ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

<   2015年 09月 ( 16 )   > この月の画像一覧


2015年 09月 28日

春秋体操はやってみると意外に楽しい~国慶節直前上海・茨城線搭乗記

b0235153_10365928.jpg

9月下旬、春秋航空の上海・茨城線に乗りました。これまでいろいろ春秋航空の取材をしているくせに、2010年7月の就航以来、初めてのことです。

国慶節休み直前の上海浦東空港の出国ロビーは海外旅行客でごった返していました。8時40分発のフライトのため、朝6時20分に空港に到着したのですが、春秋航空のカウンターの前は、中国式に何重にも折れ曲がる長い行列が続いていました。
b0235153_10372199.jpg

b0235153_1038147.jpg

待つこと約20分。ようやくチェックインカウンターにたどりついたのですが、現地で購入した資料などで約3㎏オーバーが発覚。わかりやすい日本語を話す春秋のグランドスタッフの女性から「荷物の超過分は348元(約7000円)です」と宣告されてしまいました。

やれやれ…。これじゃ今回の片道運賃(茨城・上海線6800円)と変わらないではありませんか。かなりショックです。やっぱり事前にEMSで送っておけばよかった…。でも、時間がなかったのです。それに今回は春秋の国内線にも乗ったのですが、そのときは手荷物を除いた計量だったため、問題ありませんでした。だから、甘く見ていたのですが、国際線は預ける荷物と手荷物の合算で計量されてしまうようです。今後のいい教訓となりました。

さて、チェックインを終えると、まだボーディングタイムまでに1時間半以上あったので、軽く朝食をとってから出国ゲイトに並んだところ、すごい行列です。
b0235153_10382470.jpg

さらに、出国審査場までたどり着くと、これまたとほうもない行列です。今年は中秋の名月が9月27日で、10月1日の国慶節を前倒しして休暇をとる中国人が多いとは聞いていましたが、ここでもちょっと甘く見ていました。メディアでは株価暴落にともなう中国経済の減速がしきりに話題になっていますが、海外出国熱は衰えを知らない様子です。この国の桁違いの大群衆は我々の常識を超えています。
b0235153_10385145.jpg

そして、出国審査を約45分後に抜けたと思ったら、手荷物チェックの列がまた長い。この列の最後尾についた時点でボーディングタイムの約30分前でした。おいおい大丈夫かよ。まさか出国手続きに時間がかかったため、フライトに間に合わないなんてことがあるのだろうか。かなり焦ってきました。
b0235153_10431516.jpg

ようやく検査場に入ったのですが、やたらに厳しいのです。手荷物のペンケースの中の小型バサミを見つけられ、没収されてしまいました。

検査場を出た時点で、ボーディングタイムをすでに10分オーバーしていました。ぼくはカウンターまでひとすら走りました。おかげでなんとか間に合いました。
b0235153_10395892.jpg

来るときもそうでしたが、春秋航空というのは中国で冷遇されていますね。搭乗機のある場所がやたらと離れていて、バスで5分以上かかるのです。もう地の果てというような場所に駐機しています。中国に来ると、いかに国有企業が優遇され、民営企業が弱い立場にあるかを実感させられます。
b0235153_10401472.jpg

さて、定刻より20分遅れでエアバス機は飛び立ちました。LCCである春秋航空のシートピッチは狭いことで知られています。日本人の身体感覚ではそんなに気になるほどではありませんが、ガタイの大きい欧米人にはつらいかもしれません。
b0235153_10435244.jpg

しかし、無意識のうちに身を縮めていたのかもしれません。茨城空港到着の約20分前、CAたちが春秋体操を始めたところ、一斉に乗客たちも呼応したのです。若い乗客が多かったのですが、照れることもなく、みんな楽しそうに身体を動かしています。冒頭の写真がそれです。
b0235153_1044694.jpg

約3分間の音楽に合わせたストレッチ体操です。腕や手首、肩をひねり、顔面のマッサージ、背筋を伸ばすなど、試しにやってみたところ、これが悪くないんです。春秋体操については、LCCゆえの狭いピッチによるエコノミー症候群予防ということから、冷笑的な語られ方をしがちなところがありましたが、実際に体験してみると、理にかなっていると思いました。

CAさんが先頭に立って乗客に働きかけるところがいいですね。実は、行きの便でも春秋体操の様子をカメラに収めようとしたのですが、CAさんに拒まれていたんです。やはり日本発の便は日本の常識が優先するらしい。しかし、上海発の便はガードがゆるい。機内は中国なんですね。

茨城空港に着陸すると、雨でした。搭乗機からほんの50mですが、歩いて入国審査場に向かわなければなりません。しかし、タラップを降りると、傘が用意されていました。さすがは日本ですね。中国ではここまでの気配りはまず考えられません。春秋航空に初めて乗って、日中のサービスに対する考え方の違いを実感しました。
b0235153_10411847.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-28 10:41 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 27日

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン

9月14日、新宿5丁目に中国団体ツアーバス客向けの居酒屋がオープンしました。

場所は本ブログでもおなじみの中国ツアー客がよく利用する焼肉屋「味仙荘」から東京医大通りに入って100mほどです。新宿御苑通りに路駐する中国のツアーバス客が利用できるよう立地が選ばれたものと思われます。ちなみに以前は日本そば屋で、半年くらい前に閉店していました。

焼肉食べ放題「味仙荘」は今日も中国ツアーバス客であふれていました
http://inbound.exblog.jp/24747719/
b0235153_12484446.jpg

店の名は「金鍋」といいます。感覚的に、これは日本人がつけたネーミングではないな、と思っていたら、やっぱりそうでした。この店は昼間と夜、食事処として中国団体客を受け入れつつ、夜のみ一般の居酒屋としても営業するというのです。いかにも新宿5丁目らしい飲食店のオープンといえます。
b0235153_12482285.jpg

金鍋
新宿区新宿5-10-14
営業時間11:00~15:00 17:00~24:00

そこで、14日の午後5時過ぎに事務所の友人と一緒に「金鍋」を訪ねたところ、なんと我々一行は同店の開業第一号客として迎え入れられたのでした。一般客の営業は夜5時からだったからです。

