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2014年 10月 30日

拉致協議と北朝鮮ツアー解禁

一昨日(10月28日)、北朝鮮による拉致被害者らの調査をめぐる日本政府代表団と北朝鮮の特別調査委員会の協議が終わりました。この先どうなるかについて懸念ばかりがつのる虚しい交渉に終わってしまい、拉致問題の解決はもとより、朝鮮側も日本からの経済的な利益供与の実現性は、はるかかなたに遠のいてしまったようです。

もっとも、今年7月4日、日本の北朝鮮に対する制裁の一部解除が行われ、日本人の北朝鮮への渡航自粛が解除されたことから、今夏以降、一般日本人の北朝鮮ツアーはすでに解禁されているのをご存知でしょうか。

5月の日朝合意に基づく我が国の対北朝鮮措置の一部解除
www.mofa.go.jp/mofaj/files/000044431.pdf

在瀋陽日本国総領事館のサイトでも以下のように記されています。

北朝鮮への渡航情報(危険情報)の発出(在瀋陽日本国総領事館)

2014年7月4日、日本国政府は日本から北朝鮮への渡航自粛措置等の解除を発表しました。

1.この発表を受け、北朝鮮について新規に危険情報「渡航の是非を検討してください。」を発出します。

2.北朝鮮については、安全保障上の状況変化等により、事態が急変することがあります。また、北朝鮮当局による外国人旅行者の逮捕・拘束の事例も報告されています。

3.日本と北朝鮮との間には国交がなく、北朝鮮には日本の在外公館等の日本政府の機関がありませんので、北朝鮮において事件・事故等何らかのトラブルに巻き込まれた場合でも、通常行われている邦人援護活動を行うことは極めて困難です。例えば、旅券(パスポート)紛失時の再発給を含め、通常行われている邦人援護活動を十分に行うことができません。

4.つきましては、北朝鮮への渡航を検討されている方は、報道機関関係者を含め、上記事情に十分留意し、不要不急の渡航は控え、渡航すべきか否かは、渡航目的の緊急性や妥当性、とりうる安全対策等について慎重に検討した上で判断してください。その上で渡航する場合には、可能な限り最新情報の入手に努め、十分な安全対策を講じるとともに、不要不急の外出は控えるなど、自らの安全確保に努めてください。

http://www.shenyang.cn.emb-japan.go.jp/jp/connection/fr_worklead_01_01_01.htm

この渡航自粛解除を受けて企画されたのが、アントニオ猪木議員の「インターナショナル プロレスリング フェスティバル in平壌」(8月30,31日)でした。

インターナショナル プロレスリング フェスティバル in平壌
http://www.igf.jp/event/pyongyang/

関係者の話によると、このイベントは日本政府の北朝鮮渡航自粛の解除を見据えて早い時期から計画されたものでしたが、解除日(7月4日)から開催までの募集期間が十分なかったこともあり、一般客は約60名、マスコミを入れて130名程度だったようです。思いのほか、集まらなかったのです。

実はこのツアー、日本から申し込まなくても参加できたようです。以下の情報は、中国遼寧省大連市にある旅行会社の日本語サイトのものですが、この旅行会社を通せば、自分で北京までの往復航空券を手配し、個人で参加できたのです。実際に日本人もわずかですが、いたようです。

中国で申し込む8月30日の平壌プロレスツアー
http://gb-travel.jugem.jp/?eid=35

このツアーを催行したのは、以下の旅行会社です。同社には宮崎正樹さんという日本人スタッフがいて、彼が北朝鮮ツアーを担当しています。

大連金橋旅行社
http://www.gbt-dlcjp.com/

こういう裏技もあったのですが、日本在住の日本人が北朝鮮ツアーに参加しようとする場合、朝鮮総連系の中外旅行社を通すのが一般的です。同社は1968年創業の旅行会社です。かつてJTBをはじめとした日本の大手旅行会社も北朝鮮ツアーを催行していたこともあったのですが、現在は様子見のようです。一部の中小旅行会社が代行手配を始める計画も耳にしています。

中外旅行社
http://www.chugai-trv.co.jp/

現在、中外旅行社では、以下の5つのコースの北朝鮮ツアーを催行しています。2006年の日本人の渡航自粛以降、ストップしていた北朝鮮観光がようやく再開されつつあるのです。
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拉致問題の解決の見通しが立たないいま、のんきに旅行になんか行ってる場合か、という厳しい意見も多そうですが、なぜあの国を相手にまっとうな交渉ができないのか。一度でもその地に足を運んでみると、納得できるかもしれません。

