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2016年 01月 31日

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる

いま日本で最もインバウンドが熱い場所はどこなのか?

それは大阪です。

去年と今年の正月明け(あと去年の夏も一度)にぼくは大阪を訪ねています。大阪のインバウンドの現場をウォッチングしたかったからです。もともと自分は大阪にはほとんど土地勘はなかったのですが、ありがたいことに、大阪のインバウンド事情にこれほど通じている人はいないという心強い地元の案内人がいます。中国語通訳案内士の水谷浩さんです。

訪日旅行市場最大の中国語通訳案内士の現場は大変なことになっていた
http://inbound.exblog.jp/24486566/

2日間をかけて大阪のインバウンドスポット、すなわち外国人ツーリストがよく現れる場所を案内していただきました。それは、主に以下のエリアでした。

大阪駅周辺
新世界
日本橋
心斎橋商店街
黒門市場
船場
中崎町
富田林

※実際には大阪城やUSJもあるのですが、当たり前すぎるので、訪ねていません。
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一般に大阪は以下の5つの観光エリアに分けられるようです(大阪観光局発行公式ガイドブック参照)。

キタ・中之島エリア
大阪城エリア
ミナミエリア
天王寺・阿倍野エリア
ベイエリア

しかし、たいていの外国人旅行者は土地勘などなく、キタとミナミの違いもよくわかっていませんから、この日本人にはなじみのあるエリア区分はあまり意味をなしません。ただ特定の関心ある目的地にピンポイントで足を運びます。ひとつの特徴あるエリアを街区の連なりとして理解するには、しばらくその土地に住むなり、相当なリピーターにでもならないかぎり、難しいことだからです。その点、ぼくは外国人と立場はたいして変わりません。自分が外国人ツーリストになった気分で、水谷さんの案内してくれる大阪を楽しむことができました。

水谷さんが案内してくれた個別のエリアについては、追々紹介していくとして、大阪を歩いていると東京との違いをいろいろ知ることができました。

まずいちばん驚いたことは、心斎橋商店街をはじめとした延々と続く商店街の連なりと人ごみの驚くほどの多さです。大阪は地下街もすごいのですが、やはり東京にはこういうタイプの商圏はありません。せいぜい銀座がホコ天になったときとか、あとはあっても私鉄沿線の商店街くらいか。全然スケールが小さいのです。大阪のようにアーケードの商店街がどこまでも続く世界は、海外を探してもそんなにないのではないでしょうか。

もうひとつは、それとも関連するのですが、大阪は東京に比べまちがコンパクトなぶん、キタから天王寺まで歩いていけること。その間、商店街が名前を変えて接続していることも面白いですし、個性の異なるエリアを歩いて縦断していけることです。水谷さんは、こういう大阪の特徴をフランス菓子のミルフィーユにたとえてこう言います。「大阪はいろんな違う味がミルフィーユのようにつながる構造になっている。だから、歩くとその変化が面白い」と。なるほど、東京にも異なる個性を持ったエリアがいくつもありますが、大阪に比べて広いぶん、それぞれ点在していて、歩いてその違いを味わうというようなことは、そりゃできなくはないかもしれませんが、大阪ほどたやすくはありません。結局、地下鉄をどう乗り継ぐかということが、東京散策のポイントになりますが、大阪では1日かけて歩いて回ることもできない話ではない。

こういう都市のスケール感というのは、どちらかというとアジアというより、ヨーロッパの都市に近いといえるかもしれないことです。外国人ツーリストにとって訪れた都市がある程度コンパクトであるということは、魅力につながるものです。なぜなら、初めて訪れた人間にも全体像が把握しやすいからです。把握しやすいということは、また来てみようという気にさせるところがあるのです。その点、東京は大きすぎて、全体像を把握しようなどという気持ちを最初から失わせるようなところがあります。

もちろん、そうはいっても、日本の地方都市に比べれば、大阪は大きいですし、歩いて観光しようなどという気持ちにはふつうはならないでしょう。でも、いまや北京や上海、広州などの大都市では、すでに大阪に比べて公共交通網が拡大していることもあり(関西圏全域まで広げると話は違ってきますけど)、これらの都市の住人の感覚では、東京は無理でも、大阪なら全体像を把握できると思えるかもしれません。そして、それが外国人ツーリストにとっての大阪に対する親しみや愛着につながる可能性があると思います。

大阪観光局の関係者によると、関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いことだそうです。なにしろ関空に乗り入れるLCC比率は全体の30%超と全国一。LCCを利用して賢く旅する外国人旅行者のことを「関西バジェットトラベラー」と呼んでいます。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といわれ、リピーター比率も東京より高いことも指摘されています。

外国人ツーリスト、とりわけアジア客にとって、東京より大阪のほうが親しみを感じている人が多いのかもしれません。

実際、2015年2000万人まであとわずかに近づいた訪日外国人旅行者数は全国的に増えたことは確かですが、関西の伸び率は全国平均を上回っているからです。
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あとこれは地下鉄御堂筋線に乗っていて思ったことですが、大阪の地下鉄では、ハングル表示もふつうにあるのですね。東京でもJR山手線などでは見かけますが、地下鉄ではふだんあまり見かけない気がしたので(路線にもよるのかな? 少なくとも自分が普段利用する都内西部方面の路線では見かけません)、ちょっと印象に残りました。大阪を訪れる韓国人の数は半端ではないようですから、当然のことかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-31 19:18 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 31日

慎重な日系エアラインとは対照的なスプリングジャパン初の国際線就航

中国系エアラインの果敢な日本路線の拡充の一方、日系はどうなのか。こちらは対照的に慎重な姿勢を崩していません。

中国の日本路線がすごいことになっている!(だから訪日中国人は500万人規模になった)
http://inbound.exblog.jp/25298672

たとえば、ANAは1月20日のプレスリリースで新規の中国(武漢)線の開設を発表していますが、中国線の定期便は10都市11空港にすぎません。以前に比べれば、これでもずいぶん増えた気はしますが、中国系に比べると、どうしても少なく見えてしまいます。
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2016年度 ANAグループ航空輸送事業計画を策定
~ 4月より成田=武漢線、9月より成田=プノンペン線を新規開設します!
https://www.ana.co.jp/pr/16_0103/15-099.html

JALはどうでしょう。中国系エアラインとのコードシェア便を含めれば15都市と結んでいるとはいえ、JAL自身は北京、上海、広州の3都市のみです。
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JAL中国線ネットワーク
https://www.jal.co.jp/inter/info/cn/

訪中日本人、特にレジャー客が激減してしまったいま、日系エアラインはビジネス需要や中国からのインバウンド需要に応じた路線展開を考えているものと思われますが、ここ数年の日本企業による中国進出や投資の減速もあり、慎重にならざるを得ないのでしょう。さらに、中国系の新規路線開設や増便が相次いだ結果、やや需給環境が悪化している(供給過剰)ともいわれます。

実際、訪日中国客の旺盛な購買力が相変わらず目立つ一方、中国経済の減速は日ましに現実のものとなり、建設・工作機械や電子部品の対中輸出がマイナスとなるなどの経済指標も続出しています。

