ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 10月 31日

FIT向け商品が続出する台湾市場(台北ITF報告その4)

台北国際旅行博(ITF)で、広域連携化とともに目に付くのは、FIT向け商品が続出していることです。

自治体ブースがPR主体であるのに対し、企業グループはどれだけ販売できるかが勝負です。まず鉄道グループのブースから見ていきましょう。
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近畿日本ツーリストを擁する近畿鉄道グループです。なかでも注目は、国内メディア販売大手のクラブツーリズムがアジアのFIT向けに販売しているバスツアーです。
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Club Tourism YOKOSO Japan Tour
http://www.yokoso-japan.jp/tc/index.htm

一般にはとバスなどが催行する外国人向けバスツアーの多くは、英語圏の利用者の比率が高いとされますが、クラブツーリズムの催行するツアーは、アジア客に好評です。たとえば、最も人気があるのは富士山とフルーツ狩りを組み合わせたツアーだそうです。関係者によると、日本人向けと基本的に同じツアー内容で、最近では、日本人客とアジア客を混載する商品もあるといいます。

世界でいちばん目が肥えているといわれる日本の消費者を相手に長年練り上げられてきたクラブツーリズムのバスツアーが、アジアのFIT層にも受け入れられているというのです。日本人とアジア客が混載するバスツアーというのは、これからの新しい国内旅行のスタイルを先取りしているといえるかもしれません。

阪急阪神集団のブースです。近年のLCCをはじめとした台湾と関空をつなぐ路線の急増で、関西方面を訪れる台湾客は増えています。
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もちろん、富士箱根方面も定番です。これは小田急電鉄と藤沢市の共催ブースです。
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鉄道グループでいうと、JR東日本とJR西日本も出展していて、同社が販売するJRパスのうち、台湾客の販売数が最も多いといわれています。

ジャパンレイルパス(外国人向けJR割引パス)
http://www.japanrailpass.net/ja/ja001.html

次は、キラーコンテンツを有する企業グループです。その筆頭はやはりTDLでしょう。東京ディズニー30周年を記念したスペシャル料金を打ち出しています。これもFIT商品です。
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タイの国際旅行フェアにも出展していた札幌の「かに本家」です。
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台湾人に人気の北海道に高級リゾートを展開する星野リゾートです。今年3月の新石垣空港オープンで、台湾から夏期のみトランスアジア航空やマンダリン航空が就航。竹富島にある「星のや 竹富島」への集客も期待されます。
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星のや 竹富島
http://www.hoshinoresort.com/resortsandhotels/hoshinoya/taketomijima.html

異色のブースは日本の出版大手角川書店です。同社では現地法人の台湾国際角川股份有限公司がローカル向け情報誌『台北ウォーカー』を発行しています。同誌の付録に日本旅行のための冊子『Japan Walker』があります。
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台湾国際角川股份有限公司
http://www.kadokawa.com.tw/
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同社では、日本国内で利用できるSIMカードパッケージ「台灣VISITOR SIM」を11月から発売するそうです。『JAPAN WALKER』がもつコンテンツの中で、救急対応など緊急連絡先情報、日本の旅行情報なども利用できるといいます。もちろんFIT向けのサービスです。
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近年、インバウンドビジネスにさまざまなメディア企業が参画していますが、角川書店のような古くから現地に根付いて日本のコミックやライトノベルズ、情報誌などを販売してきた出版社こそ、台湾の訪日旅行市場の下支えに大きく貢献してきたといえるでしょう。

日本の大手エアラインもブースを出展しています。JALとANAはそれぞれ台湾と日本の主要空港を結んでいますが、今回のブースではFIT向けに「日本自由行」と称して、割安な航空券や航空券+ホテルを販売していました。台湾のエアラインでもさらに価格を下げたFITパッケージを販売しており、競争は激化しています。おかげで台湾客はますます日本に行きやすくなっていると思われます。
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最後に、他の国の旅行博ではあまり見られない独特の販売スタイルについて紹介しておきましょう。台北国際旅行博(ITF)では、現地の旅行会社を日本のブースの中に招き入れて、各地域のPRとツアー商品の販売を同時に行っています。
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なかには、「日本専門店」を掲げる大興旅行社のようなエージェントもあります。ブースにはびっしりと日本全国を網羅したツアー商品の貼り紙が並べられています。こうして会場の中では、あの手この手の商戦が繰り広げられているのです。
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以下は、ジャパンゾーンの中にブースを置いた台湾の旅行会社です。これだけ競合相手がいると、価格競争が熾烈になるのは無理もなさそうです。

大興旅行社
http://www.tahsintour.com.tw/
山富旅行社
http://www.travel4u.com.tw/
大栄旅行社
http://www.gogojp.com.tw/
康福旅行社
http://www.colatour.com.tw/
スタートラベル(燦星旅行社)
http://www.startravel.com.tw/
湯桂禎旅行社
http://www.rolisa-tour.com.tw/
百順旅行社
http://e.ptrtour.com.tw/Web_3/major.asp
新台旅行社
http://www.eztour.com.tw/
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by sanyo-kansatu | 2013-10-31 15:33 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 31日

地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)

台北国際旅行博(ITF2013)では、出展規模が最大だったジャパンゾーンのにぎわいがひときわ目立っていたのは確かです。
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台湾人の渡航先は中国が1位で日本は2位ですが、海外旅行の人気先のトップは間違いなく日本です。しかし、それをいまさら強調することよりもっと大事なことがあります。アジアで最も成熟した旅行市場のひとつである台湾に対して、いかに効果的なプロモーションを進めるか、その手法を進化させることでしょう。