今年7月、ぼくは性懲りもなく、かの地を訪ねています。その報告は後日また。

【追記】
これを書いたあとすぐに気づいたのですが、北朝鮮はエボラウィルス感染者の入国を阻止するため、10月24日から外国人観光客の受け入れを停止しました。なんだよそれ、って感じですが、もともと冬季は観光客の受け入れに積極的ではなかったこともあり、今年の北朝鮮ツアーは打ち止めのようです。来春を期待しましょう。それとも、もっと別の国内事情でもあるのでしょうかね?
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by sanyo-kansatu | 2014-10-30 23:25 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2014年 10月 24日

円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大

10月22日に発表された恒例の日本政府観光局(JNTO)の月別訪日外客数統計をうけ、朝日新聞2014年10月23日はこう報じています。

2014年9月訪日外客数統計
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/141022_monthly.pdf

「円安明暗くっきり 外国人旅行者増加 貿易赤字拡大」

「日本政府観光局が22日発表した4~9月の訪日外国人は686万人で、過去最高だった前年の同じ時期を25.3%上回った。この1年で1ドル=98円台から107円前後に進んだ円安を追い風に、9月は韓国、中国、米国など16の国と地域からの訪日客が過去最高に。買い物目当ての人が多い中国人客が、全体の数字を押し上げた」

「外国人の増加は、4月に消費税率が8%になって鈍りがちな国内消費には、数少ない明るい材料だ」

「日本銀行の試算によると、近畿地方では今年度、百貨店の売上高に占める外国人客の割合は3.6%、家電量販店が3.4%で、いずれも11年度の2倍以上になったという」

「だが、外国人客の恩恵は全国どこでもとはいかないようだ。日銀が各支店に聞いたところ、「観光客の数が増えているのは一部にすぎない」(釧路、新潟、甲府支店)との声があった」

記事のポイントは、①円安を背景に今年も過去最高の訪日外客数となりそうなこと。②一方、外客の消費力がとかく喧伝されるわりには、百貨店や量販店などでも外国人比率はようやく3%越えした程度であること(もちろん、国内消費が減っているぶん、それを補ってくれる存在という意味で期待されるのは当然のことですけれど)。③恩恵を受けているのは、全国でも一部の大都市圏に限られていること、でしょうか。

さらに、同紙はこう述べています。

「貿易統計(速報)では、輸入額が輸出額を上回る貿易赤字は上半期としては過去最大の5兆4271億円だった」

「原発が止まって火力発電の燃料の輸入量が増えた一方で工場の海外移転が進み、円安が追い風になるはずの輸出量が伸びず、赤字が膨らむ」

「円安明暗くっきり」とはこのことです。

「日本と海外のお金の出入りの全体像を示す財務省の国際収支をみると、今年4~8月に訪日外国人が日本で使ったお金は8千億円余りで、10年前より5割超増えた。日本人旅行者が海外で使ったお金と差し引く「旅行収支」はこの10年で1・1兆円余り改善した」

ここでいう「1・1兆円」は、いまだに外国人が日本で使うお金より、日本人が外国で使うお金のほうが多いという意味です。

「同じ時期の貿易収支は4.9兆円の黒字から4.5兆円の赤字に9兆円も悪化。日本と海外のお金の出入りの帳尻を示す経常黒字大きく減らす原因となっている」

はたして円安は日本経済にとっていいことなのか? 誰の立場でみるかによっても結論は変わってくるのでしょうが、訪日外国人の増加の恩恵を経済効果としてみるだけでは判断を誤ると思います。むしろ円安でも輸出が増えない現在の日本経済の構造問題について議論を深めてもらいたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2014-10-24 09:29 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 10月 18日

今年の国慶節はそれほど多くない印象でしたが、結果は大幅増(ツアーバス路駐台数調査 2014年10月)