いま中国では日本旅行がブームです。とはいえ、ここ数年、中国側にはどこか前のめり感があることも否めません。

それでも昨年末、スプリングジャパン(春秋航空日本)は初めての国際線として2月中旬より成田・武漢、重慶線の就航を発表しています。

成田―武漢(週3便)
IJ1011 成田発10:20-武漢着14:15
IJ1012 武漢発15:15-成田着19:40

成田―重慶(週4便)
IJ1021 成田発9:00-重慶着14:15
IJ1022 重慶発15:15-成田着20:25

スプリングジャパン(春秋航空日本)
http://jp.ch.com/

初めての就航地として武漢、重慶を選んだ理由として、日系企業が多く進出していること。中国内陸部の観光地のアクセスに便利と、同社ではあくまで日本客の利用を想定したプレスリリースを出しています。さらには、こんなキャンペーンも。
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http://jp.ch.com/content/Activitiesall/WUHSanguo0122/edm/edm_0122.html?cmpid=edmin_mk_manu_wuhsales_online_160122

でも、実際には中国内陸部の訪日旅行市場が盛んになっていることや、武漢・重慶から関空への運航便の搭乗率が高く、その多くは旅行団体客であることから、関西から関東に周遊した後、再び関空に戻らずに、中国へ帰国できるようになれば、さらに利便性が上がると見込んでのことでしょう。

この路線はすでに春秋航空の関空線が就航していますし、成田線でも他の中国国営キャリアと競合しています。しかし、2014年に日本法人を創設して以降、ついに国際線の運航も開始した春秋グループの息の長い日本路線構築の取り組みは、長期的な視点に基づくものです。この1、2年で急に日本路線を増やしてきた他の中国系とは違います。

もし彼らに誤算があるとしたら、これほど日本人が中国に行かなくなるとは思ってもいなかったでしょう。日本人のサイレントクレイマーぶりは、さすがに想定外だったに違いありません。春秋航空が国際線の初めての就航先として茨城空港に決めた2007年頃、訪中日本人の数は過去最高の400万人弱だったのですから(2015年はおそらく半分近くに減っているのではないでしょうか)。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-31 15:12 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 28日

ここまでやったから成功した! 佐賀空港の春秋航空誘致ストーリー

日本の地方空港への乗り入れに最も積極的な外国系エアラインといえば、中国の春秋航空が筆頭に挙げられるといっていいでしょう。なにしろ日本法人まで立ち上げてしまったのですから。この熱意は並大抵のものではありません。

春秋航空
http://www.ch.com/
スプリングジャパン(春秋航空日本)
http://jp.ch.com/

これまで本ブログでも春秋航空の話をいくつか書いています。

LCC、海外ドラマを呼び込め!めざすは「東アジアグローバル観光圏」! 地方空港サバイバル奮戦記(2011年11月6日)
http://inbound.exblog.jp/16713389/
※2010年7月、初の国際線として上海・茨城線が就航に至る誘致ストーリー。

中国客の訪問地の分散化に期待。中国ナンバーワン旅行会社、春秋国際旅行社のビジネス戦略に注目(2014年7月29日)
http://inbound.exblog.jp/23050811/
※14年3月、上海・関空線を就航後の展開を関係者に聞く話。

格安&仰天!中国「春秋航空」のおもてなし(プレジデント2014.9.29)
http://inbound.exblog.jp/23416882/
※日本法人のスプリングジャパン(春秋航空日本)の設立と初の国内線(佐賀便)に乗った話。

春秋体操はやってみると意外に楽しい~国慶節直前上海・茨城線搭乗記(2015年9月28日)
http://inbound.exblog.jp/24941250/
※上海・茨城線で噂の「春秋体操」を目撃した話。

中国沿海都市から新タイプの個人客、ニーズが多様化し新たな商機生まれる(日経インバウンドBiz 2016年1月19日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/011800003/
※同じく上海・茨城線に搭乗していた若い中国個人客に関する話。

でも、実はまだ書いていない話があります。…なんて、もったいぶっても仕方がないのですが、春秋航空が茨城、高松に次ぐ第3の就航地を佐賀に決めることになった裏話です。それはひとことでいうと、佐賀県がここまで徹底してやったから成功したという誘致ストーリーです。

これはプレジデントの取材で、スプリングジャパンの佐賀初運航便に乗ったとき(2014年8月1日)、県の空港関係者や古川康知事(当時)にお聞きした内容です。本当はこの話がいちばん面白くて、プレジデントにも書きたかったのですが、担当編集者にはピンとこなかったようで、書く機会がなかったのでした。
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さて、そもそも春秋航空はなぜ第3の就航地として佐賀を選んだのか。佐賀空港は、福岡空港や長崎空港にはさまれ、正直なところ、国際線の受け皿として競争力は低いと言わざるをえません。にもかかわらず、誘致に成功したのは理由があります。
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佐賀空港
http://www.pref.saga.lg.jp/web/ariakesaga-ap.html

そもそも佐賀県に限らず、日本の地方空港の赤字問題は深刻で、利用者促進と新規航空路線の誘致は大命題となっています。上海万博が開催された2010年頃、春秋航空を誘致しようと全国の自治体関係者がこぞって上海詣でをしたのもそのためでした。春秋側の関係者によると、全国の半分近い都道府県が同社に足を運んだというほど誘致合戦は過熱していたのです。
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きわめてドライな話ですが、春秋側にとって就航先の選定は「自治体がコスト削減のためにどこまで協力してくれるかが条件」(孫振誠日本市場開発部長・当時)でした。古川知事は、上海線の誘致に佐賀空港が成功した理由について「佐賀県は早い時期から県庁職員が一丸となって空港セールスに取り組んできたことが評価された」と語っています。

その取り組みとは?

関係者の話をまとめるとこうなります。

佐賀県が春秋航空に最初に誘致の話をしたのは、2010年9月末のことでした。当時、上海万博が開催されており、佐賀県は日本館にブースを出展していました。

そのとき、問題となったのは、佐賀空港の滑走路が2000mしかないことでした。実際をいえば、集客の問題や空港と市内へのアクセスなど、いろいろ言い出せばきりがないほど課題があったのですが、春秋側としては、安全性の面からその点を課題として指摘したのです。春秋航空の日本路線はエアバスA320-200型機を使用していて、滑走路は2500mが必要だという判断だったのです。
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はたして2000mの滑走路では本当に発着が難しいのか? 

佐賀県は、この課題をいかに解決するかを問われたのです。

そこで、当時の県の空港担当者は、まずANAに話を聞いたそうです。当時、ANAは同じA320 で佐賀空港に飛んできていたからです。ANAの回答は「なんら不自由していない」とのことでした。

さらに、安全性に問題はないというデータを用意するために、担当者は10年秋から冬にかけての約3か月間、1日4回のANA機の離発着状況を映像に収め、記録を続けました。

ここまでのことは、誰でも考えつくかもしれません。感心したのは、担当者が中国国内の春秋航空の路線がある空港のデータをすべて調べ上げ、2000m滑走路の空港がないか探したことでした。すると湖南省の懐化空港がそうだったことを突き止めたのです。その空港は、芷江(ZhiJiang)という侗族の住む少数民族自治区にありました。

担当者は、実際に懐化空港を訪ねたそうです。そして、空港関係者らに事情を確認しました。2000m滑走路でも問題ないとの言質をとって帰国したのです。

この話は、佐賀県と春秋航空との折衝の際、最も効いたそうです。合理主義の春秋航空担当者らも「そこまでやられたら就航させていただくしかない」と佐賀県の熱心さに舌を巻いたのでした。

