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2016年 05月 30日

中国の富豪たちがショックを受ける町 「大阪・富田林」を歩く

現在発売中の「Forbes JAPAN」2016年07月号は「億万長者の謎」特集です。
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http://forbesjapan.com/magazines/detail/50

同誌に以下の中国人富豪についてのコラムを寄稿しました。転載します。

中国の富豪たちがショックを受ける町 
「大阪・富田林」を歩く


中国人観光客というと、すぐに「爆買い」のイメージと結びつけられるが、本物の中国人富豪たちの来日目的は少し異なるという。

「そもそも富裕層はドラッグストアで爆買いなんてしませんよ」

こう語るのは、中国からやってくる超VIPたちから直接指名を受ける通訳ガイドの水谷浩。彼の顧客リストには日本人でもメディアを通じてよく知る中国企業の大物幹部たちがズラリと並ぶ。

彼がアテンドする中国の上級富裕層の人たちは、どんな目的をもって日本にやってくるのだろう。ビジネス半分、観光半分の「視察」もあれば、プライベートな家族旅行もある。世代によってその目的は異なるし、いわゆる「爆買い」でもドラックストアで化粧品や医薬品を大量に買うのとは大きく違う。

例えば、中国の巨大グループ総帥夫人は、京都で明の時代の銀の香炉(650万円)をカードで一括購入した。前回の来日時に日本全国の骨董店を訪ね歩き、目星をつけていたらしい。そして、「朋友(友達)」と称するプロの鑑定家をわざわざそのために同行させて、真贋を確認したうえで購入したという。

中国には若くして成功し40代で巨万の富を築いたIT企業家たちも少なくないが、いつもはビジネスや投資の話に目ざとい彼らの異なる一面を見たこともある。グループ幹部を召集した京都での会議で、息抜きに鴨川沿いをサイクリングしながら観光案内した際、ふだんは見せない気さくな素顔を見せたという。

中国ではありえない「歴史の連続性」
 
さて、その水谷が、中国のハイクラスな富裕層を相手に「この町を案内してハズしたことはない」と断言するのが大阪の富田林だ。PL教団の大本庁や、同教団が主催する夏の花火で知られる富田林だが、実は大阪で唯一の、国が指定する重要伝統的建造物群保存地区がここにはある。

寺内町(じないまち)と呼ばれるこの地区は、400年以上前に織田信長と戦っていた「宗教自治都市」で、高台の上に要塞としてつくられ、古くは江戸時代から明治、大正、昭和前期までに建てられた寺院や民家が並び、いまもそこで人々が暮らしている。

南北6筋、東西8筋の道路で整然と区画された町内には、瓦ぶきの美しい町屋が連なる。日本人にとっても魅力的なのだが、とりわけ中国の人たちには強いカルチャーショックを与えるのだという。

中国の富裕層の人たちが富田林に魅せられる理由について水谷はこう説明する。

「中国の人たちは、改革開放以降、スクラップ&ビルドの世界で生きてきた。歴史ある古鎮もすべてつくり変えられ、テーマパーク化した。ところが、ここでは200年前の民家がいまも残り、しかもそこで生活している人がいる。それが信じられないのでしょう」

中国の人たちは概して日本の歴史には詳しくない。京都は確かに中国でも知られている古都だが、観光地化が進んでおり、中国人観光客があふれているのも気に入らない。特権意識の強い富裕層はそのような俗っぽい場所を避けたいと思うのだ。

一方富田林は、彼らの目には、明の時代(14 ~17 世紀)に栄えた中国江南地方の水郷古鎮の文化の影響を受けているように見えるらしい。すでに中国には残っていないものが、日本になぜあるのか? 中国ではありえない「歴史の連続性」に、彼らは虚を突かれたような思いがするのであろう。

日本を真剣に見たい

この2月に東京で開かれた富裕層向け旅行商談会「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット・ジャパン」で、エキジビション・ディレクターをつとめたアリソン・ギルモアは「世界の富裕層の旅行にはクラシックモデルとニューモデルの2タイプがある」という。

前者は多くが新興国の一代で富を築いた社会的成功者の人たちで、豪華さやステータスを求める旅であるのに対し、後者は先進国の成熟した富裕層が中心で、より精神的な価値を求める傾向にあるという。

中国の富裕層の特徴について水谷はこう語る。「彼らはまさに創業者世代。改革開放後の30年間を裸一貫でのし上がってきたパワフルな人たちで、日本に来ると、常に最高級でなければ満足しない。ホテルは5つ星クラスで、食事もミシュラン級。要望が細かく、無理難題も多いので、毎回が格闘だ」

その意味では中国の大半の富裕層旅行の内実はクラシックモデルに属するといえる。ただし、水谷がそれだけではないと思うのは、富田林の歴史的価値に気づくような深い洞察力を持ち、日本の姿を真剣に見てみたいという人たちが確かにいるからだ。

「彼らはほんの上澄みにすぎない。だが、それだけに自分の仕事はやりがいがある」

ある国営銀行の頭取夫人は、中学を卒業したばかりの息子を連れて日本へ旅行に来たとき、水谷の案内で富田林と高野山を訪ねた。夫人は「米国留学の決まった息子に、中国と違う日本を一度見せておきたかった」と語ったという。

いま、中国の富裕層の人たちの中にも、富田林に象徴されるような、精神的価値に重きを置くニューモデルの旅が現れつつある。

※この記事に出てくる水谷浩さんについては、以下参照のこと。

中国語通訳案内士を稼げる職業にするための垂直統合モデル
http://inbound.exblog.jp/24489096/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-30 21:55 | のんしゃらん中国論 | Comments(1)
2016年 05月 30日

中国人は自国の観光客マナー問題を煽る日本のテレビ番組に耐えられない!?

ある知り合いから、中国のSNSである微信(WeChat)上の一部で、5月23日に放映された「直撃コロシアム!ズバッとTV」(TBS)の「中国人50人と激論 酷すぎるマナー違反」が反響を呼んでいると聞きました。

直撃コロシアム ズバッとTV (TBS)
http://www.tbs.co.jp/chokugekicolosseum/

同番組では、近年急増している中国人観光客が日本で起こしているという驚きのエピソードが紹介されたそうです。

中国人観光客のマナーが世界中で問題となっていることは広く知られていますし、中国政府は海外旅行者向けに「やってはいけない行動」指南書を作成しています。そのせいか、以前ほどマナー違反は減っているという声もあります。
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たとえば、これは九州に多く寄航している中国発クルーズ客船の出発港である上海呉松口国際クルーズ港ではためく標語です。出国する自国民に対して「文明相伴 平安旅途 帯回美好印象 留下文明形象(マナーを守り、平安な旅路を。良い印象を携え、残して帰りましょう)」とPRしています。

しかし、この番組では以下のような「マナー違反」を挙げたそうです。これらの画像は、上記SNSから取りました。
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ここに出てくる事例は、中国の事情を知らない一般の日本人にはビックリ仰天でしょう。でも、ある程度事情を知る身としては、まあこんなことよくありそうな気がするし、確かに呆れちゃうとはいえ、言うほど深刻なものには思えないのですが、どうなんでしょう。やっぱり、許せませんか? 実際はもっとまずいこともいろいろあるけど、そっちは触れられていない気も。いえ、余計なことを言うのはやめましょう。