いよいよ今年も国慶節がやって来ました。今月は多忙で、あまりバスをチェックする時間がとれなかったのですが、例年に比べるとそれほど多くない印象です。

9月末のアジアインバウンド観光振興会(AISO)の報告でも、中国の団体客が若干ペースダウンしているといわれていました。もっとも、昨年のこの時期はすでに訪日中国客の回復は始まっていたので、前年度比の伸びが落ちてきたとはいえ(2014年9月:57.6%)、中国客が減っているわけではないはずです。バスの数が少なくなったように見えるのは、最大マーケットの上海で個人客の比率が高まってきたせいかもしれません。

訪日外客1300万人超えなるか?(AISO臨時総会報告)
http://inbound.exblog.jp/23659816/

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(水)12:40 4台
2日(木)12:50 2台
3日(金)13:20 4台
4日(土)未確認
5日(日)未確認
6日(月)未確認
7日(火)12:20 3台
8日(水)12:10 3台、17:50 2台
9日(木)未確認
10日(金)11:50 2台
11日(土)未確認
12日(日)未確認
13日(月)未確認
14日(火)12:20 2台
15日(水)12:40 3台
16日(木)12:30 2台
17日(金)11:40 6台、18:30 2台
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この日、久しぶりにバスラッシュの光景を見ました。国慶節は終わっていましたが、ツアーは来ているようです。

18日(土)未確認
19日(日)未確認
20日(月)11:30 2台
21日(火)12:20 1台
22日(水)12:30 2台
23日(木)未確認
24日(金)12:20 3台
25日(土)未確認
26日(日)未確認
27日(月)11:50 3台
28日(火)未確認
29日(水)11:30 4台、17:20 2台
30日(木)12:20 3台
31日(金)未確認
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by sanyo-kansatu | 2014-10-18 09:07 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2014年 10月 16日

香港デモ雑感~今ほど日本のリベラル派と中国人の本音が隔たっている時代はない

昨今の香港のデモを見ていると、やりきれない思いがしますが、こうした状況をもたらした中国政府に対するわだかまりや義憤を感じる人たちが日本にもそれなりにいるようです。日本のリベラル派と目されている人たちの一部がこの問題に関心を持とうするのは理解できます。

たとえば、乙武洋匡さんもそのひとり。報道によると、彼はデモに参加する香港の若い世代のメッセージや本音をきちんと伝えるべきだと主張しているようです。

香港デモを訪れて
http://www.huffingtonpost.jp/hirotada-ototake/umbrella-revolution_b_5943106.html
乙武氏が香港でデモ応援 「学生側は一貫して平和的」と擁護 (大紀元)
http://www.epochtimes.jp/jp/2014/10/html/d93232.html

日本のメディアのような配慮のない在外中国メディア(大紀元)の生々しい乙武さんの写真が印象的です。

9月下旬、香港で前倒しのデモが始まったとき、誰もが「六四天安門事件」みたいなことが起こらなければいいが、と思ったことでしょう。と同時に、「六四天安門事件」のとき、香港市民はあれほど北京市民を応援したのだから、大陸側にも、もっと香港の若者たちを支持する動きがあってもいいのではないか。いろいろ事情があるのはわかるけれど、いまのままでは北京市民はひどすぎるんじゃないの!?  香港デモを支援しようとして政府に拘束された数十人の人たちを除くと、ここまで中国大陸人が冷淡なのはあんまりじゃないかと思います。

でも、こういう感覚を持つことは、いまでは中国大陸人に対する一種の挑発にしかなりません。時代は大きく変わってしまったのです。

今後のデモの推移は、事前に多くの人たちが想定したように、徐々に収縮に向かっていくことでしょう。香港の学生さんたちは、再起を胸に秘めて引き際をわきまえたほうが賢明でしょう。ずるずる続けるより、引くべきときはさっと引き、必要な時期には何度でも繰り出せるようにしたほうが効果的だと思うのです。彼らの意思は十分世界に広まったからです(もちろん、そんなの素人に簡単にできることではないのでしょうけれど)。

それに、なにしろ六四の時代とは違って、中国政府は香港に大陸人を動員させ、さまざまなネガティブキャンペーンを行いました。黒社会を活用した暴力による抑圧もそうです。しかし、これは今日も、そして昨日も明日も中国では日常的に起きることです。そういう同じことが香港でも起きたということが、すでに香港が中国の一部になっていることを証明しています。