ざっとどんな団体が出展していたか見ていきましょう。

まずジャパンゾーンを統括する観光庁のVJゾーン。関係者によると、「テーマは特にないが、強いて言えば『日本で遊びまわろう』」。展示スペースと特設ステージが設置されていて、1日中イベントを繰り広げていました。
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たとえば、小林正典さんという2010年の「第4回全日本アニソングランプリ」で審査員特別賞を受賞したアニソン歌手のステージもありました。
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地方自治体のブースは、北は北海道から南は沖縄まで勢ぞろいです。興味深いのは、各県単位の出展ではなく、広域連携化がずいぶん進んでいたことです。

目についたブースを北から眺めていきましょう。まず台湾と多くの航空路線で結ばれている北海道。写真は、なぜかここだけジャパンゾーンの外にあった小樽と函館、道南地区のブースです。2013年3月に道内各地で撮影された台湾のトレンディードラマ『(邦題)ラブ・ラブ・ラブ』が、8月から放送を開始したことをふまえたPRのようでした。
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北海道マガジンの記事
http://pucchi.net/hokkaido/moviedrama/ftviuui.php

東北ブロック広域観光振興事業推進協議会です。東日本大震災後、国内客は戻って来たものの、唯一外客の戻りが遅いとされる東北だけに、台湾の人たちにはぜひ訪ねてほしいものです。今回のテーマは雪で、蔵王の樹氷が人気のあることから、統一したイメージで売り出そうとしています。ただし、海外では東北は紅葉が有名。雪はむしろ北海道やアルペンルートのほうが知名度が高く、競合してしまうところが気になります。海外の人たちは、やはりその国でいちばん有名な場所に行きたいと思うものだからです。
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もっとも、関係者によると、今年の秋は台湾から東北へのチャーター便が計画されているそうです。実際、福島を除くと東北には少しずつですが、台湾客が戻っていると聞きます。

関東ブロック広域観光振興事業推進協議会です。とかく東京一極集中しがちな外客の流れを分散させるべく、首都圏周辺の各県がそれぞれの魅力をPRしています。ただし、外国人の目から見ると、内容がいろいろありすぎて、テーマを絞りにくい印象があります。
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ほかにも、山陰山陽観光推進協議会、四国ブロック広域観光振興事業推進協議会、九州観光推進機構などの広域連携ブースがありました。
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なかでも注目は、中部広域観光推進協議会でしょうか。中部北陸9県を巻き込んだ「昇龍道」プロジェクトを展開していたからです。
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日本 中部北陸の旅「昇龍道」プロジェクト
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kikaku/syoryudo/index.html

関係者によると、「アルペンルートで人気を呼んだ富山県も、単独では集客に限界があるので石川県、福井県と横で連携し、さらに長野県、岐阜県、愛知県などとも縦で結び、『昇龍道』というネーミングをつけて一つのルートとして魅力付けした。日本は島国で、外国客は空から入ってくるしかないのだから、まず定期便の発着する空港同士を結ぶモデルコースをつくることが重要」とのこと。
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その点、台湾からは日本各地にフライトが多数就航しているぶん、モデルルートのバリエーションの可能性が広がっています。同じ航空会社の就航地同士でないと、割引が利かないためツアーはつくりづらくなるので、当然制約はあります。

今回強く感じたのは、これだけ広域連携化が進むと、単独県での出展は来場客の目を引かないということです。地域固有の事情からではなく、外国客の視点や利便に合わせて用意周到練り上げられた広域連携が仕掛けられていくと面白いと思います。

最後に、旅行博ならでは、いかにも日本的だと思える雑多でのほのぼの&おとぼけシーンをいくつか。

彼女たちは「知多娘。」というご当地アイドルです。なんでも「知多半島の活性化」と「若者の就職支援」のために結成されたグループだそうです。
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知多娘。
http://www.chita-musume.com/

JRレイルパスのパンフレットを配っている台湾人のコスプレ案内嬢もいました。
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「徳川家康開運の旅」は中部国際空港を受け皿にした中部各県連携の企画のようです。
http://www.iyeyasu-mikawa.asia/ja/
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鳥取県は単独のブースはありませんが、21世紀梨と松葉ガニのパネルをつくって会場を歩かせていました。こういう手もあるんですね。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-31 12:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 30日

タイ人の中にはビザ免除がこのまま続くか心配している人もいるようです

昨日、都内の旅行会社で働くタイ人の友人とランチしました。お互いの職場が近いので、タイについて気軽に尋ねたいとき、ぼくはよく彼とランチするんです。

今回は、ぼくがタイでしこたま買い込んできた日本旅行に関する現地出版物を彼に見せて品定めしてもらおうと思ったからでした。

ぼくが買い込んだのは、ざっと以下のような書籍やムックです。その一部は以前本ブログでも紹介したことがあります(→タイで発行される日本旅行ガイドブックはよくできている(TITF報告その3))
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『東京ひとりぼっち』
東京に住んでいたタイ人が書いた本です。中国で売れている日本のイラストレーターのたかぎなおこさんの『ひとりたび1年生(第一次一个人旅行)』(なんと中国語版は100万部突破)と少し似ている世界です。でも、この本はタイ人ならではの視点でチョイスされた東京都内のさまざまなスポットが紹介されています。
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『東京ブリ―』
これは、『DACO』(http://www.daco.co.th/)というバンコクで発行されるフリーペーパー(日本語版とタイ語版がある)の編集部にいるタイ人のペーさんが約半年東京で過ごしたときに見つけた面白いスポット(食べ物屋が多いです)を紹介しています。タイ人はこんな店にも行くんだなあという意外な場所も出てきて興味深いです。彼らは日本食の世界が本当に好きなんですね。
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これが「DACO」のタイ語版です。毎回日本を紹介する特集を組んでいます。編集方針として、取材はタイ人スタッフがやっているそうです。編集長の沼舘幹夫さんは「タイ人自身が面白いと思うものを取材してこないと意味がない。日本人の視点とは違う発見がある」といいます。