この種の番組を観るのは疲れるので、とてもYOU TUBE動画の内容をチェックする気にはなりませんでしたが、気になるのは、在日中国人を50人集めて意見を述べさせたという番組放映後、中国のSNS上で以下のようなエントリーが立ったことです。

难忍|在日中国人都在骂的日本某电视台(中国人をののしる日本のテレビ番組に耐えられない!) 原创 2016-05-23
http://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MjM5NDUzNjIyNA%3D%3D&mid=2656679608&idx=1&sn=f12482ad9c33603895524eee9e45ad1d&scene=2&srcid=0523ZTjQ3KYTPM4XjsLHlsGE&from=timeline&isappinstalled=0#wechat_redirect

この書き込みをめぐって、実際、いろんな意見が出ているようです。正直、こちらもあまり読む気にはなれないのですが、なぜ中国人たちはそんなに苛立っているのでしょうか。その理由について、少し考察してみたいと思います。

その前にひとこと。番組で紹介された「マナー違反」のエピソードのひとつは、ぼくが去年の夏に書いた以下の都内某焼肉屋で中国人観光客が見せた光景によく似ています。

焼肉食べ放題「味仙荘」は今日も中国ツアーバス客であふれていました(2015年 08月 01日)
http://inbound.exblog.jp/24747719/

以下に出てくるエピソードなんて、テレビ局にパクられちゃったかな!? という気もしないではありません。…冗談ですよ。

中国内陸客の増加がもたらす意味を覚悟しておくべき(2015年 09月 01日)
http://inbound.exblog.jp/24845817/

上記の記事の最後で、ぼくはこう書いています。

「安いツアーに参加し、バスに乗って団体旅行しているような人たちが大半である中国の内陸客は、言ってみれば、10年、15年前の上海人であり、北京の人たちといえるでしょう。中国の発展は地域によるタイムラグがあるためで、沿海部の人たちが少しずつ成熟してきても、内陸部の人たちが後から来るようであれば、Oくんのいう「マナーの欠けた中国人」イメージは簡単には消えることはなさそうです。

そもそも銀座の百貨店を訪れるような個人客とバスツアーの団体客には、その行動様式や消費活動などの面で大きな落差があります。今後ますます中国内陸客が増えることを想定し、受け入れ側もこの落差を受けとめる覚悟が必要だと思います」。

そうなのです。いま日本には中国の内陸都市からの観光客が増えているのです。内陸都市は上海や北京などの沿海都市に比べ、経済発展が遅れており、そこに住む彼らは初めての日本旅行組が大半です。そのため、マナーに問題があるのも致し方ない面があるのです。こうした背景については、以下を参照ください。

中国「爆買い」の主役は内陸都市からの団体ツアー客
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/010400002/
中国沿海都市から新タイプの個人客、ニーズが多様化し新たな商機生まれる
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/011800003/
東アジア航空網に新時代、訪日客増大の本当の理由は地方路線の大拡充
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/022600007/

一方、番組に出演した中国人の多くは、こうした内陸都市に住む中国人とは違って、ある意味「意識高い系」の人たちです。日本社会のルールもそれなりに精通しているはずです。そのため、彼らは同胞がこうして小バカにされると、自分も同じように思われてしまうのではないかと焦り、憤りを隠せなくなるのでしょう。

ただし、日本に住む中国人の中には、自国に対する自虐的で偽悪的な言動を取る人たちもいます。この複雑な心理は、なかなか一筋縄には説明できませんが、在外中国人にはよくある無国籍者的な態度のひとつです。中国の体制や政府に対する批判が背景にあります。

そして、彼らが抱えるひときわ高い自尊心の問題があります。これは中国人特有の面子に関わるものです。さらにいうと、「新興国メンタリティ」というべきものもある。これは中国に限らず、短期間で発展した国の人たちによく見られるものです。ご本人の生活は豊かになったのでしょうけれど、社会における富の偏りは激しく、自国及び自国民がしばしば見せる困った現実が、自らの自尊心とつりあわなくなることが多い。今回のように、公開の場で笑いものにされてしまうと、過去の自分を思い出すところもあり、その傷がうずき、苛立ってしまいます。いち早くかつての姿から抜け出したつもりの本人としては、忘れたい過去なのです。この感覚自体は理解できないものではありません。

実は、これも昨年起きたことですが、ある在日中国人が都内でタクシーの乗車拒否にあったことで、SNS上で大騒ぎした一件です。ここにも最近の中国人の自尊心問題がよく表れています。

中国富裕層の壊れやすい自尊心の取り扱いには要注意!(2015年 09月 03日)
http://inbound.exblog.jp/24851796/

こうしたことから私たちは、ある教訓を読み取らなければならないと思います。

中国人の壊れやすい自尊心の取り扱いに要注意! です。

とはいえ、こうした彼らの訳あり内面事情は、中国とは縁のない一般の日本人には理解しにくいことでしょう。最近、一部の人たちが中国人の訪日旅行の志向が「モノからコトへ」変わってきたというようなもっともらしいことを言っています。確かに、2000年に解禁された中国人の訪日旅行はすでに15年の月日がたち、先行した上海や北京の人たちはずいぶん洗練されてきたことは事実です。しかし、繰り返しますが、最近は内陸部からの中国人観光客が増えていることで、国際的な常識の身についていない人たちも確実に増えています。これが中国人のマナー問題を複雑にしているのです。

ですから、メディアが中国人のマナー問題を扱う際、中国社会というのは、出身地や階層などにより、人間の落差が日本人の想像以上に大きいことを前提とすべきです。ひとからげに良し悪しを議論するのではなく、なぜそうなるかを視聴者に理解させることが必要ではないでしょうか。

ちょっと優等生すぎますか。…でも、この種の話題で口論することほどばかばかしく、後味の悪いものはないからです。その意味では、わざわざこういう番組を企画する日本のテレビ局はいかがなものか、という声が出るのももっともかと思います。たぶん、中国のSNS上では、それが話題になっていると思われます。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-30 15:52 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(6)
2016年 05月 28日

日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました

通訳案内士制度の規制緩和の動きが進んでいるようです。同制度の設立は1949(昭和24)年。さすがに、時代は大きく変わり、通訳ガイドを取り巻く環境も当時とは相当違っていることでしょう。

今回紹介するのは、通訳案内士暦54年という異色の通訳ガイド(英語)、ジョー岡田さんです。現役では日本最高齢だそうです。

この方の型破りなガイディング作法は、海外から訪れた多くの観光客を魅了してきました。

岡田さんがガイドを始めたのは1962年。1ドル=360円の時代です。その後、90年代に入り、一時ガイドを休業されていたこともあるそうです。しかし、21世紀に入って状況は変わりました。訪日外国人が急増し、岡田さんは東日本大震災の翌年の2012年5月、ガイド業を再開します。20年ぶりのことでした。