こういう状況を見ながら、ひとりの日本人として思うのは、香港の若い世代が受けた教育というのは、我々に近いものなんだなあ、という実感です。明らかに大陸から来た留学生とは違う。日本に近い教育を受けた香港の若い世代にとって、今日の中国が土足で踏み込んでくることには耐え切れないであろうことも、日本人ならよく理解できます。

さて、心情的にはまったくそう思うのですが、あらためて考えなければならないのは、コトの舞台はいまや中国の一部となった香港だということでしょう。もう一方の当時者である中国大陸人たちの本音にも耳を傾ける必要があります。

昨日、ひとりの在日広東人の友人とこのテーマで話をしました。広東人というのは、面白いもので、北京や上海を中心とした中国大陸人の感覚とは少し違う観点からモノを考える傾向があります。

彼は言います。「今回の香港のデモをめぐって大陸の人間が何を考えているかについて、ぼくの意見はこうです。

なぜ大陸の人間はこれほど香港のデモに冷淡なのか。それは政府のメディア規制や監視のせいでもあるけれど、多くの大陸人の胸の内には、これまでずっと偉そうにしていた香港に仕返ししているという思いがあるんです」

えっ、それはどういうことですか…。

「かつて香港と中国の経済格差が大きかった時代、香港人は大陸人を明らかに見下していた。でも、いまや経済力は大陸がはるかに上回っている。それなのに、中国に反旗を翻すとはどういうつもりだ。今回のデモの失敗で香港人も現実を思い知るだろう、そんな風に思っているんです」

う~ん、そういうことか……。でも、それは思い当たる節があります。1980年代から90年代にかけて、中国では香港が憧れのまちでした。当時よく言われたのが、北京のテレビ局のアナウンサーやタレントたちが香港っぽいファッションや言い回しを好んで使っていたという話。それがカッコいいことだったからです。その一方、当時香港人が大陸人を見下す光景をよく見かけたものです。その露骨な態度にぼくは義憤を覚えて、よせばいいのに香港人と口論になったことさえあったことを思い出しました。

そう話すと、彼はきょとんとして、「なぜ日本人のあなたが? 中国人のために?」と怪訝な顔つきになったので、「目の前で人が人を差別していることにぼくは耐えられない人間なので、黙っていられないんだよ」とコトの経緯を説明すると、「日本人らしいですね」と笑いながらこう言いました。

「でもね、北方の中国人と広東人では少し感じ方も違うと思います。香港の言葉がわからない北方人と違い、広東人は香港といまや一体化している面がありますから、そこまで露骨に仕返しとは考えていないと思う。ただ最近の共産党は締め付けが厳しくなっているのは確かなので、下手に口出しして自分を窮地に陥れることは避けたいと考えるでしょう」

彼はこんなことも言います。「いまの中国政府がよく使うことばに“話語権”があります。要するに、世界は自分たちをもっと認めるべきだ。でも、そういう気持ちが強すぎて、結果的に国際社会で嫌われている」とも。

“話語権”というのは、2000年代半ば頃から中国政府の公式文書等に頻繁に使われるようになったことばで、日本語でいうと「発言権」という意味に近いけれど、そこにはより強い意志が潜んでいそうです。大国となった中国は、外交や経済交渉の舞台で自らの主張を押し通す権利があり、それを推進していかなければならない、という強い確信に基づくものです。数年前に退任された青山学院大学の高木誠一郎先生の最終講義「中国外交の新局面: 国際「話語権」の追及」の中で一部、その中身が検証されています。中国の外交姿勢の転換は2009年から始まったとする専門家の分析もあり、何事も自分たちの思い通りに押し通さなければ気がすまない、といういまの中国の対外的な姿勢やふるまいは、彼らが自覚的に推し進めているものです。

今回のデモをめぐって「これから中国も香港の民主化の道を取り入れて、我々と同じ価値観を共有できる国になることを望む」というような紋切り型のコメントを安易に口にする人が日本にけっこういることが気がかりです。その点で、今ほど日本のリベラル派と中国人の本音が隔たっている時代はない、と感じます。いや、もうそれはリベラル派に限った話ではないかもしれません。そういう人たちは、えてして香港を単純に同情し、中国を敵視する心情に陥りがちです。最近の中国のふるまいからすれば無理もないかもしませんが、彼らがそうなる背景には、一筋縄ではいかない彼らなりの事情をあることを知っておくことは必要です。そのうえで、言うべきことは言う、であるべきでしょう。その方が実際、彼らと議論するには有効です。

