カテゴリ:“参与観察”日誌( 202 )


2016年 01月 26日

春秋航空の就航が呼び水となった関西国際空港の中国路線拡大

ここ数年、関西を訪れる訪日外国人が急増しています。もちろん、2015年は全国的に増えたのですが、関西の伸びは全国平均を大きく上回っています。
b0235153_132729.jpg

その理由は、関西国際空港に乗り入れる東アジアの航空路線が急ピッチで増加しているからです。特に2014年以降の中国路線の増え方は半端じゃありません。
b0235153_12372487.jpg
関西国際空港東アジア路線網(2016年1月現在)

中国路線の数でいえば、関西国際空港が日本最大です。もともとアジア方面からのLCCの運航数の多さは31.7%(15年冬期)と日本一ですが、以下のリリースをみても、国際線の就航便数が東日本大震災のあった2011年頃より右肩上がりで伸び、特に15年の伸びが大きかったことがわかります。
b0235153_1235093.jpg

関西国際空港の国際定期便運航計画について(2015年冬期スケジュール)
http://www.nkiac.co.jp/news/2015/2277/2015winter.pdf

関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いことです。こうしたLCCを利用して賢く旅する旅行者を「関西バジェットトラベラー」と呼ぶそうです。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といい、リピーター比率も東京より高いといわれます。
b0235153_1322185.jpg

大阪の関係者に聞くと、関西国際空港の中国路線は、2014年3月の春秋航空の上海線の就航が呼び水となり、4月に上海吉祥空港、その後は国営キャリアが地方都市からの就航を加速させたことでこれほど拡大したのだといいます。

さすがに関空も飽和状態になり、最近は中部国際空港へとシフトする傾向も見られます。

中部国際空港の中国路線も、すでに24都市に就航しています。

中部国際空港フライトスケジュール(2016年2月1日~2016年2月29日)最終更新日:2016年1月13日
中国・香港・台湾 出発便
http://www.centrair.jp/airport/flight_info/monthly/1198613_1744.html

就航都市
北京、上海、長春、長沙、常州、大連、福州、杭州、貴陽、ハルビン、合肥、フフホト、昆明、南通、寧波、青島、瀋陽、石家荘、太原、天津、武漢、西安、煙台、銀川

中国の内陸都市からこれほど中部地区にも飛んできているとは…。少なくとも2年前には、とても考えられなかったことが起きているのです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-26 12:37 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 25日

中国の日本路線がすごいことになっている!(だから訪日中国人は500万人規模になった)

前回、静岡空港にこの1年で13路線もの中国からの定期便が増えたことを書きましたが、中国からの航空路線が増えているのは静岡だけではありません。

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか?
http://inbound.exblog.jp/25298380/

なかでも中国路線の数でいえば、関西国際空港が日本最大です。

関西国際空港の国際定期便運航計画について(2015年冬期スケジュール)
http://www.nkiac.co.jp/news/2015/2277/2015winter.pdf

国際旅客便の方面別内訳(週)をみると、以下のとおりです。

韓国 245便 3都市
中国 441便 41都市
台湾 147便 3都市
他アジア 121便 11都市
北米 35便 3都市

関空のHPを見ていると、日本人はほとんど知らないような中国の地方都市からのフライトがあることもそうですし、聞いたこともないような航空会社も続々乗り入れています。とてもすべてフォローはできませんが、主な航空会社のサイトと日中の就航都市がひと目でわかる路線図を探してみました(サイトがリニューアルしてなくなっていたり、少し古いものもあるので、あくまで参考までに)。とにかくこれを見ていただくと、どれだけたくさん中国から日本へ飛んできているのかわかると思います。

中国国際航空
https://www.airchina.jp
深圳航空
http://www.shenzhenair.com/
b0235153_1744361.jpg

中国東方航空
http://jp.ceair.com
上海航空
http://www.ceair.com/fm.html
b0235153_175679.jpg

中国南方航空
http://global.csair.com/JP/JP/Home

海南航空
http://www.hnair.com/

北京首都航空
http://www.jdair.net/
b0235153_1765363.jpg

天津航空
http://www.tianjin-air.com

春秋航空
http://www.ch.com/
b0235153_1771838.jpg

春秋航空のHPをみると、乗り継ぎ便としてすでに多くの地方都市と日本の8つの就航都市が結ばれていることがわかります。
b0235153_1784641.jpg

b0235153_1785551.jpg

上海吉祥航空
http://www.juneyaoair.com/jp/home.html
b0235153_1791269.jpg


これだけ路線が増えれば、2015年に訪日中国人数が500万人規模にふくらんだのも当然でしょう。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-25 17:09 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 25日

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか?

最近、一部の地方空港でLCCの就航や東アジアの訪日観光客の増加などによる航空路線の拡充で利用客数が増えています。

なにしろ2015年の訪日外国人旅行者数のトップ5中、5位の米国を除くと、すべて近隣諸国だからです。訪日客総数1974万人の約7割を中国、韓国、台湾、香港で占めているのです。

2015年国・地域別訪日外国人旅行者数(日本政府観光局(JNTO)調べ) 

1位 中国 499万3800人
2位 韓国 400万2100人
3位 台湾 367万7100人
4位 香港 152万4300人 
5位 米国 103万3200人

なかでも静岡空港は大注目です。

富士山静岡空港
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/

メディアも昨年秋頃から以下のように報じています。

訪日客消費最高 特需、地方にも恩恵 静岡空港、中国便が急増(毎日新聞2015年10月22日)
http://mainichi.jp/articles/20151022/ddm/002/020/051000c

一部抜粋します。

中国人観光客を中心とした外国人特需は、百貨店や家電量販店が集中する都市部だけでなく、地方都市にも恩恵をもたらしつつある。ただ、一時的な特需で終わらせるのか、名実共に「観光立国」になれるのかは、これからの取り組みにかかっている。

静岡空港は2009年6月、全国で98番目の空港として誕生した。年間138万人の利用を見込んで開港したものの需要予測の甘さから、09年度は約52万人にとどまり、静岡県の空港経営は赤字が続く。

ただ、昨年まで上海、台北、ソウルまでの直行便が週13便だった国際線に、今年に入って中国13都市への直行便が新たに就航。16路線週53便に一気に拡大した。


なんとこの1年で静岡空港の国際線の路線数が4倍になったというのです。

県空港利用促進課の田中尚参事は「事前交渉なしで就航が実現した定期便がほとんどだった」と、航空各社が積極的に就航を求めてきたことを振り返る。富士山に近いことや、「ゴールデンルート」と呼ばれる東京と大阪を結ぶ線上にあることなどが評価されたようだ。