なにしろ昨年(2015年)は、45年ぶり(1970年以来)に訪日外国人の数が出国日本人を超えた年でした。時代は再びジョー岡田のガイディングを必要としたのです。

御年87歳の岡田さんは、毎週土曜日、京都で外国客相手にユニークなウォーキングツアーを行っています。何がユニークかというと、そのいでたちとコースの中身。自らサムライに扮し、腰に日本刀を差し、京都の商店街や寺院を練り歩きます。そして、最後に「空中りんご斬り」をはじめとしたサムライショーを披露するというのです。

そんな岡田さんのツアーは地元でこう呼ばれています。

「京都観光に旋風を巻き起こす!ラストサムライショー」。
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いったいどんなツアーなのか。昨日、ジョー岡田さんに電話でお話を聞きました。

―ウォーキングツアーというのはどんな内容ですか。

「わしのやっている「クール京都ウオーキングツアー」では、有名どころはあんまり行かない。毎週土曜の9時45分に京都市役所に集合し、商店街やお寺を約4km、5時間かけて歩く。商店街で軽い食事もする」

※ツアーの概要については、岡田さんの公式HP「ジョー岡田のさむらい人生」を参照のこと。

ジョー岡田のさむらい人生
http://samurai-okada.com

Cool Kyoto Walking Tour

日 時:毎週土曜10時~15時
参加料: 3000円(軽いランチ付・12歳以下は無料)
定 員:21人(最少催行5人)
集 合:9:45 京都市役所前広場

主なスケジュール:
 京都御所を散策(土曜日特別公開の捨翠亭を見学)
 庶民の台所・出町商店街で交流(各店で試食を楽しみ、盛り上がりましょう)
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※ネットで見つけたウォーキングツアーの実例がこれ。

【寺町通】 ラストサムライといく、京都御苑から寺町通名店めぐり
~九条家の茶室・拾翠亭から商店街、サムライショーまで~(2013年5月7日)
http://www.maimai-kyoto.jp/program/machiaruki/13sp134/

この日のコースは以下のとおり。

地下鉄「丸太町」 → 1.拾翠亭 → 2.厳島神社 → 3.下御霊神社 → 4.行願寺(革堂) → 5.寺町通(丸太町~二条) → 6.サムライショー → 7.カフェでお茶(解散)

※数年前、ある報道番組が岡田さんのツアーの同行取材をしていました。これを見ると、どんな内容かよくわかります。

Joe OKADA 京都でジョー 岡田さん(84歳)が外国人をガイドする
https://www.youtube.com/watch?v=UAznHJPfjx4

岡田さんは京都府舞鶴市在住。毎週土曜は朝6時起床で、約90分かけて京都に来ます。京都市役所に着くのが9時頃なので、隣のホテルオークラの地下の喫茶店でモーニング(380円)を食べながら、ツアー開始時刻を待つそうです。

―外国客に人気の理由はどこにあると思いますか。みなさん、どんなところを楽しまれているのでしょうか。

「まあわしが落語しながら歩いてるみたいなツアーだからね。お客さんはずっと笑っていますよ。もう50年以上ガイドをやってるから、笑いのつぼはたいてい定型化されていて…、まあそういうもの」

-やはり圧巻は、サムライショーでしょうか。

「あれは38年前(1977年)、伏見桃山城で始まった。わしは当時、ガイドとして独立し、外国客相手に日本文化ショーを企画した。空手や忍者、居合い、お茶、お華、歌舞伎、京舞などの師匠を呼び集めた。90分間でひとり6000円取った。当時としても、けっこう高いでしょう。でも、城の天守閣を借りると、2時間で5万円かかった。これを13年間で1700回やった」
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-そこで岡田さんは居合いを見せたのですか。

「いや、わしは司会進行担当だった。ところが、ある日、居合いの先生が誤って自分の手を切ってしまった。そりゃ大変な騒ぎだった。以来、わしが居合いをするようになった」

-その師匠に教わったのですか。

「最初は、見よう見まねでね。でも、1700回やったから」

-えっ、そうなんですか。

「まあこれも人生の裏話」

岡田さんに「なぜ外国客にサムライショーはウケるのでしょうか」と素朴な疑問をぶつけたところ、一瞬、う~んとうなり、「そりゃ、日本人がアメリカに行ったら、ピストル手にして射撃したくなるのと同じじゃないの」と答えてくれました。確かに、これは愚問かもしれません。外国客がサムライや日本刀に惹かれる理由をもっともらしく言語化することに、あんまり意味はないかも。自国にない文化だから、面白いのですから。

―ところで、いつ頃から通訳ガイドをなさっているのですか。

「前の東京オリンピックの2年前だから、1962年。最初は旅行会社で専属ガイドをしていた。その後独立し、伏見桃山城でさっき言ったショーを始めた」

ジョー岡田こと、岡田逸雄さんは1929(昭和4)年、大阪生まれ。5歳のときに、父に連れられ、満洲国の奉天(現・瀋陽)に渡ったが、数年後に帰国。中学生のときに、学徒動員で尼崎市住友工場でゼロ戦戦闘機のプロペラ製造工となるが、B29の爆撃で全滅。半年後、敗戦を迎える。

中学卒業後は、米軍キャンプの雑役や消防士などで食いつなぐ。その後、来日中のアメリカ人農場主夫妻の運転手を務め、その農場主に招かれて渡米し、運転手として働きながら夜学で英語を習得。帰国後、3度目の挑戦で通訳案内士試験に合格した。そのとき32歳。最初の客の名前がジョーだったことから、「ジョー岡田」を名乗ることに。しばらく藤田観光の専属ガイドを務めたが、40代で独立した。

-どうして通訳ガイドになろうと思ったのですか。

「京都でね、通訳ガイドをやっている先輩の姿がかっこよくてねえ。自分もあんな風になりたいと思った。いまは亡くなられたけど、高橋さん。ずっとお付き合いしていましたよ」

-当時といまでは、通訳ガイドをめぐる状況は何が違いますか。

「インターネットが世界を変えた。当時の仕事の受注先は、旅行会社が40%、外国人のツアコン30%、国内の観光ガイド30%という比率だったが、いまでは予約はたいていインターネット(実際、ぼくは岡田さんとメールでやりとりしています)。

お客さんも変わった。40年前は、アメリカ3分の1、英語圏3分の1、その他ヨーロッパと東南アジアが3分の1。いまでは、70%がその他ヨーロッパと東南アジア。中国は団体ツアーが多いので、ほとんどない。わしは英語のガイドだからね」

― 一時期、ガイドを休業なさっていたそうですが、なぜ再開なさることにしたのですか。

「90年代に入り、円高で1ドル80円になった。これではもう続けられない。その間、土方でもなんでもやりましたよ。しかし、こうして再び外国客が増える時代になった。90歳まで続けようと思っていたら、2020年に東京オリンピックがあるというから、91歳までやることにした」