いずれにせよ、中国の側に、香港に対する同情はほとんどないこと。むしろ冷笑にも似た感情が潜んでいるというのは、今後の中国のふるまいを予測するうえでも、よく考えておかなければならないことだと思います。

それとはまた別の意味ですが、今日アップされた日経ビジネスの以下の記事は、香港の「反デモ隊」の若者にインタビューしている点で面白いと思いました。

香港騒乱で「デモ潰し」に参加する若者は何を思うのか
学生と若者と、蔑視と憎悪の応酬
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141015/272568

「社会の厳しさを知らない学生に、俺たち(反デモ隊)のような底辺の労働者の気持ちがわかるか」とマイクを向けると彼らは言うわけです。デモ学生たちに対する大陸の中国人とはまた異なる強い違和感が発せられています。デモをめぐる当事者たちの思いはさまざまなのです。

また以下は上海在住の姫田小夏さんというジャーナリストによる香港デモに関するレポートです。

上海エリートの目に
香港の民主化デモはどう映るのか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41978

ここでは、上海の若い世代がデモに参加する香港の同世代に対してこう考えていると指摘しています。

「香港の学生たちの主張は「真の普通選挙の実現」である。しかしそんな抗議活動を、若い上海人エリートたちは「馬鹿げたことを」程度にしか思っていない。」

「「無邪気」に加えて「幼稚すぎだろ」「笑わせる」とさえ言う者もいる。その理由は明確で、「中央政府がそんなことを認めるはずはない」と確信しているからだ。」

やっぱり、でしたね。

さて、広東人の友人とそんな話をしたあと、彼はある在日中国人を紹介してくれました。その人物は、先頃中国政府の迫害から逃れて来日した中国人風刺漫画家“変態辣椒”こと、王立銘さん(41)です。

“変態辣椒”作品
http://biantailajiao.in/

彼は習近平をおちょくる風刺漫画をたくさん描いていて、中国にもこんな人物がいるのだなと、ほんの少しばかり我々をホッとさせてくれます。内容については、それこそ中国のニュースに日夜触れていないとすぐには理解できない作品も多いですが、こういうまっすぐな権力に抗する視線こそ、本来の中国人らしいものだと思います。ちなみに以下の作品は、習近平が総書記に就任した2012年11月の最初の演説で「中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現しよう」と述べた内容をからかっています。PM2.5で汚染された濃霧が「中国の夢」を覆い尽くしてしまいそうな現実に習はどう立ち向かうのか? 
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こういう政府に対する批判が大陸からほとんど表に出てこないといういまの状況はやっぱり異常です。デモが収束し、ほとぼりが冷めれば、少し変わってほしものです。広東人の彼も、中国人は黙っているばかりではないという思いで、王さんのことを教えてくれたのかもしれません。今度、彼は王さんと会うそうなので、紹介してもらうつもりです。

【追記】
この記事アップした翌朝(10月17日)の朝日の朝刊に王さんの記事が載っていました。

中国の漫画家、日本に滞在延長求める 風刺で批判浴び
http://www.asahi.com/articles/ASGBG5HKNGBGUHBI01N.html?iref=comtop_6_02

北京発のこの記事では、以下のような王さんの境遇を伝えています。

 「中国版ツイッター」の微博などで漫画を発表しつつ、食品のネット販売で生計を立てていた王氏は5月、日本製品の販売に向けたリサーチで来日。ところが8月、自身の微博アカウントが突然、封鎖された。

 その後、共産党機関紙人民日報傘下のサイトが王氏を「媚日」「売国奴」などと批判し、関係部門に「法に基づく調査」を求める文章を掲載。王氏が目にした日本人の礼節や日本の平和主義などについて好意的な感想をネットでつぶやいたことも批判された。

たぶん来週あたり、ぼくは都内で彼に会うことになりそうです。
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by sanyo-kansatu | 2014-10-16 16:06 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2014年 10月 08日

訪日外客1300万人超えなるか?(AISO臨時総会報告)

ツーリズムexpoジャパンの会期直前の9月24日の夜、東京ビッグサイト会議室で一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)の臨時総会がありました。