この記事で注目すべきは「事前交渉なしで就航が実現」とあることです。これまで日本の地方空港はどれだけ海外のエアラインに対して誘致のために苦労してきたかを思えば(苦労しても実現に至るケースは少なかった)、2015年になって突如として中国系エアラインが静岡に飛んできたことは、地元にとっても驚きだったようです。

その理由は、「富士山に近いことや、「ゴールデンルート」と呼ばれる東京と大阪を結ぶ線上にある」ことだといいます。成田や関空がいっぱいになり、ゴールデンルートの第3のゲートウェイとして静岡空港に白羽の矢が立ったといえるでしょう。

毎日新聞の報道から1ヵ月後、朝日もこう報じています。

静岡空港に中国特需 定期路線1年で1→14に 搭乗数5割増(朝日新聞2015年11月23日)
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20151123000175.html

こちらも一部抜粋します。

かつて利用客が少なく低迷していた、静岡空港が中国人観光客でにぎわっている。東京や関西の離着陸枠が限界に近づくなか、空いていた静岡空港が中国の航空会社の目にとまった。今年に入り、地方空港では屈指の路線数を誇るまでになったという。

静岡空港は、首都圏に近いため、そもそも空港は不要だ、などといった反対運動が続くなか、2009年6月に開港した。

最初の2年間は搭乗者数が年間50万~55万人程度で推移したが、11~13年度は40万人台と目標の70万人を大幅に下回り、毎年度、約4億~5億円の赤字が続いた。

ところが、昨年まで1路線だった中国との定期便が今年に入り、最大14路線に急増。今年の8月までの法務省の出入国管理統計では、中国人の出入国数が国内空港6位に。地方管理空港では全国一だ。

中国の航空会社が静岡を選ぶのは、離着陸の枠が空いていたことと、その立地だ。中国東方航空静岡支店の担当者は「静岡は大阪や名古屋、東京を結ぶ『ゴールデンルート』の中間地点で、西にも東にも行きやすい。中国人の観光需要を満たすには最適」と話す。中国人に人気の富士山が間近に見えるのも大きい。


この記事では、当初不要論すらあった静岡空港が開港より6年たった15年、「8月までの法務省の出入国管理統計では、中国人の出入国数が国内空港6位に。地方管理空港では全国一」になったと指摘しています。立地がゴールデンルートの東京と大阪の中間にあったことが選ばれた理由だといいます。

さて、当時からこの記事が気になっていたので、ぼくは正月明けに静岡を訪ねています。県庁観光部空港利用促進課の稲垣孝博課長と観光振興課の山梨利之国際観光班長に話をうかがいました。
b0235153_1516486.jpg

―静岡空港の開港以来の国際線の動向について教えていただけますか。

「2009年6月開港当時、国際線は上海線の週4便、ソウル線の週3便、その後、台北線が週3便で始まりますが、上海線は尖閣沖漁船衝突事故や東日本大震災の影響で週2便になりました。ソウル線も同様でした。国際線は低迷していたのですが、2014年から徐々に上昇し、15年には初めて国内客を国際客が上回りました。その理由は、ご存知のとおり、中国からの路線が一気に増えたためです」。
b0235153_1517577.jpg

―どうして中国からの路線が急に増えたのですか。

「皮切りは15年1月に定期便になった天津航空の天津線でした。同航空は14年春からすでに週5便のチャーター便を飛ばして来ていたのですが、搭乗率も8~9割と好調で、14年12月に北京首都航空の杭州線のチャーター便も始まり、その後は中国東方航空や中国南方航空などの国営キャリアも一気に乗り入れてきたのです。天津航空や北京首都航空は、中国の大手エアライン海南航空のグループに属しています。

2015年の中国系エアラインの新規就航状況 ( )内は就航日。上海線を除く

中国東方航空 寧波(2015.3.31)※チャーター便は15.217~
          温州(2015.7.1)
          南京(2015.7.4)
          合肥(2015.9.23)
天津航空    天津(2015.1.28)※チャーター便は14.5.28~
          西安(2015.5.16)
中国南方航空 武漢(2015.5.15)
          南寧(2015.5.15)
          鄭州(2015.6.28)
          長沙(2015.7.2)
北京首都航空 杭州(2015.7.2)※チャーター便は14.12.25~
          塩城(海口)(2015.9.3)※チャーター便は15.5.27~
          石家荘(2015.9.5)※チャーター便は15.5.27~

ただし、冬季に入って運休する便も出ています」。

2015年1月現在の静岡空港国際線スケジュール
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/airport/international/inter-timetable/

※この点については、前述の朝日新聞も以下のように報じています。
ただし、中国便は突然、運航を休止してしまうことが少なくない。中国南方航空の鄭州線では8月17日から運休が続き、天津航空の天津線でも8~9月で計27便が運休した。10月25日からの冬ダイヤでは鄭州線や長沙線など14路線中5路線が運休し、天津線では週7往復が3往復に減った。

―中国系エアラインが静岡空港を選んだ理由について、メディアでは富士山に近いことやゴールデンルートの中間にあることなどを指摘しています。

「もちろんそうですが、当初から静岡空港は首都圏に近いことを訴えてきました。そして、富士山、温泉、食の3つを売りにしてきた。着陸料も初年度は免除するなどの補助もしています」。

―中国路線の多くが地方都市ですが、これについてはどう分析していますか。

「中国内陸部の地方都市でも中間層の拡大があると思います」

―海外旅客の特徴について教えていただけますか。

「台湾客の場合は、東京・静岡2泊3日や3泊4日といったツアーが多いようです。韓国客の場合は個人客が多い。一方、中国客は上海線を除くと、団体客が大半です。静岡インで関西や東京アウトのゴールデンルート5泊6日が標準的です」

―静岡空港を利用した外国客の増加は地元にどんな影響を与えていますか。

「観光庁の宿泊旅行統計調査をみても、静岡県内外国人宿泊者数は14年1~9月と15年1~9月を比べると200.7%の伸びで、中国人に限ると254.8%です。ただし、団体客が多い関係で県内には1泊しかしてもらえないため、今後は連泊してもらったり、個人客を増やしていくための取り組みが必要だと考えています」
b0235153_15194583.jpg

―課題は何かあるでしょうか。

「富士山は誰でも知っていても、それが静岡県にあるという認知はまだ低いこと。そこをなんとかしたい。また現在の空港では同時に国際線2機の乗入ができないことです。今後空港を増築する計画も進んでいます。もうひとつは、国内客の利用の低迷です。上海や台湾、ソウルなどへのツアーも企画しているのですが、伸びていません。外国客頼みになってしまっていることです」
b0235153_15201113.jpg

b0235153_15201982.jpg

さらに気がかりなのは、中国需要の今後の行方でしょう。わずか1年でこれほど一気に便が増えたということは、逆に一気に減ることも考えられなくはないからです。全国の他の地方空港とはまったく事情が違い、「事前交渉なしで就航が実現」(上記毎日記事より)したことの怖さもあるということです。