店内の様子は、そば屋だった当時とさほど変わりませんが、開業祝いの蘭の花がたくさん置かれていました。送り主は同業の在日中国人たちのようです。
b0235153_12492052.jpg

b0235153_12493360.jpg

メニューはつまみが300円くらいからとお安く、さすがは中国人経営の店です。この店の自慢料理は、金色の鍋でつくったもつ鍋でした。だから、「金鍋」なんだそうです。

つまみを少し頼んで友人たちと談笑していると、店長らしき中国人が現れ、「みなさんはうちがオープンして最初のお客さんだからサービスしますよ」といって、もつ鍋をふるまってくれました。

話を聞くと、オーナーは山東人で、店員の女の子たちもそうでした。同郷人経営は中国人の商売の基本なのでしょう。

開店して30分ほどすると、一般客が入ってきました。そして、6時20分頃、ついに中国団体客が大挙して入店してきました。たぶん50人近くいたと思います。
b0235153_1323833.jpg

b0235153_1250320.jpg

彼らは地下のフロアに案内され、仕出し弁当のような食事を取っていました。

中国から来た添乗員と在日中国人の手配会社の数名は団体客と分かれて、1階の居酒屋スペースで同じ弁当を食べていました。

それはまるで昭和の映画に出てくるドライブインに似た世界でした。

こうして在日中国人たちは、急増する中国からの団体観光客を相手にしたビジネスを始めています。事務所の友人は、彼らの食べる弁当を見ながら、「これは賢い商売だ。ふつうはこの手の店はバイキングだが、あれはけっこう食材に無駄が多い。中国人は食べもしないのに取りすぎるとことがあるからだ。その点、弁当なら人数が最初からわかっていれば、食材のロスも少なくなる」と言いました。

一般に中国客は、日本の冷めた弁当は好まないので、つくりたての料理をバイキングで出すのがいい、といわれているようですが、弁当でもつくりたての料理を出せばいいわけです。店自体は、日本の居酒屋ということで営業しているのですから、弁当が出てきても、そういうものだと受けとめられるというわけです。

店で働いているのは全員中国人だそうです。地下フロアも、見たところ、ちょっと薄暗い感じです。ツアーコストを安く上げるためには仕方がないということでしょうけれど、食事にはなるべくお金をかけない。これが中国団体ツアーの実態でもあるのです。

中国の団体ツアーは、免税店の購入額に応じたキックバックで成り立っています。ですから、食事代の支払いも、免税店での購入にかかっています。日本国内の旅行手配を手がける在日中国人たちは、お金は免税店でまとめて使ってもらうことがいちばんありがたいのです。
b0235153_12495132.jpg

ニンニクとニラがたっぷりのもつ鍋は1人分1200円だそうですが、おいしくいただきました。

はてさて、この店は繁盛するのか…。

新宿5丁目界隈では、日々こんな出来事が起きています。

【追記1】
「金鍋」が開業して約2週間後、久しぶりに店を覗いてみることにしました。商売繁盛してるかな?

夕方6時前に店に入ると、客はほとんどいません。山東省出身の女の子に聞くと、浮かない顔です。どうやら苦戦しているようです。

それでも、6時半が近づくと、一団の中国客が入店して来ました。今日は鍋が出されていました。

しばらくすると、1階にも客が入ってきましたが、中国人のグループです。なかなか日本人は来てくれないようで、みると日本式の居酒屋メニューをやめ、中国語の手書きのメニューに変更しようとしているようでした。
b0235153_14284385.jpg

まあ仕方がないのかなあ…。結局、団体客は内陸出身の人が多いので、上海などの日本食に慣れた客層とは違って、日本式メニューは不評なのかもしれません。難しいものです。

【追記2】
2016年5月現在、「金鍋」では、夜の一般営業はやめてしまいました。中国の団体客は昼にしか来なくなったからです(夜は、団体客が来るときのみ営業)。中国団体客の宿泊するホテルが都内から遠く離れていることから、バスは早めに都内を出なければならない関係で、都心の食事処に立ち寄る時間がないせいでしょう。

それにしても、「金鍋」なんて、まだ開店して1年もたたないのに、市場の変化は早いというべきか。中国ビジネスの難しさを、ここ新宿にいて、実感するしだいです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-27 13:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 27日

外国客に人気と噂の一蘭ラーメン池袋店に行ってみた

7月上旬に長崎県島原半島を取材で訪ねたとき、ある台湾人一家と知り合いました。彼らは南島原市の農漁家に民泊するツアーに参加していました。

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)
http://inbound.exblog.jp/24747209/

台北で写真館を営業する黄さんはとても陽気な男性で、奥さんとふたりの男の子のパパです。九州に旅行に来ていちばんおいしかったものは? という質問に彼はこう答えました。「いちばんは民泊の家で食べた手料理、2番目は一蘭ラーメンです」。

一蘭ラーメンといえば、わりとよく知られた人気ラーメンチェーン店ですよね。黄さんは博多で食べた一蘭ラーメンがおいしかったそうです。
b0235153_12403488.jpg

天然とんこつラーメン一蘭
http://www.ichiran.co.jp

ネットを調べると、全国にチェーン展開していました。都内にも何軒かあるようです。前回の「外国客で行列のできる」無敵屋のある池袋東口にもありました。無敵屋には入店できなかったので、行ってみることにしました。場所は池袋東口の文芸坐の近くです。
b0235153_1240655.jpg

さいわい、この店には行列はありませんでした。入口の脇に貼られた大きなポスターに同店のとんこつラーメンなどのメニューが紹介されています。わりと普通の九州とんこつラーメン風に見えます。

店内に入ると、自動販売機があり、その隣に中国人店員が立っていました。確かに、都内の飲食店で中国人アルバイトの姿を見かけるのは珍しいことではありませんが、店内で並んで待っている客も半分くらいは外国人でした。

黄さんのいうように、一蘭ラーメンも外国客に人気のようです。お土産用の麺も各種用意されています。
b0235153_12412041.jpg

しばらくすると、席が空いたらしく、のれんで隠されていた店内に呼ばれると、カウンターには一人ひとりの席ごとに仕切りがあります。
b0235153_12415389.jpg

しかも、厨房も扉で隠されていて、注文と替え玉をもらうときだけ、扉が開き、店員が声をかけます。でも、店員の顔は見えません。

なんでもこの仕切りはカップルやグループで来たときは、希望すれば外せるのだそうです。まるで個室居酒屋のようですが、カウンターでこの造りは妙な感じです。店内は薄暗く、およそラーメン屋さんという雰囲気ではありません。

