ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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カテゴリ:“参与観察”日誌( 239 )


2016年 11月 18日

「LIVE JAPAN」ってどうよ? 大丈夫?

今年4月、鳴り物入りでオープンした「LIVE JAPAN」をご存知でしょうか。

LIVE JAPAN
https://livejapan.com/ja/

「海外観光客向けの東京観光名所や体験情報を発信しています! SNSでも話題の誰もが行くべき東京都内近郊のお店情報や観光スポット&イベント、お土産情報を幅広くご紹介しています」というサービスです。

参画企業のラインナップは堂々たるものです。都内の交通機関、空港、エアラインまでが揃っています。

■参画企業(事務局)一覧
・株式会社ぐるなび
・東京急行電鉄株式会社
・東京地下鉄株式会社

■参画企業一覧(50音順)
・エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社
・小田急電鉄株式会社
・京王電鉄株式会社
・京成電鉄株式会社
・京浜急行電鉄株式会社
・西武鉄道株式会社
・全日本空輸株式会社
・東京空港交通株式会社
・東京国際空港ターミナル株式会社
・東京都交通局
・東武鉄道株式会社
・成田国際空港株式会社
・ヤマト運輸株式会社
https://livejapan.com/welcome/

これを仕切るグルメサイトの「ぐるなび」のプレスリリース(2016年2月18日)によると、

「訪日外国人向け観光情報サービス
LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO
4月13日グランドオープン!

東京国際空港ターミナルと京王電鉄が新たに参画し、計16社が空港・バス・鉄道の沿線情報を発信

本サービスは、観光地、飲食店、ショッピングなどの正確かつ詳細な観光情報をリアルタイムに提供します。また、Wi-Fiスポットの検索や経路検索といった旅行中に役立つ便利な機能の充実や、サービスを迷わず利用できるユーザーインターフェイスなど、訪日外国人の利便性を追求したワンストップ観光情報サービスの実現を目指します」とあります。

すでにオープンして半年以上がたちますが、いったいこのサービス、どうなっているのでしょうか。ぼくは副都心線を利用しているので車内広告の動画をよくみるのですが、英語版にもかかわらず、誰に何を伝えようとしているのか、ちょっと意味不明です。

ある関係者はこう言います。「このサービスは、UI(ユーザー・インターフェイス)が微妙ですし、明確なコンセプト・バリューがわからないです。当然、ユーザーからみても同じで、その結果がエンゲージメント率(ユーザーの反応)の低さにつながっていると思います。
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https://www.similarweb.com/website/livejapan.com#overview

競合調査ツールであるSimilarWeb でみると、Visit数は多いですが、日本からのアクセスの割合が47%と高く、本当に外国人が見ているのかは微妙です。

サイト滞在時間は56秒しかなく、平均で1.55ページ、直帰率も82%です。

これらの数値から、コンテンツの魅力が伝わっていないことが見て取れます。

記事を増やせばVisit数は増えますが、大事なのは、想定するターゲットがきちんと価値を感じて、サイトを回遊しているかでしょう」。

確かに、この種のサイトは本来、日本に来る前に情報収集のためにチェックするのが一般的だからです。

実は、「LIVE JAPAN」のプロモーション展開の資料をみたのですが、彼らがいう「ターゲットの接触タイミングに応じたメディアプラン」によると、「訪日前」「訪日中」「訪日後」に分けて設定すると書かれています。

「訪日前」に認知されることはユーザー獲得に大きく貢献することですから、どんなプロモーションをするのかみると、「世界各地計5箇所でリーフレットの配布」とあり、北京の旅行博800部、上海同6000部、タイ旅行会社1000部、ラスベガスのJapan Kabuki Festival500部」(2016年5月現在)。いまどき紙媒体を配っても海外での認知につながるとは思えません。
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さらに、「訪日中」は、成田空港や東横線各駅の広告パネルや車内動画を配信しているというわけですが、これで外国客の認知が生まれるかというと疑問です。

ぶっちゃけて言うと、ネーミングのような海外旅行者にとってのライブ感が感じられないのです。ただの地図サイトにしか見えないというか、東京を初めて訪れた外国人がこれから何をしよう、どこに行こう、というときのワクワク感もそうですが、道先案内をしてくれるツールというイメージがほとんど伝わらないのです。

ネットで検索すると、以下のような記事がみつかりました。

インバウンド需要を取り込め! ぐるなびの挑戦(日経ビジネス2016年6月9日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/060800046/?rt=nocnt

これをみると、日本の飲食店向けに「ぐるなび」の存在感を打ち出すことにはつながっていることがわかります。

でも、それって本来の目的としてはどうなのか?

日本の訪日プロモーションやPRのあり方は、どこか根本的に間違っているのではないか。そんなことを最近よく思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-18 14:00 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 16日

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?

昨日の夕方にTBSを視ていたら、やれやれ……。中国人観光客のマナー違反を伝える特集が組まれていました。

世界遺産に大量1円玉 外国人客マナーに困惑(TBS Nスタ ニュースアイ2016年11月15日)
http://www.tbs.co.jp/n-st/

最近、この種の番組が多いのは、時代の流れだろうと思います。ただし、番組の作り手があまりに事情を知らないため、視聴者をミスリードする傾向が強いことが気になります。

番組では、まず民家の庭で自撮りする迷惑な中国人観光客たちが映し出されます。番組のディレクターは彼らを隠し撮りします。それでも、ゾロゾロ彼らがやって来るのは(番組でははっきり触れられていませんが)、理由があります。

この特集の舞台である山梨県の忍野八海は、東京・大阪ゴールデンルートの定番立ち寄り地です。一般に中国に限らず、アジアからの団体ツアーは、富士山五合目までバスで登る前後に忍野八海に立ち寄ります。

忍野八海は「天然記念物である「忍野八海」は、富士山の伏流水に水源を発する湧水池です。富士信仰の古跡霊場や富士道者の禊ぎの場の歴史や伝説、 富士山域を背景とした風致の優れた水景を保有する「忍野八海」は、世界遺産富士山の構成資産の一部として認定」されています。

忍野八海
http://www.vill.oshino.yamanashi.jp/8lake.html

中国大陸ではめったに見られない美しい湧水池は、彼らにとって観光的にも価値が高いといえますし、東京に向かう途中にあるので、バスで立ち寄りやすいことが、彼らの訪れる理由なのです。東京発の外国人向けはとバス富士山日帰りツアーでも立ち寄り地になっています。

それはともかく、なぜ彼らは民家に侵入して自撮りをしたがるのか?