10年前(2006年)に岡田さんが知人に送った年賀状(サムライ現状報告)には、「以下の記録を更新するべく、その日暮らしです」と書いてあったそうです。

1.日本一最年長・現役土木作業員(年100日以上)
2.日本一最年長・現役通訳案内業
3.1988年・日本商工会議所商業英語Aクラス合格
4.ギネス世界記録第2回挑戦大会実施
  岡田流居合い道舞鶴青空道場・アメリカ支部より弟子8名参加・空中リンゴ斬り60秒で18個=第2位。1位は支部長のブラットの21個。
5.国内テレビ51回、海外14回出演
6.外人女性の腹上でスイカ斬り2000個(世界一)※手書きで「2016年には3500人となる」と書き足しあり。
7.海外に日本刀を書類なしで7回持ち出し ※おいおい
8.毎晩4時間飲食・ニッカウィスキー年130本・45年間
9.舞鶴市市民生涯教育・英会話講師(4年目)※手書きで「今年で16年目」と書き足しあり。

以下のテレビみてくださいね。
2006年1月9日 日本テレビ「イッテQ」の暗闇剣道「内村、インパルスvs.ジョー岡田」
     2月3日 テレビ東京「所さんの学校では教えてくれないそこんところ」

まいりました。さすがは昭和ひとケタ生まれというべきか。時代を無頼に、コミカルに駆け抜けた人生が伝わってきます。

そんな岡田さんですが、ふと電話口で「自分は体感的な人間でね」ともらします。そんなにあれこれ難しく考えて生きてきたわけじゃないとも。

でも、モットーは「わしの人生にはプライバシーはない」「他の人のできないことをやる」だそう。

「今度、京都に行く機会があったら、ぜひウォーキングツアーに外国人に混じって参加したいのですが…」と聞くと、「いいですよ。日本人はだいたい1%」。

岡田さんは、いまある本の出版を計画中です。実は、1965年、ご自身がつくった『This is your guide speaking』(同書はその後、版を重ね、91年の12版まで改訂され、12万部に至る)という通訳ガイドが話す日本案内(英語)の本を27年ぶりに再販したいのだそうです。

今度、その原本を送ってくださるそうなので、とても楽しみにしています。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-28 09:56 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 05月 26日

HISが都内各地で訪日外客向けエンタメツアーを収集・開発・販売しています

原宿竹下通りは、いまや外国人のための撮影スポットのひとつになっているようです。
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原宿竹下通りは外国人の撮影スポットとなっていた
http://inbound.exblog.jp/25703031/

その入り口に向かって左側の道沿いに、HISの外国人向けインフォメーションセンターがあります。昨年8月31日にオープンしたそうです。
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あまり目立たない感じのスポットなのですが、所内には外国客を対応するカウンターや都内の観光スポットのチラシなどが置かれています。
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両替機もあります。
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実は、HISの外国人向け観光案内所は、同社の営業所内のものも含めると、すでに都内11ヵ所にあるそうです。
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独立した案内所は、渋谷や新宿、新宿3丁目、銀座、有楽町、上野、秋葉原にあるようです(六本木、品川、池袋は営業所内にある)。

エイチ・アイ・エス関東インバウンド推進グループの池村あずささんによると、原宿の観光案内所では、18言語に対応できるスタッフを揃えているそうです(常に全員常駐ではない)。いま同所が最も力を入れているのは、外国客向けの都内のアクティビティ(観光素材)の収集・開発・販売だそうです。

ここを訪れた外国人にHISが収集した都内のオプショナルツアーを紹介し、予約を入れてもらうためです。もちろん、ネットでも予約できます。

詳しい中身は、hisgoJAPANの「Tokyo Activity」をクリックすると、現在71種類のツアーが用意されていることがわかります。
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hisgoJAPAN
http://www.hisgo.com/n1/Contents/

そのうち、人気のあるツアーはチラシになっていました。左上にあるのが、本ブログでこれまで紹介してきた夢乃屋のサムライ体験ツアーです。

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)
http://inbound.exblog.jp/25840817/
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ほかにも「ラーメンづくり体験」や「お茶」「寿司にぎり」体験、相撲部屋見学、そしてうさぎやふくろうのカフェなどもあります。人気のロボットレストランやサムライミュージアムの予約もしてくれます。

池村さんによると、今後もどんどんこの種の体験ツアーを増やしていきたいそうです。夢乃屋もHISのおかげで認知度を獲得したといいます。

これまで都内には、日本政府観光局や都が運営する外国人観光案内所は、空港や都庁、東京駅くらいにしかありませんでした。しかし、訪日客が増えたことで商機と見たHISは、都内に独立した案内所を設置し、国内の旅行手配はもちろんのこと、体験モノを中心にしたエンタメ施設&ツアーの紹介および予約手配を行うようになったのです。

興味深いことに、これまで本ブログで紹介してきた都内のインバウンド体験スポットの数々(サムライミュージアム、夢乃屋、どすこい相撲茶屋、ふくろうカフェなど)は、すべて2015年にオープンしています。昨年は、訪日外客が爆発的に増えた年です。これらの動きを進めているのは、みな若い人たちで、彼らが一斉に訪日外国客向けエンタメ事業を始めたことは、いかにも時代を感じます。

トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25702798/

これからどんな新種のエンタメ施設が生まれるか、楽しみです。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 16:36 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 26日

エンタメ性をさらに高め、他のインバウンドレストランとの差別を図りたい

銀座8丁目にある外国人団体客向けの和風エンターテインメントレストラン「どすこい相撲茶屋」でのサムライショーの一幕を前回お伝えしました。

銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/
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どすこい相撲茶屋
http://ginza9.com/shops/dosukoi.html

同店は銀座中央通りに面した銀座ナイン3の中にあります。ラオックスやドンキホーテ銀座店もすぐそばにあり、店の前の首都高の下には、中国団体客用のバスや出発前に時間をつぶして待っている中国客の姿をよく見かけます。
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店の前では「和風エンターテインメントショー」がうたわれています。
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サムライショーの始まる前に、店内を視察させてもらいました。
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400席(最大500名収容可能)といいますから、おそらく銀座でもこの種のレストランでは最大級の大きさでしょう。メインの食事はしゃぶしゃぶやすき焼きなどの鍋ですが、小さな生簀があり、海鮮も楽しめるようです。
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あらゆる場所で中国語表記が徹底されています。
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しばらくすると、中国客が入店してきました。予約制なので、事前に席が決まっています。
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これが定番メニューの豚しゃぶ鍋定食(1000円)です。鍋定食は5種類から選べます。もちろん、ほかにもお寿司など、好みに応じて注文できます。
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同店(株式会社GFホールディングス)の杉野豊樹店長に話を聞きました。

―店のオープンはいつですか。出店の経緯は。

「2015年11月20日がオープンです。もともとちゃんこ鍋をメインにしたインバウンドレストランを考えていたので、そのようなネーミングにしたのですが、だんだんいまのようなエンターテイメントを売りにしたレストランになってきたんです。

弊社では同年12月に大阪で『和楽』というインバウンドレストラン、16年2月に『ホテルロア心斎橋』をオープンさせています。昨年春頃から、インバウンドに特化した飲食業態を開発するべく動き出したのが経緯です」