それでも、「開港したばかりの頃は国際線なんてまったく考えていなかった。それがいまでは国内客を逆転し、いかに外国客の受入を推進するかということに取り組みが移っているのだから、時代は大きく変わった」と山梨利之国際観光班長は言います。それは正直な思いでしょう。

おふたりの話を聞いた後、ぼくは静岡駅からバスで静岡空港に行きました。
b0235153_15212266.jpg

b0235153_15213069.jpg

b0235153_15214355.jpg

空港ロビーの玄関に就航航空会社と都市が表示されていました。地方空港で実際、こんなに多くの海外都市へ運航しているのは珍しいことです。「地方管理空港では全国一」というのもうなづけます。
b0235153_1522517.jpg

b0235153_15221583.jpg

その日は中国東方空港の上海線しかなく、中国の団体客の姿を見ることはありませんでしたが、上海経由便で乗り継いできたと思われる東南アジア系のグループの姿を見かけました。
b0235153_15222683.jpg

b0235153_1522357.jpg

空港の2階ロビーのお土産店には、中国人向けの炊飯器やサプリメントなどの定番商品が置かれていました。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-25 15:22 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 15日

「ゲゲゲ」のJR境線、妖怪列車の撮り鉄女子と外国人ブロガー来訪の噂

境港を訪ねることになって、東京からANAで米子空港に飛んだのですが、そこは「米子鬼太郎空港」と呼ばれていました。
b0235153_14371149.jpg

b0235153_14372328.jpg

このノリで県東部の鳥取空港は「鳥取砂丘コナン空港」が愛称だそうです。ちょっと便乗しすぎではないでしょうか?

さて、米子空港のそばに米子市と境港市をつなぐJR境線という単線の鉄道があります。その名物は「鬼太郎列車」です。

米子空港駅に行くと、狭いホームに数人の若い男女が座っていました。しばらくすると、「鬼太郎列車」が現れました。鬼太郎キャラのラッピング列車です。そのとたん、彼らは一斉に立ち上がり、シャッターを切り始めました。
b0235153_1438207.jpg

列車の扉が開き、中に入ると、車両内も鬼太郎キャラで空間が埋め尽くされています。この大量の目玉おやじが並ぶ光景は、一瞬異空に迷い込んだような気にさせます。
b0235153_1439595.jpg
b0235153_14383931.jpg

b0235153_14391583.jpg

車内には先ほど米子空港駅で一緒に乗り込んだ若い旅行者もいて、車内の撮影に余念がありません。なかでもふたりの撮り鉄女子にぼくは興味津々です。噂に聞く彼女らの姿を初めて見たからです。
b0235153_14393579.jpg

b0235153_14394566.jpg

だから、つい彼女が天井の鬼太郎ファミリーの写真を撮っている姿を収めてしまいました。
b0235153_14395686.jpg

しばらくして駅に停まると、皆さんなにやら車窓の外を眺めています。見ると、そこには「妖怪駅名版」がありました。ここ余子駅は「こなきじじい駅」だそうです。
b0235153_1440923.jpg

JR境線 各駅名の愛称について
http://furusato.sanin.jp/p/area/sakaiminato/5/

そうこうしているうちに、境港駅(愛称「鬼太郎駅」)に到着しました。この駅も徹底して鬼太郎キャラで覆い尽くされています。
b0235153_14404320.jpg

b0235153_14405494.jpg

b0235153_1441889.jpg

b0235153_14411774.jpg

ちなみにこちらは米子駅です。愛称は「ねずみ男駅」だそうです。
b0235153_14412980.jpg

以前、ムーミン列車でおなじみの千葉県のいすみ鉄道に乗ったときにも感じたのですが、こういうアニメキャラをまとった列車というのは、世界にどれほどあるものなのでしょうか。だいたいポケモンのようなアニメキャラを大きく描いた飛行機なんて、世界中の空港を探してもぼくは見たことがありません。よその国の人たちは、こういうのをどう思っているのでしょう?

ちなみにこれは米子駅で見たJR山陰本線を走る「コナン列車」だそうです。
b0235153_14422478.jpg

DBSクルーズフェリーの観光案内所でお会いした塩谷晃司さんによると、最近、台湾や韓国からブロガーが妖怪列車の写真を撮りにやって来ているのだそうです。もしや、あの彼女たちも外国人だったりして…。

そういえば、台湾の高雄の地下鉄でアニメのラッピング車両が走っているという話を聞きました。やっぱり台湾は日本の影響を受けやすいのでしょうか。

台湾・高雄地下鉄の萌えキャラをラノベ化 SBクリエイティブが初の逆輸入(産経ニュース2015.8.13)
http://www.sankei.com/life/news/150813/lif1508130016-n1.html

もっとも、山陰地方、特に米子周辺はローカル列車の宝庫のようなところがあって、地元の観光協会ではこんな鉄旅の紹介もしていました。
b0235153_1443258.jpg

山陰ゆうらり鉄道巡り
http://www.yonago-navi.jp/itinerary/yuurari/

実は、米子駅でタイ人らしき若い旅行者の小グループを見かけました。これからだんだん山陰にも海外の若者の旅する姿が見られるようになるのでしょう。「鬼太郎列車、面白かった?」。ちょっと聞いてみたいものです。 
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-15 14:43 | “参与観察”日誌 | Comments(1)
2016年 01月 15日

境港の普通の楽しさをまだクルーズ客は知らない

これまで何回かに分けて鳥取県境港の話をしてきたわけですが、だいたい境港がどこにあるかと聞いて、正確に地図で示すことのできる日本人はたぶん5人に1人、いや10人に1人といったところではないでしょうか。

それでも、そこが『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげるの生まれ故郷で、まち全体がいまや水木ワールドと化しているといえば、けっこう多くの人が「知ってる」と答えてくれることでしょう。

JR境港駅の東に延びる水木しげるロードがこのまちの散策のポイントです。水木しげる作品に登場する妖怪たちのブロンド像がこの通りに最初にできたのは1993年だそうですから、もう20年以上前のことです。
b0235153_13202731.jpg
※この地図、上が南です。

水木しげるロード
http://www.sakaiminato.net/site2/page/guide/point/miru/mizuki/mizuki/

約800mの通りには、水木ワールドを体現するキャラクター商品をこれでもかと並べる商店や飲食店が並んでいます。その徹底ぶりはここまでくるとすごいものだと思います。
b0235153_13204844.jpg