最初に言っておきますが、ぼくは彼らを弁護しようとしているのではありません。しかし、この番組を見て、ただやみくもに腹を立てる前に、彼らの無作法なふるまいの背景を知っておくことは、同じような問題が他の場所で起こったときの解決や予防に役立つのでは、と思うからです。なんだか言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、まあ聞いてください。

彼らが民家に侵入してしまうのは、以下の3つの理由があります。

①手入れの行き届いた日本の庭が魅力的に見える
②マンション暮らししか知らない中国人の一戸建てへの憧れ
③門番のいる住宅環境ゆえに、侵入の意識がない

まず①ですが、日本では個人宅でも庭に手を入れることを趣味にする人が多く、中国の庭のコンセプトとはまったく違うことから、彼らにとって新鮮で魅力的に見えることです。中国の代表的な庭園といえば、たとえば上海の豫園に見られるような中国江南的な世界です。

豫園
http://www.yuyuantm.com.cn/yuyuan/Jp/Index/

②は彼らの住環境に由来することです。一般に日本に旅行に来られるようなお金にゆとりのある中国人は、都市部に暮らす中間層以上の人たちですが、たとえどれだけ金融資産を持っていても、人口密度の高さと政策的な理由から高層マンション暮らしが当たり前。都市に暮らす彼らのほとんどは、一軒家に住めることは一生かけてもまず手が届かない憧れです。番組の中で、ある中国人観光客が口にしていたように、地方の民家でも、一軒家に住めるのはさぞ金持ちに違いないと彼らは考えるのです。そのため、彼らはつい自撮りしてみたくなるのです。こういう方面に限っては、彼らはすごく子供っぽいところがあります。

もう7~8年前ですが、ぼくは中国語ガイド付きの富士山日帰りはとバスツアーに取材で乗ったことがあります。そのとき、隣の席にいた若い中国の女の子と道中いろいろ話をしたのですが、忍野八海に来たとき、やはり彼女は一般の民家にとても興味を持ち、写真を撮りたがったことを思い出します。彼女は、TBSの特集に出てきた中国人観光客の男性とほぼ同じことを言っていました。「一戸建てだなんて、きっとこのお家の人はお金持ちに違いない」と。

だからといって、勝手に民家に侵入する言い訳にはなりませんが、③の彼らがなぜ民家に入り込んでしまうのかについても、彼らの住環境と関係があります。

中国の都市では、どんな古い決して豊かとはいえない地区の団地でも、門と門番がいます。外部からの侵入者を自由に入れない構造になっているのです。これは中国の歴史文化と関係があります。北方民族による侵略に耐えかねてきた彼らは、決して日本のようなオープンな構造の住居は考えられないのです。しかも、田舎では家に鍵をかけないなんて、彼らには信じられません。オフィスのデスクでも、引き出しでも、基本的に鍵がつけるのが、中国人の常識です。常に誰かが自分のものを盗むこと、侵入するかもしれないことを想定した社会といえばいいでしょうか。彼らに言わせれば、鍵をしないほうが悪いというわけです。

ところが、日本には、相当な高級住宅でもない限り、門番のいるような民家はほとんどない。門番がいない以上、彼らは入ってもかまわないのではないかと思ってしまうのです。そう思うこと自体、おかしいんじゃないかと思いますが、彼らは旅空の下にいて「旅の恥は掻き捨て」ではないですけれど、つい普段はそこまでやらないことをやってしまうところがあります(中国では、彼らも民家に勝手に侵入したりはしません)。

誰も禁止していない以上、見つからなければかまわないだろうという中国人特有の感覚もあります。彼らは常に政府から監視され、干渉され、地下鉄に乗るにも荷物をX線を通さなければならないような社会を生きています。ですから、日本をはじめとした外国では、中国のようにいつでもどこでも監視、施錠ということがないので、好きにやってしまっていいと勘違いするのです。

では、忍野八海の湧水に中国人観光客が1円コインを投げ入れるのはなぜか。

番組の中で中国人ガイドが「コインを入れるとハッピーになれる」と言ったという話になり、ディレクターが問い詰めるシーンもありました。

実際、中国ではこの種の観光地の水のあるスポットはどこでもコインだらけです。

番組では触れられていませんでしたが、ここで問題にすべきは、中国の無資格ガイドの存在でしょう。彼らの大半は日本の文化やマナーを知らないまま、ガイドをしている在日中国人です。おそらくTBSのスタッフはそういう基本的なことを知らないのではないでしょうか。

この種の番組の作り手たちが本来考えなければならないのは、ただ中国人観光客のマナー違反を指摘するだけでは十分ではないということです。それでは偏見を助長し、固定化することにしかなりません。では何をすればよかったのか。この際、観光庁に取材をすべきでしょう。なぜ忍野八海の湧水にコインを入れるとハッピーになれるというような、間違った案内をする中国人ガイドがいるのか。もし、本気でこのテーマに取り組むつもりなら、なぜ彼らの存在を許しているのかと、監督官庁に問いただすべきではないでしょうか。

監督官庁の側も、国内にある中国の国家観光局と協力して、日本滞在中に中国人が間違えそうなマナー違反を調べ上げ、事前にトラブルが起こらないよう中国向けの周知・指導を促すよう働きかけるべきではないか。この番組を見ながら、そう思った次第です。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-16 20:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 15日

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感

昨日の午後、丸の内線に乗っていたとき、決して目にはしたくはないと思っていた光景をついに目撃してしまいました。

赤坂見附から中国人のファミリー旅行者が乗ってきたときのことです。

彼らは子供連れの5人組の家族でした。おじいさんと思われる老人もいて、彼は空席を見つけると、なんと無頓着なことに、デイパックを背負ったまま狭い席に無理やり腰掛けようとし、さらには隣に座る若い会社員の男性に寄りかかり、手を伸ばして座席の手すり棒を握り続けるのです。無言のままで。

その後、しばらくして娘が近寄り、デイパックを外させ、おなかに抱えるようにしたのですが、反対側にいた中高年のビジネスマン氏は、そのおじいさんが何度も身体にぶつけてくるので、それはもう不快な表情を浮かべ、このままではいきなり怒鳴り出すのではないかという一触即発的な状況になっていました。

向かいに座っていたぼくは、もう見てみぬふりはできないほど心配していたのですが、幸いなことに、目の前に腕を差し出された若い会社員は涼しい顔をして無視していたので、事なきを得たのでした。