―サムライショーはいつから始めたのですか。

「今年の3月からです。夢乃屋さんには週3回くらい。その他、忍者やおいらんショーなどもやっています」。

―現在の客層はやはり中国客が多いのでしょうか。

「全体の9割が中国客。残りはマレーシアやベトナム、フィリピンなどの東南アジアの団体です」

―集客はどうしているのですか。

「実は、オープン当初は集客に苦戦しました。そこで昨年末に、社内に営業部隊をつくり、インバウンドを扱うランドオペレーターなどの国内の旅行社に一斉に営業をかけました。おそらく100社以上に飛び込みで足を運んだと思います。そうするうちに、だんだんお客さんを送ってもらえるようになりました。ある中国の旅行会社では、ツアーに組み込んでくれている。チラシにもショーの写真を載せてもらっています」

―ロボットレストランでは、オープン当初から都内のホテルに一斉に営業をかけ、チラシや割引券をロビーに置いてもらうよう働きかけ、それが集客に成功した理由だといいます。やはり、営業が大事なんですね。

「中国に限らず、団体客は都心で安心して食事できるスポットを必要としています。そういうインバウンドレストランは、新宿や浅草などにいくつかあるようですが、銀座にはこれだけの席数のあるレストランはない。だから、銀座に出店したんです」

―今後の展望をどう考えていますか。

「他のインバウンドレストランとの差別化を図るためにも、さらにエンタメ性を高めたい。ステージを大きくし、お客様にもっと印象の残るような店にしていきたいと考えています」。

同店では、当初スタッフは日本人だけでしたが、いまではスタッフの7割が外国語対応できるようにしたといいます。予約制で、営業は昼と夜に分かれ、夜の部は17時~19時。意外に早いのは、理由があります。

割安なツアーが大半の中国団体客の東京観光のための宿泊場所は、たいてい千葉県や埼玉県、なかには群馬県というケースもあるというほど都心から離れています。最近起きたスキーバス事故などの影響で、乗合バス運転手の労働時間が厳しく管理されるようになったため、彼らの労働時間内に客をホテルまで送り届けるためには、夕食時間を早める必要があるからです。

このようにインバウンドレストラン、特に団体客をメインとする経営には、さまざまな制約がありますが、海外の旅行会社にとってこれほどありがたい存在はないでしょう。どんなに個人旅行化が進んだといっても、一定の団体需要はいつの時代も存在するからです。

国内のインバウンドレストランは、第一次インバウンドブームともいうべき2010年頃、出店が増えた時期がありました。ところが、尖閣諸島沖漁船衝突事件(2010年秋)や東日本大震災(11年3月)などに見舞われ、閉店に追い込まれたところも多かったようです。政治や天災に影響されやすいため、一部の成功事例を除くと、インバウンドレストランの経営は難しいといわれてきました。

バイキングのパイオニア「すたみな太郎」はいかに外国客の取り込みに成功したか
http://inbound.exblog.jp/23351119/

こうしたなか、2015年という訪日客が大激増した年、新たな出店業者が現れ、好調な訪日客の伸びの恩恵を受け始めています。

団体客の受入を基本とするインバウンドレストランの運営は、いってみれば、昭和40年代頃の国内旅行のしくみを再構築するようなところがあると思います。いまの中国団体客は、当時の日本人に似ているところがありそうです。しかし、日本では1980年代頃から社員旅行などの団体ツアーが下火となり、バブル崩壊とともにほぼ消滅してしまっただけに、過去を知る関係者は、手を出しにくいのかもしれません。

いまの若い経営者たちは、当時を知るはずもなく、現在国内で起きている時代の変化を敏感に感じ取り、すばやく実行に移しているという印象を受けます。

話を聞いていて気持ちがいいのは、常に試行錯誤しつつ、ダメなら次の手をと、臨機応変に現状に合わせてやり方を変えていける頭の柔らかさがあることです。

もしかしたら、1年後、いまとはまた違ったコンセプトの店に変わっているかもしれませんが、それも市場に合わせた変化なのだとしたら、それでいいのだと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 15:40 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 26日

銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい

銀座某所の正午過ぎ。館内に中国語のアナウンスが流れると、派手な和装に身を包んだ男女がステージに向かってゆるりと歩き出す。
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食事に夢中になっていた中国の団体客たちの視線は一斉にふたりの方向に注がれた。
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なかには席を立ち、スマホを取り出し、写真を撮り始める人たちもいる。
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おいらん姿の花形の目の前にまで来て、iPadで撮影するおばさんまでいる。
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いったいこれは何ごとなのか?

浅草で外国人向けの変身スタジオやサムライ体験ツアーを催行している夢乃屋(株式会社バンリーエンターテイメント)の出張侍・花魁ショーの一場面です。

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)
http://inbound.exblog.jp/25840817/

場所は、銀座8丁目にある外国人団体客向けの和風エンターテインメントレストラン「どすこい相撲茶屋」です。
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どすこい相撲茶屋
http://ginza9.com/shops/dosukoi.html
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さて、いよいよショーが始まりました。ステージに立つのは、創作日本舞踊孝藤流の二代目で、創作剣舞橘一刀流の家元でもある孝藤右近さんです。

孝藤右近 剣舞・殺陣 作品集 Ukon Takafuji Sword battle and Samurai dance performance
https://www.youtube.com/watch?v=DGJ4F9-DGSM
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彼が太刀を抜き、剣舞を始めると、狭いステージの周囲に人垣ができ、撮影のオンパレードです。動画を撮る人もいます。
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次に、艶やかなおいらん姿の舞いは、孝藤流花形の孝藤みゆさんです。
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1回わずか15分くらいのショーですが、終わっても観客はなかなかステージの前から離れようとしません。
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ついには、記念撮影タイムが始まります。次々に入れ替わるように、ふたりのそばに寄り添い、シャッターを切り続けること、約15分。
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館内には実況を流すテレビもあちこちに置かれています。
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ようやくステージでの撮影が終わったかと思うと、舞台裏に戻る途中から、次々に記念撮影をお願いされてしまうおふたりです。
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「春節の頃は店も大変な盛況ぶりで、記念撮影だけで1時間近くかかったこともあります」と苦笑いする孝藤右近さん。

それにしても、中国客の食いつきぶりはすごいです。とにかく、彼らはふたりと記念撮影してもらいたくてならないようです。中国の団体客は、毎日バスに揺られて、富士山見たり、温泉に入ったり、それはそれで楽しいでしょうけれど、ちょっと単調な気がしないでもない。たまには刺激がほしいのでしょう。そもそもせっかく日本に来ているのに、ガイドも中国人。買い物も中国系の店ばかり。だから、日本人と触れ合う機会が少ない。この種のエンタメが彼らに人気なのは、わかる気がします。若い子ならば、ここで撮った写真をすぐさまWeChat(微信)にアップすることでしょう。そうでない人も、中国に戻って、知人友人に見せて自慢するに違いありません。

夢乃屋(株式会社バンリーエンターテイメント)の出張侍・花魁ショーは週3回くらい行っているそうです。1日約6回のステージをこなすとか。そのたびに、記念撮影のリクエストに応えることになるそうです。

いま、銀座の一角で毎日のように、こんなことが起きているんです。

このショーはいつ頃からやっているのか。そもそも「どすこい相撲茶屋」という外国人団体客向けのインバウンドレストランはいつオープンしていたのか?