この話には、さらに印象的なエピソードが続きます。佐賀空港への乗り入れを決めた春秋航空が初めてのテスト飛行として同空港に飛んだのが、なんと2011年3月11日。東日本大震災の日だったのです。

そのため、結果的に実際の就航は少し遅れ、翌年1月18日となりました。定期チャーター便としてのスタートでした。

佐賀県の関係者はこう話します。「春秋航空には明確なポリシーがある。最初は週2便から。震災後、訪日客は大きく減ったが、彼らは就航を白紙に戻さなかったし、一度も運休していない」。

古川知事(当時)は言います。「ローカル空港の新しいモデルを佐賀で実現したかった」。知事とは友人を介して永田町の都道府県会館でお会いしたのですが、世界の航空事情に大変精通しているうえ、とてもユーモアにあふれた方でした。学生時代にはひとりで海外旅行をしていたそうです。「私は航空行政を考えるときも、自分が旅行するときと同じように、ひとりのユーザーとして考える」といいます。このようなユニークな知事がいてこそ、佐賀空港の誘致は成功したのだと思いました。

現在、佐賀空港では航空便利用者に限り最初の24時間を1000円でレンタカーを貸し出すキャンペーンや、県内および福岡県南西部で片道1000円~2000円のリムジンタクシーの運行を実施しています。低価格のフライトを享受するLCC利用者にとって、空港までの交通アクセスをいかに安く便利にするかは課題です。フライト運賃が安くても、成田のように都内へのアクセスにコストがかかってしまうと、ありがたみがなくなるからです。

さて、これは5年前の話ですが、時代はずいぶん変わったものだと思います。数日前にブログでも書いたように、海外のエアラインとの「事前交渉なしで就航が実現」した静岡空港のような事例も出てきたからです。

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか?(2016年1月25日)
http://inbound.exblog.jp/25298380/

しかし、言うまでもなく、静岡空港には地の利がありました。佐賀空港はほとんど優位性がないにもかかわらず、こうして誘致に成功したわけで、同県の空港担当者の取り組みはすばらしかったと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-28 17:39 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 28日

日本の地方空港にいつ頃から国際線が増えてきたのか?(オープンスカイとLCCのおかげ)

ここ数回、本ブログでは日本の一部の地方空港に東アジアからの国際線が多数乗り入れるようになった状況を見てきましたが、これはいつ頃からのことなのでしょうか?

米国との航空便の路線や発着枠、便数を自由化させるオープンスカイ協定を締結させた2010年10月以降、続々とアジア各国との同様の協定を進めたことが背景にあります。

2010年以降の主なオープンスカイ協定締結国

2010
米国、韓国(12月)
2011
シンガポール(1月)、マレーシア(2月)、香港(5月)、ベトナム(6月)、マカオ(7月)、インドネシア(8月)、カナダ、オーストラリア、ブルネイ、台湾(11月)
2012
英国、ニュージーランド、スリランカ、フィンランド、フランス、中国(8月)、オランダ、スカンジナビア3国、タイ(11月)
2013
スイス、フィリピン(9月)、ミャンマー(10月)

特に地方空港への国際線乗り入れ増加に最も影響を与えたのは、2010年の韓国、11年の台湾、12年の中国との協定締結でしょう。

過去最高200万人超えなるか!台湾客急増の背景にはオープンスカイがある(台北ITF報告その5)(2013年11月1日)
http://inbound.exblog.jp/21387914/

さらに、2000年代以降に日本に先駆けて急成長していたアジアのLCCも、この協定によって成田や関空だけでなく、北海道などの一部の人気レジャー路線に乗り入れを始めました。台湾や中国では、まずLCCが地方空港への乗り入れを開始し、それに国営キャリアが後追いするような動きが起こり、路線数を拡充していった流れがあります。

LCCはアジア客の訪日旅行の促進につながるか?【2013年上半期⑫LCC】(2013年7月29日)
http://inbound.exblog.jp/20789404/

すべてが日本に乗り入れているわけではありませんが、アジアの空には以下のような多くのLCCが運航しています。

ローコストキャリア / LCC 格安航空会社一覧
http://airline.arukikata.co.jp/lcc/list.html

●韓国
エアプサン http://flyairbusan.com/
ジンエアー http://www.jinair.com/
チェジュ航空 http://www.jejuair.net/
ティーウェイ航空 http://www.twayair.com/
イースター航空 http://www.eastarjet.com/
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●シンガポール
シルクエアー http://www.silkair.com/
ジェットスター・アジア航空 http://www.jetstar.com/3k/
タイガーエア http://www.tigerairways.com/
スクート http://www.flyscoot.com/
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●マレーシア
エアアジア http://www.airasia.com/
エアアジア X http://www.airasiax.com/
ファイアフライ http://www.fireflyz.com.my/
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●香港
香港エクスプレス航空 http://www.hkexpress.com/

●ベトナム
ジェットスター・パシフィック航空 http://www.jetstar.com/

●インドネシア
ライオン・エア http://www2.lionair.co.id/
インドネシア・エアアジア http://www.airasia.com/jp/ja/
シティリンク http://www.flycitylink.com/

●台湾
V エア http://www.vair.com.tw/
タイガーエア台湾 http://www.tigerair.com/tw/zh/

●中国
春秋航空 http://www.ch.com/
吉祥航空 http://www.juneyaoair.com/jp/home.html
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●タイ
タイ・エアアジア http://www.airasia.com/site/th/
ノックエア http://www.nokair.com/
オリエント・タイ航空 http://www.orient-thai.com/
タイ・ライオン・エア http://www.lionairthai.com/en
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●フィリピン
セブパシフィック航空 http://www.cebupacificair.com/
エアアジア・ゼスト(旧ゼストエアウェイズ) http://www.airasia.com/ph/en/home.page
エアフィル・エクスプレス http://www.airphilexpress.com/

おかげで日本の地方空港をアジア各国のエアラインがにぎわせてくれています。ただし、一部の、としかまだいえないのがもうひとつの現状ではありますけれど。昨年末に、以下のような報道がありましたが、地方空港への国際線の乗り入れを推進するための施策です。とにかく国内需要をこれ以上増やせない日本にとって、海外の近隣諸国からの航空便を誘致することが地域経済の活性化につながることは間違いないでしょう。

国際線の着陸料が1年間無料に 国交省、就航・増便対象(朝日新聞2015年12月19日)
http://www.asahi.com/articles/ASHDL5V25HDLULFA02Y.html

国土交通省は来年度から、国が管理する空港に新たに就航したり増便したりする「国際定期便」の着陸料を1年間、実質無料にする方針を固めた。羽田、札幌(新千歳)、福岡、仙台(運営を民間委託)の各空港をのぞく15空港が対象で、訪日外国人を地方に誘客するねらいだ。

対象は稚内、釧路、函館、新潟、広島、高松、松山、高知、北九州、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇の15空港。

例えば中型のボーイング「767‐300」が国管理空港に着陸する場合、航空会社は1回17万6330円を国に支払う。この半分を地方自治体などが負担することを条件に、国が残りを免除する。地方負担は着陸料に充てるだけでなく、同額を航空会社に対する別の支援策に使うことも認める。国際チャーター便の着陸料も、同じしくみで免除する。

国交省によると、羽田、成田、関西、中部国際をのぞく国内空港の国際定期便は692便(2015年の夏ダイヤ)で、10年から約6割増えた。海外の格安航空会社(LCC)の就航が増えているためだ。