この店では、事前に麺の硬さやスープの濃さなどを申告するのですが、ちゃんと中国語繁体字版も用意されていました。
b0235153_12422148.jpg

こういう独特の演出がウケてる理由なのでしょうか。

後日、ある外国人向けの東京観光MAP(中国語繁体字版)に一蘭ラーメンの広告が載っているのを見つけました。
b0235153_1242398.jpg

無敵屋のときにも思いましたが、なぜ特定の店だけが外国客に人気なのだろう……。どうしてこういうことが起きたのか。どんな宣伝方法を取っているのか。これらは今後の課題にしたいと思います。

【追記】
それから1年後、一蘭ラーメンの関係者に話を聞くことができました。

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由
http://inbound.exblog.jp/26363988/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-27 12:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 26日

9月に入るとバスの台数は少し落ち着きました(ツアーバス路駐台数調査 2015年9月)

今年はお盆を過ぎたあたりから雨続きで、残暑を感じることもなく、9月を迎えました。

もともと9月は夏休みと国慶節のはざまのオフシーズン。バスの台数が日によってはかなり少なくなった印象です。もっとも、今年の中秋の名月は9月27日。そのため、関係者の話では国慶節(10月1日)より少し前倒しで中国客の予約が入っているそうです。

国慶節以降の訪日中国客の動向については、今月上旬、アジアインバウンド観光振興会(AISO)の王会長の話を聞いているので、あらためて報告します。

また今月中旬、中国出張に行ってきたので、現地関係者らの声もお伝えしたいと思います。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。
b0235153_17172679.jpg

1日(火)13:10 3台
2日(水)未確認
3日(木)12:10 4台
4日(金)12:50 4台
5日(土)未確認
6日(日)未確認
7日(月)未確認
8日(火)18:20 2台
9日(水)12:30 6台
10日(木)12:40 5台
11日(金)12:20 3台
12日(土)未確認
13日(日)18:20 4台
14日(月)13:10 4台
15日(火)~25日(金) 出張
26日(土)未確認
27日(日)未確認
28日(月)12:00 6台
29日(火)19:10 3台

[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-26 17:16 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2015年 09月 15日

外国客で行列のできるラーメン店「無敵家」

先日知り合いの香港人から池袋にある外国客で行列のできるラーメン店の話を聞きました。彼がいうには、その店は池袋東口にあり、深夜近くまで行列ができていて、その大半は中国語圏やタイ人などの旅行者なんだそうです。

「なんて店ですか?」
「確か、無敵家といいます」
「ムテキヤ?」

自分はラーメン通ではないけれど、どこかで名前を聞いたおぼえがあります。どんな店か知りたくて、その日の夕方、たまたま池袋に行く用もあり、訪ねてみました。場所は明治通り沿いです。
b0235153_75228.jpg

いましたいました。ずいぶん並んでいますね。近づくと、確かに中国語が聞かれました。ここはとんコク醤油味のラーメン店だそうです。

その日は時間がなくラーメンを食べることができなかったので、数日後のお昼どき、再び訪ねると、またもや行列でした。けっこう長いです。どうやら今日も無理そうです…。
b0235153_7522889.jpg

b0235153_7524685.jpg

行列のそばに「歩行者に迷惑かけないように」と書かれた日英中3か国語の看板が立てられていました。
b0235153_753268.jpg

b0235153_7531515.jpg

それにしても、池袋はラーメン激戦区のひとつ。周囲にはいろんなラーメン店が並んでいます。その中で、なぜ無敵家だけに行列ができているのか。そのひみつは、同店のHPをみるとわかりました。トリップアドバイザーの人気ランキングで上位に付けているのです。
b0235153_7532876.jpg

麺創房 無敵家
http://www.mutekiya.com/

無敵屋(トリップアドバイザー)
http://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g1066460-d1686988-Reviews-Mutekiya-Toshima_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html

なにしろ豊島区のレストランで2612軒中1 位だというんです。

すぐそばに別のラーメン店の大きな宣伝看板をもって客引きしているおばさんがいたので、声をかけてみました。おばさんにとって無敵家はいわば商売敵です。

「行列すごいですね。これいつ頃からなんですか?」
「もう3年くらい前からじゃないかねえ」
「そんなに前からですか。どうしてこの店だけ行列なんでしょうか。ほかにもいろいろラーメン店はあるのにね」
「うまく宣伝しているらしいよ。うちの店の人間も食べにいったことがあるけど、そこまでの味なのか。うちの店のほうがずっとおいしいのにねえ…」
「ボリュームのある角煮風のチャーシューなんですって?」
「ただ中国人が多いから、そのへんにゴミ捨てたり、大変よ。吸殻を下水の穴に入れたり、もう少しお行儀よくしてくれないとねえ」

それから数日後、自分の仕事場のある東新宿に同じ無敵家があることを思い出しました。場所は新宿花園神社のすぐそばです。
b0235153_7543523.jpg

池袋ではとても食べられそうにないので、入ってみました。ところが、ここはまったくの閑古鳥です。
b0235153_7544885.jpg

ひとまずこの店の定番「げんこつ麺」を注文しました。味はまあそうですね。おいしいのではないでしょうか。650円と池袋店より100円安いようです。
b0235153_755263.jpg

店長に話を聞いてみました。

「池袋の無敵家はいつも行列ですごいですね」
「あっちはHPで宣伝しているからねえ」
「無敵家は都内に何店あるんですか」
「2店です」
「えっ、じゃあここと池袋だけ?」
「そうですよ」

なんだか聞きづらくなったので席に戻って、たったひとりの店員の中国人のおばさんに話しかけてみました。というのも、無敵家新宿店があるのは、ぼくが日々定点観測している新宿5丁目ツアーバス路駐台数調査スポットの明治通りをはさんだ向かいだからです。

定点観測ツアーバス調査
http://inbound.exblog.jp/i17/

「通りの向こうには、毎日ツアーの団体バスがたくさんやって来るので、中国のお客さんを呼び込んでみたらどうでしょうか」
「ダメよ。あれは店と旅行会社が契約しているから」