本町アーケード商店街の中に水木しげる記念館があります。
b0235153_13213680.jpg

水木しげる記念館
http://www.sakaiminato.net/mizuki/

ここに来るといつも思い出すのは、2011年11月、北京で開催された国際マンガサミットの会場に、鳥取県の平井伸治知事が来て、翌年鳥取で開催された「まんが王国とっとり」のPRイベントを見たときのことです。

「まんが王国とっとり」ブースと平井伸治知事(国際マンガサミット北京大会2011報告 その3)
http://inbound.exblog.jp/17567974/

鳥取県は、大御所の水木しげるを筆頭に、『名探偵コナン』の青山剛昌、もうひとりは渋いところで、ドラマ化された『孤独のグルメ』で知られる谷口ジローなど、多くの漫画家を輩出しています。

ぼくの北京の知り合いに、日本の妖怪アニメのファンで、大学の卒論をそのテーマで書いたという女性がいます。本当は彼女のようなコアなアニメ好きにこそ、境港には来てもらいたいものです。実際のクルーズ客には若い世代も多いのですが、必ずしもそのようなタイプの人たちではなさそうですし、仮にそういう人がいても、わずか数時間の上陸観光で水木ワールドを堪能するのは無理というものでしょう。

中国政府が知らないアニメ消費の実態 (国際マンガサミット北京大会2011報告 その6 )
http://inbound.exblog.jp/17612235/

境港には、もうひとつぜひ足を運んでもらいたい場所があります。それはDBSクルーズフェリーの出航する現在の国際旅客ターミナルの近くにある境港水産物直売センターです。
b0235153_13233180.jpg

境港にはもうひとつ同じような海鮮市場(境港さかなセンター)があるのですが、ここは新しい国際旅客ターミナルができる予定の竹内埠頭にあり、観光客向けの場所です。一方、境港水産物直売センターはカニを水揚げする港のそばにあり、地元の人たちでにぎわっています。
b0235153_13234582.jpg

b0235153_1324038.jpg

b0235153_13241247.jpg

b0235153_13244187.jpg

b0235153_13242798.jpg

大半のクルーズ客がバスに乗って上陸観光してしまうと、これら地元のスポットは通り過ぎてしまいます。実際、あれだけ多くの人たちを直売センターに送り込もうとすると、市場内は大混雑で大変なことになるでしょうから無理もないのですが、クルーズの上陸観光によって地元にお金を落とさせるというのは、意外に難しいものだというのは、おそらくどの寄港地でも共通の課題だと思われます。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-15 13:24 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 15日

鳥取県境港に上陸した海外クルーズ客はどこに行くのか?

昨年末、境港を訪ねてみようと思い立った発端は、7月に世界最大級の中国発クルーズ客船が寄港した際、現地の受入態勢になにやら支障があったかのような報道があったからでした。

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278

ところが、実際に訪ねてみると、ずいぶん話が違っていたようでした。そりゃあ一度に4000人規模の観光客が上陸してくるのは初めてだったでしょうから、いろいろ大変だったことは確かでしょうが。

そこで、クルーズ客船の受入を担当している境港管理組合の担当者に、今後の見通しも含めて話を聞きました。

境港管理組合
http://sakai-port.com/

―境港へはいつ頃から外航クルーズ船が寄港するようになったのですか。特に中国からの寄航はいつからですか。

「海外からのクルーズ客船の寄港は、もう20年前くらいからのことです。特に2000年代に入ってフライ&クルーズ(寄港地に飛行機で来て、クルーズ客船に乗り、降地でまた飛行機に乗って帰るツアーのこと)が盛んになって、国内外からクルーズ客船が境港に寄港するようになりました。

中国からの寄港は2007年頃、コスタ・クルーズやロイヤルカリビアンといった欧米のクルーズ会社が中国市場に乗り込んできて以降、九州を中心に大量寄港が始まりますが、境港に最初に来たのは、2012年9月のコスタ・ビクトリア号だったと思います。

実は、それは当初予定されていたものではなく、台風で九州の寄港を避けなければならない事態になり、確か3日前くらいに境港の岸壁利用を打診されたものでした。ですから、受入態勢がほとんどできていなかったため、大騒ぎになりました。なにしろ初めての中国客の大量受入ですから、ガイドやバスの手配も含め、急場仕事になったからです。約1200名の中国客が上陸されました。バスも40台近くを手配しましたが、すべての上陸客に確保することができず、一部の乗客は境港のまちを散策してもらったりしました」。

―ここ数年のクルーズ客船の寄港数を教えてください。

「この4年間の寄港数は以下のとおりです。

2012年 16回(うち外航クルーズは10回)
 13年 17回(うち外航クルーズは12回)
 14年 11回(うち外航クルーズは9回)
 15年 23回(うち外航クルーズは17回)」

―2016年はすでに昨年の倍近い寄港予約が入っていると地元の港湾関係者に聞きましたが、見通しはいかがでしょう。

「確かに、今年は多くの予約が入っています。たとえば、コスタ・ビクトリア号による日本・韓国周遊クルーズ(福岡・境港・釜山・金沢・舞鶴)を10回予定しています。このクルーズでは乗客の半分くらいは日本のお客さんにしたいのだそうです。

中国でもクルーズ会社が新しい船をこれからも続々投入しているという話を聞きます。九州がいっぱいになると、当然境港に来る船が増えると思われます。ただし、境港で2万トン以上の船が使えるのは、昭和南埠頭しかありません。同埠頭は現状では、東南アジアからの木材などの積み下ろしに使われているため、いつでも予約をお受けできるわけではありません」
b0235153_10143767.jpg

境港クルーズ寄港予定表 2016年1月6日現在
http://sakai-port.com/publics/index/58/&anchor_link=page58_296#page58_296

―そのため、新しい国際旅客ターミナルの建設が決まったと聞きましたが、正式にはいつ開港でしょうか。

「2020年春に開港予定です。夢みなとタワーのある竹内埠頭に建設されることになっています」。
b0235153_10223323.jpg

境港埠頭から・・・ちょっとそこまで。自由散策マップ&インフォメーション(境港マップ)
http://sakai-port.com/publics/index/105/

―境港に寄航した外航クルーズ乗客の上陸観光について教えてください。

「中海圏を「境港エリア」「米子エリア」「大山エリア」「松江エリア」「安来エリア」「出雲エリア」などに分けて、いくつかのコースをつくっています。中国客の場合、上陸時間の関係でそれほど遠出ができないこともあり、松江城を見学し、お堀を小舟で回る「松江城下をめぐりコース」などが人気です」
b0235153_12323823.jpg


―あとはイオンで買い物ですか?