自治体などはLCCの誘致を競っているが、自治体管理の空港は着陸料を自由に下げられるのに、国管理空港は着陸料が一律で不公平との指摘があった。


※国土交通省 空港一覧
http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000310.html
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by sanyo-kansatu | 2016-01-28 15:10 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 26日

春秋航空の就航が呼び水となった関西国際空港の中国路線拡大

ここ数年、関西を訪れる訪日外国人が急増しています。もちろん、2015年は全国的に増えたのですが、関西の伸びは全国平均を大きく上回っています。
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その理由は、関西国際空港に乗り入れる東アジアの航空路線が急ピッチで増加しているからです。特に2014年以降の中国路線の増え方は半端じゃありません。
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関西国際空港東アジア路線網(2016年1月現在)

中国路線の数でいえば、関西国際空港が日本最大です。もともとアジア方面からのLCCの運航数の多さは31.7%(15年冬期)と日本一ですが、以下のリリースをみても、国際線の就航便数が東日本大震災のあった2011年頃より右肩上がりで伸び、特に15年の伸びが大きかったことがわかります。
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関西国際空港の国際定期便運航計画について(2015年冬期スケジュール)
http://www.nkiac.co.jp/news/2015/2277/2015winter.pdf

関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いことです。こうしたLCCを利用して賢く旅する旅行者を「関西バジェットトラベラー」と呼ぶそうです。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といい、リピーター比率も東京より高いといわれます。
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大阪の関係者に聞くと、関西国際空港の中国路線は、2014年3月の春秋航空の上海線の就航が呼び水となり、4月に上海吉祥空港、その後は国営キャリアが地方都市からの就航を加速させたことでこれほど拡大したのだといいます。

さすがに関空も飽和状態になり、最近は中部国際空港へとシフトする傾向も見られます。

中部国際空港の中国路線も、すでに24都市に就航しています。

中部国際空港フライトスケジュール(2016年2月1日~2016年2月29日)最終更新日:2016年1月13日
中国・香港・台湾 出発便
http://www.centrair.jp/airport/flight_info/monthly/1198613_1744.html

就航都市
北京、上海、長春、長沙、常州、大連、福州、杭州、貴陽、ハルビン、合肥、フフホト、昆明、南通、寧波、青島、瀋陽、石家荘、太原、天津、武漢、西安、煙台、銀川

中国の内陸都市からこれほど中部地区にも飛んできているとは…。少なくとも2年前には、とても考えられなかったことが起きているのです。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-26 12:37 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 25日

中国の日本路線がすごいことになっている!(だから訪日中国人は500万人規模になった)

前回、静岡空港にこの1年で13路線もの中国からの定期便が増えたことを書きましたが、中国からの航空路線が増えているのは静岡だけではありません。

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか?
http://inbound.exblog.jp/25298380/

なかでも中国路線の数でいえば、関西国際空港が日本最大です。

関西国際空港の国際定期便運航計画について(2015年冬期スケジュール)
http://www.nkiac.co.jp/news/2015/2277/2015winter.pdf

国際旅客便の方面別内訳(週)をみると、以下のとおりです。

韓国 245便 3都市
中国 441便 41都市
台湾 147便 3都市
他アジア 121便 11都市
北米 35便 3都市

関空のHPを見ていると、日本人はほとんど知らないような中国の地方都市からのフライトがあることもそうですし、聞いたこともないような航空会社も続々乗り入れています。とてもすべてフォローはできませんが、主な航空会社のサイトと日中の就航都市がひと目でわかる路線図を探してみました(サイトがリニューアルしてなくなっていたり、少し古いものもあるので、あくまで参考までに)。とにかくこれを見ていただくと、どれだけたくさん中国から日本へ飛んできているのかわかると思います。

中国国際航空
https://www.airchina.jp
深圳航空
http://www.shenzhenair.com/
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中国東方航空
http://jp.ceair.com
上海航空
http://www.ceair.com/fm.html
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中国南方航空
http://global.csair.com/JP/JP/Home

海南航空
http://www.hnair.com/

北京首都航空
http://www.jdair.net/
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天津航空
http://www.tianjin-air.com

春秋航空
http://www.ch.com/
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春秋航空のHPをみると、乗り継ぎ便としてすでに多くの地方都市と日本の8つの就航都市が結ばれていることがわかります。
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上海吉祥航空
http://www.juneyaoair.com/jp/home.html
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これだけ路線が増えれば、2015年に訪日中国人数が500万人規模にふくらんだのも当然でしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-25 17:09 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 25日

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか?

最近、一部の地方空港でLCCの就航や東アジアの訪日観光客の増加などによる航空路線の拡充で利用客数が増えています。

なにしろ2015年の訪日外国人旅行者数のトップ5中、5位の米国を除くと、すべて近隣諸国だからです。訪日客総数1974万人の約7割を中国、韓国、台湾、香港で占めているのです。

2015年国・地域別訪日外国人旅行者数(日本政府観光局(JNTO)調べ) 

1位 中国 499万3800人
2位 韓国 400万2100人
3位 台湾 367万7100人
4位 香港 152万4300人 
5位 米国 103万3200人

なかでも静岡空港は大注目です。

富士山静岡空港
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/

メディアも昨年秋頃から以下のように報じています。

訪日客消費最高 特需、地方にも恩恵 静岡空港、中国便が急増(毎日新聞2015年10月22日)
http://mainichi.jp/articles/20151022/ddm/002/020/051000c

一部抜粋します。

中国人観光客を中心とした外国人特需は、百貨店や家電量販店が集中する都市部だけでなく、地方都市にも恩恵をもたらしつつある。ただ、一時的な特需で終わらせるのか、名実共に「観光立国」になれるのかは、これからの取り組みにかかっている。

静岡空港は2009年6月、全国で98番目の空港として誕生した。年間138万人の利用を見込んで開港したものの需要予測の甘さから、09年度は約52万人にとどまり、静岡県の空港経営は赤字が続く。

ただ、昨年まで上海、台北、ソウルまでの直行便が週13便だった国際線に、今年に入って中国13都市への直行便が新たに就航。16路線週53便に一気に拡大した。


なんとこの1年で静岡空港の国際線の路線数が4倍になったというのです。

県空港利用促進課の田中尚参事は「事前交渉なしで就航が実現した定期便がほとんどだった」と、航空各社が積極的に就航を求めてきたことを振り返る。富士山に近いことや、「ゴールデンルート」と呼ばれる東京と大阪を結ぶ線上にあることなどが評価されたようだ。


この記事で注目すべきは「事前交渉なしで就航が実現」とあることです。これまで日本の地方空港はどれだけ海外のエアラインに対して誘致のために苦労してきたかを思えば(苦労しても実現に至るケースは少なかった)、2015年になって突如として中国系エアラインが静岡に飛んできたことは、地元にとっても驚きだったようです。

その理由は、「富士山に近いことや、「ゴールデンルート」と呼ばれる東京と大阪を結ぶ線上にある」ことだといいます。成田や関空がいっぱいになり、ゴールデンルートの第3のゲートウェイとして静岡空港に白羽の矢が立ったといえるでしょう。

毎日新聞の報道から1ヵ月後、朝日もこう報じています。

静岡空港に中国特需 定期路線1年で1→14に 搭乗数5割増(朝日新聞2015年11月23日)
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20151123000175.html