そのせいか、全国の地方自治体からうちを取材してほしいというメディア招致の依頼がよくあるそうです。東日本大震災の直後、タイ人スタッフはすぐに福島に飛んで、この特集号を刊行したといいます。そういう機動性の高さや日本理解の深さから、タイのテレビ局の関係者もこのフリーペーパーをよく読んでいて、番組の企画に採用されることが多々あるといわれています。テレビ番組で局地的な人気が起こるタイの観光プロモーションには格好の媒体となっています。

さて、これらを見せたところ、東京在住の若いタイ人のひとりである彼は、『東京ひとりぼっち』や『東京ブリ―』の2冊に興味津々でした。「ぼくは昼間仕事をしているので、なかなか東京をひとりで歩く時間がないんです。でも、ぼくが学生だった頃に比べると、すごく詳しく東京のことが書いていあって、進歩していますね」とのこと。

そして、旅行会社の社員として訪日したタイ人ツアー客の世界をよく知っている彼は、以前紹介したタイ人女性カメラマンの書いた旅行ガイドブック『一人でも行ける日本の旅(Japan ญี่ปุ่น คนเดียวก็เที่ยวได้” )』を手に取り、ぺらぺらとページをめくりながら、こんなことを教えてくれました。
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「この本は本当によくできていますね。女の子らしいイラストがかわいいです。

この本には、青森とか一般にタイ人がツアーで行かないような地方都市が紹介されていることがすごいです。しかも、FIT(個人旅行者)向けにつくられていて、作者が泊まった安いホテルのことも写真入りで詳しく載っています。見てください。このホステルなんか、1泊1500円とありますよ。安いですね。布団のたたみ方や浴衣の着方、ウォシュレット付きトイレの使い方もイラストで紹介されています。タイのお客さんの中には本当にウォシュレットの使い方がわからない人もいるんです。

それから、ホテルの紹介文を読むと、『このホステルは3階建てだが、階段がないので大きなスーツケースを持ってくる人は要注意』とあります。親切ですね。目的地へのアクセスも、JRや路線バスなど公共交通機関を使う方法が書かれていますから、とても役に立ちます。ぼくはまだ47都道府県すべて行ったことがないから、こういう本があると便利です。きっとこういうのを“おもてなし”っていうんですね(笑)」

彼の話を聞きながら、タイ人というのは本当に細かいことによく気がつく人たちだなと思いました。「階段がないので、要注意」なんていうアドバイスは、まるで日本人に近い感覚があります。そういうタイ人の繊細さがガイドブックにも表れているのです。

今年タイ人の観光ビザが免除になって、これからどんどんFITも増えていくでしょうから、こういう本が生まれてくるのも当然というものです。それはちょうど1980年代、「地球の歩き方」が創刊されて、個人旅行者のためのガイドブックが量産されていった時代を思い出させます。

ところが、彼はふとぼくにこんな話をしました。

「でも、この先もタイ人の観光ビザ免除は続くのでしょうか。なぜなら、期限が書いてないからです。ビザ免除は今年だけで、来年は変わることはないですか?」

「えっ、どういうこと? だって、こうしてタイの訪日客が増えていて、日本もそれを歓迎しているわけだし、起源が書いてないのはむしろ今年だけではないってことじゃないのかな」

……タイ人の中にはビザ免除がこのまま続くか心配している人もいるようです。

ぼくはそんなこと考えてもいませんでしたから、彼の発言にちょっとびっくりしました。こういうところに現れるタイ人の用心深さや、日本に対する複雑な思いをあらためて知らされた気がします。確かに、以前ニュージーランドでタイ人に対する観光ビザ免除が停止されたケースもあり、いろんな思いがよぎるのかもしれません。

昨今の少々過剰といえなくもない日本のタイ訪日客誘致の盛り上がりも、こういうタイ人のデリケートな感覚を配慮したものであってほしいと思ったものです。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-30 09:35 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 30日

台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2)

台北国際旅行博(ITF2013)の会場の一画に中国本土の旅行関係者の出展するブースの集まるゾーンがあります。他のゾーンとの仕切りも特になく、来場者は同じイベントの一部だと思うのですが、なぜかそこは「海峡両岸 台北旅展」と呼ばれ、ITFとは別の入り口まで用意されています。
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主催は、ITFと同じ台湾観光協会と海峡両岸旅游交流協会の共催となっています。後者の組織については調べていませんが、ITFとはあくまで別企画という位置づけのようです。そのためか、ITFの制作した会場マップには、中国本土ゾーンだけ、出展者の配置図が書き込まれていません。なぜそんなことをするのか……。わざわざ「海峡両岸 台北旅展」としてITFとは別仕立てのイベントに見せようとする中国側の押しつけに対する台湾側の反発のようにも見えますが、どうでしょうか。

2日目の午前中、「海峡両岸 台北旅展」の中国本土ゾーンは気の毒なくらい閑散としていました。同じ時間、他のゾーンでは人ごみで身動きすら取れないほどだったのと比べると、いったいどうしたことなのか。
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中国本土ゾーンを歩いてみることにしました。ぼくは中国国内のレジャーシーンの変遷をこれまでウォッチングしてきたので、基本的に関心はあるのです。