余計なお世話でした。いくら団体客がたくさんいても、ラーメン店には現われないというわけです。

それにしても、トリップアドバイザーに載ると載らないとでは、同じ看板を掲げた店でも客の入りがこんなに違うんですね。

ちなみに、げんこつ麺の味について、トリップアドバイザーの中国語繁体字版の投稿の中にぼくと同じ感想を書いた人がいました。

「“太咸了...”(とてもしょっぱい)」。

これを書いたのは台湾の若い女性で、「原宿のじゃんがららーめんに比べると、天と地の差があります。それに駅から少し遠い。並んでまで食べる価値があるでしょうか」とあります。手厳しいですね。

これから外国客に人気のラーメン店についてちょっと調べてみようかなと思います。

【追記】
それから1年半後のことですが、外国客で行列のできる店について、いくつか取材してみました。

韓国の若者は日本食が好きらしい。「牛かつ もと村 渋谷店」の行列に並んでみた
http://inbound.exblog.jp/26351443/

行列を体験として楽しむアジア客たち~池袋「無敵家」に並んでみてわかったこと
http://inbound.exblog.jp/26363800/

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由
http://inbound.exblog.jp/26363988/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-15 07:57 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 09日

日本全国、ホテル業界大異変~訪日外国人はラブホがお好き?(プレジデント2015.8.31)

ビジネス誌「プレジデント」205年8月31日号に書いた記事が、ネットに転載されています。これまでブログで紹介した訪日外国人のお宿に関する取材をまとめたものです。実際、外国客が増えることで、単にホテルの予約がとりにくくなったり、料金アップしただけでなく、いろんなことが起きています。

訪日外国人はラブホやカプセルホテルがお好き!? 日本全国、ホテル業界大異変
http://president.jp/articles/-/16082

http://president.jp/articles/-/16083
b0235153_1772233.jpg
b0235153_1773173.jpg
b0235153_1774416.jpg
b0235153_1775327.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-09 17:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 07日

ついに中国金融トップが「バブルはじけた」と口にした!?

先ごろ(9月4日)、トルコのアンカラで開催された主要20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議で、中国人民銀行の周小川総裁が、6月中旬から4割近く株価が下落したことを受け、「バブルはじけたような動き」(朝日新聞2015年9月6日)と表現したそうですね。

ついに中国金融トップが「バブル」の崩壊を口にしたということなのか。

昨年夏、大連を訪ねたとき、絵に描いたようにバブリーなホテルに泊めてもらったことを思い出しました。

それがキャッスルホテル ラグジュアリーコレクションホテル大連(大連城堡豪华精选酒店)でした。場所は星海広場を一望にできる晩霞山の山腹に建っています。
b0235153_15171892.jpg

大連城堡豪华精选酒店
http://www.starwoodhotels.com/luxury/property/area/index.html?propertyID=3557&language=zh_CN

ご覧のような中世の古城の巨大なレプリカのような外観で、2014年9月に開業しました。ぼくはプレオープン時に泊めてもらいました。トリップアドバイザーをみると、実際の宿泊客の感想が書き込まれていますが、ロビーから客室、レストランの個室に至るまで、呆れるほどバブリーな造りです。
b0235153_1518560.jpg

b0235153_15181847.jpg

b0235153_15182922.jpg

b0235153_15183961.jpg

b0235153_15184781.jpg

b0235153_15185745.jpg

b0235153_1519713.jpg

実際の宿泊客のコメント(トリップアドバイザー)
http://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g297452-d5483653-Reviews-The_Castle_Hotel_A_Luxury_Collection_Hotel_Dalian-Dalian_Liaoning.html

ここまではホテルの広報写真ですが、以下はぼくが手持ちのカメラで撮ったものです。
b0235153_15195762.jpg

ラグジュアリーコレクションが買収する前、この建物は大連貝殻博物館でした。大連海洋漁業グループの張毅理事長(故人)が集めたコレクションを展示していたそうです。
b0235153_1520876.jpg

ホスピタリティに難があるといわれる中国国内の他のホテルとは一線を画すべく、スタッフたちは笑顔を常に絶やさず、客をもてなす姿が印象的でした。ただし、慣れないことをちょっと無理している感じがして、窮屈な印象もあります。
b0235153_15282172.jpg

申し訳ないですけど、あらゆるものがレプリカでしかない安っぽさが気になったのも確かです。せめてTDR的なストーリーがあれば、所詮ファンタジーとして受けとめられるのですが、マジっぽいところがかえっていただけません。
b0235153_15203335.jpg

ホテルの目の前にある洋館風の建物はマンションです。星海湾を橋でつなごうとしていますが、地元大連の人たちも景観が壊れるのでやめてほしいと話していました。
b0235153_15205378.jpg

エクスペディアで調べると、このオーシャンビューのデラックスルームで1泊2万5000円相当でした。スターウッドグループの高級カテゴリーであるラグジュアリーコレクションでこれほど安い価格帯はありえないのではないでしょうか。でも、ここまで下げないと客室が埋まらないのでは、と思われます。

膨れ上がった資産価格と人々の日々の消費活動が不釣合いとしか思えなかった中国。今後それが徐々に調整されていくのであれば、結果的には庶民にとっては悪い話ではないと思うのですが、はたしてそんな悠長な話なのか。いったいこれから何が起こるのでしょうか。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-07 15:21 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2015年 09月 07日

北海道は外客レンタカー受入の全国の先駆けです

外国人観光客のレンタカー利用件数で、沖縄県に次いで多いのが北海道です。我々日本人が北海道を旅行する際、レンタカーなしで移動というのは考えられないわけですから、外国客にとっても事情は同じなのです。

一般社団法人 札幌レンタカー協会によると、北海道における外国客のレンタカー利用件数は、2014年度(14年4月~15年3月)で2万4243件、前年度比●%増となっています。

国籍別にみると、トップが香港で9579件(全体の約40%)を占め、次いで台湾4497件、シンガポール1948件、韓国1892件、タイ1395件、オーストラリア1052件、ヨーロッパ1051件、アメリカ814件と続きます。沖縄県と比べると、総件数は3分の1以下ですが、台湾、香港、韓国が全体の9割を占める沖縄に対し、シンガポールやタイ、欧米系の利用も多く、多国籍化が見られます。

一般社団法人 札幌レンタカー協会事務局
http://sapporo-renta.com/

同協会事務局の下山久美事務局長によると、「2015年度に入っても伸びは前年比180%と好調」とのこと。

沖縄県同様、こうした伸びの背景には、訪日外国人来道者数の拡大があります。

北海道経済部観光局が15年8月に報告した「北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)」によると、2014年度の訪日外国人来道者巣は、154万1300人と過去最高で、前年度比33.7%増となっています。