こちらも一部抜粋します。

かつて利用客が少なく低迷していた、静岡空港が中国人観光客でにぎわっている。東京や関西の離着陸枠が限界に近づくなか、空いていた静岡空港が中国の航空会社の目にとまった。今年に入り、地方空港では屈指の路線数を誇るまでになったという。

静岡空港は、首都圏に近いため、そもそも空港は不要だ、などといった反対運動が続くなか、2009年6月に開港した。

最初の2年間は搭乗者数が年間50万~55万人程度で推移したが、11~13年度は40万人台と目標の70万人を大幅に下回り、毎年度、約4億~5億円の赤字が続いた。

ところが、昨年まで1路線だった中国との定期便が今年に入り、最大14路線に急増。今年の8月までの法務省の出入国管理統計では、中国人の出入国数が国内空港6位に。地方管理空港では全国一だ。

中国の航空会社が静岡を選ぶのは、離着陸の枠が空いていたことと、その立地だ。中国東方航空静岡支店の担当者は「静岡は大阪や名古屋、東京を結ぶ『ゴールデンルート』の中間地点で、西にも東にも行きやすい。中国人の観光需要を満たすには最適」と話す。中国人に人気の富士山が間近に見えるのも大きい。


この記事では、当初不要論すらあった静岡空港が開港より6年たった15年、「8月までの法務省の出入国管理統計では、中国人の出入国数が国内空港6位に。地方管理空港では全国一」になったと指摘しています。立地がゴールデンルートの東京と大阪の中間にあったことが選ばれた理由だといいます。

さて、当時からこの記事が気になっていたので、ぼくは正月明けに静岡を訪ねています。県庁観光部空港利用促進課の稲垣孝博課長と観光振興課の山梨利之国際観光班長に話をうかがいました。
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―静岡空港の開港以来の国際線の動向について教えていただけますか。

「2009年6月開港当時、国際線は上海線の週4便、ソウル線の週3便、その後、台北線が週3便で始まりますが、上海線は尖閣沖漁船衝突事故や東日本大震災の影響で週2便になりました。ソウル線も同様でした。国際線は低迷していたのですが、2014年から徐々に上昇し、15年には初めて国内客を国際客が上回りました。その理由は、ご存知のとおり、中国からの路線が一気に増えたためです」。
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―どうして中国からの路線が急に増えたのですか。

「皮切りは15年1月に定期便になった天津航空の天津線でした。同航空は14年春からすでに週5便のチャーター便を飛ばして来ていたのですが、搭乗率も8~9割と好調で、14年12月に北京首都航空の杭州線のチャーター便も始まり、その後は中国東方航空や中国南方航空などの国営キャリアも一気に乗り入れてきたのです。天津航空や北京首都航空は、中国の大手エアライン海南航空のグループに属しています。

2015年の中国系エアラインの新規就航状況 ( )内は就航日。上海線を除く

中国東方航空 寧波(2015.3.31)※チャーター便は15.217~
          温州(2015.7.1)
          南京(2015.7.4)
          合肥(2015.9.23)
天津航空    天津(2015.1.28)※チャーター便は14.5.28~
          西安(2015.5.16)
中国南方航空 武漢(2015.5.15)
          南寧(2015.5.15)
          鄭州(2015.6.28)
          長沙(2015.7.2)
北京首都航空 杭州(2015.7.2)※チャーター便は14.12.25~
          塩城(海口)(2015.9.3)※チャーター便は15.5.27~
          石家荘(2015.9.5)※チャーター便は15.5.27~

ただし、冬季に入って運休する便も出ています」。

2015年1月現在の静岡空港国際線スケジュール
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/airport/international/inter-timetable/

※この点については、前述の朝日新聞も以下のように報じています。
ただし、中国便は突然、運航を休止してしまうことが少なくない。中国南方航空の鄭州線では8月17日から運休が続き、天津航空の天津線でも8~9月で計27便が運休した。10月25日からの冬ダイヤでは鄭州線や長沙線など14路線中5路線が運休し、天津線では週7往復が3往復に減った。

―中国系エアラインが静岡空港を選んだ理由について、メディアでは富士山に近いことやゴールデンルートの中間にあることなどを指摘しています。

「もちろんそうですが、当初から静岡空港は首都圏に近いことを訴えてきました。そして、富士山、温泉、食の3つを売りにしてきた。着陸料も初年度は免除するなどの補助もしています」。

―中国路線の多くが地方都市ですが、これについてはどう分析していますか。

「中国内陸部の地方都市でも中間層の拡大があると思います」

―海外旅客の特徴について教えていただけますか。

「台湾客の場合は、東京・静岡2泊3日や3泊4日といったツアーが多いようです。韓国客の場合は個人客が多い。一方、中国客は上海線を除くと、団体客が大半です。静岡インで関西や東京アウトのゴールデンルート5泊6日が標準的です」

―静岡空港を利用した外国客の増加は地元にどんな影響を与えていますか。

「観光庁の宿泊旅行統計調査をみても、静岡県内外国人宿泊者数は14年1~9月と15年1~9月を比べると200.7%の伸びで、中国人に限ると254.8%です。ただし、団体客が多い関係で県内には1泊しかしてもらえないため、今後は連泊してもらったり、個人客を増やしていくための取り組みが必要だと考えています」
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―課題は何かあるでしょうか。

「富士山は誰でも知っていても、それが静岡県にあるという認知はまだ低いこと。そこをなんとかしたい。また現在の空港では同時に国際線2機の乗入ができないことです。今後空港を増築する計画も進んでいます。もうひとつは、国内客の利用の低迷です。上海や台湾、ソウルなどへのツアーも企画しているのですが、伸びていません。外国客頼みになってしまっていることです」
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さらに気がかりなのは、中国需要の今後の行方でしょう。わずか1年でこれほど一気に便が増えたということは、逆に一気に減ることも考えられなくはないからです。全国の他の地方空港とはまったく事情が違い、「事前交渉なしで就航が実現」(上記毎日記事より)したことの怖さもあるということです。

それでも、「開港したばかりの頃は国際線なんてまったく考えていなかった。それがいまでは国内客を逆転し、いかに外国客の受入を推進するかということに取り組みが移っているのだから、時代は大きく変わった」と山梨利之国際観光班長は言います。それは正直な思いでしょう。

おふたりの話を聞いた後、ぼくは静岡駅からバスで静岡空港に行きました。
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空港ロビーの玄関に就航航空会社と都市が表示されていました。地方空港で実際、こんなに多くの海外都市へ運航しているのは珍しいことです。「地方管理空港では全国一」というのもうなづけます。
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その日は中国東方空港の上海線しかなく、中国の団体客の姿を見ることはありませんでしたが、上海経由便で乗り継いできたと思われる東南アジア系のグループの姿を見かけました。
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空港の2階ロビーのお土産店には、中国人向けの炊飯器やサプリメントなどの定番商品が置かれていました。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-25 15:22 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 17日

中国の台湾人アイドルへの謝罪強要が総統選挙に影響!?