そこには、中国全土の省と直轄都市、旅行会社などのブースが並んでいました。一部ミャオ族の民族衣装の展示した貴州省や省内の観光地の写真パネルを並べた遼寧省など面白いものもありました。また上海市のブースでは、来場者に特典をふるまうイベントがあったときだけ、人ごみが見られました。
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とはいえ、全体的には、簡素なブースを並べただけで、ただのやっつけ仕事にしか見えません。

確かに、中国の観光プロモーションのクオリティは他のアジア諸国と比べても著しく低い(あるいは、やる気がない)というのは、JATA旅博やタイの国際旅行フェアの会場でも見られたとおりです。だとしても、スタッフすらいない状況というのは、どうしたものか。こんなんでやる意味あるの?

現地の関係者に聞くと、毎年そうなんだそうです。

「台湾人の海外渡航者の数では中国がいちばん多いのですが、ほとんどビジネス渡航。レジャーは少ないんです」

かつて(たとえば1980年代)「大陸探親旅行」といって本土にいる親族を訪ねる中国旅行が台湾で流行ったものですが、それも遠い昔の話。確かに、いまの中国は環境破壊の話題に事欠きませんし、観光地は国内客であふれ返り、のんびり外国人が旅行を楽しむ雰囲気ではなくなりつつあるかもしれません。台湾の人たちも、わざわざそんな混雑する場所に行くより、日本など海外に行ったほうがくつろげると感じているのかも。

実際、ある台湾の旅行関係者はこんなことを言いました。「いま台湾には中国本土客がたくさん来るので、国内の観光地は中国客だらけ。台湾人が海外に旅行に行きたがるのは、近場のレジャーでは彼らと出くわしてしまうため、それを避けたいからなんですよ」

なるほど。……というか、なんとも言い難い話ですね。

実際、中台間の航空路線は全土にくまなく張りめぐらされています。この大半はビジネス路線と考えられます。
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中台の複雑な関係が、実に見事に表れているともいうべき、「海峡両岸 台北旅展」でした。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-30 09:30 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 29日

来場者数が過去最高となった台北国際旅行博(台北ITF報告その1)

8月のタイのトラベルフェア(Thai International Travel Fair #13)に続き、10月は台北国際旅行博(ITF2013)に行ってきました。日程は、10 月18 日(金)~21日(月)です。
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会場は、台湾を代表する超高層ビル「台北101」(高さ509.2m、地上101階)に隣接する台北世界貿易センター1号館と3号館です。午前10時から開門されるのですが、30分以上前から行列ができるほどの盛況ぶりでした。
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台北国際旅行博(ただし、サイトの内容はすでに来年の告知に更新)
http://www.taipeiitf.org.tw/

台湾からの訪日旅行者数の大幅な増加の背景に何があるのか、知りたいと思っていました。JNTOが10月23日に発表した訪日外客数統計によると、2013年1月~9月の訪日台湾人は前年比52.3%増の166万9900人。伸び率でみればタイ59.2%増、ベトナム49.8%増、香港49.5%増と並んで見えますが、母数が違います。台湾は香港の3倍、タイの6倍近い規模です。訪日外客全体の5人に1人(21%)を台湾が占めていることからも、今年いかに多くの台湾客が訪日旅行したかを物語っています。

台北国際旅行博(ITF)は毎年10月に開催されます。1987年から始まり、今年で27回目。夏期の旅行商品の販売のために5月に開催される台北国際観光博覧会(TTE)や台中国際観光旅展(TITF)、高雄国際旅展(KITF)などもありますが、ITFが台湾最大の旅行商品展示会といえます。主催者発表によると、今回の来場者数は31万5240人と過去最高になったそうです。
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では、会場を歩いてみましょう。以下のように構成されています。
①台湾ゾーン
②アジア太平洋ゾーン
③欧米・中東アフリカ・南米ゾーン
④旅行会社ゾーン
⑤航空・運輸交通ゾーン
⑥その他関連団体
⑦グルメゾーン
⑧海峡両岸(中国本土)ゾーン
⑨ホテルゾーン(※ここのみ3号館)
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このうち最大エリアを占めるのは①台湾ゾーンで、国内の自治体や旅行会社などのブースが集まっています。次は⑧海峡両岸(中国本土)ゾーンですが、どうやら同じ会期中に同じ会場にありながら、「第9回海峡両岸台北旅展」として別企画の位置付けのようです(その理由は次回)。
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ざっと海外ゾーンのブースを眺めていきましょう。アジア太平洋を中心に数多くの政府観光局のブースが出展していました。
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なかでも注目は、スノーレジャーにテーマを絞り込んでPRのコンセプトを明確化した韓国でしょうか。韓国は海外の旅行博において毎回オールコリアでワンテーマを打ち出してくるのが特徴です。各自治体がバラバラに地元の魅力をアピールする日本とは違って、いかにも戦略的です。韓国の観光プロモーションのスタイルは日本を先んじているといわれても仕方がなさそうです。
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現地関係者によると、台湾の訪韓客は現状では訪日客の半数くらいに過ぎないものの、この10年の韓流ドラマやK-POPの流行で、台湾の若者の中にも「一度は韓国に行ってみようかな」という動きはあるようです。しかも旅行商品の価格帯が日本の半分とくれば、日本にとってライバルとなりうる存在かもしれません。その一方、韓国ではリピーターが育っていないのでは、という指摘もあるようで、こればかりはすぐに答えが出る話ではなさそうです。
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韓国のPRとくれば、やっぱり絶大な知名度を誇るこの人なんでしょうね。
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ほかにも、台湾や海外の航空会社ゾーン(写真はエア・アジアのキャンペーンガール)や、今年のGWに東京湾に寄航して話題を呼んだ超大型クルーズ客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」、那覇と石垣島に寄航する台湾発のクルーズ客船「スーパー・アクエリアス」の予約ブースなど、さまざまな企業団体が出展し、PRを繰り広げています。
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広い会場の中で、最も活況を呈しているのは、やはり地元の旅行会社のツアー即売会でしょう。旅行会社の担当者はマイク片手にステージに上がり、びっしり貼り出された会期中限定のスペシャル価格のツアー商品を声を上げて販売します。「ツアー商品の叩き売り」といってしまうと、少し言い過ぎかもしれませんが、日本ではちょっと見ることのない光景です。売れ行きを見ながら、スタッフはその場でチラシも書き直します。
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各旅行会社のブース内にはPC端末がいくつも用意されていて、来場者はスタッフの説明を聞きながら商品を検討しています。
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海外から多くの関係者が集まっているだけに、会場内はフリーWifiです。
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台湾滞在中に見たテレビニュースや新聞でも、ITFのことは報道されていました。台湾の年間出国者数は1000万人相当で、総人口2300万人の40%にあたる高い出国率が知られています(日本は13%)。それだけに台湾の人たちにとって旅行博は、日本では想像できないほど話題性の高いビッグイベントなのです。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-29 14:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 17日