ぼくが何を心配しているかというと、中国の個人客が増えることで、都内の交通機関を利用する機会が増え、日本でのマナーや作法を知らない彼らと日本の乗客の間でトラブルが起こることです。なぜなら、中国の地下鉄に乗ったことのある人はわかると思いますが、基本的に彼らは日本人のように、他人のことを気にしません。もちろん、公序良俗に違反するふるまいは許しませんが、特に老人や子供の粗相については大甘なのが中国社会の特徴です。

一方、日本はいうまでもなく、他人を気にする社会。人と人の許容する距離感も違います。狭い席にわざわざ腰掛けてくるような、ずうずうしいおばさんもたまにはいるけれど、無言で何度も身体をぶつけてくるようなふるまいは普通の日本人にはできません。でも、中国人は一般的にそういう身体接触は気になりません。

さらにいえば、この世代の中国人は、人生の大半を、狭い車両に人を詰め込むだけ詰め込んで走る鉄道の時代を生きてきた人ですから、隣の人に少々肘鉄を食わしても、足を踏んでも、なんとも思わないのです。もちろん、いまの若い都会の中国人はそのようなことはしませんが、こういう老人が普通に社会にいることは承知しているので、大目に見る習慣が身についています。

問題は、そういう違いを大半の日本人は知らないことです。知らないどころか、想像もつかないのは当然なのですが、中国人の側もそれを日本人が不快に感じ、ときに許さないことを知りません。ゆえに、一触即発なところがあるのです。

この種の経験は中国ではよくあるので、そういうとき、ぼくははっきりと「不行(ダメですよ)」と言葉をかけ、手を振りほどかせるようにします。自分が不快であれば、内に溜め込まず、意思表示をすることは中国では欠かせませんし、それを責める人はまずいません。でも、同じことが日本で起きたとき、ぼくは同じように中国人に向かってできるかというと、自信がありません。中国人相手にそれは必要なことだとわかっていても、日本人客が見ている前ですることにためらいを覚えるからです。そこまでしなければならないことが日本人の世界ではまずないからです。

先月、大阪の南海電車で外国の乗客をめぐる以下のような事件が起きていますが、背景には日本人と外国人の間のマナー問題の認識とともに、人と人の身体的な接触の距離感や公共の場での自由に対する許容度の違いもあったのではないかと思われます。違いについていえば、最近はさすがに減りましたが、かつて車内で化粧をする若い女性が多かったことに象徴されるように、ある特定の方面では日本にもすこぶる自由な空間が現出していた時期もあるくらいですから、どちらがどうとは一概にいえませんけれど。

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる?
http://inbound.exblog.jp/26268458/

これから暮れに近づくにつれて、ぼくは心配が尽きません。昨年、JR山手線で「これはやばいなあ」と思われる光景をすでに目撃していたからです。

クリスマスの山手線で見かけたアジア系ツーリスト、いい話と気になる話
http://inbound.exblog.jp/25211756/

詳しくは、上記の記事を読んでいただくとわかりますが、要するに、中国では地下鉄などの公共交通機関で駅の停車中に乗り降りする際、どんなに混雑していても、扉の近くにいる人がいったん降りて、降車に協力するという習慣が身についていません。そのため、大混雑する状況でも、扉の近くに中国の個人客が立っていると、当然降りて道を空けると思っている日本人客と衝突が起こるというわけです。

なぜ中国ではこうなるかというと、それは社会の特質の問題でしょう。ひとことでいえば、「引いたら負け」という社会なのです。混雑時に乗り降りが円滑になるようにスペースを譲ると、残念なことに、そこに入り込んでくる人が必ずいる社会なのです。

上記記事には、もうひとつのエピソードとして、若いアジア客が日本の老夫婦に席を譲る光景を見た話も書いています。それはとてもすがすがしい情景でした。一般にアジアの人たちは、日本人に比べ、老人に席を譲る習慣が身についています(もちろん、日本の場合、譲られる側の意識の問題があり、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません)。

今後、日本政府観光局(JNTO)をはじめとしたPR機関は、プロモーションだけでなく、日本での公共空間や交通機関のマナー、作法について、中国当局と協力して告知していく必要があるのではないか、と強く思います。そうでないと、個人客が増えたいま、不愉快なことが起こるような予感がしてなりません。

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)
http://inbound.exblog.jp/26390881/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-15 15:26 | “参与観察”日誌 | Comments(2)
2016年 11月 05日

日本にあふれる「恥ずかしい中国語」をついに中国人に指摘されてしまいました

先日、上海に住む友人に以下のネット記事を教えてもらいました。

日本の中国語翻訳、恥ずかしいショットの数々!中国人にはわからない。これは人の話す言葉なの?
(来自日本的中文翻译,好羞射!中国人表示看不懂,你确定这叫人话?)(北海道指南 2016-11-01)
http://travel.sohu.com/20161101/n472051954.shtml

これは「北海道指南」という北海道旅行に関する情報交換サイトにアップされた記事のようで、日本旅行中に見かけた「恥ずかしい中国語」表示を見て、面白おかしく茶化しています。

たとえば、これ。
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ここではトイレットペーパー(中国語は「手纸」)のことを「論文」という語を充てています。なぜこんな間違いが生まれたのか不明としかいいようがありません。
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これは「静静请看」という、中国語でありながら日本語的な語順の間違いが指摘されています。正しくは「请静静地看」でしょう。
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この中国文も、簡体字と繁体字に分けてあるものの、文字が間違っていたり、文法もおかしい。正しくは「这个厕所是自动沖水」でしょう。「中国文はよくわからないけど、英文があるからなんとかわかる」と笑われています。
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ここはちょっと惜しくて「您(あなた)」の中国語が「悠」になっています。
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外国客が多いことで知られる一蘭ラーメンの店内で見かけた表示のようです。スープ(汤)の中国語が「汁」になっているのは驚きですし、文法もめちゃくちゃです。同店には中国人店員がいるはずですが、なぜこれが通ってしまったのか。彼らは黙って見ているのでしょうか。
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日本語の「お買い忘れありませんか?」の意味のつもりが、すごく日本語的な中国文になっています。翻訳ソフトの影響が感じられます。「有忘买的东西吗?」でいいのではないでしょうか。中国文もそうですが、英語も変ですね。
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最後はこれ。ここでは「ぶっかけ」の中国語訳が「顔射」になっています。これは単なる間違いではなく、悪意を込めた翻訳のように思われます。誰がこれを書いたのでしょうか。店のアルバイトをしている中国人? 店になにか恨みでも? …なんて詮索したくなってしまいます。