2016年1月16日、台湾総統選挙が投開票され、民進党の蔡英文主席が当選しました。

すでに早い時期からこの結果は予想されているものでしたが、投票日の午後、日本薬粧研究家の鄭世彬さんからこんなメールが届きました。

「実はここ数日、台湾で炎上している事件があり、昨日(1月15日)はそのピークに達しました」

彼とはいま、一緒に単行本の仕事をしていて、そのメールのやりとりの文中にあったものです。ちなみに、来月13日に彼の日本での最初の著書(『爆買いの正体』(飛鳥新社))が刊行される予定で、ぼくは本文の構成を担当しています。

「韓国のアイドルグループに所属している16歳の若い台湾人(周子瑜)が中国のプレッシャーによって謝罪する映像を公開させられたのです。

これを見た台湾の世論、特に若い世代の間で、反中、反韓の感情が強烈に盛り上がっています。韓国の芸能事務所は、なぜ責任を若い子に押しつけたのか。あまりにも卑怯ではないかというわけです。

私のFACEBOOKでも、ここ数日この事件への評論ばかりです。

今日の選挙は緑(民進党)が勝つだろうと思います」。

この事件については、韓国や日本のメディアも報じています。

TWICEツウィが台湾独立主義者? JYP側「政治的観念を論じるにはまだ幼い」(中央日報2016年1月15日)
http://japanese.joins.com/article/824/210824.html

この記事によると「ツウィ(周子瑜)はMBC(文化放送)の芸能バラエティ番組『マイリトルTV』に出演して台湾(中華民国)の国旗を振ったが、これに対して中国の作曲家ファンアンが「ツウィは台湾独立主義者でないことを証明しなければならない」と主張して問題が大きくなった」と、謝罪に至る背景を説明しています。

そして、これが問題の謝罪映像です。

쯔위 공식 사과 / 周子瑜公开致歉(2016/01/15)
https://www.youtube.com/watch?v=t57URqSp5Ew

これに台湾の世論が強く反応したのです。YOUTUBEで彼女の名前を入れて検索してみたところ、中国に対する怒りを伝える動画が次々に見つかります。

周子瑜道歉全台人震怒 藝人開砲聲援│三立新聞台
https://www.youtube.com/watch?v=gdmkOGhWe9k

こういう外国人に中国への反発を仮託して語らせるバージョンもあります。

老外看周子瑜事件: Unite We Stand Divide We Fall
https://www.youtube.com/watch?v=Xl6-o3woKd4

民進党の蔡英文主席や国民党の馬総統にもメディアはマイクを向けていますが、馬総統も「彼女は謝る必要はなかった」と明言しています。

周子瑜事件 蔡英文:嚴重傷害台灣人民的感情
https://www.youtube.com/watch?v=rvoPq_igpn8

周子瑜事件 馬英九:她沒有必要道歉
https://www.youtube.com/watch?v=_ooFBIeuVME

選挙結果の出る直前の16日の夕刊には日本のメディアもこの件を報じています。

台湾人アイドル「私は中国人」 独立派と非難され謝罪(朝日新聞2016年1月16日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1J1BVBJ1HUHBI038.html

韓国のアイドルグループ「TWICE」で活躍する台湾人、周子瑜さん(16)が台湾独立派と非難され、所属事務所が15日、周さんが「私は中国人であることを誇りに思う」などと語る謝罪ビデオを公表した。台湾では強い反発が出ており、16日投開票の総統選にも影響が出るのではとの指摘が出ている。

台湾メディアによると、周さんは韓国のテレビ番組に出た際、韓国の旗と台湾を実体的に統治する「中華民国」の旗を掲げた。これが、中国で活動するほかの台湾人芸能人に「台湾独立派」と非難され、中国のテレビ出演取り消しなどの動きが広がっていたという。

だが、「台湾と中国は別」と考える人が増えている台湾では、周さんが中国の圧力で謝罪を強要されたとの見方が強い。台湾人としてのアイデンティティーを踏みにじられたとの受け止めで、親中路線を採った馬英九(マーインチウ)政権の与党・国民党にも批判の矛先が向けられる。投票で怒りを示そうという声も上がる。

国民党の総統候補、朱立倫主席は交流サイト・フェイスブックに「16歳に対してこれはひどすぎる。周さん、帰っておいで」と書き込むなど、火の粉を払うのに懸命なようすだ。(台北=鵜飼啓)


今朝、鄭世彬さんから次のようなメールが届きました。

「選挙結果は予想通りに緑が勝ちました。国民党はもともと勝ち目がなかったのに、アイドル謝罪事件はまさに致命的な一撃となりました。多くの台湾の芸能人が民進党を応援し、みんなに投票に行こうと呼びかけたからです。

でも、ちょっと気になるのは、今回の事件によって台湾で反中の若者が激増したと思われることです。これによって中台関係の適切なバランスが崩れてしまうことを懸念しています」

穏健な親日家の鄭さんの心配はよくわかります。

ぼくも同じことを感じていました。日本のメディアも、むしろ台湾の盛り上がりを気にしているようです。

中台、静かな緊張 蔡氏圧勝、議会も民進党過半数 台湾総統選(朝日新聞2015年1月17日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12163290.html

以下は、ネットでは読めないようですが(紙面のみ)、朝日の中国総局長は「中台のきしみは避けられない」と題された解説文の中で、中国側に「「台湾人の台湾意識」といった微妙な感情を感じ取る繊細さはない」「台湾の民意を直視するよう求める国際社会の声に対しても反発しかない」と書いています。これが現実です。

鄭さんは以前、台湾で反国民党、反中の意識が強いのは比較的高年齢層で、若い世代はそれほどではないと指摘していましたが、今回のことで状況が少し変わってきたのかもしれません。1996年に李登輝国民党主席が台湾初の民主的な総統選挙に勝ったときも、中国が台湾海峡をミサイルで威嚇したことの反発が大きかったのですが、この投票前の敏感な時期に、なんと愚かなことをしでかした中国人の音楽家とやらがいたものです。これに見る鈍感さ、頑迷さこそ、残念ながら、いまの中国人の平均的な態度です。ぼくもそれはよく知っています。知っているからこそ、今回の成り行きを手放しでは喜べないのです。

今後、台湾がどんな困難にさらされるか気になるところですが、冷静に関心を持ち続けていく必要がありそうです。

【追記】
その後、また鄭さんからメールが来て、この作曲家というのは、もともと台湾生まれだそうで、現在は中国に活動の拠点を移しているのだとか。いま台湾メディアは、この人物がすでに中国国籍を取得しているのではないかと報じているそうです。

それにしても、このタイミングの悪さといい、この男はむしろ国民党を負かせるために確信犯的にやったのではないかと思えるほどです。もしそうでないなら、粗忽にもほどがある。でも、こういう周りが見えず、逆効果なことしちゃう人、中国によくいるんですよね。

この作曲家の中国版ブログ(微博)は現在、コメントができなくなり、本人の投稿も削除されたそうです。いま頃、彼は中国当局からお仕置きされているのかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-17 13:03 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 01月 17日

日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示するバス事故再び

1月15日未明、長野県軽井沢町で14人の命を奪うツアーバス事故が起きました。各メディアは事故の原因を次々に報道しました。

なかでもいちばん気がかりだったのは、朝日新聞が報じた次の指摘です。長いですが、転載します。

スキー夜行日帰り「過酷」 競争過熱、足りない運転手(朝日新聞2016年1月16日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1H5R8CJ1HUTIL048.html

長野県軽井沢町で15日未明に起きたバス事故で、今回のスキーツアーは車中泊の後、現地で泊まる1泊3日や2泊4日で1万3千~2万円弱の格安料金だった。ネットには「最安値」「超お得」と価格を競う宣伝があふれる。