北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/toukei/H26_irikomi_honpen.pdf

国・地域別にみると、トップが台湾47万2700人(30.7%)で、次いで中国34万人(22.1%)、韓国20万1100人(13.0%)、タイ12万8300人(8.3%)、香港12万200人(12.0%)となっています。この数字をみると、来道した約12万人の香港人のレンタカー利用が約1万件。実際にはファミリー利用が多いことを考えると、香港人の北海道でのレンタカー利用率はかなり高いことがわかります。

数のうえでは沖縄県に比べると見劣りのする北海道ですが、外客の受入態勢の構築のプロセスをみると、全国に先駆けた取り組みを続けてきたことで豊富なノウハウを有しています。

北海道では香港人を中心に早い時期からレンタカー利用が見られていましたが、広範囲に観光地が広がっている地域の特性上、旅慣れた外国人観光客にとってレンタカーは不可欠の足でした。

北海道の本格的な取り組みは2007年9月から台湾人の国内での運転が可能となったことから始まります。

同年4月に北海道外国人観光客ドライブ観光促進連絡協議会が設立されますが、実はその前年の06年12月、喜茂別町で外国人ドライバーの交通死亡事故が発生しています。冬場の凍てついた道路を運転することにアジア客が慣れていないのは当然ともいえますが、外客の利用促進のためには、冬道の安全運転の啓発は欠かせません。こうした事情から、外国客に安全・安心してドライブ旅行を楽しんでもらいための受入態勢の構築のための調査やノウハウの啓蒙が進んだと考えられます。

たとえば、2009年には国土交通省北海道開発局が以下の外国人向けのドライブハンドブックを作成しています。
b0235153_1203611.jpg

「北海道ドライブまるわかりハンドブック」5カ国語(日本語、English、中文・繁体字、中文・简体字、한국어)対応
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/handbook.html

その目次を以下記します。北海道でドライブするとき、起こりうるトラブルをわかりやすく解説しています。

 はじめに ~外国人観光客の皆様へ~
  北海道ドライブ観光へ出発するまで
 第1章.北海道でドライブをしよう!
  1-1.北海道の広さ
  1-2.北海道、四季の魅力
  1-3.北海道、各地の魅力
  1-4.快適ドライブのまめ知識
  1-5.ルールとマナーは必ず守ろう!
 第2章.レンタカーを予約しよう!
  2-1.レンタカーサービスの基本情報
  2-2.カーナビの使い方
 第3章.知っておきたい交通ルールとワンポイントアドバイス
  3-1.北海道をドライブするその前に
  3-2.これだけは知っておこう!日本の交通ルール
  3-3.高速道路を利用しよう!
  3-4.ガソリンスタンドの利用法
  3-5.冬道ドライブは慎重に!
 第4章.こんな時はどうするの?
  4-1.もしも、交通事故や違反のトラブルが起きたら
  4-2.もしも、ケガや病気のトラブルが発生したら
  4-3.もしも、天気によるトラブルに見舞われたら
  4-4.もしも、車が故障したら
  4-5.もしも、野生動物にぶつかったら
 資料編
  <その1>いざという時のための指差し会話集
  <その2>関係機関の連絡先とwebサイト一覧
  <その3>お役立ち資料

さらには、地域が外国人ドライバーを受け入れるための基本的な認識やノウハウをまとめた解説集も作成しています。

外国人ドライブ観光客 誘致・受入事例解説集
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/yuuchi.html

はじめに 
 第1章.主な外国人ドライブ観光客の特性等について
 第2章.外国人観光客が、北海道でドライブ観光を行う際(事前/滞在中)に必要としている情報や対応について
 第3章.各地域の取組の事例
 第4章.本道関係各機関における既往の取組について~発信情報の内容や多言語対応の状況~
 最後に

この解説集には、北海道の主要なレンタカー利用客である台湾、韓国、香港、シンガポールの来道目的や移動形態の傾向、運転週間の違いなどを以下のように説明しています。

たとえば、台湾の項には「日本の「止まれ」の標識は国際基準と異なり、理解されにくい。台湾では、制度上は一時停止の義務はあるものの、見通しがよい場合は一時停止をする車はほとんどいない(踏み切りについても同様。台湾の高速道路では、走行車線・追越車線の区別がない。矢印信号は台湾にはないため、とまどってしまう)とあります。

また韓国の項には「日本とはハンドルが逆ではあるが、標識や交通ルールは似通っている。見通しのよい踏み切りなどではつい一時停止を怠りがちである。韓国では一般道でも時速80kmまで出せる道路もあり、高速道路の最高時速は110㎞。「止まれ」「徐行」の標識の意味がわかりにくい」。

香港の項には「日本と同じ左側通行であるが、赤信号でも左折フリーの国である。横断舗装以外では「歩行者優先」というルールはなく、車が優先される。一般道路の最高時速が70㎞であるためか、北海道をドライブして「スピードが遅すぎる」と感じるドライバーもいる」。

これは実際の外国客にヒアリングしてまとめたものですが、それぞれお国事情が違うため、日本でのドライブは勝手が違うところがありそうです。こうしたバックグランドの異なる外国客が日本でドライブするわけですから、関係者はこれらの違いを認識しておく必要があるでしょう。

このマニュアルを作成するために北海道では以下の調査を行っています。

北海道における外国人ドライブ観光の推進方策検討調査(概要版 平成20年)
www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/03.pdf

こうした全国に先駆けた調査は、今後レンタカー利用が増えるであろう全国各地の関係者にとって貴重な情報提供となっています。

札幌レンタカー協会では、冬場の事故防止のため、外国客向けにチラシを作成しています

今後は、全国で北海道の事例を学べ、という機運が高まっていくだろうと思います。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-07 12:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 06日

海外客がTocoo!でレンタカーを予約する理由

海外個人客のホテル予約は、エクスペディアやBooking.comなどの海外ホテル予約サイトの利用が普及していますが、同じことはレンタカー予約でも起きていました。

個人客が航空券とホテルを手配した後、日本での移動の手段としてレンタカーを利用する動きは、これまで見てきたように、香港や台湾、韓国、タイ、シンガポールなどのアジアを中心とした訪日旅行者の間で急速に進んでいます。