それにしても……。

1年半くらい前に本ブログでも、同じ指摘をしています。

これはやばい!? 日本にはおかしな中国語表示があふれている
http://inbound.exblog.jp/24370756/

このとき、日本で見かけたおかしな中国語表示を指摘してくれたのは、台湾人の鄭世彬さんでした。彼の指摘にはどこか日本に対する親しみや愛情にあふれているのですが、中国人が同じことをすると、ちょっとニュアンスが違ってくるようです。

日本人の多言語力の弱みをさらしてしまっているこの「恥ずかしい中国語」問題、中国人から指摘されて不機嫌になる前に、我々は少し手を抜きすぎであることを自覚すべきではないかと思います。店のアルバイトの中国人におまかせ、ではダメですね。留学生ならともかく、飲食関係で働く中国人にはまかせられないかもしれません。プロの翻訳会社に頼まむとコストがかかりすぎるというなら、せめて街場の中国語教室の中国人の先生に書いてもらうとか、最低限度そのくらいのことはしないといけないのでは。

【追記】
ネットをみていたら、こんな記事もありました。

「おかしな中国語訳」が話題に、メルマガ「日中中日翻訳フォーラム」第31号が紹介(日本僑報社のプレスリリース2016年 11月 01日)
http://pressrelease-zero.jp/archives/102621

在日中国人たちからすれば、これも商売になりそうですね。

いっそのこと、誰か中国の方で、ネット上で商店や飲食店、その他の中国語表示の翻訳を格安で請け負うサービスをしたら、けっこう問い合わせが来るのではないでしょうか。だって、翻訳といっても短い文章や表記ばかりですから簡単でしょう。誰かやりませんか? 喜ばれると思いますよ。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-05 11:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 10月 04日

中国客向けフリーペーパーはもう時代遅れな気がします

中国の建国記念日(国慶節)に当たる10月1日の正午過ぎ、銀座中央通りを歩いた話をしましたが、その続き。ホコテンを抜けると、中央通りと交差する首都高の下にショッピング施設「銀座ナイン」があります。その周辺は中国人ツアー客を乗せたバスの停車スポットになっています。
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2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影を興じていた
http://inbound.exblog.jp/26247961/

なぜなら、この周辺は、銀座7丁目のラオックスが近いこともありますが、同じく量販店のドンキホーテや中国団体客向けショーのある日本料理店「どすこい相撲茶屋」があるからです。
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銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

さらにいうと、「どすこい相撲茶屋」の向かいに永山免税店もあります。
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永山免税店 ステファニー銀座店
http://japan.eisan.jp/store-ginza/

もっというと、少しはずれに「銀座百薬粧」という名の免税店もあります。明らかに日本語の使い方ではない店名ですね。
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銀座百薬粧
http://www.taxfreeshops.jp/ja/shop/21646

まさに中国団体客向け免税店の集積地である銀座8丁目周辺は、いま深刻な状況に見舞われています。

中国客が以前のように積極的に買い物をしなくなったからです。

今年8月のラオックスグループの売上が、前年同月比マイナス53%だったという衝撃の報告もあります。

ラオックス月次報告(2016年8月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201608_jp.pdf

そんな折、この日そこで見たのは、バスから降りる中国客に在日中国人のアルバイトが銀座のショッピングスポットを紹介するフリーペーパーを配る姿でした。
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それはどう考えても、時代遅れな光景といっていいでしょう。もはや中国ではフリーペーパーの時代は終わり、割引クーポン等をアプリで入手するのが一般的です。

彼女らが配っていたのは、ダイヤモンド・ビッグ社が発行する「東京・大阪名品淘」と「尚Life Japan」の2誌でした。後者は在日華人が発行しています。
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尚Life Japan
http://www.lifejapan.info/

だからでしょうか、「尚Life Japan」では、誌面に掲載されている店舗(銀座の有名ブランドショップやMIKIMOTOなどの宝飾店)のQRコードをスマホで読み取れば、店舗情報やGPSで地図を表示してくれるしくみになっています。「東京・大阪名品淘」にも一応同じしくみはあります。これを見て、いまのフリーペーパーは中国の実情がよくわかっているといえなくもないのですが、結局のところ、これらの情報を日本に来てから入手していたのでは、使いこなせないのが実情ではないでしょうか。やはり、日本に旅行に来る前に入手させないと意味がないと思います。

いよいよ中国客向けのフリーペーパーは潮時という気がしてなりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 18:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 09月 17日

世界のベストレストランは「大人のディズニーランド」

8月中旬のとある日、西麻布にあるフレンチレストラン「L'Effervescence(レフェルヴェソンス)」で、同店を率いる生江史伸シェフが出演する米国CNNのドキュメンタリー番組「Culinary Journeys(世界食紀行)」の先行試写会がありました。同店のランチをいただきながらという、なんともおいしい特典付きです。
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Culinary Journeys(世界食紀行)
http://edition.cnn.com/specials/travel/journeys
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表参道方面から骨董通りを抜け、富士フィルムのビルの手前を左折し、長谷寺に向かって右に曲がった先にそのレストランはあります。

自分はグルメとはほとんど縁のない人間なので、その日供されたランチの内容について的を得た解説をする自信はありません。またなぜCNNが生江シェフを番組に取り上げたかについては、たまたま隣の席にいた若い女性記者の以下のネット記事を参照していただくことにさせてください。
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この日のランチのデザート「緑の山~空豆のクレームと桑の実のコンフィチュール、トンカ豆のアイスクリーム」

「おもてなし」の心はどこに--米国CNNがフレンチシェフの目線から日本の食を紹介した理由
http://entabe.jp/news/gourmet/13224/cnn-reports-japanese-hospitality-from-the-view-of-french-shef-namae

でも、この日以降、ぼくは世界のグルメトレンドをひそかに牽引するユニークなムーブメントについて目を開かされることになりました。もちろん、それはインバウンドにも大いに関係があります。

ここから先は、ぼくの古い友人でトラベルジャーリストの橋賀秀紀さんから受けたレクチャーをそのまま紹介することにします。彼は毎月のように世界各地を旅している、ぼくから見るととても浮世離れした人ですが、目的のひとつが食べ歩きだそうです。