【ホテル・飲食関係者必読】タイ人客はタバコがNGです

8月にタイの国際トラベルフェア(TITF)を視察した話を以前書きましたが、そのときぼくはHISバンコクの支店長にインタビューしています。

その内容については、後日刊行される書籍の中で記事にしている関係で、まだブログには出せないのですが、同社の企業戦略に関わらない、タイの消費者の特性に関する部分については、興味深い指摘が多く含まれていたので、ここに公開したいと思います。

お話いただいたのは、中村謙志支店長です。日々ローカル客と向き合いながら営業活動に取り組んでいる方の貴重な提言です。
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――先日、バンコクの旗艦店であるトラベルワンダーランドを訪ねましたが、日本と同じような店舗で、旅行商品のパンフレットがたくさん置かれていましたね。

「タイでは、日本のような旅行パンフレットやチラシはそれほど流通していません。しかし、タイ人はパンフレットを読むのが大好きです」

――市内を走る高架鉄道のBTSでも地下鉄でも、東京と同じように乗客はみんなスマホに夢中。いまさら紙のパンフレットなんですか。

「確かに、いまの時代、電子化すべきだと思いがちですが、やはり紙は有効なんです。日本と違ってタイは海外旅行の情報が紙の時代を経ずに、いきなり電子化から始まった。だから、ツアーの内容がぎっしり書き込まれたパンフレットをみると、手に取りたくなるところがあるようです。なにしろこちらでつくるツアーパンフレットのアイテナリー(旅行日程の説明)はすごく細かい。日本のパンフレットより詳しいくらいです」

――どんなことが書かれているのですか。

「どこに行って、何を観て、何を食べて、すべて書いてあります。観光地についても、バスを降りて歩くのか、車窓から眺めるだけなのか。とくに食事の内容は重要です。どんな料理が食べられるのか、詳しく書かないとタイのお客さまは納得しないんです」
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この話を聞きながら、紙に書かれた内容を信用せず、口コミに頼ろうとする中国の消費者との違いにあらためて気が付きました。中国の消費者は、いまや過去となった社会主義時代の経験からくるのか、もともと他人を信じない社会なのか、紙に書かれたものは最初から疑ってかかるところがあります(出版物は基本的にお上が検閲したもので、情報管理されている社会だったからです。これが彼らの著作権意識の低さにもつながっています)。

だから、日本の旅行会社がつくりあげてきたパッケージツアーを軸としたビジネスモデル(そのベースは年2回改訂され、新商品が掲載されるパンフレットです)がまったく通用しません。紙(情報誌)の時代を経ずに、いきなりネット時代に突入したところは、タイも中国も同じですが、基本的に(いい意味で)パンフレットに書かれた内容を疑うことを知らない(考えてもみない)のが、日本とタイの消費者に共通するところだといえそうです。だから、タイではビジネスがやりやすいといわれるのでしょう。

――タイのお客さんは日本旅行に何を望んでいるのでしょうか?

「これについては、私は日本人ですから、どんなに話を聞いても本当のところはわかりません。所詮推測にすぎない。だから、実際のツアーにもなるべく同行するようにしています。タイのお客さまが日本に来て、何を観て喜んでいるのか。何をおいしいというのか。どんな景色をバックに写真を撮りたがるのか……。勘が鈍るのがいちばんまずい。お客さまにも自分のことを明かすんです。お客さまもトップの人間が一緒だということで、安心なさるみたいです」

――ツアー客の方とどんなお話をされるのですか。

「何か感じたこと、困ったことがあったら話してくださいね、というと、これがよかった。これが気に入らない。けっこう話してくださいます。

なかでも、日本の関係者にいちばんわかってほしいのは、タイ人はタバコが嫌いということです。意外に知られていないことかもしれませんが、彼らは基本的にタバコを吸いません。一部の上流階級が吸うことはありますが。ところが、日本のホテルの部屋はとにかくタバコ臭い。タイ人はそう感じています。