外国人ツーリストのレンタカー利用が増えています(ニッポンレンタカーに聞く)
http://inbound.exblog.jp/24799845/

国内のレンタカー事業者は、それぞれ予約サイトの多言語化を進めていますが、やはり各事業者の情報を横断的に閲覧でき、利用者の細かいニーズに対応したサービスを提供する予約サイトが重宝されるのは当然でしょう。

その第一人者が、レンタカー予約サイトのTocoo!です。
b0235153_1281039.jpg

Tocoo!(中文版)
http://www2.tocoo.jp/cn

同サイトを運営しているのは、1997年創業のクーコム株式会社で、もともと有料会員制の宿泊予約サイトでした。同社は2000年代の早い時期から海外客向けのレンタカー予約サービスを開始しています。同社の牛田隆夫取締役に話を聞きました。

―いつ頃から海外客向けサービスを始めたのですか。

「2003年頃からです。弊社にアメリカ留学体験者がいて、早い時期から海外のお客様を日本に呼び込むインバウンド事業に取り組もうという考えはありました。そのときから、ホテルだけでなく、レンタカーもやろうかと思っていました。

当時宿の世界は保守的で、外国人を泊めるなんて、という声が多かった。レンタカー業界も同じで、当時レンタカー会社に海外客の予約サイトを立ち上げる話をしたとき、外国人なんかには貸せないよ、という感じでした。

なぜですか? とこちらは思うわけです。では、外国人が国際免許証を持ってカウンターを訪ねたとき、あなたたちは貸さないのですか? と聞くと、いや、そんなことはないと答えました。だったら、始めてみよう。こうしてなかば強引にスタートさせたのです。

ネットの社会というのは、世界中から見られるのです。言語を日本語から英語にすれば、日本に来るお客様もレンタカーを使う可能性がある。当時はまだ「観光立国」という言葉が使われ始めたばかりでしたが、私は今後絶対そうなると思っていた。

すでに2001年から国内客のレンタカーの予約サイトを始めていました。それ相応の取引があったので、レンタカー会社も当社をおろそかにはできない。まずはサイトの英語化から始めました。

誰かが強引に走り出さないと日本の社会は動かないんです。とはいえ、急に利用者が増えるというわけではないから、細々と始めることにしました」。

―2003年当時の予約状況はどうでしたか。

「当初は月に数台程度。予約が入るたびに、電話で確認したことを覚えています。

海外で認知度がなければ、そもそもサイトを見つけてもらえないわけですから。その後、実際に日本で利用した外国客がブログで紹介してくれたりして、徐々に利用が増えてきました。

これまでPRにお金を使ったことはほとんどないんです。唯一かけたのが、米国版のYahoo!のデイレクトリーに載せるため。当時は「Japan car Rental」にエントリーされているサイトがひとつもなかったんです。そこに載せるのに2万円かかりました。それだけです」。

―いつ頃から海外客の予約が増えてきたと感じましたか。

「2007、8年くらいから。この頃から月100台を超えるようになりました。11年の震災の前には、海外が国内を逆転する勢いになっていました。いまでは国内予約より海外予約のほうが圧倒的に多い。震災直後は半年分の予約99%がキャンセルとなったので、東電は保証してくれました」。

―最近の予約状況はいかがですか。

「国籍でいうと、ほとんど東南アジア。香港、台湾、韓国、シンガポール、タイなど。売り上げは前年比90%増です。国数でいうと60カ国がすでに利用していますが、半分以上が中国語圏。2007年9月に台湾人のドライブが可能となったことを機に中文版を立ち上げ、その後すぐにハングル版も始めました」。

―国内のどのエリアの利用が多いですか。

「全体の3割は北海道。でも、最近は関空や中部国際空港利用も多い。雪を見るために、名古屋から高山や白川郷に向かう人が増えています」。

―大阪のレジャーホテルの話では、ロードサイド店に関空からレンタカーで直接来てチェックウインするそうです

「そうでしょう。その場合はうちのサイトを利用されている方が多いと思います」。

―海外客の実際の利用状況はどうですか。国内客との違いはありますか。

「まず一回あたりのレンタル料金が国内客の3倍近い。利用日数の平均は、国内は2.5日で海外は5日。海外客の特徴は、ワンボックス車が人気で、乗り捨て利用が多いこと。なかには札幌で借りて大阪で返す人もいる。中華系が多いのでファミリー利用が多い。レンタル料金の単価が上がるのは、乗り捨てが多いからでもある。

当社ではETCを貸し出ししています。カードは空港のカウンターか初日に泊まるホテルに送ります。回収用の封筒を付けて戻してもらうのですが、回収率は100%。問題はありません。

ETCを貸し出すことで、海外のお客様がどんなルートを走っているか解析できます。たとえば、御殿場や河口湖で高速を乗り降りする人が多いとか。こうしたデータを持っているのはおそらくうちだけですが、海外客は首都高速も平気で乗っているし、日本各地を普通に運転されていることがわかります。

ご存知のように、アジアの交通事情はめちゃくちゃで、一般の日本人はまず運転できません。でも、日本には無茶な運転をする人はほとんどいないので、彼らにすれば楽勝なんです」。

―車はたいてい空港で借りるんでしょうか。

「いやいや、そうでもない。空港からダウンタウンに来てホテルで一泊して、翌日にホテルの近くで借りるのが40%。空港は39%で残りの2割は駅など」。

―客層はどうですか。

「海外客でレンタカーを借りる人は圧倒的に富裕層ですね。アンケートをすると、年収は1億円以上もたくさんいます。約50%が年収1000万円以上。だから、単価が高い。車のグレードがよければ喜んで利用される。アルファード(トヨタの大型ミニバン高級車)とエルグランド(日産のワンボックス型ミニバン)があれば、確実にアルファードを選ぶ。海外客はキャンセルチャージも100%回収している。はっきり言って、金払いは海外客のほうがいい。

実際、国内客の場合は安くしないと売れないので、海外客のほうが儲かります。レンタカー料金も20万~30万使う人はたくさんいる。しかも、当社の海外利用客の7割はリピーターです」。