次回、同店の店長さんに話を聞いてみたいと思います。

エンタメ性をさらに高め、他のインバウンドレストランとの差別を図りたい
http://inbound.exblog.jp/25841657/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 14:18 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 26日

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)

昨年11月に浅草で外国人向けの着物変身スタジオを始めた夢乃屋では、サムライ体験ツアーもやっています。

JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋
http://www.tokyo-samurai.com/

浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25840662/

5月4日、TBSテレビの「あさチャン」で紹介されました。
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TBSテレビ 【あさチャン!】2016/05/04
<あさトク>礼から立ち回りまで!本格サムライ体験・書道体験・作法に憧れる外国人
http://p.jcc.jp/news/10886712/
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以下は、放映された流れです。

外国人からの口コミが多く集まっている新名所候補地をパトリックが調査。
浅草をトリップアドバイザー・菊地加奈子が案内。
靴屋の2階にある夢乃屋-YUMENOYA-浅草伝法院通り店はサムライトレーニングができる店として外国人観光客に大人気。
創作日本舞踊孝藤流・押田幸宏が講師。
パトリックも体験。
サムライトレーニングは夢乃屋とHISが共同運営している。
東京・台東区の「Kanji House」では外国人観光客の名前を漢字で表す書道パフォーマンスが人気。
書道体験もできる。
ヴェニス靴店・井澤日高のコメント。
トリップアドバイザーへの口コミを紹介。

「あさチャン」では、3月にも同じようなテーマで番組をつくっています。

TBSテレビ あさチャン(2015年03月17日)「外国人から女性まで…殺陣ブーム」
http://www.tbs.co.jp/asachan/know/20150317.html

どうやら訪日外国人の間で侍や忍者、お城、着物といった和風エンターテイメント体験が人気というのは本当のようですね。

先日、NBAワシントン・ウィザーズに所属するブラッドリー・ビール(Bradley Beal)さんもお忍びで夢乃屋のサムライ体験をしたそうです。

NBAワシントン・ウィザーズのブラッドリー・ビール選手が来日、都内のイベントに出演(CDジャーナル2016.5.11)
http://www.cdjournal.com/main/news/-/71365

彼がブラッドリー・ビール選手です。
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さすが大きいです。
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講師を務めているのは、創作剣舞橘一刀流の家元の孝藤右近さんです。
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彼の剣舞、殺陣は以下のYoutubeで見ることができます。「花魁道中」や「連獅子」などの動画があります。

孝藤右近 剣舞・殺陣 作品集 Ukon Takafuji Sword battle and Samurai dance performance
https://www.youtube.com/watch?v=DGJ4F9-DGSM

実は、孝藤右近さんは、石川県金沢市で創流された創作日本舞踊孝藤流の二代目です。

創作日本舞踊孝藤流
http://www.takafujiryu.com

角田知弘さんが経営する株式会社バンリーエンターテイメントは、創作日本舞踊孝藤流を母体とした会社で、同派プロデュースの日本文化体験処を各地で運営しています。また「夢乃屋(YUMENOYA- Produced by 孝藤右近-UKON TAKAFUJI)」として、孝藤右近さんを座長とする殺陣・剣舞・日本舞踊などを織り交ぜた侍・花魁ショーの出張公演を国内外で行っています。話を聞いていると、とにかく動きが早い。思い立ったらすぐに動き出すフットワークの良さを感じます。

実は、昨日、都内のあるインバウンドレストランで中国の団体客相手に剣舞を披露している様子を見ることができました。とにかく、中国客の食いつきがすごいです。

その話は次回。

銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 10:27 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 26日

浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみた

GW中の某日、浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみました。

なんでも最近、訪日外国人の間で侍や忍者、お城、着物といった和風エンターテイメント体験が人気だそうです。口コミサイトのトリップアドバイザーによると、2015年の外国人に人気の東京の観光スポットの2位に、歌舞伎町に去年秋できたサムライミュージアムがランキングされているほどです。

トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25702798/

訪ねたのは 「JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋」です。
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場所は、仲見世通りを浅草寺に向かって歩き、伝法院通りを右折した少し先です。ここでは外国客が自分の好みの着物を選んで、その場で撮影してくれます。昨年11月にオープンしたそうです。
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JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋
http://www.tokyo-samurai.com/

変身スタジオといっても、現状では靴屋の2階の倉庫のような場所にあります。階段を上ると、着物がたくさん置かれた小部屋があり、中を覗くと、アフリカ系の女性ふたりが着物を着て、撮影に興じていました。
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なんでも彼女は、カタール航空のCAさんだそうです。日本へのフライトの休日に浅草に来たとか。南アフリカ出身のポーシャさんです。
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彼女には濃い色の着物が映えますね。ご本人もとても満足だそうです。
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もうひとりの彼女は、モロッコ出身のサラさんです。エキゾチックな顔立ちの女性です。
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どんな風に撮れたか気になりますね。
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この変身スタジオを運営をしているのは、株式会社バンリーエンターテイメントの角田知弘さん。1987年生まれの29歳です。
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実は、浅草にはこのような外国人向けの変身スタジオがたくさんあります。では、どうやって外国客を集客しているのか。

角田さんによると「人力車と提携して、営業してもらっているんです。浅草には、いくつもの人力車会社があって、そのうちの一社と提携し、人力車に乗ったお客さんに声をかけてもらい、そのままスタジオに連れてきてもらい、着物に着替えて、そのまま人力車に乗ることもできます」だそう。

さらに、近所の店舗との相互送客や宿泊施設とのコラボレーション、インバウンド向けメディアへの情報掲載、HISとの提携など、あの手この手で営業しているとのこと。
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なるほど。賢いやり方ですね。今度、原宿や渋谷にも同じような変身スタジオを開設する計画があるそうです。

実は、夢乃屋では、変身スタジオだけでなく、他にも訪日外国人観光客向けのエンタメ体験ツアーを行っています。

最近、テレビで紹介されたり、話題になりつつあるようですよ。

その話は次回。

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)
http://inbound.exblog.jp/25840817/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 09:34 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 22日

「無許可のまま、ばれるまで続けた方が得」を続けてはいけない理由

今日もこんな記事が報じられています。要するに、現在の民泊市場の実態は「無許可のまま、ばれるまで続けた方が得」だということです。

民泊 35自治体、緩和せず フロント設置義務付け(毎日新聞2016年5月22日)
http://mainichi.jp/articles/20160522/ddm/041/010/126000c

個人宅を旅行者に有料で貸す「民泊」について、国が今年4月からフロント(玄関帳場)を設置しなくても営業許可が得られるよう規制緩和したにもかかわらず、47都道府県、20政令市、東京23区の約4割に当たる35自治体が今も条例でフロント設置を義務付けていることが、毎日新聞の調査で分かった。このうち都内の9区を含む17自治体は近隣トラブルの懸念などから当面は条例改正しないとしており、民泊の需要が高い都心部などで普及のめどが立っていない実態が浮かぶ。【熊谷豪、黒田阿紗子】

政府は、今後さらに民泊の規制緩和を進める構えだが、近隣トラブルの増加や既存の旅館・ホテルの反対を懸念して拡大に慎重な自治体が、国に歩調を合わせるかどうかは不透明だ。