だから、ホテルのアサイン(予約手配)は禁煙ルームがmustです。タバコが吸えるレストランも選びません。隣にいる日本人にタバコを吸われるのが嫌でしょうがない。お酒もあまり飲みません。夕食でビールを飲む人も、そんなにいません。皆さん、おとなしく食事をする。大声を出したりしない。中国や韓国の人たちとは違うんです。海外に出かけてまで、飲んで騒いでコミュニケーションするということはないんです。

日本人はアジア人ということで、一括りしてしまいがちですが、もしタイのマーケットを本格的にやりたいなら、それを知って対応していただきたいですね。タバコの問題は、タイ人の受け入れにとってとても大切なことです」

――それは知りませんでした。確かに、タイのレストランでタバコを吸っている人を見ることはほとんどありませんね。

「彼らは世界における自分たちの国や立場のことをよく自覚しています。世界の中心だなんて思っていない。控えめなんです。しかし、だからといって物事にあまりこだわらない(いい意味で鷹揚な)中国客と同じように扱われると傷つきます。

温泉旅館に泊まりたいというリクエストが多いですが、タイ人はシャイなので、人前で裸になりたがりません。最近は、慣れてきて共同浴場に裸で入る人も増えてきましたが、基本はバス付の部屋を好みます。共同風呂は足だけちょこっと浸かるか、人がいない時間を見計らってこっそり入るとか。タイは中国や韓国のようなサウナがある社会ではないんです」

――タイの人たちはとても繊細なんですね。食事についてはどうですか。

「これがいちばん重要です。タイ人は日本食が大好きで、滞在中すべて日本食でも構いません。よく日本人の海外ツアーだと日本食を入れたりしますが、タイ料理店に案内することはまずありません。

気をつけないといけないのは、生ものです。タイにも日本の寿司屋は増えていますが、出回っているネタは限られています。せいぜいサーモンやマグロ、イカ、しめ鯖。それ以外の、たとえば生だこや白身の魚は食べたがりません。初めて日本ツアーに参加したグループなどでは、おすしのランチのほとんどを残すということもありました。こちらがいいと思って高級なネタを出しても、それがいいとは限らない」

――だとしたら、事前に食事の中身はレストランと密に打ち合わせておかないと、お互い嫌な気分になってしまいますね。

「それからタイ人の中には牛肉はダメだという人がまだ多い。タイでは水牛が耕作に使われ、食べるものではないという観念があるようです。そのせいか、おいしい牛肉は市場に出回っていません。ところが、最近『和牛』はおいしい、ということになってきた。ビーフと『和牛』は別物なんです(笑)」

――観光地ではどんな様子なんですか?

「とにかく写真を撮るのが好きですね。お寺と神社の違いがどこまでわかっているのかわかりませんが、日本は自分たちと同じ仏教の国だと思っているので、熱心にお参りしています。タイの仏像は黄金色で日本とはまったく違いますが、法隆寺のような古い寺院に行くと、歴史の重みを感じるようです。アユタヤやスコタイに比べると、法隆寺はずっと古いことに気づかされますからね。

そして、周辺のお土産屋さんでいろいろ買いまくります。お菓子だけではなく、記念品のようなものも買っていかれます」
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――同じ仏教の国ということで、鎌倉や奈良などが定番の訪問地になるのは理解できますが、それ以外にはどんなところに行きたいのでしょうか。

「テレビの旅番組の影響が大きいと思います。いい例が、白川郷や高山です。あと富良野のラベンダー、岩国の錦帯橋、瀬戸内海のしまなみ街道、指宿温泉の砂蒸し風呂。これらはすべて旅番組で火がつきました。いきなり局地的な人気が起こるんです」

――だとすれば、タイ人の誘客にとってメディア戦略は有効ですね。ビザも不要となったことで、今後は個人旅行者も増えていくのでしょうね。

「確かに、個人客は増えるでしょう。ただし、ビザの障害がないから好きなところに行けるといっても、自分たちはタイ語しかわからないという人も多いので、ツアー客も増えていくと思います。団体ツアーの需要は、母国語の強い(=英語が通じない)国には残ります。日本はまさにそうですから」

タイの訪日旅行市場について、これまでぼくは多くの方に話を聞いてきましたが、ローカルの消費者にいちばん近い場所にいる方でなければわからないことはたくさんあります。それにしても、タバコの話は盲点でした。

ちなみに、HISタイについては、以下を参照。

「HISタイの訪日旅行の取り組みは要注目です」
「HIS、世界企業へ離陸 東南アジアで消費者開拓」【2013年上半期④HIS】
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by sanyo-kansatu | 2013-10-17 20:18 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 17日

チェンマイはこうして中国人の人気旅行先になった【タイで見かけた中国客 その3】

チェンマイは城壁と堀に囲まれた古都で、タイ第2の都市です。

ここでも多くの中国客を見かけました。バンコクに比べて小さい街だけによく目に付くんです。チェンマイ芸術センターのような観光施設は、どこも中国の団体客でいっぱいです。みんな大声でよくしゃべるので、彼らが現れると一瞬あたりは騒然とします。チェンマイは車こそ多いものの、静かなお寺の街ですから。
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中国本土客を呼び込むための簡体字の表示や看板も街にあふれています。昔はこんなことなかったのに……。久しぶりに来てそう思いました。なにしろ訪タイ外国人数のトップですから、当然のことでしょう。
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中国人だけ1割引というレストランの貼り紙もあったほどです。

中国客急増の背景には、昨年12月12日に中国で公開され、13億元超(約200億円)の大ヒットとなったコメディ映画『Lost in Thailand(人再囧途之泰囧)』の影響があるといわれています。
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Lost in Thailand(人再囧途之泰囧)