「境港の近くには、鳥取県西伯郡日吉津村と島根県松江市にイオンモールがあります」

―食事はどうされているのですか。

「中国発のクルーズ客は朝昼晩と船内の食事はフリーのため、昼食は船内ですませることも多いようです」

―それは、昨年7月2日のクァンタム・オブ・ザ・シーズが寄港したときの話ですね。

「ただあのときは、入港が遅れて昼前だった関係で、上陸は午後からだったからです。バス120台が昭和南埠頭に配車されました」

―みんなバスに乗って出かけてしまうと、境港に寄港しても地元にお金が落ちないのではないですか。

「クルーズ客船には、運航はもちろん、接客を担当する乗務員が大勢います。クァンタムの場合、乗客は4000人以上ですが、乗務員は1500人います。そのうち交替で多くの乗務員が地元を散策してくれます。夢みなとタワーの隣に温泉があるのですが、コスタ・ビクトリアの船長はここが大のお気に入りと聞きます。水木しげるロードの飲食店の利用や買い物も楽しんでもらえると思います。また一部の乗船客を境港さかなセンターに案内したところ、夏ですから松葉ガニではありませんが、紅カニをずいぶん買っていかれたようです。

境港には、韓国からのクルーズ客のお客さんも多いです。今年最初(1月8日)の寄港は、韓国の東海から来たスカイシー・ゴールデン・エラ(天海新世紀)号で、韓国のお客さん約500名は皆生温泉で楽しまれたそうです」

※スカイシー・ゴールデン・エラ号は、米国ロイヤルカリビアン社と中国のネット旅行会社C-trip社の合同出資によるクルーズ会社スカイシー・クルーズの初となる大型客船で、2015年5月より運航開始しています。1月8日の上陸客は中国人と韓国人がいたようです。

―クルーズ受入に関して地元の皆さんの声はどうでしょうか。

「昨年8月、境港でクルーズシンポジウムを開催しました。それ以降、メディアの「爆買い」報道の影響でしょうか、小売店の方からの問い合わせが増えています。一般市民も海外から大型客船が寄港するということで、地元に対する誇りのようなものが生まれていると思います」。

いずれにしても、境港のクルーズ客船受入はまだ始まったばかり。すぐに博多港のようなラッシュ状態になるとは思えませんが、その行方を見守りたいと思います。ちなみに、境港管理組合によると、今年4月23日に乗客数3000人規模のマリナー・オブ・ザ・シーズ、5月23日に4000人規模のクァンタム・オブ・ザ・シーズが寄港する予定です。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-15 10:15 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 14日

境港が中国クルーズ船の寄港地に選ばれる理由

鳥取県境港は、昨年逝去した水木しげる先生のおかげでいまでこそ「ゲゲゲ」のまちとして広く知られていますが、残念なことに、この港町の本来の姿はあまり知られていません。せいぜい冬場に松葉ガニ(山陰の呼称。ズワイガニのこと)の水揚げがどうしたといった話題が出るくらいですが、それもいまはロシア産に押されて厳しい状況です。

しかし、ぼくは境港ほど渋い港はないと思っています。渋すぎるといっていかもしれません。なぜって、境港は極東ロシアのウラジオストクと定期旅客航路を有している日本唯一の国際港なんですから。
b0235153_11105587.jpg

この地図を見てください。すでによく知られていると思いますが、日本列島を南北逆さにした「環日本海諸国図」です。かつて日本海側こそ北東アジアの歴史の表舞台だったことを理解するうえで有効なため、よく日本海側の自治体の人などが使う地図です。あらためて見ると、やはりこうした発想の逆転は面白いと思います。

さて、この地図が大きく貼られているのを見たのが、境港の国際旅客ターミナルのロビーです。ここから週に1回、韓国東海岸の東海と極東ロシアのウラジオストクを結ぶDBSクルーズフェリーが定期運航しています。

境港(鳥取県)発ウラジオストク行き航路をご存知ですか?
http://inbound.exblog.jp/20162860/

3年ほど前、ウラジオストクに寄港するDBSフェリーを見たことがあります。だから、一度日本側の発地である境港の国際ターミナルを訪ねてみたいと思っていました。実現したのは昨年末のことです。
b0235153_1112359.jpg

b0235153_11122358.jpg

極東ロシア:北東アジア未来形
http://inbound.exblog.jp/i33/

JR境港駅を降り、駅前の観光案内所でレンタルサイクルを借り、水木しげるロードを突き抜け、東に向かって5分くらい走ると、海鮮市場(境港水産物直売センター)があります。その裏手はカニの水揚げ港です。そこからさらに海沿いを走ると、国際旅客ターミナルが見えてきます。
b0235153_11124930.jpg

b0235153_11131139.jpg

b0235153_11132743.jpg

DBSフェリーが境港に入港するのは毎週金曜、出港は土曜なので、その日は船は停泊していません。それでも、旅客ターミナルは開いていました。中に入ると、電気は点いていなくて、静まり返っていました。
b0235153_11135055.jpg

入口のそばに、中国語や韓国語の各種観光パンフレット、なかでも特筆すべきはロシア語版が置かれていました。韓国ウォンやロシアルーブル、ユーロなどの為替レートが書かれた手書きの紙が何気なく貼られていたりします。いかにも境港的な光景といえるでしょう。
b0235153_11141281.jpg

b0235153_11142946.jpg

その種のパンフレットをひとりで物色していると、背後から突然男の人の声が聞こえてきました。

「今日は船が入港していないので閑散としていますが、DBSクルーズフェリーは今年で運航開始から6年目になりますよ」。

そう話すのは、米子で輸入雑貨商を営む塩谷晃司さんでした。塩谷さんは英語と中国語が堪能なので、半ばボランティアのような立場で、国際旅客ターミナルの案内人を務めているのだそうです。

来訪の目的を話すと、塩谷さんはぼくを件の日本列島逆転地図の前に連れて行きました。
b0235153_1115148.jpg

「これを見てください。境港と釜山がどれほど近いか。船で4~5時間です。この週3便というのは物流船のことですが、DBSフェリーの向かう東海もこんなに近い。2015年はMERSの影響で一時韓国客が減りましたし、ロシアも経済苦境で確かに利用者が少なくなっています。でも、18年に韓国で開催される冬季オリンピックの会場の平昌は、東海から近い。境港から船でオリンピック観戦に行けるんですよ」。

そう言って塩谷さんは、平昌五輪の英語のパンフレットや東海の観光ガイドマップを取り出して手渡してくれました。なるほど、そんな行き方があったんですね。
b0235153_11161919.jpg

b0235153_11163813.jpg

DBSクルーズ2016年料金
http://www.city.sakaiminato.lg.jp/index.php?view=7345

「山陰の高校のスキー部の子たちがDBSフェリーで東海に渡り、平昌の近くのスキー場で合宿したりもしてるんですよ」。

日本人の利用もあるのですね。

「上海からも物流航路があり、境港へはこんなに近いんです。中国からのクルーズ客船の寄港地として境港が選ばれるのは理由があるのです」。
b0235153_11171163.jpg