―海外客からはどんな要望がありますか。

「クレームとして多いのは「日本のカーナビは古い」という声です。日本では一般にカーナビは3年で交換する。そんなに新しい道路がどんどんできるわけではないのになぜ? と思って調べたら、いろんなことがわかってきた。一般に日本のカーナビは施設の電話番号で目的地が登録されている。その場合、温泉旅館は問題ないが、最近アジア客に人気のフルーツ狩り農園や漁港などは見つからないことが多い。日本人なら電話番号がダメなら、施設名や住所で探せるが、アイウエオがわからない海外客はお手上げになる。実は、もうひとつの検索手段として、緯度経度でコード化されるマップコードで探す方法がある。だだし、このサービスは多言語化しておらず、海外のお客様は調べられない。そこで、我々は有料でマップコードを教えるサービスをやっています。

もうひとつはホテルへの配車サービス。都内の高級外資ホテルの宿泊客は富裕層だから、予約のついでに配車してほしいという声がある。だが、残念ながらレンタカー会社の中にはこうしたサービスに対応できないケースが多い。

だったら、手数料をとって配車したらどうか。ホテルの玄関で車と鍵を渡すだけのこと。料金は事前決済なのだから。富裕層相手に配車手数料2000円は全然問題ない。今後、レンタカー会社とホテル側と協議して進めたい。

一般に日本のレンタカー会社が用意しているのは、国内市場に合わせたコンパクトカーが多い。富裕層はこの種の車にはまず乗らない。2000ccクラスの車をもっと用意すべきではないか」。

―海外客のニーズやマーケットの動向を詳しく知る立場にある御社としては、今後どんな展開を考えておられますか。

「これからますます海外客が増えると思う。政府が外客誘致を進めているわけだから、増えるにきまっている。いまから30年前、ハワイに日本の農協などの団体がどんどんツアーで行っていたが、いまは団体で行く人はいない。同じように、訪日旅行もリピーターが増えていくと、同じことが起きる。

今後は海外個人客の足をどうするかがいちばんの問題になる。いまは大都市圏には海外客は多いが、伊豆半島や房総の先にはまだ来ていない。東京のホテルは潤っているが、伊豆半島はそうではない。我々の役目は、そこにお客さんを送ることだと考えている。

やはり二次交通が重要なのです。いくら地元をPRしても足がなければお客さんは行けないのだから。

いま団体ツアーのバス不足問題が起きています。この問題はしばらく続くと思う。訪日外国人全体の7割はエージェント経由。団体でバス利用が多いから不足が起こるのだが、今後はエージェント経由で個人もレンタカーという時代になるでしょう。そこで、いま海外のエージェントにBtoBで我々を利用してもらうよう話を進めています。

実は、すでに海外のエージェントからも予約が入っています。当社のようなサイトを使ってエージェントが代理予約しているケースが見られるのです。であれば、門戸を広げると、もっと使いやすくなるのではと考えています」。

―レンタカー予約の次は何を考えておられますか。

「これから外客向けの宿泊予約サービスを始める予定です。現在、一部の日本の旅行会社は海外サイトに客室を供給し、販売してもらっているようだが、それはまずいと思う。結局、販売力のある者だけが生き残るのだから。エクスペディアやBooking.comに日本側から対抗する動きがないとおかしい。我々は小さいながらそれに取り組む考えです。

もともと当社は国内向けの会員宿泊予約サイトをやっていました。ですから、まずはリピーターの海外のレンタカー利用客にホテルも予約してもらうという流れです。我々の強みは、ただホテルを紹介するだけでなく、足も提供できること。そうやって、地方の旅館に外客を送り込めるようにしたい。それが本来我々のやるべきことだと思う。

旅館側も、外国人なんて、と言っている時代ではない。どんどん取り込むべきです。

今後は外国人の消費を増やさないとしょうがない。いかに彼らに気持ちよくお金を使わせるか。その際、安売りすべきではない。おもてなしをしつつ、きっちりお金を取るべきです」。

レンタカー市場の内実をいちばんリアルに理解しているからこそ、次の手が打てる。Tocoo! の今後の展開は要注目です。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-06 12:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 05日

中国本土の観光客は日本でレンタカーの運転はできません

外国人観光客は誰でも日本でレンタカーを運転できるわけではありません。なかでもいまや訪日外客の最多数を占める中国本土客は運転できません。

なぜなら、日本で外国客がレンタカーに乗るためには、国際免許証の提示が必要なのですが、この免許証の根拠となっているのが、1949年のジュネーブ条約で、中国はこの条約の未締結国だからです。実は、台湾もそうなのですが、2007年9月から日本でのドライブが可能となっています。
b0235153_12223195.jpg
「日本国内で運転が認められる国際・外国運転免許証の確認ポイント」(全国レンタカー協会)より

(参考)
国際免許証で運転される方へ(JAF)
http://www.jaf.or.jp/inter/kokusai/foreign.htm
道路交通に関する条約(1949年9月19日ジュネーヴ条約)に基づき外国で発行された国際運転免許証(International Driving Permit)をお持ちの方は、日本の法令に則って日本国内で自動車等を運転することができます。

上記以外の条約(1968年ウィーン条約等)に基づく国際免許証による運転は認められていませんのでご注意ください。

国際免許証で自動車等を運転できるのは、日本入国日から最大一年間です(日本を出国し再入国した場合には、再入国日から一年間が有効となります)。ただし、日本在住の方は条件が異なりますので、詳細につきましてはお住まいの地域を管轄する免許センターにお問い合わせください。

日本入国日から一年を経過した場合には、国際免許証で運転することはできません。長期にわたり日本に滞在し、運転をされる場合は、日本の運転免許証への切り替えをお勧めします。

国外運転免許証が有効な国等(ジュネーブ条約加盟国)警視庁
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/menkyo/kokugai/kokugai04.htm

実は、中国以外にもこのジュネーブ条約加盟国でない以下の国があります。

スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、スロベニア、モナコ公国、台湾

では、これらの国はどうするかというと、外国運転免許証とその日本語翻訳文が必要になります。たいていは同国の日本大使館などで発行してくれます。

これは日本でのレンタカー利用の多い台湾人向けの実例です。
b0235153_12254152.jpg
「日本国内で運転が認められる国際・外国運転免許証の確認ポイント」(全国レンタカー協会)より

実際の手続きについては、楽天トラベルでは以下のように説明しています。

楽天トラベル「外国免許証お持ちのお客様へ」
http://cars.travel.rakuten.co.jp/cars/rcf160a.do?iid=1600&v=0