世界には、橋賀さんのような日夜食べ歩きをしている人たちがいて、「フーディーズ」と呼ばれるそうです。彼らの飽くなき食への探求ぶりについては、今年1月に上映された『99分,世界美味めぐり』(スウェーデン、2016年)という映画を通して知ることができます。
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『99分、世界美食めぐり』(スウェーデン、2016年)
http://99bimi.jp/

では、彼らはいま世界のどこに目をつけているのでしょうか……。ひとつの目安となるのが、毎年発表される「世界のベストレストラン50」というランキングです。
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世界のベストレストラン50
http://www.theworlds50best.com/

これは英国で発行される『レストラン』(William Reed Business Media社)というシェフやレストラン経営者を読者とする専門月刊誌で、毎年発表されるものです。2003年以降、世界各国の食の専門家や評論家など1000名近い評議委員の投票数によって確定されてきたそうです。

ちなみに、2016年のトップ10は以下のとおり。

1. Osteria Francescana (イタリア、モデナ)
2. El Celler de Can Roca (スペイン、ジローナ)
3. Eleven Madison Park (アメリカ、ニューヨーク)
4. Central (ペルー、リマ)
5. Noma (デンマーク、コペンハーゲン)
6. Mirazur (フランス、マントン)
7. Mugaritz (スペイン、エレンテリア)
8. Narisawa (日本、東京)
9. Steirereck (オーストリア、ヴィエナ)
10. Asador Etxebarri (スペイン、アシュペ)

日本のフレンチレストラン『NARISAWA(ナリサワ)』も堂々8位にランキングしています。

Narisawa
http://www.narisawa-yoshihiro.com/jp/openning.html

最近、このランキングに登場する有名シェフを描いた映画がいくつも作品化されているそうです。以下は橋賀さんから教えてもらった作品リストですが、特に2010年代になって増えています。

『エル・ブリの秘密』(独、2011年)
http://starsands.com/elbulli/
『二郎は鮨の夢を見る』(米、2011年)
http://jiro-movie.com/ 
『料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命』(米、2014年)
http://gaston-movie.jp/
『NOMA 世界を変える料理』(英、2015年)
http://www.noma-movie.com/

ぼくはオバマ大統領が来日した2年前、安倍首相がアテンドしたという「すきやばし次郎」の映画くらいしか知りませんでしたが、なぜこれらのシェフが注目されているのか。

自らフーディーズとして、世界のベストレストラン50軒中、すでに19軒には足を運んでいるという橋賀さんによると、2000年代に入って世界の美食のトレンドが大きく変わってきたといいます。

「私が海外に美食を訪ねて旅に出るようになったのは1990年代ですが、当時はクラシックなフレンチが王道でした。2000年代に入ってスローフードやオーガニック、ミニマリズム、地産地消といったコンセプトが注目され、フレンチからモダン・スパニッシュへ美食の中心が移っていき、さらに2010年代になると、コペンハーゲンにある『NOMA』が世界のベストレストラン50で4回トップになるなど、地域的にも広がっていきました。フーディーズにとっては、とても興味深い時代の到来です。

なかでも『NOMA』は、私も3回足を運んでいます。同店のシェフ、レネ・レゼピは料理に昆虫のアリを使うというような斬新な発想がよく話題になりますが、南欧のような柑橘類のとれない北欧で料理に酸味を出すため、考案したそうです。この逸話からも、彼が地元の食材を重視していることがわかります。
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昨年1月、彼はマンダリンホテル東京の招待で来日し、日本の食材を使った料理を提供しましたが、このとき、日本の食材の道案内をしたのが、レフェルヴェソンスの生江シェフでした。生江シェフは大学卒業後、いくつかのレストランを経て、現代フランス料理を代表するミッシェル・ブラスの本店で研鑽を積み、その後もロンドン近郊の『ザ・ファットダック』のような個性的なレストランでも修行。語学力もあることから、レネ・レゼピの案内役を務めたのです。ちなみにレネ・レゼピは、シドニーでも東京同様、店のスタッフを連れ、現地の食材を探し歩き、提供しました。もちろん、その期間中、デンマークの店は閉店してです。こうした取り組みを精力的に行うところに、彼の食に対する思想が表れています」。

世界一のレストラン「ノーマ」シェフ、レネ・レゼピの大冒険@日本(nippon.com2015.03.02)
http://www.nippon.com/ja/views/b01711/
デンマークレストラン界の鬼才
レネ・レゼピとは?(BRUTUS2016.5.10)
http://xbrand.yahoo.co.jp/category/entertainment/19459/1.html

これらの店に共通する特徴について、橋賀さんは「ゴージャスさとは対極の世界。何より重視されるのは、料理のオリジナリティ」といいます。

「思い出深いレストランのひとつに、スウェーデンの『Fäviken Magasinet(フェーヴィケン・マガシーネット)』があります。場所はストックホルムから鉄道で7時間もかかる極北の地。そこで、私たち夫婦はノルウェーのトロンハイム空港まで飛び、車で140km、国境を越えて走りました。
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このレストランは元酪農学校で、納屋の中に食堂があります。食事は毎日夜7時から。世界からフーディーズたちが数十名ほど集まっていました。食事を待つ間、カナダや英国から来た隣の席の客と話しましたが、会話の内容が(私たちが日本人だからでしょう)『すきやばし次郎の小火はどうなった?』とか、マニアな食通ならではのものばかり。

この店では、料理はすべての客に同じものが供されます。一斉に時間を決めて出されるので、料理も熱々で、食材にも無駄がない。パリの3つ星レストランの世界とは大きく違います」

Fäviken Magasinet(フェーヴィケン マガシーネット) ストイックなワンダーランド(橋賀さんの奥様のブログ「モダスパ+plus」より)
http://mdspplus.ldblog.jp/archives/7943648.html
現在、この店の例のランキングは41位。橋賀さんは「これらの店では、料理はウエイターが運ぶのではなく、シェフが持ってきて、食材と料理について解説してくれるのが特徴です。皿数が多く、料理に使われる食材が豊富なこともそう。盛りつけも美しく手が込んでいる。食材が地元の風土や歴史文化とつながりがあることから、私たちは「情報」を食べているという感じすらします。

いまはSNS時代ですから、これら一品一品が写真に撮られ、たちどころに世界に広まっていきます。だから、実際に食べたことのない人まで、有名シェフの料理を見ることができる。それがさらなる話題を呼び、人の動きを引き起こしている。こうしたさまざまな要素が、今日の世界の食のトレンドを作り出しているのです。その現場に立ち会えるのはとても面白い。私にとってこれらの体験は、大人のディズニーランドみたいなものなんです」。