中国発クルーズ客船の最もポピュラーのコースは上海や天津を発地とした4泊5日。その日程内で周遊できるのは、九州(福岡、長崎、熊本、鹿児島など)や韓国の済州島、せいぜい釜山くらいで、それ以上東に向かうと日程を延ばす必要が出てくるため、これがツアー商品の造成上そんなに簡単ではないのです。1日日程を延ばすだけで、一般に認知されている相場より高いツアー代を設定せざるをえないからです。これは日本でも同じことです。いまでは渡航者がかなり減っているようですが、たとえばソウル2泊3日のツアー代金はいくらくらいという相場観が消費者の側にあって、それより少しでも高く設定すると売れにくくなるという話です。

さらにいうと、境港は島根半島が防波堤となっているため、天然の良港なのです。クルーズ客船の船長たちも、これほど利用しやすい港はないと言っているそうです(塩谷さん談)。実際、これまで境港に中国発クルーズ客船が寄港するケースは、たいてい九州側の事情で受け入れが難しかったとき(たとえば、台風などの影響で)、臨時で境港が選ばれることが多かったのです。

その意味で、境港は日本海側の港の中でも、中国発クルーズ客船の誘致において最も優位性があるといえます。

後日、境港管理組合の方に中国発クルーズ客船の境港への寄港動向については話を聞いたのであらためて紹介するつもりですが、塩谷さんは「鳥取県や島根県にとって中国クルーズ客船の寄港は地域経済の起爆剤になる」と言います。

塩谷さんは1970年代という日中が国交を回復したばかりの早い時期に、当時は珍しかった中国語を大学で学び、その後、台湾や香港、東南アジアなどで商売をされてきたそうです。そのため、山陰を訪れるVIP外国人客の案内などを市から依頼されることも多いといいます。

「山陰を訪れる外国人を案内して必ず喜ばれる場所をご存知ですか。それは島根県安来市にある足立美術館です。ここは横山大観のコレクションと日本庭園の美しさが日本一と評価され、ミシュランでも3つ星をもらっているんですよ」

そうなんですね。知りませんでした。

足立美術館
https://www.adachi-museum.or.jp/

鳥取県西部と島根県東部の中海を囲むエリアは、地元では中海圏と呼ばれ、県の枠を超えて観光振興を進めているそうです。中国からのクルーズ客船の受け入れも、まだ回数は少ないですが、数年前から始まっています。ただし実際には、山陰のインバウンドのメイン顧客は韓国人で、DBSフェリーもありますが、米子空港へはソウルからの定期便もあり、彼らは好んで皆生温泉や大山登山などを楽しんでいるそうです。
b0235153_11215099.jpg

ちなみにこれロシア語の「中海」観光ガイドです。ロシア語の「H」は英語の「N」です。だから、これで「Nakaumi」と読みます。
b0235153_11201194.jpg

塩谷さんは言います。「山陰といえば過疎で何にもないと言われがちですが、温泉と自然はあって、逆に何もないことが外国客にとってはいいのだそうですよ。惜しむらくは、もっと多くの日本人にその良さを知っていただき、DBSフェリーも利用してもらいたいです」。
b0235153_11212991.jpg

インバウンド時代を迎え、こんな地方都市にも、塩谷さんのような方が現れているのですね。昔は地元でもちょっと変わり者と思われていたおじさんが、俄然活躍する場面が増えてきた。そんな感じでしょうか(失礼!)。

これを機に、ぼくも一度DBSフェリーに乗船してみなければと思ったのでした。

※関連記事
4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-14 09:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 08日

中国人がジェネリック医薬品を買わないのはニセモノに見えるから

鳥取県境港に寄航した中国発大型クルーズ客船「クァンタス・オブ・ザ・シーズ」の乗客が人口3000人の村のイオンモールに押しかけた報道を昨日検証しましたが、これからするのはドラッグストアで聞いた話の続きです。

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278

実は、その日ぼくはおなかの調子が悪く、1日に何度もトイレに駆け込む状態でした。おなかがゆるいのです。疲れがたまっていたせいかもしれません。そこで、薬剤師さんに症状を話し、整腸薬を選んでもらったときのことです。

そこには、似たような白地にオレンジ色のパッケージをした2種類の整腸薬がありました。

新ビオフェルミンS錠(武田薬品工業 2267円)
ラクトファルミンS錠(米田薬品工業 934円)
b0235153_13511414.jpg

明らかに料金が違います。薬剤師さんはこう言いました。

「中国のお客さんはこちら(ビオフェルミンS錠)しか買いませんね。こちら(ラクトファルミンS錠)はイオンのプライベートブランドのような扱いなので、3分の1くらいの値段なのですが、手に取ろうとしない。なぜですかね」

そして、ぼくには安いラクトファルミンS錠をすすめてくれました。

なぜなのか。その理由は、パッケージの色もデザインも似通ったラクトフェルミンS錠は、中国客の目にはニセモノ商品にしか見えないからです。ニセモノがあふれる中国では、このように似通ったパッケージは疑惑の対象となるのです。

中国客が「口コミを重視する」という意味は、逆に言えば、自分の目で商品を選んでいないということなのです。

無理もありません。彼らの大半は初来日、日本の事情なんて何も知らないのですから。ただ友人知人に教えられた商品リストとパッケージ画像のみを頼りに購入しているだけだからです。

ある都内のドラッグストアの店長にこんな話を聞いたことがあります。

「うちは日本人とか外国人とかわけ隔てしないで、お客さん一人ひとりになるべく安く購入していただくために、同じ効能なら値段のお安いジェネリック医薬品をおすすめします。欧米の方や東南アジアの方たちは私のすすめに素直に従ってくれます。でも…」

もうこれ以上説明する必要はないでしょう。中国人はそれを信じることができないのです。それに、たとえそれを買って帰っても、お土産として誰かに渡すとき、相手もニセモノじゃないかと疑い、喜んでくれないのです。

まったく難しい人たちですね。

※自社が開発した先発医薬品の特許が切れたあと、その薬を他の医薬品メーカーが製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-08 13:53 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 07日

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?