■長野スキーバス転落事故

公益財団法人・日本生産性本部の調べでは、スキー人口は1993年の1860万人が2014年は760万人に激減。都内の旅行会社の担当者は「格安ツアーは広告みたいなもの」と話す。スキー客が先細り、減ったパイを奪い合うのが実情だ。コスト削減のなか、安全性の確保に取り組んでいるという。

貸し切りバス業界では、運転手不足の影響も懸念されている。

国交省によると、貸し切りバスの事業者は2000年に規制緩和され、00年度の2864社から12年度は4536社に増えた。日本バス協会(東京都)の11年のアンケートでは、大手事業者の7割以上が「運転手が不足している」と回答。事業者は、運転に必要な大型二種免許取得に助成するなどしているが、「訪日外国人の急増で旅行会社からの注文に応えられないのが実情」という。

高齢化も深刻だ。今回の事故の運転手は65歳と57歳。国交省によると、バス運転手の平均年齢は48・5歳で全産業の平均42・1歳を上回り、6人に1人が60歳以上だ。バス運転手に年齢制限はないが、事業用自動車の運転手の病気による「健康起因」の事故は2014年に96件発生しており、運転への不安はぬぐえないのが現状だ。

■相次ぐ高速バス事故

2000年にバス参入が規制緩和された後、高速バス事故は相次いだ。12年に関越道の高速ツアーバス事故で7人が死亡したのを機に、国土交通省は安全対策の強化に乗りだした。

原因とされた過労運転を防ぐため、1人で運転できる距離の上限を従来の1日670キロから原則として夜は400キロ、昼は500キロに縮小し、上限を超える場合は交代の運転手の配置を義務づけた。今回事故を起こしたバスも2人体制で運行していた。

運転手への安全研修や飲酒チェックの設備にかかる安全コストを運賃に上乗せする新料金制度も導入。ツアーを主催する旅行会社が不当な価格でバス会社に運行を委託し、安全を軽視した運行が行われないようにするためだ。

貸切バス事業の新規参入時には必要な資金を引き上げ、営業所や車庫への現地調査も定めた。イーエスピーは14年4月に許可を受け、国交省の担当者は「厳格化された条件をクリアした」と説明する。

それでも事故は繰り返された。ある運転手は「格安スキーツアーは過酷」という。昨冬、志賀高原のバスセンターで別の運転手が「日帰りで折り返し。3時間しか寝ていない」と嘆くのを聞いた。東京を深夜に出て翌朝にスキー場に着き、夕方に東京に戻る「夜行日帰り」の日程を「やひ」と呼ぶという。「格安ツアーは運転手に『やひ』を強いやすい。いつか事故を起こすと心配していた」

バスや鉄道の安全対策に詳しい関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「国交省の規制強化の方向性は正しいが、2人で乗務しても交代要員が寝ている間にドライバーが居眠り運転することもありうる。特に零細バス業者で順法意識が薄く、健康管理や労務管理が不十分なケースもある。規制の実効性を高める必要がある」と指摘する。


ポイントは、これまで本ブログでも何回も指摘してきた貸切バスの運転手不足と高齢化です。65歳の運転手に深夜運転をさせなければならない状況というのは、常識で考えるとぞっとしないではありません。

さらに、この背景に貸切バス業界で国の基準を下回る低運賃請け負い問題があることも指摘されています。

基準額割れでバス違法運行 「ツアー会社から要請」(朝日新聞2016年1月17日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1J5Q82J1JUTIL026.html

事故を起こしたバスを運行した「イーエスピー」(東京都羽村市)が、基準額を下回る安値で運行を請け負っていたことが16日、国土交通省の特別監査でわかった。複数の運転手を過労状態にさせていたことも判明。ずさんな運行管理が常態化していた実態が明らかになった。

■長野スキーバス転落事故

国交省は安全コストを軽視した過剰な価格競争を招かないよう、バス会社がツアーを請け負う際の運賃を、国が定めた基準の範囲内にするよう求めている。しかし同社は今回のツアーを、国に届け出た運賃の下限を8万円下回る19万円で請け負っていた。道路運送法違反になるという。

ツアーを企画した「キースツアー」(東京都渋谷区)とイーエスピーの間に入って運賃を調整した「トラベルスタンドジャパン」(千代田区)に対し、観光庁は聞き取りを実施。それによると、下限割れ運賃を提案したのはキースツアーだった。トラベル社からキースツアーに「下限を下回っている」と伝えたところ、キースツアーから「今年は雪が少なくてお客さんが集まらない。当面、下限を下回る値段でやってくれ」と要請され、イーエスピーに伝えたという。

記者会見したイーエスピーの高橋美作社長によると、2014年のバス事業開始当初はさらに低い料金で受注していたが、高橋社長は安全面の影響について「全くない」と主張した。キースツアーの福田万吉社長は下限割れについて「そんなことはないと思う。(認識に)行き違いがある」と述べた。

また、国交省が監査で運転手の乗務記録などを調べたところ、複数の運転手が国が定めた勤務時間の上限を超えていたという。今回乗務して死亡した2人に記録上の過労はなかったが、国交省は2人の勤務実態を詳しく調べる。2人は直近の健康診断を受診しておらず、道路運送法違反になるという。乗務記録と乗員台帳の記載漏れや、健康診断記録の保管の不備も見つかった。

イーエスピーでは事故を起こしたバスの運転手に対し、出発前の健康チェックも怠っていた。ところが運行管理者の荒井強(つよし)所長(47)は出発前日、「健康チェックを実施し、現地に到着した」とする記録をつけていた。16日の記者会見で荒井所長は「社長に負担をかけないため」と釈明。同様の事例は過去に複数回あったという。高橋社長は「心の緩みがあるかもしれない」と土下座した。

石井啓一国交相は16日、「監査後の再発防止の実効性を高めたい」と記者団に話し、監査のあり方を見直す可能性を示唆した。

観光庁によると、このバスには「トップトラベルサービス」(渋谷区)と「フジメイトトラベル」(杉並区)が手配した乗客も計4人乗車していた。


同じことは、FNNでも報じていました。

長野・スキーバス転落 国が定める最低基準下回る額で発注か(FNN2016/1/17)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00313826.html

今回に限らず繰り返される事故報道を聞くにつけ、いつも思うのは、格安なのに深夜運行という運転手にとって最も引き受けたくないと思われるスキーバスの過酷な運転を高齢者が担当せざるを得ないという業界の構造です。日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示しているように思えてなりません。我々が当たり前と思って享受しているインフラがいつか瓦解する日が来るのではないか…。

増加する訪日外国人ツアーが普段利用しているのが、まさにこの貸切バスであることを思うと、別の心配も想起します。もし事故が起きて、多くの外国人観光客が亡くなるということにでもなれば、「日本のバスは(高齢者が運転しているから)怖い」というイメージが海外に広がることで、単に訪日旅行市場に影響するというだけでなく、日本の安全・安心イメージが揺らぐことにもなりかねないからです。

実は、この問題については、昨年11月12日のNHK「おはよう日本」でかなり直截に報じられていました。

NHKおはよう日本「急増 外国人観光客 苦悩するバス業者」(2015年11月12日)
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/11/1112.html