橋賀さんは言います。「実は日本こそ、食の力で多くの人たちを呼び寄せるポテンシャルがあると思う。世界のフーディーズたちは、噂を聞きつけると、どんな障害があろうと駆けつける。とはいえ、これまで以上に発信力が欠かせない時代になったといえます」。

お話をうかがいながら、世界の食のトレンドは日本の懐石料理のような世界に向かっているのだろうか、などと思った次第。食とツーリズムをめぐる興味深い話でした。常に海外のトレンドと連動している日本のインバウンドのこれからにとっても要注目です。
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by sanyo-kansatu | 2016-09-17 14:41 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 24日

上海の「極楽湯」はありがたい存在だけど、料金は「日本の3倍」の意味するもの

この10年で地下鉄網が拡大し、市内の移動が格段に便利になった上海ですが、そのぶん行動半径がどこまでも広がってしまうので、1日を終えると、これまで以上に旅の疲れがたまりがちです。特に冬場はけっこう冷えるので、空気の悪さも加わり、身体にこたえるのが、最近の上海出張です。
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そんなお疲れ気味のぼくを見て、上海の友人が連れていってくれたのが、なんと日本でもおなじみのスーパー銭湯「極楽湯」でした。3月のことです。
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地下鉄13号線「祁连山南路」駅下車。地上に出ると、かなたに巨大な「極楽湯」御殿が見えました。思わず「おお」と、うなってしまいました。
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「極楽湯」と書かれた、まばゆいばかりの提灯が並ぶ玄関に、胸が高まります。

館内は広く、日本の「極楽湯」より相当ゴージャスでした。この店の売りは、日本と同じ露天の岩風呂があること。館内には12種類の風呂があり、なかでも「美肌の湯」として知られるシルキー風呂が人気だとか。さらに、驚いたのは、7種類もの異なるストーンを敷き詰めた岩盤浴があることです。ずいぶんお金がかかっていそうです。

リクライナーチェア付きの休憩所は広くてくつろげるし、雑魚寝できるスペースもあります。そして、日本のコミックも揃っています。 
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日本食を中心に200種類の料理やドリンクが味わえるレストランもあります。また8種類から選べる和風柄の館内着が用意されています。
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そのせいか、これまで中国ではこの種の温浴施設では少なかった地元のOLや若いカップルの姿が多いようです。 

上海には、現在2軒の「極楽湯」があり、ここは2015年オープンの2号店(金沙江温泉館)です。1号店は浦東に13年にオープンしたそうで、この夏には3号店もできるそうです。

ただし、入館料は138元(約2300円)。実は、ぼくの住む都内の地元に「極楽湯」があり、たまに行くのですが、平日は750円くらいなので、実に日本の3倍です。あと気になったのは、露天風呂のお湯からつーんとする塩素の臭いがしたことです。

そうだとしても、異国の地で日本風の露天風呂に浸かると、癒されます。

ところで、なぜ急に上海の「極楽湯」のことを思い出したかというと、今朝ほど日経ビジネスオンラインで以下の記事を見たからです。

上海で入館2時間待ちのスーパー銭湯
「極楽湯」中国攻略の極意(その1)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/061300009/061300001/

同記事は4回の連載で、なぜ上海の「極楽湯」が好調なのかについて解説しています。ポイントは、地元の女性の集客に成功したことがあるようです。上海の水道水を調べた段階で「これは徹底した浄化と軟水化をしないとダメだ」と判断したという話も紹介されていて、なるほど塩素の臭いの理由もうなずけました。

筆者がなぜ上海に数ある題材の中から「極楽湯」を選んで記事を起こしたかについては、以下のような見立てがあるといいます。

「経済指標と街中のギャップの背景には、中国経済の減速と同時進行で起きている大きな構造変化がある、というのが筆者の見立て。製造業からサービス業への、成長エンジンの主役交代が加速しているのだ」

この見解について、ぼくはおおむね同意しながらも、若干の疑問もあります。なぜなら、上海の話と中国全体の話は別に考えなければならないと思うからです。確かに、上海を中心とした華東地区では、サービス業や飲食などの消費活動が経済を牽引していることは間違いないと思うのですが、地方に行くほど、不動産投資の後始末が深刻に見えるからです。

また、日本と同様なサービスに対して3倍ものコストがかかることの意味も考えてしまいます。彼らは高速鉄道をつくるのは日本より低いコストでできるのかもしれませんが、温浴施設のようなサービスは高コストになるのです。

もっとも、これだけ多くの中国人が日本に旅行に来るのも、中国に比べるとはるかに安いコストである水準のサービスを享受できることを知ってしまったからでしょう。「極楽湯」で見かけた若い女性や家族連れは、おそらく日本を旅行したことがあるに違いありません。

今後、「極楽湯」は中国国内に100店舗を目指すそうです。

極楽湯 金沙江温泉館
上海市普陀区祁連山南路398号
10:00 ~翌1:00 
大人=138元 子供=68元
http://www.gokurakuyu.cn
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by sanyo-kansatu | 2016-06-24 09:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 18日

外国客を呼びたいなら、中国はFacebookやLineを解禁すべきでは!

昨日、中国海南省の観光セミナーの報告をしましたが、中国でも日本と同様、インバウンドプロモーションをやっていることを知ってもらいたかったからです。

海南島のロゴ「HAINAN」はハワイ「HAWAII」と似ていて笑った話
http://inbound.exblog.jp/25918397/

このところめっきり日本人は中国に旅行に出かけなくなってしまっているのに、なぜ中国の旅行関係者は日本でインバウンドプロモーションをするのでしょう。

なにしろこの夏の日本人の人気海外旅行先のランキングをみても、20位内にすら中国の都市はひとつも入っていないありさまです。

トラベルコちゃん海外ツアー検索で人気の海外旅行先(2016年夏)
http://www.tour.ne.jp/special/world/ranking/index_summer.html

しかし、中国側からみると、そうでもないのです。中国国家旅游局のサイトによると、訪中外国人の国別統計では、2015年の総数は2598万人で、トップ3は1位が韓国(444万人)、2位は日本(249万人)、3位がアメリカ(208万人)なのです。

2015年1-12月入境外国游客人数(中国国家旅游局)
http://www.cnta.gov.cn/zwgk/lysj/201601/t20160118_758409.shtml