昨年7月上旬、こんなニュースがありました。

「鳥取県の北西部、島根県に隣接する境港市。ゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげるさんの出身地としても知られ、商店街には、キャラクターの銅像が立ち並び、妖怪の町として観光客の人気スポットとなっている。

その町におととい、これまで日本に寄港した客船の中で最も大きい、クァンタム・オブ・ザ・シーズが入港した」。

4500人の中国人が来航!地元港は大混乱!(「ウェークアップ!」読売テレビ2015年7月4日)
http://www.ytv.co.jp/wakeup/news/n11081879_main.html

で、何が起きたかというと、「村の人口(3455人)も上回る4000人以上の中国人が訪れて爆買いし、現地住民の生活が一時困窮した」(人民網日本語版)というのです。

日本の村で「食い尽くせ、買い尽くせ!」 クルーズ旅行の中国人4000人が爆買いで「村民困窮」(Focus Asia 2015年7月7日)
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/photonews/422797/

中国人「爆買い」で困る鳥取県 ネット民「日本の観光客受け入れ能力が低すぎる」(人民網日本語版2015年7月9日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0709/c94659-8918190.html

激増する中国人観光客の影響はこんな形で現れるものなのか…。

この日、境港に寄航した「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」は、世界最大規模の大型クルーズ客船です。ロイヤルカリビアン社というアメリカのクルーズ会社が運営しています。

実は、その5日前、ぼくは博多港で同客船の内覧会に参加していたので、その巨大さは体感済みでした。

6月27日中国発客船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が博多に初入港しました
http://inbound.exblog.jp/24648018/

博多中洲のショッピングモール「キャナルシティ」で中国客が「爆買い」する光景を見ていたので、確かに山陰の小さな村のショッピング施設では大混乱が起きていたのかもしれない。なにしろそんなに大勢の外国客が来店することなんて初めてだったでしょうから。

そんな報道がずっと頭に引っかかっていたので、年末のある日、鳥取県西伯郡日吉津村にあるイオンモール日吉津を訪ねてみました。

JR山陰本線米子駅からバスで30分。田園風景の中にイオンモールが見えてきました。
b0235153_14461194.jpg

イオンモール日吉津
http://hiezu-aeonmall.com/

その瞬間、思いました。「あれっ、話がちょっと違うのでは?」。 

山陰の片田舎にあるとはいえ、そのイオンモールはけっこう巨大な施設だったからです。東館(イオン直営店とドラッグストアなど)と西館(テナント中心)に分かれ、館内は歳末セールでにぎわっていました。地方都市なら全国どこでも同じでしょうが、地元客は車で郊外にあるイオンモールにまとめ買いに来るのです。おかげで米子駅前は閑散としているわけです。
b0235153_1447585.jpg

ネットが報じた「大混乱」の痕跡を探そうと、館内を歩き回ってみました。でも、入り口に1枚の外国語のポスターが貼ってあったのと、表に「免税 Tax-free」の垂れ幕があったくらいで、特になんてことはないのです。
b0235153_14471715.jpg

b0235153_14472950.jpg

東館の中央部にサービスカウンターがあり、そこが免税手続きを担当する唯一の場所でした。女性のスタッフに話を聞いてみることにしました。

―今度友人の外国人を連れて買い物に来たいのですが、免税してもらうためにはここに来ればいいのでしょうか(すいません。ウソついてます)。

「はい、そうです。いったんお買い上げいただいた後、パスポートとレシートを持ってこのカウンターに来ていただくことになっています。ただし、お買い上げ金額の条件があります。医薬品やお菓子などの消耗品の場合、5401円以上でなければ適用できません。家電製品の場合は10801円以上です」

―つまり、8%分を差し引いた金額が、それぞれ5000円、1万円以上ということですね。ところで、ここに「免税手続きは1組45分程度」と書いてありますが、免税するのにそんなに時間がかかるものなのですか。

「中国のお客様はとにかく買い物の品数が多いので、すべてチェックしなければなりませんから。でも、だいたい平均して15分くらいです」
b0235153_14475138.jpg

話を聞きながら、これは大変なことだと感じました。どれほどの数の中国客がレジで受け取ったレシートを持ってここに並ぶのだろうか…。ついに本当に聞きたかったことを話すことにしました。

―今年の7月、境港に中国の大型クルーズ客船が来て、こちらで大勢の中国客が買い物したそうですね。1隻4000人以上のお客さんが乗っていたそうです。こちらにも来店されたのでしょうか。

「はい、お見えになりました。でも、イオンは松江にもあるので、そちらにも行かれたそうですから、4000人全員が来たわけではないですけど、大勢お見えになったのは本当です」

―でも、仮に1500人くらい来店されたとして、とても免税手続きに対応することはできなかったのではないですか。もしかして、このカウンターの前は大行列だったとか。

「確かにそうでした。ですから、とても全員の方の免税手続きに対応することができませんでした」

―そりゃあそうですよねえ。

カウンタースタッフの女性はとても素直かつまじめに答えてくださりました。当時の状況がだんだん見えてきました。

どうやらこの感じでは大半のクルーズ客は免税手続きができなかったのではないでしょうか。でも、円安なので、8%の免税のことなど彼らはそれほど気にしなかったに違いありません。そんなことより、買いたいものがどれだけ買えたかのほうが重要だったことでしょう。

―中国の方はどんなものを買い物されていましたか。

「ドラッグストアの商品が多かったです」

そこで、ドラッグストアを訪ねてみました。薬剤師さんがいたので、聞きました。

―7月に中国のクルーズ客船のお客さんが大勢いらしたそうですね。ずいぶん薬が売れたと聞きました。何が売れたのですか。

すると、若い薬剤師はぼくをあるコーナーに案内してくれて、次の話をしてくれました。そこには、外国客向け専用の棚ができていました。
b0235153_14492144.jpg

「いちばんよく売れたのは、目薬の『サンテボーティエ』(参天製薬)。なぜかこちらの安い『サンテFX』ではなく、高いほうを買っていかれます。あとは風邪薬の『パブロンゴールドA』『龍拡散』などです」。
b0235153_14493462.jpg

b0235153_14494776.jpg

b0235153_14495838.jpg

それらはまさに「神薬」のラインナップでした。なぜ『サンテFX』ではなく、『サンテボーティエ』が買われたかというと、『サンテFX』は「神薬」のリストに選ばれていないからだと考えられます。

まったくもって、世間で言われているとおりのことが、ここ山陰のイオンモールでも起きていたのでした。

おそらくその日は、駐車場にひっきりなしにバスが何十台も現れ、数十人ごとの中国客を下し、1時間ほど「爆買い」して帰っていくという光景が繰り返し見られたのでしょう。でも、だからといって「現地住民の生活が一時困窮」というような話ではなさそうです。日吉津村の人口が約3000人にすぎないことから、中国メディアはウケ狙いで面白おかしく書いたのでしょう。気持ちはまあわかります。