1.ジュネーブ条約に基づいた国際免許証(他の国際免許証は使用できません)と外国運転免許証。1949年の道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)に基づく国際免許証が必要です。確認の方法 国際免許証表紙に以下の文章が記載されたもの。 「Convention on International Road Traffic of September19,1949」
※有効期限は発行日から1年後、または入国日から1年後のいずれか短い日。

【必要書類】   
①ジュネーブ条約に基づいた国際免許証
②ジュネーブ条約加盟国にて取得した免許証原本
③パスポート
(ウィーン条約、EU連合、その他の書式の国際免許証では日本国内は運転できません。)

2.外国運転免許証と公式日本語翻訳文上記ジュネーブ条約に基づく国際免許証を発給していなく、日本と同等の水準にあると認められる運転免許証を有する国又は地域であること。これら政令国が発給した運転免許証と公式日本語翻訳文を所持している場合、日本での運転が認められる。

政令国:台湾、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、スロベニア、モナコ

【必要書類】   
①政令国が発給した運転免許証原本
②公式日本語翻訳文
※上記、必ず原本が必要です。コピーや有効期限切れのものは使用できません。

日本で運転するための条件に満たない場合、乗車をお断り致します。

b0235153_1223367.jpg
「日本国内で運転が認められる国際・外国運転免許証の確認ポイント」(全国レンタカー協会)より

レンタカー会社もネット上で日本でのドライブを勧めています。なかでもトヨタレンタリースのサイトは多言語化の進んでいてわかりやすいです。

トヨタレンタリース神奈川
国際運転免許証で日本国内を運転する場合
http://www.r-kanagawa.co.jp/use/license.html
b0235153_21121173.jpg

トヨタレンタリース繁体字版
https://rent.toyota.co.jp/zh-tw/
※このサイトには、日本での運転の常識やルール、注意点などをわかりやすく伝える動画があります。
b0235153_21123666.jpg

ところで、いまや訪日外客の4人に1人を占める中国本土客のレンタカー利用について、業界の中には台湾と同様に可能とすべきではないか、という声があるのは事実です。しかし、現在の中国国内での運転状況やマナーを見る限り、しばらくは延期すべきだろうというのがぼくの考えです。

とにかく怖いのは、中国は「人より車優先」の社会だからです。日本では交差点で待つのは車で、人を先に通すのが当たり前ですが、中国ではぼんやり歩いていると車が突っ込んでくることは日常です。強いものが弱いものより優先される社会なのです。この感覚がある限り、とてもじゃないけど、中国人観光客が日本でハンドルを握ることはありえないと思ってしまいます。

※訪日外国人のレンタカー利用の最新事情については、以下参照。

外国客の国内ドライブ旅行、本格始動中!~先行する沖縄、北海道の事例と予約サイトの動向から
http://inbound.exblog.jp/24950113/

【追記 その1】
ところが、こんなニュースが届きました。

中国人観光客がレンタカー? 法律では運転不可だが・・・(沖縄タイムス2016年6月1日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=171005&f=i

沖縄県の2015年度外国人観光客実態調査の概略報告(速報値)によると、県内旅行中に利用した交通機関について、中国人観光客の17・7%が「レンタカー」と答えた。中国の免許証で日本国内を運転することはできない法制度になっており、実態把握が必要とみられる。

調査は、那覇空港や新石垣空港で15年度に計6回、県内旅行中に利用した交通機関をたずねた(複数回答可)。中国客は、13年度に6・3%、14年度に8・2%がレンタカーを使ったと回答。県は「背景について関係者と話し合いたい」としている。

外国人が日本国内で運転する場合、(1)日本の免許証(2)ジュネーブ条約に基づく国際免許証(3)国際免許証を発給していないが日本と同等水準の免許制度を持つ国や地域の免許証-のいずれかを持っている必要がある。中国の免許証は(2)や(3)に含まれないため、国内の事業所でレンタカーを借りることはできない。

県レンタカー協会の白石武博会長は今回の調査結果について、第三者が借りたレンタカーに中国人観光客が有償または無償で同乗しているケースが考えられるとした上で、「中国人観光客の間でも個人旅行のニーズは高まっている。タクシー運転手の語学力や通訳士の数を考慮すると対応がニーズに追いついていない」と指摘している。


記事によると、「第三者が借りたレンタカーに中国人観光客が有償または無償で同乗しているケースが考えられる」そうです。今後の実態の解明を待つことにしましょう。

【追記 その2】
2017年4月、一部の中国人がフィリピンの運転免許証と国際運転免許証を取得し、日本国内でレンタカー利用をしている実態について、レコードチャイナが報じています。

<独占>日本で中国人観光客がレンタカーする“手法”(1/4)、その実態を暴く!(Record china2017年4月8日)
http://www.recordchina.co.jp/b174346-s0-c30.html
(2/4)、彼らはどうやって免許証を入手したのか?
http://www.recordchina.co.jp/b174349-s0-c30.html
(3/4)、中国の業者が「正当性の根拠」を語る(2017年4月9日)
http://www.recordchina.co.jp/b174350-s0-c30.html
(4/4)、なぜ中国人は苦労してまで日本で運転したがるのか
http://www.recordchina.co.jp/b174352-s0-c30.html

法のウラをかくのは中国人にとっては普通のことなので、驚いてもいられませんが、結局のところ、一部のレンタカー会社では、日本で運転可能な国際運転免許証かどうかのチェックはしても、国籍(パスポート)のチェックをすることまでは義務づけられていないため、スルーということなのか。その結果、中国人の国内でのレンタカー利用が起こり得るというわけです。

ただし、わざわざ日本で数日間旅行するために、高いコストを払ってフィリピンの国際運転免許証を申請するというのも、どうなのでしょう。公共交通機関の少ない沖縄ではあり得ても、本州では、在日中国人が運転する安価な白タクを利用するほうが現状では主流といえそうです。

【追記 その3】
2017年5月、ついに中国系の白タク問題がメディアに登場してきました。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!? (2017年 05月 19日)
http://inbound.exblog.jp/26867015/

海外に展開する中国配車アプリとはどんなサービスなのか?(2017年 05月 19日)
http://inbound.exblog.jp/26867237/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2015-09-05 21:13 | “参与観察”日誌 | Comments(0)