーマと今回ぼくの紹介した中国のケースをちょっと比べてみてください。

JATA国際観光フォーラム2012
http://www.b.tabihaku.jp/data/jataReport_ja.pdf

JATA旅博の場合、基調講演にしてもそうですが、シンポジウムの内容も「これでいいのか日本のインバウンド~真の観光立国となるために」「新たなマーケットの可能性と旅行会社の役割」(アウトバウンド部門)といった調子で、北京と比べると、テーマも抽象的でどこか予定調和的な印象が拭えません。あるいは、国際的なマーケットの動きや業界を超えたビジネスの広がりについてどこまで視野が及んでいるのか、ちょっと疑問です。

もちろん、国情や市場環境が違う以上、単純に比較しても意味はないのですが、いまや世界最大の海外旅行送り出し国となった隣の国の旅行商談会で繰り広げられている熱い議論についても関心を持つべきだろうと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-05-26 16:30 | “参与観察”日誌