空き家や空き部屋を利用した民泊は、これまで事実上放置されていたが、国は外国人観光客の増加などを見越したルール化を検討。4月から民泊を旅館業法が定める「簡易宿所」と位置付けて営業できる場所などを制限する一方、一般住宅にはないフロントの設置は許可要件から外すことを決め、営業許可を出す自治体に必要な条例改正などを促す通知を3月末に出した。

しかし、厚生労働省のまとめや、毎日新聞の5月中旬の調査によると、12道県、13政令市、都内の10区が、条例でフロント設置を求めていた。このうち約半数の18自治体は条例改正や弾力的な運用で要件を緩和する意向だったが、残りは義務化を当面続けるとし、9自治体(2県6市1区)が「条例改正するか検討中」、8区が「条例改正しない」と答えた。フロント設置義務があると、現行の無許可営業の民泊のほとんどは許可を得るのが難しいとみられる。

国は6月にも、住宅地での営業も認めるなど民泊のさらなる規制緩和策をまとめる方針で、大阪市などは「住民の安全が保てるのか、国の動向を見たい」としている。一方、世田谷区は「良好な住環境を悪化させる必要はない」、渋谷区は「民泊利用者の安全確保にも必要な規制だ」と指摘。台東区は国の通知と逆行する形で、3月末に条例改正してフロント設置要件を加えた。

また、都内各区に4月以降に民泊を簡易宿所として許可したケースがあったか聞いたところ実績はゼロだった。

■「無許可のまま営業が得」 条例で要件、改修の負担重く

4月から旅館業法に基づく合法的な営業が認められたはずの民泊だが、許可権限を持つ自治体の条例などが壁になり、違法営業が依然として横行している。東京都心部では、慎重姿勢を崩さない行政に業者も申請を尻込みし、民泊の「解禁」にはほど遠いのが実情だ。

「無許可のまま、ばれるまで続けた方が得」。今年3月から渋谷区の住宅地にある2階建て集合住宅(計9室)を仲介サイト「Airbnb」に登録した男性(35)は、違法を承知で旅行者に部屋を貸している。

シェアハウスだった物件を丸ごと借り、民泊を始めた。今月、所有者に促され、要件が緩和された「簡易宿所」の許可申請の相談に保健所に行った。だが、区はラブホテルの乱立を防ぐため、フロントの設置や会議室、食堂の整備など、条例で独自の要件を課している。これらを満たすには高額な設備投資が必要だ。窓口の職員からは「最低でも3カ月はかかる」「まずは近隣住民を集めて説明会を開いて」と言われ、申請をあきらめた。

「最大20人が集団で泊まれる」と人気の物件は、月の8割以上が予約で埋まり、許可が出るまで営業を中止するのは痛手という。男性は「お金のある大企業でないと民泊営業はできなくなるのでは」と悲観的だ。

浅草などの観光地を抱える台東区の条例も、3月の改正でフロント設置と営業中の従業員常駐が義務化された。マンションや集合住宅での民泊を事実上認めない措置だ。

区によると、2014年度に4件だった無許可民泊に関する苦情・相談は、15年度は25件に増えた。今もごみ捨てのマナーや騒音などの苦情が相次いでおり、斎藤美奈子・生活衛生課長は「住民の生活環境を守る対策が不十分。国は安全安心の確保を先にすべきだ」と指摘する。

ただし、こうしたトラブルは、民泊を合法化すればさらに増えるとは限らない。1月から国家戦略特区として独自の民泊制度を始めた大田区は、事前に近隣住民の理解を得ることを努力義務にした。今月17日までに一戸建て6軒とマンション8棟(30室)の計14物件が認定を受けたが、うち12物件を管理する業者によると、近隣からの具体的な苦情はないという。【黒田阿紗子、早川健人、柳澤一男】

フロント設置を義務化している自治体と今後の対応(○は条例改正などで要件緩和予定、△は検討中、×は改正予定なし)

<都道府県>
北海道○
群馬県○
神奈川県○
新潟県△
岐阜県○
愛知県○
三重県○
奈良県○
島根県△
徳島県○
高知県○
宮崎県○

<政令市>
札幌市△
仙台市△
さいたま市○
横浜市△
川崎市○
新潟市○
静岡市○
名古屋市○
京都市△
大阪市△
堺市○
北九州市△
福岡市○

<東京23区>
千代田区×
中央区×
新宿区×
文京区×
台東区×
大田区△
世田谷区×
渋谷区×
杉並区○
豊島区×


「無許可のまま、ばれるまで続けた方が得」。

これは、前にも言いましたが、中国人ツアーのガイド問題と同じです。今後規制緩和されるにせよ、現行においては違法となる就労資格や通訳案内士資格がなくても、ばれなければ気にせずガイドを続けている人たちが多数派を占めている問題のことです。

気になるのは、後者(中国人ガイド)の場合は、一般の日本人の預かり知らない場所で、よくわからないまま起きていることなのでピンとこない話だとしても、民泊の実態はいずれ広く一般の日本人の目にも明らかになると思われることです。

「民泊」の問題は、結局「非居住型」をどうするかにある
http://inbound.exblog.jp/25811104/

毎日新聞の調査のように、民泊の需要の高い東京などの大都市圏の自治体ほど、政府の規制緩和を受け入れようとしない背景には、「非居住型」民泊の増加が地元にもたらすであろう問題を避けたいと考えているからでしょう。もっとも、すでに新宿区や渋谷区などでは、無許可民泊が相当数あることがわかっている以上、規制緩和を受け入れないと言っていても、あまり意味がないともいえるわけですけれど。これらの区では、現状の市場をどう管理するかが問われています。

23区内でAirbnb物件が最も密集している新宿区が無法地帯になっている?
http://1manken.hatenablog.com/entry/2016/04/12/083740

地方自治体の取り組みとしては、京都市の事例が知られています。ただし、なかなか難しい問題もありそうです。なぜなら民泊サイトは海外に拠点があるからです。詳しくは以下をご参照ください。

外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」
http://1manken.hatenablog.com/entry/2016/05/10/120000
違法民泊退治!京都市長・市議会あげての口コミ介入に成果?
http://1manken.hatenablog.com/entry/2016/05/12/120000

でも、もしこのまま何も手を打たずにいると、民泊のホストたちに対する世間の非難がいずれわき起こる日が来るかもしれません。なぜなら一般の地域住民は、小売店や飲食店の関係者とは違い、外国客との間に利害関係はないからです。彼らを受け入れなければならない理由はないのです。にもかかわらず、ホストたちが近隣住民の許可も得ず、「非居住型」民泊を始めたとしたら、いろんな声が出てくるのは当然でしょう。

違法民泊の監視は「近隣住民・宿泊者等からの通報」に頼らざるを得ない?
http://1manken.hatenablog.com/entry/2016/04/23/103713

これが未許可民泊の実態だ! 部屋をこっそり貸し出す入居者と管理会社の攻防を追った(産経新聞2016.5.2)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/02/news045.html

懸念するのは、こうした騒ぎが飛躍して、こんなことなら、もうこれ以上外国人観光客なんか誘致しなくてもいいではないか、という論調すら生まれるかもしれないことです。日本で多くの買い物をしてくれる外国人観光客なのだから、少々気になることはあっても歓迎すべきだろうとの国民的なコンセンサスが、これまではある程度共有されていたと思われますが、それが変わる可能性もあると思うのです。これは本来のインバウンド振興の意義からいって大変残念なことです。