タイを舞台にした3人の中国男たちのドタバタ爆笑コメディですが、彼らが外国を自由に移動する姿は、まるでロードムービーです。しかも、中国人の北海道旅行のきっかけとなった中国映画『非誠勿擾』のように、ガイド運転手付きの旅ではありません。主人公たちはタクシーや三輪バイクのトゥクトゥク、そして自らバイクにまたがり、チェンマイの街を疾走していくシーンも出てきます。

非誠勿擾

チェンマイでは同映画のロケ地をめぐるオプショナルツアーも催行されていました。といっても、その内容は、実際のロケ地を訪ねるというものではなく、ゾウのショーを見たり、乗ったりというおなじみのアトラクションに加え、少数民族の村を訪ねたり、竹のいかだに乗って川下りをしたりするというアドベンチャーいっぱいの企画です。わりとよくあるオプショナルツアーですが、映画のイメージに引っかけることで中国客を集めようとしているのでしょう。
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タイとミャンマー、ラオスの3カ国の国境が接するゴールデントライアングルを訪ねるツアーもありました。内容は、タイ最北でミャンマーとの国境ゲイトのあるメーサイや首長族のいる村を訪ねたり、メコン川の遊覧船に乗ったりするものです。
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市内のあちこちにレンタルバイクの店があります。そこには必ず簡体字の説明があります。けっこう事故が起きているのか、その際の対処に関して詳しく書かれています。
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実際、ヘルメットを被ってバイクにまたがるふたり組の中国女性を見かけました。きっと映画に触発されたのでしょう。チェンマイに行ったら、レンタルバイクに乗るものだ、と彼女たちは来る前から決めていたに違いありません。

チェンマイは中国客にとって、ヒット映画が提示してくれたようなちょっとしたアドベンチャーを体験させてくれる海外旅行先となったようです。
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こうしてチェンマイは中国人にとっての新しい人気旅行先になりました。これを旅行業界用語で「デスティネーション」といいます。

デスティネーションというのは、一般の消費者にそこが明確な旅先(目的地)であると広く認知されたときに使われます。無名のうちは、消費者が頭に描く海外旅行地図に存在しないのと同じですが、ひとつのデスティネーションとしてあるイメージが認知されたとき、初めてツアーの候補となるからです。『非誠勿擾』がヒットしたことで、中国の人たちの頭の中にそれまでなかった「北海道」という地名が刻印されたのと同じです。
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『Lost in Thailand』の冒頭で、主人公がタイの空港に降り立ち、タクシーで市内に向かうとき、北京と同じような超渋滞の中、運転手から日本語で話しかけられ、思わず「No,I am Chinese」と英語で否定するシーンがあります。いかにもいまの中国人の心情を表しているようで、「やっぱりなあ」と思ったものです。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-17 16:53 | “参与観察”日誌 | Comments(1)
2013年 10月 17日

冬は零下30度のまち、ハルビン(黒龍江省)の地下鉄が開通しました

先日、中国黒龍江省の知り合いから、ハルビンの地下鉄1号線が開通したというニュースが届きました。
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運行スタートは9月26日。区間はハルビン南駅からハルビン東駅までの全長17.48km、18駅だそうです。これで東北三省では瀋陽に次ぎ2番目の地下鉄となります。運賃は2元~4元と、北京の地下鉄と同じ価格帯で超格安です。
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ハルビンといえば、中国最北部にある黒龍江省の省都で、冬には零下30度以下になる厳寒のまちです。そこで、ハルビンの地下鉄は中国初の寒冷地仕様だそうで、零下38度の低温環境の中でも運行できるといいます。

このニュースを届けてくれたのは、ハルビンにある黒竜江省新世紀国際旅行社の呼海友さんと金龍珠さんです。地下鉄の写真も送ってくれました。

「ハルピンの地下鉄は最新技術を採り入れています。車両はアルミ合金の構造で、中国で最軽量。車体の雪花図案の装飾はハルビンらしいイメージを喚起しています。他の都市の地下鉄に比べ、騒音が少なく快適に乗車できます。車両内は空気浄化システムを採用しています。そして、信号システムは一部日本の技術を採用しており、安全性に優れています。そして、これがいちばん大事なことですが、座席の下にヒーターがあり、冬でも暖かいんですよ」とのこと。
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ハルビンの地下鉄工事は2008年から開始されました。現在、大連でも工事が進行中です。沿海地区に比べインフラが遅れがちだった東北三省の都市にも、ようやく現代的な都市交通システムが生まれています。来年ハルビンに行く予定があるので、ぜひ乗ってみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-17 09:46 | 日本人が知らない21世紀の満洲 | Comments(0)
2013年 10月 16日

観光バスの発着場で出待ちする法輪功【タイで見かけた中国客 その2】

前回(「中国、訪タイ外国人数トップになる」)、バンコクにあふれる中国人観光客の姿を紹介しましたが、今回は、タイで彼らを待ち受けている、なんとも気の毒な光景について報告しましょう。
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バンコクの王宮広場前、中国客の乗るツアーバスの前で大きなパネルを掲げるひとりの男がいます。彼は何者なのか。そうなんです。タイ在住の中国の気功集団「法輪功」の関係者です。

なんだかいろんなメッセージが書き込まれています。わかりやすいところでいうと、「中共≠中国」。その理由として、中国には5000年の歴史があるが、中共には100年に満たない……。
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さらに、中国共産党からの脱退を呼びかける、いわゆる「脱党運動」のすすめ。