その一部の核心部分を抜粋します。この報道では、日本のインバウンドの何が問題かについて、適切に指摘しています。要は、外国人観光客が増加しても、貸切バス業界には恩恵が及んでいないことです。バス業者の受けとる料金が安すぎるのです。その背景について、NHKはこう指摘します。

「受け取る料金が安く抑えられている理由。

有賀さんが指摘するのが、「ランドオペレーター」という業者の存在です。

ランドオペレーターは、日本にいながら中国の旅行代理店から仕事を受注します。

日本に事務所を持たない旅行代理店に代わって業務を行う仲介業者の役割を担います。

指定された予算で、宿泊先やバスの手配を行うのです。

バス業者への支払いを安く抑えれば抑えるほど、ランドオペレーターの利益は増える仕組みになっています。

現在、急増している中国からのツアーの多くにこのランドオペレーターが関わっているといいます。

中国から来日し、ランドオペレーターをしている女性が取材に応じました。

年間300件もの仕事をこなすという、この女性。

全国各地から、少しでも安い価格で仕事を受ける業者を探すことが欠かせないといいます。

ランドオペレーター
「(安い業者が多いのは)千葉県・三重県・愛知県、山の奥の県(のバス業者)はある程度、料金に応じてくれる。バス代を安く抑えなきゃいけない、抑えないと(ランドオペレーターは)全く利益が出ない、赤字になるだけ。」


ここでNHKは「ランドオペレーター」という存在を何やらあやしげに説明していますが、これはJTBやHISの海外支店と基本的に同じ存在です。日本から海外旅行に行くお客さんのホテルや観光の手配をする現地会社で、同じことは中国から日本に旅行に来る観光客にとっても、当然不可欠な存在なのです。

ところが、それを誰がやっているかというのが問題です。事実上、大半は在日中国人の業者がやっています。それ自体がいい悪いではなく、その理由は単に彼らが中国語がわかり、送客側の中国の旅行会社とのコミュニケーションの問題ということだけではなく、彼らしか中国式の商取引を日本側で受け入れる業者がないからです。なぜなら、中国の旅行会社は日本側のランドオペレーターに十分な代金を支払うことなく、免税店などでの買い物をさせたキックバックでホテル代やバス代を補てんするように迫るからです。当然、日本の旅行会社はそのような商取引を受け入れません。その結果、在日系のランドオペレーターだけが、中国式の商取引に合わせても利益が出るよう、日本のバス会社に低価格で仕事を発注するため、こうした問題が起こるわけです。

さらに、指摘は続きます。

「危機感を持った国は対策に動きました。

去年4月、新たな制度を立ち上げ、ランドオペレーターからバス業者に支払われる料金が高くなるようにしたのです。

しかし取材を進めると、新たな制度が守られていない事実が明らかになりました。

30台の観光バスを保有するこのバス業者。

ランドオペレーターから毎月40件ほどの依頼がくるといいますが、新しい料金を提示されたことは1件もないと証言しました」。


これが実態です。中国人ツアー客のバスを運行するような中小零細企業では、国交省の定めた新規の運賃制度が守られていないとNHKは明確に指摘したのです。

なのに、それを誰も咎めないのはなぜ?

これを問題化したら、中国人客の手配をしている在日中国人のランドオペレーターを監視しなければならなくなり、そんなことをしたら、年間500万人規模までふくらんだ訪日中国旅行市場は事実上維持できなくなるからです。しかし、NHKはそれを知ってか知らずか、そこまでは指摘しません。

もういいです。だから、ぼくは思います。

監督官庁もただ監視を厳しくするというだけでなく、中小零細バス会社が安定的に経営できるための施策を考えるべきだと思いますし、大手バス会社も「危うきに近寄らず」でなく、もっとインバウンド事業に参入し、日本の交通インフラの安定のために一肌脱いてもらいたいところです。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-17 10:50 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 01月 15日

「ゲゲゲ」のJR境線、妖怪列車の撮り鉄女子と外国人ブロガー来訪の噂

境港を訪ねることになって、東京からANAで米子空港に飛んだのですが、そこは「米子鬼太郎空港」と呼ばれていました。
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このノリで県東部の鳥取空港は「鳥取砂丘コナン空港」が愛称だそうです。ちょっと便乗しすぎではないでしょうか?

さて、米子空港のそばに米子市と境港市をつなぐJR境線という単線の鉄道があります。その名物は「鬼太郎列車」です。

米子空港駅に行くと、狭いホームに数人の若い男女が座っていました。しばらくすると、「鬼太郎列車」が現れました。鬼太郎キャラのラッピング列車です。そのとたん、彼らは一斉に立ち上がり、シャッターを切り始めました。
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列車の扉が開き、中に入ると、車両内も鬼太郎キャラで空間が埋め尽くされています。この大量の目玉おやじが並ぶ光景は、一瞬異空に迷い込んだような気にさせます。
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車内には先ほど米子空港駅で一緒に乗り込んだ若い旅行者もいて、車内の撮影に余念がありません。なかでもふたりの撮り鉄女子にぼくは興味津々です。噂に聞く彼女らの姿を初めて見たからです。
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だから、つい彼女が天井の鬼太郎ファミリーの写真を撮っている姿を収めてしまいました。
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しばらくして駅に停まると、皆さんなにやら車窓の外を眺めています。見ると、そこには「妖怪駅名版」がありました。ここ余子駅は「こなきじじい駅」だそうです。
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JR境線 各駅名の愛称について
http://furusato.sanin.jp/p/area/sakaiminato/5/

そうこうしているうちに、境港駅(愛称「鬼太郎駅」)に到着しました。この駅も徹底して鬼太郎キャラで覆い尽くされています。
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ちなみにこちらは米子駅です。愛称は「ねずみ男駅」だそうです。
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以前、ムーミン列車でおなじみの千葉県のいすみ鉄道に乗ったときにも感じたのですが、こういうアニメキャラをまとった列車というのは、世界にどれほどあるものなのでしょうか。だいたいポケモンのようなアニメキャラを大きく描いた飛行機なんて、世界中の空港を探してもぼくは見たことがありません。よその国の人たちは、こういうのをどう思っているのでしょう?

ちなみにこれは米子駅で見たJR山陰本線を走る「コナン列車」だそうです。
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DBSクルーズフェリーの観光案内所でお会いした塩谷晃司さんによると、最近、台湾や韓国からブロガーが妖怪列車の写真を撮りにやって来ているのだそうです。もしや、あの彼女たちも外国人だったりして…。

そういえば、台湾の高雄の地下鉄でアニメのラッピング車両が走っているという話を聞きました。やっぱり台湾は日本の影響を受けやすいのでしょうか。

台湾・高雄地下鉄の萌えキャラをラノベ化 SBクリエイティブが初の逆輸入(産経ニュース2015.8.13)
http://www.sankei.com/life/news/150813/lif1508130016-n1.html

もっとも、山陰地方、特に米子周辺はローカル列車の宝庫のようなところがあって、地元の観光協会ではこんな鉄旅の紹介もしていました。
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山陰ゆうらり鉄道巡り
http://www.yonago-navi.jp/itinerary/yuurari/

実は、米子駅でタイ人らしき若い旅行者の小グループを見かけました。これからだんだん山陰にも海外の若者の旅する姿が見られるようになるのでしょう。「鬼太郎列車、面白かった?」。ちょっと聞いてみたいものです。 
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by sanyo-kansatu | 2016-01-15 14:43 | “参与観察”日誌 | Comments(1)