ただし、中国メディアが知ってか知らずか決して書こうとしなかったこともあると思います。日本では、たとえ山陰の片田舎にあるショッピング施設でも、中国人が「爆買い」したくなるような商品がふつうに売られていること。地域住民もごくふつうに車で来て買い物していることです。ここは中国でいえば、都市の規模や格でいうと5線級都市にもとうてい入らない鳥取県西伯郡日吉津村という農村地区であるにもかかわらずです。実は、これが日本と中国のいちばんの違いであるということを。

現地を訪ねてわかったことがあります。域内の主要都市である米子市への合併が周辺の町村で進む中、日吉津村は唯一合併を拒んでいるそうです。理由は、村内に王子製紙米子工場(旧日本パルプ)の一部があるためで、合併してしまうと同社の法人税を明け渡してしまうことになるからです。
b0235153_1451038.jpg

やはり、現地に行ってみないとよくわからないことってありますね。

境港の港湾関係者の話では、2016年は中国クルーズ客船の寄港回数はさらに増えるそうです。

次回以降、境港の関係者に聞いた話を紹介しましょう。
b0235153_14511477.jpg


境港が中国クルーズ船の寄港地に選ばれる理由
http://inbound.exblog.jp/25266871/

鳥取県境港に上陸した海外クルーズ客はどこに行くのか?
http://inbound.exblog.jp/25269581/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-07 14:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 12月 26日

クリスマスの山手線で見かけたアジア系ツーリスト、いい話と気になる話

今年のクリスマスは、去年にもまして都内でたくさんの外国人ツーリストの姿を見かけました。いかにも外人向けバーというような雰囲気の店だけでなく、ごく普通の日本人の多いレストランや居酒屋にも、欧米人客の姿がありました。彼らの存在はちょっぴりクリスマス気分を盛り上げてくれます。

都内の交通機関でも外国人ツーリストは当たり前のように見かけました。これからする話は、どちらもJR山手線の話です。まずいい話から。

昨日の正午過ぎ、ぼくは大塚駅から新宿駅に向かう内回りの山手線の中にいました。車両は比較的すいていました。見ると、座席にアジア系のツーリストの家族と小グループが一列に並んで座っていました。話し声からすると、香港人か東南アジア華人の人たちです(もしシンガポール人なら英語を話すからで、彼らは南方中国語を話していました)。

同じ車両に一組の日本人の老夫婦が乗ってきました。すると、彼らはすぐに立ち上がり、ことばもかけずにふたりに席を譲るのです。「ありがとうね」と日本語でおばあさんはお礼していました。

目の前で起きた出来事だったので、つい「香港か東南アジアの皆さんだと思いますよ」とぼくはご主人に伝えたくなりました。「そうですか」。ご主人は不思議そうに彼らを見つめていました。

彼らのように個人旅行で訪日しているアジア系のツーリストは若い家族連れやグループが多く、みんな明るく楽しそうです。彼らの文化圏の作法では、老人に席を譲るのはごく自然のことなのでしょう。いい光景だなあと思いました。

おそらく彼らは日本に来ると、社会に占める老人の多さに気づくのではないでしょうか。ぼくも東南アジアの旅行から帰ってきて都内の交通機関に乗ると、日本は老人大国だと実感します。日本に比べ、アジアの国々は社会に占める若者の数が多いからです。確か、ベトナム人の平均年齢は29歳だったと思います。

さて、次はちょっと気になる話です。おとといの夜、新宿駅の外回りの山手線ホームは大混雑でした。なんでも高田馬場駅で乗客が荷物を線路に落としたため、10分以上電車が停まっていたからです。

しばらくすると、ようやく電車が動き出し、大勢の乗客を乗せた車両がホームに入ってきました。ドアが開き、乗客が吐き出されてきたのですが、ぼくが乗ろうとして列を待っていたドアの近くで、その出来事は起きました。ドアのそばに立っていたふたりの女性が決して降りようとしないため、乗客同士が次々とぶつかり、一触即発のような険悪なムードになりかけていたのです。

なぜいったん車両の外に出ようとしないのか…。ぼくは思いました。彼女たちは中国人観光客であるに違いないと。いったん車両の外に出て、降りる人を降ろして再び乗り込めばいいという作法を知らないのです。

最近、中国の主要都市には次々と地下鉄が開通しています。特に北京と上海ではすでに20路線近い地下鉄網が広がっています。ぼくもよく利用するのですが、中国の乗客にはドアに近い人がいったん外に出て、中の乗客を降りやすくするというような作法は身についていません。毎回駅に着くたびに、ドアの近くで乗客同士が押し合いへしあい、ぶつかり合うのです。降りる人がまだいるのに、乗り込んでくる輩もいるほどです。ぼくはそんな光景を見るに見かねて、駅に着くと、いったんドアの外に出て、乗客を降りやすくする日本式の心遣いをパフォーマンスしてみせるのですが、その意図はこの国の人たちには伝わりません。基本的に、中国は引いたら負けの社会だからでしょう。いったん誰かが身を引けば、別の誰かがすぐに割り込む、そういう社会なのです。これはいい悪いの問題ではなく、社会の特性というほかありません。

電車に乗り込み、件のふたりの女性の話し声を聞きました。案の定、中国語でした。山手線を利用しているくらいですから、個人ビザで訪日した北京や上海などの沿海都市部の中国人でしょう。

中国の個人客が増えるなか、誰かが彼らに日本での電車の乗り降りの仕方を教えなければいけないと思いました。日本では、車両が混雑している場合、ドアの近くに立っている人は、いったんドアの外に出て乗客が降りるのを手助けするという作法があることを。そうでないと、最近の日本人は切れやすい人もいるので、ひと騒ぎ起きてしまいかねません。中国人はちょっとぶつかったぐらいでは気にしませんが、日本人はそうはいきません。日本人の側が手でも出したら、彼らはとたんに狂ったように大声で騒ぎ立てるでしょう。彼らはなぜ自分が非難されているか理解できないからです。

もちろん、教えなければならない日本のルールはこれだけではありません。

先月でしたか、北海道のコンビニで商品を勝手に開けた中国の女性客を注意した店員が中国人の旦那から殴られるというような事件が発生したように、この種のトラブルがそこらかしこで多発することが予測されるからです。

中国の個人客の中には、基本的な日本の社会に対する理解が欠けている人たちがけっこういます。彼らが増えることで、つまらぬトラブルが起きないよう中国側の関係者はこうしたささいなこともぜひ自国民に知らせてほしいものです。

※以上の話とは関係ないですが、この写真はおととし訪ねた台北の地下鉄のホームの光景です。ぼくはこれを見て驚いたのですが、台湾の人たちは日本人以上に列にきちんと並ぶことです。同じ華人でも、台湾や香港の人たちと中国の人たちはまったく異なる旅客であることを我々も理解する必要がありますね。
b0235153_1020312.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-12-26 10:20 | “参与観察”日誌 | Comments(0)