こうした彼らの活動は、イギリスやフランス、ポーランド、ギリシャ、ロシア、香港、韓国、インドネシア、日本でも行われているとパネルには書かれています。
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傍で見る限り、これは相当たちの悪い嫌がらせといえなくもありません。せっかくの楽しい海外旅行。誰もがリラックスして気を抜いているのどかなひとときです。いざ観光に出かけようとバスを降りた瞬間、彼らはこのパネルを目撃することになるからです。
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法輪功サイドもよくもまあこんな手を思いついたものです。確かに、タイを訪れる年間約300万人の中国客の大半は間違いなくここに現れるでしょう。

彼らは、バスの発着場でツアー客の出待ちをし、決してスローガンを唱えることも、騒動を引き起こすこともなく、静かにパネルを掲げるのみです。一方中国客たちも、まるで何も見なかったかのような顔をして無言でバスに乗り込みます。

中国客の無関心ぶりは、彼らの心情を察するまでもなく理解できます。とはいえ、中国の海外旅行者数が9000万人を超えたといっても、総人口からすれば数パーセントに過ぎないわけで、ここにいる彼らは自国では上位の階層に属していると一応いえます。中国社会の暗部から目を背けるな、という法輪功の主張は誰も否定できないでしょう。ただ彼らの活動が国内で禁止される以上、海外で続けるほかないため、この皮肉な光景が現出するわけです。

それにしても、中国政府が「邪教」として迫害する「反政府勢力」と、いたいけなレジャー客との接点が、バンコクの有名観光地にあったとは……。これも、なにかと騒がれがちな中国人の海外旅行のワンシーンなのです。今日の中華世界のリアルな現実を象徴する光景といえるでしょう。
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公平を期すため、日本の法輪功公式サイトと中国大使館のHPの解説を参照しておきます。

●法輪功in Japan
法輪功の日本公式サイトでは、法輪功を「中国伝統の気功修煉法」だと解説しています。
http://www.falundafa.jp/

●中華人民共和国駐日本国大使館
中国政府の見解では、法輪功は「一口で言えば、中国の『オウム真理教』」だそうです。でもそれはちょっとどうでしょう?
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zt/xjflg/t62971.htm
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これが彼らが配っていたパンフレットです。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-16 10:12 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 14日

中国、訪タイ外国人数トップになる【タイで見かけた中国客 その1】

今年の初め、タイ政府観光庁のニュースアーカイブは「2012年の訪タイ者数2200万人突破」と以下のように報じています。

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「タイを訪れる外国人観光客数が2012年、前年比16%増の2230万人となり、過去最高を更新した。観光収入は総額9650億バーツ(約3兆200億円)で前年比24%増だった。外国人観光客がもたらす観光収入は同国の主要な外貨獲得手段であり、政府は今後も積極的に観光客誘致に取り組む方針だ。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。

同国の観光・スポーツ省によると、国別で最多だったのは中国で270万人、以下、マレーシアが250万人、ロシアと日本が130万人で続いた。地域別の観光収入は首都バンコクが4300億バーツ、ビーチが人気の南部プーケットが1800億バーツなど。

タイ政府は15年までに観光収入2兆バーツ突破を国家目標に設定しており、今年は外国人観光客2450万人、観光収入1兆6000億バーツを目指す。今後は通常の観光に加え、国際会議や見本市、学会など「MICE」の誘致にも注力する方針だ」。

ランキングは以下のとおりです。

◆2012年 タイへの外国人到着者数(国/到着者数/変動)
1位 中国 2,789,354人 +62.5%
2位 マレーシア 2,560,963人 +2.43%
3位 日本 1,371,253人 +21.58%
4位 ロシア 1,317,387人 +24.97%
5位 韓国 1,169,131人 +16.18%
6位 インド 1,015,865人 +11.03%
7位 ラオス 951,090人 +6.63%
8位 オーストラリア 930,599人 +12.14%
9位 イギリス 870,164人 +2.98%
10位 シンガポール 821,056人 +20.33%

2012年、中国はタイの隣国マレーシアを抜いて堂々トップとなったようです。それまでは、日本はマレーシアに次ぐ2位でしたが、中国に一気に追い抜かれてしまいました。

どおりでバンコクでは、中国人観光客の姿をよく見るわけです。
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8月上旬、バンコクの王宮の周辺は中国人団体ツアー客を乗せたバスで込み合っていました。バスのフロントの車窓に、ツアーを主催した旅行会社のプレートが置かれているので、中国のどこから来たツアーかわかります。日本でもよく見かける広東省の南湖国旅、上海の春秋旅行社などが見えます。
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中国客の皆さんは相変わらずにぎやかで楽しそうです。
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ところが、水上ボートの乗り場の近くの小さな市場で、「禁止乱扔拉圾(ゴミ捨てるな!)」と手書きで書かれた中国語の貼り紙を目にしてしまいました。いまや彼らの出没する場所には必ず見られる光景といえます。
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たまたまバンコクの老舗ホテルのアジアホテルに立ち寄ると、ここは中国団体客が多いらしく、ホテルの前はバスでごった返しており、ロビーも中国客が埋め尽くしていました。実はこのホテル、1980年代は日本の団体客もよく利用していたはずです。
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中国の旅行関係者によると、中国人はタイの団体ツアーに参加する場合、ビザは免除されているそうです(個人客はビザが必要)。これが爆発的にタイに中国本土客が増えた理由でしょう。
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by sanyo-kansatu | 2013-10-14 10:43 | “参与観察”日誌 | Comments(0)