AISOはアジアからの訪日客の旅行手配を扱う観光業者の団体です。国内ツアー手配を行う旅行会社(ランドオペレーター)をはじめ、ホテルやレジャー施設、自治体関係者らが会員で、アジアインバウンド市場の拡大に伴い、会員数は年々増えています。

AISO
http://shadanaiso.net

冒頭のあいさつで王一仁会長はこう語りました。「円安が続き、インバウンド(訪日外国旅行市場)にとって絶好のチャンスが訪れています」

続いて、石井一夫AISO理事(株式会社ジェイテック)が今年の訪日外国人旅行者の動向を以下のように報告しました。

「今年は毎月のように単月の訪日外客数が過去最高を更新し、1300万人超えなるか? という状況です。1~8月までで863万人と前年比25.8%増。伸び率が最大なのが中国で前年比84%増、タイやフィリピン、マレーシア、ベトナムなどアセアン諸国の伸びも大きいです。訪日客数のトップは台湾の190万人で、韓国、中国と続きます。訪日全体にアジア11カ国が占める割合は8割となっています。今後、バスやホテルなどの供給が厳しさを増してくることが予想されます。秋の紅葉のシーズンが心配されます。地方も含め、いかに供給量を増やすかが求められています」

各国市場別でそれぞれの関係者がこう言っています。

まず中国。「好調な勢いで伸びできた中国客ですが、8月末から9月にかけての予約状況でみると、団体客は若干ペースダウンが起きています。今年7月からのバス運賃改訂によって料金アップが起きていることも影響しているようです。中国の海外旅行市場はタイの混乱もあり、東南アジア方面は減少しているぶん、韓国に集中していますが、訪日はまあまあという感じでしょうか」

次に韓国「他国に比べると、訪日客は伸びていないが、最近沖縄が韓国市場で人気となっている」

そして香港「7月から始まった反中国デモの影響もあり、6月まで伸びていた訪日客の伸びが落ちてきた。ただし、香港客の8割は個人客(FIT)なので、円安が効いている」

アセアン最大の訪日客を誇るタイ「8月まで伸びてきた勢いが、9月は減速しそうな気配。バス不足や運賃アップが影響しているもよう」

好調な勢いを見せていたタイ以外のアセアン諸国からの訪日客も、秋以降減速していくのではないか、という声も聞かれました。

その理由について、王会長は言います。
「実は、最近海外の旅行業者から苦情が続出しています。苦情の中身は、貸切バスの不足と料金アップ。日本に送客しても、本当にバスが手配できるのか? 貸切バス運転手が1日10時間しか勤務できないのでは、ツアーに使えないのでは? それならドライバー2名制にすればいいではないか、などと海外の業者は言うのですが、日本のバス運転手は不足し、安全基準もそれを許さないため、対応できないことが増えているのです」

これが一見好調に見える訪日旅行市場の受け入れ態勢の現状です。このままで、本当に1300万人超えなるのか? 

今後を考えると本当に現在の好調さが続くのか、明るい見通しばかりではなさそうです。
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by sanyo-kansatu | 2014-10-08 17:16 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2014年 10月 06日

1年ぶりに再訪。ロボットレストランの客層が変わった!?

雑誌の仕事で、1年ぶりにロボットレストランを再訪することになりました。訪ねたのは9月末のことです。

歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか?
http://inbound.exblog.jp/21470518
【続編】「ロボットレストラン」はなぜ欧米客に人気なのか?
http://inbound.exblog.jp/21477338/

現在、ロボットレストランのステージは、1日3~4回行われています。その日の最初のショーは17時55分からということで、約1時間前に歌舞伎町の例の裏通りに足を運びました。
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するといるいる。歌舞伎町を散策している外国人観光客の皆さんがいっぱいです。アジア系が目につきますが、ロボットレストランの前まで来ると、そこは欧米系の人たちが圧倒的多数派です。
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1年前と違って客引きのお兄さんも英語を話しています。
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相変わらずクレージーな女性型ロボットとそのひざの上にちょこんと座るのが、店のダンサーの女の子です。
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入口には、予約済みのチケットを手にした欧米系ツーリストが並んでいます。
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壁には来店した有名人の写真が貼り出されています。きゃりーぱみゅぱみゅさんは2012年9月27日来店だそうです。
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店内に入ると、公演が始まるまでの時間、待合室で待機します。ギンギラギンの内装の中、ロボットコスチュームのギターリストやあとでダンサーとしても登場する女性シンガーなどによるライブ演奏が繰り広げられています。音楽のテイストは完全に欧米志向のポップミュージックです。よくアジアのシティホテルのラウンジでフィリピン人バンドが演奏しているような世界です。