※ぼくの考える日本のインバウンド振興の意義については以下のとおり。
戦前期も今も変わらない外客誘致の3つの目的(このブログの目的その4)
http://inbound.exblog.jp/22361086/

さらに別の視点でも、思うことがあります。この記事には触れられていませんが、そもそも地方では民泊の緩和よりも先にすべきことがあるのでは、と思います。

それは、地元旅館の外客受入を促進するための取り組みです。

以前、本ブログでも書きましたが、大都市圏のホテルをはじめとした宿泊施設の客室稼働率は高くなっていますが(それゆえ、民泊需要も高まっている)、地方に目を転じると、それほどでもないですし、旅館に関しては、おそろしく低い稼働率となっています。
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※2015年の全国の宿泊施設タイプ別の客室稼働率は、シティホテル(79・9%)、ビジネスホテル(75・1%)、リゾートホテル(57・3%)、旅館(37・8%)。加えて、都道府県別客室稼働率も見てください。地方によって稼働率が相当違います。

都道府県別延べ宿泊者数(2015年)
http://www.mlit.go.jp/common/001131278.pdf

中国人の旅館買収には理があり、背景には業界の長期低迷がある
http://inbound.exblog.jp/25808051/

なぜこうなるかという理由として、地方の場合、特に旅館業者らの間で、外国人を受け入れたくないという意向が未だ強いことが考えられます。ですから、このネット予約時代でも、外客も利用可能な宿泊サイトに登録していない施設も多そうです。民泊市場の急拡大は、AirBnBをはじめとしたマッチングサイト(事実上の予約サイト)がなければありえなかったことです。本当は地方の旅館こそ、宿泊予約サイトに登録すべきなのですが、そういったモチベーションがあまり感じられないケースが多そうです。いやむしろ、そんなことをして外国人が来られたら困るとすら考えている可能性があります。

ですから、地方では民泊を推進する前に、既存の旅館を外客に利用してもらうための手立てや支援策を打つべきだと思います。そうでないと、本末転倒の話だからです。自治体の関係者は、民泊市場が急拡大しているいまこそ、地元の旅館業界に働きかけて、外客の受入を促進すべきではないでしょうか。

旅館であれば、民泊の規制緩和でも問題になっていることなど、当たり前ですが、最初からクリアしています。こうした既存の施設をどう活用するかという議論ももっと必要だと思います。

【追記】
そんなことを思っていたら、6月に入り、こんな話になってきました。AirBnBが近隣問題の解決に向けて動き出そうとしたようですが、一方で政治的にはかなり厳しい裁定が下りそうなのです。

Airbnb、近隣民泊への苦情報告ツールを公開(2016.6.1)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1606/01/news095.html

民泊ビジネス終了か?「民泊180日以下」で閣議決定(2016.6.3)
http://airstair.jp/minpaku_180/

さあ、これからどうなるか。民泊推進派のため息が聞こえるようです。でも、もう少し状況を見ていきましょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-22 16:18 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 05月 22日

インド人観光客が増えると、日本のインバウンドはどう変わるだろう?

今朝、ネットで以下の報道を知りました。

観光局、インド事務所開設へ=12億人市場で訪日客誘致(時事通信2016/05/21)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016052100174&g=eco

訪日外国人旅行者の増加に取り組む日本政府観光局(JNTO)が今年度中にインド事務所を開設することが21日、分かった。高度経済発展を続けるインドでは近年、中間所得層が急増。人口12億5000万人を抱え、今後も海外への旅行者が増え続けるとみられるインドを「重点市場」と位置付け、日本の魅力をアピールして観光客誘致に力を入れる。

インド観光省によると、2014年に海外を訪問したインド人旅行者は約1800万人で、10年前の3倍近くに増加。最も多い訪問先としては、サウジアラビアやタイ、シンガポール、米国が90~100万人で上位を争う。

一方、14年に日本を訪れたのは約8万8000人にとどまった。中国(13年で約67万人)や韓国(同約12万人)と比べても「かなり少ない」(日印外交筋)。

日印両国は政治、経済両面で結び付きを強めつつある。その半面、日本へのインド人留学生は15年5月時点で約880人で、訪日観光客と並んで低調だ。外交筋は「両国関係の緊密さに比べ、人的交流は後れを取っている。今後は相互交流を活発化させることがさらなる関係強化につながる」と話す。

以前、インドの旅行会社の人に話を聞いたことがあります。ムンバイの人です。

インド人の日本旅行の訪問地が東京・大阪プラス広島の理由(アセアン・インドトラベルマート2014その2) (2014年6月9日)
http://inbound.exblog.jp/22757002/

彼によると、日本旅行のゴールデンルートは東京、大阪、広島で、東アジアの人たちと比べ、日本に対する認識もずいぶん違うようです。教育もあるのでしょうが、広島の原爆ドーム訪問はたいていツアーコースに入っているそうです。

ちなみに、2015年の訪日インド人は約10万3000人でした。これまで訪日インド客が少なかった背景には、日本への航空運賃の高さがありました。彼らはヨーロッパや東南アジアにはよく旅行に出かけていますが、それは航空運賃が安いからです。

もう6、7年前のことですが、観光庁の主催するトラベルマート(訪日旅行促進のために各国からエージェントを呼んで行う商談会)の海外メディアを集めた記者会見でのある出来事を思い出しました。

※トラベルマートの記者会見とはこういう世界です。以下の話とは関係ありません。
外国人記者説明会(トラベルマート2011 その2)(2011.11.26)
http://inbound.exblog.jp/17093532/

まだ尖閣諸島沖漁船衝突事件(2010年)の起こる前のことで、当時から観光庁は中国市場に大きな期待をかけていました。そこで打ち出されたのは、「中国集中プロモーション」というものでした。

会見場にいたぼくはちょっとびっくりしました。なぜなら、そこには世界各国の記者がいたからです。大きなポテンシャルを持つ中国市場に期待するのは理解できますが、あくまで内輪の話にすべき。中国向けプロモーションに注力するというような話は、なにもそこでするのではなく、中国の関係者だけどこかに集めてすればいいものを……。

実際、記者会見の質疑応答のとき、インドから来た女性記者は「中国の話はわかったが、インドにはどんなプロモーションを考えているのか」と質問していました。彼女がそう思うのも、無理はありません。日本側は「今後いずれ」というような回答でした。

でも、あれから何年もたち、ようやくインドに日本の政府観光局ができるようです。当然、インドの海外旅行市場の調査や研究も始まっていくことでしょう。

インド客が増えると、日本のインバウンドもずいぶん変わっていくことと思います。基本的に英語圏の人たちなので、多言語化の問題はなさそうですが、彼らの文化や習慣など、なかなか独特ですから、最初はいろんな戸惑いもあるでしょう。でも、日本に対する感情は概ね良好な人たちですから、中国や韓国の訪日客に対するような疑心暗鬼や複雑な感情を引き起こすことは比較的少ないと思われます。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-22 10:18 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)