それならば、彼らが日本を重点プロモーション国と位置付けるのは、一応筋が通った話といえるでしょう。

もっとも、日本人の場合、多くはビジネス出張者の往来のように思います。レジャー客はそれほどではない。中国は広く、歴史的にもさまざまな文化遺産があり、興味の対象も多いので、個人客もいますが、以前ほど多くはなさそうです。かつては年配の日本人の人気旅行先でしたが、両国関係の悪化とともに失速してしまいました。

いまアジアでは、国際観光市場が拡大しています。そのうち伸び率がいちばん高いのは日本ですが、たいていの国で伸びています。伸び悩んでいるのは、中国と北朝鮮です。

では、なぜ中国を訪れる外国客が伸び悩んでいるのか。それは、PM2.5に象徴される環境汚染もそうですし、習近平政権以降の対外政策が近隣諸国の不興を買っていることもあるでしょう。

しかし、今回の海南島の観光セミナーをみるかぎり、基本的なプロモーションができていないことがあると思います。

これは海南省のような地方政府だけでなく、昨年の今頃行われた首都北京の旅游局のプロモーションもそうでしたから、国全体の問題でしょう。

外国人観光客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身 (2015年 05月 14日 )
http://inbound.exblog.jp/24475269/

要するに、プロモーション手法が旧態依然としていて、対象市場の消費者が何を求めているかというマーケティングがないのです。これは対日本だけでなく、3年前の台湾の旅行博でも同じでした。そもそもやる気が感じられないのです。

台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2) (2013年 10月 30日 )
http://inbound.exblog.jp/21375685/

いま東アジアの人の動きが大きく変動しています。かつての日本を中心に東アジアの国々に向かって人の動きが広がっていた時代(2000年代前半まで)から、いまでは東アジアの国々から日本に向かって人の流れが拡大しています。

昨年4年ぶりに開催された日中韓の観光大臣会合でも、時代の大きな変化の中で共に人的交流を発展させていこうという話でまとまったのですが、なにしろ日本人が以前のように中韓両国に行かなくなってしまったので、話の盛り上がりようがありません。

「最大の問題は、日本人が中韓両国に行かなくなったこと」なのだろうか?(第7回 日中韓観光大臣会合) (2015年 04月 16日)
http://inbound.exblog.jp/24367145/

そんなわけですから、中国の旅行関係者も、日本に向けたインバウンドプロモーションのやり方を改善しようという意欲がわいてこないのも当然かもしれませんね。

ところで、日本人はともかく、外国人全般の中国への旅行が伸び悩んでいる理由について、個人的に思うことがあります。

それは、中国ではFacebookやLine、Googleが使えないことです。

いまの時代、海外旅行にとってSNSは欠かせないアイテムです。中国人も世界中を訪ね、旅先で撮った写真や動画を微信で送りまくっています。

自分たちが海外でいちばん楽しんでいることを、自国では外国人にやらせないのでは、誰も足を運びたがらなくなるのは当然ではないでしょうか。外国人は中国に来ることを歓迎されていないのだとみなされても仕方がありません。

LINEとGmailが使えない中国ってどうよ (2014年 07月 29日 )
http://inbound.exblog.jp/23696725/

中国全土が無理なら、せめて海南島だけでもFBやLineを使えるようにすればいいのに! それが最大のプロモーションじゃないんですか。

そんなひとりごとをぶつぶつ言いながら、セミナー会場をあとにしました。 
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2014年5月頃、上海の人民広場駅の構内にはLINEの立体広告が置かれていました。その2ヵ月後、中国でLINEは使用不能となったのです。

【追記】
もちろん、中国でFacebookやTwitterを使うことが絶対できないわけではありません。ネットを見ていたら、あるIT関係の専門家が初めて上海に行き、「グレートファイアウォール」を体験した話を書いていました。

上海でグレートファイアウォールにぶつかった話(IT Mediaエンタープライズ2016年06月28日)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1606/28/news058.html

筆者は「香港でプリペイドSIMカードを購入し、ローミングという形で通信を行っ」たそうです。一般に海外旅行で使われるレンタルWi-Fiルーターでは、中国の通信事業者のネットワークを使うため、グレートファイアウォールに捕まってしまうからです。

香港で買える「海外用プリペイドSIM」完全ガイド2015年編――海外プリペイドSIM導入マニュアル(IT Mediaエンタープライズ2015年01月28日)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1501/28/news125.html

筆者によると「丸3日間の滞在だったので、写真はたくさん投稿するものの、1.5Gバイトもあれば安心」とはいうものの、「たったの3日間かあ」と思わないではありません。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-18 08:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 16日

海南島のロゴ「HAINAN」はハワイ「HAWAII」と似ていて笑った話

先日、仕事仲間から以下の招待状が転送されました。中国海南省の観光セミナーのお誘いです。

海南省観光セミナーのご案内

時下、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、この度、海南省旅游発展委員会より孙颖委員長をはじめとする代表団20名が来日し、6月15日にヒルトン東京お台場にて海南省観光セミナーを開催することとなりました。

海南省は中華人民共和国最南部の省で海南島と付属の島嶼からなり、省都は海口市です。中国で唯一熱帯にある海島の省で、まばゆい陽光、清々しい空気、白い砂浜、全島に広がる緑と花の彩り、揺れる椰子の木、そしてその大自然に育まれた豊富且つ多彩な天然資源があります。豊かな自然環境は人々を魅了し、観光、農業、不動産業などの分野を中心に経済発展してまいりました。

中国随一のリゾート地として躍進的な発展を遂げてきたこの省は、さらに上質のインターナショナル・リゾートアイランドを目指し、観光政策やインフラ整備を行ってまいります。

今回のセミナーでは、現地旅行社等より最新の観光情報について御案内する他、DVD映像の放映、抽選会も行います。ご多忙中とは存じますが、是非ともご出席賜りますようご案内申し上げます。ご出席頂ける場合は6月13日までに別紙の返答用紙にご記入の上、メールまたはFAXにてご返送いただきますようお願い申し上げます。

【日 時】 2016年6月15日(水)17:30~20:00(受付17:00より) 
【内 容】 第一部 セミナー 17:30~18:40
      第二部 懇親会  18:45~20:00
【場 所】 ヒルトン東京お台場 1階 APOLLON 東京都港区台場1-9-1
【アクセス】ゆりかもめ線 台場駅に直結
【電 話】 Tel:03-5500-5500
お問い合わせ:中国駐日本観光代表処
E-mail:cnta.tokyo@gmail.com
TEL:03‐3591‐8686   FAX:03‐3591‐6886