ところで、1年前と比べ、客層に変化が起きていることがわかりました。
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欧米客がメインであることは変わりませんが、中高年化が進んでいたことです。おじさん、おばさんなどのグループが目につくのです。もちろん、若いカップルなどもいないわけではありませんけれど。
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要するに、この1年で欧米客の大衆化が進んだということらしいのです。確かに、館内のアナウンスは基本英語になっていました。

公演時間が近づき、ステージのある客席にみんな向かいます。客層はざっとこんな感じ。
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国籍の多様化もそうですが、年代もまちまちです。
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なかにはお子様連れのお母さんもいます。確かに、ロボットレストランに年齢制限はないのでしょうけれど、このいたいけな男の子にどれだけ楽しんでもらえるか、ちょっと気がかりです。

さて、いよいよステージです。和太鼓の演奏から始まりました。演目は1年前と少し変わっていました。もっとも、ロボットとセクシーダンサーの共演というコンセプトは変わりません。その馬鹿馬鹿しさだけはバージョンアップしていた、といっておきましょう。
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最後の演目の前に、記念撮影の時間が用意されています。観客たちはステージに降りてきて、ロボットたちと一緒に撮影に興じています。
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これらの光景をみても、ロボットレストランに来店する欧米系ツーリストの大衆化が起きていたことに納得いただけると思います。ここでいう大衆化とは、こういうことです。ロボットレストラン開店当初、訪ねてきたのは海外の映画関係者や文化人といったカルチャートレンドに敏感な新しモノ好きの人たち、しかも若い世代が多数派でした。しかし、開店して2年以上たち、メディアやネットで噂を聞きつけたふつうのおじさんやおばさんが訪れるようになったということです。だからいいとか悪いとか、それ自体がどうこういう話ではありません。

おそらくロボットレストランの営業スタッフが、都内の外国人比率の高いホテルにブローシャーを配りまわったことが奏功したのでしょう。彼らにとって夜をどう過ごすか、というのは大きな問題です。東京には外国人が気軽に楽しめるようなエンターテインメントと食事を組み合わせた施設が圧倒的に不足しているからです。

東京にはバーや居酒屋、レストランなどいくらでもあるではないか、と日本人は思ってしまいますが、初来日の外国人には、街の地名も土地勘もなく、食事の種類もよくわかっていないため、目の前にいくら店があっても、どこを選べばいいのか、わからないのです。日本好きの人ならネットやSNSを駆使して情報集めができるでしょうが、日本のことをまったく知らないツーリストの割合も実は高いのです。

だから、欧米系のメディアや口コミで広がったロボットレストランなら、彼らはひとまず安心して足を運べるのでしょう。日本のことなどまったく知らなくても、ロボットレストランの海外における知名度はずば抜けているのです。あるスポットが知名度を勝ちうるための条件は、日本人相手と外国人相手ではまったく別だということを物語っています。

それにしても、あのおばさんたち、まさかロボットレストランがこんなバカバカしい世界だったとは、思いもよらなかったかもしれません。でも、みなさん総じて楽しそうに見えるのは、やはり旅先の異文化体験ですから、なんだかよくわかなくても、満足しちゃうものだからでしょう。

いま東京に求められているのは、外国人客のためのナイトエンターテインメントです。第2、第3のロボットレストランがもっと出てきてもいいはずなのです。

同レストランの広報の話によると、毎月の来客数は約1万人。そのうち月にもよるが、6~8割が外国人とのこと。最近はアジア系やファミリーでの来店も多くなったようです。

ただし、東南アジア系は増えているけれど、中国系は少ないとか。実利を追い求める中国人には、この手の乱痴気騒ぎはピンとこないのでしょうか。最近は欧米だけでなく、タイやインドネシアなどのメディアも取材に来るようになったそうです。今後は東南アジア客も増えていくかもしれません。

「ロボットレストラン」
東京都新宿区歌舞伎町1‐7‐1 新宿ロボットビルB2F
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php
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by sanyo-kansatu | 2014-10-06 13:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)