海南省といえば、中国を代表するリゾートアイランドです。以前、中国在住の日本の旅行関係者から「この島では、中国人がいまやりたい旅行のすべてが見られるので、一度見ておいたほうがいい」とアドバイスされたことがあります。でも、残念ながらその機会がなかったので、足を運んでみることにしました。
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会場はお台場のヒルトンです。広い宴会場には、約130名の関係者が集まっていました。セミナーの後は、ビュッフェとはいえ、懇親会まで用意されています。
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セミナーでは、まず海南省政府旅游局から海南島の紹介がありました。海南島が位置する北緯18度は、ハワイやカリブ海の島々と同じ緯度で熱帯気候、パワポで紹介される写真をみるかぎり、すでに開発の進んだ、中国というより東南アジアのビーチリゾートでした。水上ジェットやパラセーリングなどのビーチアクティビティやゴルフコース、海鮮グルメ、豪華なリゾートホテルなどの写真を次々に見せられます。

島内には5つ星ホテルがすでに82軒あるそうで、ドバイにあるド派手な超高級リゾートホテル「アトランティス・ザ・パーム」と同じ系列のアトランティスホテルが来年海南島にオープンするそうです。

アトランティス・ザ・パーム
https://www.atlantisthepalm.com/
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唯一興味を引いたのは、ここは熱帯雨林の島で、黎(リー)族という少数民族が暮らしていたことです。民族村のような観光施設もたくさんできているそうです。

しかし、正直なところ、すべてがこれまで東南アジアのビーチゾートのどこかで見てきたイメージの寄せ集めにしか見えません。もしオリジナリティがあるとしたら、島を一周する高速鉄道が今春開通したことでしょうか。一周3時間半かかるそうです。

まあそれも仕方がないのかもしれません。中国のリゾート開発は、東南アジアに比べ20年以上遅れて始まったものだからです。東南アジアでは、すでに1980年代にはいまあるビーチリゾートの姿をしていましたが、中国で開発が始まったのは、21世紀に入ってからです。彼らはいつもこの調子で、後発ゆえの利点をいかして、各地から急ピッチでさまざまなリゾートの要素を取り寄せることができたのです。

実は、10年くらい前までは年間4~5万人の日本人がこの島を訪れていたそうです。ただし、日本から直接というよりも、その多くは中国に駐在する日本人とその家族でした。

海南島は、いわば中国人のプレ海外旅行先だったといえます。ところが、いまでは中国人もどんどん海外旅行に出かけています。海外を知った中国人は、以前のように海南島に来てくれるだろうか。さらには、「日本人をはじめ、外国人が訪れなくなったことも心配」と、現地の旅行会社の中国人スピーカーも話していました。

こうしたなか、2015年3月より関西空港と海南島(海口)を結ぶ広州経由便の運航が始まりました。これを機会に、日本人を再び呼び寄せたいということなのでしょう。

※現在では、関空とは海南島のもうひとつの玄関口である三亜と海口に毎日運航(週14便)しています。さらに、羽田(週14便)や中部(週7便)、福岡(週2便)の広州便があり、海南島をつないでいます。ただし、この路線の8割強が中国人だそうです。結局、訪日路線であるのが現状のようです。

なんでもこの便で三亜に入国した日本人は、21日間ノービザ扱いになるそうです(一般には中国入国のノービザ期間は15日間)。そんなに長く滞在する日本人がいるとは思えませんが、優遇措置というわけです。

はたしてこれで日本人は海南島に行くのでしょうか?

あまり知られていない海南島についての情報を得ることができたのは収穫でしたが、この根本的な問題については、白々とした気分でセミナーを聞いているほかないというのが実感です。ところが、来賓として来ていたJATA(日本旅行業協会)の人は「2015年は海外旅行復活の年。その最重要国が中国」などと調子のいいスピーチをするので、ちょっとめまいがしそうになりました。いまどこの旅行会社で中国のパンフレットを置いているというのでしょう。
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それでも、ほんの少しばかり、この場を和ませてくれたのが、海南島のロゴ「HAINAN」です。これはパッと見、「HAWAII」に見えてしまいます。確かに、地元じゃ「中国のハワイ」と呼んでいるわけですが、相変わらずやりますねえ。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-16 18:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 12日

中野先生、谁呀? 『東京クールトリップ』の著者は日本人教授

3月に上海出張に行ったとき、街場の書店でこんな本を見つけました。
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『東京クールトリップ』中野先生著(2016年1月刊)

东京酷玩之旅(人民邮电出版社)
http://www.ptpress.com.cn/Book.aspx?id=42801

ある日本人大学教授の書いた本で、東京周辺の模型やおもちゃ、交通、軍事、城などのマニアなお店や博物館、名所スポットを豊富な写真入りで紹介しています。とっても不思議な本です。

たとえば、ブリキおもちゃ博物館、株式会社タミヤ本社、新横浜ラーメン博物館、横須賀の軍港といったクール(酷玩)なスポットで、そこでの楽しみ方を解説しています。

著者は「中野先生」とあります。横浜在住の某大学教授です。中国語では一般に「先生」は「さん(教師ではない)」を意味しますが、中野先生は「老师 Teacher/Professor」と呼ばれるより「さん Mr」と呼ばれることを好んだため、「中野先生」を著者名にしたとか。

中野先生は趣味が豊富で、本書に登場する模型関係以外にも、1940~50年代の生活用品や軍用品などのコレクターだそうです。

2001年に先生はパーキンソン病になったにもかかわらず、日中愛好家のために同書を出版したと紹介されています。

いったい「中野先生」とはどなたなのでしょうか? 著者紹介にはご本人の顔写真が載っていて、ネットで検索をかけてみたのですが、個人的にこの方面に詳しくないこともあり、見つかりませんでした。

昨年2月に上海で台湾人作家の鄭世彬さんの著作を見つけたときは、日本に帰って検索すると、すぐにご本人とコンタクトが取れたのですが、今回はどうしたらいいものか。なぜこのような本が中国で出版されることになったのか、興味があります。

台湾のドラッグストア研究家、鄭世彬さんと知り合う (2015年 02月 27日 )
http://inbound.exblog.jp/24182824/

それにしても、中国の出版社にこのようなマニアな関心を持つ編集者がいるとは。ぜひ交流したいので、まずは中野先生と連絡が取りたいと思っております。どなたかご存知の方がいらっしゃったら、ご紹介いただけるとさいわいです。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-12 15:49 | “参与観察”日誌 | Comments(0)